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第31話 それでも道は続く ❸

竜馬はネットでデリバリーを頼む為にメニューを見始めた 何とか気を建て直した蔵之介が、眼の前でメニューを見ている竜馬に 「私が皆に奢ります!」と言った 自分の会社の落ち度でこんな事になっているのだ 出して当然だと謂う だが竜馬は「今回は俺の番なんで!」と言い 「何で俺の番で増えるかな?ズルいよなぁ」とボヤいた 兵藤は「仕方ねぇだろ?順番は順番だからな!」と笑った 竜馬は皆に何を食べたいか、メニュー先を統一させる為に聞く そして蔵之介に「何食べますか?」と問い掛けると蔵之介は「私が奢ります、迷惑かけてるのは私共の方ですから!」と謂う だが竜馬は「食事に仕事を挟む気は皆無ですので、そう謂うのは無しの方向でお願いします!」と言った 兵藤も「飯食ってる最中に仕事の話は勘弁だわ! だから蔵之介、和食と洋食と中華のどれかで合わせるぞ!イタリアンなんて言うなよ! 和洋中のどれかだ!」と言った 蔵之介は「なら和で!」と謂うと兵藤は「なら和だな!なら俺海鮮七色で!」と即座に注文した 烈は「オホーツクの漢の味にゃのよ!」と注文し 兵藤ら「あ、ズルい、なら俺もそれに変更だな!」と謂う 蔵之介は「オホーツクの漢の味、それ食べてみたいです!私もそれで!」と謂う 竜馬は「ならオホーツク漢の味を4つ頼むさ!」とやけくそになり注文した 暫くしてデリバリーの配達員が注文した食事のお届けに来た 竜馬はネット出注文した時にカード決済をしたから、デリバリーの配達員はお届けの食事を渡すと還って行った 竜馬の手から兵藤が受け取り下駄箱に置く 下駄箱に置いた食べ物を烈は奥へと運んだ 蔵之介も手伝い奥へと運ぶ そして皆で「オホーツク漢の味」の蓋を開けた するとそこには丼だがオホーツク海で採れる海の幸が総出演していた 目に眩い海鮮に蔵之介は「美味しそうです!」と言った 烈も「やっぱ海鮮は漢の味よね!」と言い食べ始めた 兵藤が冷蔵庫から山盛りのサラダを烈の前に置いた 烈は漢の味を食べつつも山盛りサラダを食べ始めた モヨモヨ葉っぱを食べて行く 何時もの光景だった そこへ康太と榊原がやって来て差し入れを渡して来た 竜馬は「康太さんと伊織さんも漢の味!食べますか?」と尋ねた 榊原は「僕達は食べて来たので大丈夫です!」と言い差し入れを袋の中から出した そして康太の前にプリンを蓋を開けてスプンを指して置いた 康太は「話は付いたのかよ?」と問い質した 竜馬は「ガス欠で説明も満足にしてません!」と伝えた 榊原は「お昼を食べてませんでしたからね…」と朝から動き回っていた烈を思い浮かべた 烈は食事を終えると携帯を取り出して電話を掛け始めた 「決まったにょ?」 烈が問うとか細い声で『まだです……』と返した すると烈は怒りのオーラを露わにして 「早く決めにゃいとダサくて古い古民家にょのにするからね!」と発破を掛けた 『烈、それだけは止めて! 決めるから、今日中に決めるから!』 「注文しにゃいと遅れりゅのよ!」 『決めます、ごめんね烈、許してね! 今度の連休にカニパンミュージアムに連れて行くから!』 「それ、本当?にゃら明日まで待つにょよ!」 何と言う現金なヤツ………と想いつつ苦笑した 「えーちゃん、直感力よ! 最近、直感力低下してにゃい?」 トホホな事を謂われ、奮起する! 『ならばこの伯父の直感力を魅せてやります!』 「楽しみにしてりゅのよ!」 と言い電話を切った そして「明日にしたら……」とネットで注文した日から商品が来るまでの期間の計算を始めた メモ用紙を取り出して、計算を始める 運気の問題で取り換えの周期も計算する 蔵之介は何が始まったのか?と驚愕の瞳で烈の行動を見ていた 「紙足らにゃいのよ!」と謂うと兵藤が慌てて鞄の中から束になった紙を烈に渡した 烈は計算の手を止めると天を仰いで、全ての動きを止めた 康太と榊原はそんな我が子を見て 「伊織、またガス欠になるぞ!」と言った 「大丈夫です、その為の差し入れですから!」 とまだ食べ物は沢山あると示した 烈は「母しゃん、ズレが生じるにょよ!」と訴えた 康太は黙って烈を視て「だな、あんでだよ?」と首を傾げて考えた 「えーちゃんに3日の猶予与えたら……」 とまた計算を始める 「瑛兄、相当迷ったんだな 門扉とドアも直ぐとは入らねぇからな 烈の計算が狂いっ放しなんだよ!」 とボヤいた 兵藤は「瑛兄さんも清隆さんも拘るから、だからこそ決めかねているだろ? それだと入れる周期が狂うって事か………宗右衛門も大変だな」と感心した 色々とシュミレーションして、やっと烈の手が止まるとニコッと笑った 「父しゃん えーちゃんとじぃしゃんに5日の猶予与えたから、それまでに決めさせてね それ以上は月と太陽が重なってしまうから、完璧な結界無効の周期に突入しちゃうのよ 母しゃんの太陽が翳る時は避けたいからね!」 康太も天を仰いで「だな、何万年に一度の周期が来るって、何か…………狙ってる?