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第30話 それでも道は続く ➋

堂嶋正義は検察庁の人間に現場保全をさせて調べさせていた 病院の職員達はその状況に顔色を変えていた 堂嶋は「病院乗っ取りとは、簡単に解る事を良くもまぁやるな…」とボヤいた 康太は「簡単にバレねぇ様にしてたから、オレも気付かずにいたんだよ! 警備会社を勝手に変え、受付も勝手に変えて受付け業務サービスとかと謂う会社と勝手に契約させ態度の悪い受付を置いたりしてジワジワ中から崩壊狙ってたんだと想う それが今回、烈が怪我して行く事になったからな、受付の態度の悪さが露呈して、消毒に来たオレもそれを確認して院長室に行こうとして警備会社変わってるのに気付いた、ったく巧妙に細工されていたんだよ!」と悔しげに言った 「腹癒せだろうな、鴻池のじじいが亡くなって求心力欠いたからな、お前がトドメ刺したと思ってるんだろ?」 「何かさオレが鴻池のじじぃ呪殺したとか想ってそうだけど、オレは手は下してねぇぞ! んな面倒な事をやるかよ! 破滅の序章はな、こっちの命賭けて投げ掛ける呪法だからな、そんな価値あるのかよ!あのじじぃに!だからやってねぇよ!」 「それは知ってるけどなら誰が?となるからな それが解らないから、破滅の序章唱えられるお前に目が付けられてるんだろ?」 「破滅の序章か………あれは滅多と唱えられねぇからな」 「誰と誰なら唱えられるんだ?」 「創世記の一柱しか唱えられねぇからな じじぃは破滅の序章で死んでねぇよ! もっと短絡的な誰でも唱えられる呪殺だろ?」 「短絡的な呪殺………検討も付かんな」 「で、その巫山戯た増渕がどうやら菩提寺も腹から食い尽くし潰したいみてぇだな 烈が怪我してるのは、その所為だからな」 謂れ堂嶋はその場に烈がいる事を知った 烈は手に包帯をして目を瞑っていた その姿は気配も消して何もかも遮断していた  「烈は…………どうしたんだ?」 と想わず堂嶋は問い掛けた 康太は困った顔をして 「レイ対策だな、烈に危害を加えた相手を知ったら、どんな手を使っても代価は必ずや取るヤツだからな」 とボヤいた 堂嶋は言葉もなかった 「ならば菩提寺の方もお前が動くなれば、査察の人間と共に乗り込んでやるさ!」と堂嶋は言った 康太は神威が調べた資料を堂嶋に見せた それを目にして堂嶋は「凄いな……この資料」と感心した かなりの人間を追って調べ尽くされていた 「これは昔探偵の仕事もしていた神威が自分で動いて揃えた資料だよ!」と言った 裁判となればより確かな資料がモノを謂う そんな世界だから神威の事務所のスタッフには探偵のバイトをしていた子や、現役の探偵事務所に席を置く傍ら神威の仕事の手伝いもしてくれる存在もいるのだ そうして己の力で培った実力で今の地位を手に入れたのだった そんな喧騒の中、久遠は烈の傍へ行き椅子に座らせると、消毒をし手当を始めた 「お前が病院に来たら全部明るみに出て……… あんなに悩んでた日々がなんだって謂うんだよ」 とボヤいていた そもそも、怪我した烈は受付通さなくても久遠に電話すれば縫って貰えるのだ この病院のオーナーの家族なんだから……… それをわざわざ受付通して拒否られて、保険証ベシ折られ両親が出て来てすべて明るみにされ改善されて行く 烈は笑っていた こうなる様に仕向けたのは明らかだった 久遠は「お前は皮膚が弱いからな、縫った所が裂けたら大変だからあんまし動くな!」と釘を差した 烈は痛いのは嫌だから、うん!と頷いた 病院は警察と検察が忙しく動き回っていた 烈は「せいぞーじいさんがね、診察断られたと嘆いていたにょよ、だからね地域に優しくにゃい病院なら要らにゃいよね?と話していたにょよ!」と言った 「その、せいぞーじいさんって誰よ?」と久遠は問い掛けた 「市長よ!」 久遠は長澤清三市長の姿を頭に浮かべた 「お前………市長と知り合いなのか?」 「井筒屋のおばちゃんの友達にゃのよ 良くお茶するにょよ、別に市長だからお茶してないわよ!」とボヤいた 烈にとったらせいぞーじいさんなんだろう 「でね、ヨレヨレのじいさん姿で言ったら追っ払われたにょね 市長として行ったら大歓迎されらしくて、あんにゃんじゃなかった!と怒ってたにょよ」 「うちの病院は患者の身分で差別なんてしてねぇからな!忖度もしてねぇし患者に差別も身分もねぇからな」 「せんせー大好きよ!」 烈に謂われれば嬉しい 患者には常に向き合って来て、優劣なんて着けた事なんでない だからうんざりして総合病院へ還ろうかと想っていた 手当が終わると烈は「何か疲れたから帰るね!」