11 / 100

第11話 真実告知 〜改革の日々〜

閻魔はマイクの前に立つとマイクのスピーカーを背中に着けた怪鳥が一斉に羽ばたき天高く飛び方方へ散っていった テストは重ねて準備万端となっている 閻魔は深呼吸すると 「これれより一時間の後、今魔界や天界で、直面している真実を話します 今回の聖神の強硬策はその一環だと謂う事も話す 直接聞きたい者は広場へ来て聞くと良い 来れない者は必ず私の話を聞きなさい! それでは一時間後、広場で!」と話し皆に周知させることを告げた 世界樹のある広間はあっという間に魔族が棲む者が集まり始めていて、皆不安に思っていた事が解る 1時間も経つと世界樹の前の広間は物凄い魔族が集まりごった返していた 怪鳥に背負わせたスピーカーが功を奏した様で、烈と黒龍はホッと息を吐いた クロスは朱雀の胸ポケットに入ってその時を待っていた 烈も朱雀の横にいると、炎帝が呼びに来た 「聖神、お前正装して叔父貴の横に立て!」と謂う 「せいそう?ボク掃除するにょ?」 想わず炎帝は頭痛を感じた 朱雀が「違うって、ちゃんと魔界の服を着て立てと謂うんだよ!」と教えた 「ボク、着替にゃいから、何時も洗ってるにょよ!」 朱雀は腹を抱えて笑った 青龍がやって来て「素盞嗚殿がちゃんと作って下さってるから、着替えましょうね!」と言い烈を連れて行った 控室にした建物には大歳神も着替え中だった 素盞嗚尊の色を使えるのは一族の者だけに許された色だった 烈はその服の色を見て嫌な顔をした 自分は魔界にいる時、その色の服を着るのを許されなかった お前は永久に着れる機会なんかない! そう言われ虐げ続けられ日々が一瞬で想い出されてしまう……… 吐きそうになり、震える手で烈は青龍の服を引っ張った 「……着れませんか?」 烈は頷いた 心の傷は案外平気そうな顔をしていても、根深いのだと察する 大歳神がそんな事もあろうと違う色の服を出し 「これならどうだ?倅よ!」と問い掛けた 烈はコクっと頷いた 大歳神が出したのは真っ白な燕尾服の様な作りの服だった 良く見れば大歳神も同じ服を着ていた そしてどう謂う訳か素盞嗚尊も真っ白な燕尾服の様な服を着ていた 素盞嗚尊自ら烈に服を着せて行く 大歳神はレイにも烈と同じ白い燕尾服に似た服を着せた 大歳神はピョンピョン跳ねてる烈の髪を櫛でといた だが次の瞬間飛んで謂う事を効かなかった 諦めてそのまま広場へと向かう 紅蓮の燕尾服と蒼い燕尾服を着た青龍が広間のマイクの前に立つ 時間が来ると「此れより閻魔の話があります!」と告げた ざわざわ騒いでいたがピタッと話すのを止め、水を打った様に静かになった 「それで話しましょう! 今魔界が、天界が、この地球(ほし)が直面している現状を伝えて皆で協力して乗り越えねばなりならぬ事を理解して貰う為に! この蒼い地球(ほし)は今、ラストチャンスしか遺されていません! 猶予期間は多く見積もって5年! 蒼い地球(ほし)を殲滅させようとしている者は、テスカトリポカ、神とも悪魔とも謂われる創世記以降の神です! この銀河系宇宙には七色の輝く地球(ほし)が創世記に創られ、同じ様に生活をしていたそうです ですが今は、七色の輝く地球(ほし)は蒼いこの地球(ほし)のみ! テスカトリポカは人の心に闇を植え付け破滅へと誘導して気付いたら跡形もなく消えて無くなっていた、そうです まさにこの地球(ほし)は後5年のうちに頑張らねば、その後を辿るしかない道しか残されてはいない ニブルヘイムが創世記の泉の水を創造神に頼み降らせて黒い涙を流したのは少し前の事 その時魔界も多くの者が黒い涙を流しました 私はその光景を見て魔界はこんなにも闇に侵食されていたのだと恐怖を抱きました 破滅の道を辿りたい者はこの魔界から今すぐに出て行きなさい! でなくば、働かない神など邪魔にしかならぬ故、仕事を割り振り働かせます! ダラダラと過ごしている魔界の住民達も今後変わっていく魔界の邪魔にしかならぬのらば、出て行きなさい! 我等は破滅を迎えるか、抵抗して魔界や人を護って生きて行くか、その二択しか用意されていない! そして期限は5年! 聖神が魔界の生活を変えようと野菜を作ったり、怪鳥や獣の肉を如何にして美味しく食せる様にと創意と工夫と改良を重ねているのは、5年先、我等は生き残った時暮らして行かねばならぬ現実に直面ふる、その時の為に寝る間を惜しんで魔界の為に行っておる行動だ! 彼の総ては魔界の為、それしかない そして今回働かない神達を動かして魔界の住民も巻き込んで無理矢理でも行こうとしているのは、魔界がそうせねば生き残れないと踏んだからでなのです! 創造神は魔界と天界に大きな怒りの雷を落とした それを皮切りに、己の逝く道を選択しろと、現実を突き付けて来た 魔界に遊べる時間などない! これ以降は炎帝、青龍、聖神、朱雀達を筆頭に龍族、神属達をフル活動させて逝く所存です なので反感を抱いている者 従う気がない者は今直ぐ魔界を去りなさい! 残ったからには、従うと見做し、働いて貰います!働かざる者食うべからず!の精神で逝かねばならぬ現状を知りなさい! 