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第28話 君と過ごそう〜そして未来を見詰めて〜➋

慎一がホテルに着くと、駐車場にバスを停めてバスから降りた 一生は走ってホテルへ向かうと予約した三木竜馬と他14名が到着したと伝えた するとカードキーを貰い戻って来た カードキーは全部で3つ 烈は「開けにゃいと解らないにょよ!」と言った カード番号順に部屋に行くと烈は部屋を見渡して 和室の部屋を真矢と清四郎に もう一つ和室の部屋に一生、竜馬、慎一の部屋にした そして大きな宴会場程の広さの和室を烈達兄弟と北斗達の部屋にした お布団を十枚敷いても楽勝な程に広かった 今回の旅行に凛、椋、レイが同行していないのは、菩提寺に泊まり込んで修行が入っていたからだった 3人は兄弟達の絆の方が大切だから、旅行に行って来てよ!って言った やはり3人から見ても、微妙な違和感が生じているのを感じでいたのだろう 最初は6人で旅行に行く事を考えていた だが北斗や和希と和真と永遠がサポートする!と名乗り出てくれたから、4人の手を借りて思い切り楽しんで想い出を作ろうと考えたのだった バスの中から楽しく歌を歌ったりして過ごしていたが、少しだけぎこち無く感じた 烈はバスに乗るなり竜馬の肩を借りて眠ってしまっていた 兄弟達は烈が乗り物が駄目だと知っていた 部屋に荷物を置いて真矢と清四郎が烈達の部屋に来た 部屋に入るなり布団に寝ている烈の姿に真矢は 「どうしたの?烈」と問い掛けた 大空は烈の額に冷えピタを貼っていた 北斗が「烈はねまだ体調が戻りきってないのよ」と伝えた 和希が「大分治ったけどね体力は完全に戻ってないのよ!」と謂う 和真も「だから今回の旅行、烈のサポートに着いて来たんだから!」と経緯を話した 永遠も「烈はね、ずっと兄さん達の間に芽生えた微妙な違和感を気にしていたんだよ!」と単刀直入に切り込んだ 兄達は言葉もなく……俯いて考え込んでいた 真矢と清四郎は黙って部屋の隅に座って様子を見ていた そこへ一生、慎一、竜馬もやって来て、真矢に部屋の隅っこ座る様に言われて座った 流生は「僕のせい?」と問い掛けた 北斗は「話し合おうよ、そして烈の願う果てに逝こうよ!」と言った 永遠は「絆の再確認の旅だからね!」と言った 和真は頷いていた 烈はムクッと起き上がると「温泉よ!ばぁたん!じぃたん!りゅーま!」と言い、食事前には温泉よ!と言った そしてハッと気付いて「ごめん……女………ばぁたん一人だった!」と言った 真矢は笑って「大丈夫よ、烈!私は一人でゆったりと温泉に浸かるもの!」と笑って言った 「にゃら温泉ね!に~に!行くよ!」と烈は、はしゃいでいた 烈はパジャマを取り出すと真矢に 「ねぇばぁたん、コインランドリーあるかしら? パジャマ2枚しか持って来なかったにょよ!」と訴えた 「どのホテルにもあると想うわよ なければ近くにあると想うわよ! 私もね荷物になるから最低限の荷物で来てるからね、それを狙ってたのよ!」と笑って言った 大人は備え付けの浴衣もある 何とかなるだろう!と2・3日分の着替えしか持っては来なかったのだ 烈は「夕飯ね、この部屋に皆の持って来て貰うにょよ!皆で食べると美味しいにょよ!」と謂う 音弥は「なら温泉に逝こうよ!」と謂う こんな時ムードメーカーになるのは流生が役目なのに、最近の流生はムードメーカーどころか、何も言わなくなっていた 清四郎は孫に囲まれ、背中を流してもらい、満足して温泉に入っていた 竜馬はせっせと烈の体を洗ってやり頭を洗ってやっていた そして温泉に入るが「長風呂は駄目だと久遠先生に言われてるでしょ?」と何かと世話を焼いていた 烈は「りゅーま、心も体も洗うにょよ!」と自分を洗えと文句を言った 一生と慎一はゆったりと温泉に浸かって御満悦だった 一生は「ほれ、竜馬も温泉に癒やされとけ!」と謂うと大人しく温泉に入った 烈の体は修行や様々な事があり傷跡が今も残っていた そして極めつけは「ハゲにゃいかな?」と頭皮の心配だった 何度も何度も被害に合う頭皮事情 いい加減…父に植毛の相談必要かしら?と悩むお子様だった オペの為に剃り上げた髪もまだ揃っていなかった 清四郎は烈の横に行くと悩むお子様に 「大丈夫だ、烈! ハゲたらじぃたんがCMに出て一番に烈の髪に最新の技術の植毛してあげるから、心配しなくても大丈夫です!」と励ます 「じぃたん………」 「そしたら二人して植毛しょうではないか!」 と最近……年には勝てない清四郎がしみじみと謂う 一生は「そこ、ハゲ事情をこんな温泉の場に持ち込まない!」と注意すると烈から 「ハゲておしまい!」と返された 「そんな事謂うなよ烈! お前が言うと洒落にならんのよ!」 とボヤく もぉ何か馬鹿らしくなった兄弟は温泉で泳ぎ始めた 慎一が「温泉で泳ぐんじゃありません!」と注意して大人しく浸かっていた そしクラクラになる前に温泉から出て部屋に戻ると食事の用意がされていた 美味しそうな御膳に烈は心の中で 『久遠せんせー ごめん!」と謝罪しながら美味しそうな御膳に目の色を変えた 清四郎達大人はお酒も着いていた 備え付けの冷蔵庫から付け足しのお酒を取り出して、飲み始める 烈は「美味しいね!