と両親に告げてケントに飛鳥井の家まで送られて帰った 飛鳥井の家に還ると烈は血を流し過ぎてて疲れたから自分の部屋に行ってパジャマに着替えてお布団に入って寝た 虎之助が烈の横に潜り込み一緒に寝る気満々で丸くなった その日家には烈一人だった すやすや気持ちの良い眠りに落ちていた そこへ爆弾が投下され様な爆音が轟き地響きがして烈は目を覚ました 「にゃに?なんにゃの?」と訳が解らなくて頭が働いていなかった 虎之助が怯えて烈に飛び付いて威嚇しつつも震えていた 取り敢えず烈は状況が解るまでは動くのを止めた 多分……何か車が突っ込んだんだと、騒音に混じり衝突した衝撃でなのか?は解らないが、クラクションがブーっと壊れた様に鳴らされっぱなしになっていた 烈は母にラインした 「にゃんか凄い音して地響きして怖いよ、母しゃん 父しゃん!」 『え!何があった!烈!直ぐに行く!』と言った 康太は榊原に「烈に何かあった!」とライン見せた 「さっきの地響きと爆音……まさか?」と顔を見合わせた 康太は堂嶋に「飛鳥井の家に何かあった!」と謂うと「なら俺も見に行く!」と言い走って飛鳥井の家を目指した すると飛鳥井の家近くは規制線が貼られて近付く事も出来なかった 野次馬を掻き分けて飛鳥井の家へ行く ……………すると飛鳥井の家は………玄関付近にトラックが突っ込んでいた 康太はその惨状を目にして「何だよ?これは?」と呟いた そこへ飛鳥井の家にPCを取りに戻った一生がその惨状を目にして家に入ろうとして止められ、警察に事情を聞かれていた 一生は康太を目にして「康太、家の中に誰かいないかって?誰かいるのか?」と問い掛けた 「烈が寝に帰っていたんだよ」と謂うと一生は顔色をなくした 「烈!病院にいなかったか?」 「傷が開いたら大変だと帰ったんだよ!」 「無事なのか?」 「怖いって泣いてるみたいだった」 「そりゃ怖いだろうさ!」と呟き、一生は救急隊員に「子供が一人残っている!助けに行ってくれ!」と伝えた 救急隊員は玄関に突っ込んでいるトラックを機械を使って解体を始めた 飛鳥井の玄関は階段があり門塀が丈夫に出来ていたから、トラックが突っ込んだとしても、そんな家への損傷は少ないだろうが、父と兄が拘った特注の門扉や玄関は駄目だな、と想った 救急隊員はトラックのドアを外して運転手を救助した後に、トラックを引き摺り出して玄関から通れるようにして「お子さんは何階にいますか?」と問い掛けた 榊原は「3階にいます!」伝えると即座に救急隊員達は3階を目指して泣いている烈の声を聞きつけ救助してくれた 烈はヒックヒックと泣きじゃくっていた 怪我していて寝ていたのか?包帯を巻かれた手が痛々しかった 救急隊員は烈を抱き上げたまま榊原の元へ連れて行った 烈は両親の顔を見るなり大きな声で泣き出した 「怖きゃったにょ!死ぬかと思ったの!」と訴えた 榊原は烈を抱き締めた 警察が烈に「何か解る事はありますか?」と問い掛けるが「寝てたにょ、知らにゃいのよ」と答えていた そこへ飛鳥井の家族が帰宅して来て破壊された玄関を見て唖然となっていた 瑛太も清隆も玲香も家への道路に人集りがいて近寄れなくて近くの駐車場に車を停めて歩いて来たのだった 玲香は泣いている烈に近寄り抱き締めた 「どうしたのじゃ?何があったのじゃ?」と康太に問う 榊原は状況を話し烈が一人で寝ていた時にトラックが突っ込んで来た事を話した ヒックヒックと嗚咽を洩らす烈の姿に、玲香は 「無事で良かった……」と安堵して抱き締めた 烈はパジャマを着ていた、それを見ただけでも寝ていた事が伺えられた 清隆も瑛太も「烈が無事で良かった…」と安堵の息を吐き出した だが惨状を目にすれば…… 清隆は「拘った特注のドアが……」と嘆いた 瑛太は「紋様に拘った門扉が……」と嘆いた トラックの保険とトラックの会社と運転手に賠償請求してやる!と想いつつ、烈に何かあればもっと酷い制裁をしてやるしかなかった 宗右衛門を欠いたこの先は不可能となる明日を考えたくもなかった 康太は「悪質だよな?」と病院と菩提寺に手が加えられ、病院は経営を危うく、菩提寺は道場の建設の遅れや試練の間に魔獣を送り込んだ事を告げた それで烈が怪我したんだ!と伝えられた 瑛太は「取り敢えず家には入れませんか?」と尋ねた 警察は漏れたガソリンに薬剤を掛けていた手を止め 「今夜は玄関も壊れてますが、どうしますか?」と尋ねた 「貴重品もあるし、怪我人もいるので移動はあまりしたくない」 と伝えると警察は「ならば今夜は規制線を張ってパトロールを強化します! 明日実況見分をした後に直して下さい!」と告げて還って行った 家族は取り敢えず家の中へ入った 怪我した烈を応接間のソファーに座らせ、掃除を始めた 修理は明日にするにしてもトラックの破片やガラス、破損した家の破片が飛び散っていて危ないからだ 榊原と一生はせっせと瓦礫をゴミ袋に入れ片付け始めた ガラスが飛び散っていたから念入りに掃き掃除をして、掃除機を掛けてモップで掃除をした そして救急隊員が歩いたであろ場所をモップを掛けて、ワイパーで拭いて行った 康太も壊れた門扉を取り外そうか?