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第4話 大集会!あつまるにょよ!

この日の朝は飛鳥井の家は大騒ぎだった この日は飛鳥井の一族大集会を行う日だった 朝から客間で着物を広げて着付けを家族で手分けして行っていた 康太は榊󠄀原に着付けされていた 榊󠄀原もこの日は伴侶の着物に久し振りに袖を通す事となった 玲香や京香は応接間で着付けしていた 慎一は烈に宗右衛門の着物を着せていた 烈は自分が着せて貰った後は、レイの着物を着 、椋に着物を着せていた 慎一に手伝って貰いギューギー締めて着崩れを防ぐ レイは着物に慣れてなくて「くるしいにょ〜」と弱音を吐いた 椋は只管耐えて涼しい顔をする 凛は自分で着ようと格闘して榊󠄀原に着付けされていた そして「宗右衛門!気合い入れて行こうぜ!」と朝から暑苦しかった 翔も次代の真贋の着物を着せて貰い、流生は次代の総代の着物が出来たから着せて貰っていた 他の兄達も黒い真贋の家族の着物を着せられ少しだけ苦しそうだった 瑛太も清隆も家族全員が着物で統一する 柚は託児所に預けて逝く事が決まり、朝から着物を着て京香は託児所へと向かって走った そして戻って、他の子の着付けをしていく 瑛智もその日は兄達と同じ黒い着物を着せられていた 今回は一生や、慎一、聡一郎、隼人も黒い着物を着て一族を見る事となっていた 時間が来ると外に出て大通りに停めてあるバスに乗り込む 大移動と謂う事とあって車一台ずつでは埒が明かないと、研修用のバスを慎一が運転して逝く バスに乗り込み座席に適当に座る 竜胆は「逝くぜ!宗右衛門!抜かりはないか!」と気合を入れまくりで音弥に 「お茶飲むのよ凛!」とドウドウと落ち着かされていた 烈は「いちにち にこの、かにぱん♪」と歌っていた 瑛太は「烈、今食べるのは危険ですよ?」と注意をした 「そーよね、こんにゃにしめつけられてたら……はいらにゃいよね」と悲しそうに謂う 流生は「終わったら薄いリンゴジュースあげるからね!」と烈を励ます 瑛太が「ならば一族大集会が終わったら薬膳料理を食べに逝きましょう! その時 榊󠄀原の家族も呼んで食べましょう! 薬膳ならばヘルシーで烈もお腹一杯食べれますから!」と言った たがら馬車馬の様に今は頑張れ!と謂う想いを込めて謂う 烈は瞳をキラキラさせて「やくじぇん!」と嬉しそうに言った! バスは予約を入れておいた公会堂へと到着した 駐車場にバスが停まると家族はバスから降りた 稀代の真贋を先頭に宗右衛門が続き、竜胆が後を続く 総代が次に続き、稀代の真贋の伴侶が続く その後を次代の真贋と次代の総代が続き 飛鳥井家当主夫妻が続き、子供達が後を続き、そのまま壇上へと入って逝く 壇上の上には席が用意され、稀代の真贋と宗右衛門が上座に座り、後は入って来た順に座る 一族が家族総出で会場にやって来て座る 入り口で慎一と一生が名簿を手にして、来場した者にチェックを入れて出欠を取る その日相当な用で欠席する理由の者以外の欠席は許さず、即座に除名処分をすると謂う く それは大集会を開くと案内状を送付した時に、注意事項として注意書きをしておいた 項目を入れた以上は如何な理由でも欠席した者は許しはしない 覚悟の上の大集会だった 時間ピッタリに出入り口のドアが閉められる 壇上のライトが稀代の真贋と宗右衛門を照らし出す マイクの前に立ったのは宗右衛門だった 「今日は今一度一族の結束を図る為に皆に集まって貰った! 今日、この時、如何な理由があろうとも相当な理由でなくば、欠席した者は飛鳥井から除名処分とする!」 と宗右衛門が宣言すると一族の者はざわついた 「儂は初代斯波家当主の元へ転生を果たして以来 【初代宗右衛門】として転生を続けて参った 何時しか初代が取れて宗右衛門の名で呼ばれ幾度も転生を果たした 今世は転生者の入れ替えをする為に転生をした 1000年続く果てへと繋げて逝かねばならぬ義務が儂には、在るのじゃ! 1000年続く果てへと逝く一族の者は何も血や、縁者でなくとも我らが敷いたレールの上を直走る者でよいのじゃ! 今此処でお主等の気を引き締めさせる為に大集会を、開いた! 竜胆、春の顔見世以降、一族から除名された者を告げるがよい!」 宗右衛門はそう言い後ろに下がった 竜胆がマイクの前に立つ マイクが高くて届かないから踏み台を置いてもらってやっとこさマイクに届いた 小さなお子様だと油断したら竜胆の檄が飛ぶ! 「お前等、一族の者の顔に泥を塗るような事はするな!」 熱い竜胆の罵声に一族の者は息を飲んで押し黙る 「今月だけで3件不正が見つかった 詳細はホームページで確認しろや! お前等は稀代の真贋に果てを見て配置された故 商売が出来ている事を、忘れてねぇか? 斯波家初代当主が一族の者の身の立つ様に始めさせた商売は、己の為の商売なんかじゃねぇぞ! 