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第26話 協心戮力

その日 クリストファー・オブライエンは飛鳥井建設にアポを取り会長、社長、副社長、真贋に逢いに来ていた 取り敢えず来賓が来る為の部屋へお通しした 清隆や瑛太はクリストファー・オブライエンが来るとあって内心バクバクだった 何をしに来るのよ? セキュリティのお金、実は払って?とか? と色々と考えて止まらなかった 英国紳士然としたクリストファーは笑顔で 「烈の御家族に逢えて嬉しいです!」と言った その言葉に感激以上のモノは感じられず、清隆と瑛太はホッと安堵し肩の力を抜いた 清隆は「私達の方こそセキュリティのお礼も致しませんで申し訳ないです!」と素直な言葉を英語で返した 瑛太も「今回はどの様なご要件でお越しになられたのですか?」と単刀直入に問い掛けた クリストファーは「倭の国にビルを建てたいのです!【R&R】が、と謂うよりも烈が幾つか持っている会社をそのビルの中に纏めて入れて、尚且つ【R&R】の支社をそこに作る! その為に飛鳥井建設と飛鳥井施工に頼もうと想い参りました! 施工の方は貴方達の方から依頼を頼みます! 私はこの足でイギリスに帰らねばなりません 少し烈の様子を見てからにしたかったのですが………本国から早く帰れ!とせっつかれてますので、そう謂う訳にも行きません! ですがビルの依頼だけは私の口から依頼すると決めていたので、来社させて戴いたのですよ!」と言った 清隆は「ビルのご依頼………ですか?」と言った 「そうです!我が息子 ヘンリーを置いて行きます! なので詳細はヘンリーと詰めて下さい! そのビルはオブライエンの倭の国の支社も入ります、なのでかなりの敷地面積を必要とします オブライエンはトナミとも共同で事業を展開しておりますので、その他に何かをやろうと考えています 残念な事にオブライエン一族は建築は所持してないので、飛鳥井と事業提携が出来ない事だけは残念でなりません!」 話が壮大過ぎて事業提携なんて、とんでもない!と想った だがそんな清隆や瑛太の内心を置き去りにしてクリストファーは続けた 「ですが、我が妻の方の家系に有名な設計事務所がありました! そちらの方と是非とも提携し、より良い世界に名を轟かせるビルを建てましょう!」 と言いクリストファーは名刺を差し出した 清隆はその名刺を受け取り……唖然となった 名刺にはレーニングプロダクションの名が示されていた 瑛太も世界に馳せる設計事務所を目にして 「我が社じゃ足元にも及びませんよ!」と言った クリストファーは「yuta asukaiはseiichi wakitaの弟子だとか? masato kise もいるのならばコラボすれば彼等はもっと学び吸収して力を付けるでしょう! その為のコラボだと想いなさい 倭の国の人間は謙虚で礼節を尊ぶ存在だが、眼の前にあるチャンスを掴むのは誰もズルいだなんて想いやしません 寧ろ、そんなチャンスが降って湧いてくるならば、誰かを蹴落としても自分が掴み取りたいと想うでしょう!」とズバッと言った 清隆は「ならばそのチャンス、摘み取りましょう!」と言った 瑛太も「願ってもないチャンスですからね!」と謂う クリストファーは笑って「それで良い!」と言った そして慌ただしく「後は息子と連絡を取り決めて下さい!」と言い来賓室から出て行った 外に控えている秘書が早くして下さい!と文句を言っていた 忙しいのに烈を見に来日して来ていたのだ 仕事も停滞させているのだろう 清隆は「彼はずっと烈を見舞っていたのかい?」と問い掛けた 康太はクリストファーを視て「見舞ってはいない、【R&R】のメンバーはまだ烈の見舞いはしていないから、彼も烈の機能回復訓練を見て還って行っただけだと想います」と答えた 榊原も「烈に聞いたら竜馬さえ見舞いには来ていないと言ってましたから、康太がオブライエン氏を視なのでしょう!」と言った 瑛太は「あんな駆け寄ってもう機能回復訓練なんかしなくて良い!と言い出したくなる烈を見ていたと謂うのかい………」と言葉をなくした 駆け寄りもうこんな苦しい思いをするならば、やらなくても良い!と言いたくなる だがそんな事をしたら辛い目に遭うのは烈なのに……黙って見てなんかいられない だから清隆も瑛太も個室に見舞いには逝くが、機能回復訓練は見ないと想っているのだ 「烈………やはり後遺症出たのですよね?」 脳があまりにも傷付き過ぎて、烈は視力を落とした まだそれだけなのかは?解らなかった 視力ならば何とか出来ないかな?と思案する 真髄師は今回使えないかな? 視力だから無理かな? 一度八仙の所へ行って聞いて来なければ!と考えていた 「まぁそんなに深く考えなくても大丈夫だろ? 久遠が烈を治してくれると言ってるんだし!」 と父と兄を安心させる言葉を言う 「一度聞いて来ねぇとな」と康太が呟くと 「ならば1週間不在なる覚悟で仕事を上げますか?」と榊原が言った 康太は「だな!」と言い「父ちゃん、瑛兄!お仕事だ!クリストファーが出たなら烈の所へ設計 製図の部署の名簿を持って行ける様に準備しといてくれ! んでもって就業後見舞いに行く時に渡しといてくれ!」と言い来賓室を出て行った 榊原は「八仙に真髄師呼んで貰いますか?」と問い掛けた 康太は「だな、でも今回ばかりはどうなるか?解らねぇからな聞くだけしてみるわ!」と言った その日 榊原は物凄いスピードで仕事を上げ瑛太の部屋まで尋ねて行った ドアをノックされ開けたら榊原がいて、瑛太は烈の事で動くのだろう、と考えた 部屋に招いて「どうしました?」