と想っていたら、兵藤が通り掛かり「爆破の被害にでも遭ったのかよ?」と問い掛けた 康太は兵藤に一連の連鎖でトラックぶっ込まれた事を伝えた 多分、トラックの運転手もそっちの息が掛かってるヤツの仕業だろ?と言った 康太は「所でお前は何処へ行ってたのよ?」と問い掛けた 兵藤は不敵に嗤って「俺か?俺はちょっと宗右衛門の御使いに行ってたんだよ!」と伝えた 「御使い?宗右衛門かぁ……食えねぇじぃさん何だって?」 「それは後でのお楽しみ!」 と兵藤は教えてはくれず、裏の自宅に還って行った 堂嶋はいつの間にか還っていた 康太はどっと疲れて家の中へ入った 康太は応接間に行くと「烈、施工の方で見積もり上げといてくれ!」と伝えた 「当時の相場?」 「今の相場じゃ吹っ掛けられねぇべ?」 「う〜ん、神威頑張ってくれにゃかな?」 「それは幾ら神威でも無理やろ それに今は忙し過ぎて他の仕事は受けねぇだろ?」 「それにゃのよね……弁護士足らにゃいのよね」 いやいや、足らないとかの問題じゃないだろ? 烈は「取り敢えずりんたろーに連絡しておくにょよ!」と言い応接間を出て行った 烈と入れ替わりにレイ達ちっこいのが菩提寺の修行を終えて還って来た 竜胆は「玄関の扉がない!」と叫んでいた 一生が「凛、静かにしろ!玄関にトラック突っ込んでドアがないからな、騒げば筒抜けになるからな、静かにしとけよ!」と注意した レイは烈を探した、応接間を覗いてもいないから3階に上がって烈の部屋を見に行った すると烈は何処かへ電話をしていた レイは電話が終わるまで良い子に待っていた そして電話を終えると「れちゅ!」と声を掛けた 烈はニコッと笑って「レイたん、お帰り」と言った 「れちゅ、ごはん」 「食べに行こうね!」 一緒にキッチンに向かい…キッチンに入り動きを止めた… 夕飯は作られてはいなかった………騒ぎでご飯所じゃなくキッチンは真っ暗だった 「ヤバいのよ母しゃん!」と烈が慌てて言う 「どうしたんだよ?烈」 康太は何事かと問い掛けた 「ご飯がにゃいのよ!」 「え?ご飯がない?旅に出たのかよ?」 「違うのよ!作ってにゃいのよ!」 あ、この騒ぎで家に入れなかったから、当然夕飯は作られてはいなかった 「ご飯………作れねぇわなトラック突っ込んでたら…」 康太は呟いた 着替えた瑛太がやって来て 「皆で食べに行くのも無理ですよね? 玄関があんな状態では……」と現状を口にする 「デリバリーだな…早く門扉とドア直して貰わねぇと外にも出られねぇぞ!」とボヤいた その夜はデリバリーを頼み、何とか腹を満たし事なきを終えたが………明日は皆会社に出たりしたら?無人になる訳にはいかない どの道、実況見分があるから誰かいなきゃいけない ただでさえ問題山積なのに、こんな厄介事が………何故次から次へと起るんだ? 翌朝、実況見分の為、康太と榊原は家に遺った 清隆と瑛太は康太と榊原に「では頼みますよ!」と言い会社へと出勤して行った 皆が学校や会社へと出向いた頃、警察から連絡をがあり実況見分が始まった その実況見分は検察のお偉い方が立ち会い、現場の者は物凄くやりずらそうだった 警官がメジャーを持って距離と速度を測る タイヤ痕にチョークで印を付け、またメジャーで次までのタイヤ痕を繋いで計測する そのトラックは明らかに脇目も振らず飛鳥井に突っ込んで行った事がそれだけでも明らかになった パシャパシャ写真を撮り、証拠を保存していく 何とか実況見分を終わらせ、これからは犯人の事情調書になるから、そちらの補償問題はトラックの会社の方と話し合ってくれと謂われた 警官がファイルを見て「犯人は……」と話そうとした時、検察の人間が「犯人の身元を調べている最中ですので、不用意な事は避けなさい!」と注意された 実況見分を終わらせ警官は還って行くと、検察は病院の方の不正に取り掛かると言いその場を去った 警官と検察がいなくなると康太は榊原に 「烈は?何処にいるのよ?」と問い掛けた 榊原は朝から烈は見ていなかった 「烈?寝てませんか?」 「多分家にいねぇぞ、気配がない」 「それだと僕じゃ解りません」 康太はダメ元で烈に電話を掛けた ワンコールで電話に出ると烈は宗右衛門の声で 『暫し待て、儂は今清隆と瑛太に拘りの門扉とドアを決めさせておるのじゃ!』と言った 「飛鳥井にいないと想ったら会社にいたのかよ? ケントが連れて行ったのかよ?」 『少し前から竜馬はおらぬからなケントと移動するしかなかろうて! 今パンフレットを見て唸っておる故、選ぶには時間が掛かりそうじゃ!』 