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狐の子と龍の子

 何でも見透かしているようなその顔に不覚にも彼と彼女の面影を重ねてしまった。  夕食を食べ終え、習慣となっている龍神への祈祷を行う。死にかけた際に救われて龍神の眷族となる契約を行ったが、眷族としての今の仕事は龍神へ祈祷を捧げることだけ。とは言っても、盲目的にあの神を信頼している訳ではないのであるが。 『まあ、君の父の魂を地獄に引き渡さなかった僕を信用しないなんて酷い眷族だ』 『その事では感謝に尽きませんよ。貴方の為に身も命を捧げる覚悟もございます。ただ貴方を盲目的に信仰しないだけです』 『忠誠はあるが信用しないか……。まあいいか。そんな龍藍君に忠告。あの狐の子がもうすぐそちらに来るので注意を払っておくように』  それだけ言うと、龍神の声が聞こえなくなった。狐の子? 綾人のことだろうか。いや、正確には綾人は狐の子孫ではないだろうか。龍神にとっては子孫も子も違いは些末なことなのだろうか。  そう考えていると、狐姿で寝息を立てていた銀雪が急に起きた。 「銀雪、どうした?」  銀雪は立ち上がると、障子を勢い良く開く。前へ私が出ようとすると、片手でそれを阻止した。まるで何かから守るように銀雪は私の前に立っている。 「龍藍、俺の前に出るな。あの婆………ではなく薬師に霊力がよく似ていること」  銀雪が鯉口を切って構えていると、庭先に甚大な神気が降り立った。神気と共に青みがかった紫の花弁の嵐が巻き起こる。これは何だ。桔梗か。咄嗟に顔を袖で庇ったので、神の姿は視認できないが、名のある神としての威厳が手に取るように分かる。やがて嵐が止むと、龍藍は前方を見た。前方には狩衣を纏った天女の如き黒髪の青年が微笑を浮かべている。 「初めまして、蒼宮龍藍くん。私は安倍(あべの)晴明(せいめい)こと晴明(はるあき)だ。どうぞお見知りおきを」  そう告げた桔梗の瞳の青年はかつての親友時雨に似ていた。龍藍はただ固まったまま、青年を見ていた。 「……一体何の御用で此方にいらっしゃったのです。私は蒼宮の名を頂いているが所詮は養子。土御門の先祖にして稀代の陰陽師として祀られる貴方が私などのつまらぬ者の顔を見てもつまらないでしょう」  半分人外の血が混ざった者同士だ。晴子様の呪具で多少の霊力の質を偽ってはいるが、ばれてしまう可能性は高い。これ以上近寄ってこられては困ると、龍藍は晴明(はるあき)を拒絶するように睨みつけた。すると晴明は苦笑した。 「つまらないなんてあるものか。龍藍君、私は君には興味があってね。人里に疎い君に特別に色々教えてあげようかと」 「それ以上近づくな。いくら同種族の血を引くとて、容赦などし……!?」  銀雪は冷たく切っ先を向ける。だが、晴明はするりと銀雪を避けると、龍藍の頬に触れた。眼前に現れた美しい神の(かんばせ)に龍藍は息を飲む。 「ふむ……流石あの子の呪具。外見を完璧に隠しているようだね。でも魂も外見もせっかくの美人さんなのに、偽るのは勿体無い」 「あ……」  龍藍はただ硬直したまま眼前の男を見つめていた。十年の間、親友や叔父以外との録な交流はないし、第一親友も龍神もこう顔を触れることなど無かった。なのにどうしてこの男はこうも馴れ馴れしく僕の顔に触れる。 「おや……? これは……」 「人の顔に触れるな、この恥知らず___!!」  晴明の指が龍藍の顔を覆う包帯に触れた瞬間、龍藍は晴明()の腕を掴んで庭に投げ飛ばした。