と尋ねる 「今宵から少し留守にします 話が着いたら良いのですが、長引くならばまた連絡を入れます、以前烈のビッコを治してくれた人の所へ尋ねて見ようと想います!」と言った 瑛太は「烈の事ならば会社は我等に任せておいて構いません!なので烈の為に動いて上げてください!留守の間は私と父として会社を見回ります 烈に頼まれていた事もあるのに………振り出しに戻り、私も京香も残念に想っていた所です!」と言った 「え?烈に頼まれていたって?それは?なんですな?」  「それは秘密です! 私が言ってしまったら烈の想いを無下にしてしまいますからね!」 「解りました、取り敢えず何日で帰れるか?解りませんが、1週間は留守にすると想って下さい!」 と言い榊原は社長室を後にした 副社長室に戻るも康太にポンポン判を押させ副社長決済をどんどん上げていく 最低でも1週間は留守にするつもなので、そこまで位は仕事を片付けて後は秘書に任せて康太と榊原は会社を後にした 飛鳥井の家に行き屋上に上り龍に姿を変えた青龍の背に乗り崑崙山へと向かう 青龍は天高く飛び上がると時空の流れに乗った かなり長い間、暗闇が続き開けた場に出ると、そこは崑崙山だった 青龍は先に康太を下ろすと人の姿に変えた 八仙の屋敷に入ろうと近付くと八仙がフワフワと浮いて姿を現した 「そろそろ来るであろうと想い待っておったわい!」と言った 康太は「オレ行くって言ってないよな?」と問い掛けた 「素戔嗚殿が烈を見舞った時、こんな状態の烈を炎帝達は放ってはおかぬだろうから、来るやも知れぬぞ!と野菜を持って来て下さった時に仰られていたのじゃよ で、真髄師もお呼びしておいたのじゃよ!」と八仙は屋敷の中へフワフワと入って行った 康太は「ったく伯父貴には全部お見通しだったのかよ?」とボヤいた 榊原は拗ねた妻を宥めつつ、八仙の屋敷へと入った 屋敷の中には真髄師が既に座って、烈の作った甘いフルーツを食べていた 「待ちくたびれたぞ!」と文句を言いつつ 「このテカチゴ美味しいな!」と夢中になり食べていた 康太は「デカチゴ?何だよ?それは?」は不思議そうに問い掛けた 八仙は「あの人の世のイチゴみたいなフルーツに命名していたのじゃ! 甘くなったら絶対にデカチゴと名付ける! とな、だからデカチゴと謂うフルーツなのじゃよ、真髄師が食べてるフルーツは!」と説明した 康太は「伊織………」と名を呼んだ! 榊原は「解っています、烈のネーミングセンスは君と同等か、それ以上なのでした」と妻を宥めた 康太は「オレは幾らイチゴに似たデカいのでもな、デカチゴとは名付けねぇよ!」と怒った 「ならどんな名付けるんですか?」 「デカイチ!」 榊原は「変わりませんよ………」とボヤいた 「えー、ちげぇよ!」と康太は文句を言ったが 榊原は真髄師に「烈が頭部を損傷して、視力が落ちたのですが、治りませんか?」と問い掛けた 真髄師は真面目な顔をして 「頭部陥没で脳に損傷食らったのであろう?」と問い掛けた 「…………そうだ……治せねぇか?」 真髄師は考え込んだ そして「骨や整体ならばある程度は治せるが、脳となると話は別じゃよ」と説明した 「なら無理と言う事か?」 「まぁ儂の話を聞け! 漢方を1週間分持って来てるから後で渡す じゃから毎週漢方を取りに来い 儂が出す漢方は特殊でな、最低でも一ヶ月は続ける事を約束しろ! そしたら傷んだ細胞は修復を始めるじゃろう じゃが即座にロボットじゃあるまいし、倍速の速さで治る事はないが徐々に元には戻るであろう! で、儂は1週間分漢方を八仙の所へ置きに来る で、報酬の話をしようではないか!」 「報酬、それは魔界銭か?」 「そんなの貰ったとて何もならぬから、要らぬよ!」 「なら何だよ? 今まで報酬なんて要求して来なかったじゃねぇかよ?」 「いやいや、報酬は貰っておったよ 八仙から入手困難な漢方を引き換えにしておっただけじゃ!」 「ならば今回は違うんだな!」 「あぁ、1週間分漢方を持って来た時に、烈殿が作ったデカチゴを家族にも食べさせたいので欲しいのじゃよ! でも今は作ってないと申すからな………」 「ならばオレがクロスに掛け合って来るから少し待て!」と言い康太は榊原と共に外に出ると 榊原は青龍に姿を変え、その背に妻を乗せた 「畑かな?」 「あの方はかなりちっこいので分かりづらいです でも取り敢えず畑に行きますか!」と言い畑へと飛んで行った 畑に到着するとそこには何と素戔嗚尊がいた 康太は「伯父貴!」と叫ぶと素戔嗚尊は 「おぉ!やはり参ったか!」と笑った クロスは素戔嗚尊の肩に乗っていた 青龍は人に姿を変えると康太の横に立った 「お!クロスに話があったんだよ!」 クロスはそう言われ驚いて「何ですか?話って!」と言った 「烈が名付けたデカチゴなるフルーツを作ってくれねぇか?」 「今素戔嗚殿に頼み受粉している所です 本当は烈が来るまで作る気はなかったのですが、ジャム成るレシピを烈が大歳神に渡したので、そのレシピ通りに作りたいと素戔嗚殿が言うので、試作品の為に今は大量に作っているのです!」 「ならば1週間に一度八仙の所へそのフルーツを届けてくれねぇか? 烈に漢方を頼んだんだよ、そしたら真髄師が代金の請求しやがって、それがデカチゴなんだよ!」 と康太は事情の説明をした クロスは「解りました!また烈に魔界に来て貰わねば、新しいのが作れませんから、是非とも協力します!1週間に一度、そのデカチゴを差し入れすれば良いのですね ならば幾つ位所望なのですか?」