私からは以上です!」 そう言い閻魔は後ろに下がった 炎帝がマイクの前に立つと 「閻魔が話した事は総て事実だ! 聖神が無謀な改革を実行しようと考えてい、聖神に危害を加えようとした奴、考えを改められよ! 聖神は誰よりも魔界の住民の為を想い日々野菜の開発に力を注ぎ、より良い魔界を築こうとされているのだ! その為だけにオレが創造神に頼み転生を果たして貰った神なのだ! 前の様に見下して当たり前だと思ってる奴、そんな奴はこの魔界から出て行き野垂れ死ねよ! 魔界にいるならば、全員に仕事を割り振り仕事をさせる そして魔界に絶対の法律を作り上げて、それを制定する! それは法皇であられる青龍が伝えてくれる事となる!」 と言い後ろに下がった 青龍はマイクの前に立つと 「この魔界には法律があると言っても誰も護る事ない、法律と化してしまっていました、 なので大々的に魔界で生きる者達に法を授けて、法を護り、それに従って生きて貰います それが嫌だと申す者は今直ぐ魔界から追放してあげますので申し出なさい! 甘い事など言っていられぬ状況なのは閻魔の話で理解出来たと謂うのならば、変わりゆく魔界を受け入れなさい 今後は皆にその法を白日元に公表して護って貰う様に罪を取り締まる者、そして罪を犯した者を裁く陪審員を制定して議論を重ねて地獄に落とす事にします 地獄に堕ちるのは人だけでは非ず! 神だと威張っていた輩も罪を犯せば、地獄に堕ちる事となると理解なさい! 親殺し、子殺し、肉親殺しは極刑に化します! 力がないからと言って獣に食わせていた愚かな輩は今後は極刑に処される事となるのです! その他にもレイプや窃盗、法の定義に基づいて憲法を制定して、それを周知に広める事となる! 魔界で生きて行くのならば、最低限の法は必要となる!此処は無法地帯なのではない! それを示して逝かねばならぬのですから! 私からも以上です!」 と言い、後ろに下がった 閻魔はマイクを烈の前に置いた レイが烈の手をギューッと握り締める 烈の肩に妖精のクロスが飛んで行くと、烈は覚悟を決めた 宗右衛門の声で話し始めた 「儂は魔界で生きる者の為に日々クロスと共に農産物の開発に携わって来た それはより豊かに通年通して食べられる食物を確保をせねば、魔界は獣の乱獲や山の根まで食べ尽くし、後5年もしない内に食料が尽きると思ったからじゃ! 炎帝もそれを危惧して、通年通して食べれる野菜を開発させ市場を潤した じゃが愚かな輩は懲りると謂う事を知らぬ! 暴動は各地で起きて、その内取り返しがつかない事が起きぬかと危惧してクロス殿と共に野菜の開発、獣の肉を如何にして美味しく食べられるか?を工夫して参った そして世界樹の樹が転生して来た今も、遣われずに薄暗い魔界なのにも驚いた ニブルヘイムは儂に教えてくれた 世界樹は闇を流す様に光も流し魔界をきっと照らしてくれるでしょう………と。 じゃから儂はガブリエルに本来の使われ方を説明し、理解して貰い世界樹の樹に恵みの光を集めて流してもらい、太陽の光を光を集めて冥府の地下まで流す方法を取って魔界を照らして貰った それにより、更に野菜や獣の活動は活発になり、野菜は更に成長速度を早め、獣は数を増やし一定数増えたら狩りに出て獣を倒せば獣と引き換えにお金を稼げる方法を取り、力がある者はそうして糧を得て生きて行ける様になった じゃが、魔界は何も変わってはおらぬ 神と謂うだけで何もせず、崇め奉る生活をしている者や富を得てその富を自分の為だけに使う者 本当に変わらず自分勝手で愚かで滅んでしまえと思わずにいられぬ程、大嫌いで…………我が祖父が生きる魔界が大好きなのじゃ! だからこそ、変わらねばならぬ! 創造神はこれで変わらぬのならば、新しく七色に輝く地球(ほし)を創り上げ、始めた方が楽だと仰られた 確かに、そんな無駄な努力ならばしたくはない じゃが、それで滅んでしまって良いのか?と尋ねられれば、儂は嫌じゃと申そう! 我が父が還る魔界を、儂が還る魔界を、そんなに簡単には滅びさせたりはしない! さぁ魔界の者達を考えられよ! 滅ぶか?、生き残るか?を。 答えは自分しか出せぬ! 出したのならば歩き出すがよい! 止まることなく歩き出すがよい! 我等は共に生き残るか事を誓った者達と果てへと逝く! じゃから不平不満を抱いている者は魔界の外で暮らされよ! 新たに自分達で世界を作るのもよい! 魔界に遺るならば、法で護られた魔界は規律と礼節を重んじて、相手を尊び生きねばならぬ! 我等は明日へと生きる為に改革と謂う名の元に集められたのじゃ! 人の世を護る為に我等は何があっても折れてはならぬ! それが魔界で生きる死命なのじゃからな! 儂からは以上じゃ!」 と言い後ろに下がった! 素盞嗚尊がにこやかな顔でマイクの前に立つ そんな顔は見た事もなく、魔界の者は皆驚いていた 「素盞嗚尊じゃ!  儂は倅が還って来る魔界を護ると決めたのじゃ! 孫が還って来る魔界を何としてても変えると決めたのじゃ! 儂等は天使と闘い無駄な殺生を繰り返す事はならぬ刻まねばならぬ、 本来ならば天魔戦争の後に法は制定されるべきであった! 