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第40話 現状 ❶
康太と榊󠄀原は烈とレイと共にリムジンに乗り込み閣下の下へと向かった
閣下の御用で来たリムジンだから止められる事無く、裏皇居へと来る事が出来た
レイは珍しく窓の外を眺めていた
そしてニブルヘイムの声で
「悪意はそこまで迫って来てますね
直ちに手を打たないと東京五芒星の結界を食い破られる日も近いですよ!」と告げた
康太も外を見ていて「だな、近い内に特異点の強化する様に伝えるしかねぇわな!
丁度行くんだし、その時に言うしかねぇべ!」と口にする
烈は「そーね、丁度行くんだもんね!」と嗤った
レイは「そーね、れちゅのおきゃね、せいちゅーしにゃきゃ!」とふんふん鼻息荒く言う
康太と「丁度行くんだもんな!」と乗り気だった
正面玄関にリムジンが停まると、お出迎えかやって来て「ようこそお越し下さり有難う御座います!」と告げて奥へと案内した
長い廊下を案内されて通される
そこで武器とか隠してないかチェックを受けて貴賓室へ通された
閣下はソファーに座り康太達を待っていた
閣下は康太達を目にすると
「お呼び立てして申し訳なかったですね!」と声を掛けた
そしてどう言う訳か、ソファーには毘沙門天も座っていた
「よぉ康太、お疲れか?」と毘沙門天は声を掛ける
康太はソファーに座り「あんでおめぇがいるんだよ?」と問い掛けた
「閣下が素戔鳴尊のお子は宇迦之御魂神だけじゃねぇのか?と聞いて来たから教えていたんだよ!
大歳神と謂うコピー級に良く似たのがいるって!
そしてその倅が聖神って、ちっこいヤツで人の世の名は飛鳥井烈って言うんだよ、と教えるとな今各方面から警護要請が出されてる子ですね、と謂われたから、どんな子が教えていたんだよ!」
レイは目を据えて「とてもやちゃちぃーこ、いったにょ?」と毘沙門天に問い掛けた
毘沙門天はレイを抱き上げて
「おー!とても頑固で一筋縄でいかなくて、大歳神は昔は素直な子じゃったんじゃ!と嘆いてるって話をしたんだよ!」と言うとレイは毘沙門天の顔をペシペシ叩いた
「れちゅ いいこ!」
「それも伝えてたって!」
そう言うとレイは毘沙門天の顔を撫でた
毘沙門天はレイを抱き上げたまま閣下に向き直ると「この子がニブルヘイムの転生者です!」と伝えた
閣下は「今幾つなのですか?」と問い掛けた
レイは指で4を出した
すると烈が指を一本折って「年が明けたらでしょ?」とサバ読むなと直した
康太は「今飛鳥井は竜胆の転生者や源右衛門を継ぐ転生者が誕生しています
レイはオレを継ぐべく転生した者なのですよ
なので皆4歳になりましたが、レイは一番生まれたのが遅いので………サバ読んだのでしょう!」と言った
閣下は笑ってレイに手を差し出した
毘沙門天はレイを閣下の前に置いた
閣下はレイの頭を撫でた
そして康太を見て「ラスボス級の存在にとってニブルヘイムはどんな脅威なのですか?」と問い掛けた
「創世記以降の人の手により誕生した神々の中でもアイツの存在は本当に厄介でニブルヘイムはオレと対になる力を更にグレードアップして転生させられたのです
ニブルヘイムは闇を浄化していた神だけあって、闇を見抜く力は半端なく、誰も消化できぬ闇だとてニブルヘイムならば昇華してしまうでしょう
矢面に闘うのはオレだが、それはあくまでも裏で支えてくれるニブルヘイムがいればこそ!
そのニブルヘイムは誰の言葉も聞きやしません
烈、嫌、聖神の為だけに転生して来たので、アイツは烈を狙い着け回しているんですよ
それで烈は何度も何度も死にかけて来たんです」
「その話は唐沢から聞いたよ
烈君を保護対象とし全面的にその身を守らせて貰うよ!良いかい?」
「それは構わにゃいのよ
それよりね、あの教団が巫山戯た事したからね、ボクね大損失にゃのよ!」
「それは唐沢から聞いております!
この件でかなりの人間が損失を抱えると想います
どうしたら宜しいですか?」
閣下が問い掛けると宗右衛門は
「蕪村が関わった建物の見直しをせねばならぬ
佐々木蔵之介が上間に食い尽くされた頃からの建物の耐震基準を見直しせねばならぬ!
宗右衛門肝入の菩提寺の保養施設、道場は蕪村が関わった………保養施設の耐震基準も見直さねばならぬし、古材で埋め合わせされた道場は壊すしかあるまいて!
こんな状況がこれからゴロゴロ出て来る!
なので佐々木蔵之介は昨夜水道管爆発に遭い、即死と発表される事を願う!
そして経団連会長も妻を秘書に略奪され、会社を食い潰された件も捨ててはおけぬから、力を貸して欲しいのじゃよ!」と今抱えている問題を口にした
レイは「れちゅにょおかね、にゃいにょよ!」と訴えた
閣下はレイの頭を撫でて
「では建築物監督所を動かして耐震基準を図らせます!
そして佐々木蔵之介氏は死亡した事に致します!
蕪村の土地家屋を国が差し押さえて、被害者に還元させ足りない分に関しては補助金対象とさせる様に総理に提言して議題にあげて貰います!
本当ならば我等国が率先して教団の件を何とかせねばならぬのですが、後手後手で申し訳ない
詫びとまでは行きませんが、国の保有していた廃校跡地を差し上げます!
少しだけ心霊スポットになってますが……それは貴方達ならば大丈夫でしょう!
そこにオブライエン氏が希望している建物を建てられたらどうですか?」と最大限の譲歩を口にした
烈は喜び「レイたん!」と謂うとレイは「れちゅ!」と喜んで飛び跳ねていた
康太は「んな出血大サービして良いのかよ?」と問い掛けた
「構いませんよ、今生徒は少なくなって統合統合と規模を縮小しているので、マンモス校としての使い道はなくなって来ているのです
横浜のマンモス校も廃業して買い手も付かずに放置されて、何度も防御策を着けても開けられて侵入されているので、差し上げますから直ちに建築に入って下さい!