一族に繫げる為の商売で、それで身を立て飛鳥井の礎になり繋げて逝く為に商売してるって事を、忘れてるんじゃねぇのか! 稀代の真贋が果てを見て配置してくれたから、何処の店よりも人気でいられるって解ってるか?」 竜胆は一族の顔をまじまじ見渡し 「解ってねぇから私利私欲に走るのか? 良いぞ、一族が面倒だとか、今の時代にそぐわない一族だと思ってる奴、今此処から出て行け! 真贋の力なく商売が成り立つと想っているならば、一族から出てやってみれば良い! その変わり! 泣き付いて来ても戻れぬ道はないと心して出ていけ!」 と宣言した 竜胆がそう謂うと一生が出入り口の扉を開けた ご自由に離脱してくれて構わない! そう宣言されたも同然だった 宗右衛門が「翔!前に出て此れは恐怖政治でなく、民主主義に則った皆の相違を確かめる為にしておると伝えられよ!」と告げた 翔はマイクの前に立つと 「出て行くか、遺るかは貴方がたの自由になさって下さい! 遺るならば、一族の絆をより強固にする為に今一度考えられる事をお勧めします! 我等は宗右衛門が繋げた1000年続く果てへと逝かねばならぬのです! 宗右衛門は言いました そこへ行くのは血でも縁者でもなく直走る者とで強固な明日を築けばよいと! なので飛鳥井の一族から離脱する方は即座に席を立ち出て行って構いません! 我等は遺った者達とで、明日へと繋げて行きますから!」 と立派に宗右衛門の意図を伝えた 席を立って出て逝く者は一人もいなかった 出て行って真贋の助力を得られなくなれば、この困難な世情を生き残れると想えないからだ! 真贋や宗右衛門や源右衛門、竜胆や恵方がいてこその飛鳥井家なのだ 時代の先を見た商売は翳りを見せる事なく敷かれたレールの上を直走る それが出来るのは飛鳥井にいてこそ、なのだ 10分待って出入り口のドアは閉められた 翔は後ろに下がり席に座った 飛鳥井家 稀代の真贋が立ち上がると 「遺ったと謂う事は一族の為に身を粉にして働く事となる 宗右衛門はオレの様に甘くはないぜ! 宗右衛門は殺されかけようとも、己の道を切り開いてその足で立ち上がる! 皆も解るだろ?烈が足を引き摺っている姿を…… 烈はあの時 何度も息が止まった 下手したら死んでいたかも知れねぇ! だが、こんな所で立ち止まっておる場合か!と喝を入れ立ち上がり果てへと歩み出す オレ等はそれに続かねぇと置いて行かれちまっぜ! 我等は不正は許さねぇ! 不正をしていると解ったら即座に対処して一族から追放となる! 今後何があろうともオレはそいつ等の為には動かねぇ! 泣き付いて来ようとも、掛ける情けは一切ない! 非情にならねば、宗右衛門が繋げた1000年続く果てへの道には逝けねぇよ! 今後は一族の為、家族の為、社員の為、より精進して進んで行って貰いたい! オレの話は此れで終わりだ!」 康太はそう言い後ろに下がった すると瑛太が流生を連れてマイクの前に立つ 「飛鳥井家総代の飛鳥井瑛太です この度 私の継承者が決まりました! この話は前々から真贋から出ていたのですが、宗右衛門と竜胆が納得して、皆に知ら示よ!との言葉を頂戴致しましたので、此処で皆に次代の総代を発表致します 飛鳥井 流生です!流生ご挨拶を!」 流生は皆に深々と頭を下げ姿勢を正すと 「次代の総代を賜りました飛鳥井流生です! 以後お見知り置きを!」と言った 瑛太は「此の者が成人して引き継ぐまでに私の持てる全てを継承致します! 私共々今後もご贔屓に宜しくお願い致します!」と挨拶をした 竜胆が大きな声で「明日の飛鳥井の礎になれ!」と言った 宗右衛門は「まだまだ飛鳥井は捨てたモノではないわな!」と言い豪快に笑った ガハハハハハッと笑う宗右衛門の声が響く 慎一が「此れを持ちまして飛鳥井家一族大集会を終わらせて戴きます! 稀代の真贋、宗右衛門、竜胆が皆を見送りますので、ドアが開いたら一人ずつ出て行て下さい!」 と終わりを告げた 稀代の真贋と宗右衛門、竜胆は正面玄関に並び一族の者を送り出す 烈はじーっと一族の者を視ていた その瞳に畏怖を感じる者もいた 真贋の瞳も怖いが、宗右衛門の瞳はそれとは別で何だか怖い そそくさと足早で帰る一族を見送って、一族大集会は終わりを迎えた 康太は「うし!終わったな!」と言い控室に戻った 宗右衛門は「早く着物を脱ぎたいわな!」とボヤく 竜胆は「痒いぞぉ!早く脱ごうぜ真贋、宗右衛門!」と文句を言いつつ控室へと向かう 控室に到着すると皆 既にに着物を脱いでいた 慎一は既にスーツに着替えていた 自分の着物を器用に畳むと、他の子の着物も脱がせて畳んでいた 風呂敷に名前が刺繍させてあるから、その持ち主の着物を和紙で包み風呂敷を結ぶ その繰り返しだった 烈は着替えを済ませた一生に着物を脱がせて貰っていた 着物を脱ぐとついつい痒くてポリポリ掻くと、慎一が止めて痒み止めを塗った 凛も着物を脱ぐとポリポリ掻いていて薬を塗られていた 「しんいちくん」 薬を塗られている烈が慎一を呼ぶ 「何ですか?」 