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第12話 日常へ

飛鳥井の屋上へ降り立つと、一生と聡一郎と烈とレイは慎一と共に待っていた 流生が久し振りに還った弟に抱き着いて、泣いていた 「烈!お帰り!レイもお帰り!」と言いレイも抱き締めた 康太は「流生がいるって事は朝か?」と慎一に尋ねた 慎一が「朝の6時です!貴方達が留守にして1ヶ月半経ってます!」と告げた 「1ヶ月半か、時間を遡って来たからな 当初の目的通りだな、伊織!」と榊原を見上げた 榊原も「そうですね、何とか頑張りました!」とホッと息を吐いた 烈は「おにゃか減ったにょよ!」と言い、レイと手を繫ぎキッチンに向かった 康太は慎一に「烈とレイが飯を食って来たら、二人を風呂に入れてくれねぇか? オレ等は先に風呂に入って来るとするわ!」と告げた 慎一は流生の花の水やりを終えると、キッチンに向かった キッチンには玲香がいて、玲香が烈とレイの文の朝食を用意した 朝を用意して貰い久し振りの飛鳥井の朝食を食べる 慎一は二人に「食べ終わったらお風呂に入れてくれと頼まれましたので、俺の部屋で風呂に入りましょう!」と告げた 烈は「寝たいにょよ!」と告げるとレイも頷いていた 「寝る前にお風呂ですよ!」 烈とレイは頷いた 玲香は「烈、頑張ったのじゃな!」と引き摺らない足を目にして泣いていた 「ばあしゃん、痛くてちぬかと想ったにょね れも、にゃんとか頑張ったにょよ!」と謂う 本当に痛くて裂けて捻じ曲げられ千切れるかと想ったのだ、嘘ではない 清隆も烈を目にして泣いていた 朝を食べに来た瑛太は烈の姿に「康太達も還って来てますか?」と慎一に尋ねた 慎一は「はい、今はお風呂に入ってます 俺も烈とレイをお風呂に入れねばならないので、この後の片付けはお願いします!」と言った 京香は「あぁ、烈とレイを綺麗に洗ってやってくれ!」と言った 烈は「お風呂終わったら久遠せんせーの所へ逝くにょね!」と言った 慎一は頷いた 烈は「明日からはワン達の散歩に行けるにょよ!」と喜んで言っていた 食事を終えると、慎一にお風呂に入れて貰い、久遠に診て貰う為に病院に行き検査を受けた 1ヶ月半振りの烈に久遠は心配していたのか?特に念入りに検査をした 足を引き摺らずに歩けるようになった事に、久遠は喜んてサービスだ!と点滴を打ってくれた レイもそのサービスを受けて二人して点滴を受けてから飛鳥井の家に帰宅した 一生が烈が還って来たのを待ってて 「お前、竜馬に今直ぐ連絡して、そして会社へ一旦来いって康太が言っていた!」 と伝言を伝えた 烈は「僕の携帯、お部屋?」と慎一に問うと 「ええ、部屋に充電して置いてあります!」と告げた 烈はレイを一生に託して部屋へと向かった 久し振りの部屋に入ると猫に飛び付かれて……にゃーにゃー鳴かれた 「とらたん、ごめんね」と言い撫でて、何とか虎之助を離すと携帯を手にして竜馬に電話を入れた ワンコールで電話に出ると『烈!』と叫ばれた 「りゅーま 煩しゃいのよ!」とボヤいた 『烈、足どうなった?』 「もう大丈びよ!」 『何処にいるんだ?今」 「今はね飛鳥井の家にいるのよ!」 『直ぐに逝く!』と言い電話は切れた そして何分もしない内に竜馬は飛鳥井の家に到着していた 烈はまだ部屋にいると、部屋まで竜馬はやって来て烈を抱き締めて泣いていた 「りゅーま、イギリスじゃにゃいの?」 「還って来た!今は源右衛門の部屋で寝泊まりしてる! さっきは少しだけ出ていたんだよ!」 「ごめんね、りゅーま」 「足治ったんだな!」 「痛くてね、死にゅかと想ったにょよ 辛くてね、帰りたかったにょよ!」 そんなに辛い日々を送ったのだと思うと竜馬は遣る瀬なかった 「朝ね、久遠せんせーの所で検査したのよ せんせーは気を付けて生活して、偉いにゃと言ってくれたにょよ!」と伝えた 「烈、還ったばかりだけど、大きなイベントが入ってるんだよ!」と【R&R】での大々的なイベントが入った事を告げた 「メンバーは?」 「今はお前が還るのを待っててクリストファーが建ててくれたマンションで過ごしているよ!」 「にゃら会社に顔を出した後に行かにゃいとね! れもね、眠いにょよボク…寝ちゃったらごめん」 「そんなんで大丈夫なのかよ?」 「大丈びよ、会社に顔ださにゃいと!」  「そんな状態なのに、会社に顔を出すのか?」 「そーにゃのよ!」 「なら乗せて逝く!」 と謂うと烈はクローゼットを開けて、スーツを取り出した 烈の着替えのを手伝いしながら、竜馬は烈の帰還が嬉しくて堪らなかった 烈の支度が整うと部屋を出て応接間に逝く 一生は「レイはどうするのよ?」と問い掛けた 烈は「連れて逝くにょよ!」と謂うとレイは烈の手を握り締めた 一生は「明日からは幼稚舎だからな!」