立地も悪くないのでオブライエン氏が希望するビルになる筈です
我が国としてもオブライエン氏とは良い関係を築きたいので、警備しやすく動きやすい土地を提供した方が今後の為にもなりますから!」
それなら、ご厚意に預かり貰おうと康太は想った
閣下は「正式な譲渡の書類は堂嶋に持たせます!
そして蕪村の件は国会がこれから審議をして対策を打ち出してくれると想うので待ってて下さい!」と言った
烈とレイは深々と頭を下げ「「ありがとうございます」」と言った
そして顔を上げると嗤って
「儂は近々記者会見を開く!
あの増渕の嫌がらせで病院と菩提寺は壊滅寸前となった、ここいらで潰しとかねば呪詛でも吐きかけられるやも知れぬ!
そして頼みが有り申す、国が正式に白の聖教団やら白の教団やら聖教会だのの宗教を隠れ蓑にして人を洗脳して資産を奪い、最低な事をしていると大々的に発表して下さらぬか?
それでなくば………蛆の様に次から次へと湧いて来て暗殺者を送り込む…………本当白日の下に晒すをして下され!」と頼んだ
「解っています、イギリスもアメリカも他国も一斉に発信する事が決まりました
なので近々総てを白日の下に晒す事に致します!」
「ならば……閣下、これを肌見離さず持っている事をお勧め致す!」と言い唐沢にあげた様な球体を閣下に渡した
閣下は受け取り、指先がピリッとするのを感じて
「これは?」と問い掛けた
「この地球(ほし)に安全な場所などは皆無に等しい状況である以上、此方も防御策を打ち出さねばならぬ!
なので洗脳された者や頭にチップとかなら、これを床に投げ付ければ、雷が瞬時に流れて動きを止めるであろう!
その間に逃げる時間を作れると想うので非常時にはお使い下さい!
常に持っている事をお勧め致す!」
閣下はだから指先がピリッとしたのか、と納得した
「有難う、常に持っている事にします!」と約束した
康太は「閣下は井の頭公園に霊が吹き溜まりになってる件は御存知ですが?
我等は鷹司から依頼が有りましたから、直ちに見に行き調べる所存です!」と切り出した
「伺っています、東京五芒星を食い破らん勢いだとか?貴方達が井の頭公園へ行かれるならば、唐沢を動かし正常化させて下さい!」
レイがニブルヘイムだと言う話も、蕪村関係の話も、井の頭公園の話も、全部話し終えると康太は
「なら井の頭公園へ行く時は唐沢に連絡して事にするわ!」と言った
「宜しく頼みます!
烈君、どんな妨害も我等は君とレイ君を護ると約束するよ!」
閣下の言葉に烈とレイは深々と頭を下げた
康太と榊󠄀原と立ち上がって深々と頭を下げた
話が終わると康太と榊󠄀原は烈とレイはリムジンに乗り込み再び送り届けて貰う為に裏皇居を後にした
飛鳥井に送り届けて貰うと昼過ぎで、烈は遅めのお昼を食べて応接間に行きノートPCを出して改めてスケジュールを立て始めた
その合間に真矢に「ばぁたん 今度井の頭公園へお弁当を持って散歩に行きましぇんか?」とラインした
何時行くか?
記者会見は何時入れるか?
飛鳥井の門扉とドアを壊した会社の差し押さえした土地
九鬼の病院の跡地
善之助の家の跡地
善之助の会社を作るなら?どの土地にするか?
蔵之介を再び再生して生かす土地は……等を考える項目に打ち込み導く様にする
菩提寺、保養施設、道場、寮建設、それらが頓挫した今、どうすべきか?
考える事は多々とある
導かねばならぬ事も多々とある
それを順序付けして片付けねば……オジャンになる
【R&R】のイベントをしてリフォームもせねばならない
烈は夢中になってPCのキーボードを叩いていた
レイはその横で大人しく座っていた
静まり返った部屋にキーボードを叩く音しか聞こえなかった
その静けさを「んなに根詰めると倒れるぞ!」と言う声が響き烈は顔を上げた
するとそこには兵藤貴史と三木竜馬が立っていた
烈は兵藤が帰国してくれて安堵の息を吐いた
「兵藤きゅん………」
「康太からと正義から詳細は聞いている
それよりも予言の乙女がお前の護衛の強化を口にされイギリスは全面的にお前を護ると打ち出していた、なんたってクリストファー・オブライエンの【家族】と内枠に入れて働きかけている
で、俺等も記者会見開かねぇといけねぇからな帰国して来たんだよ!」
「護衛はね、どうでもいいにょよ
蔵ちゃんにした仕打ちは許せにゃいのよ、ボク
ぜんちゃんも軌道修正かけにゃいとだからね
近々大々的に打って出るにょよ!」
兵藤はレイを抱き上げて烈の横に座ると
「風邪気味なんだろ?
んなに頑張らなくても大丈夫だ!
俺も竜馬もサポートに入る
まぁ井の頭公園は俺は近寄れねぇけどな!」と笑った
竜馬は烈を抱き締めて「ただいま烈」と言った
「りゅーま……」
「記者会見はさ、俺と貴史とで何時でも開ける準備はしてあるんだよ!
何時やる?それを決めて軌道に乗せろよ!烈!」
「そーね、記者会見は病院のリニューアル前にしなきゃだから今週中にはやらにゃいとね!」
「了解、久遠先生はどうするのさ?」
それに答えのは何時の間に来たのか?康太だった
「病院の方は神威が院長代理で出す方が今後の事を考えたら、スムーズに行くと想う
記者会見の場に出された院長ってイメージ悪いからな!」と助言した
竜馬は「なら神威さんと連絡を取り、今週中に記者会見を開きます!