「えーちゃん ほりぽりしてるにょ!」と謂うと慎一は痒み止めを持って瑛太に近付き薬を塗った 「かじゅ!」 「何だ?」 「じいしゃんもかいてるにょ!」と謂うと一生は痒み止めを持って清隆の所へ行き痒み止めを塗った 清隆は「痒くて…済まなかった」と謝った 烈は「じいしゃん やくじぇんりょーりよ!」と楽しげに言う 清隆は「一生、榊原の家族に連絡をお願いしますね!」と言った 一生は「どの店に行くんですか?」と問い掛けた 薬膳料理を検索して近場の店を探す 「日本料理店はこの3店舗です どれにしますか?」 一生が聞くと清隆は「烈、どの店が良いですか?」と問い掛けた 烈は一生から店舗のページを見せられて唸る そして「ここね!」と謂うと清隆は「ではこの店でお願いしますね!」と言った 瑛太が「烈の食に対する執念とでも言いましょうか……烈が選ぶ店はハズレがないんですよ なので商談相手をお連れする時は烈にお店を選んで貰っているんですよ」と話した 店が決まると、店に電話して予約を入れ榊原の家族にも時間が着くなら来てくれと話した すると真矢と清四郎は烈からこの日はお呼びが掛かるから待ってたと話した 何処までも抜かりのない男だった 皆着替えが終わると着物を一生の車に詰め込んだ 一生は荷物を詰め込む為に車で来ていた バスでまた飛鳥井の家に荷物を持って逝くよりも早いと車を出したのだ 烈は「かじゅのくるまで、いくにょよ!」と言い早々に一生の車に乗り込んでいた 康太は珍しいなと想いつつも、何か考えがあるのだろうと何も言わなかった 皆がバスに乗り込むと一生も車に戻って運転席に乗り込む 烈は宗右衛門の声で「暫し儂の話を聞くがよい!」と言った 一生は「俺何かしましたか?」と顔を強張らせて問い掛けた 「何かしたかではない お主 兄達と距離を取っておるであろう 特に流生と、距離を取っておるであろうて!」とズバッと言った 一生は俯いて「………俺は距離の取り方が今少し解らねぇんだよ…」と言った 不器用な男だと宗右衛門は想った 「主は底抜けに明るく皆を盛り上げるムードメーカーじゃ! そのムードメーカーが腑抜けては、竜胆に負けておるとしか言えぬ!」 「竜胆は熱すぎる、俺はあんなに熱くはない」 「いやいや、そんなに変わりはなかろうて! そのムードメーカーが不発では飛鳥井の家は回らぬ故 儂は喝を入れる為に主の車に乗ったのじゃ!」 「宗右衛門………済まねぇ、俺空回りするから不用意に動けなくなっているんだよ!」 「儂はな一生、主に無視されたりしたけど、主には何も申さなかった それはな主は本能のままに動く男だからじゃよ! 本能のままに動く男が躊躇しておったら、危機能力が低下するし、仲間内のバランスも家でのバランスも崩れる 今は結構アンバランスな型になっておるの、気づいておるか?」 一生は黙って考えた アンバランスな型になっておる……謂われてみれば、真っ先に動くのが自分だった そのポジションを今 竜胆に奪われていた でも考える 「俺も竜胆も五月蠅かったら、それはウザくねぇか?」 「ウザくとも、それが飛鳥井なのではないのか?」 「………あっ………何か俺………烈の眼が怖くて距離を取っていたんだ… 無意識だったけど、考えたら烈の眼が怖かったのもあるんだよ」 「主に毎日水を飲ませた時期があるだろ?」 「あぁ、毎日レイが水をくれたから飲んでいた」 「主の弱った心に微かな闇が巣食っておったのじょ、その闇は主の知らぬうちに不安の花を咲かせ、主の心に闇を植え付けた だからレイに頼んで水を飲ませたのじゃ! 主は黒い涙を流さなんだか?」 一生は思い巡らせ、流した事に思い当たる 【黒い涙事件】のニュースを見て、自分と同じでビックリしたのだ 「流した……あれは闇が流れ出たのか?」 「そうじゃ!あの頃の主は何をしても不安で己を責めておったじゃろ?」 「あぁ、俺は何もしても上手く行かなくて、挙げ句お前を傷付けていた事を指摘され、自分で驚いていた………無意識だったんだけど、俺はお前を傷付けた………」 「終わった事じゃ、じゃが儂は今現在の話をしておるのじゃ! らしくない事はするでない! 今のお主はらしくないのじゃ! 儂の謂う事が理解出来るか?一生」 「良く理解出来てるよ 本当にらしくなかったな、俺」 「ならば主は主らしく底抜けに明るい存在に戻るがよい! 無理して距離を取らずとも、自然体でおれば そこに壁など存在してない事に気付けるであろうて! この戯け者めが! 軌道を外れたら儂が修正してやる 常軌を逸脱したら蹴り上げてやる だから主は主らしく自然体で過ごせばよいのじゃ!」 「ありがとう宗右衛門!」 「目を瞑るがよい!」 宗右衛門に謂われて一生は目を瞑った 宗右衛門は一生の眼の前に手を翳し呪文を唱えた 「眼の前に手を受ける様にして目を開けるが良い!」 