に~に!」と言うと皆笑顔で頷いていた そして食事を終えると大人は各々の部屋に帰り 大部屋にお布団を敷かれ寝る準備に入る 北斗は「寝る前に話をしないかい?」と問い掛けた すると円を作る様に皆が座って話し出した 和希は「ほらほら宗右衛門、話有るんだろ?」と話しをフッた 宗右衛門は「この旅のコンセプトは絆の再確認じゃ!銘打った旅だからな、今一度飛鳥井の6人兄弟の絆の再確認をせねばならぬじゃよ!」とド直球で言った 翔は「僕達はそんなに再確認しなければならない程にチグハグだった?」と問うた 「ならば前の様に絶対の信頼を得ていたと謂うのか?」と逆に返され言葉を失った 「この機会じゃ、腹の底から話し合い我等飛鳥井康太と榊原伊織の子である絆を再確認しようと想う!簡単に寝れると想うなよ! そして明日もスケジュール満載じゃ!」 ガハハハハハッ!と笑い飛ばされヤケクソになる 流生は「ならば今此処から我等兄弟の絆の再確認を始めるのよ!」と何時もの調子で謂われると兄弟達も「だよね!我等は最強だもんね!」と口々に熱く語り始めた そしてトコトン話し合った時、烈は何と寝ていた 流生は「僕らはさ、この最強の弟の兄である限り、協力しあい1000年続く果てに行かねばならないのよ!だからさこれからは想った事は直ぐに言うのよ!」と言った 太陽は「ならさ流生は我等兄弟を無視するんじゃないよ!あの時………流生が一生を助けたいと想った時………僕達だって同じ想いだった事を知らないと駄目だよ!と烈の前でついつい愚痴っちゃったんだよね」と捻くれ屋の太陽が素直に言葉にし思いを語る 大空も「僕もさ心底、ギクシャクしててさ、殴り飛ばそうかな?と烈の前でボヤいたんだよ 僕らはこんなに遠い存在じゃなかった筈だ! 例え血が繋がっていなかったとしても、僕等は血なんかよりも深い絆で結ばれていたんじゃないのかよ!って想っていた」と苦しい胸の内を吐露する 音弥は烈の髪を撫でながら 「僕は翔も流生も太陽も大空も、そして愛すべき弟 烈も大好きだよ! 僕は君達の為ならば、何でも出来ると想っていた なのに………一生の一件以来僕等は何だかギクシャクして、どうしてなんだよ?と嘆いたんだよ そしてねそんなボヤきをね烈の前でしちゃったんだよ……だからの絆の再確認の旅をぶっ立てたんだと想うんだよ! 母さんや父さんの旅行のプレゼントは最初からするって言ってたもん 瑛ちゃんや僕達の旅は見かねた烈のプレゼントなんだよ」と弟にボヤくのは危険だと想う想いを口にした 流生は「ごめんね……僕は日々萎れて行く一生を放っておけなかったんだ だからと言って烈が蔑ろにされて良いとは思ってはいないよ! 僕等の弟を何で蔑ろにしたり無視するんだよ!と腹も立ててた だけどね……助けてあげたいなって思いも捨てきれなかったんだ! だから僕は……君達に切り捨てられても仕方ないつて想い、烈に助けを求めた だけど………それが引け目になってたのは事実だよ だから烈がトナミへ仕事に行かせたりしてくれたんだと想う 僕は弱いよ、弱いから………抜け出せない想いに雁字搦めになり………皆に距離を取っちゃった ごめんね………僕は皆と一緒にいたいよ そして楽しい日々を思いっ切り心置きなく過ごしたい!僕は皆が大好きなんだ! 一緒にいたいんだから!」 流生は心の中の総べてを話した それこそが流生の想いだと兄弟は受け取り、流生を抱きしめた こうして辛い日も悲しい日々も抱き合い慰め合い乗り越えて来たのだった 何で忘れちゃっていたんだろ? 兄弟は何も言わず抱き合っていた 北斗と和希と和真と永遠はそんな兄弟に安堵して眠りに落ちた   翌朝 烈の痛烈なケリに合うまでは………… 幸せな想いで夢の国にいられたのに………… 流生は頬を蹴る烈の足の裏をこそばかす 烈は「らめ……らめ……にゃら…にょら………ら……」と悶えていた 大空が流生から離すと烈を抱き締めた 「今日も最高に寝相悪かったのね! 流生に謝るのよ!」 「ぎょめん……りゅーにー」 「仕方ないのよ!」と流生は烈を抱き締めた 音弥は立ち上がると「さぁ起きるのよ!今日は小桶園ユネッサンよ!」と楽しむ気満々で謂うから兄弟は闘志を燃やしていた 明らかに昨夜とは違う関係性に烈は安堵していた 給仕の人達がお布団を畳みに来ると、朝食を運び込んだ 竜馬が部屋に入って来ると「烈、おはよう、皆もおはよう!」と挨拶した 烈は「ウォータースライダーよ!りゅーま!」と謂うと「烈は駄目だよ怪我した後だから!」と心配して謂う すると烈は涙を浮かべて「……しゅべりたいにょに……」と謂うから流生から蹴り飛ばされた 「僕の弟を泣かすのは許さない!」 と何処かで聞いた台詞だと竜馬は想う 「それ、よくレイが言ってるやつだ!」と謂うから太陽に「竜馬!駄目よ!」と注意された 竜馬はトホホとなると、部屋に入って来た烈は慎一に泣き付いた 「慎一きゅん!ボク……ウォータースライダー駄目らって………」 と泣いて訴えるから「俺が一緒に滑るから大丈夫だよ!竜馬は烈の怪我の心配してるんだから、意地悪じゃないんだよ!」と謂うと烈は慎一に抱き着いて泣いていた そこへ一生と真矢と清四郎が部屋に来て、烈が泣いていたから心配していると翔が事情を話した 真矢は竜馬の頭を撫でて「楽しみにしてるんだから泣くわよ!」