菩提寺はまた別の日にしますか?」と問い掛けた
「だな、病院と寺が同時は、な
菩提寺の方は記者会見って言うより、増渕の妨害で病院と菩提寺が壊滅的被害にあった、その線で頼むわ!あ、オレあの病院のオーナーやんか
ならばオレも出ねぇと不味いかな?」
康太が言うと烈が「そうね、母しゃんがオーナーだからね、出て貰わにゃいと駄目かしら?」と言った
「神威と貴史とオレで記者会見やるしかねぇな
烈、お前はどうするよ?」
「ボクは出にゃい方がスムーズに行くと想うにょよ………ボクは裏方で特別なゲートを凛太郎と作るからね!」
「なら記者会見を今週末に入れるとするか?
貴史はそれで大丈夫か?」
「おー!ならば俺は飛鳥井宗右衛門の代理で出る事にするわ!」
と兵藤は言った
康太は「なら竜馬はどうするのよ?」と問い掛けた
「りゅーまはね、母しゃんの後ろに立たせておいて下しゃい!」
「了解、なら進行役は?」
「翼に、やらせるにょよ!」
「大丈夫なのか?」
康太は心配した、元が氷室灰音だから………
「今の翼は借り物じゃにゃい姿になったから、誰も解らにゃいのよ!」
ならば、了解するしかなかった
「なら此れから打ち合わせしてサクサク片付けるべ!烈、翼呼べよ!」
「にゃら場を保養施設に移すにょよ!」
「うし!沢山ウィダインゼリーやカニパン買ってやるからな!」
康太はそう言うと立ち上がって応接間を出て行った
烈と竜馬も立ち上がると、兵藤はレイを持ち上げて抱っこした
そのまま地下に降りて駐車場へと出ると、ぶっ壊れた竜馬の新しい車が納車されていたから、康太はその車の前に立った
HONDAのフリードのキーを竜馬に渡すと
「運転して行けって事ですか?」と問い掛けた
「違げぇよ!この前ぶっ壊した車の変わりだよ!
この前の車はエンジン潰されて廃車になったからな、相手に賠償して貰ったんだよ
で、慰謝料込みで弁償して貰ったからな竜馬の車なんだよ!」と言った
竜馬は「良くこんな良い車に変貌しましたね!」と想わず呟いた
康太は笑って「神威の事務所の新しく入ったヤツが事故関係はやり手でな、処理に当たらせたら慰謝料と治療費と上乗せして弁償してくれたんだよ!だから警察に突き出す事はせずに示談にしたって事で納車されたばかりだよ!」と言った
それはあくまでも建前
本音はさっさと片付けてしまわないと、自分に飛び火が来たら大変だと示談を急いだのだろう!
康太は鍵を渡したんだから早く乗せろ!とばかりに竜馬に「早く開けろよ!」と言った
竜馬はロックを解除すると康太は兵藤とレイとで後部座席に乗り込んだ
竜馬は烈を助手席に乗せると運転席に乗り込むとエンジンを掛けた
シャッターを開けて駐車場から出て車を走らせてた
コンビニを何軒か梯子して買い物をしてから菩提寺へ向けて車を走らせた
駐車場に車を停めると城之内が待ち構えていて
「今、国土交通省の人が来てて、保養施設と道場の方を見られているんだよ!」と言った
康太と兵藤は早足で保養施設へと向かった
竜馬はコンビニで買った袋を持つと、烈とレイを車から下ろしてロックして、後を追った
保養施設へと向かうと康太が国土交通省の役人と話していた
国土交通省の役人は康太に名刺を渡した
役人は「近々耐震基準を測りに参ります!
測りに来る時は事前に連絡を入れるので対応をお願い致します!」と申し出た
「耐震基準に沿ってなかったら取り壊しか
その取り壊し、建て替え、補助金出るのかよ?」
「それは今後国が打ち出すと想いますのでお待ち下さい!我等は蕪村が手掛けた建物の基準値を測りに行く前にご挨拶をしているので、全て出しますよ、的な事は申し上げられません!
ですが国土交通省としては今後は被害者の救済策を、と考え国会へ法案を提出しています!」
お役所的な会話に康太は会話する事さえ嫌になって切り上げた
「蕪村が手掛けていた建物は、この保養施設と道場で間違いはありませんか?」
「間違いありません!」
「ならば近い内に基準値を測る為、国土交通省の者と業者を越させますので!」と言い役人は還って行った
烈は「取り壊しかぁ………」とボヤいた
手痛い失費となるのは間違いなかった
烈は国崎健人にラインして「一度飛鳥井の菩提寺の傍にある保養施設の耐震基準を測りに来てくれにゃいかしら?」と送信した
そして携帯をサコッシュにしまい、保養施設の中へと入って行った
竜馬はテーブルの上に袋の中に入ってた商品を出して置いた
取り壊しは簡単だが、廃材を産廃業者に引き取って貰うのはかなりのお金が掛かるのだ
康太は「保養施設は材木中心に建てられているからな耐震基準はクリアじゃねぇかとオレは想うんだよ問題は道場だな………オレも見た所、捨てコンだろ?これ?ってので駐車場になる部分を作って在るのが見て取れる程だからな
取り壊ししかねぇわな………で、社務所の奴等と裏取引に使った廃材………保養施設に使ったとしたら、最悪保養施設も取り壊しだわな」と建築の家に生きて来たスキルを総動員して考えた結果を口にした
烈は「この機会に菩提寺も壊して建て替えるしかにゃいかしら?ぜんちゃんの骨董品の半分貰えにゃいかしら?それ資金に当てて全部建て替えちゃおうかしら?今の時代に特化したお墓にゃらあんなに場所は要らにゃいし、その分独身寮や家族向けの寮が建てられるにょよ!」と言うと康太も
「それ、オレも考えていた
墓参りって言っても年々数を減らして墓参りに来る者も減って来たからな、今後は今の時代に特化した墓にしねぇとな、って想っていたんだよ!」
「取り壊して建て替えちゃう?」
「だな、それしかねぇな!」
「飛鳥井も宮大工育てていたら便利だったにょに……」
「それな、源右衛門がなる前はいたんだよ
でも今はいねぇからな……今更宮大工育てるとかは無理だな………」
「にゃら菩提寺の本殿は改築でどうかしら?
