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*エール・エピローグ2*
「それからこれは応援団員の証」
二階堂が小さな箱を水野に渡す。
「はい!…はい…?」
それはリハーサルの時にも聞いていなくて、密紀は目をぱちくりさせた。一緒に段取りを確認した千秋を咄嗟に振り向く。が、千秋も、いや、千秋だけでなく団長、副団長以外は「何それ?」という顔をしている。
水野が応援団員全員を手招きする。二階堂が持っている盆の上には、人数分の小さな箱が乗っていた。
「じゃーん!ドッグタグ!」
水野が金ボタンを外し長ランの前を開ける。その首に、米兵などが着けているボールチェーン付きのドッグタグが下げられていた。
「かっこよくね?!」
厳かな雰囲気が取っ払われ、団議室で話している時のような軽い雰囲気が満ちた。内心密紀はほっとする。
「俺らの代で何かしたいなーと思ってたんだけど、応援団員の証みたいなのいいなぁと思って作ってみた!」
嬉しそうに言いながら、水野が一人一人に手渡す。
「この前一緒にリバイバルを観たんだよね、何か古い戦争映画の。完璧に感化されたよね一琉」
「そこ!バラさない!」
水野が二階堂にビシッとツッコんだが、二階堂は気にも止めない。
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