と謂うとレイは頷いた 日常が戻って来るのだ レイはそれを理解して頷いたのだった 烈は竜馬と共に駐車場へと降りて行き、竜馬は車の後部座席のドアを開けた 竜馬の車はホンダのフィットの黒だった 烈はレイと共に後部座席に乗り込むと、竜馬は運転席に乗り込み車を走らせた この車は瑛太にプレゼントされた車だった 【R&R】に多大な迷惑を掛けて、結果竜馬は車を手放したと聞き、瑛太がプレゼントすると決め慎一と共に選んだ車だった 当然、飛鳥井の駐車場に停められる様にIDも取り付けてある車だった 目立たなくて小回りが利き、そして荷物も積みやすいので選んだ車だった 竜馬は飛鳥井の地下駐車場へ車を走らせた、ゲートの前で停まる IDを読み解いたゲートが上がると、車は【R&R】用に作られたスペースに停めた 烈は「あ、ボク鍵ないにょよ!」と謂うと竜馬が 「烈の鍵はずっと俺が預かってる!」と言って最上階へ鍵を差してノンストップで上がって行った そして最上階で停まると鍵を抜いて、烈の首に掛けた 烈は副社長室のドアをノックした かなり下でノックされ、烈だと解ると榊原はドアを開けた そして竜馬と烈とレイを招き入れた 「父しゃん 母しゃん ご用意でしゅか?」 烈が言うと康太が「あぁ、会社のセキュリティは変化なく来客は外の駐車場へ車を停める様に、を徹底してやってる!」と報告した 「ボク眠いにょね そんな話にゃら、メールで良いにょよ!」と謂う 「若旦那が我が社も是非この機会にセキュリティを見直したいと言って来ているんだが、と謂うのが呼び出した要件だな」 「…………」 烈は何も謂わなかった 竜馬は「その話は貴方達にすべきではないので、当事者に伝えるのでご安心を!」と言った 「その当事者への返事が塩対応だと泣きつかれたんだよ!」 「烈を殺しかけた、あの件を総て水に流せと申されませんよね? 我等は烈の顔を立てて譲歩してやった! それ以上は聞く気も無い!」と吐き捨てた 康太はそう謂われたら、何も言えなかった あの事件で烈は脚を引きずり後遺症を遺した 日々の生活は楽ではなく、苦労したのだ 康太は「一応、烈の耳に入れとかねばと想ったんだよ!決めるのは烈だからな!」と言った 竜馬は唇を噛み締めて、何も謂わなかった 烈は「ボク帰りゅね、寝て起きたら【R&R】のイベント考えにゃいと、だから!」と言い副社長室を出て行った 相当眠かったのか? 「りゅーま、限界なのよ」と訴えた 「ならば今は寝ると良い! メンバーにはそう伝えておく!」 竜馬の言葉を聞くと烈は車の中で眠り、飛鳥井の家に着いて慎一に手伝って貰い着替えさせてベッドに寝させても起きなかった レイはその横に布団を敷いて眠る事にした 烈は3日間起きる事はなかった 康太と榊原が起こさなくても良い!と謂うから寝かせていたのだった 4日目の朝、烈は起きた 魔界へ行くと何時も時差にやられて眠くて仕方がなくなる 烈はまだ小さいから、それが顕著に出るから、康太は起こさなくても大丈夫だと言ったのだ 烈は眠っていた時間を取り戻すかの様に、精力的に動き出していた この日烈はクリストファーが建ててくれたマンションの烈の部屋で大きなイベントの概要に目を通していた その後、【R&R】のメンバーで意見を出し合いどんなイベントにするか?を話し合うつもりだった 今度の大きなイベントと謂うのは倭の国で行われるスポーツの国際大会の仕事だった 国際大会の開会式のステージ構成とプロジェクションマッピングを駆使した光と音で彩る開会式の仕事だった 閉会式は別の者が任されやる事になっていた 烈は「何で【R&R】に仕事の依頼が来るにょよ?」と不思議そうに謂う 竜馬は「フィギュア世界選手権の大会を見たからとの依頼だそうです!」と伝えた 「そーなにょね、ならばぁたんに国家斉唱歌ってもらうかにゃー」 と烈は嬉しそうに言う 竜馬は「それ良いですね!」と言うと、メンバーは「キタ~!」とイメージが湧いて来たと訴えた ヘンリーが「なら隼人も出そう!」と一度仕事して以来仲良くなった隼人の名を出した 竜馬は「開会式に出す者の誓約はないから、了解さえ貰えば大丈夫じゃないかな?」と謂う 烈は真矢に電話をした 電話に出るなり『烈!いつ帰ったのですか!』と叫ばれた 「ばぁしゃん 少し前にゃのよ! れもね寝込んてたから今日になったのよ!」と説明した 『逢いたいわ烈………』 「にゃら社長を連れて飛鳥井に来てくれる?」と謂う 『相賀さん?良いわよ、今事務所だし マネージャーに言って飛鳥井まで送って貰いますね!』と謂うと電話を切った 烈はSPをしているケント・マクガイヤーに真矢達を絶対に誰にも知らせずにクリストファーの建てたマンションまでお連れして!と頼んだ 相賀達が来るまでに、竜馬は 「戸浪の件、どうするんだよ?烈」と問い質した 「それね、メンバーは協力してくれにゃいと想うにょよ!」 「当たり前だ!俺も関わり合いたくない!  図々し過ぎるんだよ!そもそも!」と吐き捨てた 「りゅーま、ボクはそこまで根深くにゃいのよ あの日は眠くて話聞く気もにゃかっただけよ!」 「………俺は烈が決めた事ならば、共に逝くと決めているから、どんな決断にも従うさ!」 「その前にイベントよ」 「だな!」 暫くすると、ケント・マクガイヤーが真矢と相賀を連れてマンションまでやって来た ケントにはマンションのパスコードもIDも渡してあるから、誰にも跡を付けさせずに来る事は簡単だった 真矢は「此処は何処なの?」と問い掛けた 竜馬が「此処はクリストファー・オブライアンが我等の為に建ててくれたマンションです! この事は内緒でお願いします 我等はあの馬鹿騒ぎで倭の国で過ごす場を失ったも同然! 