古いからね改築にゃら部分的にあっちこっちの工事に入りやすいにょね!」
「だな、全取り壊しも夢じゃねぇが、それだと何十年も掛かるからな、改築に留めるしかねぇな
その分社務所と墓は魂抜きして移したりと大変だけど、もう途絶えた墓も在るからなこの機会に墓仕舞いさせて片付けねば、と話していたんだよな城之内と!」
康太は良い機会だとばかりに乗り気になっていた
烈は「栗田、この近くに土地買ったにょね?
ならその土地と交換で、家族向けマンション建てたら栗田の部屋は特別にするからくれにゃいかしら?
勿論交換して貰うにゃら豪華な部屋を用意するにょよ!」と提案した
「おっ、それ良いな!
で、栗田の土地と交換してどうするのよ?」
「そこにね飛鳥井記念病院の医者や看護師向けの寮を建てるにょよ!
でね半分を賃貸のマンション建てて家賃収入にするしかにゃいのよ!」
「ならオレが栗田の果てを詠んで、どんな部屋にするかを視てやるとする!
そして寮の部屋も真贋拘りの部屋とすれば、入居者増えねぇかな?」
「そうしてくれる?お金にゃいからね」
「だな資産を底つかせたら、やらなきゃ逝けねぇ時にガス欠になるからな!」
「あ、宗右衛門の事業の中に薬局があるにょね
だからね、病院の駐車場を病院関係者は立体駐車場にして薬局建てたいにょよ?駄目かしら?」
「それは全然構わねぇよ!
そうか、宗右衛門の事業の中には薬局もあったな
ならば薬局も大きくしねぇと捌けねぇよな
直ぐ様立体駐車場と薬局建てねぇとな………
問題は金だな………」
「そーにゃのよ、で、後一つ考えてるの在るにょよ!馬関係の事務所はボクが買った事務所へ移して子会社として運営したらどう?
この前話していたでしょ?
やる時を見誤ると手の付けようがなくなるからね
早急に対策を考えにゃいと駄目にゃのよ」
「記者会見が終わったら、直ぐ様手を付けようぜ!さてと記者会見の話に突入するか!だな」
康太が呟くと竜馬が
「ローズガーディンホテルならば結婚式場として使われている広間を開放して貸して貰えます!
あのホテルはオブライエン家の持ち物なので、ヘンリーが口利きしてくれれば、無料は無理ですが
多分格安で貸して貰えます!」と言った
「ならそこを借りてやるとするか!」
と話していると翼が保養施設にやって来た
烈が車の中で翼にラインしたのだった
「お待たせしました、菩提寺の合格通知は試験雇用期間の間は時給制になるが、試験雇用期間後は正社員として働く事も可能だと通知は出しておきました!」
翼が言うと烈は「翼、記者会見の司会者やるにょよ!」と言った
記者会見の話は事前に聞いていたから翼は
「解りました、何処で何時やりますか?」と問い掛けた
康太は烈に「ゲート何日位で出来上がる?」お問い掛けた
「今夜ボクが雷の石を取りに行くでしょ?
そしたら還って取り掛かるから、3日後にゃら確実にゃのよ!」
「3日後か、うし!なら3日後の夜6時に会見を開く事にする!その様に頼むな!」
と言うと竜馬は「なら電話して来ます!」と言い
兵藤は「なら俺は神威と打ち合わせしねぇとな!」と言い神威の事務所に電話を入れた
烈は「にゃらボク、このまま神の道を通り行くにょね、武道場の進行も気ににゃるし……黒いの連れて行こうかしら?」と呟いていた
康太は「魔界で2日半、人の世で1日で作れるのかよ?」と問い掛けた
「凛太郎に頼んでおいたから、後は雷石を嵌め込んだりの調整だから3日後には総て整うにょよ!」
康太が「うし!なら黒いのに話をして来てやるよ!」と言い保養施設を出て行った
だが戻って来た康太はどう言う訳か龍太郎を連れて戻って来た
龍太郎は「魔界に逝くのじゃろ?ならば儂が龍になり連れて逝ってやるわい!その方がキッカリ3日で帰れるからな3日は烈に付き添いで魔界に戻るとするわ!」と言って来た
烈は「頼めるかしら?」と問い掛けると龍太郎はニカッと笑って「任せとけ!」と言い外に出ると龍になり烈を乗せて魔界へと向かった
電話を切った兵藤は「金龍、魔界へ帰れるのかよ?」と問い掛けた
「帰れるだろ?烈が良いと謂えば直にでも戻れたんだよ、でも武術を習う為に人の世にいただけだからな、烈を送るなら金龍に頼んだ方が早いからな!」
レイはまた3日烈に逢えないと想うと「う〜……う〜……」と泣いていた
兵藤は「んな、ちいかわみたいに泣くなってば!」と言い兵藤はレイを抱き締めた
「たかち……れい……ちゃみちぃ……」
「うしうし、なら今夜は兵藤君ちに泊めてやるからな
ワンワンもにゃんこもいるからな泊まろうな!」
と言い康太を見て「良いか康太?」と問い掛けた
「あぁ構わねぇよ!今、ちっこいのは夜もパンツだけど、おねしょシーツがあるからな、なんとかなってる
でもお前んちおねしょシーツねぇからな
パジャマと一緒にトレパンマン持たせるからそれにしろよ!
昼は布のパンツでも夜は警戒しねぇと子供ってジュース類好きだからな」
「あぁ、うちにはおねしょシーツねぇからな」
「後 烈とおそろのパジャマじゃねぇと寝ないからな、トレパンマンとパジャマは袋に入れといて貰うから持って行けよ!」
康太はそう言い慎一に「レイの部屋からパジャマとトレパンマンを紙袋に入れて応接間に置いといてくれ!」とラインを入れた
するも慎一から即座に『了解しました、今家なので直ぐに準備をします!』と返信が返った
康太は携帯をしまうと「さぁ、話を詰めて記者会見を広くと大々的に告知しねぇとな!」と伝えた
兵藤と竜馬と翼は、話し合いを始めた
金龍は烈を背に乗せ魔界へと向かって飛んでいた
「何処まで乗せて逝く?」と問い掛けると烈は
「閻魔の邸宅にお願いにゃのよ!」
「承知した!」
「金ちやん、体引き締まって飛びやすくにやったんじゃない?」
「あぁ………何か昔に戻った様じゃよ!」
「ボクね金ちやんに話があるにょよ!
