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エール7-1
聖堂の二階、窓の外にはやや傾いた太陽。木々の葉を縫って部屋に差し込む光が、もう抑えきれなくなった二人の身体をまばらに照らしている。
「ん、はあ…はあ…」
密紀の唇を貪るような千秋の唇。密紀は舞台の上で感じていたのとは全く違う緊張感を感じながらも、言いようのない幸福に襲われていた。
大好きな人に求められている、それがただただ嬉しい。
「好き…密紀」
少し離れた千秋の唇から漏れる熱い告白。名前を呼び捨てにされるだけで、身体が震えるほど嬉しい。
「俺も、大好きです、先輩」
伝えたい、どれだけ自分が千秋を好きか、どれだけ想っているか。密紀は背伸びをすると千秋の首に腕を回して自分から口付けた。
「反則じゃん」
密紀の唇を舐めると、そう呟いた千秋が密紀を抱えた。
「わ」
軽々と持ち上げた密紀の身体を、千秋が壁際のソファーに優しく下ろした。
「ごめん密紀、止まんねえ」
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