と諭した 「つい心配で………」 「そうね、怪我ばっかりして一年の半分入院してる様な子ですものね!」と烈にふっとい釘を刺す 烈は「ばぁたん!ぎょめん」と謝ると真矢は烈を抱き締めた 「慎一にサポートして貰って滑るのですよ!」 真矢が言うと烈はうんうん!と頷いた 朝食を取ると皆がワクワクの箱根小桶ユネッサンへと向かう バスの中は昨日とは全く違っていた 一生は流生が前のように兄弟と仲良く笑って話していて安堵した 微妙に兄弟の仲に亀裂が走っていた それが見てる方は顕著に解った が、一生が原因だから身動き一つ取れずにいた 烈は大空からカニパンを貰いモヨモヨ食べていた 流生は「こんなに美味しいの毎日食べてたら今度の検査久遠先生に怒られないかしら?」と心配する 太陽は「なら帰ったらカロリー消費運動ね!その後で久遠先生に診せれば大丈夫だよ!」と謂う 大空も「今は楽しむのよ!帰ったらキツい運動が待ってても、今は楽しむのよ!」と謂う 音弥は「大丈夫よ烈!僕が訓練の音楽チョイスするから!」と謂うと 翔が「なら僕が運動メニューをチョイスする!」と言った 兄達にイジられ烈は「もう食べにゃい!」とイジケた 兄達は「ごめん!ごめん!烈」と謝り楽しい話をする その姿にもう前のぎこちなさはなかった 真矢と清四郎はそんな子供達を見て楽しげに笑っていた その日 祖父母はヘトヘトになり、慎一、一生、竜馬もヘトヘトだった 子供パワー全開で遊びまくり、楽しみまくりの活動力に精根尽き果ててバテていた 慎一も烈に強請られ何度もウォータースライダーを滑った事か……… 体中バッキバッキになっていた だがワイン風呂や珈琲風呂に癒やされ、トドメは森の湯で貸し切りで露天風呂に癒やされ……ふやけた お風呂の梯子はふやけるわ!と真矢は想った だが最高に疲れが取れて、最高にお湯が気持ち良くて癒やされ、その夜は皆疲れて早々に寝落ちした そんな調子で1週間毎日楽しくて毎日クタクタで過ごした そして最終日 朝4時に起きてバスに乗り大観山へと出向いた 慎一はナビを駆使して大観山展望台を目指す 旅行中、和希と和真は絆を深め素直に行動する姿に感化され、父親との距離を縮めてみようと素で慎一も話ししたりと親子らしく過ごした 何かこう謂う時間が物凄く大切で泣きたくなる程に親子なんだと思い知らされた旅となった 此の旅で何かが画期的に変わった訳では無い だが明らかに各々の心に変化が生じ、心を動かしていた 駐車場にバスを停めると皆バスから降りた 大観山展望台は午前5時半には開く 展望台へ上がり朝日が登るのを待つ 宗右衛門は「始まりの朝を皆で見るのじゃ!皆の心に始まりの朝の朝日の赤が刻まれるのじゃ!」と謂う 何年か前に飛鳥井の家族や榊原の家族、そして兵藤の家族とハワイに行った時、最終日に始まりの朝を見た あの時は子供過ぎて唯黙って見ていただけだった だが今は違う 兄弟で見る始まりの朝を絶対に忘れないだろう 心に刻み、始まりの朝を待つ 辺りが白み始めると山の向こうから眩い光が差し込み朝日は昇り始めた 生命の赤 全てが始まる朝の色だった 翔は「凄く赤いね」と思わず呟いた 音弥は「母さんの産道を出て来る時に赤ちゃんが初めて感じる色と同じだって、烈がこの前教えてくれた」と旅行の話をしていた時、話した事を思い出し言った 朝日はね母さんの産道を通って来る時に初めて感じる色にゃんだよ! だから人は何かを始める時に朝日を見るにょよ! と教えてくれた 今こうして朝日を目にして、そうなんだと想う 太陽は「始まりの朝なんだね!」と言った 大空は「ならば此処から始めて行こう!この朝日は僕達だけの朝日として胸に刻まれるんだから!」と言った 太陽が登っていく 朝の始まりを告げる太陽が登っていく この日の朝日を胸に刻み 兄弟達は歩き出す もう大丈夫だ! もう迷わない もう立ち止まらない 歩みだすのだ 1000年続く果てへと歩みだすのだ 朝日が登り切ると、烈は「お腹空いたにゃ〜」と空腹を訴えた 真矢が「なら展望台のレストランに入る?それとも走って行って目に着いたレストランに入る?」と問い掛けた 兄弟や烈は「走って行って目に着いたレストラン!」と言った メニュー豊富なレストランを目指して行くと謂うのだ! 途中でレストランに入り腹を満たして飛鳥井の家を目指した 家に着いたら海産物が届いている頃だろうか? 色んなお土産を宅配で夜を指定して送ったのだった 勿論中には保存方法をちゃんと書いて送ってあった 昼過ぎには飛鳥井の家に到着し、子供達や真矢と清四郎と一生はバスから降りた 慎一は一旦バスを返しに行き、飛鳥井の家に帰ると客間に皆布団を敷いて寝ていた 烈は竜馬と源右衛門の部屋で寝ていた 慎一も一眠りして起きたら夕方をとっくに過ぎていた 慌ててキッチンに行くと玲香と京香が笑って 「今宵は土産で宴会じゃな!」と言った 客間に宴会の準備をして料理を並べていると康太と榊原、瑛太と清隆が帰宅して来た 慎一の顔を見ると「お帰り、んでもってお疲れ様!」