と問い掛けた 康太は数まで聞いて来なくて大きな声でヤケクソで「幾つだよ!八仙!」と問い掛けた すると「最低でも1つじゃ!」と大きな声で帰って来て驚いていた 「ビックリした!まさか返事があるとはな」 康太は平気そうな顔でそう言ったが、クロスは想わずチビリそうになった程驚いたのだ 涙目で「解りました、今日は1つしかありません!持って行って下さい!」と言い大きな籠にデカチゴを1つ素戔嗚尊に入れて貰い渡した 康太は「すまねぇ!クロス………大丈夫か?」と言い涙を拭ってやった 素戔嗚尊はクロスをヒョイッと胸ポケットに入れて「大丈夫じゃよ!炎帝!」と言い安心しろと言った 青龍は龍に姿を変えると康太を背に乗せて天高く飛び立った そして八仙の屋敷の前に降り立ち、青龍は人の姿になると屋敷に入って行った 康太は「話は付いた!1週間に一度誰かを畑に出向いかせてデカチゴを貰ってから来させる事にした!」と話して籠に入ったデカチゴを渡した 真髄師は康太に「此れは一日3回、食前に飲むと良い!」と言い1週間分の漢方を渡した 真髄師は「烈殿には早く治っていだかなねば、時折崑崙山にてラルゴ殿と烈殿とお逢いする時、珍しい野菜の差し入れをして戴くからな 今回は烈殿が「近いうちに成功したらあげるね!」と約束していた故…請求してしまった 妻と子や孫達にデカチゴを食べさせてやりとうてな!無理を言った 無理を言った以上はより一層努力して、漢方をお作り申す!」と言い足早に去って行った 榊原は真髄師がくれた漢方をポケットにしまうと 「それでは我等も帰りますか?」と問い掛けた 八仙の屋敷を出て早々に帰る気満々でいる 康太は「早目に用が終わったから、少し魔界を見てから帰るとするか?」と問い掛けた 「………私は今………親父の顔は見たくありません!」 「見なくても良いが、烈が裁きに来る時お前はどうするのよ?」 「………殴り飛ばして良いですか?」 「赤いのも朱雀も竜馬も頑張ってぶっ飛ばすそうだから、良いんじゃね?」 「素戔嗚殿は………殴らないのか?」 「どうだろ?聞いてねぇから解らねぇよ ならば大歳神に聞きに行った方が早くねぇ?」 「大歳神は今人の世ですよ?」 「なら帰るか?」 と話をしていると、閻魔が「兄には挨拶もなしに帰ってしまうのですか?」と馬を走らせてやって来た その後ろには黒龍もいた 「我が夫が金色の金運上がりそうなのに逢いたくねぇんだってよ!」 黒龍は「ならば逢わずともよい!そもそも親父殿は家に幽閉中みたいな生活送ってるから、外に出るなんて事はねぇよ!」と吐き捨てた 康太は眉を顰めて「それはどう謂う事だよ?」と問い掛けた 「烈が裁きを下す日までは、親父殿は外へは出ないとの事だ! そう決めて親父殿は幽閉中の様な日々を送ってるんだ! 素戔嗚殿が誰も裁く事は許さない! 儂に楯突いて裁く気ならば儂を倒して征け! この件は我が孫聖神が下す!と魔界中に宣言しただから、親父は烈が来るのを待っているんだよ 素戔嗚殿が宣言した以上は、閻魔さえも手が出せねぇんだよ!」と黒龍は説明した 康太は「烈か……今はまだ魔界にすら行く事は無理だな!まだ歩く事さえ出来やしない!」と状況を説明した 閻魔は「ならば何故崑崙山に?」と問い掛けた 「真髄師を頼って来たんだよ 烈は頭の半分がグチャっと潰れた状態だったからな、視力の低下があったんだよ もしかしたら失明も視野に入れなきゃ……って言われたからな、真髄師で何とかならねぇか?聞きに来たんだよ!」と答えた 閻魔は「視力の低下……あぁ脳の損傷がかなり酷かったと父者に聞きました そうですか……この先失明の恐れもあると謂う訳ですね………」と考え込んで呟いた 目が見えなくなってしまえば、野菜やフルーツの新種改良も今までの様には行かないだろう どうあっても魔界の痛手だった 康太は「そうならねぇ為に真髄師に聞きに来たんだよ、で長い目で見て漢方で組織を少しずつ直して逝けば何とかならないか?との事だった で、その見返りにデカチゴなるものを要求されて畑まで行っていたんだよ やっぱしあの時、近くに兄者もいたんだな」とボヤいた 榊原は「どの道幽閉中だとしても、それが何だと謂うのですか?」と不快感を顕にして吐き捨てた 康太は「此方もかなり重傷だからなやっぱし帰るとするわ、どの道烈が宗右衛門ださねぇと会話は成り立たねぇしな!」と頑なな夫に労るように言葉にした 黒龍はもう何も謂わなかった 閻魔も何も謂えなかった 榊原はさっさと青龍に姿を変えるとに妻を乗せて還ってしまった 閻魔はそれを見送り「彼は頑なですね……」と呟いた 黒龍は「昔はずっとあんな感じだった………が今はかなり柔和になったんだな、あんなアイツを見てそう想うよ」と呟いた 閻魔は「今宵一度烈を尋ねようと想う、お前も来るか?」と問い掛けた 「………烈が俺を見るのが嫌ならば、即座に消えることを許してくれるなら……」 と何時になく弱気な黒龍に閻魔は苦笑した 榊原と康太は飛鳥井の屋上に下りると、辺りは既に真っ暗だった 康太は「これって当日の夜って事だよな?」と問い掛けると榊原は「だと思います……」と答えた 榊原は康太雅目にしただけでも解る様に疲れ切っていた 康太は榊原を寝室に連れて行くと、スーツを脱がせて取り敢えず寝かせた そして慎一を呼ぶと、慎一は直に来た 康太は真髄師に渡された漢方を取り出して、慎一に「此れを一日3回食前に飲ませてくれ!」と渡した 慎一は烈の病院へ向かおうとすると 「瑛兄や父ちゃん達にはオレ等が還ってるって謂わねぇでくれ!」と伝えた 慎一は「了解しました!」