って勘繰りたくなるな……」とうんざりして言った 榊原は「解りました、お二人を絶対に5日の猶予のうちに決めさせます! 遅れるならば古民家の古い門扉とドア、着けてやりましょう! 大丈夫です、この父が約束を破った事はなど一度たりとてない筈です!」とド~ンと任せろ!と言った 烈は「父しゃんカッコいい!」と羨望の眼差しを送った そして蔵之介を視て「りゅーま、計算したの蔵ちゃんに見せて!」と言った   竜馬は烈が引いた五芒星と星の軌道を描いたセホハン紙の様な透明な紙とホロスコープを描いた紙を蔵之介の前に置いた 烈は「これね、蔵ちゃんの星にゃのよ!」と言った ホロスコープの上に透明な紙を置いて✗の印を着けた詳細を蔵之介に渡した 最近蔵之介が仕事で考えさせられた日付がビッシリと書かれていた そしてトドメの今日、この日を迎えた 蔵之介は「これは?」と問い掛けた 康太は「飛鳥井宗右衛門と謂う御人は常に1000年続く果てを刻まれる為に転生されて来た転生者だ! 宗右衛門は星を詠む、そして天体の軌道、宇宙の軌道を詠みホロスコープで示して行く その腕は3年予約が入ってて直ぐには無理だと言っても、それでも視て欲しいと予約していく程の腕前だ! で、その宗右衛門が道場の建設が遅れているから、無料でお前を視てやったと謂う訳だ 宗右衛門の星詠みの依頼料は高いぞ! そしてお前が目にしてる竜馬と烈 二人の頭文字を取って【R&R】として活動しているプロジェクションマッピング集団のリーダーとサブだ!」と紹介した 蔵之介は衝撃を押さえ「名刺を戴いてます!」と答えた 康太は笑って「その名刺は世間の常識に対しての肩書と謂う抑止力で渡してるヤツで、本来の姿は【R&R】なんだよ!」と言った 【R&R】と謂えば世界に名を轟かせているパフォーマンス集団だと蔵之介でさえ認識していた 康太は「で、遅延保証金の話は顧問弁護士に任せる事にして、何故こんなにも遅れてるって事だな」と謂うと兵藤が康太に調査書類を渡して 「菩提寺と職員と癒着して安い材料で浮かせていた証拠を手に入れた この保養施設って蕪村だよな?作ったの? 強度とか調べた方が良いかもな……」と現実を突き付けた 「癒着……まさか菩提寺周辺の開発工事を手抜きと古材でお金浮かせていたとはな……確り食い物にされてますがな!」とボヤいた 蔵之介は「この保養施設も一度強度を測らせて下さい!総て調べ上げます! 会社を上げて他の現場も調べます!」と謂う するの烈が「少し待つにょよ、蕪村が分岐点に来てるから!母しゃん生かしたいにゃら絵図を書かにゃきゃ!」と言った 「烈、この菩提寺は宗右衛門肝いりの建設工事だったよな? って事は宗右衛門、正して軌道に乗せて説教して教育してやって下さい! まだ未熟な蔵之介故、見える視野は狭いのでしょう!ならば尚更教育です! 病院と菩提寺と蕪村、それらは宗右衛門頼みます オレは建築と施工に目を光らせ竜胆を据えるべく鍛え上げて行きます!」 と康太は言い深々と頭を下げた 烈は「じゅるい!母しゃん面倒にゃのボクに放り投げたにょよ!」と腹を立てた 「宗右衛門、後は頼みます オレも来られる時間を作って来ます! 秘書は好きなのを好きなだけ使って構わない! なので軌道修正、お願い致します!」 康太はそう言い宗右衛門に深々と頭を下げた その光景を見て蔵之介は飛鳥井家真贋が礼節を持って接する物凄い信頼を置いている存在なのだと知る 康太と榊原はさっさと会社へと行ってしまった 会社もコロナ禍が過ぎて、正念場に突入したから油断は出来ない状況なのだ 烈は「仕方にゃいなー!ならミッチリ鍛え上げて血反吐を吐かせりゅのよ!」と言い捨てた そう言い烈は竜馬に「計算したら甘いの食べたいにょよ!」と言う 竜馬はプリンの蓋を開けて烈に渡した 烈はプリンを食べながら「兵藤きゅん、このボーヤの目を醒まさせてあげてね!」と言った 「ならば宗右衛門、【R&R】呼べよ! 倭の国にいるんだろ? ならば呼んでミッチリ教育して、蕪村の名を轟かせねぇと脱落すんぜ! 飛鳥井は堅実な道を宗右衛門が敷いて走り出した 改革と謂う暴力に何度も狙われ命を落としそうになったけど、必要ならばやらねばならねぇんだ! 佐々木蔵之介、腹を括れ! この先は甘い事言ってると、その場から総て削ぎ落とされるぞ! 飛鳥井宗右衛門と謂う御仁は康太より甘くはない 康太はだからこそ、宗右衛門に託したんだ この先の道は甘くはないからな、甘い事を言ってたら瞬時にお前の道は途絶えて奈落の底へと落ちるしかねぇ!」 兵藤はハッキリと現実を突き付けた 烈は「りゅーま、皆呼ぶのよ!」と言う 竜馬はグループラインで「菩提寺の保養施設に来る様にってリーダーが言ってる!」と一斉送信した そして地位情報を添付した 暫くしてメンバーが菩提寺になってくると、烈は本堂の方へ移動した ゾロゾロと本堂へと来る行列に城之内は「どうしたのよ?」と問い掛けた 「座禅したいにょよ!」 「うし!ならば30分座禅してけ!」