流石の晴明も予想してなかったのか遠心力のまま宙を舞って地面に音を立てて倒れる。 「なっ………御先祖様___!?」  丁度この現場に立ち会ってしまった綾人の悲鳴が、蒼宮の屋敷に響いた。   あの御先祖様の気配を感じて来てみれば、突然宙を舞って俯せで倒れる御先祖様の姿があった。 「御先祖様っ……だ……大丈夫ですか!?」 「あったたた……大丈夫、大丈夫」  御先祖様は砂埃を払うと、立ち上がった。御先祖様はどうしてあんな風に宙を舞ったのか。御先祖様の視線の先を追うと、龍藍殿が青ざめた顔で御先祖様を見下ろしていた。まさか龍藍殿が……!? 「龍藍殿! よりにもよって貴方は何をしでかしたんだ!」 「そんなつもりじゃ……。いや、申し訳ございません。投げ飛ばしたのは事実です。此処は命を捧げて謝罪を……」  龍藍殿はその場で胡座をかくと、懐から小刀を出して自らの首に当てた。白い首筋からつうっと赤が伝う。それを見たとたん、綾人は背筋が凍りつく。いけない、このままでは死んでしまう。綾人は衝動のまま駆け出して小刀を奪った。 「悪気が無いのなら、そこまでして謝らなくていい!! 十分貴方の気持ちは御先祖様に伝わっているから。それよりもご先祖様、貴方の方も一体何をしたんです?」  ご先祖様は頭を掻きながら、ばつが悪そうに笑った。 「興味のあまりベタベタと触っちゃって投げ飛ばされたんだ。うん、私が悪いね。龍藍くん、本当にごめん」 「……いえ、本当にすみません」  龍藍殿は深々と平伏して謝罪する。そして龍藍の傍らの銀雪は俺とご先祖様を無言で睨み付けていた。恐らく、俺が止めなくてもこの狐が止めたであろう。 「で、晴明(はるあき)。我が主に何のようだ。主に勝手に触ることだけが貴様の目的ではなかろう?」  ご先祖様はきょとんとした後、うっそりと艶やかに笑う。ああ、この顔は何か良からぬ難題を押し付ける時の笑み。 「流石は名家の妖狐の末裔。鋭いね」  そしてご先祖様は龍藍殿と俺を交互に見た。 「綾人、龍藍君。君達にひとつ課題を与えよう。……あの戯けの薄氷がどこぞへ追いやった我が式神、十二天将の一人である青龍をただちに見つけてもらいたい」  突然過ぎる課題に、龍藍と綾人は言葉を失った 「あの……青龍は土御門の元に帰されたのではないですか?」 「いや、俺はてっきり蒼宮殿がどこぞに行かせたのかと……」  龍藍と綾人は困惑しながら顔を見合わせる。どうやら互いに嘘をついていないことが分かり、余計に二人は困惑した。 「年に一度、正月に契約者と共に十二天将が集まるんだが青龍のみ十年間顔を見せていない。まあそれでも此処に青龍の神気を感じていたから単純に零月とその子供の件があったから秋……紅原の当主ね。紅原の当主や騰蛇と顔を合わせたくないのかと思っていたんだけど、薄氷が死後に此方に来てみたところ単純に青龍が此処にいると偽っていたようだ」  確かに姿を一切見ていない。最後に会ったのは父が生きていた頃であろうか。 『夕霧は、将来零月殿のように学者になるのですか?』 『うん! 藩校で父のように一番の成績を取るんだ。そして江戸や出島や色んな所に行ってみたい』  そんな幼い夢を語ったっけな。そんな僕に青龍は優しく笑ってくれた。 『それは良いですね。応援していますよ』  16か17に見える天将の青年。銀雪は彼をイヤな奴と言っていたが、僕はそう思わなかった。 「青龍は10年前の零月の事件に何らか関わって行方知れずとなったと私は考えている。とは言え、死んでもいないようだ。だから見つけてくれないかな」  彼なら……あの襲撃事件に関わっているのだろうか。