無駄な殺生が繰り返され、血で染まった魔界を更に血で染めるのは辞めるとしようぞ! 儂等が作る魔界には法律を規律も確かにある世界にせねばならぬ! 傍若無人な行いこそ、正されねばならぬ! それをして来なかったツケを此処で払わねば、未来は途切れる 創造神は閻魔の前で謂われたそうじゃ! 儂から倅や孫が還って来る魔界を取り上げないでくれ! 友よ!共に生きた友よ! 我等の命が尽きるまで、共に闘って行くと誓った友よ! この先も儂と共に死んでくれ!」 素盞嗚尊は建御雷神と転輪聖王の方を見て、そう言った 建御雷神と転輪聖王は素盞嗚尊の横に立つと 「「友よ!」」と言った 建御雷神は「共に逝こうぞ!聖王、素盞嗚!」と謂うと転輪聖王も 「あぁ、共に逝こうぞ!我が友よ!」と言った 素盞嗚尊は「魔界は不滅じゃ!不屈の闘志 不屈の精神を受け継ぎし我が子と孫がおる限り、我等は共に魔界を護る!」と宣言した 建御雷神も「あぁ我が息子閻魔と炎帝が統治すべき魔界をこんな所で潰してたまるか!」と宣言する 転輪聖王は「ニブルヘイム、君も聖神の為に共に逝って下さるのですよね!」と謂うとレイはコクッと頷いた 魔界の皆はニブルヘイムがこんなに小さな子だとは想っていなくて唖然としてレイを見た そして呪文を唱えると世界樹から雨が降り注いだ 霧状になって雨が降り注ぎ、魔界の者は一瞬で雨に濡れた 「創世記の泉より創世記の盃の雨を降らせました この雨に濡れた者は契約を結びし事となる 逆らえば…………その体は砂と化し消えるでしょう 貴方達は閻魔の話を聞いた そして炎帝 青龍 聖神 素盞嗚尊 建御雷神 転輪聖王の話を聞いた 逃げ出す事なく聞いたと謂う事は果てへと向かう事を決めたのでしょう? ならば此処で契らねばニブルヘイムの名が廃ります! 私の齎す雨は闇を流すだけではない! 約束を契ると謂う事は破る者に等価の罰を与える事となる! それが創世記の泉より降らせる創世記の盃でもあるのです! 素盞嗚尊、ロンギヌスの槍を掲げなさい! その槍が魔界の今後を照らして曲がらずに逝く事となるでしょう!」 と謂うと黙って後は何も謂わなくなった クロスは朱雀にマイクの前に手を差し出してもらうと「小妖精の王子クロスです!この魔界は滅んだりしない!何故ならば、やっと魔界の空に虹色の妖精達が飛び始め魔界を彩り始めたばかりだからです! ヴォルクの意志を受け継ぎ、我々は派生した妖精ですから、ヴォルクの意思半ばでこの繋いだ道を終わらせる訳には逝かないのです! 法は必要です、僕らの様な小さい者が握り潰されて殺されても、それは当たり前のような意識が僕は怖い 僕ら妖精だって生きてるんですよ? それが解らない貴方達が僕ら妖精は怖いです! 共存出ないなら僕らは魔界から出て逝かねばならない だけど、僕は魔界が好きだから聖神と共に皆が食べる野菜や美味しいお肉の食べ方を考案して来ました! 皆 僕らも魔界が大好きなのです ですから皆で魔界を護って行きましょうよ!」と謂うと歓声が湧き上がった 世界樹の樹からは霧状の雨が降り注ぎ、綺麗な虹を作り出していた 羽の生えた妖精達が雨水に当たりたくてよって来る キラキラと雨で虹色に光り、妖精の羽がホログラムの様に反射してそれは綺麗な光景だった その雨は天界も濡らし、人の世もお天気雨にさせ、魔界も濡らした そして冥府も濡らして地下へと流れて行く 皇帝閻魔はその珍しい雨に打たれて笑っていた 創世記から冥府の地下で一人で闇を循環していたニブルヘイムが今、誰かの横で笑っていられるならば……そう想い優しい雨に打たれ笑っていた 「君が今………笑っていられて本当に良かったです」と天を仰ぎ皇帝閻魔は呟いた 冥府の闇を浄化していく 冥府はこの前雨に打たれて浄化された時から、随分と綺麗に研ぎ澄まされた空間が出来ていた そして何より世界樹から送られて来る恵みの光と太陽の光は、冥府を照らして明るくさせていた 冥府の空間に人工物でない、時が刻まれる 不思議な感覚だった そんな親父殿の想いを知って可知らずか、湧き上がる歓声に炎帝は 「創世記の盃の意味を知れば、笑ってなんかいられねぇだろうによぉ!」とボソッとボヤいた 青龍は「そこは黙ってなさい、身を以て知れば良いだけの事です!」と言った 素盞嗚尊が【共に在れ!皆よ!】とロンギヌスの槍を掲げて檄を飛ばすと、皆は更に歓声を上げた 熱冷めやらぬ内に集会は終わり、青龍は閻魔の邸宅に朱雀達を連れて戻って行った 閻魔の邸宅の応接室に入ると烈は早々に丸くなり眠りについた レイはその横に座り、烈の頭を撫でた 大歳神が寝てる烈を持ち上げて白い燕尾服を脱がせて着替えさせる 朱雀はレイの燕尾服を脱がせると「レイの服は何処よ?」と問い掛けた 大歳神が持って来て渡すと、レイは良い子して着替えさせられていた 青龍は「宗右衛門はもう出ませんか?」と烈に尋ねると烈は「ご飯食べゆのよ、そしたら少し出ゆのよ!」と言った そしてポケットから3個の小さな容器を手にすると、青龍に渡した 青龍は「これは?」と尋ねた 「父しゃん、ボクの髪みて!」 烈の髪はあっちこっちに飛び跳ねていた 大歳神が「梳いたが髪まで頑固であった!」