「なら瑛兄と父ちゃんに選ばせたら、何日位で取り付け可能なんだ?」 『清隆と瑛太は特注で取り付けたのじゃろ?』 「だな、特注で注文して取り付けた……あ! それだと直ぐには届かねぇって事か?」 『そうじゃよ、だから注文はして頼んでおく じゃが取り敢えず、飛鳥井の倉庫にあるダサーい門扉と何処にでも在るドアを取り付けるしかなかろうて! ずっと規制線のままでは不便じゃからな!』  「すまねぇ、特注だから時間掛かるのすっかり忘れてたわ しかもドアはオートロックで最先端のを使用してたからな……簡単には行かねぇわな」 『オートロックは無理じゃから、普通のディンプルキーのドアを取り付ける 貴重品は当分は銀行か何処かへ預けるしかなかろあうて!』 「だな、取り敢えず頼めるか?宗右衛門 そして移動は必ずケントを連れて歩いてくれ!」 宗右衛門に何か在れば果てが狂う 果てが狂えば………それは即ち飛鳥井の終焉となる 『了解ちたにょよ!』 烈はそう言い電話を切った 康太は電話を切ると榊原に「会社にいたわ!」と話した 「門扉とドア、特注ならば少しでも早く注文しないと駄目だから行ったのですかね?」 「だろ?取り敢えず伊織、飛鳥井の家族全員、一生達に貴重品は移動させとく様にグループ送信しとくわ!」 「ですね……」 康太はグループ飛鳥井で「貴重品は当分何処かへ預けとけ!預け先がないなら今すぐオレの所へ持って来い!」と書いて一斉送信した 各々部屋に鍵は付いているが、それはあくまでもオートロックの飛鳥井の家の中に在るから保たれた安全だった 玲香は『我は銀行に清隆と共に貴重品は預けてある!』返って来た 清隆も『そうです、私達は銀行に預けてあるので!大丈夫です!』と返り 瑛太も『源右衛門が亡くなる前に貸金庫に貴重品は預けておくように!と言ったから以来貴重品は貸金庫に預けてあります!』と返って来た 京香は『持てるモノしかないから大丈夫じゃ!』とスタンプも着けて返って来た 一生、聡一郎、隼人、慎一は『後で渡すから頼む!』と来ていた 昼過ぎに誰かと入れ替わったら会社に行こうか、と考えていたら、飛鳥井凛太郎が施工の社員を連れてやって来た 「こんにちは!飛鳥井施工会社です! 門扉とドアを直しに参りました!」と礼儀正しい声がして出て行くと飛鳥井凛太郎が社員を連れて立っていた 凛太郎が「相談役が不用心だから付けてね!と申されたので門扉とドアを付けに参りました!」と言う 榊原は「頼みますね!」と謂うと凛太郎は「了解しました!それでは皆さん始めて下さい!」と号令を出した すると施工の社員達が壊れた門扉のブロックを削り直して行く 康太と榊原はその洗練された動きを見ていた 作業員は「次はブロックにチタン合金を支柱にしブロックで固めると聞きました まぁトラック突っ込まれて被害がこれで済んで良かったとしか言えません 流石真贋だと施工の社員達は騒いでました 玄関の階段と強固な門扉があればこそ、これだけの被害で済んだのですからね 下手したら玄関から突っ込まれて家の主要な軸を曲げられたら取り壊すしかないってのも有りますからね」と専門家から見た感想を述べる 取り敢えず応急処置的な門扉を付けて、ドアも取り敢えず着けた 正式なドアが入る時、総ての修繕をして綺麗に直す事になっていた 取り敢えずは鍵が閉められ外出が出来る環境は必要だった 工事が終わると凛太郎は「この工事費用、そして正式な門扉とドアの工事費用はトラック所有の会社と運転手に請求する様に弁護士に請求書上げときます!」と言った 「弁護士って天宮か神威か?」 「違います、デービッド・トンプソン氏が弁護に当たって下さるので、施工会社の方から請求書を上げてもらう予定です!」 「デービッドが?矢面に立ってやると言うのか?」 「我が社の顧問弁護士ですから! 我が社の顧問相談役の家の門扉やドアをぶっ放して黙っていたら男が廃ります!」 と徹底的にやる気構えで凛太郎は言い還って行った 工事を終えて鍵を人数分預かり、後で渡す事にして、康太は取り敢えず会社の前に飛鳥井記念病院へと向かった 病院の正面玄関には 【病院当面の休院についてのお知らせ 当病院は機械系統のトラブルにより機械を入れ替えねばならなくなり、その為に当面休院致します 患者様には多大なご迷惑を掛けておりますが、一日も早い復旧に務めさせて戴きます! 復旧や詳細は当院ホームページにて随時更新して参ります!      飛鳥井記念病院院長 久遠 譲 】 と張り紙が貼ってあった 康太と榊原は関係者用通路のドアを開けて院内に入ると、院内は騒然としていた 病院職員による取り調べをされた後、バンバン解雇されて行っていた その場を兵藤と竜馬が仕切っていた 違法だ、と訴える者にはそれなりの証拠を出して有無を言わせなくして追い出して行く そして遺った者には採用試験をやるから残りたいたならば受けると良い!