胸の傷がずきりと痛む。龍藍は深呼吸をすると頷いた。 「はい。蒼宮の名を連ねる者として捜索いたしましょう」 「良い返事だ。青龍が見つかり、拒否しなければ彼の主と名乗る権利を与えよう。綾人、君も手伝いなさい。さもなければ………一年間鬼祓いの里に放り込む」 「はあ!? ちょっと待ってください、それだけは! 叔父上絶対怖……」 「じゃあねー龍藍君。何かあったら気軽に私の神社においでー」  言い終えるまえに晴明は笑顔で龍藍に手を振って去る。後に残る桔梗の花弁を綾人は唖然とした顔で見ていた。  二人は、互いに気まずい関係であったことを取り敢えず他所に置いておいて、話し合うことにした。 「龍藍殿、本当に青龍が何処にいるのか分からないのか?」  蒼宮家は代々青龍と契約を結んでいた家系。行方が知れぬことを放置する筈がない。だが、龍藍はただ首を横に振った。 「知りません……私は山に籠っておりましたので」  山に籠っていた間に教わったのは、陰陽寮に入るだけの必要な知識と人を殺す術だ。それ以外の事は教わってはいないし、てっきり青龍は僕の状況のことなど知らないか見捨てなければいけない事情に陥ったのかと考えていたが、まさか行方知れずとは。綾人のじっと探ろうとする視線が突き刺さるが本当に何も知らないし、偽る物もない。 「では青龍に会ったことは……?」 「山に籠る前に何度か。そのときは優しい方だと思っていました」 「優しい……のか? まあそれはいいや。ならば十年前に、何かあったと考えていいだろう。御先祖様の言っていた零月殿の事件。確か叔父上のいる玻璃野という国であった事件だった筈だ。まずはそこに行ってみようか。兄上に言って、龍藍殿は陰陽寮に入るのを延期して俺も陰陽寮をしばし休もう」  龍藍は頷きかけたが、その時龍神の言葉を思い出して目を伏せた。 『妻子を喪った悲しみから抜け出せずにいる今の紅原に近づくのはちと危うい。時期を見てから紅原に事情を聞いてみるがいいさ。紅原を生かすも殺すもお前の判断次第』  今、生国に近づくのは色々と危うくないだろうか。それに……焼けた実家の跡を見たくない。見ると絶対に『龍藍(大人)』が剥がれ落ち、『夕霧(子供)』がさらけ出してしまうだろう。龍藍は頷くことも拒否することもできないでいた。  私が中々決断出来ないせいか、綾人は少しづつ苛立っているのが手に取るように分かった。綾人の視線に焦って考えがまとまらない。どうしようと視線を銀雪に向けると、銀雪は立ち上がって僕をひょいと抱き抱えた。 「そんな視線を我が主に向けるな腹立たしい。晴明はいつまでにと言ってなかっただろう。俺にその横っ面を叩かれたくなければ、一度離れて考えをまとめてから話し合え」  銀雪は冷たい目で綾人を見下ろすと、綾人に背を向けて僕の部屋へと足を向けた。 「なっ……! 待て妖狐そんな勝手に……」 「黙れ。今はこれ以上口をききたくない」  銀雪はすたすたと部屋を後にする。綾人の声が聞こえていたが、何を言っているのかよく分からなかった。 「銀雪、いくらなんでもお(ひい)様のように抱っこされるのは恥ずかしいよ。それにあんなに綾人殿を突っぱねてよかったの?」  貴族に対して無礼な態度を取るなと言ったのは銀雪ではないか。それなのにどうしてこんなことを……。銀雪はふんと鼻を鳴らした。 「俺はあいつが気にくわないんだよ。何度もお前に酷い言動ばかりするからな。それに困ったお前の顔を見ていてもたっていられずこうしてお姫様のように抱っこしたんだ。すまないな」  昔ならこう抱っこされても構わなかったが、今はちょっと恥ずかしい。