自室にまで暴漢が入り部屋を荒らしたんですから、この場は絶対に明かさないで下さいね!」と念押しをした 真矢と相賀が頷き 相賀は「約束は護るよ!絶対に!」と約束した 真矢も「烈が困る事はしないわ!絶対に!」と言った 烈は「ばぁたん 国家斉唱しにゃい?」と唐突に問い掛けた 真矢は「国家斉唱?何処でするの?」と問い掛けた 竜馬が「国立競技場で開会式のセレモニーで国家斉唱を歌って貰うんです!どうですか?真矢さん!」と問い掛けた 相賀は「ひょっとして夏に大々的に行われる国際大会の話ですか?その話は?」と問い掛けた 「そーよ!相賀知ってるにょ?」 「知ってます!今回は特に盛大な大会となると聞きました!」 竜馬は「その開会式を【R&R】に依頼されたのです!で、烈がばぁたんに国家斉唱歌って貰うかにゃー!と言ったのでお呼びしました!」と謂う 真矢は嬉しそうに笑って 「烈が聞きたいならば歌うわよ!」と言った 相賀も「真矢が望むならば異論など有りません! 正式にオファーが来たならばお受け致します!」と言った ダニエルは「隼人は別の事務所だったな……」と許可を取るなら隼人の事務所へと逝かないと駄目だな、と想った 相賀が「隼人も出るのですか?ならば清四郎も出してやって下さい!孫から声が掛からないなんて、相当ショックを受けますから!」と懇願した 烈は「じぃしゃんも良いにょ?」と嬉しそうに問い掛けた 相賀は烈の頭を撫でて 「お嫌でないのなら、真矢も出て隼人も出るのに、自分は出られないのか!とショックを受けますから、出してやって下さい!」と頼んだ 「じぃしゃん、駄目にゃのかと想ったのよ! じぃしゃん出てくれるにゃら、最高に良いの作ろうね!みんにゃー!」と言った メンバーは烈の想いを汲み取り、最高に素晴らしいのを創らねば!とやる気に満ちていた 相賀が「どうしますか?神野の事務所へ行きますか?」と尋ねた すると竜馬が「メンバーは静かに過ごしたい空間が崩れるのを嫌うので、このマンションは本当に極秘にして、メンバーも極秘で来日して来てるので………これ以上は人は呼べないので、俺と烈が神野さんの事務所に行きます!」と言った 「了解しました、我等は一足先に行き、神野の事務所で待つ事にします! その時に清四郎も呼んて宜しいですか?」 相賀が問い掛けると烈は「じぃしゃん!やったー!」と喜んだ 相賀と真矢はケントと共に先に外に出ると、竜馬は烈と共に神野の事務所へ向けて車を走らせた 事務所の事務所は久し振りに目にしたら、スカスカのセキュリティに烈は「らめね、ここ」と言った 竜馬も「ですね!」と答えた 相賀が待っていくれ、共に神野の事務所へと入って逝くと応接間へと通された ソファーに座り神野は「では話を伺います!」と謂うが烈も竜馬は何も話さなかった 神野は「どうしたんだ?」と謂うと傍にあったメモ用紙に「こんなスカスカな場所で話なんてしたくない!」とサラサラと書き記した 烈はラインを開いて「こんなセキュリティスカスカの場で話したら明日には新聞の一面よ!」と書き神野に携帯を渡した 神野は唖然となり「セキュリティスカスカ……嘘……と言った 相賀が「ならばホテルで話し合いをしましょう!」と言ってる間に清四郎が神野の事務所にやって来た 清四郎が事務所にやって烈の姿を目にして 「烈、帰っていたのかい? 足はどうなりました?」と問い掛けた 烈は人差し指を唇に当てて、シーッと言った 神野はメモに「ならばホテルの部屋をお取りします!その時に話もあります!」と言った 烈はメモに「隼人は?」と問い掛けた 神野は「隼人は小鳥遊が連れて行きます!」と謂うとホテルの一室を即座に取り部屋番号を教えた するとケントは相賀と真矢と清四郎をお連れします!と言い事務所を出て行った 神野は自分の車で向かうと謂うから、竜馬は烈を乗せてホテルへと向かった 「あんにゃセキュリティがスカスカで仕事取られにゃいのね!」と不思議そうに烈は言った 竜馬は「それを言ったら倭の国の殆どの企業がスカスカになるよ、烈」と言った 「若旦那、セキュリティーをやって欲しいって、予算はどれ位にゃんだろ? 足が出るにょに、やるバカはいにゃいのよ!」 「ですね、ならば一度問い合わせて見るよ 予算が合わないのなら、所詮は無理と謂う事だし 飛鳥井はクリストファーが機械一式寄付してくれたから成り立ったが、戸浪にそれをしてやる義理も何もないからな!」 「そこね、予算を聞いてみて そしてイベントが終わったら考えても良いにょよ」 「烈は本当に仏が神か?と想える程にお人好しだと俺は想う……俺にはそんな芸当決して打てねぇって何時も想うんだ……」 竜馬の言葉に宗右衛門が 「儂が神ならば私怨で復讐などはせぬ…… 儂は死にたい程の蹂躙を受け……裏切りや憎しみを復讐と謂うカタチで返そうとした時期もあるのじゃ! 総て滅んてしまえ!偉大な名など滅んでしまえ! 一族の者も諸共滅んでしまえ!