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第13話 焦心苦慮

榊原は飛鳥井の屋上に出ると慎一に 「少しの時間、留守にするので、その間宜しくお願いします」とラインを送った これで飛鳥井に姿がなくとも家族には慎一が取り計らってくれるだろう これで準備万端とばかりに榊原は青龍に姿を変え、康太を背に乗せて飛び始めた 取り敢えず崑崙山まで飛んて逝く! 崑崙山まで飛んて八仙の屋敷の前で康太を下ろすと、人に戻った 八仙の一人が出て来て「聖神をおさかしか?」と問うた 康太は「そうだよ、まだいるのか?」と問い掛けると八仙は「もう鳳凰に連れられて七ツ山へ向かったわ!」と言うと、榊原は再び龍になり炎帝を乗せて飛び始めた 「康太、僕は七ツ山は知りません! 三つ飛山の賢者の所までしか行ってません」 と不安になり謂う 「大丈夫だ、オレがナビするから、そのとおりに飛んでくれれば良い!」 と謂れ、康太がナビして七ツ山まで飛んて逝く かなり飛んてヘロヘロになった頃 「そこだ!」と謂うと康太を下ろして人に戻った そして星詠みの婆婆の家へと向かう 康太は知っているのか? その足取りは確かで、サクサクと進んで逝く ボロい屋敷に出ると「婆婆、入るぞ!」と言い部屋の中へ入った 其処には烈と凛が婆婆の前に座っていた 康太は「婆婆、オレの果てが狂ってるのか? それともジワジワと狂わされて行ったのか? 教えてくれねぇか?」と問い掛けた 婆婆は「少し待て、先客の相手をせねばならぬ!」と言い一心不乱に星を詠んでいた 「飛鳥井の五芒星は張れたのか?」 婆婆は問い掛けた 烈はその時使った地図を出して婆婆に見せた 婆婆は地図を受け取り星と五芒星を確かめて指でなぞった 「間違ってはおらぬし、確かに飛鳥井の五芒星は張れておるな………だとしたら出て来ぬ筈などないのじゃが……」と探る 竜胆は「何処を探しても見付からないんだ!」と憔悴した顔で訴えた 星詠みの婆婆は、地図を眺めて空を眺めた そしてハッとした顔で「世界軸がズレておる話はしたではないか、そのズレ計算に入れたかえ?」 宗右衛門は「世界軸のズレ………何度ズレてるか計算しておらぬわ! 竜胆すまぬ………儂の計算ミスじゃ!」と言った 竜胆は「世界軸のズレって何なんだよ!俺はそんなの知らねぇぞ!」と軽くパニックになった 康太は竜胆に「確りしろ!」と言い、この機会だからと、世界軸がズレてる事、テスカトリポカがこの地球(ほし)を滅ぼそうとしている事など総てを話した 隠していても、何時か知らねばならぬ時が来るからだ! 竜胆は総て聞かされ、この地球(ほし)が消滅するまで猶予は5年? 自分はテレビか映画の話でも聞いているのか?と動揺を隠せなかった 宗右衛門は知っていたのか?平気な顔をしていた 知っても尚平静でいられる筈など無いのに……… それでも1000年続く果てへと繋ぐ為に日々努力していると謂うのか? 竜胆は「飛鳥井の五芒星をもう一度ちゃんと弾く!」と答えた 康太は「それしかねぇな!」と答えた 星詠みの婆婆はその地図の上に世界軸のズレを計算して、ズレている部分に特殊な墨で五芒星を書き記した そして特異点を別の紙に緯度まで書いて引き直す様に言い、その紙を烈に渡した そして康太に向き直ると康太の星を詠み目を閉じて何やら探っていた かなり長い時間、微動だにせずいたが瞳を開くと 「主の未来は微妙にズレが生じておる! 何かを始めようとすると微妙にズレる様に変えられておるのじゃ! そして星さえも主等が見ても解らぬ様に細工をしてある 竜胆を見つけられなかったのは、そんな細工がしてあったからじゃと聖神には話した じゃから今現在ズレていても仕方がないと謂う事じゃ!」 康太はやはりそう来たか、と想った 「ならば今後は歪められない為に何をしたら良い?」 「それは星だけに頼っていては目が曇ると謂う事じゃろ! 天動説で星を詠んでいたならば、地動説で星を詠み解くとしたり手を変え品を変えて他に目を向けるのじゃよ! そして出た結果が同じならば、それが正解となる! 婆婆からはそれしか言えぬな…画期的な何かなど在りはせぬからな!」 「ありがとう婆婆 何時も助かってる!」 「炎帝殿、婆婆はお主らを助けられるならば、どんな力にも乗りたい……じゃが現実は無慈悲に画期的なモノなど現れたりはせぬ…… 今 一つ言える事は炎帝殿、気を付けられよ! 烈を狙ってもニブルヘイムが絶望せぬのならば………本体を狙って来る時が必ずある! 烈はそれを想って紫雲の後継を焦って探しておるのじゃろ………」 康太は烈を見た 烈は母を見て泣いていた 「母しゃん……」 康太は烈を抱き締めた 「絶対にレイを殺させたりなんかしない! だから烈、もう一度飛鳥井の五芒星を張るぜ! お前には今度はSPをちゃんと付けてやる! 身を護られて安心して五芒星を引けば良い」 烈は頷いた 竜胆はその光景を見て、烈だって不安だったのだと感じていた それでも先へ逝かねばならぬから、血反吐を吐きながらも歩き出すのだ 康太は「さぁ還るか!