それを母しゃんは視て金ちゃんを呼んでくれだと想うにょよ!」
「話し?ならば閻魔の邸宅に行ったら聞くとする!」
そう言い金龍は閻魔の邸宅へと軽やかに飛んでいった
閻魔の邸宅に到着すると烈はズンズンと歩いて進んで行った
途中、建御雷神と出会し「おっ、烈また我の雷を取りに来たか?」と話しかけ後ろに立つ金龍の姿に瞠目した
建御雷神は「金龍……」と呼ぶ
金龍は深々と頭を下げた
建御雷神は「閻魔に用か?烈」と問い掛けた
烈が頷くと、烈を抱き上げて金龍の背を押して執務室への向かった
執務室のドアを叩くと閻魔が「どうぞ!」と許可を出す
建御雷神がドアの隙間から顔を出すと
「父者何用ですか?」とつれない
烈が顔を出すと「烈、一人で来たのですか?」と心配して声をかけた
建御雷神はこの差に笑い飛ばして、ズンズン執務室の中へ入って行った
閻魔は仕方ないなぁと溜息を付きソファーに座ろうとして、執務室に一緒に入って来た金龍の姿に………驚愕して動きを止めた
「えんちゃん話があるにょよ!」
閻魔は息を大きく吸い込む吐き出すと、冷静さを取り戻し
「ではお聞き致します!」とソファーに座った
建御雷神は烈をソファーに座らせると金龍も座らせた
そして自分も適当な所へ座ると烈は話し出した
烈は宗右衛門を出して閻魔と建御雷神に
「創造神が【これは警告だ!】とレイの方に言って来たのじゃよ!
何でも神の誓約の地に無断で住み着き所有権を主張している愚か者がいるから、約束通りその地は崩落させて消し去る!との事じゃ!
あの地は金龍しか切り拓く事は許されぬ地
なのに愚か者は勝手に整地し住み始めたそうではないか?」
宗右衛門の言葉に閻魔は
「え?私はそんな報告は聞いてはおりません………そうですか、ならば警告は伝えます、だが聞く耳を持たぬ者は消えて貰いましょう!あの地は金龍しか切り拓く事は出来ぬ地ならば仕方がないでしょう!」と言った
黙って聞いていた金龍が慌てて
「え?儂?儂が何をやるのじゃ?」と問い掛けた
閻魔は金龍に烈が創造神と誓約し、神の地を必ずや金龍に切り開かせると約束した事を伝えた
「魔界も年々増加の一途を迎えて、狭くなかったから他国に聞いたらギリギリまで使用しているとの事で、我が魔界もギリギリの地まで広げる事を決めたのです
ですがその地を拡げるのは金龍だけに出来る事!
金龍や龍族はその地移る事となる
だけど決して龍族が優れているからだとか、選ばれし一族だからではないのは肝に銘じておいて下さい
金龍、君は指導者になり、力のなき者にも闘う事を教えなさい!
龍族だけではなく神族にも何も持たぬ者達にも指導して闘える魔界へ変貌を遂げさせて下さい!
その為に日々励んでいると、この前烈に聞きました、本当に無駄な肉は削ぎ落とされ闘う身体に仕上げて来ましたね!」
金龍は「儂はもう二度と傲らぬ事を誓う!
儂を生かしてくれたのは聖神じゃからな
聖神が描く魔界の為に尽力すると誓う!
それが儂の死命じゃと思って精進致します!」と言った
その顔にはもう憑き物も取れて真っ直ぐと前を向いていた
烈は「えんちゃんボクねミネルヴァの森深くの雷石から雷を採取しにゃいと駄目にゃのよ!
だからボクはアルくんで飛んで逝くから、えんちゃん鬼をボクの所へ寄越して下さい!」と言った
閻魔は「ミネルヴァの森ですね、直ぐに連絡して向かわせます!クロスも今日は畑にいるので逢えますね!」と言った
烈は金龍に「銀ちゃんに逢っておいでよ!ボクはゲートの雷を充電して加工しての作業があるからね!」と言うと金龍は「よいのか?銀龍に逢っても………」と呟いた
「いいにょよ!金ちゃん!
頑張ってる所見せて安心させてあげるにょよ!
なら、ボクは行くからね!」
と烈は慌ただしく執務室を出て行った
閻魔は直ぐに部下に連絡して烈付きの鬼をミネルヴァの森まで向かわせる様に言った
建御雷神は金龍の背を押すと「さぁ逢って来い!」と言った
金龍は妻に逢いに閻魔の邸宅を出て直ぐに龍になり飛んで行った
建御雷神はホッと安堵の息を吐いた
烈はアルくんを呼び出してミネルヴァの森へ急いだ
途中、畑にいたクロスに「烈!!」と名を呼ばれ止まる
「クロス、とうしゃんの花の種取っておいてくれた?」
「全部集めたよ、所で何処へ行くのよ烈」
「ボクは雷石から雷の採取にゃのよ!」
「帰りに寄ってくれる?どれとどれを掛け合わそうか悩んでるから!」
「解ったにょよ、それよりクロスは雷を集められるの知らにゃい?」
「雷?………それって後で使う為に蓄える系の?」
「そーにゃのよ!」
「それなら烈が絶対に聞くと想って試行錯誤していたよ!でね、太陽石ってあるじゃない
あの石蓄電に優れててね、放出する時は星石を近付けると放電するのね、妖精達が満身創痍になっても烈の為に実験して成果を上げたのよ!」
「クロス………ありがとう」
「そっち片付けたらデナスじゃなくデメロンよ!」
「うん!頑張る!だから皆……薬草巻いてたんだね」
「素戔鳴殿が火傷に効くと作って貼って下さったの!」
「にゃら太陽石集めに行かないと!」
「太陽石ね、鳳凰さんが崑崙山の太陽山から取って来て下さってるよ!」
「にゃら星石か」
「それはね地龍さんと雅龍さんが星山まで行き沢山集めて来て下さっているよ!」
「え?全部……ありゅの?」
「うん!お礼はデカチゴ差し上げたら喜んでました!市場で手に入らないのに、ありがとうと逆に感謝されました
鳳凰さんは愛馬にデカニンを差し上げましたら゙喜んでいたました!