と復讐の鬼となり滅ぶ事しか考えぬ時を過ごした だが復讐しても何も変わらなかった 儂は儂にしかなれなかったし、弱い者は淘汰されるのを身を以て実感させられた 以来………無駄な抵抗を辞めたのじゃよ 儂が死したとしても夜は開けて、日常はやって来る………それを思い知らされたからな… お主が考えている様な崇高な思考など持ち合わせてはおらぬよ……」 と苦笑する 竜馬は言葉もなく烈の過ごして来た道程を鑑みる そんな想いをした者なれば、今の様な崇高な考えへ至るのかも知れない………だが普通はそこまでさらたならば、更に根深く恨み辛みを抱く 俺ならそうなる、と竜馬は想った 竜馬は「烈は烈だろ?」と謂うと烈は 「だね!」と笑った ホテルへ向かうと車寄せに車を停めバレーサービスのスタッフにチップと鍵を渡してホテルの中へと入るとケントは既に来ていて、相賀達は部屋に向かったと告げた 烈はケントに案内されて竜馬と共に予約された部屋へと向かった 部屋に入ると烈はリュックの中から機械を取り出し、スイッチを押した 相賀は「これは何ですか?」と尋ねた 竜馬が「ジャミングの機械です!話す内容が聞かれたりしたら総てがオジャンになりますから!」と言った 相賀は「我が社もそれを入れたいと言ったら、その機械を購入する手助けして貰えますか?」と問い掛けた 竜馬は「ええ、その話ならば乗りましょう! 初期投資は高く着きますが、長い目で見たならば、絶対に情報漏洩は避けられます!」と告げた 神野は「俺の事務所のセキュリティーがスカスカって話を聞きたいんだけど?」と問い質した 宗右衛門は「言葉のままじゃ!あんな出入り口も自由にお入り下さい!なんて事務所は神野の所だけじゃろ! 今はどの会社も情報漏洩を危惧して投資して設備をしている 神野の事務所は無駄な部屋が多すぎるのじゃよ 一度作り替えてセキュリティー重視にした方が良かろうて!」と言い切った 相賀もそれに対して口を開いた 「我が社もセキュリティ対策は万全にしておるつもりだったが、ジャミングはいれてなかったので、今一度見直そうかと想っています それよりも仕事の話をしましょう!」 「だな、神野も席に着いた事だし、竜馬、説明するのじゃ!」 と宗右衛門が言うと竜馬は夏に行われるスポーツの祭典 国際大会の話を正式に依頼を受けた事により、メンバーで話し合っていたら烈が、ばぁたんに国家斉唱歌ってもらうかにゃー!って言ったので、ならば隼人も清四郎さんも!との話に至ったのです!と説明した 清四郎は嬉しそうな顔で烈に「烈、私と一緒に仕事をしてくれるのかい?」と問い掛けた 「じぃたんはテノールで、ばぁたんはソプラノで国家斉唱歌って貰いたいのよ!らめ?」 孫からのリクエストなのだ! 清四郎は「喜んて受けるよ!明日からボイトレ頑張るよ!」と言い烈を抱き締めた 「足、引き摺らなくなったんだね 本当に良かった………お帰り烈」 「じぃたん 辛かったにょ……痛くて裂けそうで捻れて吐きそうでね れもね頑張っちゃのよ!」と謂うと烈は清四郎に抱き着いて泣いた 年相応の顔して泣いていた 清四郎は烈の頭を撫でて「頑張ったね烈」と言い抱き締めた 相賀はその姿に涙を拭った 真矢も清四郎に甘える烈を見て胸を痛めた 私の前では必死に気丈に頑張っていたのね……と想う 烈は涙を拭くと姿勢を正した 清四郎も席に付き仕事の顔になった 竜馬は「まだ烈が還って来たばかりで、構成など何も決めてませんが、榊󠄀 清四郎さん 榊原真矢さん、一条隼人さんを起用して開会式を展開して逝くのは決定事項なので、その日はスケジュールに入れておいて下さい!」と謂う 相賀は「相手側から指定はないのかね?」と問い掛けた 竜馬はバッグから契約書を取り出すと、相賀に見せて「そう謂う縛りは契約書には書かれてないので、自由に出来るみたいです!」と言った 契約書を作成するに当たり顧問弁護士を間に入れて、縛り関係は念を押して確かめるのだ 今回は飛鳥井神威が捕まらなかったから、デービッド・トンプソンが倭の国の弁護士資格も取ったから立ち会って話をつけたのだ 書類に不備はない筈だった 相賀が老眼鏡を取り出すと、契約書を手にして隅々まで確かめた そして30分程掛けてじっくり確かめてから 「その様だね、この書類に不備な点は何もない」と言った 竜馬はホッと胸を撫で下ろした 相賀は「ならばこれは正式依頼だと受け取っても良いのかな?」と問い掛けた そこへ小鳥遊が隼人を連れてホテルの部屋へとやって来た 小鳥遊は烈の姿を見て「烈!足はどうなりました?」と不安そうな顔で聞いて来た 烈は「もう大丈びよ!」謂うと嬉しそう笑い、仕事モードに入り詳細を話してくれと頼んだ 相賀が今までの話を小鳥遊に話した 小鳥遊は「隼人を国際大会の開会式に、ですか? 勿論喜んでお引き受け致します!」と言った そしてホテルで話す事になった経緯は神野自ら話した 小鳥遊は渋い顔して、その話を聞いていた 「やはり………最近仕事の依頼が来たと想ったら、正式な契約前に契約自体破棄と謂う事が何度かありました それって我が社の情報が漏洩していると謂う事なんですね! 解りました、我が社も此処で踏ん張らねばならないと謂う事なんですね!」 と小鳥遊は俄然やる気になっていた そして小鳥遊は「飛鳥井は絶対無的なファイヤーウォールを入れたと誠しやかに噂が流れています それに伴い、セキュリティー強化したともお聞き致します! それは本当なのですか?」と問い質した 宗右衛門は「それは本当じゃよ!」と答えた 小鳥遊は「【R&R】の仕事なのですか?」