と言い康太の部屋を後にした 慎一は康太の部屋を後にすると、直ぐ様病院へ向かい烈に薬を渡し「此れは一日3回食前に飲むようにとの事です!」と言った 烈は薬を受け取ると隣りにあるサイドテーブルの引き出しを開けて中へとしまった 慎一は「後で今夜の当番の一生が来ます!それまで一人で大丈夫ですか?」と問い掛けた 烈は頷いた 慎一が出て行って直に烈の病室に閻魔と黒龍が姿を現した 病室の入り口が自動的に鍵が閉まる 黒龍は「烈!大丈夫か?」と心配して話し掛けた 「こくりゅー、まだねそーえもんがでにゃいのよ」と体力が戻らないから宗右衛門が出ないと伝えた 烈の頭はまだ包帯がぐるぐる巻きだった 「まだ本調子じゃねぇからな無理するなよ!」 黒龍が言うと烈は頷いた 閻魔は「宗右衛門が出る様になったら魔界に来て金龍を裁いて下さいね 素戔嗚殿が烈が裁きを下すと魔界中に広めた以上は………裁かねば示しが着きません!」と言った 烈は「それ、誰にょ為にょ裁きにゃの?」と問い掛けた 「それは暴力を奮われた君の為の裁きであり、暴力を奮ってしまった金龍の為の裁きです!」 「きんりゅーは愚からね、息子を泣かしぇて、妻を泣かしぇて………それでもりゅーぞきゅの明日を夢見て…… それってどっち向いてるにょ?って想ってた」 黒龍は驚いた顔して烈を見た だが烈は続ける サイドテーブルの引き出しから、紙の束を取り出すと黒龍に渡した 「此れは?」 「きんりゅーにょ星にゃのよ」 烈はそう言い手を伸ばすと、羅針盤の様な図の上に透明な紙を何枚も重ねた やはりその紙にも✗マークはあり、それが烈が殴られた日の日付になっていた 「あのひ、きんりゅーはてんりゅーをしなせる星回りだったにょよ」 「え!!!!天龍が死ぬ筈だったと申すのですか?」 黒龍の叫びにと似た声に、烈は頷いた 「そしたらね、りゅーぞきゅはとりつぶちに……にゃるのよ………こくりゅーはつぐべき明日がにゃくなるのよ」 そこまで謂われてやっと黒龍は烈に深々と頭を下げた 「でも下手したら烈が死ぬ所だった 建御雷神から皇帝閻魔を呼び出して意識を取り戻した話は閻魔伝いに聞いた 魂が飛散してしまう程の暴力だったと聞いた 本当に済まなかった!」 話していても埒が明かないから烈は気絶覚悟で宗右衛門を出す事にした 「…………黒龍、主は己の継ぐべき龍族の事を想うならば、殴っても止めるべきであった でなくば、金龍は我が子を殺す所であった 主は弟を亡くす所であった その意味は解らぬとは申さぬよな?」 黒龍は「何処かで死んでしまうと想っていた 止めなきゃと想っていた………だけどあぁなった親父は言うことを聞かないと……逃げていた 我が子が傷だらけで帰って来るのを見るしかなかった銀龍や夏海を想えば止めるべきだった 差し違えになろうとも、止めるべきだった」と本音を吐露した 「解っていてやらぬのは見殺しにしたのも同然じゃ!主は儂も弟や従兄弟も見殺しにしたのも同然じゃ!止められない、それは言い訳にしか聞こえぬ、あそこまで増長させ人の声を聞かせなくしたのは主等龍族なのではないのか?」 「…………言葉もない」 「儂が裁くならば死刑一択じゃな!」 と嗤い烈は「むり……ねりゅね!」と言い寝てしまった 閻魔は「無理させてしまいましたね……」と言い黒龍を見た 黒龍は顔色を無くしていた まさに真髄を突かれたも同然だった 烈は、嫌 宗右衛門は情け容赦のない性格をしている だが誰よりも人を見て、人を知り、人を配置すべき存在だからこそ導ける明日だった そんな宗右衛門が情け容赦のない言葉を黒龍に投げ掛けた 当たり前なのだが……黒龍はショックを受けていた あの心優しい烈しか知らなかったからだ 閻魔は「黒龍、帰りますか?」と問い掛けた 黒龍は烈の渡してくれた紙に答えが潜んでいるかも知れない!と紙を手に持ち閻魔と共に還って行った 二人が消えた後、大歳神が姿を現した 大歳神は「ったくお前は優しい子だよ!」とボヤいた 「とうしゃん こくりゅー蹴り上げに行ってね」 「儂にそれを謂うのか?」とボヤく 「しゅこしイジワルしちゃったもん」 「あんなの意地悪にもなりゃしねぇよ! お前はもう少し怒って良いんだ!」 「おこりゅの疲れちゃうからねぇー」 「殺されかけたんだ、怒って良いんだ!」 「怒っても……世のにゃかも明日と変わらにゃいのよ………何一つ変わらにゃいのよ」 「烈………」 「ねむいにょよ、おやしゅみ」 そう言い烈は本当に眠りに着いた  「ならば儂は黒龍を蹴り上げに行くとするかな!」と言い消えた 一生は閻魔達が姿を現す少し前に個室にやって来て、その一部始終を見ていた 一生は烈がどんな裁きをするのだろ? と想っていた 甘くはないから死刑だって顔色一つ変えずに下せるだろう 宗右衛門として要らぬならばバッサバッサ解雇して来た様子を見て来たのだ 親でも兄弟でも顔色一つ変えずに斬るだろう でなくばその年になるまでに何度も何度も五通夜を熟してなど来れない 一族を斬り捨てた時もそうだ! 情け容赦のない判断が下され、皆は宗右衛門の言葉に倣って傅く そんな烈ならば…………金龍などバッサリ斬られるだろう 康太は宗右衛門の下した事に異論は唱えはしない そして魔界では烈は素戔嗚尊の孫なのだ 立場的にはどうやったって金龍が分が悪い 自分は人の世にいる事を良い事に、金龍が暴走している………と耳にしたのに止めなかった 兄貴がやるだろ? そう想って動くことすらしなかった そんな俺に……親父を責める資格なんてない! 資格はないが………やはり父なのだ もっと寄り添ってやれば良かった…と悔いる心は残る なぁ烈、もっと怒っても良いんだって大歳神が言った様に怒っても良いんだよ! 