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第39話 旧態依然 ❷
屋上の鍵は空いていて、烈はドアを開けて家の中へ入った
そして一階に行きレイの様子を見ると、レイは寝ていた
ホッと安堵してソファーに座ると、榊󠄀原と康太も帰宅して来た
烈がソファーに座ると翔がノートPCを烈の前に置いた
「菩提寺の僧侶のリストの調査報告と、社務所で働く応募者の調査報告が入って来たよ!」と言い見せてくれた
今回の調査報告は少し今までとは違い、私生活や人間関係、そして幼少期や成長過程で別人みたいと言われていたか?等を調査させた
康太と榊󠄀原もノートPCを覗き込んで、調査報告を見ていた
応募者の中に3名程、高校から、大学から、社会人になってから、それぞれ別人みたいになった者がいた
その者は交友関係で花柳悦郎や上間美鈴、上間梨花の交友関係を何処かで持っていた
康太は「悦郎………被害者じゃねぇのか?」と呟いた
烈は「被害者だったんだよ、そして今も被害者にゃのよ!でも………洗脳は中々解けにゃい………」と言った
康太は唐沢にラインした
「上間関係の人間の頭調べたか?」と。
即座に唐沢から電話が入った
『八重子さんと一眞さんはチップは入ってなかった、多分お二人はお嫁さんと孫を死なせた罪の呵責で自殺するとでも想っていたのかも知れませんね、だからわざわざチップを入れる事はしなかった
悦郎君は………チップが入っていたから即座に処理をして、即座に専門家による洗脳の解除に踏み切った
上間は自爆も視野に入れて綺麗さんの指示の元、宗右衛門考案の檻の中に入れてあります!
後は蔵之介氏と善之助氏からは調書を取らねばと想って病院に身柄を引き渡す様に請求しています』
「上間の資産は凍結させたのかよ?」
『とうの昔にやりはしましたが、然程の資産は遺ってはいなかった
多分教団に流れたと考えてた方が良いかも!』
「ならば倭の国の教団は悉く潰す!
それしかねぇかな!」
『…………無茶言いますね……』
「蔵之介と善之助の身柄を引き渡して貰って欲しい!」
『九鬼の病院には今、身柄の引き渡しを交渉中ですが、治療中と謂う事で拒まれています!』
烈はメモ用紙にサラサラっと書いた紙を康太に見せた
『九鬼の病院は多分教団の洗脳部隊として動いているにょよ!専門家により洗脳してるんだから一番に潰さにゃいと!』
それを見て康太は「唐沢、宗右衛門が九鬼の病院は多分教団の洗脳部隊として動いているから一番に潰さにゃいと!って言ってる」と伝えた
電話の向こうの唐沢は息を飲み
『完璧な洗脳を施せる筈だわな………』とボヤいた
康太は「唐沢、九鬼の病院、好き勝手しても文句を言わねぇならば、宗右衛門とオレ等でぶっ潰してやるけど?」と、どうせ聞く訳ないと想い取り敢えず言ってみた
すると唐沢は『その場に我等も同席させてくれるならば、上と掛け合っても良いです!
これから上と掛け合うので、少し待ってて下さい!
その時宗右衛門殿にクリストファー・オブライエンとの関係をお聞きしても宜しいですか?』と言った
「別に隠してる訳じゃねぇからな、話してくれるだろ?」
『ならば少し待ってて下さい!』と言い唐沢は電話を切った
康太は電話を切って「何かどんどん話はこんがらがって来るよな?」とボヤいた
烈は、うんうん!と頷いた
榊󠄀原も「本当にね、今世は理解不能な事が多いです!」とボヤいた
暫くして唐沢から『上からGOが出ました、いつ九鬼の病院に行くか?事前に連絡下さい!』と言い電話を切った
烈は康太に「母しゃん、九鬼って傀儡じゃなかった?」と問い掛けた
「あれは人だよな?伊織?
何かさこんな事が続くと人間不信になりそうだよな………」とボヤいた
榊󠄀原も「人でしたよ?だから疑う事もせずに悦郎を託した訳ですから………」と言った
「にゃら人間そのものが作り替えられたんだね
朱雀が聞いたら俺の領域侵犯じゃねぇかよ!って怒るわね」
康太は「だな、本当に胸糞悪い!」と吐き捨てた
「母しゃん、この家の結界って完璧でしゅか?」
「弥勒と紫雲が張ってくれた上にオレも結界を張ってるから完璧だと、取り敢えず想いたい!」
「にゃら雷を混ぜて結界を張っても良いかしら?」
「お前、その雷って建御雷神の雷か?」
「違うにょよ、銀河系には上質な雷の石がある惑星があるにょね、その星から石を飛ばして魔界に落して貰ったにょよ!
めちゃくそ大きいな石だから建御雷神からは少しで良いにょよ!」
康太は驚いた顔をして「雷石の惑星の存在……知っていたのかよ?」と問い掛けた
「星が指し示しているからね
その石は今後の魔界の役に立つだろう、と示しているにょよ!
魔界も微弱な超音波と電磁波流そうと考えているにょよ!」
その為の雷石なのか、と康太は納得した
だけど雷石在っても建御雷神の雷は取る気なのか………
康太は気を取り直して
「何時頃に九鬼の病院に行くよ?」も問い掛けた
烈は「今夜11時に決行するにょよ!」と答えた
「なら明日からは菩提寺に取り掛かるか?
