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エール5-21

  大切なもの。  誰かにエールを送りたいという気持ち。そのために頑張れる気持ちを持っているかどうか。 「保科密紀」 「はいっ!」  水野に名前を呼ばれて密紀は背筋を伸ばす。 「聖院学園応援団、入団テスト合格!」 「はい!」  いい返事だなと水野は笑ったが、その横で、合否通知の時くらい机から降りなさいと二階堂に叱られる。 「おめでと、保科」  千秋が優しい笑みをくれた時、密紀はやっと嬉しさを実感した。  諦めないでよかった。自分を信じてあげてよかった。  それも全部、千秋先輩がいたからだ…その思いを込めて千秋を見返す。 「せやからよそでやれって」  鳥越が聞こえるように呟いたけれど、千秋は気にせず密紀に微笑んだままだった。  そして。 「とは言え。なあ保科、善」  水野が机から降りる。日が傾いた窓辺に立つと二人を振り返る。  逆光でその表情は見えない。でも微かに笑っている感じもする。 「橋野と元宮の今後については、俺に任せてもらっていいかな?」  よく通る声が部屋中に響く。聖院学園応援団、頂点の人物の冷静な声音。逆光の中での薄暗い笑みの効果も加わって、それは、誰もが身を竦めるような、そんな光景だった。

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