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第10話 校書掃塵 ❷
【魂の管理庁】入庁試験、応募規格
。身分は一切問わない
。種族も一切問わない
。入庁資格程度の知恵と知識を持ち、良識あり職務に忠実な者
。朱雀を最高責任者として仕えられる者
。入庁前には誓約書を明記し、違反したら即座に解雇を了承出来る者
魔界全域に【魂の管理庁】への入庁試験の告知がなされると、数多くの者が応募して来た
書類選考は閻魔 天照大御神 建御雷神 素盞嗚尊 大歳神 炎帝 聖神 四龍 四神と早々に告示した
そして総ての決定権は朱雀が下す!との事にした
書類選考も面接もその顔ぶれで、合格者発表まで完遂させると謂う
四鬼を始めとする鬼達が、試験会場の護衛を早々に買って出た
聖神の敷くレールの上に乗せるまでは、何人たりとて手は出させない!
そんな気迫で守り通すと早々に宣言するから、選考メンバーの面子の凄さと相まって話題となった!
魔界を上げての入庁試験はまずは書類選考から!
烈はレイと共に人の世の履歴書を見ていた
レイが「らめ!」と謂うとボードに☓を入れる
釣書が良くて迷っているのは保留に☑チェックを入れる
応募者のあまりの多さに書類選考だけでも3日は掛かり、応募者は半数まで絞られた
応募して来た者の中には他の庁舎向きなのやら、労働に適した者もいて、其れ等はその他に入れた
まずは半分に篩を掛けた者を使えるかどうか?精査する
烈は「魔界もおんみちゅな動きする奴は必要にゃのよね………」とボヤいた
炎帝は「やっぱそうだよな?オレもずっと考えていたんだよ!」と謂う
「妖精飛ばして情報を得るにょは、限界ありゅからね!」
「え?妖精飛ばして探っていてのかよ?」
「そーにゃのよ!私生活って必要にゃのよ!」
「だな、で、どうだった?」
炎帝に問われると烈は神妙な顔付きになり宗右衛門の声で
「魔界には法律が一応あるが、それは全くと言って機能はしておらぬと想わぬか?
何故ならば魔界におる者の半分が神で、それ以外は魔界に落とされた、どこにも属さぬ者だからじゃ!罪を課されない者は傍若無人となる
だからこそ、私生活を調べねば、いい顔だけして入庁したとても、働きは思う程見込めぬだろう
誰もが認める天才、だが私生活は暴君な者と
才はないが、仕事を与えれば地道にコツコツやる者、どちらを選びたい?
儂の話はその部分を言っておるのじゃ!
魔界には犯罪を取り締まる組織はない
子を山に捨てても、神が神を殺したとしても、誰にも罰されない
罪されないから好き勝手やる、取り締まられないから何をやっても自由になっておる
今の魔界はまさにそれじゃ!
だから私生活は必要となる!
仕事をさせる上で必要な項目となる!」
炎帝は言葉もなかった
青龍が法皇になった今、法の是正は必然であり義務だった
どう取り締まるかの議論を幾度しても答えは出なかった
今は無法地帯と言っても過言ではなかった
炎帝は「そりゃ才はないがコツコツ地道にやる者を選ぶだろうが!」と言った
だがそれをどう調べる?
そこへ突き当たるのだった
青龍は黙って聞いていたが「やはり法の確率は必然ですね」と言った
宗右衛門は「主は何処かで法で取り締まれば皆が法を護ると思ってはおらぬか?」と問い質した
青龍は「はい、法は必然であり絶対なのですから!」と答えた
「法は絶対の抑止力にはならぬ!
締め付ければ、不平不満を口にする者が出る
緩めれば無法地帯になる
ならば、何をすべきか?解るか?
取り締まる機関を作り、怠けておる神を生かして動かすのじゃよ!
名ばかりの神など要らぬではないか!
其の者達に頑張ってもらい魔界にいるならば謂う事を聞かせ働かせ取り締まらせる!
青龍はその上の者に目を見張っておく!
それで主が還るまでの抑止力は保てるであろう!
穀潰しな神など消えて貰うが良い!
そこまで強行で逝かねば、魔界も1000年どころか早々に暴動が起きて無秩序な世界と化す!
今 秩序が保ててるのは青龍の威厳でも高名でもない!
老体に鞭打ち建御雷神や素盞嗚尊が魔界の皆の前に立っているからだ!
儂の言いたい事は理解出来るか?
理解出来ぬならば、これ以上の話は意味を成さぬ故、終わりにしたいのだがな!」
青龍は烈の目を射抜き真摯な瞳を向けた
「宗右衛門の言っている事は良く解ります
ですが、皆が躊躇して動けなかった
私だとて手をこまねいていた訳では無い!
締め付ければ不平不満が出て、緩めれば無法地帯になる!
そんなのは法を司る私が一番良く解っています!
私はお飾りの法皇なのではない!
それを知ら示さねば…と常に悩んでおりました!
どうしたら最良なのか?
私と共に考えてはくださらぬか?宗右衛門」
「ならば試験を終えたらそれに着手するとしようかのぉ〜!
一筋縄で逝かぬを覚悟の上で、我等はその上を行かねばならない!
我等はその為におる存在なのだならな!
力がないかと言って子を捨てるのは止めさせねばならぬ、儂は魔界に来た時から思っておった
炎帝が捨てられた子を拾い学校を作ったが、それは解決策にはならぬと想っておる
勿論学校は必要じゃし、捨てる親は後を絶たぬであろう!
ならばどうするか?
それを考えて行くとしよう!
青龍、主は烈の誇りなのじゃ!
光り輝く正義として生きて逝くがよい!
それ以外の事は、下の者にやらせるのじゃよ
それも追々、話して行くとするかのぉ〜!」
青龍は「共に正して参りましょう!聖神」と謂うと
宗右衛門は笑い「我が父、我が母が目指す魔界を烈に見せねばならぬ!
