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第35話 嚆矢濫觴 ❶

この日 朝から烈は飛鳥井建設に顔を出していた ケントに会社の前で下ろして貰うと、会社の中へ入って行く 「おはよう、何か変わった事あった?」と問い掛けた 受付嬢は「何もありません、唯宗右衛門がお越しでないと、社員達は少しだけ気が緩んでますね!」と笑って答えた 「なら喝ね!」 笑って烈はエレベーターの前に立った すると竜馬とケントがエレベーターで地下駐車場からやって来て合流した 烈は3階から回り始め社員に声を掛けて回って行く ここ最近見ていない光景だった 烈は手にまだ包帯を巻いていて社員達は 「怪我されたのですか?」と心配した 「大丈びにゃのよ! 久遠せんせーが治してくれるにょよ!」 「また烈さんの元気な顔が見られて良かったです! 竜馬さんもお久し振りですね!」 と社員はカニパンを烈に差し入れした 他の社員もヘルシーなクッキーやら紅茶を差し入れてくれ、烈は社内を回るとトートバッグ一杯の差し入れを貰い、笑顔を見せていた 一通り建築で顔見世すると、烈は宗右衛門の部屋に行き荷物を置いて、会長室へと向った 会長のドアがかなり下の方でノックされると清隆は自らドアを開けに向かった 「烈、どうしたのですか?」 清隆は烈と竜馬とケントを部屋に招き入れソファーに座らせると、そう問い掛けた 秘書にヘルシーなジュースと紅茶を頼み運んでテーブルに置くと烈は話し出した 「この会社の大幅にゃリフォームを考えているにょよ!」と切り出した 「その話は、少しだけ聞きました ですから正式に話をされる日を待っていました!この話は社長も呼びましょう!」 と言い即座に秘書に言い瑛太を同席させた 瑛太の珈琲をテーブルに置くと、烈は話し出した 「今、7階使ってにゃいでしょ?」 「ええ、当初の目的で使用するのは防犯上危険だと判断して使用してません!」 「だからね、会長、社長、副社長、真贋の部屋をね、最上階へ持って行くにょよ! そしてその真贋の部屋は少しだけ大きく取って、翔にーもそこで仕事をさせる ボクも宗右衛門の仕事もそこで2日に一回やりゅのよ! それを管理させる秘書を増やして回して行くにょよ!で、馬関係はこの会社から切り離して運営して行くにょよ! で、最上階へ移った後は、この部屋は壁をぶち抜いて宗右衛門の部屋を広くして、秘書も増えるから部屋を大きくするにょよ! そしてにーに達の部屋も作り、そこで各々仕事をするにょよ!」 と話した 瑛太は「異存は御座いません………ですが、其れ程の大掛かりなリフォームを出来る費用は今の飛鳥井にはありませんよ?」と言った 「だから【R&R】のイベントをやるにょよ! その為の相賀や神野や須賀だったにょよ! でね、そのリフォームに伴い、エレベーターは最上階まで行けなくするにょよ!」 「え、ならば我々は階段で上がれと?」 と瑛太は情けない声を上げた 「違うにょよ!5階に役員しか持たない鍵を掛けた部屋を用意するにょよ! 役員はその部屋の鍵を開けてエスカレーターを乗る時に軌道して上へ行くにょよ! エレベーターが上まで行く時、結構社員は待たされているにょよ! だからね、役員は電気代も節約出来るエスカレーターで上へ上がるにょよ! そして6階の社員食堂と広報宣伝室しかにゃいからね、社員食堂と広報宣伝室を削って社員が役員に話がある時、その部屋で面談をする部屋を作るにょよ!防犯を考えたにゃら、上には誰も上がらせにゃいのよ!」 「何か話が大き過ぎて考えが追い付きません そしてそれを【R&R】の費用だけで賄えるのか?心配でなりません!」 と清隆は不安を口にした その時、ドアがノックされ瑛太が開けに行くと、康太と榊原が立っていた 「烈、会長と社長には話したのかよ?」と問い掛けた 「話したけどね、やっぱ費用がネックみたいにゃのよ!」 烈が言うと清隆は「飛鳥井のドアと門扉も踏み倒されそうなんでしょ? 何でも運送会社の社長が夜逃げしたとか言ってませんでしたか?」とやはり心配事を増やして謂う 宗右衛門は「あの運送会社の敷地はかなり広くてな、最盛期は倉庫も持って回さねばならぬ程に繁盛しておったのじゃが、通販会社がその系列を切ったりしたから下請けをしていたあの会社は煽りを食らって規模の縮小を考えねばならなくなったのじゃよ! だが売り手がつかぬ故不良債権を抱えての、今度の事故じゃからな、首も回らなくなるじゃろ! 2ヘクタールの敷地はかなり美味しい話じゃからな、神威に賠償金代わりに敷地を差し押さえておいてくれと頼んだのじゃよ! 別に門扉やドアは何とかなるとからな、それよりもクリストファーが望む地を確保した方が有意義ではないか!」とガハハハハハッと笑い飛ばした 転んでもタダで起きない男 飛鳥井宗右衛門だった 清隆も瑛太も言葉もなかった 瑛太は何とか気力振り絞って康太と榊原に 「このリフォームの件、二人は知っていたのですか?」と問い掛け 康太は「知ってはいたが全容までは聞いてねぇぜ!ならば話してくれよ宗右衛門!」と言った 宗右衛門は清隆と瑛太に話したリフォームの全容を康太と榊原に話した 榊原は「エスカレーターは何処に付ける気ですか?」と問い質した 「凛太郎が見立てた話だと、今エレベーターが通っている場所か5階にセキュリティの確りしたドアを付けて役員しか持てない鍵で開けて上がる様に、って考えているにょよ! で、朝は大体同じ時間に出勤だからその時エスカレーターを作動させ乗らない時は休ませる そしたら電気代も浮くし、役員が上まで行く時に社員がエレベーターを待つ事もなくなるからな!」 