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エール5-20

箱の中には綺麗に折り畳まれた団服が入っていた。千秋は水野を始め他の団員を見る。全員がニヤッと笑った。  まだ意味が分からず、ぽかんとしている密紀に水野がウィンクすると、団服を広げた。 「Sサイズの団服だ、超特急で仕上げてもらったんだ、大事にしろよ?」  言いながら密紀の肩に団服を掛ける。 「え、えっ?どうして…」  脳味噌がキャパオーバーしたように上手く言葉を発せられないでいる密紀に「大丈夫かよ」と笑って机に腰掛けると、水野は千秋を仰ぎ見る。 「お前は絶対保科を団員にするって思ってたし、保科は絶対それに応えるって分かってたよ」 「団長…」  化粧箱を丁寧に閉じながら二階堂も千秋を見る。 「団長からのSサイズの団服発注命令は、善が密紀くんを連れてきたその日に頂いてました」  千秋が驚いた顔で水野を見る。水野は軽く目線だけで返す。 「まあ周知の事実やん?」  水野に代わるように鳥越が発した言葉の何が周知の事実なのか、団員全員が分かったという顔をしている。ただ密紀だけが驚き過ぎて会話に付いていけていない。気がつけば少しだけ顔を赤くした千秋が横に立っていた。 「よかったな」 「…えっと、俺…」  まだ状況が飲み込めずにいる密紀に、水野が机に座ったまま指をさした。 「型なんて下手くそでも練習すりゃそこそこ上手くなるんだよ。それよりも大切なもんをちゃんと持ってるかってのがテストだな」

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