俺は烈が下す判断なれば……どんな事があっても指示すると決めている 例え父親が死刑になろうとも……… 烈を殺そうとしたんだ仕方ねぇよ親父 天龍を殺したならば母親は嘆き悲しんだろう もう夫など見ない様になる そしたら生きていけないから、どの道死んだも同然じゃねぇかよ親父! 翌朝から烈は漢方を食前に飲み始めた 画期的な反応はない そんなにサクサク変わるものではない と真髄師も言った通り、サクサクとは治らなかった が、少しずつ少しずつ、烈の細胞が活性化して損傷部分の自己修復を始めた 入院して一ヶ月も経つ頃 機能回復訓練が終わりを告げた 烈の退院が決まった 傷も安定し、歩ける様になり、今の所後遺症も進んではない 週に一度検診に来る様に言い烈は退院した が、家族には退院した事は告げずに烈は魔界へと向かった 神の道を通り一人で、魔界へと向かう 神の道は何百……何千何億通りの道がある が、己が念じた場所へと出る事が出来る、力を持たない烈にとってはとっても貴重な道だった その道には契約した者しか通れなかった 烈は大歳神に連れられ契約したから通る事を許されていた 神の道は女神の泉へと出た そこから烈はアルくんを呼び閻魔の邸宅を目指す 閻魔の邸宅の横の厩舎に馬を止めて、烈はスタスタと閻魔の邸宅を歩いていた 閻魔の家の使用人は誰一人、烈を止められなかった 「どうぞ、入室を許可します!」との声を聞くと烈はドアを開けて執務室へと入って行った 閻魔はそこに烈がいて驚いた 「烈………一人で来たのですか?」と問い掛けた すると烈は頷いた 閻魔は覚悟を決めて「金龍の裁きに来たのですか?」と問い掛けた すると烈は頷いた 閻魔は「なるば此処に呼びますか?」と聞く 「きんりゅーんちに行くにょよ!」と烈は答えた 「金龍の家に行くのですか?」 烈は頷いた 「ならば私も………」と謂う閻魔に烈は 「人払いして欲しいにょよ!」と言った 閻魔は信じられない瞳で烈を見て 「貴方は金龍が怖くはないのですか?」と問い掛けた 「怖い?何でボクがきんりゅーを怖がるにょ? 今度ボクに手を上げるなら………無傷では済まないにょよ!」 と烈は嗤った 「貴方が……金龍を負かせられるのですか?」 「呪文唱えたら……それできんりゅーは死ぬにょよ あの日は呪文唱えにゃかったのよ てんりゅーや次代のきんりゅーの目の前で、祖父を殺されたくにゃいの解るから!」 あの日はわざと殴られたと謂うのか? 底知れぬ力を秘める烈の存在が………閻魔は怖かった 怖くて遣る瀬無くて…………閻魔は烈を抱き締めた 「解りました、人払いします でも私と黒龍は……いても構いませんか?」 「こくりゅー、とうしゃんに蹴り上げられたにょ?」 「ええ、それは見事に蹴り上げられました 未だにお尻が痛いと愚痴っています!」 烈は笑っていた 「にゃら行くにょよ!」 と謂うと閻魔は烈を抱き上げた 「病み上がりの時位は抱き上げられて連れて行かれなさい!」と言い烈を執務室の外へ連れ出した そこへ運悪く建御雷神と出くわした 「おぉぉ!烈ではないか!」と閻魔の手から烈を奪い取りスリスリしていた 「何処へ行くのじゃ?」 建御雷神は問う 閻魔は「金龍の自宅へお連れするのです!」と謂うと「ならば我等か立ち会わねばならぬな!」と言い出した 「烈は金龍とサシで話すと言ってます」 「サシで話すならば話させてやるわ! じゃが儂は二度と素戔嗚から孫を取り上げる気は皆無じゃから烈を護る! 聖王も呼ばねば、あやつはおるかな?」 「ですから事を大きくするのはお止めください!」 「止めたいが無理じゃな! 烈は炎帝の息子でもある! そして素戔嗚尊、我が友の孫でもある! 我は一歩も引く気はない!」 「ならば………同席しても構いませんが、話し合う時に口出しはお止めくださいよ!」 「承知した!ならば逝くぞ烈 我の愛馬は素戔嗚の兄弟馬なのじゃよ!」 とスキップせんばかりに烈を連れて行く 閻魔は先に金龍の家へ向かい、銀龍は夏海の所へでも行っててくれ!と頼み家から出した 黒龍は家にいなかったから、呼びに行った 建御雷神はそんな閻魔は捨てておいて、烈を連れて金龍の自宅へ上がり込んでいた 建御雷神は「金龍、上がらせてもらうぞ!」と声を掛けて上がった 金龍は応接間のソファーに座って項垂れていた 烈は金龍と向い合せのソファーに座った 建御雷神はその横に烈を護る様に座った 「建御雷神、何か用か?」 顔を上げて建御雷神に目を向けた瞬間、烈の姿を目にして金龍は息を飲んだ 押し殺す様に「烈……」と名を呼んだ 「今ね、あんまし長い時間、そーえもん出にゃいのよ、だからねサクサク話すのよ!良いわねきんりゅー!」 烈に言われて金龍は「あぁ……サクサクであるな!」と言った 「金龍、黒龍にホロスコープを見せて貰ったか?」と宗右衛門は問い掛けた 金龍は「はい……見せて貰いました!」と答えた 「主は龍族の明日に固執して誰の声にも耳を貸さなかった あの日主は天龍を殴り殺す一歩手前じゃった! 天龍が口答えしたのにカッとなり殴り飛ばして殺していた 主は我が子を殺す所じゃった 主の妻は我が子を殺され、主を憎む様になって行く………誰の声にも耳を貸さなかった主の末路じゃ!どうじゃ?我が子を殺めるよりはマシであろう?」と問い掛けた 「いいえ、マシではありません…… 我が息子青龍が愛して止まない我が子をこの手にかける所でした 建御雷神と素戔嗚殿が貴殿を助けに参った話しは聞いております! どんな後遺症が出るやも知れぬ状態だとも聞きました! 