デカニンも市場では中々手に入らないそうで、また用が有ったら何時でも言ってくれ!と言われてます!」
「にゃら片付けて来るね!」
と烈はアルくんを飛ばして奥へと向かった
すると雷石の前には太陽石と星石が山積みに積まれていた
「えんちゃんに魔界も電磁波と超音波流さないと、って伝えにゃきゃ!」
烈は作業に没頭した
時間を忘れて作業をする
ミネルヴァの森の入口は一つだから、護衛の鬼は入口を警戒しつつクロスの手伝いをしていた
日が暮れると素戔鳴尊が烈を迎えに来た
魔界にいられるのは1日半
後は材料を人の世に持って組み立てるしかなかった
「烈、帰るぞ!夕飯が出来ておる!」
「じぃさん!」と烈は素戔鳴尊に抱き着いた
そして素戔鳴尊の愛馬に乗って家まで還って行った
アルくんはその後ろを楽しそうに飛んでいた
素戔鳴尊の家に還ると………金龍と銀龍と地龍が妻を連れて来ていた、そして建御雷神と閻魔も来ていた
素戔鳴尊はデナスの漬物を皆に披露していた
そして宇迦之御魂神がせっせと飛来クラゲの唐揚げを作っていた
それをテーブルにせっせと運び皆で食事をする
烈はクロウを呼ぶと「酒蔵から新しいの持って来て!」と頼んだ
クロウは喜んで新酒を取りに行き、樽を持って来た
素戔鳴尊は樽の蓋を開けると杓子を手にして湯呑みにそれを淹れてクロウに運ばせていた
そしてお皿にお酒を入れると妖精達にお酒を振る舞った
妖精が飛んで来てお酒を飲む
素戔鳴尊の家はランプとか太陽石の欠片ではなく、雷石を使って電気を流していた
それを使って灯すと人の世の蛍光灯並に部屋中が明るく照らされていた
金龍は建御雷神にお酒を手渡され口にした
「本当に上手いな烈の酒は!」と舌鼓を打った
建御雷神は「これは前に飲んだのと違うではないか!何か辛口で美味しいではないか!」と喜んでいた
烈は「じぃさん、辛口解ったにょよ!」と喜んでいた
素戔鳴尊は目尻を下げて
「良かったな烈」と膝に乗せて頭を撫でていた
烈はデナスの漬物を食べて「メロンだと想ったにょに………」とボヤいた
「まぁ気長にやるしかない
だがこんなに美味しいから良いではないか!」
と慰めた
そこへ庭から天照大神がやって来て
「烈、我の家にもその明るのが欲しいのじゃ!」と言い烈を撫でた
「あまちゃんの所は電気で何時も充電出来るからね、今度来た時には渡せる様にしておくわ!
あれはねガラス山に材料を取りに行かせにゃいと駄目にゃのよ
でねそのガラスを地獄の窯の下の火で溶かしてカタチを作るにょのよ!
オニちゃんに頼んでおくから待ってね!」
「何時でも待つから作ってたもれ!」
「作るにょよ!」
建御雷神は地獄の窯の火をそんな使われ方をしていたとは…………
だがこんなに明るいから許しちゃうけど………
天照大神は庭から部屋に入りちゃっかり夫の横に座りデナスを食べていた
天照大神は「これが今魔界で噂のデナスかえ?」と美味しそうに食べていた
酒樽を漬物様に用意して、毎日掻き回して作るのだ
毎日 切り分けして並べるのだが、あっという間に売れてしまうのだった
「じぃさんが作ってくれてるにょよ!
じぃさん、魔界銭取らにゃいなら繭玉で服とか作って貰うにょよ!」
と物欲のない素戔鳴尊を心配して言う
建御雷神はそんな祖父想いの烈の想いに応えて
「ならば畑の繭玉を少し分けてくれぬか?
そしたら素戔鳴に畑で動きやすい服を作ろう!」と言ってくれた
「繭玉はえんちゃんが管理してくれてるから、えんちゃん少し分けて下さいね!
そしたらじぃさんの服を作って貰うから!」
閻魔は「解りました、素戔鳴殿の為に繭玉を増やして下さいね、クロス!」とクロスに頼んだ
クロスは「解りました、その時ボクの服も作ってくれませんか?」と妖精の服事情が苦しい事を伝えた
烈は「にゃら縫製工場作らにゃいとな……大量生産………出来るかしら?」と悩んでいた
今の魔界は服屋はない
服は自給自足で、獣の皮や繭玉から糸を紡いで布にして自分で作るしかない
天照大神は「ならばクロスの服は我が作ってやろう!」と約束してくれた
クロスは喜んでお皿のお酒を飲んでいた
烈は「まずは、あまちゃんちの電気を頼まにやまいと!んでもって縫製工場考えにゃいとな」と思案していた
「ミシン無理らから、針か………やっぱし針になる材料を手に入れにゃいとな………」
烈の呟きを耳にして閻魔は
「誓約の地に鉄を含む石を見つけました
あれなれば針なるモノが出来ないかと思っています、今度長期に来られる時に作り方を教えて下されば、鬼達に作らせておきます!」と言った
「それって沢山あるにょ?」
「あの山が鉄鉱を含んでいるので、沢山あると謂えばあります
誓約の地ですので、少し取るだけならば、翌日には戻っています」
「にゃら手の器用な鬼や女性を沢山揃えて工場を作ると良いにょよ!