謂われて一生は手を目の下に受け皿の様にして目を開けた するの掌にポロッとコンタクトの様なモノが落ちて来た 一生は「これは?」と問い掛けた 「それは主の曇った瞳を剥がしたのじゃ! それで前よりクリアに人を視られるであろうて!」 宗右衛門はハッハハハハッと笑って烈に変わった 「かじゅ おにゃかへった」 一生はコンタクトの様なモノをハンカチで包み大切に胸ポケットに入れて車を走らせた 「かじゅ 」 「何だ?烈」 「たくさんたべるのよ! さいきんの かじゅはたべにゃいもんね」 「……知ってたのか?」 「あした びょういんのつきそい、かじゅらもんね そしたらくどーせんせーにおこられるのよ」 「え?どうして?」 「かじゅ かがみみてにゃいの?」 「見てるさ、髭剃った時とかちゃんと見てるさ」 「やつれてるにょよ?」 「え?俺窶れてる?」 「ぼく……おいこんだ?」 「おめぇの所為じゃねぇよ! 俺の自業自得だったんだから!」 「かじゅ まえをむかにゃいとおいてかれるよ!」 「それは嫌だな、だから前を向いて俺は俺らしく自然体でいる事にする!」 「それでいいにょよ! かじゅは かじゅにしかなれにゃい ならば、きよせいはらずにいればいいにょよ! それがかじゅなんらかね!」 「ありがとう烈!」 「いいにょよ!おれいはかにぱんで!」 ちゃっかりカニパンを要求して来る烈に笑い 「なら毎日カニパン1個差し入れますとも!」と言った 烈は嬉しそうに笑っていた 一生も笑って前を向いていた もう何も不安は感じなった 心中は穏やかで、前を向けていた 自然体で良いと言ってくれた ならば俺は俺らしくいようと心に決めた 薬膳料理屋に到着すると、バスはとうの昔に到着して皆は店に入らずに烈を待っていた 流生が烈を心配してサポートにしようと近寄る 一生が烈を抱き上げて皆の所へ早足で行った 清隆や瑛太、康太に榊原は一生の顔が晴れやかに笑っていて前に戻った様に感じていた やはりこの男はこれでなくば………と想う 凛が「れつ!おせぇぞ!」と怒る レイが烈に腕を伸ばすと、一生は烈を下ろした 一生は笑って「んじゃ、烈の御所望の薬膳料理食べましょうか!」と言い店のドアを開けた ドアを開けているから家族は店内に入って行った 暫くして榊原の家族も到着して、皆で薬膳料理を食べた 一生が落ち着きのない凛を叱る 「おめぇ料理は逃げねぇから、もっと落ち着いて食え!」 「腹減ってんだよ!こっちは!」と竜胆の声で返す ガツガツ食う凛に一生は「んなに食うと血糖値上がるぞ!」と謂うと竜胆も黙ってなくて 「おめぇは食わねぇとその内ぶっ倒れるぞ!」と返された 一生もガツガツ食べ始めた 康太は前に戻った一生と竜胆のダブルの煩さに笑っていた 宗右衛門が「五月蝿いわ!静かに食べるのじゃ!」と一喝する すると言い合いは終わって家族は大爆笑となった 真矢と清四郎は一生を追い詰める様な事を言った手前、憔悴している一生にどう接して良いのか解らずにいた だがもうそんな事で悩まなくて良いのだと、今の一生の態度を見て想った 真矢は「一生、ぶっ倒れそうなの?明日病院に連れて行きましょうか?」と声を掛けた すると一生は「もう大丈夫ですから!」と晴れやかな笑顔で答えた そして食べないレイを膝に乗せて食べさせる 音弥がそれを手伝うと、兄達も一生の傍に行き 流生が「烈、レイに食べる様に謂うのよ!」と言った 烈は「れいたん てんてきよ!」と謂うとレイは口を開けて食べ始めた レイは笑って「かーきゅん おいちい」と言った 一生はレイの頭を撫で隣に座る椋を見た 大人しく黙々と食べる椋は本当に手が掛からない だがそれは宗右衛門が望まぬ事なのだと想い 「椋、食事は楽しくするんだぜ!」と言った 返答に困った椋は固まった 玲香は一生の意図を汲み取って 「飛鳥井は、底抜けに明るく食べねばならぬだわな!」と言い会話に花を咲かせ楽しい時間を盛り上げる 真矢もそれに乗り「そうよ!椋 楽しく食べるから美味しいのよ!」と言い一生と共に世話を焼く 凛は一頻り食べると「まんぷきゅ!」とお腹を撫でた そして椋に竜胆の声で「椋、食え!食わねぇと五通夜完遂出来ねぇぞ!」と暑苦しく応援する 一生は烈に「宗右衛門、俺、こんなに熱くねぇよ!」と文句を言った それに答えのは康太だった 「んなに変わらねぇよ!一生」 笑って前に戻った友に謂う 竜胆は「一生、腑抜けになるでないぞ!食え!お前も体力不足だとぶっ倒れるぞ!」と熱く謂う 太陽が「もぉ凛、うるさいのよ!」と怒りお茶を飲ませる 康太が「そんなにお茶を飲ませるとチビるだろうが!」と笑って謂う 太陽は「だって母さん 凛は落ち着かせるにはお茶が一番なのよ!」と言った 凛は大人しくお茶を飲んていた 康太は苦笑して、それを見た 烈は慎一に何やら話して、慎一がお皿を持って来ると一生の前に置いた 一生はそのお皿を見て慎一に「これは?」と尋ねた 「ガス欠になる前に食え!と烈からだ!」