と労いの声を掛けた その夜は笙夫妻と子供を呼んで宴会をした 翔達兄弟はスッカリ蟠りもなくなり、前の様に……嫌 前以上の強い絆で結ばれていた 瑛太達も聞けば旅行に行ったと謂う その所為か京香との絆は深まり、瑛智、柚との距離も縮まり自然体でいられる様になっていた 翔達も明らかに絆が深まっていた 少し前に船旅に出ていた清隆と玲香 真矢と清四郎の絆も深まっていて 絆の再確認の旅行は成果を著していた 笙は「明日の晩からサポートしている人達が旅行に出るのでしたね 何処へ行くのですか?」と問い掛けた それに答えのは聡一郎だった 「僕等は大阪食べ歩きの旅です! かに道楽 道頓堀本店のカニの写メを烈に送り カニパンミュージアムのカニパンとどっちが美味しそう?と聞く野望がありますから!」と答えた 康太は「この旅行に神威を加えた時点で、飲み食いしまくろうぜ旅!決定なんだよ! だって慎一や一生、力哉、栗栖、隼人、聡一郎、翼、神威には互いに対しての絶対の信頼があるし、絆もあるからな! 再確認しに行くこともねぇんだよ! そして何より神威と行く旅だぜ? あの飲兵衛を入れた時点で……グルメツアー決定だろうが!」とボヤいた 最近、神威はスッカリ聡一郎や隼人とも仲良くなり、色んな手続きをした翼ともすっかり仲良くなっていた そして法律が絡む問題事は神威に聞きに行くまでになっていた 栗栖とは有栖を引き取ってくれた人!って事で無条件で信頼し仲良くなっていた 烈はニコニコ笑っていた そして「神威負けちゃう旅ににゃるのよ!」と言った 康太は「え、あの中で神威より飲兵衛いるのかよ?」と問い掛けた 「栗栖と翼はザルよ!しかも破れてるザルよ!」 榊原は「破れてるザルなのですか!」とボヤいた 「神威は破れてりゅけど、もっと底抜けちゃってるザルだもん!」 家族は言葉がなかった そう言えば……栗栖とは宴会してなかったわ 翼は……遠慮してたのか? 飲めなさそうだと想い、此方が遠慮してたのか? と改めて思い当たる ならば今度は遠慮しないから! 家族は心に誓った そして翌日、慎一達も旅行に出掛けるのだった その夜 バスを運転したのは神威だった 神威は弁護士になるまで食えない期間があり、その時路線バスの運転手やトラックの運転手をしていたと謂う 援助は惜しみなくしてもらえる環境にあったが、己の力で這い上がると決めて、自分の力で掴み取ったとバスの中で話してくれた そして夜通し高速を走り、ドライブインでうどんやだの蕎麦だの食べて走る グルメツアーは既に始まっていた 慎一達が旅に出たい翌日 笙は烈に逢いに飛鳥井に来ていた 烈は「外に出るにょよ!」と言い竜馬を呼び出し ファミレスへと向かった 烈は山盛りのサラダを食べながら「にゃに?話って?」と問い掛けた 「何か恨まやしくて……ね」 烈は黙って笙を見ていた 「絆が羨ましいにょ?」と問い掛けた 「………何だか皆 シックリとパズルのピースがハマったみたいで………羨ましかったんだよ」 烈へ仕方なく宗右衛門を出した 「それは笙、旅行に行ったから出来た絆ではないぞ!儂が送り出したのは絆を再確認する旅であるからな! チャンスと時と場所を与えただけじゃ! 後は己の力で掴み取った絆だからの、幾ら主が羨ましがったとしても、どうしようも出来ぬよ!」と冷たく一蹴した 「解ってるよ、そんな事は………解ってるよ! だけど聞いて欲しくて君を訪ねた 僕等は今………バラバラの方を見て、バラバラな想いで今を見ずに過去ばかり見ている気がするんだ こんなんじゃなかったのに………悔しくて堪らないんだ!」 「それ、妻に話した事あるのか?」 「…ない………イギリスから帰国した辺りから明日菜が忙しくて、子育てで精一杯だったから……」 「主はその子育てやっておったのか?」 笙はハッとした顔で烈を見た 「ハッキリ言って儂は今寝る間もない程に忙しいのじゃよ! 絆を再確認する旅に出てたからな、その穴埋めをする為に忙しくて働いておっるのからの! じゃから、そんな惚気みたいな話聞かされても困るわ! 旅に出て深まる絆なれば自分のお金で旅に出れば良かろうが! 儂はハッキリ言って主まで送り出す予算はないぞ!すっからかんで埃しか出ぬわ!」とボヤいた あの旅行統べてが烈持ちだと聞く 別に明日菜も働いてるし、笙も働いているからお金には困ってないから、自分で出して旅行に逝けば良いだけの話なのだ 笙は困った顔をして「お金を出して欲しくて言っているんじゃないんだよ!」と言った すると即答で「知っておる!」と返って来た 「主は飛鳥井の家族が旅行に行き絆を深めて還って来たから羨ましかったのじゃろ? なれば笙も行って妻と我が子との絆を再確認する旅に出れば良かろうが! じゃがあの佐伯相手では荷が重いか……なれば儂が一枚噛んでやろう! じゃから主は日程を決めて………あぁまだるっこしい!慎一が旅から還って来たら翼を貸し出す故、そしたら神野と休みの日程を合わせる為に調整し1週間休むがよい! 妻との愛と、我が子の愛、それらを再確認し絆を深めて行けれれば良いのじゃろ? ならば簡単じゃよ! 明日菜を孕まさん勢いで愛して愛して愛し尽くし、ズブズブに濡らして気絶するまで抱け! まずは舐めてイカせて、焦らしてイカせ、挿れてイカせる! それが出来ねばテクなどないディルドと変わらぬ棒と謂うしかない!」 笙は真っ赤な顔をして、それを聞いていた 宗右衛門は「憂いやつじゃな!」と笑い飛ばした 「君 子供なのに……」 「何か誤解があるが儂は妻は娶らなかったが、誰とも犯っとらんとは言っとらんぞ! そして抱くならば、其れ位のテクを持つ! 