と言った 烈はさっさと座禅して目を瞑り無になっていた 兵藤も竜馬もやると【R&R】のメンバーも仕方なく座禅した 蔵之介もその横で座禅を始めた 無になり心の中を空にする 何もかも自然体となり、己の姿を客観的に見られる様になるには30分の座禅は心を洗われた そして座禅を終えると宗右衛門は 「城之内よ、そこに座れ!」と言った 城之内は謂われ正座をした 「何故この菩提寺の現状を伝えなかった?」と問い質した 「飛鳥井を名乗らぬ俺は菩提寺の住職として職務を全うして来たが、飛鳥井の人間からは煙たがられハブにされて来た そんな俺が何を言ったって聞くとは想えなかった」 「…………飛鳥井だから好き勝手にする…悪習だわな 一族の中でしか偉ぶれない輩は何処にでもおる じゃが此処まで食い潰される前に言うべきじゃった、飛鳥井にしか正せぬのならば、主は動かせる人間に告げるべきじゃった!」 「解ってるよ、そんな事は……だがそれで水萌が虐められたりしたら? 竜之介が虐められたりしたら?俺はそれをやる事は出来なかった………」 優しい男は家族に被害が行かぬ様に踏ん張り耐えていたと謂うのだ 「この戯け者!我等はその為の存在ではないのか?主にとって飛鳥井康太は友であり、今の場を与えてくれた存在なのではないのか?」 「それでも…………言えなかった 親父で迷惑掛けたのに……それでも俺を菩提寺の住職に据えてくれた康太を悩ませたくはなかった」 「戯け者じゃな……主は……恐れずともよいのじゃ! 怖がらずとも、主から何一つ盗りはせぬよ! 盗ろう者ならば、我等が黙ってはおらぬ! 儂はまだまだ飛鳥井の一族には声は轟かせられる存在として日々を生きておる! まぁ我が兄達やトドメに入れた金龍達からも話は聞いておるからな! 今一度菩提寺を解体して一新する! その頂点に立て!城之内優よ!解ったな! なぁにレールは敷いてやる、進むべき道の上に乗せて蹴り飛ばしてやる故、主はその道を直走るがよい!」 「宗右衛門…………」 「水萌が大変になる故気遣ってやるがよい そして竜之介を副住職に据えて菩提寺の体制の構築をする! 今度は違えるなよ!次は主ごと消し去るしかないからな!」 城之内は深々と頭を下げた そしてニカッと笑うと 「ハゲるわよ!じょーのうち!」と友に似た顔で笑った 城之内は「それは嫌だな!」と謂う 「もぉね、いっそ、ハゲておしまい!」 烈がそう謂うと竜馬が「烈、お前の頭皮事情を城之内さんに押し付けたら駄目だって!」と宥めた 烈は竜馬の脛を蹴り上げて 「デリカちーにゃいの嫌われるわよ!」と言った 「ごめんって烈!」 「サクサク片付けるにょよ!りゅーま! そしたら【R&R】と兵藤きゅんとで旅行よ!」 【R&R】のメンバーは旅行と聞き竜馬に詳細を求めた 竜馬は詳しく話すと皆の瞳がキラキラ輝いた そして【R&R】のメンバーは蔵之介を取り囲んだ 蔵之介はたらーんとなりつつ、俎板の鯉の気分で成すが儘だった デービッド・トンプソンが「ならば教育的指導やな!毎日菩提寺の保養施設に午後5時に来るしかないねん!」と謂うとヘンリー・オブライエンも 「だね、毎日最低でも1週間意識改革をするとしますか!」と言った サムエル・ウォーカーが「今直ぐに、私を連れて会社に行きなさい!君の会社の不正はないか?探ってあげます!」と言った 竜馬が「彼はウォール街の神と謂われた金融屋ですから会社を見れば解るそうです! なのでさっさと皆で行くとしますか! 貴史はどうする?」と謂うと兵藤は 「乗り掛かった船だ!菩提寺と病院の再生を手伝うつもりだ! そしたら俺は鷹司から実践の場を用意されると謂われているからな、時間的な余裕はなくなるからな」 もう政治家への道を歩み始めているのだと竜馬は思った 「ならばそれまでは働きまくって下さい!」 竜馬が言うと宗右衛門が「あ、その実践の場の白羽の矢には儂が当たった! 主を預かる事になったのは儂じゃよ! 主を使える様に叩き込んで顔を売れとの事じゃからな!」と言いガハハハハハハッと笑った 兵藤は「え?宗右衛門が俺を預かるのか?しかしどう謂う関係よ?」とボヤいた 「まぁ3日寝ずに話を聞くと謂うならば話してやるわ!」 「それは………遠慮しときます!」 「それより蕪村に行くならば、着替えねばならぬな!」 と宗右衛門が言う 竜馬は「宗右衛門の着物ならば後部座席に乗ってるわ!康太にクリーニングから取りに行けと言われてたんだよ、こうなるの見越してたのね、あの人………」と少しだけ愚痴った 駐車場へ出向いて宗右衛門の着物を持って来ると 烈はバサバサ服を脱ぐと一人で宗右衛門の着物に着替えた 竜馬は着崩れするから締める時は手伝い、着物を着る 兵藤は烈の服を畳むと着物が包んであった風呂敷に包んだ 支度が整うと宗右衛門は「では参るとするか!」と言った 【R&R】のメンバーは着物に着替える手早さに感心していた 烈は「くらちゃんサクサク行くにょよ!そーえもん出すのは疲れるにょよ!途中で何か買ってね!」と催促した 【R&R】のメンバーは8人乗りのワゴン車で来ていた 竜馬と烈は蔵之介の車に乗って蕪村建設を目指した 兵藤はメンバーの車に乗り蔵之介の後を着いて行った 途中コンビニで停まって味の付いた水やヘルシーなゼリーとか袋一杯に買わされた 烈はゼリー飲料をチューチュー吸いながら 「りゅーま かにぱんにゃかった」と告げた 「え!