あれ?鳳凰は?」と問い掛けた 婆婆は「後で迎えに来ると下ろして逝ったのじゃ!」と伝えた 「魔界で何かあったのかよ?」 康太は不安気に聞く 「何、愛馬が出産するから気になるから駆けつけておるのじゃろ!」とにべもなく言い捨てた 「愛馬の出産………あぁ、鳳凰は愛馬をそれはそれは我が子のように大切にしてたもんな! 婆婆、鳳凰には青龍が連れ帰ったと伝えといてくれ!」と言い表に出て行った 榊原は青龍に姿を変えると、康太は烈と凛を乗せて「世話になった婆婆!またな!」と言い 空高く飛ぶ青龍と共に還って行った 青龍は時空の波に乗り気持ち良さそうに泳いでいた 「このまま飛鳥井まで帰りますか?」 青龍が言う 康太は「だな、用があれば何か言ってくるだろ?」と言うと飛鳥井まで飛んで逝っま 凛は時空酔いして口を押さえていた 烈は慣れてるのか?平気そうだった 凛は「おめぇーにゃれてるにょか?」と問い掛けた 烈は「ボクね黒龍に何時も乗しぇて貰っているにょよ!」と話す 「こくりゅー?にゃんだよ?それは?」 凛が言うと青龍が「私の兄ですよ!」と答えた 康太が四龍の兄弟の事を凛に話してやる 凛は成る程と納得した 飛鳥井の屋上が見えると、青龍は先に康太達を下ろして人のカタチに戻った 康太は時計を見るとそんに時間が過ぎてない事に気付いた 竜胆も時間を気にして「今何時だよ?」と問い掛けた 康太は「午後10時45分だよ!」と伝えた 竜胆は「直ぐに動くぜ!今宵五芒星を張るぜ!」と言った 康太と烈は頷いた 烈は応接間へ下りて行くと、婆婆が手直しした地図を取り出して、上に書かれた墨を緯度と経度を書かれた紙から割り出していく そして「新しい地図をくらしゃい!」と謂うと、榊原は部屋のPCを立ち上げて前回の履歴から地図を出してプリントアウトした そしてそれを烈に渡した 烈は新しい地図を手にして五芒星を書き込んだ そして特異点を割り出して其処に立つ者を書き込み、榊原に渡した 榊原は応接間のコピー機でそれを枚数分コピーする 烈はSPに特異点まで送って貰う事にして、凛、レイ、椋も起こされてもう一度飛鳥井の五芒星を引く事を伝えられた そしてレイには慎一とニックを護衛に着けた 烈はケントに護衛され、椋は一生、凛は隼人と新しくアメリカからやって来たSPのリック・村上を護衛に着けた 腕はケントの保証付きだった 日系二世のリックはカンフーから空手、剣道、テコンドーと格闘技に長けていた 烈、レイ、凛、椋、は即座に特異点へと走り 午前0時ジャストに五芒星を張る それは全開同様、変わらぬ作業だった 世界軸のズレにより場所が変わっただけの事だった 午前0時ジャストになると、皆は呪文を唱え始めた 今回は烈はSPに護衛されていると謂う事もあり安心していた 二度目と謂う事もあって五芒星はスムーズに引かれて行った 総ての衝覇を康太が特異点中央で受け止め、呪文唱え放出する キラキラ流れ星みたいに衝覇が四方八方へと飛ばされて逝く光景を見て、成功したのだと実感した 烈は「ケント、ボクはレイの所へ飛ぶから!」と言い、烈は姿を消した ケントは「烈!待て!」と止めようとしたが、目の前で烈は消えた ケントは即座に康太に連絡を入れた 「康太、烈が消えた!どうしたら良い?」 思い掛けない事を聞き、康太はレイの所へ飛んだのだと想った 『レイの所はマックが着いてたよな?』 「はい、兄が着いてます!」 『なら烈が用心しただけか? オレが飛ぶからお前は撤収してくれ!』と伝えた 康太は榊原を見ると、手を繋ぎレイの元へと飛んだ レイの元へと飛んだ烈は血だらけになりながらも闘っているニックを目にした そしてニック同様、慎一もレイを護る為に血だらけになりながらも闘っていた ニックと慎一が押されている……それはレイの命を狙われると謂う事なのだ……… 烈はレイの傍へ走り、レイを抱き締めた だがレイは眉一つ動かす事なく冷静だった 榊原と康太がレイのいる場に飛ぶと、ニックと慎一は血だらけになりたがらも闘っていた 榊原がその男の相手をする 康太は烈に警察に連絡したのかよ?と尋ねた 「まだ…だった」と謂うと康太は即座に警察に連絡を入れた 烈が男を呪縛の呪文を唱えて、呪縛しようとしていた 男は烈の呪縛で少し怯むと慎一とニックの二人がかりで取り押さえた 烈は康太に「多分頭にチップ入れられてるにょよ」と言った 「え?何故に確証でも在るのかよ?」と問い質した 「あれは人間が出して良い力じゃにゃいのよ! 頭にチップ入れた奴らは皆、人じゃにゃい力を出して自爆するって謂うにょよ」 「おい!アレ自爆するのか? 離れてなくて大丈夫なのかよ?」 「呪縛に雷混ぜたにょね スピーカー創る時に沢山雷貰ったから……ストックしたによね、それを混ぜたにょよ らから……痺れて自爆無理だから、今のうちに頭のチップ抜くにょよ!」 烈が言うとレイが暴漢に近付き、おもむろに頭に指を突き刺した そしてチップを手にして引っこ抜くと、男はガクッと意識を失って倒れた レイは血だらけのチップを康太に渡した 康太は唐沢に電話して「暴漢が来て護衛二人が血だらけだから即座に救急車に乗せて久遠の病院に搬送してくれ!