だけども銀雪の逞しい腕の中が落ち着くのも事実だ。顔を伏せて銀雪にしがみつく僕を見て銀雪はふっと笑う。 「こう大きくなっても我が子はかわいいものだな」 「銀雪、子供扱いしないで」  龍藍が不機嫌そうに睨むと、銀雪は苦笑して龍藍をゆっくりと下ろした。 「龍藍、気晴らしに翠雨の顔でも見に行かないか」 そういえばここ数日、少ししか顔を見ていない。離れる時には泣いて袖を掴まれるので後ろ髪を引かれる気分なのだが、中々時間を作れないでいる。 「うん。行こうかな。と言っても翠雨殿はとっくに眠っている頃だろうけど」  翠雨の部屋に二人で足音を立てないように入る。翠雨はすやすやと寝息を立てており幸せそうな寝顔を無防備に晒していた。翠雨を傍で見守っている睡蓮殿が少しむっとした顔で私を見る。 「龍藍殿。忙しいのは分かりますが、翠雨様のことをお考えになってください。貴殿方が離れてお泣きになる翠雨様を宥めるのが大変なのですよ」 「申し訳ございません。もう少し翠雨殿の為の時間を作らなければなりませんね」  そう謝罪しながらも、龍藍は内心嬉しかった。自分がこう求められるのは何と幸せなのだろう。忙しさに揉まれていたが、必要とされるのであってはちゃんと傍にいなければ。だがもうすぐ離れなければならないかもしれない。 「睡蓮殿、お話がございます」  ただならぬ雰囲気の龍藍に、睡蓮は驚きながらも向き合う。龍藍と銀雪が青龍の捜索についての話をすると、最後まで真剣な眼差しで睡蓮は聴く。 「残念ながら私もあの龍の行方は知りませぬ。私も貴殿方にはぜひ探して頂きたい。……翠雨様は寂しがるでしょうね。ですが翠雨様の事は、今まで通り私が守りますのでご心配なさらないでください」  そう言われて嫌だとは言えまい。龍藍は目を伏せると、そっと翠雨の頬を撫でる。翠雨は応えるように龍藍の衣を掴んだ。 「またやってしまった……」  綾人は頭を抱えてうずくまった。龍藍殿があの時のことを無かったように、話し合いに付き合ってくれた。だというのに、此方が急いて焦らせてしまった。いやしかし、今回は何も言ってないではないか。それなのにあの妖狐は過保護にも連れ去りやがって。綾人は一人大きく舌打ちをするがその直後に溜め息を吐いた。 「龍藍殿……」  龍藍殿について俺はまだ知らない。知っていることは龍藍殿があの薄氷殿の養子であったということ。しかし薄氷はあまり良い噂を聞かなかった。有能で陰陽寮でも地位ある役職にはついていたが、それは外法師を雇って邪魔者を排斥していたからだとか、身内までも手に掛けただとかそのようなこと。龍藍殿が冷遇されていたとしてもおかしくはない。   十年間もそうであればあの妖狐以外を信じられなくて当然だし、あの妖狐の過保護過ぎる態度も最もだと言える。これからどのように接すれば彼と仲良く話せるだろうか。綾人は月が映った池を眺める。水面に落とされた月は微風にゆらゆらと揺れる。その様にあの夜笛を奏でていた天人の銀の髪が重なった。  あの笛でも聞いて落ち着きたい。そして、もしあれが鬼でなく天人であればこの胸の淀みを払ってくれるのではないか。そんなことを期待して庭に出てみれど、月は静かに己を照らすばかり。なんとも味気ない夜である。  どうしてか、この静寂で胸が苦しくなる。あの笛の音色が聞けないことが理由なのか、はたまた龍藍殿に冷たい態度を取ってしまったせいで彼が心を一切開いてくれぬことのどちらか。それとも両方なのか。どちらか分からない。 「ちゃんと謝罪せねば何も始まらないよな」 そう綾人は静かに月に誓うのであった。  