と苦笑した 「それね、花の油をてきちゅつしてね ちゃんぷーみたいに、ちたのよ! そしてね、こっちはギチギチちない為の、りんちゅね! で、これがね世界樹の実のあぶりゃにゃのよ!」と説明した 青龍はビンの蓋を開けると、良い香りがした 「それね、さっきクロスが持って来てくれたにょよ!らからね、ボクまだ使ってにゃいのよ!」と説明した 「父にくれるのですか?」 烈はニコッと笑って頷いた 青龍は烈の頭を撫でて「今夜使います!」と言った 「ボクもね、今夜ちゅかうのよ!」と謂うと 「れいも!」と言った 「にゃら、兵藤きゅんと一緒に洗おうね」と謂う 「やっちゃー」とレイは嬉しそうだった 食堂へ出向いて、食事を始める 烈達のお掛けで閻魔の邸宅の食堂の料理もコストが抑えられ、豊富な料理が出せる様になったんですよ!と閻魔は炎帝と青龍に説明した すると青龍が「ならば今度は僕がレシピを考案します!」と張り切って言った 烈は食堂の賄のおばちゃん達にヘルシーメニューを頼んで開発した 烈が食べてるのを見て、他の者も食べ始めて人気になっているヘルシーメニューを烈は食べていた 魔界にいるとしても、健康の事を考え還った時に久遠に怒られない様に注意して過ごすのだった 食事を終えると、青龍と炎帝と共に閻魔の執務室に向かい話をする 朱雀とレイとクロスも同席して話をする 金龍の仕事を手伝っていた黒龍と赤龍も席に着いて議論を展開する 法の制定は当然せねばならぬ 烈の草稿を元に話し合いを重ねる 軽い刑から重い刑まで段階を踏まえ、刑を決める その話は何日も掛けて話し合われた 軽い刑なればどれ程の罪を科すか そして重い刑はどの罪を科すかを話し合う そして軽い刑とは何処までを指し 重い刑とは何処までを指すのか? 魔界の常識に照らし合わせて話し合う その話し合いには閻魔や建御雷神、素盞嗚尊も同席して連日連夜熱い議論を重ねていた 法の大まかな概念のない魔界の住民が、過ごす為にはどんな法が受け入れられるのか? と議論が出た所で宗右衛門は「どんな刑法でも受け止められんじゃろ!」と吐き捨てた 青龍は「その根拠は?」と訪ねた 「受け止められていたら日々行われるいざこざや内紛など起こりはせぬし、人で例えるなら人権と謂うのが魔界にはそもそもない! 高貴な身分な者は優遇されるが、そうでない者はへし折られ踏み付けられ蹂躙される そこが直されぬ限り魔界の住民は今ある生活を守ろうとするだろうし、今更法など無視して当然となるであろう!」と吐き捨てた 青龍は「ですが、それはもう無理でしょ?」と身を凍る瞳で嗤った 炎帝が「ニブルヘイムの創世記の盃を浴びた者ならば、逃げ道なんてねぇんだよ!」と言った 閻魔は「創世記の盃?それはこの前の雨ですか?」と問い掛けた 「ニブルヘイムは謂わなかったか? 『創世記の泉より創世記の盃の雨を降らせました この雨に濡れた者は契約を結びし事となる 逆らえば…………その体は砂と化し消えるでしょう 貴方達は閻魔の話を聞いた そして炎帝 青龍 聖神 素盞嗚尊 建御雷神 転輪聖王の話を聞いた 逃げ出す事なく聞いたと謂う事は果てへと向かう事を決めたのでしょう? ならば此処で契らねばニブルヘイムの名が廃ります!』って! あの雨はニブルヘイムとの契約の印の雨なんだよ 元々ニブルヘイムは闇を浄化した後は創世記の盃を浴びせる、その次は………と持てる限りの力を振り絞り正して行く算段をつけていた だから約束を破る奴から砂と化して消える それは己が望んであの雨に打たれたんだ 引き返す道なんて、とうの昔にねぇんだよ!」 と炎帝が言うと閻魔は唖然となり 「ならば今後…砂と化す者が出て来ると謂う事なのですね?」と尋ねた するとレイはコクッと頷いた 宗右衛門は「数を半分以下に減らしても構わぬと創造神も申しておった事じゃし、ならば強引に進めて逝くかのぉ〜!」と呑気に言った 閻魔は人の世から司命を呼び寄せ、閻魔の側近も呼び寄せ、話し合いを重ねた 連日の話し合いで疲れて翌日に持ち越す 疲れ切った夫を炎帝は烈のくれたシャンプーで頭を洗ってやり、リンスした後に、龍になった体を洗ってやった 鱗の一枚までも丁寧に洗って貰う 青龍は次は炎帝だと、妻を綺麗に洗う 炎帝は烈のくれたシャンプーとリンスの香りに 「人の世のシャンプーリンスより良い匂いするやんか!」と喜んた 風呂から出た後は世界樹の実の油で髪を整える 青龍は「これは画期的ですね、まさか魔界でヘアオイルを手に入れられるとは想いませんでした」と喜んだ その後は互いの匂いに包まれて、尽きぬ愛を確かめ合い求め合い………夜は更けて行くのだった その頃、朱雀も素盞嗚尊の家で、赤龍と烈とレイとクロスと共に風呂に入っていた 大歳神と素盞嗚尊も風呂に共に入ろう!