と尋ねた 竜馬は「ヨニー©イギリス経由でヨニー©Rウッズスタンに話しが行ったのですよ!」と説明した 小鳥遊は烈や竜馬がヨニーの取締役に名を連ねているのを思い出した 「ならば、我が社も其処へお願いするとします 竜馬さん、口利きはして戴けますか?」 「まぁ口利きだけならば、しましょう!」と竜馬は答えた 他は関わる気はない!と全面的に押し出し、口利きだけならば、と言ったのだ 「それで十分です!我等は一度貴方達を見捨てたも同然なので………口利きさえしてもらえなくて当たり前だと想っています!」と小鳥遊は言った 宗右衛門は「小鳥遊、儂は遺恨は一切遺してはおらぬよ! 手打ちにしたと謂う事は今後は一切根に持つ事はないと言ったも同然! 竜馬が口利きだけと言ったのは、我等は飛鳥井を基準に依頼を受けても困ると謂う事じゃ! 飛鳥井はクリストファー・オブライエンか全面的な協力をしてくれ機材一式をプレゼントしてくれたのじゃ! 他はそう謂う訳にはいかぬと謂う不戦を張ったのじゃよ! 皆が同じ様に飛鳥井レベルでお願いされたとしても、飛鳥井は機材はプレゼントして貰ったから作業料とスタッフの費用だけじゃからな 度外視された料金では土俵になど上げたくはない!と謂う訳じゃ! まぁ機材とスタッフの費用だけど申しても、飛鳥井は会社と真贋の資産を投入して今の体制を築いたのじゃから、かなりの費用の投資となった それを他も同じ様にしてくれと謂われても土台無理な話じゃからな、儂の言い分は解って貰えたかのぉ〜」と話した クリストファー・オブライエンの提供の機材ならば安くは上がっただろう だがそれはあくまでも機材のみ 会社と真贋の資産を投入したのだとしたら………かなりの費用を叩き出した事だろう 竜馬は「相談には乗りますよ、安く上げる為のアドバイスも仕事中の雑談ならばしても良いですし!」と言った 竜馬が此処まで譲歩する姿勢は滅多となくて、小鳥遊は「ならば話を聞いて下さい!」と頼んだ 宗右衛門は笑って「切磋琢磨して真贋が築かれた果てへと逝くのじゃからな! 此処でくたばって貰っては男が廃るじゃろ! 今の事務所を養成所にして他に事務所を構えるとか考えられよ! あの場ではジャミングシステムを入れたとしても、情報がガバガバ過ぎて手が付けられぬからな それか会議の場は他に作るとか工夫じゃよ小鳥遊!」と提案した 相賀は「宗右衛門殿はどの様なお考えが、お聞かせ下さいませんか?」と問い質した 「儂はな相賀、須賀、神野は共同関係を築ける事務所だと想っておるからな 三社共同で万全なセキュリティーの会議室と、書類を保管する場を作れば良いと想っておる! 全ての話し合いは其処で、重要機密書類も其処に保管する! すればジャミングを作動させるのは其処一箇所で費用も抑えられる そして神野の事務所は押し入られたら最期の作りだからな、事務所にするならばそれなりのセキュリティーは必要じゃな 真贋が果てを詠まれて創られてから時代は様変わりして変化を遂げておる そして真贋の視る果ては歪められてしまっておったからな………今の時代様式と合わぬのじゃな! まぁその話は真贋とするとよいじゃろ!」 神野は黙って宗右衛門の言葉を聞いていた 相賀は「この場に須賀を呼んでもよいかな?」と問い掛けた 竜馬は「………今回、須賀さんの事務所の方は使いません……なのにお呼びしたら不快に感じませんか?」と問い掛けた 相賀は「不快に感じたとしても、呼ばねば我等では決めかねる案件も出て来たから………」と引く気はない姿勢で言う 自分ならば絶対に嫌だと想った 仕事は他の事務所で、自分の事務所からは誰も出てないのに呼ばれる……それは嫌だろ?と想った だが相賀は須賀に連絡を取り、呼び寄せる事に成功していた 暫くして須賀はホテルの部屋を訪れた 部屋に入るなり烈がいて竜馬がいて、何事だと想った 烈も竜馬も一切話さない中、相賀は須賀に事情を話した 須賀は相賀に話を聞いて、国際大会の開会式に真矢と清四郎と隼人に話が来てる事を知り 「悔しいな……うちの事務所には使えそうな子もいなかったと言う事なんですね……」と呟いた やはり烈を軽く見做した事が原因なのかと想った だがそれを口にするよりも早く宗右衛門が 「国際大会の開会式の話はまだ構成も決まってはおらぬ! じゃが烈が祖父母に国家斉唱を歌って欲しいと言う希望からメンバーがならば隼人も使おうぜ!と話が出て、話を持ちかけただけじゃ! 主の所の誰かを使うならば、正式に話をするが、まだ今はその段階ではないのじゃ! で、主の所は誰を使って欲しいのじゃ?」と問い掛けた 須賀は驚愕の瞳を烈に向けた 「使って戴けるのですか?」 「メンバーがOKを出せば使える、イメージがあるからな、それに添わねば使えぬやも知れぬ そんな段階だからな、出したい者とは面接じゃな そしてイメージに合えば使える事になる 隼人はメンバーが、真矢と清四郎は烈が、希望したから優先的に決まったが、後何人かは何処かの事務所から出して貰おうかと思っておったのじゃ!」 「ならば使って下さい! どんなポジションでも構いません! 最近、仕事が決まると、何らかの妨害なのか、仕事が流れるのです!」 と須賀が話すと神野が「須賀の事務所もですか? うちの事務所も決まりかけると破棄となり仕事が流れてしまうのです! 