「それは良いですね、僕も常々社員がエレベーターを待たねばならないのが気掛かりでしたから!」 「しかし………あの運送会社の敷地狙っていたから突っ込ませた訳じゃねぇよな?」 康太はこんなに上手く敷地までGETする根性の宗右衛門に脱帽して問い掛けた 「狙ってなどおらぬわ! じゃが夜逃げした以上は取り立てねば!と画策しておったのじゃよ! そしたらクリストファーが好みそうな海が見える場所に2ヘクタールの敷地があるからな、差し押さえてそれを修理費や慰謝料に取り立ててやるつもりなのじゃよ! まぁ海近は錆が来るからな、工場関係は敬遠するから、売れぬわな!」 と、負債を抱えた理由を話す 榊原は「海近なれば錆に強い金属とかを使い、更に加工をせねば厳しいですね、処理せずに建てれば十年は持ちませんからね」とそれだけでも費用は嵩むと口にする 「宮瀬と蕪村に恩を売るじゃろ? そしたら3社共同で建設に突入出来るじゃろうて!」 何処までも抜かりのない男だった 清隆は「飛鳥井は全面的に宗右衛門に協力します!社長はどうですか?」と問い掛けた 瑛太は「私も会長と同じ意見です! 本当に宗右衛門には大変な任を背負わせて申し訳ない!私達も出来る事ならば協力します!」と言った 瑛太は烈と約束した通りにカニパンミュージアムへ烈と翔達と瑛太の妻と子とで遊びに行った 1日本当に楽しい時間を過ごした 烈は瑛太が約束を守ってくれて嬉しくて堪らなかった だから瑛太に対しての信頼度はかなり上がっていた 烈は瑛太に抱き着いて「えーちゃん!」と甘えた 瑛太は嬉しそうに烈を抱き締めて笑っていた 清隆は前の瑛太ならば……そんな風には笑わなかっただろうに………と想っていた 榊原は「ならば僕も全面的な協力をします! 【R&R】のメンバーへのご飯を作ります! 烈は貴史も今後預かるのですよね? ならば【R&R】同様に貴史の分も用意します! なので烈、腕を治して頑張るのですよ! 父は全面的なサポートをすると約束します!」と言った 烈は榊原に抱き着いて「父しゃん、ありがとう!」と礼を言った だが榊原は甘い男じゃなかった 「烈、もう怪我をするのは許しませんよ! 怪我したら遅延してしまいますからね! さぁ今日は合格者に合格を送付して、不合格者には不合格の発送をするのでしょ? 頑張って仕上げて来るのですよ! それに菩提寺の面接も控えているのですよね? 怪我してる暇なんてないんです!  解ってますね?」 父は怖かった 烈は「解ったにょよ!」と返事をした 榊原は優しく烈の頭を撫でると 「無茶は厳禁ですよ!」 とぶっとい釘を差しとく 烈は「無茶しにゃいのよ!」と言った 今怪我でもしたら、その怪我以上に怒られそうになる…… 絶対に怪我しないでおこう!と烈は心の中で誓ったのだった 話が終わると烈は宗右衛門の部屋に行き 「製図誰に引かせるかにゃ?」と悩んでいた 竜馬は「城田に引かせたら?」と言った 「城田か、にゃら城田に逢いに行きゅにょよ!」と言って立ち上がっ 竜馬と烈が歩き出すとケントが後ろから何時でも護れる体制を取り後をついて行った 烈は3階の製図部署に向かった 突然現れた烈の姿に栗田は嬉しそうに「烈、仕事か?」と問い掛けた 「城田いるかしら?」 栗田は室内を探して城田を見付けると「城田、烈が来てるぞ!」と声を掛けた 城田が烈の傍にやって来ると烈は「会議室空いてにゃい?」と問い掛けた 栗田は調べて「空いてるのある、俺も同席して良いか?」と問い掛けた 「良いにょのよ、栗田!」 烈の了承を貰うと栗田は会議室へと向かった 会議室に入ると烈は城田に「リフォームの製図を引いて欲しいにょよ!」と言った 「リフォーム?何処をリフォームするんですか?」と城田は問い質した 「会長、社長、副社長、真贋の部屋を最上階へ移すにょよ! で今会長達が入ってる部屋はそーえもんや兄達の部屋になり、秘書課も広くするにょよ! でね、此処からが本題にゃのよ! エレベーターを5階から7階まで通したいにょよ!施工の凛太郎と話し合って引いてくれにゃいかしら?」 「………随分大掛かりなリフォームをするんですね 俺で出来るかは解りませんが、烈が白羽の矢を立ててくれた以上は報いたいと想います!」 「りゅーまがね、城田に引かせたらって言ったにょよ!りゅーまは人の実力を見抜くひねくれ屋さんにゃのよ! そのりゅーまが謂うんだもん、城田で正解にゃのよ!」 「俺はひねくれ屋じゃないってば! 唯実力を過信してる奴は腹が立つから揶揄してやるだけじゃないか!」 「それをひねくれ屋と謂うにょよ!」 「えー!違うってば!」 城田は竜馬が押してくれたのが嬉しかった 烈は「此れから【R&R】でイベントして費用を捻出するにょよ!門扉やドアの費用も捻出しにゃいとにゃのね」と言った 栗田は「え!費用………宗右衛門持ちなんですか?」と問い掛けた 「そーにゃのよ!でもボク中古のビル買っちゃったし、家族全員に旅行をプレゼントしたからね、お金がにゃいのよ!」 そりゃぁーなくなるだろう………と想った それでなくても施工は宗右衛門が資産を注ぎ込んで作り上げたと聞く 「俺等で何か協力出来ませんか?」 栗田が謂うと城田も「俺等は何でも協力しますから!」と言った 烈は「最高に滾る製図をお願いね!」と言った 城田は「任せて下さい!凛太郎とは飲み仲間ですから、施工まで行って話を詰めて来ます!」と言った 「ね、城田………施工の社員が建設に来る機会も多くにゃるからね………目配せお願い出来るかしら? 諍いとか………ボク嫌いにゃのね だから平和的に終わって欲しいにょよ!」 