儂はその手助けをする、その為に魔界へ参ったのじゃからな」と言った
そしてまた気の遠くなる作業を始めた
朱雀は烈と炎帝と青龍の話を黙って聞いていた
素盞嗚尊も建御雷神も閻魔もその話に口も挟めずに聞いていた
宗右衛門の話す言葉はどれも真髄を突いていたからだ
誰もが思い、誰もが感じて、どうしたら良いか?
悩んでいた現実なのだ
「あ~!おにゃかすいた!
もうらめよ!これ以上は無理にゃのよ!」と途端に駄々っ子になり叫んた
朱雀が烈を背負うと「飯食いに逝こうぜ!」と言い連れ出した
閻魔は「痛い所を突いて来ますね?彼は……」と言った
素盞嗚尊も「我が孫ながら、あの爺さんの時の烈は情け容赦がないではないか!」とボヤいた
大歳神は「それが宗右衛門として生きて来た歴史じゃから仕方がなかろうて!」と父を宥めた
建御雷神は「彼はあんなに厳しい神でしたか?」と殆記憶にもなかった神を思う
炎帝は「聖神は過去の人の世に堕ち、宗右衛門として生を成し幾度も幾度も転生を繰り返した
永らくの転生で彼は神経も精神もすり減らして今の原型になった
ニブルヘイムの眼が彼に安らかな時間を与えなかったってのもある
宗右衛門として飛鳥井の家で絶対的な存在になり、果へと繋げなければならぬ日々を送ってきたからな
現実を突き付けて糺すのが宗右衛門か務めだかんな、そうもなるさ!」と言った
青龍は「宗右衛門の言葉は絶対に間違いがない
私も宗右衛門には絶対的な信頼を抱いてます
その彼が謂う事に間違いはない
なので少しずつ糺して逝こうと想っています
この件が片付いたら暇を見つけて何度も来て糺して行きます!」と言った
閻魔は「我等もご飯を食べに行きませんか?」と謂うと皆食堂目掛けて走って行った
食堂にはレイも戻って来て、烈の横にいた
時々、朱雀が小さくしたお肉を運ぶとお口を開けて食べさせて貰っていた
だが烈が色の良いフルーツを差し出すと、頑としてお口を開けなかった
「レイたん 味見して」
レイはお口を閉じて首を振った
朱雀はそんな事もあるのだと、何だか嬉しくなった
朱雀は烈の前にあるフルーツを手に取ると食べた
「ん!!!!烈、これも甘さ旅に出てるわ!」
「にぎゃうり?」
「それの100倍苦い!」
「どうして旅に出るのよ!」と言い書類のダメの項目☑を入れた
烈の横にいたクロスが「お水かしら?」と口にする
烈が「にゃらレイたんのお水で水耕しゃいばいする?」と思案して言う
クロスは「一度やりますか?何処で水耕栽培やりますか?」と具体的な策を口にする
食堂では小さいのが議論を繰り広げ、朱雀は水をガバガバ飲んでいた
レイが朱雀の水を創世記の泉の水と変えると、苦味がなくなり朱雀は「ありがとうな、レイ」と礼を言った
クロスも色の良いフルーツを食べて苦さに悶絶する
レイはクロスにも創世記の泉の水を渡した
クロスは水を飲んで「レイありがとう、死にそうな苦さでした」と言った
あれこれ小さいのが話す隣の席に炎帝は座った
烈は「母しゃん!」と嬉しそうに笑う
「どうしたのよ?」
炎帝が問い掛けるとクロスが「水耕栽培を何処で作るか?考えてました!」
炎帝は「水耕栽培?閻魔の邸宅にある庭の池を使えば良いやんか!あんまし烈を遠くまで出したくねぇからな!」と謂うとクロスは「解りました!」と言った
朱雀は「水耕栽培だと甘くなるのかよ?」と問い質した
烈は「解らにゃいのよ!でもやらにゃいよりましよ!」と答えた
クロスと「トライ・アンド・エラーは成功の道へ続いてますから!」と言う
青龍は「お子様は苦いの苦手でも食べ方によっては使える事もあります!
僕が料理法考えてみます!
苦いフルーツはこれだけですか?」と問い掛けた
烈は「アルくんに積んであるにょよ!」とバツの悪い顔をして謂う
朱雀が走ってアルの背に積んだフルーツを持って来た
山の様なフルーツの山に青龍は炎帝の邸宅へと運び込んだ
そして試行錯誤して料理を作る
すると香りは良い、彩りも良い料理が出来上がった
味は………甘みが旅に出ただけあって苦味がかなりある
だが酒好きな輩には丁度良いだろう!
煮て、焼いて、揚げてして料理を作る
完成したのを食堂へ運び込むと、建御雷神は何時の間にやら酒を手にして飲み始めた
素盞嗚尊も転輪聖王も大歳神と一緒になり
「美味しいな!これは!」
「苦味がクセになるわ!」
「酒に合うではないか!」と好き勝手言って食べ始めた
青龍は「レシピを着けるので、そのフルーツ売っちゃいなさい!
黒龍、頼めますか?」と言った
黒龍はちゃっかりと食べて飲んで「了解!」と言った
烈は「育てて良いにょよ!クロス!」と言い喜んだ
クロスも「失敗だと思ってたのに…」と抱き合って泣いていた
皆は苦労して種を改良し続けた2人の苦労を垣間見た感じだった
この日は飲み始めた輩の所為で書類選考は終わりにした
青龍は烈に「少し話しませんか?」と話しかけた
「良いにょよ!」と言い烈はレイと手を繋ぎ青龍と共に、裏の炎帝の邸宅へと向かった
静かな部屋に入りリビングへと向かう
ソファーに腰を下ろすと
青龍は「率直な意見を聞かせて下さい!」と言った
烈は「何が聞きたいにょ?」と問い掛けた
「この魔界の秩序、規律、法律を確実なモノにするとしたら、どうしたらそれが出来ますか?」
「魔界には罪という概念がない
それは儂が魔界に来て嫌と謂う程に味わった事じゃよ!