烈の話を聞いていると、うちの事務所はどうやらセキュリティーがスカスカみたいなのです」と言った 須賀は「セキュリティーがスカスカ?それは何処を見て言ってるのですか?」と問い掛けた それには竜馬が答えた 「神野さんの事務所は出入り口にセキュリティーさえない 誰でも入ろうとするならば、入れてしまう現状が怖かったので、ホテルに部屋を頼みました」と説明した 須賀は「セキュリティーか……飛鳥井はファイヤーウォールまで築いたと聞く まぁ我が社がファイヤーウォールまでは無理だとしても、情報が漏れないシステムが必要ですね」と断言した 相賀は宗右衛門が話していた三社共同でセキュリティーの絶対な事務所を借りて、其処へ重要機密書類は保管して、決定事項がある会議は其処でする、との話が出ていた事を話した 須賀は乗り気になり「それを飲みす!」と言った 神野も小鳥遊も「その意見に従います!」と言った 隼人は小鳥遊に連れられて来たが、出る幕もなくて 「オレ様は暇なのだ!」とボヤいた 烈が「隼人、お仕事しにゃい?」と話し掛けると、隼人は瞳を輝かせ「烈のお仕事なのか?」と問い掛けた 「そーにゃのよ!隼人、出てくれるにょ?」 隼人は烈を抱き締めて 「今の仕事をキャンセルしてでも出るに決まってるのだ!」と言った 「にゃら、一緒に仕事するにょよ!」と嬉しそうに言う 真矢も「隼人、私と清四郎は国家斉唱するのよ!」と言うと隼人は「凄いのだ!」と喜んだ 自分もその場にいられると思うとワクワクとして来る 竜馬は「近いうちにホテルの一室を借りて須賀さんの事務所の子と会わせて下さい! 口の軽い子は話してしまうので、守秘義務の者類にサイン出来る子だけにお願いします! 我等は倭の国にいるだけで騒がれる日々はもう御免なのです! なので秘密裏にお願いします!」と釘を差した 須賀は「勿論、それは事務所を上げて護らせるよ!破ったらそれなりの制裁は受けさせる! そしてその時に被った被害額は其の者に支払わせます!」と厳しい口調で言った 相賀は「ならば三社共同の会議室の話を詰めようではないか!」と話を持ち掛けた 須賀はテーブル中央の機械を見て 「これがジャミングの機械ですか?」と問い質した 竜馬は「そうです!ヨニー©イギリスの子会社 ヨニー©Rウッズスタンの制作です! このホテルの部屋ならば、この機械で充分なので烈が持って来ました!」と答えた 竜馬はジャミングシステムのパンフレットを3人に渡した 「大切な話をするならばジャミングを掛けて流出を避けるのが得策です! 況してや決まりかけた話しがご破産になるならば、早急に対策を打った方が良いでしょう! 外に漏れた瞬間、その話は重要性を欠いたと想わねばならない! 海外ではこのシステムは当たり前だし、こんな無防備な場所で、大切な話をするなんて自殺行為だとさえ想える!」 相賀と須賀と神野は頷いた その重要性を痛感しているからこそ、理解出来ていた 竜馬は「今日は榊󠄀清四郎と榊原真矢、そして一条隼人の出演を打診と謂うカタチで部屋を取りましたので、この場でこれ以上の話は致しません! 後はメンバーを交えて具体的なイメージを出し合い演出効果を決めて行く! なので先にするとしたら須賀さんの事務所の名簿を貰いレイに選んで貰ってからとなります!」と伝えた 須賀は「レイって、あの幼稚舎の子ですよね? あの子にそんな力あるのですか?」と尋ねた 宗右衛門は「レイは稀代の真贋の後を継ぐ者じゃ!次の転生でレイは稀代の真贋となる者じゃ!」と告げた 須賀はならば相当の力持ちなのだと理解した 「レイは人の奥深くを視る力を持つ その者を入れたら不協和音が起きるとか、些細な所まで読み解き選別する 飛鳥井の入社試験は書類選考でレイがまずその書類を視る事になっている」 そう言われれば、もっと何も言えなくなった 稀代の真贋を継ぐ者なれば、並大抵な力ではない事くらいは理解出来た 須賀は「ならば即座に名簿を用意してレイに見せられる準備をします!」と言った 宗右衛門は「ならば儂は其の者の器を視てやるとするかのぉ!どれだけ大器を持っておるかを視てやろう それもまぁ雑談程度の話だと流して受け止めるとよい!」と言い そして想い出したかの様に 「りゅーま、しょーたん今度は共演ちないと、いじけちゃうのよ!」と言った 神野は「笙も使って下さるのですか?」と問い掛けた 「いじけた……しょーたんなだめてくれるにょ?」 いじけた笙………それは嫌かも…と神野が思っていると小鳥遊が「それは嫌です!」とキッパリ断言した 「にゃら、しょーたんも出すにゃよ!」と謂う 神野は「隼人と笙のギャラはノーギャラで良いから今後の事務所の相談に乗ってくれねぇか?」と言い出した 竜馬は「それは隼人と笙さんに対して失礼ですよ!」と謂うと隼人も「そーなのだ!失礼なのだ!」と怒った 須賀は事務所のスタッフに名簿をPCに送らせると、簡易印刷機を取り出して印刷を始めた 総て印刷すると烈に渡した 「須賀、飛鳥井に来てレイたんに視て貰えば良いにょよ!」と謂う 須賀は「宜しいのですか?」と問い掛けた 「もうじきレイたん、幼稚舎から還りゅのよ!」 と謂うとジャミングの機械を解除するとリュックの中へしまった 相賀と神野と小鳥遊はどう切り出したら良いか………と思案していると 「神野達も来るにょよ!」