子を成したおなごは熟して感度は上がる 感度を下がらせているとしたら、それは男の愛情のバロメーターとしか言えぬぞ! 旅行に出たいならばオナニーの延長のセックスではなくオーガズムを感じる膣痙攣させられる程のマジイキさせるのじゃよ! 愛されたおなこと謂うのは、愛されたいと想った瞬間に膣がピクピク痙攣して男を昇天させれる位に疼くようになる それを知れった夫は妻が欲しくて堪らなくなり、妻も抱いて欲しくて、仕方がなくなる 妻の体を愛し慈しみ堪らなくさせ潮を吹かせろ! 膣が痙攣して止まらなくさせ溢れ出る程に濡れ濡れにする位させてみるのじゃな それを目指すと謂うならば、儂も協力しようぞ!」 竜馬は真っ赤な顔をしていた 今まで女と犯って来た行為がオナニーの延長線上にあったのか?と想える程の濃い話に………竜馬は一緒に来るんじゃなかった……と後悔した 笙は覚悟を決めると「明日菜を愛し抜くよ!」と言った 濡れ濡れ云々の行りは恥ずかしくて言えないからだ 「なれば1週間後じゃな! 慎一達が還って来た後で日程を決めるとしよう! で、周りの者が困っておるから帰るとするぞ!」 と烈は言った 偶然にも宗右衛門の話を聞いてしまった周りの者は………顔が赤らみ……何故か濡れて逝くのを下着の冷たさで感じていた 男性も女性もそんな快感を想像して濡れていた 周りの人の鼻息が荒くなるのを聞いて、さっさと店を出て行った 竜馬は笙を榊原の家に送り、飛鳥井の家に還って行った 何だか気まずくて、烈を下ろしたら源右衛門の部屋へと行ってしまった 宗右衛門………あんな真面目な顔をしてあんな話するなんて………想像すら出来なくて衝撃が大き過ぎた 今も何だかドキドキが止まらなかった その頃慎一達は美味しいモノ食べ歩きツアーに駆り出されていた ホテルの駐車場にバスを停めて部屋を決めて荷物を運び込む 慎一 一生 聡一郎 隼人 栗栖 翼 力哉 神威  計8名の旅だった 神威はドライブインで部屋を決め事にした 「部屋、どうするよ? ツインを4つらしいぜ! 一生と力哉以外は決まってないわ!」 と神威が言うと聡一郎は「僕は誰とでも構いません!」と言った 隼人も「オレ様も誰でも構わないのだ!どうせ部屋には酔い潰れて寝るしかないのだ!」と言った それで一生と力哉以外の者であみだくじをした その結果 一生✖力哉 慎一✖隼人 聡一郎✖神威 翼✖栗栖 となった 部屋に荷物を運び込み、いざ道頓堀へ 美味しいモノをたべていると、お酒も進むってものであっちこっちの店で食べて飲んでしてお会計はキッチリ割り勘で済ませた 慎一が「最終日の夜は飲食いしまくれ!と10万円の軍資金を康太と伊織から預かってますのでかに道楽は最終日で良いですか?」と聞かれた 最終日 かに道楽で10万円分食いまくるのだ! 聡一郎は「かに道楽へ行くならカニの写メを撮らなきゃ!」と楽しそうに言った 最初はどうなるか?と想っていた旅行だったが、皆で来れば何だか楽しくて楽しくて笑顔が出まくりだった 力哉も笑っていた だが本当に何時だって飲んでる神威を見て 「神威、飲み過ぎたら10万円なんて足出ますよ!」と釘を刺す 「そしたら儂が払うわい!」と悲しげに言う すると聡一郎が「皆で割り勘にすれば良いんだよ!誰も文句なんか言わないからさ!」と言う  神威は司命!と酔って抱き着いていた 聡一郎は「貴方酔い過ぎだわ」とボヤいた  夜更けまで飲んでホテルへ向かう   部屋に入り寝る準備をした聡一郎が神威に 「この旅行に行く前の日、僕の前に黒龍が姿を現しました! 旅行から何時還るんだって聞きに来ました! 話を聞くと金龍が行方不明だとか? で、何処にいるか探ってくれないか?と聞かれた 神威は金龍が何処にいるか?知ってる?」と単刀直入に問い掛けた 「儂が知る筈などないだろ? 素直じねぇ倅は大切な部分を絶対に教えやしねぇんだからな! 赤いのも来て知らねぇか?と聞くけどよぉ〜 倅はそんなに素直な子か?と問い返したら笑って 「それはねぇな!」と還って行きやがった! 本当にな、儂は知らんよ金龍の居場所は! 聞いても素直に教えてくれるのかよ? あのじぃさん出たらアウトだろうが!」とボヤいた 神威の切実な呟きに、本当に烈の独断なんだと想った 「もぉな儂の顔見たら金運の上がるご家庭の話ばかりじゃからな嫌になるってモノじゃよ!」 「康太と伊織は神威に聞いたの?」 「聞いては来ぬよ! もし儂が知ってて話したとしても、次の瞬間先を変えるじゃろ?烈は! じゃから聞きもしないわ!」 「先を変える?康太がそんな事ボヤいていたな 星詠みは康太すら敵わないんだっけ?」 「んな筈なかろうて! 創世記の一柱に勝てる筈などなかろうが! 星の軌道を見ただけで果てが詠める皇帝炎帝と同列にはならんよ!」 「君さ魔界にいなかったのに詳しいよね」 「儂は主より古い古来の神であるからな! 豊穣の神として倭の国に根付いたが、親父殿とは連絡を取っておったし、この世の生きる総ての根のある処儂の目となり耳となり入って来る故、情報の量はかなりあるからな!」 「貴方が人の世に転生したのは烈の為?」 