「解りました!俺も統括本部長も目を光らせておきます! 他の統括本部長も呼び出して、この話は会社中に広めておきます! なので安心して下さい! 貴方は本当に諍いが嫌いだと聞きますから、そんな光景を貴方の目の入れなくしておきます!」 「ならお願いね! ボクは今 母しゃんから沢山の仕事押し付けられているからね 時間が足らにゃいのよ、その上イベントをするからコンセプト考えにゃいと駄目だしね」 「イベント楽しみにしてます! 是非チケット買って見に行きます!」 烈と竜馬は嬉しそうに笑ってその場を離れた 宗右衛門の部屋に行くと康太が待ち構えていた 「菩提寺を片付けに行くぞ! そしたら病院の方の合格者の発送と不合格の発送をしねぇとな!」 「研修やらにゃいとね!」 「だな、それより蔵之介と那智、意識改革できそうか?」 それには竜馬が答えた 「あの二人はスポンジが水を吸収するかの様に何事も総て吸収しようと努力しているので、明日からは本格的な【R&R】による意識改革に入る所です!」 「頑張ってる様だな、所で花菱と契約するのか? 翼が契約書作ってた!」 「母しゃん、ボクはタダでは仕事は引き受けにゃいのよ! だから契約書を作り対価を貰わにゃいとね!」 「で、対価は何なんだよ?」 「宝寿堂のガラスの様な和菓子を一ヶ月に一個、1年分にゃのよ!」 「…………それ食べたがってたヤツやんか!」 「そーにゃのよ!でもヘルシーじゃにゃいから一ヶ月に一個にゃのよ!」 「甘いもんな………」 「母しゃん、レイたん連れて花菱行くにょよ! んでもってお水を一旦入れ替えさせりゅにょよ!  あそこも呪詛吐いたみたいににゃってるにょよ! 蕪村もね、呪物化してたにょよ!」 「…………なら社員総取っ替えしかねぇか なら求人かけとくか?」 「そうね、それしかにゃいわね!」 何と言う会話なのよ………と竜馬は想った この親子は似た者親子なのだ 阿吽の呼吸で分かり合える親子なのだ 「にゃら行くにょよ!りゅーま!」 「菩提寺?」 「そーにゃのよ! 何処かにパワー全開の巫女落ちてにゃいかな?」 それは落ちてないだろう……… 落ちてたら逆に怖いって………… だが康太も「んとにな、落ちてねぇかな?何処かに!」と謂う 竜馬は無言で地下駐車場まで向かい、康太と烈を乗せて菩提寺へと向かった 菩提寺に行くと城之内が待ち構えていた 「お疲れさん!烈 龍太郎、今週末赤帯掛けて師範代に挑む事になったわ!」と告げた 康太は「ならオレが判定しねぇとな!」と謂う 城之内は「黒之助はこの前黒帯掛けて大敗だ、まだ時間が掛かるな! 天の助は何処まで取ったらOKなのよ?」と更に問い掛けた 「天の助も黒帯ね! 相手はボクがするわ! 手が治れば相手をするにょよ!」  「了解!手の調子はどうよ?」 「魔獣だったから毒素があったにょよ! それを母しゃんが抜いてくれたから今は治りつつあるにょよ!」 「それは良かった、で今日は何をするのよ?」 康太は「社務所の職員の面接と僧侶の補充の選別を烈がするんだよ!」と答えた 烈は「働かにゃいのは要らにゃいからね、働いてくれるのを入れるにょよ!」と釘を差しとく 烈と康太と竜馬が社務所へ行くと、兵藤が既に待っていた 「遅せぇよ!んとによぉ!」とボヤいた 烈は「会社に顔を出していたにょよ!」と皆の差し入れを兵藤に見せた 社務所には面接に集まった人達が待ち構えていた 面接の時間は11時からだから遅刻じゃないが、既に待ち構えているのだ 「なら始めるとするか!」と康太が謂うと面接は始まった 康太は面接者の前に立つと 「この度は飛鳥井の菩提寺の面接にご応募ありがとうございました! これより面接を始めたいと想います が、その前に少しだけ話をします! 面接を受ける此処は寺です! 事務だけしてれば良い訳ではありません!  檀家の法要の確認や説法とか座禅もこの寺ではやっているから、希望者の管理や連絡などしねぇとならねぇ! そしてメインコンピューターは飛鳥井と繋いであるから不正を働けば即座に逮捕される事となります!今回不正を働いた者がいたから、総取っ替えとなりました 其れ等を理解した受けで応募なさったと思いますが、違うなって想った方は即座に帰られて構いません!では面接を始めます!」と言った 面接に集まったのは30人近くだった 実際に雇用するのは10人近くだった 事務経歴の有る者、接客の経歴がある者  多種多様な職業を経て応募して来たのが解る 此処では竜馬が作った国語と算数の軽いテストを行った かなりの引掛け問題を作成して、テストとして出した まぁそのテストの結果でどうこうなる訳ではないが、その人となりが解ると竜馬は言った 面接と軽いテストを受けて、合否は後日郵送で送る事にして、その日の面接は終わった   竜馬は康太に「オリヴァーが来てるから、PC入れ替えるなら今だぞ!」と言った 「それな、菩提寺担保にされて想った以上のダメージでな経費が出せないから飛鳥井から使ってないPCないかと探していた所だ…·」と懐事情を話した 「オリヴァーの弟子のアンソニーは材料さえあれば自作でPCが作れるんだよ! で、烈とリサイクル屋を回って安くジャンク品を買ってアンソニーに性能良いPCに生まれ変わらせているからな、懐事情が寒くても何とかなると想う!」と竜馬は言った 「そのジャンク品、幾らだった?支払うよ!」 「俺と烈がプールしているお金が有って、そのお金は本当に困った時以外は手を付けない約束で、少しずつプールさせたのがあるんだよ! 