そして頭の中のチップの解析頼む!」と頼んだ 唐沢は即座に動き救急車を手配してニックと慎一を久遠の病院まで運んだ そして手袋をして袋の蓋を開けるとチップを中へと入れた 榊原はレイの手をウェットティッシュで拭いた 康太は「唐沢、オレと伊織を久遠の所へ、そしてこの子供二人は飛鳥井の家まで届けてくれ!」と頼むと唐沢は黒いワゴン車に康太達を乗せた そして康太と榊原は病院に、子供二人は飛鳥井の家まで送り届けた 眠い烈は家に入るとレイと手を繋ぎ、自分の部屋に連れて行った そして洗面所で手洗いうがいをしてから、ベッドの中に潜り込み眠りについた 二人で寝るには狭いが、二人は互いを抱き締め合い眠りに落ちた 翌朝、烈は眠い目を擦りながら起きた レイも寝ぼけながらも起きて歯を磨き、顔を洗って身支度した レイの部屋には着替えが入れられ家具も入れられた 凛と椋の部屋も慎一の部屋を少し削り作った 元々、レイと椋の部屋は確保してあったのだ レイと椋はその部屋を使い、凛の部屋は慎一の部屋を少し削り作られた 元々慎一はそんなに広くなくても大丈夫と言っていたから、凛の部屋にと快く提供してくれたのだった これで3人とも自分の部屋を持つ事となった そのリフォームが完成して、3人は自分の部屋で寝起きしていた 烈は大きなイベントや相賀達の事を片付けねばならないから、当分は学校を休む事にしていた 時差もなく還って来られたから、サクサク動くつもりだった 朝起きて烈は即座に空を仰いだ すると紫雲の後継の星が輝いていて、烈は凛の部屋に急いだ 「竜胆!星が現れたぞい!」と宗右衛門の声で言う 竜胆は慌てて空を仰いだ すると紫雲の後継の星を見付けて、泣いた 「やっとだ、やっと、掴めたぜ!」 「誰の腹に入ったのか?探さねばならぬ それは総代の協力と【鴉】に調べさせて探ればよい!」 「解ってるぜ宗右衛門  昨日は済まなかった………お前が血反吐を吐きながらも明日へと繋げる作業をしているのに…終焉に向かっているなんて言って、本当に済まなかった!」 「飛鳥井は本当に終焉へ向かって滑り出しておった……今世程に酷い飛鳥井は儂は見た事がない程にな………歪んでおったのじゃ 源右衛門が高齢で目が届かなかった時間のロスは大きかった…… それもあり飛鳥井は支店を破棄して縮小せざるを得なかったと聞き儂は絶望の淵に突き落とされた気分じゃった じゃがな、儂は儂が産まれて来た意味を知っておる!儂は果てへと繋げる死命を授かっておる以上は悪足掻きしてでも、明日へと繋げると決めておる 竜胆、我等が死命を忘れねば、果てへと逝けるのじゃ…そう儂はそう信じておる!」 宗右衛門の言葉は想像を絶していた そんな中に稀代の真贋と宗右衛門がいたと謂うのか? 竜胆は気を引き締めた 「我が死命はこの命が尽きたとしても忘れはせぬよ!宗右衛門、そうだろ!」 「じゃな、ならば総代を使い動くがよい!」 「おー!そうするぜ! 幼稚舎が終わったら社長室を尋ねるぜ!」 朝から熱い激闘が蹴り広げられるのを、康太は暑苦しそうに目にして 「本当に熱いなお前は……」と言った 「うるしぇーや!」 「来年は年長さんだろ?凛 なのに小さいなお前……成長してもオレ位にしかなれねぇかもな!」 「うるしぇーや!」 凛は泣きながら言い返す 玲香は慎一が入院したと聞き、レイ達を起こしに来てそれを目にして、凛を抱き上げて慰め、康太にめっ!と怒った 康太は笑って凛を担ぎ上げてキッチンへ向かった 烈はレイと共に椋の部屋を開けると椋は起きていた レイは椋に「おはよー」と言うと、椋も「おはようごじゃいます」と返した 烈は椋に「りょー、今夜から紫雲の後継を捜索を手伝ってあけりゅのよ! 椋はダウンジングが得意だから、地図から的確な位置を割り出すの手伝ってあげて!」と言った 椋は静かに頷いた 玲香は「東矢は呪術や地脈を探るのが得意であったなそう謂えば! そうか、椋は東矢であるから得意なのじゃな!」と笑顔で椋の頭を撫でた 「ばぁしゃん」と椋は呟いた 「椋は宗右衛門を継ぐのであったな じゃが、継ぐと言ってもお主はお主にしかならぬのじゃ!烈と同じに考えずとももよいのじゃぞ!」 椋は静かに頷いた 烈は椋と手を繋ぐとレイと椋と共にキッチンへと向かった キッチンへ逝くと凛が既に食事をしていた 宗右衛門は「今宵から椋がダウンジングを駆使して、捜し物の手伝いをしてくれる! 椋の前世は地脈を探り呪術を得意として、竜胆お前と同様式神も飛ばせるのじゃ! まぁ呪術の方は鏖殺系に特化しておるが、跳ね返す呪術も持っておるからな!戦力になるのは間違いない!」と説明した 竜胆は「それは心強いな、流石宗右衛門が選んだ人間だな!」と言った 椋は無表情だが、心の中はそんなにハードル上げないでよ、と想っていた 烈は椋の瞳を射抜き嗤った 「椋、寡黙は美徳ではないぞ! 言わねばどんどんハードルが上がってしまうやもな!」ととんでもない事を言う 椋は東矢の声で「ハードル上げるなよ宗右衛門! 僕は本当に普通の凡人なんだから!」