その合間を縫って井の頭公園に行くとするか?」
康太は唐沢にラインして九鬼の病院に行く時間を告げた
「そーね、一つずつにゃのよ!」
「だな確実に一歩ずつ進めて逝こうぜ!
ならば腹拵えだな!」
康太が言うと烈は頷きつつ、携帯を操作していた
「母しゃん、今夜は雪にゃのよ
ボクのコート出てるかしら?」
「え?雪?まだ今年は降ってねぇのに?」
「にゃんか視界が悪くにゃるからね
母しゃんも父しゃんも暖かい格好しにゃいと駄目にゃのよ!」
「雪女でも呼んだのか?」
「違うにょよ、昨夜のうちに雪玉上げといて貰ったにょよ!それが今 増殖して今夜辺り雪ににゃるのよ」
「雪玉?それって妖精か?」
「凍て付く程に寒い青龍の山に棲息する妖精だけが創り上げられると謂う雪玉にゃのよ!
それをね、じぃさんが気流に乗せて人の世の天高くに飛ばしてくれたにょよ!
建御雷神や鳳凰や閻魔や宇迦之御魂神も手伝ってくれたにょよ!
視界を悪くしにゃいと……マサカリ持ってると銃刀法違反にゃのよ!」
神威………嫌 大歳神の心配をして視界を悪くする為に青龍の山の妖精に雪玉を頼んだと言うのか?
「だってね、マサカリよ?
人の世でマサカリ担いで許されるにょは金太郎だけにゃのよ!」
烈が心配して言う
翔達は笑いを堪えるのが大変だった
康太も榊󠄀原も真剣に言う烈には悪いが………
マサカリ担いで金太郎〜の歌を再生しちゃって………笑えて仕方がなかった
榊󠄀原は何とか堪えて「雪玉は成功したのですか?」と問い掛けた
「うん!気流乗って人の世に散ったのを鳳凰が確認してくれたにょよ!」
「なら腹拵えだな!」
キッチンに向かい夕飯を食べ始めると、寒くて凍りそうです!と瑛太と清隆と玲香が帰宅して家に入って来た
瑛太は「外は凄く寒いです、突然この寒さは冬将軍でも来たみたいです!」と言った
烈は「冬将軍、その手もあったにょよ!」と言う
青龍の山の雪玉と言うだけたってピキッピキッと冷気を運んで凍える寒さをお届けしちゃっていた
烈は「明日は滑るにょよ!じぃしゃん」と訴えた
清隆は烈を抱き締めて
「そうですね、様子を見て交通機関で行った方が良いですかね?」と言った
瑛太も烈の頭を撫でて「そしたら皆でタクシーに乗って行くとします」と言う
烈は安心した顔をして瑛太に抱き着いた
そして着替えて来ると、皆で熱々の夕飯を食べてお腹も満足してると、慎一が烈のコートを応接間に持って来てくれた
マフラーもちゃんと用意してあり、ホッカイロも用意してあった
夜10時を回った頃に康太と榊󠄀原と烈は家を出た
烈は「弥勒と神威乗せて下しゃい!!」と頼んだ
榊󠄀原は弥勒の家まで向かうと、車の音を聞き弥勒と神威が道場から出て来て、榊󠄀原の後部座席に乗り込んだ
弥勒は「身も縮む程に寒いよな、今日!」と弥勒にしては厚着だった
神威も上質なコートとマフラーをしていても
「本当に寒くて堪らんわ!」とボヤいた
榊󠄀原は車を走らせると、種明かしとばかりに
「烈が青龍の山の妖精に雪玉を創らせ、素戔鳴尊と建御雷神と鳳凰と閻魔と宇迦之御魂神に、その雪玉を人の世に送り出す手伝いをして貰ったそうですから、今夜は吹雪になる程に寒いんです」と伝えた
神威は「この寒さは烈の所為かよ!」とボヤきまくった
弥勒も「何で吹雪なのよ?」と身を縮めて問い掛けた
康太は堪えきれなくなり
「それはな大歳神、おめぇのマサカリ隠す為の目隠しの雪だって烈が言ってた
マサカリ持っていたら銃刀法違反になるから、吹雪かせて見えなくするんだってよ!
マサカリ持って許されるにょは金太郎だけだとも言ってたぜ!」と爆笑して伝えた
神威はたらーんとなり、弥勒は爆笑した
外はかなり雪が吹き荒んで視界は悪くなって来ていた
もっと吹き荒んだならホワイトアウトになりそうな程に真っ白だった
まぁ青龍の山は何時だって吹き荒さむ雪がしかない世界にいたから、榊󠄀原は雪の中でも視界は効いていた
鎌倉の狭い道を進み、昔隼人の妻の菜々子が入院していた病院の駐車場に車を停めると、車から降りた
皆も車から降りて更に奥の、九鬼の病院へと進む
……………九鬼の病院は康太達が来るのを予測していたのか?
病院の周りを患者に立たせていた
そこへ唐沢が自衛隊のジープに乗ってやって来た
烈は患者の足元におはじきサイズの石を幾つも投げ飛ばした
すると蒼白い光を放って、その石は患者らの足元に飛び散った
それを皮切りに大歳神は「雷神よ!仕事じゃ!」と大声で叫んだ
すると虎柄パンツ……ならぬ、めちゃくそ着込んで厚着した雷太鼓を背負った雷神が
「寒すぎやないか!」とボヤいた
たけど必死に太鼓を叩き雷を鳴らし始めた
ピカピカと閃光が走る
すると足元にバラ撒いたおはじきサイズの石も蒼白く光った
患者はバタバタ倒れて、自衛隊のジープが何台もやって来て、倒れた者を縛って積み込んだ
烈は足元にバラ撒いたおはじきサイズの石を磁石みたいな棒を取り出すと、引っ付けて半分患者の捕縛布の中に忍び込ませた
大歳神はマサカリを取り出すと、地底の根を操作して、呪文を唱えた
すると地底深くから根に包まれた人間が引き摺り出され
「唐沢、この者は佐々木蔵之介じゃよ!