次の日の朝、龍藍は朝食を食べながら考え事をしていた。ああ今日はまた土御門殿の所に行って相談でもせねば。しかしわざわざ入寮の日取りを決めてくださったというのに延長させるのはちと気まずい。いやそれでも青龍の行方と安否が分からない以上、そちらを優先させるのはやむ無し。気まずいが綾人殿ともちゃんと話し合いたいのだが……。ちらりと綾人を見る。  いつもは部屋で食事を摂られるが、今日は本人の要望で此方で食事を摂られているのだそうだ。流石数百年以上の家系であるゆえか、礼儀作法がお手本のように美しい。私の視線に気づいたのか、綾人殿は此方を見返した。だが沈んだ目でそっと視線が逸らされた。やはり嫌われたままなのだろうか。それも私の自業自得だ仕方ないだろう。私は食べることに集中する。  全部食べ終えて立ち上がろうとした時、綾人殿がばっと顔を上げた。 「龍藍殿っ……お話がありまして……そのいいでしょうか」  話し合いのことだろうか。それにしてはどうも綾人が緊張しているような……。 「ええ、いいですよ」  銀雪が物凄い目つきで綾人を睨んでいるが、昨日のようなことは無いだろう。銀雪を念話で宥めながら龍藍は頷いた。 「龍藍殿、ここ数日の数々の非礼申し訳なかった!!」  食後龍藍の部屋に来た綾人は、いきなり両手をついて顔を伏せた。あまりにも突然の謝罪に龍藍は困惑を隠せずに銀雪と綾人を交互に見た。 「あの……貴方様が謝るようなことなど……」 「いいや、謝らせて頂きたい! さもないと貴方と話し合う資格もない」  必死の様子で謝ってくる。どういう風の吹き回しだ。さてはあの陰陽師から協力しろと言われたからなのか。それとも本当に謝っているだけか? 龍藍は疑うように綾人を観察した。 「俺は兄よりも何というかこう……酷いことを言ってしまう。陰陽師なのだから言動には気をつけねばいけないというのに、カッとなってばかりだ。許してくれなくていい。だけど、ちゃんと話し合いたくて……」  龍藍は軽く目を見開いた。本当はまだ私は疑われる身。その上、身分も下の家系。そんな者に頭を下げて必死に謝ってくるとは。もう怒ってもいないし、謝罪されたのならば許してもいいだろうか。そう思ったが、どうやら銀雪は反対のようであった。そう 「感情を抑えられない上、傷つける言動を取って話し合いたいだと? もう少し頭を冷やしては如何かな?」 「銀雪、怒っちゃだめだ」  私が宥めると、むうっと不機嫌そうに此方を見てくる。銀雪が怒るのも分からない訳ではないがここは少し引いてもらう。龍藍は苦笑して銀雪に目を遣ると銀雪は不服ながらも黙った。 「分かりました。綾人殿、では話し合いの続きをいたしましょう」  一晩一旦離れて考え直した結果の話し合い。そこで龍藍は生国、玻璃野に向かうにあたっての望みをいくつか提示した。 「叔父……鬼祓いに接触したくないのですか」 「ええ。ですから鬼祓いへの聞き込みは貴方にお願いしたくて」  今私と銀雪があの人とあいつに顔を合わせるのはまずい。なのでこれを頼めるのは綾人しかいないのだ。 「うーん。昔のあの方ならともかく、ちょっと今のあの方に聞くのは気まずいが……蒼宮家と紅原家は仲が悪いから仕方がないか」 「ありがとうございます」  綾人は悩みながらも了承してくれた。根は優しいと晴彦殿が言っていたが、本当のことだろうか。龍藍は気づかぬ内に、再びほんの少しだけ綾人に心を開いていた。

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