今回はそれを使いジャンク品を買った まぁそんなに貯蓄してある訳じゃないから、高額なのは無理だけど、ジャンク品だからな何件も回って安く上げる為にメンバーも手伝ってくれたんだよ!」と伝えた 竜馬と康太が話をしていると烈のサコッシュが震えた 開けて見るとプライベート用の携帯がブーブーと着信を告げていた 烈は通話ボタンを押して話し出した 「はい、にゃんですか?」 『烈、お金がにゃいと困っているんだって? 私は神野と逢う機会があり話をしていたんですがね、神野が烈から康太と同じ風に言われて焦ったよ!的な話をされたんです で、それはどんな風にですか?と聞いたら、烈 困ってるにょね、お金がにゃいのよ!と康太風に謂われたと謂うじゃないですか!  私も今はそんな大した事は出来ませんが、君が困っているならば、協力したいと思っています!』 「若旦にゃ………』 『その上、飛鳥井にトラック突っ込まれたんですって!私は知りませんでした! 私も是非協力させて下さい! 【R&R】でイベントをするならば、私は協賛致します!』 烈は何と答えて良いか?困ってると康太が烈の携帯を取り話し出した 「若旦那お久し振りです 神野から聞きましたか? ならばトラックを所有していた会社が夜逃げして破産するしかも知れないのも御存知ですか?」 『それは聞いてません………何かふんだり蹴ったりですね………』 「なので烈が神野の事務所のタレントをタダで貸し出して貰いイベントをやると言ってくれたのです!会社のリフォームもするので費用の捻出を図ろうとしたんですよ!」と説明した 『トナミも社員の意識が変わって来て、皆が仕事する意識も意欲も変わりつつあり、凄い相乗効果を齎してくれたからね 本当に感謝しても足らない位だよ しかも相当盗聴されていたのか?仕事が何時の間にか他社へ……と謂う事があったのに、今はそれもないからね、本当に性能良いセキュリティを入れられて私は感謝しているんだ 私は烈を殺そうとしたも同然なのに………彼は無償の愛で我等を導いてくれた 聞けば宗右衛門と謂う御人はタダでは仕事をされないとか? ならば料金を支払わねば!と思っているだけです!なので協力させて下さい!』 「若旦那、ありがとう 【R&R】の事はオレは感知してねぇ領域だけど、烈の為に何かしようとしてくれて本当にありがとうございます!」 『この先は切磋琢磨して乗り切るとあの日烈と約束したので、こんなピンチな時は声を掛けて欲しかったです!』 「それは烈に言ってやってくれ!」 と康太は烈に電話を変わった そして烈は約束を交わし電話を切った そして想い出した様に康太に 「あ、そうだ、蔵持系列のトップね、すべての事業から引き摺り下ろされるかも知れにゃいわよ!母しゃん!」と伝えた 「え?どうしてよ?」 「母しゃんに何の連絡もにゃく警備会社は変わったと言ってたからね、変ね?と竜馬と話していたにょよ!でね暦也に探って貰ったにょよ! そしたらね……」 と言いサコッシュの中から報告書を取り出して、康太の前に置いた 「こんにゃ結果が来たにょよ! 母しゃんは蔵持を生かしたいにゃら手を打つべきよ!」 康太は報告書を見て唖然としていた 「戸浪から始まった不協和音は蕪村に伝わり宮瀬に飛び火して花菱を巻き込んで……蔵持に行ったか」と悔しそうに言った 「ぜんにょしゅけは多分……そんな状況だから母しゃんには連絡を入れられにゃかったのよ!」 「ならば菩提寺を軌道に乗せる合間に蔵持に行ってくるわ! 何かあったら………烈、力を貸して欲しい……」 康太はシビアな宗右衛門だから断るかも………と想っていた 「にゃら井筒屋の羊羹で手を打つわ! ボクはね後々難癖着けたくにゃいからタダではやらにゃい事にしてるにょよ!」 「うし!井筒屋の羊羹だな、なら武藤に更にヘルシーなの開発してくれる様に頼んどくわ!」 「それ嬉しいにょよ! 対価を取ったら、ちゃんと仕事するにょよ! それが飛鳥井の男だからね!」 「だな!」 「だから母しゃんは蔵持に行って手を打つにょよ 此方はにーに投入して片付けるからね!」 「なら行って来るわ! あ、でもオレ足がねぇわ!」 「竜馬にょ車に乗って行くにょよ! ケントが運転して行くからね!」 「でもお前は大丈夫なのかよ?」 「ボク?ボクの横には最強の男いにゃいかしら?」 烈は兵藤を見て謂う 兵藤は最強の男と謂われて嬉しそうに笑い 「って事だから行って来いよ! 烈は俺と竜馬が護る、それに菩提寺にいるならば城之内と竜之介もいるからな! 関東最強の暴走族だったんだろ? なら大丈夫だよ!康太、行って来いよ!」 そう言い送り出す 康太はその言葉に背を押され歩き出す 「なら行って来るわ!」とケントと共に康太は菩提寺を後にした それを見送り兵藤は「難問山積だな………」とボヤいた 「母しゃんの星……危険らったから少し遅らせたからね………今がギリギリラインにゃのよ」 「康太、危なかったのかよ?」 「そーにゃのよ!直ぐに出てたら………刺されてたレベルじゃにゃいから……母しゃんの時を遅らせたにょよ」 「んな事出来るんだな!」 「滅多とねそれはしちゃあ駄目にゃのよ………その分自分に被るからね、だからボク……死の影と相乗効果で怪我しちゃってるにょよ!」 それでかなり酷い怪我をしたのか、と兵藤は想った 「やっぱね、何でも対価は取られちゃうにょよ でもね母しゃんが傷付くにょは………嫌だったにょよ! 丁度死の影も出てたしね、避けられにゃい事ならば……と被せて流したにょよ」 兵藤は烈の頭を撫でて 「俺はお前が傷付くのも嫌だけどな! それは家族全員想っているし、一生達も想っているぜ!」 