と言い出して皆で風呂に入る 皆で入った風呂に烈はずっと嬉しそうに笑っていた クロスは全員分のシャンプー・リンスを用意していた 世話焼きの素盞嗚尊は孫やレイを洗った後は朱雀や赤龍を洗ってやる 朱雀はもう慣れたが、赤龍は恐縮しまくりで洗われていた 赤龍を洗った後は満足げに湯に入った 物凄く良い香りに包まれて、大歳神と素盞嗚尊は上機嫌で風呂に浸かっていた ヘアオイル替わりの世界樹の実の油は、頑固な烈の髪をサラサラにした 良い香りに包まれて客間で雑魚寝する 兵藤は夜中に何度も烈に蹴られ、起きた すると素盞嗚尊と大歳神もキックされ起きていた 大歳神は「本当にこの子は寝相が悪くて堪らぬわ!」とボヤいた 素盞嗚尊は「じゃが生きていてくれるならば蹴られようとも、それもまた嬉しい痛みじゃな!」と言った 宗右衛門の魂は消失した時………この人は絶望し苦しんだに違いない 朱雀は絶対に間違った道には行かさない! それが魂を管理する者の覚悟と矜持だと違うのだった レイは烈に蹴られても幸せそうに笑って寝ていた ある意味この子は最強なのかも知れない… 赤龍は炎帝の寝相に相当慣れてるのか? 烈のキック程度じゃ起きもしなかった 赤龍、おめぇも凄い奴だったんだな………と朱雀は思った 翌朝も早くから法案を魔界大法廷で通させる為に話し合う 人の世の警察に値する機関を【法務庁】に属した機関 [査察機関]と命名し罪を犯した者を取り締まる機関にする そこの職員を神々の名簿や魔界に棲む者の名簿を、まずはレイが見て、名簿から不安要素を含んだ者を弾いて逝く 弾かれた者は何処かで使わねならず、取り敢えず保留のケースに入れる そして残った名簿の者と面接をして決める事にした 面接の為に集めた者は魔界大法廷に集められ、一人一人面接をした まるで飛鳥井の面接のように、一人一人面接をして減点方式で点を着ける 閻魔 建御雷神 天照大御神 素盞嗚尊 炎帝 青龍 朱雀 黒龍 金龍 聖神 ニブルヘイム 赤龍が面接に携わった 面接を受ける者は緊張しつつも、受かれば仕事の不安はなくなるから、どうしても受かりたいと想う者と、神だから受かって当然と謂う姿勢でいる者とに分かれた 面接の態度から既に減点が始まっているとは知らずに、好き勝手言ってる神は即座に相当点数を減らされる事となる そしてその前に……ニブルヘイムの創世記の盃の効力が発動される事となり………パラパラと砂と化して崩れ落ちて逝く者達を目にする事となる キャ~と悲鳴が上がる 炎帝が立ち上がると【静かにしろ!】と叫んだ するとパニックになった者達らは何とか自分を抑えていた 「お前等は皆 ニブルヘイムの創世記の盃の雨を浴びた筈だ あれは約束の契の雨だ、約束を破った者から砂と化す事になる! 嫌ならば此処で踏ん張るしかねぇんだよ! 約束を違えれば、オレだとて砂と化す  あの誓いの雨は人を選ばねぇ! 破った瞬間発動されるんだよ! それをお前等は努々忘れるな!」 試験を受けた者は言葉もなかった その中の一人が「ならば約束を破らねば、砂とならないと謂うのですか?」と尋ねた 「そうだ、約束を破らねば、砂とはならねぇ! それには自分に遣わされた死命を全うせねばならぬと謂う事だ!」 その場にいた者総てが覚悟を強いられていた 閻魔は立ち上がると 「ニブルヘイムの創世記の盃は約束の雨との事です あの日、あの場にいた者達総てがニブルヘイムと誓約した事となります! 私だとて違えれば砂となり消えてなくなる! この魔界の総ての者が同じ土俵の上に立たされたのです! この定めを受け入れられないと謂うのならば、砂となり消えてしまいなさい! 嫌ならば立ち上がり足掻きなさい! 魔界は生まれ変わらねばならないのです! この先、ボロボロ崩れて亡くなる神や、魔族の者が出て来るでしょう! その者はニブルヘイムとの約束を違えた者だと魔界に流布します! それが魔界の現実です!」と言い切った ニブルヘイムは冷ややかに嗤って 「創造神は魔界の民が半分になろうとも、改革を進めねばならぬと申された 此れよりの道は穏やかな道には成らず! 苦しく茨の道となる、だが立ち上がる者だけが進める道となる 創造神は仰られた、人にも魔族にも天使にも裏切られ目に余る行為が多すぎる!………と。 いっそ滅ぼして新しく作り替えてしまおうか? そこまで腐らせた魔界を見せたから創造神は絶望されたのだ 皇帝炎帝が創造神の声を聞き足掻いているから、あの方はこの蒼い地球(ほし)を潰さないでいてくれるのです これは本当にラストチャンスなのです もう後はないのに、この体たらく……… 滅びたいのですか?」 と冷ややかな眼で見られると背中から冷や汗が流れる 炎帝の瞳も怖いが、この瞳は聖神同様…異質で恐怖を抱く…… 白い妖炎を立ち上がらせると、烈が 「レイたん!」と名を呼び、抱き締めた 「れちゅ……」 「もう良いにょ!深呼吸ちょーね!」 レイは息を吐いて大きく吸った 朱雀も「レイ 腹減ってるのか?少し待てな! 今夜は一緒に皆で風呂入って寝るぞ!」と謂う するとレイは嬉しそうに笑った 炎帝は「ニブルヘイムは創世記の誰よりも古い神であり、創造神が信頼を置く存在なんだよ! 誰よりも頑固で一筋縄で逝かないから、冥府の地下深くで闇を浄化させ、この蒼い地球(ほし)を闇に染まらぬ様にしていた神だ! 彼の言葉は創造神の意志を継いでいると想うが良い! テスカトリポカを滅ぼす為に創造神が俺の力と反対の力を持つニブルヘイムを転生させたんだ! ニブルヘイムはオレでは止められねぇからな! くれぐれも怒らせねぇようにな!」