我は何と愚かな事をしてしまったのか? 悔いても悔いても………答えなんて出ない」 金龍はそう言い、ガクッと項垂れた 「龍族は終わるか?」 宗右衛門はそう問い掛けた 金龍は「それは嫌に御座います!」と即答した 「ぎょめん、時間切れにゃのよ また近いうちに来るにょよ!」 と言い立ち上がった そして「ほら、きんりゅーもくりゅのよ!」と謂うと手を差し出した 金龍はその手をおずおずと取り立ち上がった 烈は金龍の家の外に出ると建御雷神に 「では世話になった建御雷神殿!」と言い神の道の扉を開いて……金龍と共に還って行ってしまった 閻魔が黒龍を連れて戻った頃には烈も金龍もいかなった 閻魔は「烈は何処へ行ったのですか?」と問い掛けた 建御雷神は「解らん!世話になった!と何処かへ消えた!」と一言 黒龍は「烈は親父を連れて何処へ行ったんだろ?」と問い掛けた 「それは知らん! それは烈しか知らん! まぁどうされようとも………金龍は文句など言えまい!」 全くその通りだが………… 黒龍は天を見上げて「親父殿………」と呟いた その頃、退院の手続きに行った康太と榊原は、蛻の殻になった病室を目にして、慌てて烈を探した 榊原は入院の間の費用を精算して、途方に暮れた 康太は取り敢えず、飛鳥井の家に行き皆に、話した すると烈が病院から消えた!何処へ行ったんだ!!と家族や康太の仲間は大慌てになっていた 一生は「俺が見てた時はいたんだよ!俺は今烈を蔑ろになんかしてねぇからな!」と訴えた 康太は「それは知ってるよ!お前、烈に名馬の星を詠んで貰ったんだろ?」と問い掛けた 「あぁだから今は烈が示してくれた道を直走っているんだよ!」 「解ってるから大丈夫だ!一生!」と謂うと 今度は慎一が「俺だって烈に゙今は寄り添っています! まさか家出されたのですか?俺なにかしましたか?意識が戻った時寝ているから次との交代より早く変わってしまったから怒ってるんですか?」と心配して問い掛けた 榊原は「それはありません!烈は慎一君が何も言わず機能回復訓練の後に少しだけ甘いジュースをくれるにょよ!と嬉しがってましたから!」と言って慰めた 聡一郎は「僕だって烈を蔑ろにはしてませんよ! レイとソファーで眠っちゃうけど……怒ってないよね?その分カニパンあげてるし大丈夫かと思ったんだけど……」と心配そうに言う 康太はもう面倒になり「大丈夫だ!カニパンくれる奴に悪い奴はいないと言ってたからな!」と取りなした 隼人も「オレ樣は今烈の用事でイギリスから還って来たばかりなのだ! だからオレ様の所為じゃないのだ!」と訴えた 神野の事務所と相賀の所の事務所の訓練を受ける者を烈の変わりに鳳城優花里の所へ連れて行ったのだ 隼人を見るなり「もっと限界超えたら先にへ行ける!」と扱かれ特訓を受けたのは言うまでもない 康太は「隼人の所為じゃねぇのはわかってるよ! てもよぉ、何処へ行っちまったんだが………」とボヤく 退院のした足で何処へ行ったと謂うんだ? 個室だから誘拐なんて有り得ないし、誘拐されたならば犯人の心配した方が早い状態となるだろう あのお子様を誘拐なんてまず無理だろう だとすると………目的があり出て行った 榊原と康太はピンッと来て目を合わせ「「魔界だ!」」と言った 一生は「それ無理じゃね?」と問い掛けた 榊原は「無理じゃありませんよ! 烈は大歳神に連れられ神の道の契約をしてますから…………何時も魔界には自由に出入りしてましたからね……でなくば種の品種改良とかクロスと出来る時間もありませんよ!」と説明した 「なら魔界か?俺見てこようか?」 一生が言うと康太は「少し様子を見る事にするわ!」と言った 榊原もそれに頷いて了承した その頃烈は金龍に背負われて神の道を通って菩提寺の試練の間に出た いきなり試練の間の襖が開くから城之内はビックリして卒倒した 烈は城之内に「この人に服貸して欲しいにょよ!」と言った 城之内は「おっ!お安い御用だ!」と金龍に合う服を着せた 其処へ凛と椋とレイが修行にやって来て、レイは烈を見付けて駆け寄った 「れちゅ!」と言いつつレイは金龍を睨み付けていた 「レイたん、修行足らにゃいのよ」と烈が笑うから、レイは少しだけ睨む事にした 修行が始まり体術の訓練が始まった ちびっこいのが必死に体術を教えられ、泣きながらもそれに立ち向かっていた その姿は生き生きとして自ら学ぶ者の姿だった 師範代は厳しい言葉を掛け教えて行く 出来なくて、痛くて、泣く日もある 悔しくて泣く日もある だがそれもこれも、そんな自分を打ち倒して行くと決めているから、堪えられるのだ 金龍はレイ達の訓練を黙って見ていた そして「儂のは訓練などではなかった………」と悔いいるように呟いた 「辛い修行と鍛錬の日々を支えているのは、己の死命を信じているからじゃ! だから育てるべき者がそれを知ら示て、果てへとレールを敷いてやらねばならぬのじゃよ 主は本当に人の話を聞かぬから、忠告は必ずや聞く様にせねばならぬな そして龍族を果てへと繋げたいのならば、次代だけ育てるのではなく、統一して他も育てねばならぬのじゃよ! でなくは次代だけ強くて闘えるのか? 矢面に出て闘うにしても、他が育ってなくば意味がない、違うか?金龍」 当に真髄をついた話だった もっと早く………宗右衛門の声に耳を貸していたら? 素戔嗚殿の声に耳を貸していたら? あんなに心配してくれた建御雷神の声に耳を貸していたら? こんな悔やむ日々など送ってはいなかった筈だ 「本当に………済まなかった……… 儂は一体何をしていたのじゃろ? 