と言った 「ぎょめん………兵藤きゅん」 「でもお前は母を護りたかったんだよな 子供ならばそれは当たり前だわな! お前にとって母はアイツ一人なんだし、お前はアイツを護りたかった だから謝らなくて良い………でも今後は自分が怪我しない道を詠んで康太を護れ!良いな!」 「でも………どうしても駄目だったら?」 「その時は俺に言え、そしたらお前が詠んだその時俺達は力を合わせて康太を守ってやるからな!」 「兵藤きゅん………」 烈は泣きそうになった そしてポロッと涙が溢れた 兵藤は「あー!泣くな、俺が虐めたとレイが想うやんか!」と烈の涙を拭った そして竜馬と共に試験の採点を始めた 竜馬は兵藤に「このテストは人の根底にあるモノを暴くテストなんですよ!」と言った 兵藤には普通の軽いテストにしか想えなかった 竜馬は試験用紙を兵藤に渡すと「やってみますか?」と問い掛けた 兵藤はそれを受け取りテストを始めた 問題は簡単な算数レベルの問題50問  そして少し捻くってある国語レベルの問題50問 計100問だった 兵藤はそのテストをやっていて、簡単な算数レベルの問題にもトラップが張ってあるのを感じていた 素直に解いてしまうであろう、トラップだった 国語はもっと捻くってあり 【次の言葉の後に言葉を埋めて下さい ①水たまりは、 ②あの子って、 ③今日の私は、 ④すこしは、】 ただ文章を作れば良い訳では無いな?と兵藤は想った ① 水たまりは、空を飛ぶ時目にする光る宝石 ② あの子って、嘘のないヤツだ! ③ 今日の私は、真正面を向いて立っている! ④ すこしは、立ち止まるけど直走る! と回答していた テストを全部終え竜馬に渡す 竜馬はやはり国語からチェックした そして問題を指さして ①これは私の本当の姿は ②好きな人の前では ③嘘をついている時の私は? ④今年の目標 と、書き込み 「これは心理テストみたいな問題にして問い掛けているのです ①は本当の姿は貴方は朱雀だから有ってますね! ②は好きな人の前では嘘をつかないヤツでいたい まさにその通りの回答で貴方を見てる通りじゃないですか! ③は嘘付いてる時の自分は?だから、逃げずに貴方は正面を向いて立っている! 凄いと想います! そこまで書けれる人って滅多といません! ④は今年の目標です、立ち止まるけど直走る気でいるから書ける言葉なんですよ それと同様に人となりを見るには此れが一番手っ取り早いので使わせて貰ったんです!」 「算数も仕込んでいたろ?」 「ええ、注意深さを推し量るのは、これに限るのです!」 兵藤は竜馬が心理学の第一人者なのが、こう謂う場面で伺えられるのだった 烈は「りゅーまはね捻くれていたから、物事を斜めに突き抜けちゃったにょよ!」と言った 「烈ぅ……俺は捻くれ屋じゃねぇから! 俺程素直な子はいねぇってば!」 「…………素直な子には飛び蹴りはしにゃいのよ!」 烈が謂うと兵藤は笑って 「出逢って3秒で飛び蹴りかましたんだろ?」と言った 竜馬は口を尖らせて「あれは痛かったのよ!」と思い出して呟いた 兵藤は「ほらサクサク採点するぞ!」と言いテストの採点を始めた 城之内も竜之介も協力してくれ採点は直ぐに終わった すると竜馬は心理テストの答えの紙を出して 「此処と此処は心理テストの描写が入ってるので、書き出して下さい!」と言った 赤ペンでその心理テストの上に、答えを書く すると③の嘘をついている時の自分は、の答えが恐ろしくて………竜之介は思わす 今日の私はモテまくり逃げ回っている!との答えに 「え?これって嘘吐きまくって逃げ回っているって事?」と恐ろしくなって思わず呟いていた するの城之内も「④すこしは、休んでずっと休む!ってずっとサボるって気満々って事なのかよ?」とボヤいた それを書き込み、合否を決める 竜馬は「その採点用紙と答えの紙を同封して送ると自分の面接時の態度が如何に上っ面だけだったか?解るってもんだから入れるとするか!」と言った 全員頷いて同意した そして、③すこしは、人の役に立ちたくて己を見直す良い時期なのかも知れない と答えた人を私生活を調査会社に依頼して調べて貰う 合格を出した者も何処かの回し者だとしたら怖いから調査会社を通して調べて貰う その結果を見て正式な合格通知を送る事にした やっと合格通知を出す所まで来て、一息付く頃に【R&R】のメンバーと蔵之介と那智が差し入れを持ってやって来た その頃康太は蔵持の家にやって来ていた 「善之助、どう謂う事だよ!」と康太が謂うと、善之助は康太が来るのは想定内だったのか? 家の中に自ら招き入れた 静まり返った家に康太は違和感を感じていた 「使用人はいねぇのかよ? あんでこんな状況になったんだよ?」と問い掛けた 「………妻は私の秘書と出来ていました 子も総てDNA鑑定をした所、私の子では有りませんでした!なので慰謝料を求めて離婚しようとした所………会社は乗っ取られ……財産は殆ど持って行かれました! なので使用人は解雇するしかありませんでした」 康太は烈に電話を掛けた 「烈、お前ギリ間に合うとか言ったよな? 何か善之助に聞くとOUTな気がして来たぜ!」 『ギリにゃのよ!母しゃん 総て奪われたにゃら取り返すにょが飛鳥井康太じゃにゃいの?」 烈に謂われて血が滾る そうだ、奪われたならば取り返したら良い そして報復は倍返し! それが飛鳥井康太なのだから! 『だから母しゃんの焔を蘇らしぇたにょよ! 闘う母しゃんはカッコイイにょよ!』 「ならば母は闘う準備をする! 烈、ブレーンとして力を貸してくれ!」 『了解にゃのよ!もうね、ぜんにょしゅけで星は詠んであるにょよ! 