烈の石で固定して即座にチップを取り出して洗脳を解除してやってくれ!」と頼んだ
唐沢は即座に部下に蔵之介を保護させ避難させると、神威はマサカリを放り投げた
すると病院は真っ二つになり地下から根が張り出して大暴れして………
唐沢は言葉を失った
病院の残骸を地下深くに崩壊させて跡形もなくして行く
地底深くに沈めて分子レベルまで解体して、地底と同化出来るモノは同化させ、同化出来ないモノは吐き出して行くから瓦礫の山も出来上がりつつあった
唐沢は神威に「神威さん、少し先のガードレールまで崩壊させてくれませんか?
そしたらこの大雪で凍った水道管が破裂して辺りを崩壊させたとか言って処理しますから!」と指示を出した
大歳神は「了解した!」と言い根を大暴れさせどんどん崩壊させて行った
九鬼が命からから抜け出して来ると
「これは強引な事をされますね!
弁償して貰わねばなりませんね!」と薄ら笑いを浮かべて血に濡れて言う
康太は「この雪で水道管が破裂して、辺りを巻き込んで崩壊したらしいからな、弁償する義務もねぇよ!」と吐き捨てた
烈は九鬼をロックオンすると呪文を唱えた
すると何処からかアイアンメイデンを呼び出した
逃げようとする九鬼の足に蔦が絡むと、蓋が開いたアイアンメイデンは九鬼を吸い込む様に飲み込み………蓋が閉まった
ぎゃゃゃゃゃゃゃ!!!!!と言う叫び声が響き
真っ黒な血が流れて静かになった
唐沢は「このアイアンメイデンは何処から出てきたのですか?」と問い掛けた
烈は「これはねイギリスの女王が、りゅーまに託してくれたモノにょのよ!
それをりゅーまがピンチの時は呼ぶんだぞ!烈!と、清らかな乙女の呪文を下賜されたにょを、送ってくれたにょよ!
今ピンチだから唱えたにょのよ!」と言った
唐沢は「これは返さないとなりませんか?」と問い質す
「貰っとけば良いにょよ、あ、でもボクには重いから……持って帰れにゃいのよ!」と慌てて言う
そう言う問題じゃないんだけど………
「ボクの部屋もね狭いから、これを置いたら寝れにゃいのよ!」
もぉ………わざと?じゃないのかと勘繰りたくなる程に………論点逸れてる気がする
唐沢は最下の者にアイアンメイデンごと九鬼を連れて行け!」と指示を出した!
大歳神は「この建物の地下に何人かは逃げられた
雷神、雷落とせよ!盛大な雷で丸焦げにしろ!」と言った
「何かさ雷神遣い荒くね?」
雷神はボヤく
「シーズンじゃねぇ時程力を入れろ!」と大歳神は雷神の尻を蹴り上げた
蔦を通して雷神は地下通路に雷を落とした
それは盛大な、腕に縒りをかけて雷を落とした
烈は「じぃさん、出口!」と叫んだ
そこには神威と同じ顔をした素戔鳴尊が立っていて、大歳神の蔓の上に飛び乗ると、地下通路へ向けて確認しに行った
そしてごっそりと捕獲した人間をポイッポイット放り投げて寄越すから、唐沢は部下に捕獲させた
配下の者が足りなくなり、車も人手も足らなくなり、唐沢は自衛隊に更なる応援を要請した
即座に来た自衛隊の隊員は、痺れて白目向いて口から泡を吹いている人間を縛って作動しない様にケースの中に入れて運ばせた
大歳神は「これで終わりか?」と聞くと康太は確認して「だな!」と答えるとマサカリをしまった
烈は雪玉を集めると雪だるまの形にして
「兵藤きゅんちと、飛鳥井の屋上にいきゅにょよ!」と言った
すると雪だるまは雪の中に消えた
雪玉がいなくなると、視界はクリアになりピキッピキッと凍て付く寒さがやっとなくなった
神威は「めちゃくそ寒い………」とボヤくと
康太は「飛鳥井に来いよ!熱燗作っといて貰うからさ!」と言った
九鬼の病院は更地になり、地底深くから吐き出された瓦礫だけが山になり、ぱっと見 最初からそこには建物なんか建ってなかった風になっていた
唐沢は「この土地どうします?真贋!」と問い掛けた
康太は「この土地、どうするよ?烈」と聞く
「貰えるにゃら貰おうかしら?」
「なら貰っとこう!
唐沢、烈が利用価値見出して再利用するからくれ!」
「解りました、ならば登記簿書き換えて貴方達に差し上げます!
私はまだ調査があるので、先に帰られて大丈夫です!