と言った 清四郎は烈の傍に行くと烈を抱き締めた 烈は清四郎に「じぃたんとばぁたんはりゅーまの車に乗りゅ?」と問い掛けた ケントは「ならば私は相賀さんと須賀さんと隼人を乗せて行くねん!」と真面目な顔で言った 神野と小鳥遊は「事務所に車を置いたら飛鳥井に行きます!」と言った そしてホテルを出てそれぞれの車に乗り込み飛鳥井へ向かう 車止めまで向かうとバレーサービスのスタッフがが竜馬の車を玄関に回して車から降りた 竜馬は烈を助手席に、真矢と清四郎を後部座席に乗せて、運転席に伸びこむと車を発信させた 「今度のりゅーまの車、小さいにょ、忘れてたのよ」と乗り込んでから謂う 真矢は「気にしないわよ!」と言うと清四郎も 「長距離なら足が痛くなるけど近距離だから大丈夫だよ!」と安心させた ホテルから空いてたから20分もしない内に、飛鳥井の家に着くと、シャッターを開けて中へと入った もう既に飛鳥井で生活をしている竜馬だから、シャッターのリモコンは渡されていたのだ 応接間へ向かうと相賀と須賀が既にいて、レイが須賀から名簿を渡されてそれを見ていた 「レイたん!」烈が呼ぶとレイは立ち上がり烈に抱き着いた その横の凛が「宗右衛門、少し話を聞いてくれ!」と竜胆の声で問い掛けた 宗右衛門は「どうしたのじゃ?竜胆!」と問い掛けた 「陰陽師が見つからねぇんだよ!」と泣き言を言った 宗右衛門は「飛鳥井の五芒星が失敗したと申すのか?」と問い掛けた 「解らねぇよ!もぉお手上げだ!」と竜胆は手を尽くした事を告げた 「暫し待つのじゃ! 今一度星を詠みホロスコープを起動させ場所の特定をしてみる それて駄目ならば星詠みの婆婆の所へ聞きに行くとする!」 「宗右衛門、飛鳥井は終焉に向かってるのかよ?」 と何時になく弱気な凛を烈は殴り飛ばした 唇を切った凛の服が赤く染まる 「飛鳥井は終わったりはせぬ! 儂は1000年続く果てへと繋ぐ為に日々怠ってはおらぬ! 絶対に見つけて見せる!竜胆そうであろう!」 「宗右衛門………」 凛は泣いていた そこへ慎一が応接間へとやって来て、血だらけの凛を抱き上げて血を拭った レイが烈を抱き締めた 慎一は「烈、暴力は駄目だと言いませんでしたか?」と謂う 烈はそれには答えなかった 泣きたいのはこっちなのだ 何故こうも果てが狂う? 何故こうも見付からない? 何故………何故………何故……烈は焦れていた 凛は「宗右衛門!ごめん!弱気になった!」と謝罪した 宗右衛門は「竜胆、暫し儂と動くがよい!これから数日儂は留守にする! 竜馬、儂が留守の間、面接しておいてくれ! レイが名簿を見て人選する、頼めるか?」と竜馬に問うた 竜馬は「それは嫌だぜ!宗右衛門!烈が導き出す明日しか我等【R&R】は動く気がしねぇんだよ、用をサクサク片付けて還って来いよ!」と謂うと宗右衛門は嗤って 「ならばサクサク片付けて参る!」と言い竜胆を引き摺り応接間を出て行った レイが慌てて後を追おうと想うが、踏み留まった 烈が帰還したならば、即時に動くだろうからだ! レイは必死に名簿を泣きながら見ていた 須賀はレイを抱き上げて撫でた するとレイはしくしく泣いて疲れて寝てしまった 須賀達は烈が帰還したら即座に動けるようにすると言い遺して還って行った 慎一は帰宅した康太に凛と烈が何処かへ行ったと告げた 康太はソファーにドサッと座り 「竜胆、苦戦してたのかよ?」と呟いた 慎一は「殴られて血を流していました」と伝えた 「仕方がねぇだろ?竜胆の仕事だったんだ それがなされないばかりか、弱音吐けば殴られて当然だろ? 宗右衛門が血反吐を吐きながら1000年続く果てへと繋げている最中に終焉に向かっているか?なんて謂われたら、オレならば即座に八つ裂きにしてやるよ! 其れ程に失礼な事を言ったんだよ竜胆は!」 慎一は言葉もなかった 榊原は「どうしますか?」と問い掛けた 「烈が戻らねぇなら相賀達も動けねぇだろ しかし………オレの果てがこんなにも歪められて狂っていたなんてな 神野の事務所………あんなに早く破綻が来るなんてオレは思ってもいなかったぜ!」 「それは君の所為じゃありません 総てにおいて…歪んだ明日を導き出されてしまっただけです!」 「それでもな責任は感じるから、神野の事務所は移転させる! あの事務所の地は改築し他のテナントとして神野の利益になればと想っている」 「それが良いです それより若旦那の件どうするんてす?」 「あ〜あれな、オレはどうもしねぇよ 【R&R】は何度も謂うけどオレの持ち物じゃねぇからな! オレで出来ねぇ事は何とも出来ねぇよ  しかもセキュリティー入れたいと言っても、飛鳥井の様にはいかねぇだろ? クリストファー・オブライエンあってこその鉄壁のセキュリティーが築けただけで、クリストファーがいなきゃオレ等では太刀打ちが出来ねぇ予算となったんだ! 戸浪でクリストファーが動くなんて事はねェだろからな、どの道詰んでるんだよ」 クリストファー・オブライエンが動くのは【R&R】の関係でしか無い 飛鳥井は烈の家だから、親身になり協力してもらえた たが他ならばまず皆無だろう、どの道この話は先がないと謂う訳だ 「何か最近飛鳥井の噂を聞き連絡が入るパターン多くないですか? 