烈のカニパンなかったの? 困ったな………蔵之介さん次のコンビニ見掛けたら停まって下さい!」と頼んだ 蔵之介は「了解したよ!」と答えた 「烈はこの年で成人病まっしぐらになりかけて以来、食生活には気を付けて過ごさなきゃならないんです、だから子供が食べてるお菓子とか食べられないんです、でも唯一許されたのがカニパンなんです、なのでカニパンないと宗右衛門が出なくなるんですよ まぁ俺等は烈でも構わないけど、貴方は困るんですよね?ならばカニパンGETしないと今日はもう出ないかも知れないからな」 こんなちっこいのに成人病まっしぐらになりかけたと謂うのか? 蔵之介は言葉もなかった 蔵之介は何軒かコンビニの前で停まり、竜馬がコンビニへと駆けて行きカニパンを探し買って来た そして皆で蕪村建設まで向かった 駐車場に車を停めると、車から降り 竜馬は「くれぐれも我等は【R&R】だと紹介するのはお止め下さいね! それでトラブルに巻き込まれて大変だったんだから……」と釘を差した 「解ってるよ、飛鳥井家 宗右衛門とその関係者で通すよ!」と約束した 蔵之介は駐車場に車を停めると、【R&R】のメンバーはその横に車を停めた そして皆で社内へ入って行く 視察から戻った社長が和服を着た子供と見た事もない成人男性を連れて会社に戻ったから、社内は騒然となった 蔵之介は誰にも紹介する事なく、皆を社長室まで連れて行った 社長室に入るとダニエルが「会社の帳簿のロム、を見せて下さい!」と言った 蔵之介は秘書に帳簿を持って来る様に言った すると秘書は「社長、その方は何方何ですか? 会社の帳簿をそんな何処の馬の骨とも解らぬ者になど見せられないのでは?」と言った 蔵之介は「この和装の方は飛鳥井家 宗右衛門をなさっている飛鳥井烈さんです! 何処の馬の骨とも解らぬ子ではありません! 君は誰にモノを言っているのですか?」と言った 秘書は失礼しました!と言ったが上っ面だけの軽い謝罪だった 秘書は経理課の社員に帳簿のロムを持って来る様に言った 烈は秘書を視た そして宗右衛門の声で 「社長はボンボンで無知な名前だけの社長だから気付く事もないわね、と経理の社員と私的に流用しているお金があれば古材とかで裏帳簿も作らねばならなくなると謂う訳か……」と言った 秘書は「この子供は何なの?気持ち悪い!」真髄を言い当てられて、吐き捨てる様に言った 宗右衛門は「蕪村も全てを見直す時が参ったのじゃな!何じゃ?この質の悪い秘書は……飛鳥井ならば即座にクビじゃよ!」と冷静な口調で告げる 蔵之介は覚悟を決めて「その様ですね………事業は一旦停止にして徹底的に見直す時が来た様です!」と口にした 兵藤は「ならば今から経理課に行き、帳簿を調べれば良いだけの事じゃねぇかよ! 不正が見付かった時点で会社は事業停止して翼を呼べば隠してた帳簿も発見出来るだろうが!」とまどろっこしい事をするより確実な事を口にした 宗右衛門は「蔵之介、経理課にあないしろ!」と告げた 竜馬は秘書が動くのを見越して、動きを封じた 「何処へ行くのよ? 我等と共に経理課に行こうじゃないの!」と言い秘書の腕を捩じ上げて連れて行く 蔵之介は皆を連れて経理課に出向いた そして部屋に入ると兵藤は「皆、動きを止めてPCから離れろ!」と命令した 蔵之介は「謂う事を聞きなさい!不正が見付かれば直ちに会社は凍結致します!」と宣言した 社員はざわついた 【R&R】のメンバーと兵藤がPCをシフトダウンさせると1台だけ残しておいたPCから探りを入れた 【R&R】のメンバーが自分のPCに繋いで手分けをして探って証拠を集める ヘンリーは「ザルだね、今時こんな誰でも少し探れば解る経理ソフトしか使えないの?」とボヤいた ダニエルも「何か探らなくてもボロボロ不正の証拠が出て来てつまらないよ、烈! 何かこぉ、ファイヤーウォールを突破しても駄目だオリヴァー呼ばなきゃ見つけ出せない!なんての期待していたのにな………」と残念そうにボヤく 兵藤は「佐々木蔵之介、この会社を一度業務停止しろ!この場に査察の職員を直ぐに呼ぶ!」と言い電話を取り出して話し始めた 烈は翼にラインして「蕪村に来るにょよ!」と送った すると『すぐに向かいます!』と返信が来た 宗右衛門は「社員にはお還り願え!」と言った 躊躇する蔵之介に宗右衛門は 「主はこの先へ会社を繋げる気はあるのか?」と問い質した 蔵之介は「あります!」と即答した 「遣らねばならぬ通過儀礼だ! 飛鳥井も何度となくその通過儀礼を通って今の軌道に乗せたじゃよ! 主も果てへと繋ぎたいのならば腹を括れ! 切り捨てその痛みに耐えて経営者は最善の方法を導き出さねばならぬのじゃ! 今お主が躊躇したとして何分のロスとなる? それで狂う果ては如何程だと想う? それが理解出来ぬのならば、主は会社を畳むしかないわ! 足元を見られて主は馬鹿だと見下されておるのじゃ!解らぬのか?」 蔵之介は唇を噛み締めて拳を握り締めた 「私は会社を護る義務があります! 