本当でしたら宗右衛門殿にクリストファー・オブライエンの話をお聞きしようと想ってましたが、また別の日に尋ねる事にします!」
烈はサコッシュから野球ボール位の石を取り出すと唐沢に渡した
受け取ると指先がビリッと痺れた
「保険ね、地面に叩き付けると雷がなるにょよ!」
「ありがとう、助かります!」
唐沢はそれを受け取り、スーツのポケットの中に入れた
神威は「雷神、仕事は終わった、どうする?飲むか?」と問い掛けた
「止めとく、雷の補充をせんとガス欠じゃわ!」
と言い雷神は雲に乗り還って行った
素戔鳴尊も「ならば儂も還るとするかのぉ!」と言い、烈を抱き締めてから姿を消した
康太と榊󠄀原は烈と神威と弥勒を乗せて飛鳥井の家に還って行った
その夜は客間にストーブを出して部屋を温めつつ、ストーブの上に乗せた鍋の中に徳利を入れて熱燗が作ってあったから、その暖かさに飲兵衛らは喜び舌鼓を打ち、飲んだくれの夜は更けて行った
翌朝、屋上に上がり花に水をやろうとした流生は屋上に昨夜までなかった雪だるまを見付け、自分の部屋に走りマフラーを手にして屋上に戻ると、雪だるまにマフラーを巻いた
流生は兄弟に大きな雪だるまがいるよ!と話すと兄弟は手袋やブランケットを手にして、雪だるまを着飾った
子供達は雪だるまに寒さも忘れて楽しんでいた
この日烈は菩提寺に行く為に暖かい服を着ていた
朝食を食べて応接間でテレビを見る
横浜と鎌倉は大雪で交通機関は乱れて事故が多発しているとアナウンサーは伝えていた
榊󠄀原が応接間にやって来ると
「屋上の雪だるまは残して置いて影響は出ないのですか?」と問い掛けた
「あれはね、妖精の雪玊だからね、一つにして固まれば溶けにくいけど、影響させるモノじゃにゃいのよ!」
「ならば屋上に置いておいてもピキッピキッと凍て付く訳じゃないのですね?」と安心して言った
「魔界に行った時にね実験してあるから大丈びにゃのよ
ボクねメロンジュース作りたかったにょね
でもって雪玉でシャーベット作りたかったにょよ
まだ程遠いにょね……デナスだもんね」
「でもイチゴはやり遂げたじゃないですか!
メロンも成し遂げられますよ!」
「ありがとう父しゃん」
「今日は菩提寺でしたよね?」
「うん、でも車無理かにゃ………」
「昼まで待ちなさい!
そしたら迎えに来ます!」
烈は頷いた、そして榊󠄀原に
「父しゃん………中々先へ進めてにゃいのね……
気付けば………何も変わってにゃいのよね………
そして今世は悪化してたにょのよ………」
「それは僕も康太も嫌と言う程に痛感しています
それでも今世は宗右衛門がいてくれるから、康太は心の支えとして頼りにしてるのです
歩む速度は遅くとも、変わらず君は前へ前へと逝くでしょう
康太も前へ逝くでしょうから二人で力を合わせれば、進めぬ道などないと僕は想っておます」
「父しゃん………」
「昨日寒かったから、風邪ひきましたか?
鼻水が凄いですね、帰りに久遠先生に診て貰いましょう!」
烈は頷いた
榊󠄀原はタクシーを呼び、清隆、瑛太、玲香、榊󠄀原とタクシーに乗り込み会社へと向かった
神威と弥勒もタクシーに乗り帰る事にした
事務所に帰る神威が弥勒を途中で降ろしてから事務所へ行く事にした
康太は応接間に来ると、ソファーにドサッと腰を下ろして
「蕪村、どうするよ?」と問い掛けた
宗右衛門は「蕪村は取り潰すしかあるまいて!
資産を整理して………蔵之介には死亡して貰うしかない現状しか出て来ぬのじゃよ!」と告げた
「なら蕪村が遣りかけの建築とかどうする?」
「蓮司に逢うしかにゃいのよ!
蓮司は横浜にょ国土交通省の建築整備局の指導員の一人にゃのよ、だから今後の事は是正勧告も出るだろうし、勝手には出来にゃいのよ!」
「なら蓮司に逢うか………飛鳥井も保養施設と道場は蕪村だったからな、損失出まくりで痛手だからな!」
「そーにゃのよ!本当に止めて欲しいにょね!
取れる算段着けても取れるかどうか?が現状だからね!」
「それよりも烈、あのブルームーンダイヤ、どうするよ?」
「あぁ、早く家から出さにゃぃと!
母しゃん、アレぜんちゃんの元妻に送り付けて欲しいにょのよ!」
「うし!なら紙袋に住所書き込んで郵便局へGOでええか?」
「そうね、早きゅしにゃいとこの家に災厄吐き出すにょよ!」
康太は慌てて部屋に紙袋を取りに行き、袋に直接住所を書き込んだ
発送人は善之助名前だけ書き込んだ
そして菩提寺に行く手前の郵便局に駆け込み出して来よう想っていた
昼近くになり榊󠄀原が飛鳥井の家に還って来て、お昼を食べてから菩提寺へ向けて車を走らせた
その頃になると雪も溶けて、普通の道路になっていた
途中、菩提寺近くの郵便局に寄り紙袋を発送して、滞り無く災厄を押し付けてから菩提寺へ向かった
菩提寺に到着すると烈は鞄を手にして車から降りた
榊󠄀原は多分ノートPCが入っているだろう鞄を持ってやると「父しゃんありがとう」と烈はお礼を言った
やはり少し鼻水が出てるのか?鼻の下が赤かった
帰りは久遠に診せねば、と考えていた
此処で寝込ませる訳にはいかないからだ!
菩提寺に到着すると城之内が「龍太郎、赤帯合格だって烈!」と報告した
「黒いにょは?」と烈は問い質した
「黒帯見事勝ち取り、次は赤帯に挑戦したい!と言ってる!