母しゃん、ぜんにょしゅけを保養施設まで連れて来るにょよ! 等分此処で働かせて下の生活にも目を向けにゃいと、同じ事を繰り返すわよ! 人が嫌い?それがどうしたにょよ! そーえもんも人間嫌いよ! 偏屈で人間嫌いだけどね、人を視るしか出来にゃいからそれをするにょよ! ぜんにょしゅけは会社のトップだったにょよ? 下を見にゃいから謀られ妻にも関心を持っちゃいから寝取られるにょよ!』 ズバッと言い当てられ、康太は言葉もなかった 康太は取り敢えず電話を切った 取り敢えず状況を把握せねばならぬからだ 康太は「この屋敷、抵当に入ってたりするのかよ?」と問い掛けた 「いいえ、この屋敷は抵当には入ってません! 辺鄙な場所で、過去の遺物の様な建物や調度品とかと一緒に捨ててやるわ!と言い金目の物だけ持って出て行きました」 「ならこの屋敷を更地にしてこの場に新しく会社を建てればええやんか! それまでは他の場所で会社を開くと良い! 盗られたなら、んな会社は捨てておけ! 秘書がどれだけ仕事が出来たとしても、蔵持善之助の名前程、業界には轟はしねぇだろ? ならばお前は新しく会社を起こせよ! そこんとこは烈に星を詠んで貰い戦略を建てねぇとな!って事でこの屋敷の調度品とか売りに出すから、総て今から運び出す事にするわ!」 「はい、貴方が来たならばそう謂うかと想い、調度品は死守致しました!」 「なら烈に電話して安全な運送会社探して貰うかな?」 そう想い電話をしようとしたら烈から電話が掛かって来た 『母しゃん、その家の中のお金になりそうにゃの総て出すわよ! 兵藤きゅんが施工のトラック2台出して運ぶと言ってるにょね! 神威が一台、慎一きゅんが一台運転して向かっているにょよ! 勿論ボクも戦力ににゃらにゃいけど、竜馬と向かってるにょよ!』と言った 仕事、早いよな烈……と我が子のフットワークの軽さに感心していた そしてトラックが到着すると門を全開にしてトラックを中へと入れた トラック2台と施工の社員がバンに乗って手伝いに来てくれていた 手には梱包の材料とコンテナを携えていて、かなり前から話は着いていたのか?と想う程だった 神威は車から下りる「買い取りに参りました!」と大きな声で一声掛けてから、屋敷の中へと入って行った 慎一も「買い取り業者です!」と何処で偵察しているか解らないから、業者になりきっていた そして烈も車から下りる屋敷の中へと入り、善之助を見付けると「ぜんちゃん!」と笑顔で話し掛けて来た 善之助は「烈君、どうして君が?」と不思議そうに問い掛けた 康太は「知り合いなのか?お前等?」と不思議そうに問い掛けた 「そーにゃのよ!せいぞうじいさんにょ知り合いにゃのよ! で、良くお茶していたにょよ、ねっ、ぜんちゃん!」 「ええ、何もかもなくした私が公園で座っていたら清三さんが声を掛けてくれて、それでお茶していた時に清三さんが呼んでくれたのが烈君でした それから何度もお茶して、怪我したから行けにゃいのよ!とラインを貰い心配していました! 烈君、君はどうして今此処にいるのですか?」 「ボクね、母しゃんの子供にゃのよ! あ、狙って友達になった訳じゃにゃいからね! せいぞうじいさんは知らずに声を掛けて、友達になっただけにゃのよ!」 「知ってます、だってあの方は私の名前だけしか聞かなかった……私も君の名前しか聞かなかった そうか、君は飛鳥井だったんだね」 「ボクは烈よ!ぜんちゃん! それだと駄目にゃの?」 「いいえ、それだけで大丈夫です! 何もかもなくした私に出来た友達ですから、君と清三さんは!」 話していると奥から「おーい、烈、これは価値あるのかよ?」と兵藤が問い掛ける 烈はジャミングの機械を作動させから、その商品を視て「それ、伊万里焼のお皿で、今は焼いてない釜の貴重な手法で焼かれているから、守らにゃいと駄目にゃやつよ!」と説明する 兵藤は丁寧に梱包して行った  竜馬は「この掛け時計は?」と問い掛ける 「それはねオランダから直輸入した一品よ! 今はねそれは手が出にゃい価値よ!」 謂れ竜馬も丁寧に梱包を始めた 「一億………取れたら大の字ね!」と呟く 施工のスタッフや兵藤や竜馬は手を止めた そんなに貴重なヤツなら前もって言えよ!と皆は想った 神威が「この家、更地にするたろ?ならばこの屋敷を遺したいと話が来てるけど、どうするよ?」と問い掛けた 「明治村とか?オランダ村とか?」 「だな、当時の珍しい建築法で建てられるらしいんだよ!」 「で、幾らで出すって?」 「…………1000が限界だな!」 烈は、う〜んと考え込んだ 「にゃら建物移動した後に更地にしてくれるにゃら飲むにょよ!」 「ならその様に話を着けておく!」 トントン拍子に話が着いて行く 康太は調度品が片付けられて行く様を善之助と共に唖然として見ていた 烈は「12カラットのナイトムーンダイヤは? バカ嫁に盗られてにゃい? 盗られたにゃら即座に盗難届よ!」と言った 「貴金属系統は此の家の隠し部屋に入れてあります、嫁はその隠し部屋の存在は知りません!」 「ぜんちゃん、知らにゃい訳にゃいじゃない!」 「え?………」 そう謂うと善之助は慌てて隠し部屋へと向かった だがドアごと破壊されて金庫もこじ開けられて破壊されていた形跡があった だが頑丈だった為諦めたのか?機材を持って出直して来る気だったのかは解らないが、取り敢えず無事だった 烈は「この中の総て母しゃんのバッグの中へ移すにょよ!それが会社の再建の資金とにゃるからね!」