弟を切り捨ててまで護ろうとした明日を……此処で途絶えさせる訳にはいきません!」 「ならば斬れ!斬って切って切り捨てろ! 不要なモノなど会社に置くな! 「はい!直ちに!」と返した 蔵之介は直ちに社内放送を流すべく、放送室へと向かい 【社員の皆さん 我が社で不正が見つかりました! 工事の遅延、癒着、経理の不正などが見付かったので、会社は一時閉鎖致します! 業務に当たっている社員は帰宅して待機して下さい! またこの後に査察が参りますので、関係者の方は警察の方で事情調書が待っていると想いますので、どちらも自宅待機して戴きます! 社員の方は直ちに会社出て行って下さい! そして社員の方は一旦雇用契約を保留とさせて戴きます! 再雇用等は不正を正した後、能力試験を受けて貰い能力にあった給料体系で求人を出すので、その方達より勝るならば、再雇用とさせて戴きます! 社員の皆様はすみやがにお帰り下さい!】 の放送を流した そして警備員を呼び社員を一旦帰らせ社内を巡回させ遺っている社員はいないか?トイレまで見に行かせた 宗右衛門はその一連の行動を黙って見ていた 査察が到着して手分けして不正の証拠を段ボール箱に入れて行く 兵藤は「この後どうするのよ?」と問い掛けた 「蔵之介、この会社の顧問弁護士は?」と問い質した 「天宮さんです」 「ならば直ぐに連絡して呼べ!」 蔵之介は即座に天宮東青に連絡をして来て貰う様に話した 今天宮は色んな案件を抱えていて直ぐに行くのは無理だと言った そんな………と言葉を失くした蔵之介の携帯を奪うと宗右衛門は「良い身分になったな天宮、主は何時から顧問をしている会社の依頼を断れる様になったのじゃ?潰すぞ!天宮! 儂は真贋の様に甘くはないからな!」と言い電話を切った! そして国際弁護士資格のあるデービッド・トンプソンに「直ぐに動けそうな企業弁護士はおらぬか?」と問い掛けた デービッドは「それなら心当たりあるわ!」と電話を掛け始めた 宗右衛門は「天宮に顧問弁護士契約を解約すると伝えておけ!どうせあやつは真贋の為にしか動かぬからな!」と吐き捨てた 蔵之介は即座に電話して、これ以降の顧問弁護士契約は解除と謂う事で!と伝えた 天宮がまだ何か言ってるのを宗右衛門が電話を取り上げてぶち切った 暫くしてデービッドに紹介された弁護士 ルーカス・エバンスがやって来た 金髪で長身、だが目が痛くなる程パステル系のシャツを着て、到底弁護士には見えない風体だった 「ルーカス・エバンス言いますねん! 国際弁護士資格持っているからトナミ海運とかの顧問弁護士もやってます! よろしゅう頼みます!」 と自己紹介して次の瞬間には 「で、どの案件で戦って欲しいんや?」と問い掛けた 竜馬は「三木竜馬です、まぁ、知ってるか? 蕪村建設の不正の数々は査察が運んで行きます ですがPCからコピーはしてあるので、此方を!」と言いPCを見せた ルーカスはその画面を見るなり爆笑して 「此処の会社のトップは寝てたのかい? 此処まで腹の中食い荒らされるまで気が付かなったのかい?」と揶揄した すると宗右衛門は「ルーカス!御託はそれまでにしておけ!」と喝を入れた 「解りました、宗右衛門! 貴方を敵に回してこの世を生き抜ける気はしないので、仕事しますよ!」 と言いルーカスは仕事を始めた 蔵之介の携帯は電話が鳴り止まなかった 出ようとするが宗右衛門が「出るな!」と謂うから蔵之介は電源を落とした 宗右衛門は「近い内に携帯を解約して新規に2台契約しておけ!そしたら仕事とプライベートとは分けて使うがよい!」と伝えた 「はい、そうします!」 ルーカスは裁判になった時の事を視野に入れ証拠を確保して「宗右衛門、解雇通告出しとく?」と問い掛けた 殆どの社員の入れ替えとなるだろう 「そうじゃな、横領したのはその金額を損害賠償請求する要にな!」 「了解!しかしまぁ甘い汁吸いすぎだろ?此処の社員は!」とボヤいた 烈は蔵之介の脛を蹴り上げ 「ハローワークやネットの求人に募集かけるにょよ!にゃにしてるの!はやきゅ!」と発破を掛けた 兵藤は「あ~宗右衛門切れになっちまったじゃねぇかよ!」とボヤいた 思ったよりも時間を食ったからだ 「今日はもう出にゃいのよ!」と烈は伝えた 兵藤は「仕方ねぇわな、トロトロやり過ぎだ! 俺等はサクサクやれと言ったよな?」と半ば脅す様に言った その日は日付が変わっても裁判書類の作成は終わらず、烈はソファーでうとうと寝始めた そこへ康太と榊原がやって来て寝ている烈を目にして「疲れ果てて寝てますか………」と言った 竜馬は康太に「この会社の顧問弁護士は天宮から変わりましたから!いざと謂う時に動けぬ顧問弁護士など不要でしょ?」と告げた 康太は「だな、それで構わない、済まなかった………あの後天宮から連絡が来て事情は話された どうしても天宮はオレの仕事を優先するから他の仕事は疎かになる…………」と謂う 烈は目をパチッと開けると宗右衛門の声で 「そのうち天宮は食い詰めるぞ! それを解ってて主は天宮を使うか?」と問い掛けた 康太は言葉もなかった 榊原は「それはどう謂う意味ですか?