とボヤいた 凛は椋の肩をバンバン叩き「お前、怒れるんだな!ならば、今後はじーさんに文句言いまくれば良いさ! だけど無体を働くのは宗右衛門の特権だからな! 俺等はどんな無体も聞くしかねぇんだよ! だけどお前は宗右衛門を継ぐんだろ? 継いだとしても、こんなじーさんにはなれねぇのは確かだ! まぁお前はお前で良いさ、宗右衛門は軽く1000年以上は経験積んでるんだ、同じになんてなれねぇのは当たり前じゃねぇかよ!」と言った 宗右衛門は「儂を年寄り扱いするでない!」と怒るとレイのぐーパンが飛んで来た 「いたいって!れいたん!」 「れちゅ いじめるにゃ!」 「いじめてねぇよ!」 ポカポカ叩いていると、瑛太がレイを抱き上げた 「レイ、ちゃんと食べないと点滴になりますよ?」 と注意する レイは涙目で頷いた 椅子に戻すとレイは食事を始めた 烈は瑛太に「えーちゃん、ボクね今月は学校無理にゃの!」と伝える 瑛太は康太から神野の事務所の話は聞いていた そして【R&R】が大きなイベントを控えていると理解していた 「解りました、秘書に連絡させておきます!」と言った 今後も烈は学校よりも家の為に動かねばならないから学校を休むだろう 康太は多分その為に大学の卒業の資格を取らせたのだと理解する 瑛太は烈の頭を撫でた するとレイがじーっと見ていたからレイの頭を撫でる すると流生や翔、音弥、太陽、大空も瑛太をじーっと見ていた 瑛太はレイの頭を撫でてから、翔、流生、音弥、太陽、大空の頭を撫でた 瑛太は子供達に慕われて嬉しくて堪らなかった 食事を終えると烈以外の子は幼稚舎や初等科へと向かった レイも凛と椋も共に幼稚舎へと向かう 烈は竜馬に連絡を取った 「想ったより早きゅ、終わったにゃよ!」 とラインするとマンションの方まで来てくれ!とラインが入り烈はケントに護衛されてマンションへと向かった マンションのセキュリティーを解除して中へと入り自分の部屋に向かう 竜馬は自分の部屋があっても烈の部屋で過ごしているからだ 部屋の前に立つとドアをノックした すると竜馬が部屋から出て来て烈を抱き締めた 「怪我してないか?烈!」と心配して問い掛ける 烈は「してにゃいのよ!それより話を詰めにゃいとね、レイたん名簿のチェックしてくれたにょ?」と問い掛けた 「あぁ、全部終わらせてくれてる」 「にゃら面接ね!」 「その前に用心の為に戸浪の調査を暦也さんに頼んだんだよ! そしたら康太さん達も依頼して来てたらしくて、その報告が上がって来たから見るか?烈」 「そーね、それを見にゃいとね」と言い竜馬に調査報告を渡して貰った トナミ海運はコロナ禍の初期の段階で、他の客船でのクラスターから客足が遠退き、海賊に船を拿捕された件から経営が徐々に傾きつつあり、何とか踏ん張っているか厳しい状況に変わりなく、抜本的な改革、そしてシステムを入れたいと躍起になっている だがそんな資本投資出来るだけの資産は用意は出来ず、資産は日々目減りしていて、何年が先には確実に財務整理に入るしかない現状だと伝えてあった 「にゃんで此処まで……こうにゃったらセキュリティー云々じゃにゃいのよ! 真贋でも………どうにもにゃらにゃいのよ」と呟いた 竜馬は「どうする?烈、この会社は潰しても構わないのか?飛鳥井へどう繋がりがあるんだよ?」と問い掛けた 宗右衛門は「トナミは兄 流生の母親が副社長をしておる会社なのじゃ! 潰れたりしたら真贋の果ても狂うであろう…… それより我が友の父上でもあるからな、捨ててはおけぬな!」と説明した 「なら何とかしねぇとならねぇって事か? だが、ピンチだってのに他力本願なのが気に食わねぇんだよな?」と竜馬はボヤいた 「一度、腹を割って話さねばならぬな!」と宗右衛門は謂う 竜馬は仕方なく戸浪の携帯に直電した ワンコールで戸浪が出ると竜馬は 「宗右衛門が腹を割って話がしたいと言っている!他は入れるなよ! 烈を殺そうとなんてしてみろ!その場でお前を殺してやるからな!」と喧嘩腰で謂う 戸浪は静かにそれを受けて 「では秘書に料亭を取らせます! 其処へどうぞ、お越し下さい! 腹を割って話をするならば、私も総てを曝け出して話を致しましょう! そして二度とあの様な愚かな行為はする事はないと誓おう! 少し待って下さい!」と言い戸浪は秘書に料亭の部屋を取らせた そして料亭の名を告げるとその場でお待ちしております!と言い電話を切った 竜馬はハンズフリーにしていたから、烈は戸浪の言葉を一問一句聞き逃す事なく聞いていた 烈は「ならば料亭に逝くにょよ!りゅーま!」と謂うと竜馬はアルマーニのスーツに着替えた 烈も同じスーツに袖を通し、ゴムのネクタイをしてもらうと料亭へと向かった 料亭に着くと戸浪の秘書の田代が烈と竜馬を待ち構えていた そして田代が部屋へと連れて行くと、憔悴した戸浪が烈と竜馬に深々と頭を下げた 烈と竜馬は席に座ると戸浪は頭を上げた 烈は熱々のお茶を田代に淹れて貰うと、それを一口飲みお茶を置くと宗右衛門の声で 「若旦那、今更セキュリティーに頼っても総てが遅いと把握しておいでか?」