龍太郎は新年明けてから護身術と翼に合気道を習う事になっている!」
翼は蓋を開けてみれば、合気道の有段者だった
飛鳥井の道場を再開させたら、柔道、合気道、極真空手に分けて日替わりで教室を開くのも良いかも、それか2階を格闘技、3階を極真空手にするかな?と烈は考えていた
因みに極真空手の達人は飛鳥井の食堂にいる武藤と梓澤だ!
烈は武藤と梓澤に腕の怪我が治ったら習いたいと想っていたのだ
と考えつつも顔を緩め
「頑張ってりゅわね!」と嬉しそうに言う
城之内は顔を引き締めると
「俺も………社務所の人間を総入れ替えしたから、働きやすくやって助かってる
龍太郎、黒之助、環と龍星も手伝ってくれるし、夏海も下働きしてくれてるからな
水萌も楽になったって感謝しているよ!」
「来年から学校通うしね、頑張らにゃいとね、あの二人は!」
と呑気に世間話をしているようだが、めちゃくそ大変な事を話しているのだった
康太と榊󠄀原は夏海と雅龍に「次代の金龍を菩提寺に住み込みで住まわせ教育せねばならない!」と話をした
すると夏海は「それは私も雅龍も常日頃から感じていました………このままで良いのか?悩んでいたので、期間限定と言えど学べる環境に行けるのは有り難いです!」と言った
そんな夏海と次代の金龍、人の世の名を龍星(りゅうせい)と謂う
これを名付けたのは烈だった
そして天龍は環(たまき)と康太が名付けた
龍の星は巡り巡りって轍に還ると言う意味合いだと言った
それに伴い黒龍は仁(ひとし)と名付けた
流石と赤帯取ったら剣道、護身術、防御に特化した剣術を学びに行く事が決まっているから黒之助は不味いと榊󠄀原が着けたのだった
保養施設に出向きその日は城之内や水萌、竜之介と龍太郎と仁を集めて社務所で働かせる者の最終選考に入った
人格が違う3人は弾いて他の選考者を吟味して来年念頭から働いて貰える様に話を決めるつもりだった
康太は「レイが視て大丈夫そうなのを選出してるから大丈夫だと想う!」と言うと城之内達は履歴書 経歴書を手に取り話し合い出した
烈はサコッシュの中から釘みたいなのを四本取り出すと榊󠄀原に渡して
「菩提寺の四方に打ち付けて下しゃい!
これは雷石を細工して作った釘でしゅ!
取り敢えず檀家に紛れて入り込むのを警戒しにゃいとね!」
と言うと榊󠄀原は釘を受け取り「ハンマー有りますか?」と問い掛けた
竜之介が「ハンマーはありますが、力仕事は龍太郎さんに任せて伊織と康太は指示をお願いします!」と言い二人を連れて出て行った
水萌は烈のお鼻を優しく拭いてやると
「熱とかはないのか?」と問い掛けた
「昨日ね雪降ったから嬉しくてね
飛び回っていたからにゃのよ!」と言った
水萌は「辛かったら言うのじゃぞ!」と言い書類に目を通していた
烈は「ぜんちゃん どう?」も問い掛けた
城之内は「元気にお勤めに励まれている!」と伝えた
「庶民の暮らし知らにゃい生活して来た人だから、優しく教えてあげてね!」
「承知した!覚えは良いから大丈夫であろうて!」と話をしていると、康太達が戻って来た
康太は「あれは電磁結界かよ?ひょっとして兄者の雷の呪文を施してあるのかよ?」と鋭い突っ込みをして来た
烈は「そーにゃのよ!仕上げはして貰ったにょよ!電磁結界(ライデーン)は閻魔だけの特権だからね、凄いにょよ!まずはね雷の性質がね、違うにょよ!…………」と雷に関する蘊蓄が始まり、榊󠄀原は「烈、合否城之内達に出させましたか?」と遮り問い質した
「試用期間だから7人纏めて入れて、駄目なら雇用期限が来たら切る、それで構わにゃいのよ!