と言った 大皿に肉料理が乗っていて、この店の裏メニューだと謂う 清隆も「それ私も食べてみたいです!」と謂うと家族が皆食べたいと訴えた 慎一は家族全員分の注文を伝えに行った 瑛太は「裏メニューがあるなんて、良く烈知ってましたね」と謂う するの烈が「りゅーまにつれられてきたにょ! そのとき、りゅーま……ぼくのまえでそれたのんでたにょよ!でもぼくにはひとくちも、くれにゃかったのよ!」と悲しげに言った 康太が「仕方ねぇだろ?肉なんか食わせて数値あげたら、オレが傍に置くのを止めさせるからな!」と笑って謂う 料理が運ばれて来て皆がそれを美味しそうに食べる またしても烈はそれを食べられなかった でもそんな烈の為に慎一はデザートを頼んでいた 兄達も子供達にはデザートを頼んだので皆 楽しそうにそれを食べていた 流生が烈に自分のデザートを食べさせようとする 烈は「にーに!たべにゃいとてんてきよ!」と謂うと食べ始めた 流生もあの時 烈に頼んだ件で引け目を感じていた 流生は「点滴は嫌だから食べるのよ!」と笑って食べ始めた 「にーに たくさんたべるにょよ! もりもり たべるにょよ!」と謂うとレイが椅子から立ち上がって流生の頭を撫でた 大空がレイを座らせて「レイも食べないと点滴だからね!」と注意して食べさせる 兄達には敵わないとレイは食べ始めた 烈の大切な兄達なのだ 烈の大切な家族なのだ その中に自分もいてレイは幸せを感じていた 兄弟の間にあったしこりや拘りはなくなっていた 康太はそんな子供達を見ていた 大人しい椋も兄達に世話を焼かれて食べていた 楽しい時間だった だが、闘いはまだ終わらない 会社の大集会があるからだ! 一族大集会を行った翌日から康太と烈と凛は会社の大集会の準備に入った 康太は「何処でやるよ?宗右衛門」と問い掛けた 宗右衛門は「今 社員全員数600じゃったな……会社内で集まれる場所はないかのぉ?」と返した 事務方や現場の社員合わせて入れる場所を会社内で考えたら? 康太は考える、大掃除とかやる時食堂に集まっていたテーブルを片せば入れなくもない それかレストランでやるか?考える 竜胆は「公会堂借りればええやんか!」とサラッと言った 康太は「ならまた公会堂借りてやるか?」と言った 宗右衛門は「ならばこの近くにある場所を秘書に言って抑えてもらってくれ!」と言った 大集会が終わった後は仕事に戻らねばならないからだ 今はそんなに遊んでいる暇なんかないのだ! 康太は「なら一族大集会と同じで3人で社員を見送り視るとするか?」と提案した 宗右衛門が「それはよいわ! じゃが金属探知機をゲートに入れてやらんと、誰かが怪我でもしたら記事にされ、待ってましたと叩く材料を与える事となるわな」と言った 竜胆は「なら真贋が記者会見した時に使ったヤツ借りれねぇかな?」と謂う 「ならば竜馬に言って用意させるとする そして竜馬に護衛させるかのぉ! 儂は暫し傷つき過ぎた故、これ以上は勘弁なのじゃ!」 康太は「そうしてくれ!これ以上傷付いたら家族がまたギクシャクするかんな!」とボヤく 榊原と真矢の言い合いは康太にとっても耐え難い事たのだ あんな風に言い合いさせしまった自分が不甲斐なくて仕方がなかったのだ 宗右衛門は「ならば時間はどうする?」と問い掛けた 康太は「朝イチでやるとか?」と提案する 就業時間後だと残業のある社員はそれを中断して来なければならないからだ 竜胆は「なら朝イチで、出ない奴はどうするんだよ?」と問い掛けた 宗右衛門は「解雇か減給か降格そのどれかじゃな!」と口にする 康太が「なら解雇一択で!」と真摯な瞳を向けると宗右衛門も「なら解雇一択じゃな!」と答えた 竜胆は「県外のヤツに朝イチって難しくないか?」と謂うと 康太は「それなら泊まってでも朝イチで出れば良いだけやんか!」と吐き捨てた 宗右衛門と竜胆は頷いた 宗右衛門は「不平不満を口にする者は必ずや出る!統括本部長にはその旨を伝えておかねばならぬぞ!」と一番厄介な点を口にする 康太も「だな、それは徹底して伝えておくとする!」と言う 竜胆は「それでも引かねぇならどうするよ?」と問い質す 宗右衛門が「その時は一喝して貫き通すしかあるまいて!そんなに甘い事を言っておる時期はとうの昔に過ぎておるのじゃ!」と発破をかけた 竜胆が「ならサクサク動くぞ!」と熱く叫ぶ 康太は秘書を呼び公会堂の手筈を整えさせた 烈は竜馬を呼び出し、飛鳥井建設へ越させて話をした そして着々と社員大集会を開く準備をして行った 全て決まると会長と社長と副社長へ告げた 少し無茶な項目過ぎやしないかと想ったが……… 無茶をしてでもやらねばならぬ!そんな気迫を感じて3人は了承した そして迎えた飛鳥井建設大集会の日 告知は2週間前からしてカウントダウンもやった 【告知 朝 7時に公会堂で飛鳥井建設大集会を決行する! 県外または遠くて間に合いそうもない者はホテルに泊まるか工夫して参加されたし! 