とど直球を放り投げた 戸浪は「それでも私は経営者ですので、足搔いて足搔いて悪足掻きせねばならぬです!」と謂う 宗右衛門は目を瞑って暫し考えた 「飛鳥井清隆、玲香夫妻を世界一周の旅に出して貰えぬか?  まぁ忙しい二人故、世界一周は無理じゃろうが、時間が許す限り旅をさせてやってはくれぬか? その費用は1000万じゃったかな? その費用分は我等【R&R】が豪華客船の上でイベントを行おう! 夏に行われる国際大会の前イベントと抱き合わせてトナミの客船をアピールしてやろう! それで集客が増え、更にフルで稼働させれば、債務整理をする日はなんとか乗り越えられぬか?」 戸浪は信じられぬ顔で烈を見た 一度は心酔していた従兄に騙されて、烈を殺そうとしたのに………救いの手を差し伸べてくれると謂うのか? 「飛鳥井清隆さんと玲香さんを世界一周の客船に乗せて旅をさせれば宜しいのですか? それでトナミを救って下さると申すのですか?」 「足らぬならば、榊 清四郎と榊原真矢も乗せれば、噂になるし特集を組ませれば宣伝にもなる 客船が大丈夫だとアピールするには足りるであろう! 宣伝効果は絶大じゃろ! 竜馬、それで異存はないな!」 「俺は烈さえ納得しているなら、遺恨は残さねぇよ!だが少しだけ恨むかも知れねぇけど、それはあくまでも少しだから許してくれるよな?」 「まぁ少しならばよい! 人は支え合い明日を築くのじゃ! 一人の力など微々たるモノだと想えても、人は協力し合うと強大な力を放つのじゃ! 人は人に助けられて生きておる! しかも煌星と海は我が学友、見捨ててなどおけぬ! まぁ烈は祖父母孝行したいと謂う願いがある トナミは引け目を感じず救いの手が欲しい 互いが同じ方向を向いておるならば、それはその手を掴まねばならぬと謂う事じゃ!」 戸浪は泣いていた 祖父 宗玄が口にした言葉だったからだ…… 宗右衛門は「竜馬、この料亭に相賀や須賀、神野を呼ぶのじゃ!」と謂うと竜馬は電話を掛け始めた 烈は「食べ物にゃいの?」と食事の催促をした 田代は慌てて御膳を運ばせた 烈の特別にヘルシーなメニューで作らせた御膳だった 烈は御膳を目にして「田代、解ってりゅのね!」と言い御膳を食べ始めた 部屋に戻って来た竜馬は「待ってて下さいよ!」と文句を言った 「お腹へったにょよ!」と烈が言うと仕方なく竜馬も御膳を食べ始めた そして食べ終わると「相賀さん達が来ますけど大丈夫ですか?」と問い掛けた 田代は「大丈夫です!」と言い御膳を戸浪の前に置いた 戸浪は食べなかった 宗右衛門は「馬鹿者!」と戸浪を叱り付けた 戸浪はハッと烈を見ると、烈から頬をペシッと叩かれた 「戸浪海里、食べねば明日を迎えられはせぬ! 体力のない者から篩い落とされるのじゃ!  嫌ならば食べろ! 明日を生きる為に食べろ!解ったな!」と謂うと戸浪は食べ始めた まるで祖父に謂われているみたいで、泣きながら食べていた 相賀達の到着を告げると、烈はお絞りを手にして戸浪の顔を拭いてやった そして涙の跡を拭った後に「これでよし!男前じゃ!」と言って席に着いた 相賀と須賀と神野は呼び出され慌てて料亭へと駆け付けた 料亭に来ると田代は皆の分の御膳を運ばせた 烈は熱いお茶を啜りながら、皆が食事を終えるのを待つ 食事を終えると相賀に宗右衛門の声で 「相賀、清四郎夫妻の船の旅なるものを特集で流せる番組はないか?探してはくれぬか?」と問い掛けた 「清四郎夫妻の船旅ですか? その手の番組に聞いてみます!」 「清四郎夫妻は時間が許す限り船旅に出る予定じゃ!それを取材して欲しいのじゃ!  世界一周は流石に無理じゃが、楽しい船旅が送れれば良いと考えておる 夫婦の旅の記念映像じゃからな、楽しい顔を沢山撮って欲しいのじゃ! その旅には我が祖父母も同行する故、バンバン顔は撮っても良いから探してはくれぬか?」と問い掛けた 相賀は「解りました!番組に当たってみます!」と謂う 「ならばその礼にジャミングの機械を入れる事を、約束する!」と言った 相賀は「宜しいのですか?」と問い掛けた 須賀も神野も「我らも惜しまぬ協力します!」と謂うと宗右衛門は 「ならば相賀と須賀の事務所を視てやろう! その上で何処にジャミングをしたらよいか決めて設置してやろう! 三社共同で、事務所を構えるとか言っても事務所での話とかはあるからな必要なのじゃよ! 神野、お前の事務所は移転させる故、事務所が決まったらジャミングを入れてやろう! そして今の事務所はコンビニがまいばすけっとみたいなスーパーにするのじゃ! そしたら家賃収入得れるし、損はなかろうて! 烈の好きなスーパーのバーニーズとか入るならば烈は毎日通いそうじゃがな!」と笑った バーニーズと謂うのはアメリカ発祥の多目的スーパーだった アメリカのお菓子とかヘルシーなお菓子とか沢山売ってるスーパーだった そして戸浪に「番組が決まったら豪華客船の旅を用意するのじゃぞ!」と言った 「はい!解っております!」 「船旅は歳を重ねた者がゆったりと時間を満喫して送れる旅であるからな 真矢達の世代をターゲットに出来たら、リピーターは獲得出来たも同然じゃろ?」 