罪の意識もない者達じゃから、当然上から押さえ付けるのは無理じゃろ!
でも野放しにすれば何時か暴動が起きる
嫌、もう既に暴動は起きておるじゃろ?
大きくはないが、小さいのなら日々日常茶飯事じゃろ?」
その言葉に青龍は唖然として「そこまで、ですか?」と問い質した
「あっちこっちで諍いや、権力争いなんか日々起こる
何をやっても何の罪にも問われぬから、好き勝手しておるのが現実じゃ!
神だと謂うモノも、神だからと好き勝手しておる
ここいらで一線を引かねば、手を打つ頃には取り返しのつかぬ事となる
それが解っておるから、建御雷神や素盞嗚尊は魔界の絶対で在ろうと目を光らせておるのじゃ!
多種多様な種族が増えた今こそ秩序は必要となり
罪を取り締まる組織も必要となるのじゃ!」
炎帝は「罪を取り締まる組織?
それは警察とか裁判所とかか?」と問い質した
「それに匹敵するモノじゃろ!
そろそろ是正を考えぬならば、天界、魔界、双方に怒りの雷を落とすとする!と申していたたそうじゃし、時が来ておるのじゃ!」
「…………それは誰が?」
「レイが創造神に聞いたそうじゃ!」と宗右衛門が答えた
レイは無表情な顔で炎帝と青龍を見ていた
そして「ガブリエルに用があり、あの方に出逢う機会があった時に、そう伝えろ!といわれました
嘘だと想うならば聞くと良いです!
私は創造神の愛しき子ではないので、本人からお聞きになられた方が宜しいかと?」と言った
その時天から声が降って来た
”そんな意地悪を謂うでないぞ、ニブルヘイム"
レイはつーん!とした顔をした
"困った子じゃ………ニブルヘイムが伝えたのは嘘ではない!
そろそろ曲がってしまった道を正して逝かねばならぬ時が来たと伝えてくれと申したのじゃ!
魔界は何時からそんなに曲がってしまったのじゃ?
見ていて本来の目的を忘れた世界を糺して逝かねばと想うのじゃ!
炎帝よ!お主の死命じゃ!
魔界を正しき道に導くのじゃ!
ニブルヘイム、いい加減機嫌を直さぬか?"
烈がレイの背をポンっと叩くとレイは
「直しても良いですよ!」と言った
"3日の後、天界、人界、魔界に雷を落とす
それを合図に変革の道を辿るのじゃ!
原始の書は一度きりしか使えぬのならば、地道に正しき道を逝かねばならぬ
これが最期のチャンスだとお主が申したのならば、猶予はニブルヘイムの与えたチャンスのみとなる!理解して動く事じゃ!"
と言い天界からの言葉は途絶えた
炎帝は「是正の時が来てるのか?」と呟いた
宗右衛門は「そうだ、だから儂は敢えてお主らにキツい言葉で現実を伝える事した
どの道逝くのは一つ、正しき道しかあるまいて!
ならば先に謂うのも後から謂うのも同じじゃからな!
魂の管理庁舎を作った様に犯罪を取り締まる庁舎も必要となる!
そしてそれらの罪を青龍が1人で対処するのは無理がある故、遊んでる神を篩いにかけて遺すか殲滅するか決める!
この先、生き残りを掛けねばならぬのならば、約にも立たぬ名ばかりの神など必要ないではないか!
その為にレイ………嫌ニブルヘイムが砂となり消える存在をスケープゴートして広めた
あの噂は一瞬にして駆け巡る様に妖精を動かして広めておる
素盞嗚尊のロンギヌスの槍に刺されたくなければ、動くであろう!」と言った
「宗右衛門はあの時にロンギヌスの槍が降るのを知っておいでだったのですか?」
「それは知らぬな!
ニブルヘイムはニブルヘイムの仕事をした
それだけじゃろ?
まぁ儂への私怨もあった………それは許せ………」
「ならば正しき道へはどう行ったら良いか意見を聞かせて下さい!」
青龍が言うと烈は「今日は無理よぉ、もう出にゃいのよ!」と伝えた
朝からだったから仕方ないと苦笑する
「レイたん 疲れたから帰ろうね!」と言い烈はレイと共に還って行った
アルくんに乗ろうとすると朱雀が「還るのかよ?」と声を掛けて来た
烈は頷いた
すると朱雀はレイを抱っこして馬に乗り込むと
「俺も帰るから一緒に帰ろう!」と言った
レイの馬が後を着けて走る
烈は「名前ちゅけたにょ?」と問い掛けた
「たかち!」とレイは答えた
朱雀はギョッしてレイを見た
「俺の名前かよ?」と謂うとレイは頷いた
「何でだよ?俺の事嫌いだろ?」と朱雀は問い掛けた
「きらい?ちぎゃうよ」とレイは言った
「え?嫌ってないのかよ?」
「にゃいよ!」
レイ本人から聞けて朱雀は嬉しそうに笑った
「で、何で貴史よ?」
「にゃんとなく」
「顔が似てるって言われなかっただけ良かったし!」
レイは笑っていた
兵藤も何か嬉しくなり笑っていた
屋敷に還って疲れて泥の様に熱った
魔界2日目はこうして終わった
魔界3日目
朝を食べて直ぐに魂の管理庁舎まで行き作業を見届ける!