「それもあるが、魔界に住む親父殿の為である 一時期 聖神の魂の行方が解らなくなり消滅したやも知れぬ、と謂われた時の親父殿の憔悴ぶりは酷くてな………宇迦之御魂神から頼まれたってのもある! 聖神の魂は消滅してなくて、転生を果たしたが弱った親父殿の傍に行って支えてやりたいと想ったのもある それに倅の傍にもいたかった 父として倅を思わぬ日はなかった……… あの日処刑された日、儂は悔いた 魔界になど行かせなければ良かった想いと、傍に行き親父殿も倅も守れば良かった!と謂う想いに苛まれておったのじゃよ! 魔界へ住む許可は素戔嗚尊の息子だと言っても簡単ではなくてな 実績が要ると言われたから、実績を倅ともに積んでおる最中なのじゃよ!」 と説明した そして愚痴る神威を寝かせて笑っていた こんな話は滅多と出来ないからだ 神威は「倅が素直じゃないのじゃ!あんなにオッサン臭い子ではなかったのに……」と愚痴り寝る 聡一郎は「君等親子は良く似てるよ!」と言い笑った 妻だけを愛し 妻が消滅した今も妻だけを愛して過ごす 素戔嗚尊がそうだった様に、大歳神 君も妻だけ愛して過ごしている所そっくりだよ そして聖神も愛する人を想い……愛する 人だけ想い生きて来た 本当似た者親子だよ 聡一郎はそう言い笑って心地よ気分で眠りに落ちた 翌朝 皆ヘロヘロ出二日酔いを引き摺っていた 栗栖と翼は爽やかな朝の空気を纏い姿を現した 神威は聡一郎に「あの二人はヤバいぞ!」と耳打ちした 聡一郎は意味が解らなくて「え?何処がヤバいの?」と問い返した 「解らぬか?儂でさえ前日の酒の余韻を残しておるのに、あの二人も相当飲んだのにその余韻さえない!」 そう言えば!!!  聡一郎は烈の言葉を思い出し 「栗栖と翼はザルだと言ってたわ! しかも底が抜けたザルで神威は敗けちゃうにょよ!と烈が言ってました!   神威が敗けちゃう旅になるにょよ!と!」 と伝えた 神威は「やはり底抜けぶつけて参ったか! 侮れぬな烈、上にはまだまだ上がいるだぜ! 飲み仲間増やして絆を深めろと言う事じゃろ!」とボヤいた 聡一郎は「僕はそんなに飲めませんよ!」と予防戦を張る 神威は「主を潰したら倅の蹴りが飛んで来るわ! 烈はそーちゃんが好きなんだからな、飲ませまくったなんて知れたら蹴り飛ばされるわ! だから主はそんなに飲むでないぞ! 飲むのは栗栖と翼に任せておけばよい!」と言った 力哉は座るのも辛そうな程に愛されて、外野はやってられねぇ!雰囲気だった 「ビリケンさん行くぞ! 聡一郎、烈に写メを頼む!」と言い通天閣ヘ観光に行く 観光も楽しみ吉本新喜劇を見て生で笑い 通天閣でビリケンさんを撮ってたこ焼きを大量に買いホテルへ還る  「今宵はたこ焼きで飲もう!」 神威が言うと翼は「焼き鳥買う!」と言う 一生は飲みの場にはいなかった 力哉と甘い時間を過ごせ!と神威に押しやられ二人きりになっていた だか全日程、二人きりじゃなくても良いのだ! 一生は「なら俺は通天閣を出たら串カツ買うわ!」と言った 慎一が「通天閣付近って串カツ屋多いな!なら俺も別の店の串カツ買うわ!」と言った 栗栖が「ホルモン焼き見付けたから買って還る!」と言い 皆がつまみを買って還る算段をする 力哉と隼人と聡一郎は美味しそうな店見つけたら買う!と言った 通天閣に登りビリケンさんを見に行く 神威はピリケンさんを見て「何処となく八仙の一人に似てるな」と呟いた 横にいた聡一郎はその呟きを聞き、マジマジとピリケンさんを見た そして似てるから腹を抱えて笑い出した 「確かに!似てるわ!」と爆笑した 一生もプルプル震えて笑っていた 翼も八仙と聞きあの日逢った不思議な生き物だなって想った そしてビリケンさんを見て確かに似てる!と笑っていた 栗栖はピリケンさんを撫でまくっていた 慎一もちゃっかり撫でて「金運アップ」と呟いていた 神威は「金運上がりそうなのは何処におるのじゃろ?」と呟いた 聡一郎も「だね、しかし金運上がりそうなってのに何反応してるのさ!」と突っ込んだ 神威は笑って「さてと酒を買ってつまみじゃ! 儂はたこ焼きを買うぞ!」とスキップせん勢いで歩いていた 力哉がその後を着いて「神威、そのたこ焼き僕も他の店で買っても良いかな?」と問い掛けた 「おぉ!美味しそうだと想った瞬間買うのじゃぞ!」 「解った!直感を信じて買うよ!」 力哉も戦闘態勢に入る 気合い入れまくりの恋人の姿に一生は笑い 「なら俺も直感を信じて買ってやるさ!」と早足で通天閣を出て街に繰り出した 美味しそうな匂いと視覚にやられて皆が各々 おつまみを買う そして酒屋に入って酒を買ってホテルへと向かった 神威と聡一郎の部屋は少しだけ大きいらしくて、そこを宴会の場に決めて各々買ったおつまみを出して酒を飲んだ 今夜は宅飲みならぬホテル飲みと、洒落込んだ 食べ歩きツアーはあっという間に過ぎて最終日  かに道楽へとやって来た 聡一郎はカニの写メを烈に送信した 『そーちゃん、ボクカニ食べたいにょよ!』と返信が来た 「カニパンじゃなく?」 『カニパンも好きよ でもねカニはもっと好きよ!」 昔の引っ越し屋のCMかよ!