と吐き捨てた 魔界大法廷に炎帝の声が響く 「ならば、誰なら止められるんだ!」と誰かが悲痛な声で問い掛ける 「聖神の為にニブルヘイムは転生の道を辿られて来た! 故に彼を止められるのは、聖神 唯一人だ!」 烈はレイを抱き締めて、会場にいる者を視た そして宗右衛門の声で 「魔界も人の世も天界も……この世の生在る者が一瞬で滅ぶ日が来るのは夢でも嘘でもないのじゃ! 我等に遺された猶予は5年! その間に法を制定し、魔界を絶対のモノにする! 何が来ようとも揺らがない魔界を創らねば、我等は滅びを受け入れるしか無い! 天界も今この瞬間、血反吐吐きつつも改革を進めている最中である! 人の世でテスカトリポカの悪意に染まった者が核爆弾のスイッチをポチッと押せば、この地球(ほし)など一瞬で消滅するだろう……… 魔界の揺らぎは人の世に影響を及ぼす 天界の乱れは人の世に悪意を齎す 我等は絶対的な存在として、そこに在らねばならぬじゃ! 理解は出来るか?」 と静かに問い掛けるように話す 皆は言葉もなく、それを受け止めるしかなかった 「主らは法の番人として、悪事を犯す輩は正さねばならぬ! 相手が誰であろうか忖度など出来はせぬ! それをしたならば、その瞬間 砂となり消えてなくなるであろう! 魔界の秩序を護るのじゃ! そして魔界の民を護るのじゃ! 法は必ずや魔界を正しい道へと導くであろう!」 人々の心に火を灯す 不屈の精神 不屈の闘志を植え付け、やる気に満ちた明日へと導く それが飛鳥井宗右衛門の仕事だった 後の面接はサクサクと進み、法の番人を置く為に骨身を惜しまず働く事を宗右衛門に誓った 身分なんて関係ない やる気のある者が正して行くのだと身分の低い者にとって、またとないチャンスだった 面接は全て終わり、試験を監督していた者達と点数を照らし合わせて総合計した者の中から合格を決める 宗右衛門は魔界全体を一箇所で賄うのは無理だから、各区画毎に番人を置き見張らせる方法を提案した 閻魔は「それは良い事です!」と大賛成した 各区画毎に番人を起き、市場や人の多い区画にも、番人を置く事となった 其れ等を魔界大法廷で議論して可決させ実行に移すまで何とか歩を進められた 次は陪審員となるべく者の選出をせねばならなかった 陪審員達の管轄する省庁を【法務庁】[査問機関]とした その名称で上手く機能させる所を見届けねば還れない……と青龍は想っていた 魔界にいられる時間も残り少なくなり、決めねばならぬ事がまだ在った 康太と榊原はどうやっても一ヶ月で帰れない事を家族に伝える為に一度、倭の国へと還った そして家族に烈の足は引き摺らなくても歩けるようになった事を伝え、だからもう少しリハビリに時間を要するんだ、と伝えた 会社の方は今の所何の問題もないとの事で、後少しだけ留守にする事を伝えた そして魔界に戻って来て連日連夜の話し合いに突入 時々お風呂に入り青龍を洗って、互いを愛し合い求め合い補充しつつ、何とか乗り越えてカタチになりつつあった 魔界の者は期限5年を突き付けられて少しずつ受け入れ、変わろうとしていた だが何処にも変化を嫌う奴はいて、法が制定される事も嫌い謂う事を聞く気がない奴も中にはいた 【法務庁】[査問機関] 法の制定を可決する当日 魔界大法廷で神々全員参加を義務付けられ、欠席する者は即座に魔界で生活する権利を剥奪する!と義務付けた 神々は朝早くから魔界大法廷に集まって来つつ在った 来なければ、どの道消滅するしか無い 閻魔はそう想っていた 魔界大法廷に集まった神々に閻魔は集めた理由を説明する そして神々に仕事を割り振った事を伝えた 魔界に棲む神々全てに仕事が割り振られ、明日から仕事をしろ!と閻魔は告げた 腹に入らない神は八つ当たりか? 「何故魔界大法廷に子供が座っておるのだ?」と難癖を付けた 宗右衛門は何食わぬ顔をして 「それは儂の事かえ?」と問い掛けた 「お前は誰なんだよ?」と問う 「儂は聖神だ、創造神に転生して働けと申され転生した その時に本体は捨てたから、人の世の体のままなのじゃ! なんせ儂は人の世では子供じゃからな!」と言い ガハハハハハッと笑い飛ばした 素盞嗚尊が烈の前に出る 宇迦之御魂神が烈を護る様に立ち、大歳神が父の横に立つ 素盞嗚尊は「聖神は儂の孫である!」と謂う 素盞嗚尊のコピーの様な大歳神が「聖神は儂の倅である!」と言った 文句があるなら、掛かって来やがれ!との勢いで喧嘩を売る! 焔魔は「素盞嗚殿、大歳神、着席して下さい!」と言い席に着かせた! その後で今気付いたかの様に「宇迦之御魂神も席に座って!」と注意した 宇迦之御魂神は「やはり僕は影が薄いのですね!」とボヤいた 魔界大法廷から笑い声が響き渡った やる気に満ちた素盞嗚尊と大歳神がガハハハハハッと笑う 大歳神が「我が弟よ!お主は母に似ておるではないか!」