基礎が出来ると今度は鉄で支柱を誂えて、魔界版コンクリートを流し込む
その土と砂は崑崙山近くの山で採れる鉱石入の土だった
幾ら削って取ったとしても、数日で元通りに戻る山として尊重されていた
まぁ馬鹿みたいに乱獲すれば、再生能力を超えるので二度と再生は出来ぬが、その手前までならば、何度でも再生する
その地は許された者だけが通る事を許可されていた
四鬼が新たに許可を貰い取りに行く
乱獲は出来ぬから用心して採掘を重ねる
リヤカーみたいな箱を馬の後ろに綴りつけて、毎日毎日、土と砂を貰い受けて来る
結構大変な仕事だった
板と支柱を型を取り、そこへ魔界版コンクリートを流し込む
そして固まるまで、型を作り強度を図る
文明の発達した人の世ならば、そんなに労力かけずに出来る事も、魔界ならば結構大変な作業だった
1階部分の壁の型に魔界版コンクリートを流し込むと、翌日は固まるまで休みにし
その間も四鬼は一日で許された量の土と砂を運んで用意する!
そんな皆の協力の元、【魂の管理庁舎】は着々と建って行っていた
魔界4日目は書類選考した者を呼び面接となった
面接は2日掛けてやる
皆ヘロヘロになりながらやっと面接を終える
だがまだ終わらない
面接の後、試験採用となった者を働かせて様子を見る
試験採用中は使えないと判断した者から切って行く!
かなり厳しく宗右衛門が教育をする!
小さいからと足でも引っ掛けさせようとするならば、後ろから四鬼が駆け付けて殴り飛ばして即刻クビにした
「生きてるの止めさせようか?」と鬼が怒り狂い謂う
それを表情一つ変えずに視ている烈の瞳が怖い………と言い出す者もいた
そんな事にも負けず、続けた者だけが先へと歩を進め
脱落した者は他の部署へお試しで回された
そして生き残った者に実地研修をさせる
魂は危うい存在だから最新注意を持って接さねばならない!
それが理解出来ない奴は、即座に他の部署への移動となった
そこまでで、やっと魔界で10日は経っていた
10日も経つと庁舎は半分以上出来ていた
魔界版コンクリートが絶大な性能を持ち固まるのが早く流し込んてしまえば、次の瞬間から固まり始める特性を持つからだ
三階建の建物は外壁を何かの殻みたいなキラキラした煉瓦で彩られていた
炎帝と青龍が建物の強度を確かめて、次の作業へ移行させる
文句なしの硬さと安定感だ!と謂われて、このまま完成まで突っ切るしかなかった
実地研修も脱落者も出さずに、皆勤勉に仕事をしていた
朱雀が朝礼を始めると一礼がなされ、元気な挨拶が掛かる
前とは雲泥の差に朱雀は躊躇する
2週間過ぎる頃には【魂の管理庁舎】は完成した
烈は一旦倭の国ヘ還ると謂う
人の世の時間で2週間は1ヶ月近く経つのだ!
閻魔が黄泉の泉から還るなれば、時間を巻き戻して女神に送らせる!と謂うから後2週間、烈は魔界で過ごす事にした
魂の管理庁は閻魔直轄の部署として、閻魔の決済と認可を貰わねば、魂は動かせない様にシステムを構築した
また【法務庁】なるモノも視野に入れ建立を計画する
閻魔は烈に「どうしたら円滑に方を護れますか?」と問い掛けた
宗右衛門は「人の世のシステムと同様、警察と同等の役割は必要であるし
罪を犯した者は裁かれるシステムを構築するならば、青龍1人では成り立たぬ!
評議委員を選定して、多方面から罪をどう裁くか議論して最終的に青龍の判断で罪に処す!
青龍が戻らぬ今は閻魔、黒龍、建御雷神、素盞嗚尊のどれかに任務を分散し担って貰うとする!
神が神を裁けるのか?と文句を申すなればロンギヌスの槍でまずは突き刺してみればよい!
罪を重ねた奴ならば砂と化し、罪のないモノなれば痛みさえ感じない
あれは使えるアイテムであるからな、使わぬ手はない!
そして法務庁なるものを作り
。罪を犯した者を逮捕して来る者
。事情調書を作成する者
。審議する陪審員を数名選出
。罪は総て平等で公平に下さなくては、はならない!
。そして総ての罪の採決は青龍がせねばならないれ!
不在なれは変わりの者を選出して代行させる
それらが総て起動して、しっくり動くようになれば、罪の意識も認識される事となる
それらを暇してる神にやらせる!
この魔界に暇してる者など必要ないのじゃ!
使えるモノなれば使い倒して明日を築くのじゃ!」と言った
閻魔は「成る程!」と感心する
そして現実を見据えて、宗右衛門は見事なトライアングルを描き閻魔に説明する
青龍も炎帝もその話に感心していた
そしてシステムを納得すると、次は人選だった
「今度も公募掛けますか?」と閻魔が問うと
「神のリストを持って参れ!」と言った
閻魔は側仕えに神のリストを持って来る様に言った
烈は炎帝に「一度神を集めるにょよ!」と言った
「集めてどうするのよ?」
「君たちは使えにゃいなら、明日から要りましぇん!謂うのよ!」
「ぇ!それをやるのかよ?」
「雷落ちたにょのよ!
やらにゃいと、にゃらにゃいのよ!」
烈が発破を掛ける
魔界で創造神の声を聞いた日から3日後、雷鳴が轟き雷が落ちた
雷帝の仕業かと想われたが、雷帝が知らぬ!と謂うから炎帝は「あれは創造神が怒りの雷を落とすと言ってたから、落とした雷なんだよ!」と説明し、創造神の声を伝えた
改革は必然であり
歪んだ道を正さねばならぬ!
その時が来たと創造神が謂うならば、魔界中に広めて神の啓示を伝えねばならなかった
建御雷神 素盞嗚尊 転輪聖王 が主軸となり、神を選別する!
他の者では絶対に従わないからだ!