そしたら我が子や愛する人の為に服が作れるにょよ!」
「それは良いですね!変わりつつある魔界は本当に目まぐるしいです!」
閻魔は嬉しそうに呟いた
烈は何時の間にか寝てしまい、朝早く起きて昨日の続きをやりにミネルヴァの森まで向かった
そして朝食を食べると武道場の建築現場に顔を出して次の工程までを伝え、クロスと種の掛け合わせの話をして植える所まで見届けて、次に来た時にどんなのが出来上がるか?楽しみにして待つ事にする
そして持って来たトートバックに雷石の雷を最大限に充電したの太陽石を詰めに行った
そしてもう一つには星石を詰めて、これを持って還る準備をしていると素戔鳴尊が昼食を食べてから帰れ!と呼びに来た
素戔鳴尊はトートバッグを手にすると烈を乗せて自宅へと向かった
素戔鳴尊の自宅に行くと宇迦之御魂神が烈の昼食を用意していた
それを食べてると金龍がやって来て
「還るか?烈!」と聞いた
素戔鳴尊は「金龍、昼は食べたのか?」と問うと
「まだじゃが、烈が還るのが遅れるといかんから来たのじゃよ!」と答えた
宇迦之御魂神は金龍の前に昼食の用意をして置いた
「食べて行くと良いです!
烈、私もパリッとしたアロハみたいな服が欲しいです!何時か作って下さいね!」
「うーちゃんはアロハは似合わにゃいのよ
でも何時か、うーちゃんに似合うにょ作るね!」
楽しく昼食を取り、皆笑っていた
昼食を終えると烈はトートバッグを2つ、金龍に渡した
「菩提寺の保養施設で良いのか?」
「そうね、お願いね!」
「まかしておけ!」
金龍は烈を背に乗せると人の世に向かって飛んで行った
保養施設に到着すると……真っ暗な夜更けだった
烈は「え?今何時で、今何日にゃのよぉ!」と慌てた
すると黒龍がやって来て「今日は12月11日で、今は深夜の2時だよ」と教えてくれた
烈はあれ?と首を傾げた
魔界に行ったのは12月10日の夕方だった筈なのだ
それがほんの数時間しか経っていないなんて……
烈は「金ちゃん大丈び?無理してにゃい?」と心配して聞いた
凛太郎は「大丈夫だ烈、我等龍族は時を遡る事が出来る、お前の時間が足らなくならない様に急いだだけだ!」と烈の頭を撫でた
城之内がやって来て「烈、お前今夜は竜之介の部屋で寝ろよ!」と言った
竜之介は烈を連れて部屋へと連れて行った
龍太郎と仁は朝早くからお勤めがあるから、少しでも横になろうと本殿へと戻った
龍太郎と仁は康太が言った通りに最近は本殿で寝泊まりしていた
竜之介の部屋に入るとクロスに良く似た妖精がいて烈は「この子ずっと棲んでるにょ?」と問い掛けた
竜之介は「ええ、何年か前の災害で傷付いていたのを手当したら、そのまま棲み着いています!」と教えた
「烈は宜しくにゃのよ、ボクねクロスと謂う友達いるにょよ!」
人見知りな妖精は竜之介の影に隠れていた
「今度クロスを連れて来るから、その時は逢ってやってねぇ!」
烈が問い掛けると人見知りな妖精は頷いた
烈は敷いて貰ったお布団に入り眠りに落ちた
烈が眠りに落ちて直ぐの頃、外は騒がしくけたたましいサイレンの音で烈は目を醒ました
竜之介は飛び起きて直ぐに部屋から出て確かめに行くと、社務所が燃え上がっていた
龍太郎と仁が本殿まで火の手が来ぬ様に水を掛けていたが、焼け石に水的な感じで火の勢いの方が凄かった
通報を受けた消防車がやって来て消火活動を始めた
菩提寺は正門を通って社務所があり、社務所の横に保養施設があり、本殿は社務所から大分離れていた
だから社務所に火の手が上がれば、保養施設も危なかったりするのだ
社務所も保養施設も木材を大量に使用している事が仇となる結果しか考えられず城之内も竜之介も龍太郎と仁も本殿を護る様に立っていた
消火活動は1時間近く掛かった
本殿にまで火の手は来なかったが………社務所は全焼、保養施設は半焼、道場は何とか難を逃れていた
烈は康太に「母しゃん、菩提寺燃えているにょよ!」とラインを入れた
すると榊󠄀原から『それはどう言う事ですか?』と返信が来た
烈は燃え上る社務所を写メを取り母に送った
「社務所………消し炭よ……保養施設も半分消し炭よ!」
水萌は烈の安否を確かめに来て、烈を目にして安心して抱き締めた
「良かった烈………」
「水萌大丈びにゃのよ!」
「烈に何かあったら真贋に合わせる顔がなくなる…………」と水萌は泣いていた
暫くすると康太と榊󠄀原と一生と竜馬が駆け付けて来て、烈を目にして竜馬は飛び付いた
烈は母を見て「防犯カメラに映っているかしら?」と問い掛けた
「どうだろ?正門に来るまでの階段にも着けたから、映っている可能性は高いと想うけど、確かめるまでは何とも言えねぇな!」
「でも結界張ったにょよね?