そして試用期間は6ヶ月、その間は時給制ににゃり最低賃金扱いでどうかしら?」
烈が言うと城之内と竜之介は頷いた
城之内は「ならば、それで構わない、では7人に試用期間の通知を頼みます!」と言った
康太は「解った、ならばその7人に試用期間の通知を出しておく事にする!」と告げた
やっとまた一つ片付けられて康太はホッと安堵の息を吐いた
榊󠄀原は「ならばこの7人の試用期間通知は翼に処理させておきます!」と告げた
宗右衛門は「この7人は1月5日の御用始まりから試用期間をスタートさせる故、年始の一族詣では………皆で乗り切ってくれ!」と言った
竜之介は「楽勝ですよ、使えなくて偉そうなのいないだけで空気も澄み渡るってもんです!」と言った
どんだけ足引っ張っていたのよ一族の者……
康太は「当分は龍太郎と仁は本殿で寝起きさせろ!烈がクビにされた腹いせはやっぱ放火かしら?と言ってたからな!」と告げた
城之内は「ならば警戒しておく!」と返した
話は着いたから康太と榊󠄀原と烈は飛鳥井の家に還って行った
保険証を手にすると榊󠄀原は烈と幼稚舎から帰って来たレイを連れて久遠の所へ出向いた
応接間を出る時康太は「オレは唐沢に連絡取っておく事にするわ!」と言った
久遠の病院に烈とレイを連れて行くと、久遠は医師の指導をかなり厳しくしていた
榊󠄀原を見ると近寄って来て
「今度は烈も熱あるのか?」と問い掛けた
「昨日、少し用があって外にいたのです
寒かったからか今朝は鼻水を垂らしているのです!」
久遠は診察をして、ついでに怪我の状態も確かめた
ほぼ怪我は治りつつあった
久遠は「今は本当に風邪が流行ってるから気を付けてやってくれ!」と言い処方箋を出した
それを受け取り榊󠄀原は烈とレイを先に家に帰して、薬を取りに向かった
烈とレイは応接間に顔を出すと、応接間には唐沢が来ていた
烈とレイがソファーに座ると唐沢は
「ではクリストファー・オブライエン氏の話をお聞かせ下さい!」と問い質した
「クリスはね、ヘンリーの父さんにゃのよ!」
唐沢はヘンリーの父さん???と聞き、サッパリ解らなくなった
仕方なく宗右衛門を出して
「我等は【R&R】だから、メンバーの中にクリストファー・オブライエンの御子息がいるのじゃよ!」と答えた
「【R&R】?そう謂えばご子息がメンバーにいると大分前に記者会見でそんな事を言っていたね
君は………そんなに小さいのに【R&R】に関わっているの?」
「儂か?儂はリーダーをしておる!」
「………!!!!」
やっぱ康太の息子だよな、そう来ちゃうのね…………
「メンバーの名前をお聞かせ下さい!」
「それは嫌じゃよ!何の目的で【R&R】のメンバーの話や、クリスの事を聞いて来ているのか?
そんな事も明かさずに話してやる義理など儂にはない!」
とキッパリ吐き捨てた
「この前、クリストファー・オブライエン氏は極秘で倭の国にいらしてましたよね?」
烈は首を傾げて
「え???来てにょ?
ボクは逢ってにゃいから知らにゃいのよ!」と言った
烈がそう言うと康太は
「嘘じゃねぇぞ、それは……だってオブライエン氏に烈に逢ってはいねぇからな、知らせてねぇんだよ!」と告げた
「ならば、何をしに来られたのですか?」
「烈を見に来ていたんだよ
何日も何日も烈の機能回復訓練を見て涙して、烈には逢わずにイギリスへと帰国して行った」
「何故お聞きしたかと申しますと、オブライエン家は極秘で来ちゃいかん身分なんですよ
そんな彼がもし暗殺でもされたら………それはもぉ国際問題になっちゃうので、事情を知ってそうな宗右衛門殿に聞きに来たのですよ!
本当に万が一、倭の国で暗殺でもされてみようモノならば、こんなちっさい国潰すのなんて意図も簡単な事なのです!
だから此方も事情をお聞きして、国際問題の軋轢を無くす為に動いているのです!
どうか御容赦を!宗右衛門殿!」
と唐沢は宗右衛門に深々と頭を下げた
宗右衛門はそこまで聞きやっと話をした
「三木竜馬と謂う男が仲間を集めて作ったのが【R&R】と謂うパフォーマンス集団なのじゃよ!メンバーの中にはヘンリー・オブライエン
そして裏方のオリヴァー・オブライエンが名を連ねている!
じゃがそれだけではない、トンプソンを1代で築き上げたデービッド・トンプソン
フレディ・ホワイト イーサン・オルディスと謂う世界的に名を上げた建築家
ダニエル・ジョーンズは金融の神とまで謂わせた金融屋じゃ!
サムエル・ウォーカーはイギリスでは有名な経営のプロじゃ!
そして三木竜馬は将来政治家になる三木繁雄の長男じゃよ!
それが【R&R】のメンバー総てじゃ!」
名だたる人物を記憶のメモに書き記し、唐沢は
「どの方も来日した暁には護衛をせねばならぬ存在ではないですか!
良くもまぁ来日した形跡さえ辿らせずにいられましたね!」
「我等は目立つ事を極端に嫌う!
我等は静かな生活の上で過ごす事を望んでいる
じゃから護衛なんて着けられたら、二度と倭の国には来ぬじゃろうて!
我等はパフォーマンスをしている時ですら、その姿は解らぬ様に変装して念には念を入れておる
じゃからな、余計な事はするな!
彼等はそれぞれ護衛は着いている
じゃが自分の視界にそれは入れたくないから、影から守らせている!
其れ程にガード下で飲めなくなる事も、マックで買い食いする自由さも失う事はしたくないのじゃよ!護衛など着いたら息抜きも出来ぬ!
一度飛鳥井が発信源で【R&R】の居場所が漏れて騒がれて本当に辟易しておるからな!」
「ヘンリーとオリヴァー兄弟にも………護衛は着いているのですか?」
「じゃろ?でなくば誘拐などされみろ!
国を上げての闘いとなるじゃろうから、影から護衛はしておるじゃろ!
彼の国は未だに聖女は健在!
予言の乙女も健在しておるからな!
受け継がれ護られるべき存在の危機感知をする
予言が告げられたら即座に護衛は我等を避難させ警戒態勢を取る!
そんな忖度を倭の国は向こうの国と密約しておるそうではないか!
ならば唐沢、主が動く余地などないと申そう!」
本当に食えない輩である
「ならばクリストファー・オブライエン氏が宣戦布告した我が子が絶対の信頼をして家族の様に想っている【R&R】のリーダーは烈さんで間違いない、と謂う事ですね!」
烈は「多分………」と言った
「ならばお伝え致します!
クリストファー・オブライエン氏が妻の権力を遣い倭の国へ【R&R】のリーダーを守れ!と政府に電信を送って来たそうです!