神のリストから陪審員にする者を選出して行く
烈はその前に魔界大法廷で神々に仕事を割り振り、拒絶する者は殲滅すると伝える!と告げた
何もせずとも神と謂うだけで優遇され配当金で生活出来ている今のシステムをぶっ壊して、働かねばお金は払わない、階級方式に切り替えると謂う
働かぬ奴 努力せぬ奴は何時まで経っても基本給ので上がらない、点数方式で基本給にプラスさせる
それを拒否して魔界に居続けるなれば、それは殲滅対象となる
そして殲滅と謂うのは、この魔界にもこの地球(ほし)にも要らぬ存在として抹消する事だと告げた
「要らぬであろう?働かぬ神など!
神だとふんぞり返っている時代はとうの昔に終わっておるのじゃ!
それを示さねばならぬ!」と告げた
閻魔は「本当に殲滅されるのですか?貴方にそんな力あるのですか?」と尋ねた
宗右衛門は「ある!」と答えた
閻魔は唖然となった
聖神にそんな力があるとは……聞いていないからだ
そんな力があるのならば、此処まで強硬策に出るのも理解出来る
出来るが……あまりにも早急過ぎて頭が追い付かない
閻魔は流石に遣り過ぎでは?と烈を窘めた
烈は話にならないと解ると、何も言わずその場から出て行った
それを見ていた炎帝は重い口を開いた
「兄者 改革する気がないのなら席に着くべきじゃなかった!
遣り過ぎなんて甘い事を言うのなら、改革なんて辞めるべきなんだよ!
だから烈が会議の席から立ったんだよ!
これ以上の議論は無駄だと判断したんだよ!」と吐き捨てた
青龍も「遣り過ぎだと想われても、我等は逝かねばなりません!
創造神が改革を進め曲がった道を糺せと申すならば、誰が何と言おうとも、我等は足を止めるべきではない!
足を止めた時点で改革は遅れ、取り返しの付かない事態へと落下して行く
それが解らぬのなら、これ以上の会話事態無駄だと宗右衛門は判断されたのです!
我等もこれ以上の議論は無駄な様なので、帰ります!」と言い席を立ち上がった
閻魔は「待って!これだけ答えてくれないか?」と言った
炎帝は「聖神の力の事か?神を抹殺出来る力があるか?って事か?」と尋ねた
閻魔は「そうだ、我等は聖神にそんな力があるなんて事知らない………」と訴えた
「聖神は前の聖神とは違うと謂わなかったか?
ニブルヘイムの眼を貰ったってのもあるけどな
努力の人なんだよ聖神は!
彼は常に先を見て身を粉にして人の為に動く
そんな聖神を気に入って賢者ラルゴは自分の弟子にした!
星詠みは今や烈の右に出る者はいない!
そして賢者、八賢人、婆婆から色んな知識を教えられた烈なれば、神を抹殺するのも容易い事だと言っておこう!
彼は力を振り翳す為に力は使わない
統制と規律を重んじる為には必要な血だと想った瞬間、効果を持って征する為に力を使う!
兄者は素盞嗚尊が魔界一の術者だったのを忘れたのか?
烈は呪術に長けて息をする様に呪術を使う事も出来るんだって事を!
聖神は素盞嗚尊の孫なんだぜ、その力は継承されているって何故想わない?」
と吐き捨てた
そして炎帝は青龍と共に出て行ってしまった
閻魔は言葉もなかった
建御雷神は「逝かねばならぬのは、解るか?倅よ?」と問い質した
「解っています……ですが、謂うことを聞かぬ神を総て殲滅してしまうって謂うのは早急なのでは………と感じたのです」
素盞嗚尊は「あやつは、皆殺しをする訳では無い
魔界にいるならば安気して過ごすな!と言っておるのじゃ!
そして効果的なれば血を流すのは厭わない
それが自分の血だとしても、烈は傷付き血を流してもそれを成し遂げる!
今の魔界は常に小さな諍いや反乱ならば起こっておる!
直ぐに儂らが駆け付けたり、金龍や黒龍が駆け付けるから大事にはなってはいない
じゃが年々その数は増えて凶悪に磨きが掛かりつつある
それを創造神は危惧して炎帝に伝えて参ったのじゃろう!
ならば血を流したとしても、進まねばならぬ道なのだろう!
儂等も覚悟が必要と謂う事なのじゃろう
炎帝は良く言っておった
飛鳥井烈が動く時、それはオレの台風よりも遥かにデカく総てを掻き回して膿を出す!
血を吐き倒れてその生命途絶える事となったとしても、烈の動きは止まらない!
と怪我を心配していた儂にそう言った
その烈が動き出したのじゃ!
動けと言った閻魔が尻込みしておっては埒が開かぬ!解るか閻魔、変革期なのだと!」
皆の言葉を聞いていた閻魔が、己を反省して
「解っていたのですが………怖かったのもあります
この先どうなるのか?不安で仕方がなかった
そして烈の瞳がそんな私を責めてるようで怖かったのもあります!
烈に謝罪して来ます!」
そう言い立ち上がると、烈の居場所を食堂にいた朱雀に問い掛けた
「烈?知らねぇな、見てねぇから解らねぇよ」
と謂う朱雀に全てを話した
朱雀は「なら掴まらねぇかもな、烈は炎帝が育てている子供なだけあって似てるんだよ!