宗右衛門」と問い質した 「他は断るが、飛鳥井家真贋の仕事は優先して片付けて行く その仕事のスタンスが悪い訳では無い だがな、顧問弁護士契約を結んでいるとなれば話は別になるだろ? 己の会社を守る為に動かぬ顧問弁護士など不要となるじゃろ? トナミはそれで天宮を斬った 飛鳥井施工は、はなから天宮になど依頼はしない! そうしてこう謂う失態を繰り返せば、天宮は飛鳥井真贋の仕事しか必然的に残らなくなって逝くのは避けられぬ現実じゃろ! 選択を間違えれば、儂が潰すよりも早く己が滅ぶと謂う訳じゃ! それが証拠に…………天宮の事務所のスタッフが半分以上他の事務所に流れて行った 儂は手など下してはおらぬよ! 主の持ち駒を潰したりはせぬよ じゃが………儂の邪魔をするならば即時に薙ぎ倒して逝くと想うがいい! 見誤るなよ真贋、主と天宮は雇用契約を今一度見直す時期に来ておるのかも知れぬな!」 「………解ってるよ宗右衛門………」 「嫌、主は解ってはおらぬのじゃよ このままでは愛する息子に継がせるべき事務所は閉鎖に追い込まれるじゃろ! それを引き起こしてるのは真贋、主だと理解するがよい!」 そう言い烈はバタッと倒れる様に眠った 限界をとうの昔に超えているのだ 康太は何も謂わず宗右衛門の言葉を噛み締める様に拳を握りしめていた 兵藤は携帯が煩い位にブーブーと震え受信を伝えていた 兵藤は仕方なく携帯を開いた すると………レイからのラインが目眩がする位に入っていた 今こうしてる時も『れちゅ!まもれ!』『ゆるしゃにゃいよ!』『れちゅ れちゅ』と入って来ていた そしねトドメは『おむかえにきて!』だった 兵藤は困った顔をしていた 「頼むからお子様は寝ててくれ!」とラインを送る 烈は「りゅーま」と寝言のように謂うと、電話をかけ始めた そして電話に出た相手に 「いい子は夜中に起きてたらダメだと言われなかったか? あ、飛ぶのもダメだよ、烈に怒られるから! 約束を守れない子は…………」 竜馬が言うとレイは「ひっ………」と怯えた 「伊織さんに朝イチでお尻ペンペン5回して貰いますよ!」 と言い放つ 『わかっちゃ………やくちょくまもりゅきゃら………』 レイは泣いていた 竜馬は優しく「約束守るなら、明日はマカロン食べさせてあげます! 烈の好きなマカロンを二人で食べたいならば、良い子にしてて下さいね!」と釘を刺す レイは『わかっちゃ………ぎょめん……りゅーみゃ…』と謝罪した 「君になにか在れば烈が悲しむ事を忘れたら駄目ですよ!」 『りゅーみゃ……』 「ではお休みなさい!言い夢見るんですよ!」 と言い通話を終らせた 兵藤は康太と榊原に「いても何もしねぇなら、還れ!」と吐き捨てた 康太は「明日烈を迎えに来る!」と言い会社を後にした 榊原もその後を追い出て行った その場は沈黙が流れ…………誰も話す者はいなかった 兵藤は「俺等も帰るとするか!」と眠気との勝負は負けそうだから口にした 宗右衛門は「じゃな早くしないと火を放たれてしまうからのぉ帰るとするかのぉ!」と謂う 皆はギョッとして宗右衛門を見た 竜馬は「ひょっとしてこのビルごと証拠隠滅する気だとか?」と冗談めかして問い掛ける 「そうじゃな【R&R】のメンバーと翼とルーカスは即座に帰宅の途に就くがよい! 竜馬、主もメンバーと共に逝くがよい!」 「え?冗談………俺は烈を護らねぇとレイから飛び蹴りされるから共に逝く!」 「ならば【R&R】のメンバーと翼とルーカスは即座にこのビルから出て帰るがよい!」 宗右衛門に謂われデービッドは皆を連れてビルを早足で駆け抜けて駐車場へ出て車に飛び乗り、その場を後にした 翼もルーカスも乗って来た車に飛び乗り、その場を後にした 車が走り出しヘンリーは 「火が放たれるんだろ?置いて来てどうするのさ!」とデービッドを責めた ダニエルは「宗右衛門には考えがあるんだろ? その考えを遂行する時に俺等は必ず足を引っ張るしかないから、帰れと言ったんだ!」と謂うと皆は黙った 翼もルーカスも謂う事を聞くしか出来なかったが、火が放たれるビルを出て安全な場に行くには気が引けた そんな皆の思いや苦汁を飲み込むかの様に、宗右衛門は神威に電話をしていた 「蕪村の会社を取り囲む半径の防犯カメラ抑えとい欲しいにょよ!出来る?」 『出来ん事はないが事件起きねぇと余所のビルの防犯カメラは抑えるのは難しいぞ!』 「事件にゃら起きるにょよ! 後少しで蕪村のビルに火が放たれるからにぇ!」 『火が放たれるなら、即座にそのビルを出やがれ!防犯カメラは抑えてやるから!』 「死ぬ気はにゃいのよ 抜け出すから大丈びにゃのよ!」 『んとに謂う事を聞かねぇよな! 解ったよ!即座に防犯カメラを抑えてやる!』  「頼むにょよ、煙が部屋に入りだしたから……今よ!」 烈はそう言い電話を切った 兵藤は美緒に電話を入れた 絶え間なく部屋に流れ込む煙を目にして 「美緒、俺、今、蕪村建設にいるんだねどさ このビル、今、火が放たれたから即座に伯父貴を動かして周りにいる奴等手を回して捕まえてくれる様に頼むわ!」と言った 美緒はまた息子は要らぬ事に巻き込まれて……と苦笑して 『承知した!