愚かで取り返しの付かぬ事をしてしまった………」 萎れて………覇気のない顔……… どれだけ悔やんていたのか?解る 「主はあの日我が子を殺す所じゃった 我が子を亡くしたおなごは、幾ら愛していたとしても……憎しみ離れて行く未来しか視えなかった 主は我が子を殺めた事により何もかもなくしてしまう所じゃった 妻を無くして主は生きられるのか?」 妻が去る……妻を無くす………そんな事は堪えられない 死んだ方がマシだった 金龍はか弱い声で「それは………堪えられない………」と答えた 「主は少しこの菩提寺に住み込み鍛えあげて貰うがいい! そして人を見て己を顧みられよ!」 「解りました……」 烈は城之内に住み込みで少しの間面倒を見てくれ!と頼んだ 「とくに武道とはにゃんぞや!を、教えてあげてにぇ 人に物を教える苦労を教えてあげりゅにょよ!」と頼み込んだ 「了解!この人の着替えとかどうする?」 「にゃんかない?」 「作務衣は用意出来たが私服とかは、こんな体格の良いのはうちにはいねぇからな、少し困るわ!」 「にゃら買っといて!後でお金持ってくるから!」 と頼んだ! 城之内は「ならお金貰ったら買いに行くわ!」と言った 城之内は金龍を連れて行こうとして 「この人の名前は?」 聞かれ烈は考えた 「金田りゅーたろー!」 金龍から取った名前だった 「龍太郎か、俺の息子は竜之助だから似てるな!」と、うきつきして金龍を連れて行った 烈はふぅーっと息を着いた そして怒っているであろう両親にラインで 「ごめんね、先に退院しちゃって!」と送った 父からは絶対にお尻ペンペンされるだろうな…………と想い身震いをした するとラインが還って来た 『魔界に行っていたのかよ? それだと早すぎるな………なら何処に行っているんだよ?』 「神野と相賀の件人任せらったから、見に行きたくて………れもお金にゃくて一旦帰るね」 『誰かを迎えに行かせるからお前は動くな! 今 何処にいる?』 「レイたんに逢いに菩提寺」 康太はまずはレイに逢いに逝く辺りが烈らしくて、何だか納得した レイを安心させてやらねば、逆恨みしてどんな行動に出るか?解らないから…… 『なら菩提寺で待ってろ! 隼人を迎えに行かせる そしたら神野や相賀の事務所へ行けるだろ?』 「にゃら外で待ってるにょね」 そうラインを送り烈は携帯をサコッシュに入れた PCや他の私物は前日に持って還って貰った 烈はサコッシュと携帯だけ残して退院に備えていたのだ 烈は菩提寺の外に出て車を待っていた 暫く待つと………隼人ではなく榊原が直々にお迎えに来たのだった 烈は父の車の後部座席に乗り込むと、榊原は「やはり家に帰ったらお尻ペンペン5回ですね!」と言った 助手席で康太は笑っていた 「痛いにゃ………」と烈は泣き言を漏らした 康太は「で、何処へ行っていたんだよ?」と問い掛けた 烈は「そのうち知るにょよ」とだけ返して後は何も謂わなかった 康太もそれ以上は聞かなかった 烈を神野達の事務所の前に下ろすと、烈は 「りゅーま呼ぶから大丈びよ! 後で会社にも行くにょよ!」と言った 「ならケントを待機させておくから連れて歩くようにしろ!それは約束だ!」 烈は「はい!」と返事をした そして車から下りると相賀達の事務所の中へと入って行った 康太はケントに相賀達の事務所に烈が行ったから護衛を頼むと連絡を入れた するとケントから「了解!」との返事が来た 榊原はそれを見て車を走らせた 「烈は魔界に行っていたんじゃないんですか?」 と榊原は予測がつかなくて康太に問い掛けた 「そのうち解ると言ってるんだから、今はそれで良いとオレは想ってる」 「ならば僕もそれで良いです! ですがお尻ペンペンは確定ですから!」 榊原は久しぶりに笑って車を走らせた 康太は久しぶりに見せる榊原の笑顔に、自分の顔も綻ぶのを感じていた やっぱピリピリ張り詰めてるより、この方がらしくて良いな、と想った 「愛してるぜ!オレの蒼い龍!」 康太が言うと榊原は驚いた顔をして、次の瞬間嬉しそうな顔になった 「僕も愛してますよ奥さん 会社へ行くよりベッドの上を御所望ですか?」 「それも良いけどよぉ、瑛兄に烈が退院して来たら忙しくなります 最低でも1週間分の仕事は上げておいて下さいね!と謂われてるやん」 「…………そうなんですよね、社長も張り切って仕事してますし、君も1週間分の真贋と馬の仕事あげねばまなりませんからね………」 「片付けとかねぇと怒られちまうな」 「ならサクサク仕事を片付けに行きますか!」 榊原はそう言い会社へと向かい車を走らせた その頃烈は神野の事務所にいた 相賀も呼んで話をしていた 「ごめんね、ボク入院してたから隼人に引率頼んじゃって!」 烈が言うと神野は「そんな事より体は大丈夫なのか?一ヶ月以上は入院してたから心配していた トラックに跳ねられたんだろ! 脳の損傷な酷くて………って話は康太に聞かされた 何度もお見舞いに行ったけど機能回復訓練中で中々逢えなかったから心配していた」と心の内を伝えた 相賀も「本当に良かった」と安堵していた 烈は「後遺症はね、今後様子を見にゃいと解らにゃいのよ!でも後遺症が残らにゃい最善の方法を色々と考えてくれたにょよ!」と言い安心させようとした 相賀は「で、わざわざお越しになられた要件はなんですか?」と問い掛けた 烈が要件もなしには来ないからだ 「イギリスへ向かいに行く3日前にイギリスへ行くにょよ!それで自分の目で皆がどれだけキツい試練を受けているか、見るにょよ 須賀にも伝えといてね!」 相賀は「我等に見させて下さると言うのか?」