と謂うと善之助は扉を開けた 中から宝石や金の延べ棒等お宝ザクザクと出て来て、康太はそれを総て大判をトートバッグに入れた それでも足らず、そこら辺にある紙袋に入れて 「母しゃん、ボクはそれを持って神の道を通って保養施設まで行くにょよ! だから母しゃんは襲われるから気を付けて、保養施設に来てね!」と言った  康太は「え?オレ襲われるのかよ?」と聞く 烈は紙袋にそれらしい箱を詰め込み3袋用意すると、母にそれを渡し 「だからニック呼んで母しゃんはそれに乗るにょよ!ニックに竜馬の車を乗らせるにょよ! その代わり……弁償してね!」 「了解した、弁償は相手にふんだっくってやるさ!」 「にゃら、ボクは行くわね! 母しゃん、計画通りにしゅるにょよ!」 「了解!」 すると烈は重いバッグを3袋肩に掛けて神の道を開いて消えた 善之助は「え?あの子も貴方と同じ様な力持ちですか?」と問い掛けた 「アイツは飛鳥井宗右衛門と呼ばれる存在なんだよ!」 と言った 善之助でも知る飛鳥井家真贋と同等の存在 それが烈だと謂うのか? 「さてとニックが来たら行くぞ!」 そして広間に戻ると、総ての調度品が運び込まれガラーンとしていた 神威が「そのソファーとか壁の絵は後日取りに来る!更地になる前には移動する!」と告げた 「このソファー?烈はこのソファーは価値があると判断したのかよ?」 「違う、佐伯との思い出の品まで処分はしない 新しい会社の応接間にそのソファーを置いて、佐伯と共に新しい会社の始まりを迎えるそうだ!」 そう告げると善之助は佐伯の事を思い出し泣いた 自分に仕え人生を捧げてくれた佐伯の想い出と共に再出発させてくれると謂うのか? 康太はならばこれ以上荒らされない様に……と部屋に結界を張った 盗人がこの家に入り込もうならば………亡者が襲い掛かる様に呪文を唱えた   ソファー以外の調度品の全ての荷物をトラックに運び込むと神威と慎一達は外へと出て行った 神威は外に出ると「それでは廃品回収を終えたいと想います!」と大きな声で挨拶して歩き出すと直ぐに「使えるのなかったな!ったく!」とボヤいてトラックに向う 慎一も「何かガラクタばかりだったな、磨いて売れるんですか?社長!」と打ち合わせでもしてるのか?ノリノリで謂う 神威は「磨けば売れる!でねぇと3万円が無駄になるじゃねぇか!」とボヤきトラックを走らせた 慎一は後を続きトラックを走らせる 施工のスタッフは「あんなガラクタ一銭にもならねぇだろ!今の時代を考えろって謂えってよぉ!」とボヤいて撤収した そしてニックがやって来ると康太と竜馬と兵藤と善之助はその車に乗り帰る事にした ニックは総ての戸締まりをすると、ブレーカーを落として、門扉を自力で開けて車を出すと、また閉めてチェーンで施錠して車に乗った その容姿は黒髪でスーツを着て、どこから見ても康太に見せた ニックは紙袋を3袋後部座席に置くと、竜馬の車に乗り込み車を走らせた すると少し走った所で、近くで待ち構えていたのか?妨害を仕掛け始めた 車を寄せたり、前に出て進路を妨害したりして来た ニックの後ろをリック村上が追跡して走る そしてそれらの行為を総て記録して行くのがリックの仕事となった ニックの車はガードレールに押しやられ、大破して止まった すると車から引き摺り出し、意識を失ったニックを殴り飛ばして車の前に放り出した そして車の中の紙袋を3袋手にすると、即座にその場を離れた その後を少しだけリックは追って、後はバイクに乗ってる調査会社の人間とバトンタッチして離脱した 離脱したリックは「大丈夫ですか?ニック!」と電話をした 『大丈夫だ、首尾良く行ったな! 俺は事故処理して戻る事になる!』 「了解!」と言いリックは待機する為、SPの会社へと向かった 康太と竜馬と兵藤と善之助が保養施設に到着すると、榊原と烈は楽しげにお茶を飲んでいた 榊原は「烈から連絡があり3億の価値のあるナイトムーンダイヤが怖いから来て!ってSOSがあったので来ました!」と言った 外では神威と慎一がトラックの荷台の品をコンテナに丁寧に入れて部屋へと運んでいた 龍太郎と黒之助も手伝い、それらを保養施設の中へと運ぶ 保養施設の一部屋は直ぐにコンテナだらけになった 「これでね、3億位はは確保出来たにょよ! さぁ反撃しゅるにゃよ!ぜんちゃん! でにゃいと男が廃るわよ!」と言った 善之助は「ありがとう烈君、そして康太と伊織と………さっきから気になっていたんだが……… 何故に神威がいるんだい?」と問い掛けた 康太は「え!神威、お前ら知り合いなのか?」と問い掛けた 「俺は良く毘沙門天と飲んでるやんか、すると色んな人に誘われるんだよ! で、戸浪と飲んでた時かな?戸浪が彼を連れて来たんだよ!かなり前の事だぜ! それ以来良くガード下に来るからな一緒に飲んでるんだよ!」と答えた 康太は「彼は烈の専属顧問弁護士の飛鳥井神威だ!」と今更ながらに紹介した 顧問弁護士………だから更地にした後の事を話していたのか……… 烈は「記者会見よ!母しゃん!」と言った 康太は「烈、お前が取り仕切ってやってくれねぇか?」と言った 「…………ボクねこれ以上の仕事はごめんにゃのよ!」 「でもお前、貴史使うんだろ! ならばお前が適任だろ?」 「ボクね……イベントをにゃんとかしにゃいと遅れちゃうにょよ!」 「オレが出るのは容易いが、それが悪影響にならねば良いと想うとな……」 「母しゃん……」 「お前さ善之助の事を知らせるの遅らせたろ? オレは刺される所だったか?」 「…………」 「だが今後は止めろ! 運命を弄るにはそれなりの対価を盗られる! その手の傷、死の影だけじゃねぇんだろ?」 「どの道死の影もあったから、避けようがにゃかったにょよ!」 