貴方は今狙われている、そう言う事なんですね?」
「そうね、もぉね、ニ年前から何度も死ぬ目にはあっているにょよね、だから今更にゃのよ!」
烈がボヤくと康太は唐沢に
「烈の報告書を目に通して、此処に来てるんだろ?唐沢?
ならば烈が初等科に入学してこの2年
死ぬ目に何度もあって、学校を半分も行けない事位知ってるんだろ?」と問い質した
「知っております、報告書に目を通しただけでも、信じられない怪我の数々、そして何度もICUに入っている程大変な想いをされて来た事!
総て目を通してやって来ています!
なので何故俺が派遣されたかを、これから詳しく話します
政府はクリストファー・オブライエン氏を視野に入れて、我等を動かしたのです
オブライエン氏は妻が狙われたから、烈君が危ないと政治的圧力を掛けて来ました
そして同時に、閣下から烈君と直ちに連絡を取り護衛を、と申されたのです
イギリスの皇室の予言の乙女から飛鳥井烈を護らねば星が滅ぶ、との密書を目にして
我等内閣調査室に同時に同じ人間を護れと指示が入る事は滅多とない
そしてトドメは、ヨーロッパ諸国を守護神オーディーンから、兎に角ちっこいの護りやがれ!
と、大天使を引き連れて圧力が来ているです
それら総てが【飛鳥井 烈】君を名指して来ているのです!」
一度に各方面から【飛鳥井 烈】を護れ!
との知らせが届いていると言う事なのか…………
康太は頭痛を覚えた
唐沢は「なので我等は直ちに事実関係を調査に来たのです
オブライエン氏は烈君がリーダーを務める【R&R】関係と言う事で納得は出来ました
ならばイギリス王室は?
オーディーンと大天使は?
何故名指しで護れ!と来るのか?
そこが見えて来ないのでらお話戴けたら、と想っています!」と頭を下げて頼んだ
烈は「それボク、解らにゃいのよ!」と答えた
康太は仕方なく口を開いた
「オーディーンと大天使ガブリエルはニブルヘイム関係だと想う
イギリス王室は女王が予言の乙女が告げたから、ってのもあるしオブライエン家は女王の妹と結婚しているってのもあるから【家族】と認定した者はとことん護り通す
それがイギリス王室のプライドでもあるんだよ!」
唐沢は「ニブルヘイム?それはゲームの中に出て来るキャラとかですか?」と問い質した
「創世記の5柱の中の一柱でも在る存在だよ!
冥府の地下深くに棲息して闇を循環してきた、謂わばこの地球(ほし)の闇を地球(ほし)が出来た時から循環させ担っていた神だよ!」
唐沢はギョッとして「何でそんな神の話が?」と唖然と呟いた
「それはな、転生を果たされ人の世に誕生されたからだよ!」
「人?人に転生されたと言うのですか?」
「あぁ、そしてニブルヘイムは烈の為だけに転生を果たして傍へと来られた存在だからな
ニブルヘイムにダメージを与えられないならば、と烈は狙われ続けて来たんだよ
で、そのニブルヘイムは烈の横にいる、ちっこいのだ!」
唐沢は想わず烈の横に大人しく座っているちっこいのを見た
ちっこいのはティッシュを手にすると、烈のお鼻を拭いて上げていた
「れちゅ……」
「大丈びよ!レイたん」
仲の良い兄弟に見える………
唐沢は「ニブルヘイム………」と呟いた
するとレイの冷たい瞳が唐沢に向けられた
烈が慌ててレイの顔を無理やり自分に向けた
ちっこいのは烈を向いたまま
「烈に手を出すならば……私はこの星と差し違えで滅ぼすしかなさそうですね………」と物騒な台詞を大人の声で喋った
康太は仕方なく二人の出会いと二人の絆と結びつきを話した
唐沢は何が何やら………信じられない想いで一杯だった
だが気を取り直して
「やはり烈君がキーワードになると言うのは本当の様だね!
此れより閣下に逢っては下さらぬか?
あぁそうだ、閣下は烈君に逢うのがとても楽しみだと申されていた
我が国の守護神が一柱 毘沙門天がご友人のご子息なんだとか………と謂う事は昨夜根っこを操っておられた方が大歳神とお見受けしました
彼のご子息だと言う事ですか?」と問い掛けた
榊󠄀原は「大歳神の父親が素戔鳴尊です
昨夜捕物の時に神威と酷似した存在を目にしましたよね?
彼が素戔鳴尊、そして倅が大歳神、聖神は素戔鳴尊の孫となります!」と説明した
「物凄い肩書持ってらっしゃるのですね……」
「え、母しゃんは閻魔の弟にゃのよ?
父しゃんは四神が一柱であられるにょよ?
ボクはそこら辺の聖神よ?」
いやいや…………凄いってば………
もう言うのは止めとこう…………
「一度閣下にお逢い下さい!」
「今 寝る間もにゃい程忙しいにょね
りゅーま帰って来にゃいし………兵藤きゅんもにゃいし………母しゃんどうしようかしら?」
「ならば明日の朝イチで逢ったらどうよ?
蕪村の今後もオレ等の範疇超えてるからな
国として何処で支援して貰えるのかも聞いてでしな、行くしかねぇべ?」
「そーね、蕪村………ボクの個人資産掛けてのプロジェクトを頓挫させにょよ!