と慰める 緊張感が途切れる…… ギスギスした雰囲気は鳴りを潜め、空気が一変した 閻魔は本当に空気の入れ替えが神業級に上手い親子だと想った 冷静を取り戻した神々の顔を見て、閻魔は神々に仕事を割り振り、働いて貰う様に謂った 文句を言っても覆られないと知ると、神々はそれを受け入れた 宇迦之御魂神は神の区域の素盞嗚尊の家から半径の場の[査察機関]の番人として見張る役職を仰せ付かった 素盞嗚尊は陪審員の一人として、厳正なる法の番人として罪を下す者に任命された 建御雷神も陪審員の一人に名を置いた 青龍が帰還するまでは素盞嗚尊と建御雷神に全権を委ね管理して貰う事になった それを総てを魔界大法廷で皆に告知し、総てを盤上に上げて動かせた瞬間だった 時代に併せて法案は改正せねばならぬだろうが、今はやっと指導させた【法務庁】の[査察機関]と[査問機関]を潤滑に動ごかさねば、と想っていた もう少しだけ様子を見て帰還する事を決める 朱雀もやっと動き出した【魂の管理庁】を管理しつつ、不在中は白虎と玄武に頼み目を光らせて貰う事に決めた もう二度と歪めてはならないから、人の世に帰ってもまめに見に来ると決めていた 素盞嗚尊の屋敷で何時もの朝を食べていると、不意に大歳神が 「主はどうやって魔界に来るのじゃ?」と問い掛けた 朱雀は「崑崙山へ出るか、女神の泉からか、閻魔の庭に、かな?」と答えた 「朱雀殿は神の道を知らぬのか?」と問い掛けた 「神の道?」 「古来の神はその道を通って冥土へ渡っていたと謂う道じゃ!通称 黄泉の道とも言う道じゃ!」 「それは知りません」 「ならば教えてやるから、その道から通るがよい じゃが………その道は契約した者しか通れぬ故、契約して参れ!朱雀殿!」 とサラッと言った 「契約?何なんだよ契約って!」 朱雀は狼狽えた が、大歳神は毘沙門天を呼び寄せて 「毘沙門天、黄泉津大神と契約して通れる様にしてくれ!」とサラッと謂う 毘沙門天は呼び出されるなり、無体な事を言う大歳神に「お前、めちゃくそ簡単に言ったね!」と怒った 「ケチケチするな! 帰ったならば親父殿の秘伝の酒を馳走してやる!」 「絶対だからな!」 「あぁ、嘘はつかんよ!」 毘沙門天は朱雀に「さぁ行くぞ!朱雀」と謂うと手をガッシッと握り締めると逃げられない様にした 朱雀は何処へ連れて逝かれるのか? 全く分からなくて「うわぁぁぁ〜」と悲鳴を上げた 毘沙門天は構わず朱雀を連れて姿を消した それを見ていた素盞嗚尊は「説明位してやればよいのに……」とボヤいた 大歳神は「説明したら朱雀ならば絶対に逝かぬではないか! 黄泉の国へ逝くのだから骨の化け物がわんさかいるけど、まぁガンパレよ!とか謂うのか?親父殿」 素盞嗚尊は言葉もなかった……… 「まぁそう謂うこった!」と笑っていた 朱雀だとて黄泉の旅路と謂えば解ったかも知れぬのに…倅は案外大雑把で意地悪だと痛感した素盞嗚尊だった その朝の会議には朱雀の姿はなくて、炎帝が 「朱雀はどうしたのよ?」と問い掛けた するの満面の笑顔で大歳神が 「朱雀殿ならば今頃は、黄泉津大神殿と面接中じゃろ!」と答えた 炎帝は唖然となり 「黄泉津大神……神の道を教えたのかよ?」と言った 「その方が近道じゃからな! これから朱雀殿はこまめに通わねばならぬのだろ? ならば時短は最優先ではないか!」 寄り道せねばならぬ現状よりは近道だが…… 「朱雀にアレが耐えられるのかよ?」とボヤいた 「まぁ慣れればカワイイものじゃ!」 それはあくまでも慣れればであろうが!と炎帝は想った 大歳神は「契約さえしてしまえば従順な下僕であろうて!何でも慣れじゃろ!」と言いガハハハハハッと笑い飛ばした 青龍は「そんな近道があるならば我等もその道を使いたいですね」と何も知らないから謂う 素盞嗚尊は「それは無理じゃな!」と青龍に言った 青龍は「何故ですか?」と問い質した 「炎帝は伊邪那岐と伊邪那美の歹を体内に宿しておるから、黄泉の国へ逝くまでに護りが裸足で逃げ出す故、安寧を保つ為にその道は使ってはならぬ事になっておるのじゃ!」と説明した 青龍は成る程!と納得した 「私にとって妻は愛すべき存在なのに変わりはありません!奥さん愛してます!」 青龍はそう言い炎帝の手を取り手の甲に口吻を落とした 烈は「父しゃん!」と注意をすると優しい笑みを浮かべ 「何ですか?烈」と問い掛けた 「愛にょ語らいは、二人きりが良いにゃよ!」 「解りました、我が子に謂われるならば二人きりの時に致しましょう!」 「そーにゃのよ!父しゃん! 母しゃんはボク達にょ大切ちゅな母しゃんらからね!」 「解ってます!」 烈は立ち上がると母に抱き着いた 康太は烈を抱き締めた 「母しゃん らい好き!」 「オレも烈が大好きだぞ!」 レイが走って烈に抱き着いた 「れいも、すきよ!」 「おっ!オレもレイが大好きだぜ!」 レイは頭を撫でられ嬉しそうに笑っていた 閻魔が「では議論を始めます!」と謂うと烈とレイは席に着いた 閻魔は「聖神、魂の管理庁の制定、法務庁の制定 その後に必要になってくるのは何だと想いますか?」と尋ねた 宗右衛門は「医療庁であろうて!それは閻魔殿が誰よりも切実に想っておる事ではないのか?」と問い質した 閻魔はグッと拳を握ると 「やはり貴方は炎帝の魂を与し子 其処まで謂うのならば布石は打ってあるのではないですか?」