当日 欠席の者は解雇とする! 如何なる理由もなく欠席するのなら、それなりの覚悟の上で欠席する様に! 飛鳥井 宗右衛門 】 との告知に社員はざわめいた 自分の部署の統括本部長に「休んだ場合どうなるのですか?」と問い合わせする社員がいた 事前に統括本部長の方には如何なる理由もなく欠席するのならば解雇だと伝えておいた以上はそれを伝えるしかなかった 統括本部長は「欠席者は解雇となる!」と伝えると、親が死にそうでも出ろと?とか難癖は多々あった その度竜胆か宗右衛門が出て 「会社の方針が飲めぬのなら去るがいい!」と謂われて社員は何も言い返せなかった 栗田は「少し強硬過ぎやしませんか?」と苦言を呈した 宗右衛門はその苦言を一蹴した 「主は本当に甘いな 儂ならば、そんな甘い奴など即座に切り捨てる! だが主は真贋の駒、だから何もせんが覚えておくがよい! 今後 儂に苦言など呈するならば、即座に解雇に追い込む事となると! 今会社が変わらねば、1000年続く果てなど夢のまた夢となる! 儂は飛鳥井宗右衛門! 誰に苦言を呈しておるか、よく考えられよ!」 と吐き捨てた 栗田は何も言えず引くしかなかった だが栗田は康太にその事を謂って止めた方が良いと言った だが康太も「おめぇ宗右衛門にそんな口聞いたら、即座に解雇に追い込まれるぞ! 宗右衛門は飛鳥井の規律と統制を護る為だけに存在する者! それは会長ですら、文句など申せぬ存在だ! 飛鳥井の序列は稀代の真贋と同等! だからお前は一切何も謂うな! 宗右衛門はオレの様に甘くねぇぞ!」と言った 栗田は貴方も大概甘くなどないではないが………と想う その上を逝く存在ならば………何も言える事などないのだ……… 栗田は社員からの文句や苦言は一切聞かなかった 他の部署からも文句はちらほら出ていた だが朝 烈が社内を見て回る姿に社員は何も言えなくなった 足を引きずり社員の目線で声を掛けてくれる烈 その烈が強硬策に出て行わねばならぬ飛鳥井建設大集会ならば、何が何でも出ねばならぬのだと想い始めていた だがやはり反感を買う奴は必ずいて「解雇とか何時の時代の話だよ!今はコンプライアンス違反となるだろうが!労基に駆け込んだらどうなると思っているんだよ!」とか言う奴も出て来ても宗右衛門は 「徹底的にやる気ならば、やるがよい! 我等も徹底的に追い込んでやるとするかのぉ! 労基に駆け込もうとも、飛鳥井には入社前に説明会と誓約書を良く読んで同意しサインした筈じゃ!ブラック企業じゃあるまいし、就業規約は守っておる! やるならば、とことん闘え!儂もとことん追い込んでやるから!」と吐き捨てた その社員の元へ烈の顧問弁護士が向かい、これから労基に行くとするか!と張り切ってその社員を連れて行った スケープゴートは必要だから、宗右衛門は敢えて皆にとことん闘う姿勢を見せた 反旗を翻す奴など飛鳥井には必要はない! そう宣言されたも同然な事態に、社員は畏怖さえ覚えていた そんな皆の想いの上に日々は過ぎ飛鳥井建設大集会当日を迎えた その日の朝も飛鳥井の家は上へ下への大騒ぎとなった この日は翔達も出席せねばならないと謂われて、朝からスーツを着ていた 榊原や瑛太や清隆はスーツで、康太は真贋の着物を着ていた 烈は宗右衛門の着物、竜胆も竜胆の着物を着て 朝からギューギュー帯を締められ耐えていた 烈は「ぼく すーつでいいにょ!」と謂うが 康太が「おめぇだけ楽になんてさせねぇからな!」と謂う 竜胆は「なら俺はスーツでええやんか!」と文句を垂れる 康太が「おめぇは竜胆やんけ!着物きろや!」と難癖に近い事を謂う 榊原は慎一と一生戸で着物を着せて逝く 清隆はスーツ出楽そうで「じいしゃん…ずるい」とボヤいた 清隆は「私達は大集会を終えたら仕事をせねばならないので………」と言う すると康太も「ならオレも仕事あるしな」と楽しそうに言う だが誰も康太の話は聞かれる事なく、真贋の着物を着せられるのだった……… 支度が整うと、慎一がワゴンで子供達を乗せて会社へと向かう 烈は竜馬と共に会社へと向かった 地下駐車場に車を停めて公会堂までタクシーで向かう 他の者は公会堂まで歩いて向かうが烈は足が悪いから竜馬がそうしたのだった 竜馬は「準備万端だぜ!【R&R】の皆も全面的に協力してくれてる!」と伝えた 烈は「もぉね、けがはしたくにゃいからね」と謂うと竜馬は「烈に何かあったら俺は活きられねぇよ!だから長生きして俺を見届けてくれ!」と神妙な面持ちで謂う 烈は何も言わずに笑った 公会堂の前でタクシーを降り、竜馬と共に公会堂の関係者専用のドアを開けて中へと入って逝く 控室に行くと既に康太は待ち構えていた 【R&R】のメンバーも手伝っていたのかGパンとTシャツやと謂う軽装で烈を待ち構えていた 康太が烈が入って来ると「竜馬はどうするのよ?」と問い掛けた 「りゅーまはね、ぼくのうしろにひかえてたつのよ!」と答えた 康太は笑って「うし!