と宣言された 竜馬は「この病院は中が腐りかけたので、一旦リセットして正さねばならなくなった それが納得出来ないならば、労基にでも訴えれば良い!まぁ不正に契約した受付業務サービスなる会社や警備会社は訴えられる立場を思い知ると良い!」と吐き捨てた 兵藤は「医者も同じ待遇で一度リセットして、この病院で働きたいならば採用試験を受けられる事をお勧めする! この宣言をした瞬間、ハローワークやネットで求人はされて目にも止まらぬスピードで応募者が集まる事だろう! この病院は他の病院に比べたらホワイト中のホワイトな病院だからな、仕事したかった者は後を絶たない この機会だからな総入れ替えしろって、飛鳥井宗右衛門のお達しだ!」と伝えた その言葉に宗右衛門の御使いってこれなのか?と理解した 検察側は不正の証拠を昨日のうちに総て手に入れ、後は立件できる確たるモノを手に入れるだけとなっていた 裁判で弁護士に突っ突かれても何処にも綻びなんてない!と謂う確たる証拠を集めなければならないからだ! 烈の保険証をベシ折った受付は、器物破損で立件される事となった、とその場で伝えられた そしてその場は解散となり、病院の関係者は総て外に出され帰宅させられた 「せんせー!もっと早く言わにゃいから事が大きくにゃるのよ!」と烈が怒る声が響いた 康太は「烈、お前会社にいたんじゃねぇのかよ?」と想わず声を上げていた 烈は「えーちゃんもじぃしゃんも唸ってばかりで決めにゃいのよ! あれじゃ直ぐは無理だから、こっち優先にしたにょよ!」と説明した 唸って決めかねている姿を直ぐに想像できて笑えた 前も直ぐには決められず、考え抜いて決めたから拘りの……なのだから! 久遠は烈の怒りに「烈!そんなに怒るなよ!」と言っていた 竜馬は「今回、んとにハードモードだったんだ 俺も癒やしの旅に出たいよぉ〜」と情けなく扱き使われた日々のご褒美を求めた 「にゃら【R&R】で旅行に行きゅのよ!」と言ったから、竜馬は俄然張り切った! 兵藤も「ならその旅に俺も加えやがれ! 寝ずに何日も見張らさせやがって! 俺も竜馬もクタクタだっつうの!」と文句を言った 「兵藤きゅんが良いにゃら一緒に旅に行きゅのよ!」と言うと兵藤もご褒美に俄然頑張った 兵藤は不敵に嗤うと「竜馬、サクサクやるぜ!」と言うと竜馬も不敵に嗤って「当たり前じゃないですか!誰にモノ言ってるのさ!」と返した 検察の人間が兵藤に「証拠は総て揃いました、次は菩提寺の方へ向かいますか?」と尋ねた 兵藤は「烈、このまま菩提寺突入しちまうぜ!」と言うと烈は「そーね、キリが良いにょね!」と返した 兵藤は康太に「そこの久遠を総合病院へ連れて行って医者の確保に当たってくれねぇか? 病院のスタッフも確保出来るなら総入れ替えだからな、色んな所に当たりを付けてくれねぇか? そしたら菩提寺の建築会社とクソ僧侶との癒着上げて坊主も一新だな! めちゃくそ忙しいんだ!頼んだぞ!」と言い烈を小脇に抱えて走って行った 康太と榊原は唖然としていたが、ハッと正気になり「やられたな伊織」とボヤいた 「ですね、あの子時を巻きましたね こんなタイミングで菩提寺と病院が一気に露呈するなんて…………」 「だな、でもこうなったら動くしかねぇわな 時を早めたって事は遅かれ早かれこうなる運命だったって事なんだし……でも一度にやらなくても、って想いはあるはな!」 んとに、仕事ばかり作ってくれて! 榊原は唖然としている久遠を引き摺って、康太と共に総合病院へと向かい話をしに行った 総合病院には既に話が付いていたのか?院長から医事課の責任者の方に協力してやってくれ!とこ話があり全面協力を約束してくれた 医事課の職員が各方面に連絡を入れて入れてくれ、働ける医師を見繕ってくれると約束してくれた そして話をして看護師の求人広告を出す手続きした それに伴いネット宣伝も出す様に烈の専属秘書の翼に頼み出して貰う手筈を整えた 一通り久遠を連れて総合病院での依頼を終えると、兵藤から『僧侶総入れ替えで!手続き頼むわ!』とラインが入り、康太と榊原は久遠に 「取り敢えず宗右衛門から何か言ってくるまで待機で頼むわ! 下手に動くのは辞めとけよ!烈が飛び蹴りかますからな!」と注意して飛鳥井記念病院まで送り届けた 榊原は康太に「次は何処へ行くのですか?」と尋ねた   「菩提寺の系列の僧侶組合に行く!」 「僧侶組合、そんなの有ったのですか?」 「有るんだよ、どの寺にも系列の僧侶組合は有るんだよ それで僧侶を派遣したり回したりして修行させているんだよ だから菩提寺の系列の僧侶組合に行って、僧侶を総入れ替えするから新しい僧侶を菩提寺で働かせてくれ!って頼みに行くしかねぇんだよ!」