即座に連絡を取って動いて貰う事にする!』 と言い電話を切った 蔵之介はハンカチで鼻を覆い、まさか本当に火が放たれたのか?と不安になっていた 烈はPCからメモリーを抜き取るとサコッシュに入れてノートPCを折り畳み竜馬に持たせた その姿は落ち着いて、火が放たれた場所にいる様には見えなかった 烈は「りゅーま、忘れものはにゃい?」と問い掛けた 「資料は査察が運んで行ったよね? 何も無いビルに火を何故放つかな?」とボヤいた 「それは腹いせにゃのよ 何時の世も………腹いせは火を放ったり殺したり… 合理性にゃくてもやるのよ!」 竜馬には多分理解は出来ないだろう……… 理解し難い人の感情なのだから……理解しろと謂う方が無理なのかも知れない が、人は追い込まれると何をするか解らない 全てを無くしてしまう無敵の人程、怖いモノはないのだ 源右衛門がそれを身を持って飛鳥井の人間に知ら示た筈なのだから……… 兵藤はそんな烈の想いを汲み取り 「その腹いせで飛鳥井源右衛門は殺された 無敵の人程何をするか、予測の着かない事はない 何も無くす者がないと謂う人間は、それだけで無敵なんだよ、竜馬!」と言った 竜馬は言葉をなくした 源右衛門が殺害されたのは、それ程遠くの事件じゃないから………… 烈は煙が部屋に充満すると印字を斬って神の道を現界させた 「さてと死ぬ気はにゃいのよ! 行くわよ!皆!」 と言い神の道に足を踏み出した 竜馬と兵藤は蔵之介を左右からガッシリと抱え込み、神の道に足を踏み込んだ 何だか髑髏のお化けがウヨウヨ蠢いていて 蔵之介は「ハロウィンの仮装ですか?」と聞いた 兵藤は笑って「だと思ってな!直ぐに着くだろ? 魔界とか崑崙山へ行く訳じゃねぇからな!」と言った するよ兵藤の言葉通り、直ぐに神の道から出て烈は携帯を取り出すと電話を掛けた 「志津子、死ぬ目にあったにょよ! だから空いてる部屋を貸して欲しいにょよ!」と謂う するよ即座に志津子はやって来て「烈、大丈夫なのですか?」と心配して声を掛けた 烈の無事を確かめて、そして抱き締めた 「弟から連絡がありました! 烈が来たら手当を頼むと頼まれました 傷はどうです?譲に手当させましょうか?」 「休みたいにょよ 皆 煙吸ってるし綺麗な空気吸いたいにょよ!」 「なら空いてる部屋にどうぞ! 後で譲を呼んで参ります!」 そう言い志津子は烈達を空いてる部屋に招き入れ 久遠を呼びに行った どう謂う訳か義泰も一緒にやって来て、義泰は烈の前に行くと深々と頭を下げた 烈は無傷な手の方で義泰の頭を殴った 「もっと早く言わんか!義泰!」 と宗右衛門の声で怒られ、義泰は謝りまくっていた 久遠は血の滲んだ烈の包帯を解いて、消毒をし手当をして行く 宗右衛門は「大きな医療ミスをやられる前に手が打てて病院は再起を掛けられる、それだけが救いであった! が、主が弾かれて直ぐに連絡入れておけば、こんな厄介な手は打たなくとも良かったのじゃ!」とプリプリ怒っていた 義泰は煙を吸ったと謂う蔵之介や兵藤、竜馬の鼻を綿棒をぶっ刺し調べていた 「済まなかった宗右衛門! じゃが儂も何が起きたのか解らなくてな 身動とれなかったのじゃよ! それに今世は宗右衛門もいるならば、儂が下手に動くのは避けたのもある!」 「まぁ下手に動かなくて正解じゃったが、連絡は入れておくべきじゃった 主が弾かれた現状を異常だと何故解らぬのじゃ? まぁ今後は儂が見張っておく故、主は死ぬまでメスを握り続けろ!」 「え〜安徽は出来ませぬか?」 「させるか!義泰、リニューアルした病院の院長は主がなれ!それは決定事項じゃよ!」 「それは嫌じゃよ!宗右衛門 この病院は倅のモノじゃからな!」 「ならば理事に名を連ねろ! 不正の匂いを感じたら即座に知らせろ! これ以上の譲歩はせぬよ!」 「解り申した宗右衛門殿! この義泰、その命を有難く頂戴致します!」 義泰は宗右衛門に深々と頭を下げた こんな姿を見ていると、宗右衛門と謂う存在が飛鳥井の一族にとって絶対的な存在なのだと理解する 義泰は鼻の穴に突っ込んでいた綿棒を出して 「そんなに煙は吸ってはいないが、様子を見ねばならぬな!」と言った そこへ神威がやって来て烈の頭をスパンっと叩いた 「怪我してるなら静かに過ごしやがれ!」とボヤいた 烈は叩かれた頭を竜馬に撫でさせて 「で、どうらった?」と尋ねた 「犯人はそこらじゅうにガソリン撒きまくったかな、会社は火の勢いが凄すぎてビルは丸焦げ………ってなるからな、早目に消防に連絡入れておいた まぁ実際は社長室辺りは窓ガラスが割れる程の火の手が上がってて、まぁどの道水浸しじゃろうな 犯人は火の勢いが強すぎて驚いてビルから逃げ出した時に捕まっておる 他にないかは防犯カメラ抑えといたから犯人が何人いるか?は捜査するじゃろ!」 とボヤきながらも見届けて来た事を告げた 神威は「どの道蕪村は水浸しだからな、業務は修復するまで無理じゃろ!」と伝えた 烈は傷の手当を終わり包帯を巻き直した手をバシッと叩かれ「痛いにょよ!せんせー!」