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エール6-1

 第一体育館に人が集まり始める。生徒数八百人強の聖院学園には全校生徒が一度に集まれる第一体育館と、主に体育の授業や小規模な集会で使用する第二体育館がある。  体育会系の壮行会は割と華々しく行われるので第一体育館を使うことが多い。同じ体育会系の部活に所属している者は参加するのが暗黙の了解のような所もあるが、今回はそれ以外の生徒も先生も体育館に集まっている。 「…す、すごい人」  応援団は更衣室を控え室にしている。水野が手にしているタブレットに進行係の放送部から体育館内のライブ映像が送られてきている。 「すごい人数ですね…」  密紀は改めて応援団の人気を目の当たりにして青ざめる。今までは見ているだけだった舞台に今回は自分が立つのだ。ことの重大さを本番になって改めて自覚した。 「全校生徒集まってんちゃう?」  タブレットの前で固まる密紀をからかうように鳥越がニヤリと笑う。 「こらこら、緊張を煽るな」  可南にたしなめられた鳥越が「ごめんごめん」と密紀の背中を叩きながら、 「全校生徒ちゃうわ、橋野と元宮おらんやん」  鳥越の言葉に、一瞬、場の空気が止まる。  そうなのだ。今日密紀が登校したら「二人はしばらく休みます」と担任から知らせがあった。二人の今後については任せてほしいと水野が言った昨日の今日…。密紀は水野をチラリと見たが、 「病気か怪我でもしたんじゃね?」  にっこり笑ってそう返されただけだった。

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