と問う 「儂は先の転生で祖父に頭の良い、理解力のある者を飛鳥井に下ろしてくれ!と頼んだ その者は全部で4名、幾度も儂と共に転生し技術を積み、腕を磨いて医師になった者が今 久遠の病院で扱かれておるわ!」と言った 閻魔は「人の世の技術が魔界で通用しますか?」と最難関の言葉を投げかけた 「それは今後の魔界の課題であろうて! 魔界ならではの手法で【医療庁】の実現を目指さねばならぬからな! 9つ噴火山(ここのつふんかやま)には上質な金属の元がある故、手に入れ様と想っておるが………如何せん 儂は小さすぎて7つ飛山までしか行けぬからな  9つ噴火山に逝ける者を探す所から始めねばならぬ!」 閻魔は「9つ噴火山?それは何処にありますか?」と尋ねた 「こんろしゃんを3時間くりゃい、飛んだらありゅのよ!」 「魔界の者は崑崙山近辺の山を知りません! 今回八仙の許可を得て崑崙山の近くの山で土と砂を採掘出来ましたが、その他は全く全容が解らないのです!」 「鉄が手に入らにゃいなら、骨?父しゃんの氷かゃにゃー?」 烈が呟くと青龍は「針を作る気ですか?」と尋ねた 烈は頷いた 「鉄があっても、その鉄を叩いて造る鍛冶職人が要りますよ?それはどうする気ですか?」 「それはね、教えればにゃんとかなるのよ! でもね、材料が手に入らにゃいと無理にゃのよ」 「ならば父も母も考えるので、諦めずに考えましょう!」 「解ったにょよ!」 「朱雀が帰還したなら、我等は一度魔界に帰る事にします! 君も其処まで学校は休めないし、竜馬が心配するから帰らねばなりません!」と謂う 烈は「そーね、今後来る時までに考えるにょよ!」と言った 昼近くに朱雀がヘロヘロになって帰還して来ると、青龍は「人の世に還りますよ!」と帰還を告げた 「俺はヘロヘロなんだ! 明日まで待ちやがれ!」と文句を謂うと 「ならば明日、還る事にします!」と告げた 今宵は皆で宴会に突入させる為に、出来るだけ仕事を片付けた その夜 素盞嗚尊の屋敷に皆が集まり宴会をした 朱雀も赤龍も黒龍も楽しそうにお酒を飲む 金龍と銀龍と建御雷神と素盞嗚尊と大歳神も楽しげに酒を酌み交わしていた 素盞嗚尊は我が家でこうして宴会が開けられる事が嬉しくて堪らなかった 妻が冥土の道を辿りいなくなって以来、素盞嗚尊の家には誰も来る事はなくなって寂しいモノだった まだ一族が存続していた頃から、素盞嗚尊の家に誰かが来て宴会など夢のまた夢の事だった 名に群がり名声だけ欲した者達は、いなくなり寂しい日々を送っていた そんな自分の元に宇迦之御魂神が戻って共に暮らしてくれる様になった そして大歳神が魔界に還ると申請してくれ、それが通りこうして魔界に来てくれる様になった そして孫の聖神が魔界に来たならば、この家で過ごしてくれる様になり賑やかな日々を送れる様になった まるで夢のような日々なのだ 素盞嗚尊は酒を飲み、涙を拭った 建御雷神と転輪聖王は友の肩を静かに抱いた 毘沙門天は約束通り、素盞嗚尊の秘蔵の酒を飲ませて貰い上機嫌になり、美味しい酒に舌鼓打ちながら飲んでいた 大歳神は妖精達に甘いお酒を振る舞い、酔っ払った妖精がフラフラと部屋を飛び回っていた 大歳神は何時もクロスの仲間を誘いお酒を飲む事が在った 人も妖精も関係ねぇ!酔えば絆が深まり共に闘う勇気が湧くだろ!と謂う だから大歳神の傍に妖精はいたがり、すっかり妖精に懐かれていた 炎帝は酔った妖精など目のするのは初めてで 「妖精に酒を飲ませるなよ!大歳神」とボヤいた 大歳神は「一応未成年には飲ませちゃいねぇぜ! クロスに妖精の成人を聞いて飲ませておるからよぉ!」と笑って謂う 炎帝は「妖精の成人なんて解るのかよ?」とボヤいた 「まぁよいではないか!炎帝よ! 妖精だとて酒を飲めばよい! 飲んで絆を深めて明日を生きる!共に生きる者達の死命だからな!」 源右衛門が良く言っていた言葉だった 炎帝は何か言う事を諦めた その夜は鬼達も宴会と聞き付けやって来ていた 入り切らない者は縁側に座って飲んでいた とても楽しい時間だった 翌朝 炎帝と青龍と烈とレイは人の世に還る事にした 朱雀は神の道で還ると謂う 大歳神も還るから共に還るから一緒に神の道で還ると言う 炎帝と青龍の烈とレイは崑崙山から人の世に出ると謂う 赤龍は龍になり司命を乗せて人の世に逝くと言う 烈は「ボクも乗りたいにょ!」と謂うとレイも 「れいも!」と言った 司命は「なら3人で乗り込みましょう!」と言い龍になった赤龍の背に乗り込み、さっさと時空を遡り人の世に向けて飛んで行った 仕方なく青龍も龍になり炎帝を背に乗せて飛ぶ事にした 妻を背に乗せて飛ぶ 「奥さん 乗り心地は悪くないですか?」 「あぁ、オレは魔界で一番お前が美しいと想っているかんな! そんなお前の背中に乗れてオレは幸せだよ!」 蕩ける様な笑顔で言われて青龍はめちゃくそ幸せだった 愛の語らいは人の世に着くまで続き、まだまだ新婚な二人の愛はとても熱かった 時空を少しだけ遡り、人の世の時間に換算して1ヶ月半で帰還となった

ともだちにシェアしよう!