と想い聡一郎は笑った この夜、カニ尽くしを満喫し………10万円で足が出て皆で割り勘で支払った 飲み過ぎ、食べ過ぎ、かに三昧は結構値が張ったのだった 8人なら仕方ないか…………… そしてまたホテルで食べる為にテイクアウトして帰ったので飲み始め最終日の夜は更けて行った 翌朝 朝食を食べて身支度を整えた そしてホテルをチェックアウトしてバスへと戻った 帰りのバスの運転は慎一だった 最初から交互に運転する約束だった   だから神威はドライブインに入ると食べまくり飲みまくりを満喫していた 今回の旅行のバスのレンタル代とホテル代は烈が持ったが、ホテルで出て来る食事じゃ足らなくて買いまくりの食べまくりの飲みまくりだったから、かなり飲食代にお金が飛んで行ったが、楽しかった想い出をケチるつもりは全員なくて、それはそれは豪快に使った 皆独身でそんな料金で生活出来なくなる筈などないのが救いだった 神威は悔しそうに「栗栖と翼に負けた」とボヤいた 一生は「栗栖の親父が底抜けの酒豪だからな、強くて当たり前なんだよ」と言った 神威は「暦也じゃろ?あやつはもう外では飲まぬよ!妻と子の為の日々を送っておるからな たまに儂の所に有栖を見に来て飲んだりする程度だぜ?」と言った 一生や聡一郎、隼人、慎一は信じられない想いで、神威の話を聞いていた   あの風雲児も収まる所に収まると落ち着くんだ………と想った 栗栖は何も言わなかった 飛鳥井の家の前にバスが停まると、栗栖と翼は自宅に還って行った 神威も「楽しい時間をありがとう!」と遺して還って行った 慎一はバスを返しに行き、一生、聡一郎、隼人、力哉は家の中へ入って行った 応接間を覗くと【お帰り!】と飛鳥井の家族が出迎えしてくれた 康太は「食べ歩きツアーはどうだったよ?」と笑って問い掛けた 聡一郎は「神威が栗栖と翼に負けたとボヤいてて、儂だって若い頃は底抜けじった!と煩くって!」とボヤいた 康太は爆笑した 瑛太は「ならば今度の宴会は呼ばねば!」と言った 清隆は「源右衛門も底抜けのザルでしたね」と父を想った 榊原は「源右衛門の命日も近いので宴会しますか!」と提案した 家族は「それは良い!」と喜んだ 絆を再確認する旅は終わった 家族の絆 兄弟の絆 仲間の絆 は深まった 烈は自分の部屋に戻ると笙にラインした 「明日 昼1時頃にホテルの部屋を取るが良い!」 そう送ると笙は即座に『了解しました!』と返し直ぐに部屋を取ったのだろうホテル名と部屋番を送って来た 烈は朝 何時もの様に桜林の初等科の制服を着て支度をする キッチンに向かうと康太と榊原が朝食を取っていたから、烈は昼頃少し笙と話があるから会社に行くのは遅くなると伝えた 康太は烈を視て総てを察し「大変だけど頼むな!」と言った 烈は頷いた 今日のスケジュールをSPに送信すると、ケントは学校の前まで迎えに行くて言ってくれた 栗栖がやって来て兄弟達と凛達を車に乗せ桜林へ向かう 初等科の着くと兄弟が降りて、レイは「れちゅ」と別れを惜しんだ 「レイたん後でね!」 手を振り車から降りると栗栖は幼稚舎にレイ達を連れて行き保育士に3人を託した 何時もと変わらない朝の光景だった 昼頃 笙が取ったホテルへと早退して向かう ホテルのドアをノックすると笙はドアを開けた 「烈、スケジュールかい?」 笙はホテルの日程の調整か?と問い掛けた 「嫌違う、セックスの仕方を伝授する為に参った そして本番は旅行へ行った夜じゃから!」 いきなり宗右衛門に生々しい事を言われて笙は顔を赤らめた それに気にする事なく宗右衛門は 「では主のセックスがどんなのか? このぬいぐるみを使って説明してくれ!」 と容赦のない事を言った 笙は覚悟を決めて烈の鞄から出された熊のぬいぐるみを使い愛撫はこんな感じで、こんな感じで、挿れて………と話した 宗右衛門は「主は男もイケたのじゃな、ならば男にはもっと気遣いしたセックスをしたのか?」と問い正した 笙は「男も女も変わりません」と謂う 「潮を吹かせた事は?」 「アレはAVの世界で、潮とか言ってるけど尿なんじゃ?」 「違うわ!この戯け者が!」と怒った そして続ける 「男は前立腺 女はGスポットと謂う快感を制御出来ぬスポットがあるのじゃよ! それを刺激して焦らして意識も手放す程にイキまくれば潮を吹くじゃろ! あれは尿の様だが、排泄の尿ではない! Gスポットを刺激してイカせれば失禁、潮を吹かせれば放尿に近い そこまで理性も何にもかも飛ばしまくる事を言う!何で夫婦生活して子も成してる者に言わねばならぬじゃ?」 と宗右衛門はボヤいた 宗右衛門は快感を直で感る場所を熊を使って教える 「素股はやった事はあるか? あれは射精が近い時とか射精した後が効果的であるな!ドクドクと脈打つペニスの熱さに割れ目が濡れまくりになる それを擦り付け、挿れずに素股を続ける すると欲しがる膣穴はピクピク痙攣を始めクリトリスが尖るのじゃ そしたらクリを吸うのもよいが乳首じゃな 噛んだり吸ったりして感度を上げるのじゃよ 熱く熱を持つ位に弄り優しく舌で転がして舐めるのじゃ! すると「欲しい挿れて」ってせがむしゃろ そしたら指を挿れて焦らす 「欲しいなら自分で開いて熟れた君の花弁を見せなさい!」と命令したら開いて見せるまで焦らす そしたらその日は理性を飛ばして、我を忘れてしまうじゃろ! 家に帰った時にでも、乳首でも摘もうものならば膣がピクピクと蠢き欲しがるのじゃ!と、最低限此処まではやらねば旅に出る意味はないぞ!」 