とナビに住所を入れた 僧侶組合に行くまでに康太の携帯に不正の証拠が続々と送信されて来ていた 康太は「此処まで………」と腐った体制に言葉を失くした 僧侶組合に到着して中へ入ると康太は 「飛鳥井家真贋が参った! 責任者を出せ!」と言った 即座に応接間に通され顔を青褪めさせた責任者が応接間に 「何か御座いましたか?」と問い掛けた 康太は送られて来た不正の件を見せながら話した 責任者はそこまで………と証拠を見せられて更に青褪めていた 榊原も「未熟な僧侶だから漬け込まれ欲にまみれて常軌を逸脱してるのにも気付かないのです!」と、僧侶がやらかした事をネチネチと嫌味を混ぜて散々言い挙げ句 「直ちに僧侶は総て入れ替えて、不正をやらかした僧侶は修行の遣り直しをさせるか、別の道を歩ませなさい! 欲にまみれて煩悩を捨て切れない僧侶など不要です! まぁどの道法的に処罰されれば、組合の方でも動くしかないでしょうけど、検察が動いているので法的に裁かれるのは確実です!」 とトドメを刺した 菩提寺系列の僧侶組合の責任者は 「僧侶の総入れ替えを致します ですが昨今の情勢で僧侶不足の今、そちらの方でも未熟な僧侶を配置したとして修行させて日々鍛錬させて育てて行って下さらねばならぬ!」 と苦しい状況を語った 康太は「それは当たり前の事だ!僧侶が日々鍛錬や修行を忘れて欲にまみれたら、それは僧侶の道から外れた外道じゃねぇか! そうならぬ為に菩提寺も変わらねばならぬと謂う事だ! 姫巫女の力も弱まり、入れ替えの時期でもあると謂う事だろ? 次代の陰陽師も修行に入る頃ではある現在、変革期に突入したんだよ! だから次代に継がせるべき資質を問われ弾き出しているんだよ!」と現実を突き付けた 僧侶組合の責任者は「次代の陰陽師が……次代の姫巫女に………それなれば組合と致しても死命を賭して配置せねばなりませぬな! 必ずや真贋のお目汚しのない人材を選んで配置致します!」と約束してくれた 康太と榊原は僧侶組合を後にすると、菩提寺に向かった 菩提寺は警察の車が何台も停まっていて、騒々しい喧騒の中怒声も飛び交っていた 「経理の方も使い込みがされてます! この菩提寺を抵当に借り入れもされています!」 と調べていた翼が声を張り上げて告げる 飛鳥井神威が「菩提寺を抵当に?それは誰の許可を取って抵当にしたんだ? まぁ印鑑とか必要書類の印鑑が許可なく使えるこの社務所は古代の遺物の様な仕事しかしてねぇのに、使い込みかよ! この体制も変えねぇと駄目だぜ宗右衛門!」と文句を言いつつ1つずつ片付けて行く 烈はあまりにも杜撰な管理体制に頭痛を覚えて 「もぉ、そーえもん出にゃい!」と吐き捨てた 神威が怒って「良い度胸だ!宗右衛門!」と首根っこ持って仕事へ引き摺って行く 康太は「此処は地獄かよ……」と想わず呟くと兵藤が「現実逃避すんな!康太!こんなクソ甘い地獄が有ってたまるかよ!」とボヤいた 兵藤は「この菩提寺抵当に入ってんぜ!」とボヤいて告げる 榊原が「それは不正なので、証拠を上げて取り消しさせます! 当然融資した銀行もそんな正式な印鑑じゃない融資なんて無効裁判で負けるに決まってます!」と言い切った そして裁判を見越して「弁護団を作らねばなりませんね!」と思案して呟いた 「まぁそれは今日の困難な状況を乗り切ってからだな!」と言った 解雇される事務員は叫んで不当だ!と叫んでいた この不景気なご時世解雇なんてされたら再就職も厳しい時代だ! 辞めさせられたくないのは解るが、腐った部位を取り除かねば腐食の連鎖は止まらないのだ! 康太は兵藤と竜馬に「証拠はバッチしなんだろ?」と問い掛けた すると兵藤は怒って「誰にモノを言ってる!」と怒り 竜馬は「俺等は完璧な仕事を上げた!だから文句なく解雇させられ不正を暴いた!」と言い切った  となれば飛鳥井家真贋が出ねばならない 「不正の証拠は上がっている! お前等はこの菩提寺を食い物にしていた 当然、使い込んだお金は返還請求する! この菩提寺も不正な融資で抵当に入っているならば、銀行を相手取って無効裁判を開く! この菩提寺は飛鳥井の為に在る、飛鳥井の一族の為の寺だ!己の私欲に搾取されて良い訳では無い!」と寺中に響きた割る声で謂われ その場にいる者は何も言えず黙った 宗右衛門は「飛鳥井に名を連ねるだけで役職まで着けて貰い働いていた者も解雇と処す! 仕事もせずにダラダラ過ごす為の場所ではないからな!」