魂を受け継いだだけあって似たもの親子なんだ
そんな時の烈は気配を詠み上手く姿を消しちまう!下手したら人の世でした!なんて話も有り得るんだよ!」と伝えた
閻魔は唖然となり
「1人では人の世に還れないのでは?」と呟いた
朱雀は「アイツを誰の子だと想っているんだよ
大歳神は倅に甘いし、大歳神の飲み仲間の毘沙門天も烈には甘いからな、還ると謂えば連れ帰ちまうんだよ!」とボヤいた
閻魔は「還ったりしてませんよね?」と呟く
朱雀は「今回は俺の為に魔界に来たんだから、それが片付いたら魔界にいる用ねぇからな!」と追い打ちを掛ける
炎帝は「そこまでにしといてやれよ!朱雀」と助け舟を出した
閻魔は「炎帝……」と名を呼んだ
炎帝は青龍を見て「烈、何処にいるんだろ?」と呟いた
すると食堂でご飯を食べていたクロスが
「烈なら農業区画に行ってますよ」と伝えた
「何をしに?それに農業区画って何処よ?
んなのはオレは知らねぇんだけど?」
炎帝がボヤくと朱雀が「なら俺が連れてってやるよ!クロスはどうするのよ?」と問い掛けた
クロスは「ボクは此処でハーブティーを飲んで休憩中なので、朱雀お願いします!」と謂う
食事を終えると朱雀は立ち上がり「逝くぜ!」と言った
閻魔はその後に着いて行った
炎帝と青龍も心配で着いて行く事にした
閻魔の邸宅の横の厩舎に向かい、愛馬を連れ出し背に乗ると走り出した
アルくんとタカシがいなから烈とレイがお出掛け中なのが解る
農業区画は魔界の外れに在った
ミネルヴァの森の近くに広大な敷地を利用して作物が植えられていた
作業員が烈とレイと仲良く話をしていた
閻魔と朱雀と炎帝と青龍はそれを空から見ていた
すると烈がレイを背に隠した
炎帝は何が起きた?と思っていたら神が物凄いスピードで烈に近付き胸倉を掴み
「何様だ!我等に働かせようとしたり、殲滅させるなんて巫山戯た事をぬかしやがって!
魔界は今 働かない神を殲滅するとの話題で恐怖に満ちてる!
それを引き起こしてるのは聖神、お前だってな!」
烈は顔色一つ変えすに神という男を視た
「働かぬ者食うべからず!
お主は魔界の為に動かれたのか?
名ばかりの神は動きもせず己の存在ばかり主張していかんな!
能書き垂れるならば、働かれよ!
魔界の為に、骨身を惜しまずに働け!」と一蹴した!
四鬼が男から烈を引き剝がすと、天高く放り投げた!
四鬼の1人が「本当に愚かな者は跡を絶たぬな!」と文句を謂う
宗右衛門は笑って「あぁ謂う愚か者はまた来るからな、今度はもっと人気の多い所で………スケープゴートにして消えて貰おうかのぉ!
空から見てる閻魔よ、あぁ謂う愚かな輩が利権を剥奪されるのを恐れて日々儂を殺しに参るのじゃ!
そろそろカタを着けて貰わねば、儂は怪我して人の世に還れはせぬからな、止めて欲しいのじゃよ!」と吐き捨てた
朱雀が烈の背に顔を埋めているレイを持ち上げた
呪文唱えてないかと確かめる為だった
レイは頬を虫に刺されて赤くして泣いていた
朱雀は「どうしたんだよ?頬!」と問い掛けた
烈が「レイたん虫に刺されたにょよ!」と言った
良く見れば、畑には虫がブンブン飛んでいた
レイは「いちゃい…………」と泣いていた
炎帝は「この虫何なんだよ?昔はこんな虫いなかったよな?」と問い掛けた
閻魔が「世界樹から陽の光が入るようになり、魔界は生物の活動が盛んになりました
それは生物ばかりではなく、動物や獣もそれはそれは増殖して定期的に狩って数の調整をしなければならなくなりました
それに伴い虫も魔界では出て来て、烈考案の虫取り線香が馬鹿売れしています
この畑の虫も、それを焚いて減らしてはいるのですが、危ないのでレイは畑に行くのはダメだと言っていたのですが……」と説明する
朱雀は烈に「お前は刺されてねぇのかよ?」と謂うとパンパンに腫れた腕を見せた
朱雀は「本当にウザいなお前達!」と言いブンブン煩い虫を一瞬にして焼き殺した
作物には触れさせず、地上に飛び続ける虫を広範囲で狙い焼き殺す
高度な技術を見せられて烈は「凄いにょ!兵藤きゅん!」と感激していた
閻魔は烈の前に立つと深々と頭を下げた
「済まなかった聖神!
頭では改革は理解していた、だがいざ実行するとなると、さっきのような愚かな輩が出たりしないか?心配だった
もう既に出ているならばら君達の命をは何としてでも護ると誓うよ! そして改革に力を貸してくれないか?」と言った
だが烈は閻魔の話を聞いてなかった
「虫、焼けば、ちぬのは大発見ね!四鬼!」と喜んていた
四鬼も「ならば定期的に焼いて減らします!」と飛び上がって喜びを分かち合っていた
朱雀は「手当しねぇで大丈夫なのかよ?」と問い掛ける
烈は「大丈びよ!兵藤きゅん レイの手当してやって!」と言った
閻魔は「烈………」と名を呼んだ
すると烈は閻魔を視た
その眼は炎帝の眼とは違う、もっと深くまで暴かれそうで恐怖を抱かせる
だが閻魔は怯む事なく烈を見た
「何?えんま?ボクね腕がいちゃいにょね」とパンパンの手を見せた
「それは後で手当をさせるので少し話しませんか?」
「良いにょよ!兵藤きゅん レイたんお願いね!」
と言い烈は歩き出した
そして閻魔と共に行ってしまった
青龍はポケットから薬を取り出すと、朱雀からレイを渡してもらい、頬を触り針が残ってないか確かめた
そして針がないのを確かめた後傷口を綺麗に拭いて薬を塗った
閻魔は烈を近くの閻魔庁へと連れて行き、閻魔の執務室へと共に向かった
途中て司録が烈を見掛け駆け寄り「烈!」と声を掛けた
「しろきゅ!元気らった?」
「元気だぞ、お前は足治ったのかよ?」
「うん!母しゃんに治して貰ったにょよ!」
「………閻魔と連れ立ってどうした?」
「しろきゅも来る?」
「よし!俺も同席しよう!」と言い付いて来る
執務室のドアを開けると、閻魔が入り烈と司録も入った
執務室のソファーに座ると閻魔は「貴方の考えをお聞かせ下さい!」と言った
宗右衛門の声で「儂はな閻魔、魔界がどうしよもなく歪んでおると人の世に堕とされる前から感じていたのじゃ!