あ〜腹立つにょよ!クソクソクソ!」
と烈は地団駄を踏んだ
榊󠄀原はたらーんとなった
まるで魔女の討伐を失敗した時の康太の再来ではないか………
榊󠄀原は烈を抱き締め
「君が興奮するとレイが報復に走りますよ?」と何とか宥めた
烈は「ぎょめん……父しゃん」と謝罪した
榊󠄀原は「蕪村の所為で億単位の損失を宗右衛門がしてしまうのです
なので救済策を考え出して貰わねばなりません!
そして唐沢さん、佐々木蔵之介は昨夜の水道管爆破に巻き込まれて死したと流して下さい!
そして彼に新しい戸籍をお願いします
彼は罪もないのに上間に食い尽くされ、教団に駒のようにされた…………なので出来るだけ再起の道は遺しておいてあげて下さい!」と言った
唐沢は「出来るだけの事はします!
救済策の方は国を上げて被害者を救うべく動きたいと想います!
そして蕪村が関わったビルを調べて対策を考えます!そして佐々木蔵之介の死亡は今夜にでも流します!病院に運ばれたけど意識が戻らず亡くなった、それにより経済状況が発覚した
と、上間がお金を持ち逃げしたと流します
で、相談なんですが、上間と蔵之介さんを結ぶ何か証拠はありませんか?」と提案を口にした
宗右衛門は「蔵之介のマンション、暴漢が押し入る少し前に部屋を調べたらザクザク出るわ出るわ!のツーショット写真からハメ撮り写真まで入手済みじゃよ、でなくば押し入って直ぐに逮捕など出来ぬであろうて!
我等は【R&R】であるからな!
出来ぬ事はないのじゃよ!」と嗤った
唐沢はそこで初めて「【R&R】ビルのオーナーですか?」と問い掛けた
「儂と相棒とで【R&R】じゃからな!オーナーの片割れじゃよ!」
子供だと甘く見たら確実に次の瞬間息の根を止められるだろう………
「では、その証拠をお見せ下さい!」
「それは神威に申し込めば、話に乗ってくれるだろうし、証拠も貸し出してはくれるだろうから神威に言われよ!」
「了解しました!では明日の朝、7時ピッタリにお迎えを寄越しますのでお願い致します!」
唐沢はそう深々と頭を下げ頼み込み帰って行った
唐沢を見送って「にゃんで………どんどんデカくにゃるの?」とボヤいた
レイは目を輝かせ「とめてくりゅる?」と問い掛けた
烈は「レイたん、明日の朝はドライブよ、そしたらばぁたんの予定を聞いて散歩に行く日決めにゃいとね!」と言った
レイは「やったー、れい うれちぃ」と喜んだ
烈は「夕飯を食べたらボク寝るね!」と言った
その日 烈とレイは夕御飯を食べて薬を飲むとパジャマに着替えて早々に寝た
朝早く、烈は起きて歯を磨き顔を洗ってパジャマを脱いで支度した
着替えを洗濯ネットに入れて洗濯機の前のランドリーケースに入れると掃除を始めた
せっせと掃除して、虎之助のトイレの砂も変えてやる
そしてレイの部屋を見に行くと、レイも着替えて着替えを洗濯ネットに入れた
2階の洗濯機は最近大きいのに買い替えた
最初は北斗と和希と和真と永遠だけだから、手頃な洗濯機を置いていたが、ちっこいのも増えて来たから、一番大きいのに買い替えたのだ
北斗がちっこいの世話を焼き、洗濯ネットを持って来るとドラム洗濯機の蓋を開けて、その中に入れて貰う
凛と椋もレイも兄達同様に自分の部屋の掃除と洗濯はやる事になっていた
まだちっこいから北斗達の手を借りてだが、やっていた
ちっこいの用に軽くて小さい掃除機を買った
ちっこいのはそれで部屋に掃除機を掛けていた
そしてフローリングモップを掛けて行く
それが日課になっていた
ちっこいのはおねしょを警戒しておねしょシーツを敷いていた
最近トレパンマンを卒業したから、おねしょシーツを敷くようにしたのだった
レイもせっせと洗濯を干して行く
烈に教えて貰いパンッパンッと洗濯物をはたいてから干すんだよ、と教えられた様に干していた
干した洗濯物は洗濯室に干して貰う
乾いたらレイの名前が書いたカゴに洗濯物を入れて帰って来たら畳む
レイはまだちっこいから上手くは畳めなかった
それを烈は手伝って凛と椋の分も協力し合って畳んで行くのだった
凛はガサツだが洗濯物を畳むのは上手かった
これが前世の経験値かと想いきや、椋はレイ同様に上手くは畳めなかった
聞けば前世は乾いたらハンガーから直接取って来てたから畳んだ記憶ない、と言ってた
そんなこんなで毎日大変だけど、何とか頑張っていた
本当に飛鳥井の朝は毎日が戦場だった
烈はレイの支度が終わると朝を食べて応接間に向かった
応接間には康太と榊󠄀原が既に来ていた
慎一が烈とレイのクローゼットからマフラーを持って来ると「外に出る時はマフラーをするんですよ!」と念を押した
そしてマフラーを巻くと、榊󠄀原がレイのマフラーを巻いてやった
そして外に出るとリムジンがお迎えに来た
助手席のドアが開くと黒いスーツを着た男が姿を現し深々と頭を下げた
そして姿勢を正すと後部座席のドアを開けた
康太が乗り込むと烈が乗り込み、榊󠄀原はレイを持ち上げて乗せると自分も乗り込んだ
男はドアを閉めると助手席に乗り込み車は走り出した
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