と泣き言を言った その手を竜馬に撫ぜさせた 竜馬は包帯を巻き直された手を撫でてやった 久遠は「傷が開きやすいから本当に無茶するなよ!」と注意した 「せんせー、今日から書類の面接あるからね!」 「面倒臭いな、それ……」 「それでも、ね、やりゅのよ! 新年1月からのリスタート切るにょよ!」と発破を掛けた 「頑張るさ、親父もお袋も書類選考から関わらせ働かせるつもりだからな!」 久遠が謂うと烈は笑顔で 「しづちゃん、がんば!」と言った 志津子は「烈が応援してくれるならば、頑張りますとも!」と笑顔で返した 烈は疲れ切って気力だけで何とか意識を留めていて蔵之介に目をやり 「せんせー!」と謂う 久遠もそれを目に収め「了解!」と答えた 往診鞄から点滴を取り出すと準備をする 烈は「兵藤きゅん!」と謂うと、兵藤は蔵之介をその場に寝かせ袖を捲り上げた 蔵之介は「え?何?なんですか?」と慌てて言った 久遠は捲り上げられた腕を消毒すると、ブスッと針を指して点滴をした 蔵之介は慌てて動こうするが久遠が「動くな!」と静止した 諦めて体の力を抜くと、蔵之介は眠りに落ちた 志津子は和室の部屋に布団を敷くと、兵藤と竜馬と蔵之介を寝させた そしてベッドに烈を寝かせると 「今は眠りなさい! 起きたら何か作っておきますからね!」と言い寝かせた 蔵之介の点滴が終わると、電気を切りリビングに逝き義泰と志津子を連れてマンションの部屋から出て行った 昼近く烈は目を醒ました 起き上がりリビングに行くと、竜馬と兵藤が起きて朝食を食べていた 烈がソファーに座ると志津子が朝食を置いた 烈は朝食を食べ始め「ニュースは?どうにゃった?」と問い掛けた 志津子はタブレットでその記事を開き、テーブルに置いた 蕪村の火事のニュースはほんの小さな放火として処理され記事になっていた 烈は頭の中で蔵之介と久遠と城之内を思い浮かべた そして着手する順を着けねば動けないと思った 「紙とペン欲しいにょ!」と謂うと志津子は即座に烈の前に紙の束とペンを置いた 烈は3人の星を詠み優先度を計るべく計算を始めた 体は一つしかない だけど問題は3箇所で起きていた 優先順位を着けて片付けて行くしかない 何処を最優先して推し進める必要があり、尚且つうしたら軌道に乗せられるのか? 夢中に計算をしていると部屋に響き渡る声がして烈は顔を上げた 『聖神よ、蕪村関係を最優先に、それと並行して久遠と城之内を推し進める! 書類選考は人に任せられるが、蕪村は根底から変えねば根腐れして倒壊の恐れがある 生かしておきたいのであるば、即座に動かれよ! そして人を使い書類選考をさせておけばニブルヘイムが人を視るであろうて! あやつに人は視せて面接まで漕ぎ着ければ、後は主が軌道に乗せればよいであろうて!』 と星詠みの婆婆の声が響いていた 宗右衛門は「星詠みの婆婆?手伝ってくれるのか?」と問い掛けた 『炎帝と青龍が婆婆の所へ来て時短させたいから星を詠め!でなくば今後一切聖神の野菜は持って来ねぇからな!と脅した故……主の変わりに星を詠んだのじゃよ!』 「父しゃんと母しゃんが? ありがとう、父しゃん、母しゃん! 物凄く助かったにょよ!」と礼を述べた 康太の声が『烈、動かせて悪かったな!オレがしてやれる事なればこうして手助けするから、軌道に乗せてくれ!』と謂う 烈は笑って「了解にゃのよ!父しゃん、母しゃん!」と言った 烈は「にゃら蔵ちゃん、サクサクやりゅのよ! 兵藤きゅんは書類選考をレイたんと進めて!」と指示を出した 兵藤は「了解!今日はレイはお休みだな! 康太が謂うんだ、レイは飛鳥井にいるんだろ?」と言い部屋を出て行った 烈は竜馬に「車、取りに行くにょよ!」と言った 竜馬は「なら下で待っててくれ!」と言い部屋を出て行った 志津子は「烈、着替えを用意しました!着替えて来ると良いです!」と謂うと、烈は志津子が用意した服に着替えに行った 志津子は蔵之介に「お着替えどうしますか?我が家には貴方に近い痩せた男性の着替えはないので………」と謂うと蔵之介は「マンションへ寄って貰い着替えるので大丈夫です!」と言った 烈は着替えると蔵之介と共に部屋を後にした 志津子は烈の着替えを手にすると、部屋を後にした 烈と蔵之介がマンションの下に行くと竜馬は既に待っていた 車に乗り込むと烈は「蔵ちゃん 妻と子っていたかしら?」と問い掛けた 蔵之介は「私はまだ独身です、会社を起動に乗せたら考えようと………未だ相手はおらずです!」と答えた 「にゃら被害者は出てにゃいわね 蔵ちゃんのマンション、暴漢押し入ってるわよ 部屋に戻っても着替えられにゃいから花菱でスーツと下着とか買うにょよ!」 蔵之介は言葉もなかった 竜馬は「え?口封じ?本当に消されるのか?蔵之介………」と案じた 宗右衛門は「それは昨夜までの蔵之介の定めじゃからな、仕方あるまいて! 今朝からは運気は強引に蔵之介に向けてある それ故に狙われる事ない! 遊撃に出るのじゃよ!蔵之介!」と言いガハハハハハハッと笑い飛ばした

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