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*エール・エピローグ3*
密紀は千秋と一緒に箱を開ける。シルバーの楕円形の中央には名前が刻印されている。
「うわあ、かっこいい」
密紀が思わず漏らした言葉に、そうだろ、そうだろと水野が満足げに頷いた。裏面には『Supporting squad』と刻印されていた。
「言っておくが自腹だかんな」
水野がどれだけ団員を大事に思っているかが伝わって、呆れた口調だった二階堂も、他の団員も、素直にドッグタグを首にかけた。
「不思議な感じ…」
ぽつりと言った密紀に「何が?」と千秋が覗き込む。
「この数日で、百八十度人生が変わったような気がします」
ダメな自分、弱い自分、そう思って生きてきた年月の方がずっと長いのに、今こうやって憧れた人たちの輪の中に居る。
「違うよ、密紀」
千秋が密紀の頭に手を置いてくしゃっと撫でた。
「運命はもうずっと前から動いてた。お前が応援団をかっこいいと思ってくれた時から」
千秋善を目に焼き付けたあの日から。
「俺にエールをくれたあの時から」
千秋が笑う。
「これは必然だよ」
言い切る千秋に、密紀も笑顔で頷く。
ここに居ることを必然だと千秋が言ってくれるなら、ここに導いてくれた千秋と恋に落ちることも、絶対に必然だったと思える。
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