「………ハードル高いです」 「それは理性が邪魔するからじゃろ? 一度快感を覚えたら、肉棒見せただけで舐め始めるじゃろ! 世の中には69とかの体位もあるからな  凝ってみるのも良いかもな ありきたりな生活じゃ、女は錆びついてしまうのじゃ! 夫婦で営むから夫婦生活と言うのであるぞ! 夫婦なれば妻を感じさせずにいてどうする? 儂の言いたい事は解ったか?」 「はい!頑張ります! 潮を吹かせてみたいです 腰抜けて気絶してしまう妻を見たいです!」 「今夜襲うのは禁止じゃぞ!笙 旅行まで禁欲して思いの丈をぶつけるのじゃ!」 「解りました! ご教授ありがとうございました!」 烈はどっと疲れて「にゃら帰るね!」と言い還って行った にゃんで子供のボクが………… ケントが「烈、イロハスのミカン買ってあげます!」と言うと笑顔になった 烈は翼に神野と飛鳥井の秘書課と連携して、佐伯明日菜の休日を1週間半もぎ取る!様に指示を出した 翼は神野と秘書課の皆と話し合い、休日をもぎ持った 笙の妻への愛と我が子の愛を再確認する旅に出る日が決まった 笙はあれから脳内でシュミレーションを何度もした そしてイキそうになるのを耐えて耐えて耐え抜いて迎える日だった 烈のアドバイス通り子供達の部屋と夫婦の部屋は別に取り、今回の旅は結子は小さいから京香が預かる事にした そして笙達は旅出た その頃烈は兄達が纏め上げた現場のレポートを会議室に持って行って見ていた どの現場も1週間、観察し映像も撮って残した チェック項目をプリントアウトして、会長、社長、副社長、真贋、宗右衛門、そして兄達がプレゼンする様に発表して行く レイと凛と椋も出席して書類に目を通していた レイがダメ出しすると、椋と凛もそれを見てダメ出しした 竜胆は「この下請け見るからに動きがヤバいじゃねぇかよ?何でこんな下請け現場に入れてるんだよ?」とボヤいた 椋も「この下請け調べるべきです!」と伝えた 宗右衛門は3人を見て頷いていた こうして3人を実践の場に引きずり出し訓練しているのだろう 宗右衛門は「なれば凛、椋、レイ、3人で…………あ、駄目だ、辞めておこう……」と引いた 康太は3人を視て納得した 榊原は「ならばこの下請けは企業向け調査会社に依頼します!」と言い会議を終えた 榊原は会議室から皆が出て行ってから 「何が在りました?」と康太に尋ねた 「悔しい事は言えねぇけど、倒産ラッシュのドミノ倒しを乗り越えた企業も今はそこまでの体力はねぇからな、飛鳥井が何故そこまで生き残れてるのか?と探りを入れに来てるんだよ! だから烈が定期的に現場の調査に兄達を動かして調べに行かせてるんだよ! そして不穏分子は早目に詰む!を繰り返すつもりなんだろ? だから下手に藪を突っ突いて蛇が出たら危ねぇからな警戒してるだろ?」 と康太は説明した 「ならばその下請け調べまさせねばなりませんね!」 「もう烈が社長に言い動かしてるだろ?」 「我が社は結構な頻度で企業向け調査会社に依頼を出してますが、その費用はどうしてるんですか?まさか総て烈持ちなんて事はないですよね?」 「まさか、我が社は企業向け調査会社と定期契約してるんだよ! 毎月費用は支払わなきゃいけねぇけど、定期契約だからその間は経費内で調査してくれてるんだよ それは会社の経費で賄っているから烈の負担にはやってねぇんだよ!」 と説明してやった それで榊原は納得した 会議室には皆出て行って康太と二人きりだと想っていたが 「母しゃん 父しゃん」と声がして烈がまだ会議室に残っている事を知った 榊原は「何ですか?」と問い掛けた 「近いうちに金運の上がりそーにゃ家族を全員 呼んで欲しいです 勿論 家族総て………を、呼んでね!」 康太は「了解した!銀色に4色に天も呼ぶわ!呼んだら直ぐに知らせる!」と了解した 烈は頷いて会議室をレイと共に出て行った 榊原は「やはり金運の上がりそうなのの居場所知っていたんですね!」とボヤいた 「だな、伊織 呼びに行けよ! 全色揃えねぇと納得しねぇからな! 全色呼べよ!」 「仕事を早目に終わらせて呼びに聞きます!」 「赤いのは呼んどいてやるから、他の色を呼びに行けよ!」 「赤いのはラインで来ますけどね  他の色はラインじゃ来ませんからね………」 「お前ら龍には宝珠あるやんか! あれで呼べば来ねぇのかよ? あれラインよりも便利やんか!」 「なら宝珠で呼び掛けてみます! 僕は今世宝珠を人の世で手にしてあまり使ってませんからね、タイムロス有ったりするのかさえ解らない所が難点ですね!」 真剣に分析して言う榊原が何だか青龍らしくて、康太は榊原に抱き着いた 「どうしたんですか?」 「何か青龍だなって想って………」 「僕は君の蒼い龍じゃないですか!」 康太は榊原を強く抱き締めた 其処へ仕事をサボってる副社長を呼びに来た西村が「はいはい!そこまで!続きは秋のマクドナルドでやれ!」と言い切った 「お前、古いしそのCM、それにマックの回し者かよ!」とボヤいた 西村は腕を組み睨み付け「蹴り飛ばされてぇか?」と問うと榊原は降参し 「それは嫌なので仕事に戻ります!」と戻る事にした 康太も笑って会議室を出て行った

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