僕達は我が子と謂えど強制など出来やしないのに……はっきり言ってウンザリです しかも竜馬は烈が殺されかけた件を水には流してませんからね あくまでも譲歩はしたが許してなんかいない! そんな態度でしたよね?」 「だな………そんなに窮地なのかトナミ?」 「一度調べてみましょうか? 【R&R】企業調査事務所へ依頼を掛けときます!」 「頼むな!真意が見えて来ねぇんだよな 迂闊に烈に逢わせて再び命狙われても困るからな!」 「ですね………もう烈が傷付くのは……僕も堪えられません…… ですが波乱はこの先も続くと謂う事なんですね! しかも神野の事務所や須賀の事務所まで、契約目前で契約が破棄となるなんて解せませんね! この件も暦也に伝えて動いてもらいます 予算は二人の経費のプールした金額で何とかなりませんかね?」 「何とかなるだろ? 最近馬の調子も良いし、オレの方も少しならば協力出来るし、大丈夫さ!」 「烈……何処へ行ったんですかね?」 「七ツ山の星詠みの婆婆の所だろ? 烈は大歳神に連れられて神の道で契約を結んでるからな、崑崙山や魔界なら自由に出入りできるからな!」 「七ツ山には無理でしょ?本体ないんですから…」 「八仙が鳳凰呼んでくれるだろ? それよりも気持ち悪いな伊織……何かまたあの悪意の塊が頑張って触手を伸ばして来てる見てぇだな」 「まさか………5年の猶予はあるんですよね?」 「猶予はあくまでも過程と謂う事か……ニブルヘイムが最終の力を放出する時が来たらヤバいぞ……」 「ニブルヘイムは闇を浄化する雨と約束を違えると砂になる盃と他にもあるのですか?」 「あるな……謂えねぇけど……」 「それを使わせたりしない様にしないとなりませんね!」 「だな、だけど何処へ行ったんだ?紫雲の継の者…あの竜胆が弱気になるって並大抵な事じゃねぇからな……調べねぇとならねぇな!」 「魔界も不安要素抱いてますからね」 「指図め、相賀や須賀、神野の情報漏洩が先決だな!烈が還って来たら動くとする!」 「解りました!」 「宗右衛門だけでは荷が重いですかね?」 「宗右衛門が荷が重いと感じたならば、1000年続く果てへは諦めるしかねぇな!」 「え?………宗右衛門のポジションはそんなに飛鳥井の中では切り離せないモノなのですか?」 「青龍は幾度も転生して、オレの傍に転生してくれけど、今世の様に傍でずっと生活した事はねぇだろ? 宗右衛門とも幾度も逢っているのに、あれが聖神だと解らなかったろ? そう謂う事なんだよ、宗右衛門は斯波の時から幾度も稀代の真贋とワンセットで転生を繰り返しているが、お前は宗右衛門を嫌って寄り付こうとしなかったよな? 宗右衛門は明日の飛鳥井の果てを繋ぐべき存在なんだよ! だから一生が烈を嫌って見下していた時、瑛兄が一生に飛鳥井の序列を話したんだよ 序列は稀代の真贋と宗右衛門は同列に扱う  次に竜胆、源右衛門となる 真贋や総代はその下に当たる それだけ宗右衛門は飛鳥井の中では確たる存在なんだよ!」 「僕は宗右衛門を嫌ってなどいません! 苦手ではありました……存在感がありまくりで、やはり素盞嗚殿を何処か彷彿させているので、近寄り難かっただけです! ですが、僕は宗右衛門は嫌ってません 僕が愛する人を知っていたのか、幾度転生しようとも宗右衛門は僕と君が共にいられる様に取り計らってくれたのは忘れてません!」 「まぁ聖神だからな知っていたんだよ 青龍は炎帝を選んで人の世に堕ちたって事は!」 「今思うと青年の頃の宗右衛門は素盞嗚殿を彷彿させていたのに、何故に気付かなったのか……悔やまれます!」 「まぁ似た者親子だからな!」 康太は笑ってそう言った そしてこうして改めて聞くと、宗右衛門として生きている烈の重圧を想う 前世は遠くから見ている事しか出来なかったが、今世は我が子なのだ! 我が子を想わぬ親などいないのだ! 「僕に取ったら烈は我が子です! 我が子の為ならば、動かぬ親などいない! 僕も君を乗せて七ツ山へ飛んて行きます!」 「青龍、本気かよ?」 「竜胆はもう我が家で過ごしている以上は家族です! 凛もレイも椋も皆家族です! 家族が困っているならば手を差し伸べます! 僕はあまり宗右衛門とサシで話す事はありませんでした ですが何時の世も彼は僕に好意的で、二人でいられる様に取り払ってくれたりしました! そして今世我が子として接して、聖神の想いも烈の想いを総て受け止めて、僕はあの子達の親でありたいと思うのです!」 「オレだって親でいてぇよ! アイツ等の親でいてぇよ! 翔達が独り立ちするまでに宗右衛門は確かなレールを敷きてぇんだよ! その上に乗って進める様に指針を決めてぇんだよ それが愛すべき兄達に贈る愛だと信じているからな、だから烈は止まらねぇんだよ! 明日の飛鳥井の為に、家の為に、そして兄達の為に、烈は日々明日を紡いでいるんだよ!」 「此処いらで、父の存在感をアピールしときます!」   そう言い榊原は笑った とても優しくて、清々しい笑みだった 康太は立ち上がると 「そうと決まったら行くぜ!伊織!」 そう言い二人は応接間を出て行った 

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