と宗右衛門が言うと戸浪は、起死回生の糸口を見つけ出したみたいで、ホッと息を吐いた 「相賀、須賀、神野、国際大会の話をホテルに移りするとするのかのぉ〜!」と謂うと立ち上がった 竜馬は烈からこっそりカードを渡されると、支払いに向かった そしてそのまま烈と共に外に出てホテルへと移動した 竜馬は烈にカードを返した このカードは【R&R】から支払われる利益を入れてある銀行から発行されているデビッドカードだった 無論、クレジットカードもあるが烈は未成年だからデビッドカードを好んで使っていた それとは別に烈は両親から毎月貰っているお小遣いとか、お年玉を入れている通帳も持っていた 使い道がないから溜まり放題だから、そのうち両親に旅行でもプレゼントする予定だった 戸浪は支払いに田代を行かせると、既に支払われた後だと謂われた 烈がどうやら支払ったみたいだとお店の人に支払いの明細で知らされた 戸浪は烈の想いを噛み締めて、我が子の為に頑張らねば!と踏ん張るのだった 田代はその姿を見て安堵した 不眠不休でろくにご飯も食べずに働き続けていた戸浪の顔ではなかったからだ 憑き物が堕ちた様に、戸浪の顔は生き生きとしていた 竜馬は烈を乗せてホテルへと向かう  途中コンビニに寄り水を人数分買って、烈のカニバンを買ってからホテルへと向かった  烈はニコニコとご機嫌だった 母の好きなホテル・ニューグランドの一室を借りたからだ 車を停めてホテルの中へ入ると、相賀、須賀、神野が既に待っていた 烈と竜馬と共に部屋へと向かう 部屋に入ると烈は途中コンビニに寄り買った水を皆の前に置いた 竜馬は皆の前に書類を置いた 全員がその書類に目を通したのを確かめると 宗右衛門は「それでは話を詰めるかのぉ! 須賀、日程を決めて面接を入れてくれぬか? 神野は早急に事務所の移転じゃな! 相賀は国際大会前日に豪華客船でセレモニーを開く事をテレビ局に伝えて段取りを頼む! 【R&R】の裏方メンバーを出す故、頼めるか?」と矢継ぎ早にそれを伝えた 須賀は「レイが大丈夫と言ってくれた子達からは面談するに当り守秘義務の書類にサインをさせました!」と言いその書類を烈の前に出した 烈はその書類を竜馬に渡した 竜馬は「確かに受け取りました!では日程を決めて下さい、我等の創り出す世界観に合うか面接を致しますから! あ、我等の面接は企業がやってる面接とかではないです! それだけは了承して下さい!」と言った 須賀は頷いて了承した 面接の日を決め、国際大会前夜祭セレモニーの依頼をテレビ局に打診し、その後は三社共同の事務所の話となった 竜馬は「何処に事務所を持ちたいか希望はありますか?」と問い掛けた 須賀は「都内か遠くて横浜近辺で!」と言った 神野も「俺の事務所もその辺に移動させた方が賢明かな?」と呟いた 隼人の為だけに今の場所に事務所を構えたが、所属してる俳優や女優、ミュージシャンも増えて今の場に留まる事もないと想い始めていたのだ 烈は地図を取り出すと、透明のトレーシングペーパーを3枚取り出した そして物凄い数字の羅列の並ぶ紙をそれぞれに渡して「間違いないか確かめて!」とと言った 紙の一番上には名前と生年月日と生まれた時間と土地が書かれていた 3人は【間違いないです!」と言うと、透明のトレーシングペーパーを地図の上に置いた 宗右衛門は「天動説 地動説の星詠みからホロスコープから詠み解いたお主達の運気の上がる最高の地を指し示した場所じゃよ!」と言った 相賀は「ホロスコープ?宗右衛門殿はホロスコープが出来るのですか?」と問い掛けた 「星詠み、ホロスコープ、占い呪言は死命として使わねばならぬのじゃよ!」と答えた 宗右衛門は重なる☓の部分を指差し 「主らはこの地に事務所を構えるとよいぞ!」と言った 須賀はその住所をタブレットに入れて即座に検索を掛けた その場は東京へ行くには上に高速が通っていて、近くに高速の料金所もあり、交通の便は最高に良く、飛鳥井建設からもそんなに遠くない横浜市に建つ建物だった タブレットから建物の外観を見ると、年季は入っているが普通の5階建ての建物だった 相賀はそれを目にして「宗右衛門殿はこの建物がどの様なモノなのか?解っておられるのですか?」と問い掛けた 「定めじゃからな、その地に行くしかないのじゃよ!建物が少し草臥れておるがフルリフォームすれば使えぬ事もない!」とサラッと言った 須賀は大島てるで事故物件じゃないか?と検索を掛けた すると見事に炎マークが着いていた 「事故物件じゃないですか!」と須賀は青褪めて言う 宗右衛門は「出るならば追い払えばよい! それだけの事じゃろ!」と簡単に言う 神野もその物件を検索して「バラバラ……殺人……女の人が夜な夜なでる…… 首吊り自殺も耐えぬ物件」との記事に携帯を落とした 須賀は「宗右衛門殿はお見えになられるのですか?」と恐る恐る問い掛けた 「…………それは見事に見えておるぞ! 真贋も儂も眼を持っておるからな、見えてしまうのじゃよ!」 「宗右衛門殿は除霊は出来るのですか?」 