と信じられないとばかりに言った 「見ないと解らにゃいからね どんな努力して自分にょ足で立とうとしてるか? 血反吐吐いても立ち上がる者にょ強さを知るにょよ!」 と烈は伝えた 烈は出された薄いジュースに口を着け 「りゅーま、相賀んとこの事務所まで迎えに来てね!」とラインした 即座に『何時退院したんだよ?了解に決まってる!直に行く!』と返信が返って来た それを見て烈は苦悩の表情を浮かべる二人に 「観光案にゃいもするからイギリス観光しようね!」と言った 相賀と神野は「「はい!」」と返事した タイミング良く『今事務所の前についた!』とラインが入り烈は立ち上がった 「ならまたね、相賀、神野! 須賀に伝えといてね!」と言い事務所を後にした 烈が竜馬の車に乗り込むと後部座席にはケントも乗っていた 竜馬は「何時退院したんだよ?」と問い掛けた 「え?今さっきよ!」と答えたからビックリした 「退院した足で此処へ来たのかよ?」 「違うにょよ、菩提寺にレイたんに逢ってから来たにょよ!」 竜馬は何だか頭痛がして来た 気を取り直して「何処へ行くのですか?」と尋ねた 「飛鳥井建設よ!」と答えたから    「退院した直ぐから働くのかよ?」と問い掛けた 「違うにょよ!用があるから行くだけよ」 と言うから絶対に嘘だ!と想った だか飛鳥井建設へ向けて車を走らせた 竜馬の車はIDを装着済みだから地下駐車場まで下りて行く ゲートを潜り青ランプが着いたら中へと進み竜馬が貰った専用スペースに車を停めた 烈は首に掛けてる鍵は入院中は竜馬に預けておいたから、エレベーターに乗り込むと竜馬が鍵を差し込み最上階まで向かう 最上階にエレベーターが止まると鍵を抜き、烈の首に掛けた 烈は副社長室ではなく社長室へ向かいドアをノックした かなり低い位置でノックする人物を思い浮かべて瑛太はドアを開けた 「烈、退院したのですね!」と言い抱き上げてソファーに連れて行く 烈はソファーに座り瑛太に「えーちゃん、あの件お願いね!」と言った 「承知しました!ならば副社長と真贋を呼びます!」と言った 直ぐ様瑛太は副社長室への内線ボタンを押した 『はい、何ですか?社長』と榊原の声が聞こえる 「今直ぐに真贋と共に社長室に来て下さい!」と伝え電話を置く すると直ぐ様ドアがノックされた 瑛太がドアを開けると康太と榊原が立っていた 瑛太は二人を社長室に招き入れ 「宗右衛門から話があります!」と伝えた 宗右衛門は康太と榊原を見てニカッと笑うと 「此れより1週間、主等は旅に出るのじゃ! 聞けば新婚旅行にも親族が着いて来たと言うではないか! ならば烈は子供の頃から貯めてた貯金で二人に1週間の旅行をプレゼントした 真贋と伴侶殿が新婚旅行から還って来たら、次は瑛太家族が旅に出る その間の留守番は副社長がやるのだぞ! そして瑛太夫妻が還って来たら、我等子供達が榊原の祖父母と旅に出る! その後は慎一達サポートをしておる者が旅に出るのじゃ と謂う事で怒涛の一ヶ月に突入したいのじゃが、異論はないか?」 と問い掛けた 榊原は社長に「仕事を1週間分上げておけと言ったのはその為なのですか?」と問い掛けた 瑛太はしれっとした顔で 「烈から両親に旅行をプレゼントしたんだけど………と相談を受けました その時に両親に旅行をプレゼントした後は私達にも旅行をプレゼントすると言ってくれました そしてその後には兄達と共に旅行に出る そしてその後は慎一達日頃サポートをしてくれてる者達に旅行をプレゼントする との烈の壮大な話をお聞きしたので、私は秘書を使い緻密に烈と連絡を取り今日この日を迎えられたのです! なので此れはチケットとその他諸々が入ってます! 行き先は海外と言いたいですけど、1週間で飛行機の旅は強行軍になるので沖縄です 私達は北海道をプレゼントしてくれました 祖父母だけプレゼントするのはズルいので全員分を考えていたみたいです!」 と説明した 榊原は「烈が僕達に旅行をプレゼントしてくれたと言うのですか?」と信じられないと言葉にした 康太も「1週間分の仕事は上げてあるけど、旅行なんてしてて大丈夫なのかよ?」と問い掛けた 瑛太は「宗右衛門がいれば構わないでしょ? この前一ヶ月会長が不在でしたが、社員達はそれに気付く事なく過ごしていたのですから、今回は1週間ですから大丈夫です! 康太と二人きりの旅ですよ? 行きたくないのですか?」とわざと榊原を擽る言い方をした 「行きたいに決まってるじゃないですか!」 尻尾があれば振りまくりだろうな………と一目で解るその態度に瑛太は苦笑した 「ならば還って旅行の準備して旅立って下さい! 飛行機のチケットは今夜の夜の便ですからね!」 と瑛太が言うと榊原は「ならば直ぐに帰ります!」と言い社長室を出て行った その時康太の手を掴み、康太は引き摺られる様にして出ていったのだ 瑛太は出て行った二人を見送り 「では頼みますね宗右衛門! でも退院したばかりなので無理は禁物ですよ!」と心配して言った 烈は「えーちゃん ありがとうね!」と礼を言った 瑛太は「君の思いに報いる為ですから! 私も妻と子供達との旅行は楽しみです! 怒涛の一ヶ月、乗り切りましょうね!」と言う 烈は頷いて社長室を後にした   烈は宗右衛門の部屋に戻ると竜馬に 「りゅーま、じょーのうちに3万円渡しに行って欲しいにょよ!」と頼んだ 「なら仕事しちまって帰りに一緒に逝けば良いじゃんか!」と言った 「そーね、それが良いにょよ!」と烈は副社長代理決済を始めた

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