「それでもだ、烈………オレはお前の犠牲の上に平穏な日々など送りたくねぇんだよ!」 「それはボクも同じよ!母しゃん! 母しゃん………ボクの死の影を弾き飛ばそうとしたでしょ? あれで母しゃんの太陽の気が更に翳ったの知らにゃいと想った?」 「烈……オレはお前の母だから我が子の為ならば……」 「それ、ボクも同じよ!」 一歩も引かない親子に誰も口を挟めなかった 榊原は烈と康太の頭をスパンッと叩いた 「君達さ、僕がどれだけ君達の事を心配しているか?知ってますよね?」 烈は叩かれた頭を撫でて、うんうん!と頷いた 康太も叩かれた頭を撫でて、うんうん!と頷いた 「ならば親子喧嘩は止めなさい! 解りましまね!」 壊れた人形の様に二人は頷いていた 神威は怒られる康太と烈と謂う珍しい光景を目にしてガハハハハハッと笑って 「どうでも良いから早く動きやがれ!」 神威はドスの効いた声で発破をかける 素戔鳴尊ばりの迫力に、似たもの親子はやっぱ怖いやんか!と想った 兵藤は「んな事より、この商品の数々どうするのよ?」と問い掛けた 烈は「値段はつかにゃいのよ!それに置き時計と壁時計は佐伯が磨いて長持ちさせたにょだから、新しいオフィスに飾るにょよ! 佐伯朗人は今も主に想いを残し見守っているからね、ちゃんとするにょよ、ぜんちゃん!」と言った 「烈君………佐伯………」 善之助はこらえきれなくなり泣いた 烈は「これはね、売ったらもう手に入らにゃいからね、博物館に貸し出して見せたい程の貴重品にゃのよ!」と言った 「なら何処かで展示するか?」 「そーね、売るヤツと展示するヤツに分けるにょよ!」 「お前、古物の眼あったんだな さっき言い当てて、感心したわ!」 「先代の宗右衛門が古物好きな友達いたにょよ! で、骨董の壺をガラクタと言ったら怒ってね、それ以来買い者に何時も付き合わされてたから、目利きににゃったにょよ!」 「ならどうするよ?ずっと置いておけねぇぞ!此処に!」 「そーにゃのよ! ナイトムーンダイヤがにゃいって襲って来るからね!」 「まるで悪鬼ですがな!」 「そーにゃのよ!怖いわよね!」 他人事の様に謂う烈に「どうするのよ?」と問い掛けた 「来られにゃいから大丈びよ! 人間では此処まで辿り着けにゃいのよ!」 「ええ、お前が手を打ったのか?」 「違うにょよ!本家本元がいるにょよ母しゃん 迷いの森から伸びてる蔦が待ち構えているにょよ!」 「あぁ、豊穣の神だもんな でもさオレ長い事生きて来たけど迷いの森って何処に在るのか知らねぇんだよな?」 神威は笑って「それは企業秘密じゃよ!」と言った 外からうわぁぁぁぁ〜!や、ぎゃーぁぁぁぁぁぁぁ〜!と謂う叫び声が聞こえた だが誰一人動く事なく「腹減ったな!」と言っていた 神威が「ケントさニックと連絡取り、事故らせたのコイツ等か聞いて来いよ!」とサラッと言った ケントは悲鳴を聞いていたから 「外に出て大丈夫なのか?」と問い掛けた 「あぁ大丈夫じゃろ! 主に蔦は行かぬよ、だって烈の気が主を守っているから下手なモノなど手出しは出来ぬよ!」 「え?……それは?」 ケントはその言葉の理解が出来なくて呟いた 「烈は主が好きなんだよ、大切なんだよ だから護られるだけじゃなく、主にも危害が及ばぬ様にしておるのじゃよ! ほれ、サッサッと捕まえて目を通ししやがれ!」 と神威はケントを外に追いやった 恐る恐る外に出ると…………そこは霧に包まれ前が見えない程で………ちっとも保養施設の場所じゃなかった 此処何処?………と不安になる自分を止まらせる事なく犯人を確認に行く すると犯人らしき人物は蔦に巻き付かれ、確保されていた ケントは即座にニックに連絡を入れた 「犯人の面通し、お願いします!」とラインすると即座に返信があった 「あぁお前の方に行ったんだ 偽物なのがバレたんだ早いよな! 了解、近くにいるから直ぐに行く!』 との事なので、ケントはニックが来るのを待っていた だが辿り着けるのか?此処に? と不安に気持ちもあった だが霧が晴れると、そこは保養施設だった ニックとリックがやって来て犯人を確認する リックは証拠の映像で顔を確認する  すると犯人に間違いなく、即座に警察に連絡を入れた 警察が即座にやって来て「強盗未遂です!それと事故を無理起こした犯人です!」と突き出した ニックとリックは警察に事情聴取される事となって警察へ向かった 外が静かになると烈は「早目に手を打たにゃいと駄目ね!ぜんちゃんに平穏な日々が来にゃいわね!」と呟いた 康太も「この調度品も此処に置いて置けねぇぜ!」と謂う 「一旦 崑崙山のボクにょ屋敷に運び込む?」 康太は「だな、それしかねぇわな!」と言った 「にゃら金ちゃんと黒ちゃんも手伝ってね!」と言った 龍太郎は「任せておけ!台車を借りて来て黒と儂とで乗せて行けば何とかなるじゃろ!」と言った 黒之助は台車を保養施設の前に2台持って来ていた それを保養施設の入り口に運び込み、調度品を運び込む 榊原は烈に託された紙袋3袋を手にして 「少し行って来ます!」と言った 「父しゃん お願ぎゃいね!」と謂うと榊原は 「何人たりともは入れぬ呪文も唱えておきますから安心して待ってなさい!」 と言うと、烈は神の道を切り開いた 龍太郎と黒之助は台車を引いて、榊原は紙袋3袋を手にして神の道に消えて行った 康太は神の道は通れぬから、榊原が行ってくれたのだ 康太はそんな優しい夫の想いを噛み締めて、無事に還って来てくれ!と願った

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