「呪術全般は得意じゃよ! じゃが霊などレイから水を貰ってあっちこっちに吹き掛ければ清められるからな そこまでの心配はせぬともよい! 康太と伊織を事務所に招待しちゃえば、霊など裸足で逃げ出すだろうし、そんな心配はせぬともよいと申そうぞ!」 神野は「このビル………大家は誰なんだよ!」と問い掛ける 「このビルは売りに出されておる しかも安値だぞ、いっそ買い取って神野の事務所はその中に置いてもよかろうて!」 3人は話し合い始めた 須賀がそのビルの売出しの物件を検索する 案外安く売りに出されてて、3人で買うならば手の出る範囲だと想うが………決断には踏み切れずにいた 烈は仕方なく「母しゃん、話しがにゃんこうしてるから、来てくれましぇんか?」とラインした ホテル名と部屋番号もラインすると 『了解した!直ぐに行ってやる!』と返って来た そしてそんなに待つ事なく康太が榊原と共にやって来たのだった 康太はソファーにドサッと座ると、テーブルの上に出されている地図とホロスコープを手にして 「流石、宗右衛門だな めちゃくそ的確に数値だしてあるやん! 言っとくけど、飛鳥井で宗右衛門の右に出る者はいねぇからな! オレでもそこまで緻密な計算は出来ねぇからな!」と言う 須賀は情けない顔をして 「ですが………此処は………」と口籠った 「女性がバラバラにされて殺されてるんだろ? それも、一人や二人でもなく 自殺者や部屋で首吊ったのもいるバリバリの事故物件だな!」 と言い康太は笑った 3人は震えて………そんな場所なんて冗談じゃないと口々に言った 康太も「霊なんてのは何とでもなるんだよ! 烈にチョチョイと祓って貰うか、手におえないなら神楽でも鷹司でも祓い屋は今もいる だがこの程度なら烈が祓わなくても、レイの水でなんとかなるだろ?」と意図も簡単に言う 相賀は「宗右衛門殿も先程からレイの水でなんとかなると仰ってますが、そんなにレイ君の水は凄いのですか?」と問い掛けた 康太は唐突に「ニブルヘイムって知ってるか?」と問い掛けた 3人は突然何を聞くんだ!!と言葉を失った そんな中須賀はニブルヘイムを検索した 「冥府の近く深くで闇を浄化する神……の事ですか?」と問い掛けた 「あぁ、そのニブルヘイムがレイなんだよ!」 ええええええええええええええぇ!と3人は茫然自失となった 何か簡単に言いましたね? 簡単に言っちゃいましたね?????? 「ニブルヘイムは聖神、謂わば烈の為だけに転生し今はレイとして生きているんだよ! だから霊なんて水を振り掛けておけば除霊出来るだろうし、闇を纏うモノなんて近付けも出来ねぇんだよ!」 ………それは凄い………凄過ぎる……言葉なんてなくなるよ 3人はそう思った 康太は「だからな烈が弾き出したこの場所は最高の運気がある場所だと言っても過言ではないんだよ! 烈にホロスコープを視て欲しいと謂う輩は3年待ちで、今も新規の顧客が順番待ちしているんだ! それを視て貰えただけでも有難がたいと思った方が良いぜ!」と言った 相賀は「ならば私が私財を投入して買いましょう!」と言った 宗右衛門は「ならば霊は儂が片付け、レイに綺麗な空間にして貰うと約束しよう!」と謂う 竜馬は「ならばお引越しのお祝いにジャミングのシステムは入れますのでお任せあれ!」と言った 神野も「和成さん、その費用は我らも使うので折半でお願いします! 俺の事務所を其処で構えるならば、少し上乗せします!」と申し出た 須賀も「其処まで言って下さるのならば、和成さん3人で折半で買いましょう!」と言った 康太は烈に「アンソニーを呼べねぇか?」と言うと、竜馬が「呼びますので、その時、戸浪にもファイアウォールを入れて下さい!」と頼んだ 康太は笑って「恨んでるんじゃないのか?」と問い掛けた 竜馬は唇を尖らせ「恨んでますよ!でも烈は少しならば良いと言ってくれたから……」とボヤいた 「なら少し恨んでて良いぜ! お前の大切な者が傷付けられ、下手したらその手に二度と抱けなかったも知れなかったんだ! 少し位恨むのは仕方がねぇ事だ!」と言い、竜馬の頭を撫でた 「こーちゃん」 竜馬は昔呼んてた呼び方で康太の名を呼んだ 「うしうし!動き出したならば止まるなよ竜馬!」 「解ってるよ!」と言い竜馬は胸を張った 康太は「神野、おめぇの事務所、そこで構えたらどうよ?」と問い掛けた 「そうします、それが一番良さそうだから」 「ならば出入り口はセキュリティー必要だな 完璧なリフォームも必要だな!」 康太がそう謂うと相賀が「ならばこのビルは今売りに出されてる事もあり入りやすい 儂の事務所総てを此処へ移転するとする!」と申し出た 須賀も「ならば我が事務所も此処へ移転するとします!ワンフロアー毎に事務所を構えてはどうです?」と提案した 宗右衛門は「このビルは5階建てじゃからな ワンフロアーずつ事務所を構えて、重要機密書類は最上階の一部屋を厳重なセキュリティーを入れて保管する部屋にし、後は会議室にすればよい 最上階は特にセキュリティーを強化して漏洩を避ける まぁ一階は潰してオートロックのセキュリティーを入れるて猫の子一匹入れぬシステムが必要となるな!」