と言い放った この寺は身内意識の強い職場環境で飛鳥井と謂うだけで仕事をせずに大きな態度で遊んでいた それを菩提寺に来ていた康太の子供達が調べ上げて宗右衛門に報告していたのだ それらの情報を聞いた宗右衛門が暴くタイミングを測っていて、菩提寺と病院と謂う一石二鳥で動いて片付けるこの時を狙って動き出したのだった 金龍達を宿舎に入れたのも、偵察させる為の内偵みたいなモノだった それをより確実にする為に職員が出払った夜に兵藤と竜馬を動かし調べさせていたのだ PC関係は翼が入り調べ尽くし、色んな情報が出て来て、動く時を合わせて【今】動いたのだった それを烈を視た康太と榊原は理解し、真贋として矢面に立った 榊原は康太の視界からそれを垣間見て、よくもまぁこんなに緻密にタイミングを合わせて動いたモノだと感心した 総てが金龍と保険証のベシ折りから始まったが、内情はもっと早くから動き出していたと謂う訳だったのだ 菩提寺の事務員、僧侶、それに関わる関係者は総て排除した そして宗右衛門は姫巫女は力が衰えた事を暴き、姫巫女の権利を剥奪した 「姫巫女は子を成した事により年々力が衰えた それを証拠にこの寺の結界はどうじゃ? 源右衛門が高齢だった事を言い事に、腐り切った体制は未だ変わらず! この機会に全てを一新する事にした! 姫巫女の不在の今、代理として水萌、主が代理を張るが良い! 姫巫女は紫雲と共に生活してこの寺の奥の家に移り、寺の手助けをしてやってくれ!」 と告げた 姫巫女はやっと重き任を解かれ泣いていた 力が衰えているのは姫巫女が一番良く知っていた 日々力が衰えて前のように結界張れない そんな事は姫巫女が一番良く知っていた 宗右衛門は「桃香に戻り今まで出来なかった事をするとよい!」と謂う 姫巫女と陰陽師は寺の敷地から永らくの時間は空けられない事となっていた だから桃香は姫巫女になった日から寺で生活して自由な時間などなかった 宗右衛門は「水萌だけが担えば重荷になる故、幾人かの巫女を育て任を担わせ力を合わせて逝くがよい、もう古き仕来りにより繋がれて生活する様式も見直す時が来ておるのじゃ! 人の権利を自由を無視して束縛も呪縛も古いと何故解らぬのじゃ! 皆が一眼となり力を合わせて菩提寺の為に働く! その力に勝る力などないと何故解らぬのじゃ!」と言葉にする 巫女達はその言葉の重さに涙していた 俗世にまみれたら巫女になれぬ そう謂われ身を清め寺に生涯を捧げて来た 「俗世まみれになれとは謂わぬ が、自由は必要じゃろ! 近い内に完全個室の寮を建築予定じゃ! それは蕪村と宮瀬が携わる事となっておる じゃが、その蕪村が道場の建築を遅らせておるからな、真贋直ちに建築状況を尋ね軌道修正せねばならぬ! 解っておるか?この歪んだ現実を引き摺るならば、果ては歪み歪な未来しか築けぬ事を!」 康太は宗右衛門の言葉に息を飲み 「解ってるよ宗右衛門! ったく源右衛門と同じ台詞言うかな………」 とボヤいた 宗右衛門は笑って「あやつを育てのは儂じゃからな!3回目の転生の時にあやつと始めて顔見世して扱きまくったのは儂じゃよ!」とサラッと言った 源右衛門の基本を作ったのが宗右衛門ならば、じいちゃんに怒られているように感じたのは、元が宗右衛門仕込だったと謂う訳だったのか…… 康太は納得した 康太は直ぐ様動いた 蕪村に道場の建築が遅れに遅れてる事を報告した すると佐々木蔵之介は『え!!少し待って下さい!』と返信が来た そして調べ上げたのか?電話が掛かって来た 『すみません、報告では工程通りに進んでいると報告が上がってるので、一度伺います! 今日は菩提寺におられますか?』 「オレが不在でも宗右衛門がいる、だから何時来ても大丈夫だ!」と返して電話を切った 康太は「オレは一旦会社に顔を出す!宗右衛門後は頼めるか?」と問い掛けた 「あぁ、会社も疎かには出来ぬからな! とっとと片付けて菩提寺と病院を軌道に乗せるぞ! でなくば日常など来ぬと想うがよい!」 「解ってんよ!んじゃ少し頼むわ!」と言い康太と榊原は会社に向かった それと入れ違えに佐々木蔵之介がやって来た 蔵之介は「飛鳥井宗右衛門殿に逢いに来ました!」と言い菩提寺を尋ねてやって来た 烈が蔵之介の前に出ると、蔵之介は「えっと………宗右衛門殿ですか?」と尋ねた 蔵之介にとって飛鳥井康太はよく知る存在ではあるが、飛鳥井の家の事はあまりは良く知りはしなかった 宗右衛門は「儂が宗右衛門じゃ、さぁサクサク遅れに遅れた道場を見に行くとする!」と言った 蔵之介は躊躇していた この子はテレビとかで見たコナンみたいな子だと、その時やっと気付いた 子供なのに大人の嗄れた様な声で喋る 飛鳥井と謂う家は前世の記憶を持つ転生者と謂う存在がいるんだと、その時ニュースでやってたな と、烈と共に道場へ向かい止め処なくそう考えてしまっていた 蔵之介は工程よりもかなり遅れた道場の建設を眼にして「え?…………なんですか?これは?」と唖然となった 宗右衛門はそんな蔵之介に問い掛ける 「主は己の会社の現場状況を己の目で見て確かめる事はせぬのか?」 蔵之介は深々と頭を下げ 「此方側の落ち度に御座います! 