天界の天使は誰が裁く?
魔界の魔族は誰が裁く?
人は人によって裁かれる、じゃが天界も魔界も誰も裁くシステムが出来ておらん!
無法地帯は堕落を招き、利益を得ようとした者が特権を駆使して富を得ようとする
まぁそれは悪い事ではないが、もしもその富は奪ったモノだとしたら?
裁かれないから罪の意識もなく、のうのうと成り代わって暮らし始める
それが現状だ………わしは転生して魔界へ逝く事を許され目にした魔界が全く変わってなくて笑った!人の悲しみも絶望も吸い込んで尚も平然としている奴等を目にして………それが魔界なのだと理解した
じゃが、一度創造神と話す機会があり話をした
儂が常日頃から想っておる事を口にしたら、創造神もずっと感じていて蒼い地球(ほし)を消そうかと想っていたと言っていた
炎帝が成し遂げようとする道をお主も助けて行くがいい!と謂われ、魔界を変える為にクロスと日々魔界の食を担うため尽くして来た………
そして想うのじゃ………安穏とした日々は必要か?と。安穏とした日々は必要じゃが、神々が安穏としら、それは終わりではないか?と自問自答した
答えなんて何万年前から出てなどいない!
儂だとて敵意を向けられれば怯むし、怪我だってして血を流す………そして今は小さい!」
そう一気に言い一息着く
司録が烈にお茶を淹れると、それに口を付けて飲んだ
閻魔は黙って宗右衛門の謂う事を聞いていた
「人は人が裁き刑に処す
だけど魔界も天界もそんなシステムすらない
魔族は魔族の手により裁かねばならない!
そう謂う事なんですね?宗右衛門殿」
「そうじゃ!じゃから裁く方は痛みを知る者を陪審員に置かねばならぬ!
そして皆に仕事を振り分け働かせるのじゃ!
人はそうして糧を得て生きている
魔族もそうして罪を意識して日々生活させる
力がなく生まれて来たから捨てて野獣の餌にする親は極刑にせねばならぬ!
親殺し 子殺し パートナー殺し、殺しは命で持って償わねばならぬ!
それをやらねば、魔界は創造神の雷で跡形もなく消し去られるだろう!
創造神!お主は炎帝とかニブルヘイムとか創世記の神の前にしか声を聞かせないから、こんなにも信じられておらんのじゃぞ!」
と怒ると天から
"そう怒るでない聖神
閻魔、悠長な事は言ってはおられぬのじゃよ
ニブルヘイムが稼いだ時間は5年
その前に確実に何かをやるつもりじゃ!
だからこそ、結束 絆 絶対の信頼で繋がねばならぬ!
解ったな、閻魔!絶対に成し遂げるのじゃぞ!"
と声がして閻魔は唖然となり、その声を聞いた
司録は黙って聞いていて理解した
そして「烈が朱雀の為に魂の管理庁なるモノを作ったのは、その第一歩なのか?」と問い掛けた
「そうじゃな、魂は正しく管理されねばならぬ
儂は消されかけた……冥府の闇に落とされ消滅するかと想った…………儂は奇跡が怒り魂は救われ転生を果たせた
じゃがそんな奇跡はそうそう起こったりする事こそが稀じゃから奇跡と呼ぶのじゃ!
魂は完璧な施設で管理をせねはならぬ!
それが第一歩となり、魂は受け継がれ護られた世界から人の世に産まれて逝く
悪意や匙加減を加えて管理して良い世界ではないのじゃ!」
「それって今魔界で噂されている神々を働かせ、働かない神達は殲滅されるって噂のか?」
「そうじゃよ!要らんだろうが、仕事もせぬ神など!」
こうもキッパリ謂われたら言葉もなかった
「烈よ、強引な改革は不安を招く
そして不安に踊らされた輩はどう動くか解らねぇから怖いんだ!解ってるか?」
「解っておるよ司録!
じゃがなニブルヘイムが与えた猶予は5年
5年の間に魔界も天界も変わらねば、この地球(ほし)は終わる………悠長な事を言ってられる時間などないのじゃよ!」
「5年………それってなんだよ?」
「閻魔、これ機会に魔界中に総てを話されよ!
知らずに殲滅されて逝くのは嫌ならば立ち上がらねばならぬのじゃ!」
閻魔は苦渋を浮かべて「暴動が起きませんかね?」と危惧して言う
「炎帝や青龍がおる今ならば多少の暴動起きたとしても、すぐに鎮めるであろう!
だから【今】なのじゃよ!閻魔!」
烈は司録に全てを話した
司録は言葉もなく唖然としていた
「急ぐのは理由がある、それを伝えて今こそ一致団結する時が来たのじゃ!
儂は今日は出られぬ故、帰るとするかのぉ!」
と言い烈は立ち上がるとスタスタ歩き出した
閻魔は覚悟を決めねば………と一瞬烈を見失った
即座に後を追い護衛を配置する様に言う
烈は歩く度に突き刺さる視線を感じていた
そしてそれを射抜く様に見ると、皆わらわらと去って行く
そんな中 やはり不満を持つ輩は何処にでもいて、突っ掛かって来るのだった
司録が物凄いスピードで追い掛けて来て、そんな輩から烈を護る!