と言った 宗右衛門の言葉を聞き、竜馬は 「ならばこのビル丸ごと鳳城葵に依頼して、東堂御影と共同で倭の国に特化したセキュリティシステムを作らせるとするか! このビルをモデルシステムとして、試行錯誤して作らせて成功したら倭の国に特化したセキュリティシステムとして売りに出せるしな! 取り敢えず、このビルとトナミで試験的に作動させてみるか?」と提案した 宗右衛門は「そうじゃな、ならば即座に連絡して落札したら即座にビルに来させるとしよう! で、此処からが本題じゃ! このビルを買ってフルリフォームやるだけの費用は捻出出来るのか?」と問い掛けた 須賀は「ビルは何とかなりますが、リフォームはローンで乗り切るしかありません!」とキッパリ言った 相賀も神野もローンを組むしか無いと言った 宗右衛門は「主らは氷室エンターテインメントって謂う音楽事務所を御存知か?」と問い掛けた 神野、相賀、須賀は顔色を変えた 最近急成長している芸能事務所で、三社の仕事がボツにされてしまう程、粒ぞろいのタレントを所有する事務所だった 「主らの仕事は根こそぎ、この事務者に流れていっておるな! 謂わば潰しに掛かっておると謂う事じゃ! 踏ん張らねば明日は拝めぬと申そうぞ!」とキツい一撃を3人に御見舞した 相賀は「言葉もない……真矢が春先暇にしていたのは、そんな理由があったからです!」と内情を吐露した 須賀も「我が社も痛手を負っています、このまま続くならば考えねばならなかった……」と言う 神野は「隼人も笙もその事務所から引き抜きの打診を受けたと言っていた 断ったら妨害工作だ……」と内情を話す 宗右衛門は「今 此処で国際大会の開会式の話が出たと言うのは、全く同じ演出でもする気で、【R&R】が盗作でとしたと難癖を着けて来るやも知れぬな! ならば偽の開会式の演出を作成して、本番は違う演出で行う!そこまて用心した方が良いかも知れぬな!」と警戒して言う 康太は「ならば開会式までは今の事務所で偽の情報でやり取りして向こうを撹乱してやったらどうよ!」と提案した 烈は「母しゃん天才!」と喜んで言った 須賀は「それは良いですね、ならば開会式が終わるまで偽の情報を垂れ流ししますか!」と笑った 神野も「それが良いな、俺の事務所なんてセキュリティースカスカと言われたからな、このまま流し続けてやるさ!」とヤケクソになり言った 竜馬は「ならば正式な此方からの連絡は【R&R】の裏方がバイク便で午後3時キッカリに届けてるので、それに従って下さい! そしてホテルで部屋を取るのは料金が嵩むので、高輪に三木萌子、俺の妹なんですが部屋を使っても良いよ!と言ってくれたので、そこで話し合いましょう! そのマンションは全身セキュリティーチェックされるので、頭にチップ入れた奴なんて入り込めないし、先に届けをしておかないと入室の許可はされないシステムなので事前に登録してもらい、許可が降りたらそのマンションで話し合いを致しましょう!」と告げた 須賀は「頭にチップ入れた輩って、アメリカで話題となった自分の意志とは反対に司令を受けたら絶対に完遂するまで完璧にコントロールされ、人を殺せと命令されたら意識下にそれは働き眼の前に出て来た瞬間殺しに掛かる………と話題になった話かい? 倭の国ではその事例は発表されていないんじゃないのかい?」と問い掛けた 康太は「昨夜、慎一とニックが頭にチップ入れた輩に殺されかけたぜ!」と言うと3人は青褪めた 「夢物語じゃなくな、現実に埋め込まれた輩が動き出し始めただけの事だ そのチップにしても大分前に入れたモノだとオレは想うんだけど違うのか?宗右衛門」 「儂も黒い涙を流した以前に仕込んでおったモノじゃと想っておる! レイが雨を降らす可能性を考慮して、自分が動けない間の布石として打ったのじゃろう! 如何程の人数にそれを入れたのか? それが問題なんじゃが………解らぬのが悩みじゃな!じゃが電気を流せば自爆は遅らせられる! それが証明されたから、儂はまた電気を集めに行こうと想うのじゃ!」 建御雷神は死ぬかと思った程の雷を搾り取られたと言っていた なのにそれ以上は………逃げ出すかも知れない 康太は「研究室に行けば雷は好きなだけストック出来るから親父殿を虐めてやるな!」と言った 「いじめてにゃいのよ! 雷がひつよーにゃのよ!」と烈は言った 「機械の雷じゃ駄目なのか?」と打開策を口にする 「駄目じゃにゃいけど、神由来の雷と機械の雷だと質量が違うにょよ!」 「………だったら親父殿に堪えてくれと言っておくわ!」 どうやってストックしてるかは解らないが、機械じゃ駄目だと謂うのだ、親父殿には泣いてもらうしかない……… すまねぇ………親父殿………烈にまた雷搾り取られてくれ………と思った 康太は「そうと決まったら動くか?」と問いかけると皆は頷いて立ち上がった この闘いに勝ち残り………明日を刻む為に…… 歩き出した

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