報告書を鵜呑みにしておりました……しかしこれは酷過ぎる………」 「期限までに完成出来ぬと違約金が発生するぞ! この道場は飛鳥井家真贋からの依頼ではない 儂が主に忖度してやる理由などないからな!」 不敵に嗤う子供の瞳は……内面まで暴き丸裸にされそうで怖かった 康太とは違う………その眼に見られていると背筋に冷たい汗が流れ落ちるのを感じていた 蔵之介は「我が社の落ち度に御座います!」と謂う 此の方には下手な誤魔化しなど通用しないと解っていたから……… 「主は現場にもっと目を配る必要があった 目を配り現場で仕事する者の目線になり知る必要があった だから報告書を信じて現場任せな対応をしたのだ 主は何を見て何を感じて何を指針にして会社を回しておるのじゃ?」 「…………貴方は何を指針にして会社を回しておられるのですか?」 蔵之介はこんなちっこいのが、なんと答えるか?答えが知りたくて、質問を質問で返してしまった 「儂か?儂は飛鳥井の明日を信じて、1000年続く果てへと軌道に乗せる為に日々生きておる! 儂は常に社員に目を向け、現場で働く者達には礼節、儀礼をモットーに叩き込み、親切丁寧な仕事に目を向けて、常に現場に顔を出し社員と話しておる!それが上に立つ者の死命であるからな!」 言葉も出ない位、完膚なきまでに経営者のなんたるか?を熟知して話す その姿に迷いはない 烈は蔵之介に3枚の名刺を渡した 蔵之介はそれを受け取り「これは?」と尋ねた 「それね、ボクの名刺よ!」と子供の声で謂われ蔵之介は3枚の名刺を見る 【飛鳥井施工株式会社 相談役 飛鳥井 烈】 【ヨニー©イギリス 副社長 飛鳥井 烈】 【ヨニー©Rウッズスタン 代表取締役社長 飛鳥井烈】 物凄い肩書だった 蔵之介は言葉も出なかった そして最近父から作って貰った名刺を蔵之介に渡した 【飛鳥井建設 相談役 宗右衛門 飛鳥井烈】 「凄いですね、君は……言葉も出ません」 「人を見て、人を知る、人を知れば、その人が見えてくる、その人が見えて来たならば、正しく配置せねばならない! それが明日へ繋ぐ作業となるからだ!」 そう宗右衛門で言った後に烈は 「にゃんてね、この道場はね、少し遅れ過ぎにゃのよ!馬鹿にしてるぅ? 何を見てるかって話しににゃるのよ? 書類だけしか見にゃかった?」 可愛い声で真髄を突いてトドメを刺す 「はい、書類にしか目を向けなかった結果…大きな遅延をさせてしまいました!」 「この現場だけじゃにゃいかもね」 ニャッと嗤い謂う 蔵之介は烈に「そんな恐ろしい事は止めて下さい!でも有り得ますね……私が机上の空論しか見なかった結果ですから………」と情けなく言い、その場に座り込んだ 烈は蔵之介の前に座ると 「座ったら駄目だよ、立てにゃく成るから!」と言った 「すみません………衝撃が強すぎたので………」と謝罪して立ち上がった 「大丈びよ!直して行けば!」 と優しい言葉に蔵之介はフラッと崩れ落ちそうになる それを烈が支えていると竜馬がやって来て 「何してるんだよ!烈! 知らないおじさんに着いてっちゃ駄目だって言われなかったか?」とボヤいて蔵之介を離した 「りゅーま、佐々木蔵之介さんよ! 蕪村建設のしゃちょーさんよ!」 「おっ!そうでしたか、それは失礼しました! 私は三木竜馬と申します!」 と大人な対応をして竜馬は名刺を渡した 受け取った蔵之介は烈と全く同じ名刺に言葉もなかった 「烈も君も社長なの?」 「烈は未成年なので私とで社長をしています まぁ自己紹介は終わった事だし、此処からが本題となります! どうやら蕪村建設の作業員は菩提寺の元職員と癒着がありますよ? この始末どうするつもりですか?」 厳しい言葉に蔵之介は言葉を失くした 叱責されて当然なんだけど………何故此処まで会社の指揮系統が揺るがされているのだ? そこへ兵藤がやって来て「そこまでにしとけ!竜馬!」と止めに入った 竜馬は兵藤を横目で見ただけで 「止めたいですけどね、実際問題として遅延、癒着等問題が出て来ているのは事実でしょ?」と吐き捨てた 兵藤は「ならばその遅延と癒着をまずは蕪村のトップに見せて知ら示す必要があると言ってるんだよ!言葉で責めても始まらねぇんだよ!」と謂う 烈は「にゃら保養所に行くにょよ!」と言い皆を保養所へと連れて行った 兵藤は「じぃさん出せよ!烈」と謂うが烈は 「ガス欠にゃのよ、出にゃい!」と言った 朝からずっと出てたらそりゃ出なくもなるわな、も兵藤は「何か食うか?」と問い掛けた 竜馬が「ならデリバリーしましょう!烈はヘルシーなお弁当で!俺はボリューミーな弁当で!」と謂う すると烈に脛を蹴り上げられ竜馬は脛をサスサス撫でていた

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