ならば逝くとするか!」と言った 細い通路を通りステージへと向かった そしてステージに立つ その後ろを会長、社長、副社長が続き 流生達はその後ろでこの日を見届ける為だけに立っていた 時間ピッタリに出入り口の扉を閉める 遅刻は絶対に許さな! 即座に解雇対象となる 全国通りに公会堂の入り口と施錠して入れなくした 社員達は入場の際に社員証を機会に読み込ませてから会場に入れるシステムとなっていた だからIDを通していない社員は欠席となる それは大集会が決まった時に社員に告知してある事だった 宗右衛門は「時間じゃ!」と告げると大集会の開始となった マイクを持つと宗右衛門は 「今回 儂は主ら社員の意識改革がちゃんとなされているのか? 確かめる為に大集会を開く事にした 飛鳥井は普通の会社とは違う! それは主らが入社が決まった時に説明を受けて、誓約書にサインしたから解っておると想う じゃが、大集会を決めた日から不平不満は吹き出す様に出た 時代遅れやコンプライアンスに反する!とか数々の不平不満が上がり訴えるとまで言い出した者もおる! 勿論 その者には労基に共に行き、どちらが正しいか協議して言い出した者が退職して行った それが現実じゃ! 我等は恐怖政治をやっているのでも、ブラック企業と謂われる類の会社でもない! 一人が不平不満を言い出せば、それは連鎖する 会社は遊びに来ている場ではない! 我等は1000年続く果てへと逝かねばならぬじゃ! 此処で意識の低い者 飛鳥井と謂う轍に加われぬ者は排除する事に決めた 朝イチ出開いた大集会がよい例じゃろ! いちゃもんに近い文句ばかり謂う社員など我等こそ要らぬ! 我等は明日の飛鳥井の為に骨身を惜しまず仕事する社員が欲しいのじゃ!」 宗右衛門の声が響く マイクを通してビンビン反響して会場を包み込む すると手を上げて「我等は意見も言えぬのか!」と声高らかに謂う社員がいた 「意見が言えぬ訳では無い! 主の意見はホームページを通してちゃんと見ておる 通る意見もあれば、無理な意見もある それは様々じゃが聞ける事なれば通して来た筈じゃ! 主が謂う意見とはどう謂う類いのモノなのじゃ? 言いたいのならば、今ここで謂うがいい!」 「貴重な朝から呼び付けられて集まって聞く事が大切なのか聞きたい! 都合の着かない奴等は切り捨てられ退職とかふざけるな!」 「嫌なら退職されよ! 貴重な時間を使って話をするのは、徹底した統制を必要とするからじゃ! 統制を必要とするのは会社の方針と、社員が同じ方向を向いて仕事をせねばならぬからじゃ! 皆がバラバラな方向を向いて仕事を始めたら、それはもう統制など取れぬ領域となる そしたら既存の社員は首を切り、挿げ替えた方が早くなる! そうせぬ為に今 我等は日々の努力を惜しまず築いておるのではないのか? それに納得が出来ぬ社員など不要! 今直ぐに立ち去るが良い! 我等は甘い事など言ってはおれぬのじゃ! これより世間の情勢は更に厳しくなって行くじゃろ!そしたら生き残りを掛けて必死になる者だけが果てへと歩を進め、そうでない者は敗退して行かねばならぬ時代が来るじゃろ! 流行り病で何れ程の企業が消えて行ったか? 我等は生き残りを掛けて何度も何度も篩いにかけねばならぬじゃ! 覚悟なき者は去れ! この先、どれだけ厳しい壁に激突しようとも、我等は果てへと進む 1000年続く果てへと向かう! それが飛鳥井家 宗右衛門の死命なのじゃ!」 一生と慎一は出入り口のドアを開けた 出て行くならば出ていけ! そう宣言されたも同然だった 手を上げた社員は悔しくて唇を噛み締めて瞠目する 辞めて他へ行って、此処と同じだけの待遇を受けて働けるのか? 考える………そして身動き取れなくなり……一歩も踏み出せず立ち竦む 宗右衛門は後ろにスッと下がると 竜胆が前に出た 「お前等、どうするんだよ? 辞めるのか、遺るのか? そんなに難しい事じゃねぇだろ? 遺るならば、今までの様に甘い考えは捨てろ! 飛鳥井宗右衛門と謂う存在は甘くはねぇぞ! 宗右衛門は一族や会社の統制を図り、規律を護るべき存在だからな! だがら規律違反の様な存在は許せねぇんだよ! 宗右衛門の唱える1000年続く果てへと向かう軌道に乗れねぇ奴は去るがいい! 遺っても着いていけねぇだけだからな! 我等は死命を持って飛鳥井の為だけに転生し、果てへと繋ぐ存在なんだ! 転生して来た以上は家の為に生きて逝くんだ! 俺等だって普通の生活がしてぇと想う時はある! 宗右衛門は何度も何度も殺され掛け、特にそう想うだろよ! 普通に生きていれば殺されかける事なんて滅多とねぇだろうが! それでも! 我等は止まれねぇんだよ! 明日へ繋げねぇとならねぇからな! だから異論の在る奴も、納得が出来ねぇ奴も、飛鳥井から出て行き他で始められる事を推奨する! 決めるのはお前等だ! 遺ったならば、覚悟を決めろ! 宗右衛門は真贋同様、眼を持つ存在だ! 