「おめぇ護衛も着けずに歩くなよ!」と司録がボヤく
「えんまと来たから……」
「兎に角一人になるなよ!」
烈は頷いた
烈に突っ掛かって来た輩は仕方なく後退り逃げて行った
司録は素盞嗚尊の家まで烈を送り届けた
閻魔は覚悟を決め、夜には皆に一斉に真実を伝えると決めた
閻魔は家に帰り、その事を建御雷神と天照大御神にその事を告げると
建御雷神は「それしかないのならば、話して絶対の絆を結ばねばなるまいて!」と言った
天照大御神は何も謂わなかった
そして「我は烈を見て来るとするかのぉ!」と言いその場を離れた
母の言葉で誰よりも烈が傷付きそれでも果てへと向かって歩き出していると気付いた
閻魔は後に引けぬ覚悟を噛み締めた
天照大御神は素盞嗚尊の家まで向かった
家の中に入ると烈がソファーの上で寝ていた
相当疲れたのだろう……烈は体はまだ小さき子なのだから………
天照大御神は烈を抱き上げると、膝の上に乗せて頭を撫でた
そこへ素盞嗚尊が帰って来て唖然としていた
「姉者………姉者が儂の家に来るとは……」
天照大御神は優しい笑みを浮かべて
「誰よりも頑張っておる子を労わねばならぬ故、参ったのじゃ!
この子はお前の孫ですね……この子の中には不屈の闘志 不屈の精神が垣間見える
天魔戦争で前線で闘って来たお前の様に、常に戦地に身を置き闘っておる……」
「姉者……儂は倅も孫も……穏やかに過ごされるならば……と願って参った
じゃが、まだ小さいのに怪我してばかりで……儂はハラハラ心配のさせられ通しじゃわ」とボヤいた
天照大御神は笑って「主らは似たもの親子と魔界じゃ有名だからのぉ!」と言った
「姉者、本当の目的は何ですか?」
「閻魔が魔界全土に真実を告げるそうじゃ」
「!!!………全てを話されると申すのか?」
「そうじゃ、もう悠長なことはしておられぬと申す以上はやらねばな、閻魔も示しが付かぬのであろうて!」
「衝撃を受けるでしょうな」
「それでもね、逝くと謂うならば、道はそれしかないのじゃ!
素盞嗚尊、我が弟よ!閻魔の傍で見届けられよ!」
「解りました!姉者!
烈が起きましたら倅と共に参ります!」
天照大御神は烈を素盞嗚尊に渡すと、スーッと足音も立てずに出て行った
素盞嗚尊は烈を寝かせると、ソファーにドサッと座り「倅を呼ばねば……」と呟いた
すると奥の部屋から「親父殿呼んだか?」と出て来た
「お主一旦人の世に帰ったのではないか?」
「呼ばれたんだよ!毘沙門天に!」
「何故じゃ?」
「十二支天が揃うらしくてな、お主も呼ばれるから早くから来い!」と謂われたんだよ
「閻魔が総て話すそうじゃ………」
「!!………そりゃあ暴動の一つや2つあるわいな!
ならば儂のマカサリで投げ飛ばして、ぶっ飛ばしてやるわ!」と息巻いていた
本当に儂の倅か?これは?
儂……こんなに熱血じゃっだろうか?
烈は目を醒ますと「ご飯?」と謂う
本当に儂の孫じゃろうか?
こんなに呑気でお人好しなのに、爺さんの声の方は冷酷で眉一つ動かす事なく断つ!
儂……何処で間違えた??
呑気にそんな事を考えている自分に笑いが溢れる
何処をどう見ても親と孫にしか見えない!
と謂われて嬉しい
素盞嗚尊は烈を抱き上げた
「儂の命を賭けてお主には傷一つ付けぬよ!」
と言った
烈は嬉しそうに笑って腕をポリポリかいていた
よく見ると腫れてブツブツだった
素盞嗚尊は「これはどうしたのじゃ!」と慌てた
大歳神は「親父殿落ち着け!」と言い、ムヒをこっそり取り出すと烈に塗った
「魔界の蚊とも蜂とも言えぬからな、これで効くか解らぬがな!」と謂う
「痒いのはにゃくなったのよ!」
「後は腫れか、魔界も薬必要だな!」とボヤいた
素盞嗚尊は「ならば医療庁なるモノを作らせねばな!」と言った
「じぃしゃん!やるにょよ!」
「だな、発展していく魔界じゃからな
今までの様では行かぬ事も増えて来るじゃろうて!」
早目にご飯を食べて、支度をして閻魔の邸宅まで向かう
閻魔は正装をしていた
その後ろの炎帝と青龍と正装をしていた
青龍は烈の腕を取りまだ腫れてるのを見て
「こっそりムヒ取りに行きますかね?」とボヤいた
「それね、父者が持って来てくれたにょよ!」とコッソリ謂う
大歳神は「虫に刺されたと毘沙門天が申してたからな……」と謂う
青龍は笑って「内緒ですよ!大歳神」と謂うと
大歳神は「無論じゃ!」と言った
閻魔は「聖神がスピーカーなるモノを妖精や賢者達と試行錯誤して作り上げてくれたので、広間でマイクと謂う前で話すので、姿を見たい者は広間で出て来て、他の者はスピーカーで聞くと謂う方式も取れる様になったから楽になっているのですよ!」と伝えた
炎帝は「どうやってスピーカー作ったのよ?」と問い掛けた
烈は試行錯誤した話しを始めた
そして一番苦労したのが建御雷神だと言った
主要なのは声の振動を伝える部分だから、だ
建御雷神に雷を全開で太陽石に放出して貰い……と長くなるから「解った、苦労したんだな」と止めた
建御雷神は「儂は一生分の雷を使ったわい!」とボヤいた
閻魔はマイクに向かい歩き出した
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