ならば何故このタイミングで?にゃのよ!」
「だな、結界張ったから人でねぇのは近付けねぇけど、人なら入り込めちまうからな!」
と康太は悔しげに言った
だが菩提寺の大幅な解雇に逆恨みを警戒して、至る所に防犯カメラを着けたのだ
正門や社務所に火を付ける所は本殿の防犯カメラても解るだろうし、ぱっと見防犯カメラと解らない様に細工を施してあったから、放火犯は完璧に仕事をやり遂げられたと思っているのだろう
だが現実は菩提寺の防犯カメラは【R&R】警備保障会社へ飛ぶ様になっているのだ
今の時代、防犯カメラは社務所で録画している訳では無いのだ
烈は「証拠隠滅かしら?」と呟いた
「嫌がらせだろ?まぁ証拠隠滅もあるのかもな
運良く保養施設も道場も燃えてくれれば、証拠隠滅出来るなんて考えているとしたら、浅はか過ぎで腹立つだけじゃねぇかよ!」
康太は心底腹を立てていた
警察も駆け付けて事情聴取をして行く
だが深夜の2時過ぎだ、皆は寝ていて犯行を見ている奴なんか防犯カメラ位なモノだった
榊󠄀原は警察に「この菩提寺は最近、使い込みと勝手に抵当に入れられ、今後は長い裁判が待っている状況です、なので大幅な解雇に踏み切ったので逆恨みを警戒して防犯カメラを至る所に着けています!正式な開示請求をした後、警備会社に防犯カメラの映像を見られる事をお勧め致します!」
と言った
警察は警備会社の名を書き記し被害状況等は夜が明けてから詳しく致します!と規制線を張り巡らせ還って行った
康太は用心の為、善之助を本殿の奥の間に移す事を指示した
これ以上蹂躙されてはたまったモノではないからだ
火事の処理をしていると夜は取っとくの昔に明けて朝になっていた
烈は「母しゃん保養施設、保険掛けてましたか?」の問い掛けた
「この菩提寺各建物に保険は入っている筈だ
城之内、火災保険入っていたよな?」
と康太は慌てて城之内に問い掛けた
「火災保険は毎月水萌が自腹切って支払っていた
飛鳥井の奴らは勿体無いって仕事を放棄していたから水萌が用心の為に掛けているんだよ!」
と城之内は苦しい内情を話した
烈は「本当にクソにゃのね、飛鳥井の名の剥奪しにゃいと駄目ね!」
康太は水萌に「社務所が正常に動き出したら、当然火災保険も地震保険も寺の経費で払わせる
済まなかったな水萌、オレもこんなに腐りきっていたとは…………何度も何度も膿を出してもこれだからな、本当に申し訳なく思っている!」と深々と頭を下げ謝罪した
水萌は慌てて康太の頭を上げさせた
「止めて下され真贋!飛鳥井の人間が全てではないが、この寺にいた飛鳥井は腐り切っていた
それだけの事です…………それも康太の子供達がちゃんと調べて正してくれた今、我等はもうそこには留まってなどおらぬ………だからもう良いのじゃ康太……」
だが水萌の負担を考えると保険金の支払いは毎月生活を圧迫しただろう………
康太は携帯を取り出すと鴉に菩提寺に努めていた者の居場所を神威に報告する様に告げた
神威が飛鳥井の剥奪の手続きをしてくれるだろうから頼んだ
それと即座にその家族の資産を凍結させて訴えてくれる様に頼んだ
烈は「本殿は焼けにゃくて良かったにょよ!」と言うと康太も
「んとにな本殿燃えたら手の打ちようがなかったからな、もう菩提寺の存続こそが難しくなるもんな…………ギリギリって所だったな」
「ねぇ、母しゃん、ぜんちゃんに協力願おうよ」
「だな、菩提寺だけでも何とかしてぇからな」
康太と榊󠄀原と烈は本殿の奥の間に向かった
部屋に入ると善之助は前と全く違う雰囲気で、柔らかく笑っていた
もうその顔に死の影はなかった
康太と榊󠄀原と烈は善之助の前に座ると深々と頭を下げ
「ぜんちゃんにお願いがありゅの!」
「断って良い………だけど話を聞くだけでも聞いてくれねぇか?」
「図々しいお願いだとは想いましたが、それしか思い付かないのです!」
と烈と康太と榊󠄀原は善之助の話し掛けた
善之助は「何ですか?話をお聞きしましょう!」と言った
康太は今飛鳥井の菩提寺は火事で焼けたのもあるけど、社務所の人間による使い込みと、勝手に担保に入れられ大変な事を説明した
榊󠄀原は図々しいのは承知で、この前持って行った骨董品を半分分けて貰えませんか?と頭を下げた
烈は「ぜんちゃんの再起は必ず約束するから………お願いします!」と頼んだ
善之助は笑って「あの骨董品は全て貴方に差し上げます!貴方達の事ですからあの呪われたブルームーンダイヤは元妻にでも送り付けた事でしゃうから、残りの骨董品は全て差し上げます
あの家と土地も佐伯の想い出のソファーと掛け時計以外は私は要りません!
資産はやはり元妻と秘書から取り立ててねば男が廃ります!そうでしょ?康太、伊織、烈君」と言い切った
康太は嗤って「だな、ならば策を練るしかねぇわな!」と言うと烈が「今紙にゃいけどぜんちゃんの星は奪還に成功するにょよ!
だからボクはそこまで早急に動いてにゃいのよ」と言った
そう言えばそうだった
それは絶対に善之助に返るからだったからなのだ
「今頃ね、ブルームーンの呪いも発動してるし、そしたらブルームーンの毒気も少し減るし美術館に貸し出せるにょよ!」
「ならば、お前は善之助を連れてオレらがやる記者会見の前に蔵持の会社の実態を白日の下に晒せ!その後にオレらは病院の件で記者会見をやる!丁度火事にもなったし、菩提寺も放火されたと話をする機会も出来た!」
「にゃら全部取り返すわよ!ぜんちゃん!」
烈が言うと善之助はその瞳に闘志を燃やし
「はい、総て取り返しに行きます!」と告げた
取り敢えず菩提寺の改築資金は借りて何とかすると事が出来て康太も烈も一安心だった
だけど烈は「でも少しの間ぜんちゃんは奥の間から出にゃいでね、軌道に乗せるまではぜんちゃんの運命は揺らいでしまうから!」と告げた
烈は「母しゃん紙を下しゃい、今更詠まなくても覚えているので書き出します!」と言うと榊󠄀原が鞄の中からルーズリーフの紙を束に取り出し烈の前に置いた
すると物凄い速さでホロスコープを書き、運命の守護星を明記して星の指し示す方向を詠んで書き記す
康太はそれを見て「勝機あるやんか!」と呟いた
計算はまだ続いていたが、その星は【奪還】を告げていた
道は【苦行】を示しても【奪還】そして【成功】を星が指し示す
だから善之助が姿を現すのは、その記者会見の日でなくてはならないのだ
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