宗右衛門の眼は闇を暴き真実を見抜く! 嘘や偽りなど、宗右衛門には通用しねぇと思え!」 と言い、竜胆は後ろに下がった 会場は水を打った様に静まり返っていた 飛鳥井建設 会長がマイクの前に立つと 「飛鳥井家 宗右衛門と竜胆は役目を持って産まれた存在 それは真贋同等の存在として、飛鳥井の為に動き導く存在なのです そんな彼等が唱えた果てへと逝けぬのなら、即座に帰宅して明日から就職活動をする事を勧めます 宗右衛門は1000年続く果てへ繋げる為に死命を持って動いておられる 宗右衛門が敷いたレールに乗り果てへと向かう! それざ理解出来ぬのならば、残念ですが飛鳥井建設には必要ありません! 今日の大集会はそんな社員達の意識を図る為に行われたのだと理解なさい! 私からはそれだけです!」 そう言い清隆は後ろに下がった 社長の飛鳥井瑛太がマイクを手にすると 「今日の大集会にIDを通してない者は即座に解雇通知を送付します! そしてブラック企業だと時代にそぐわないとか申した者は自己退職を勧めて行きます 労基に訴えた社員は負けを認め退職しました 君達はどうするか? 私達は強制する事はない 君達の自由に決めれば良いだけの事! そして遺った者は、後の活躍を持って知ら示して行きなさい! 我等は明日への礎となり1000年続く果てへと繋げねばならぬ死命があると想いなさい! 私からは以上です!」 そう言い後ろに下がった 康太は榊原を見ると、マイクを康太に差し出した 自分の謂う言葉は皆が言ったからないと、謂う様に静かに社長達を見ていた 康太はマイクを手にすると 「この大集会を告知した日から統括本部長の方から苦言を呈されたりした あまりにも強硬過ぎませんか?と宗右衛門に苦言を呈して、へし折られたりした者もいる 飛鳥井宗右衛門は絶対の象徴として、一族に存在している 秩序や規律を尊び正して逝く存在なんだよ! 宗右衛門はオレの様に甘くはねぇ! 宗右衛門の言葉はオレでも覆せばしねぇ! 良く覚えておくと良い! 宗右衛門は文句は一切聞かない ! それは己の道にそんな奴は必要ないと切り捨てるからだ! 非情に決断を下しても果てへと逝かねばならぬからだ! それが1000年続く果てへと繋がる果てへと導く者の死命だからだ! 今 こうしてオレの話を聞いているって事は、遺ったと謂う事なんだろ? ならば、おめぇらは今後は馬車馬の様に我武者羅に逝かねぇとならねぇ存在となる! 宗右衛門 最期に一言!」 と言い康太はマイクを宗右衛門に渡した 宗右衛門はマイクを受け取ると 「己に誇る存在になれ! 自分の責務を全うする存在になれ! それこそが我が社の誉れよ!」 と言い、マイクをスタンドに戻すと後ろに下がり 社員を見渡し深々と頭を下げた それに習い会長、社長、副社長、竜胆、真贋も頭を下げた 榊原がスタンドマイクの前に立つと 「これで飛鳥井建設大集会は終わります! 皆は仕事に戻り、何時も通りの事をなさって下さい!」と告げた 社員達は公会堂を後にして、会社へと戻った 康太達は控室に戻り、会長と社長は会社へと出勤して行った 康太と榊原は烈と竜胆を連れて控室へと向かう 翔達は初等科へと向かった 康太は「どうよ?手応えは?」と問い掛けた 宗右衛門は「我関せずと謂う顔をした奴がチラホラいたから、何もなければ良いとは想うわな!」と言った 「何もなければ………って何かあるのかよ?」 「意識の差じゃな、前を向いて軌道に乗った者と、そうでない者との差じゃな……… 同じ方向を向いておらぬと、今後は弾かれる事となる 今 残ったとしても、後々はそんな感情が爆発せねばよいとは想うわな!」 康太はやはりそこへ逝くのか………と想った 竜胆も「俺等の言葉が心に響く者もいるが、そうじゃねぇ奴もいるって事だろ? 今は特に就職難だから他所へは行きたくないから取り繕う! そんな付け焼き刃な存在は今後は宗右衛門の眼の前に出たら一発でアウトとなるからな そりゃ焦るだろうし、不協和音が出て来ると想うぜ!その時に俺等はどう動くか? なんじゃねぇのかよ?」と至極全うな事を謂う 竜胆と謂う男は熱いが、冷静に物事を判断出来るし、非情に決断を下して切る事も出来る男なのだ 康太は「なら今後が勝負って事だな!」と言った 宗右衛門と竜胆は頷いた 康太は「烈、おめぇ気を付けろよ!」と言った 矢面に立つ者はどうしても狙われるからだ 「そればっかはね、わからにゃいのよ」と烈は言った 烈だとて自分の事は視えないのだから…… 強固に断行して逝けば弾かれる奴は必ずや出て来る そしてそんな奴が逆恨みでなにか仕掛けて来る事も、康太は嫌と謂う程に解っていた 源右衛門を殺したのは未だに、あの強硬策の所為だと康太は想っているのだ 自分が手を下したからだと……悔いた想いは捨てきれていないのだ

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