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第42話 捲土重来 ❶

兄達が決起して最高に滾るアンケートを作ろうぜ!と盛り上がっている頃 烈は施工会社に来て凛太郎と孝太郎とでゲートに太陽石を嵌め込んでいた そしてセンサーに感知した時、星石がゲートを流れ雷を発動させる様に工夫して完成させていた 感知は金属に一転集中し作り上げた 記者会見場は微弱な超音波と電磁波を常に流し、ゲートを辛うじて潜り抜けても反応出来る様に警戒には警戒を重ね作り上げて行くつもりだった ゲートが完成した 孝太郎が超音波と電磁波を組み合わせた【音】をマイクにセットした これで何時でも【記者会見】は行う準備は整った 向こうは形振り構わずになって来ていた 菩提寺に閻魔の雷電結界を施して貰った釘は、菩提寺を護る為の結界を張った だから最優先で菩提寺は護られたが、社務所や保養施設は守り切れなかった だが火をつけられねば護られた範疇ではあった なのに火を着けたのだ 早めに手を打っておいて良かった、とは想ったが、燃やされては喜べはしない やられたら数万倍返しで、返してやるつもりだった 絶対に負ける気などなかった 向こうは電磁結界を用心して来るならば……… 次は洗脳した輩に刃物持たせるしかない やはり振り出しに戻り【飛び道具】に頼るしかなくなる それか拳銃、でも拳銃は時空を歪められたら意味はなくなるから来ないか? それでもダメ元で来るか? 色々と思案して計算を出す そして烈は暦也に【あるモノ】を頼んだ それは当日 記者会見の前に持って来て貰える手筈は整えてあった そして着実に記者会見の日はやって来るのだった 準備万端整えて烈はケントを連れて相賀の事務所へと向かった 相賀は竜馬から烈が来たらXmasイベントは進めてくれ!と頼まれていたから、喜んで迎え入れてくれた 烈が行くと伝えた時、相賀の事務所には須賀や神野が来て出迎えてくれた 烈のXmas想い出イベントを全面的に協力する姿勢だった 事務所に通され烈は3人に深々と頭を下げ謝罪した 宗右衛門を出して謝罪する 「貴殿らには本当に全面協力を依頼したにも関わらずイベントを頓挫させて済まなかった!」 心からの謝罪を受け取り相賀は「話してくださらぬか?」と言った 宗右衛門は自分も真贋も同じ敵を持ち、その敵に妨害され時には命すら狙われている事を伝えた そしてその敵は九鬼を傀儡にし無関係な人間達まで巻き込み洗脳を施して戦力として駒のように使い捨てしていた事を伝えた 佐々木蔵之介は上間に全部搾り取られ頭にチップを埋め込まれ教団の指示で自爆しそうになった事 総てを話した それにより菩提寺も道場と保養施設は耐震基準にも満たさない手抜きにされ負債を負った事を そしてトドメは菩提寺の正門から社務所に掛けて放火され、社務所が全壊、保養施設が半壊と謂う放火があった事を伝えた 病院の入院患者も頭にチップが入ったのが入院してて真贋か自分を見たら自爆する様にセットされていた事等を伝えた 相賀も須賀も神野も唖然として、その事を聞いていた そして宗右衛門は更に続ける 「主等の事務所も多くの人間が来るから、定期的に時刻を告げる放送を流させようと考えていたのじゃよ! その放送には超音波と電磁波を磁石に混ぜて流す すると人体や機械系統には障害は起きぬが頭にチップを入れられた輩や洗脳をされた者は一時的に機能が停止する その間に逃げる算段を取られた方が良いじゃろう!そして身の危険をが迫ったならば、これを投げつけられよ! これは床に投げ付ければ雷と同じ衝戟を放つ」 と言い丸い球体を3人に渡した 「そんな訳でな我等は一つずつ片付けざるを得なくなり、総てを白紙に戻してしまったのじゃよ! じゃが竜馬が祖父母との想い出だけは死守してくれて道を繋いでくれていたから来たのじゃよ! じゃがそのイベントには榊󠄀原笙は出さぬよ! 少し問題が出て来たからな、それを片付けるまでは、儂はあの【夫婦】とは関わりを持たぬと決めたのじゃよ!」 神野は「それは構わねぇよ、元々隼人一択しか決まってなかった事だからな! 総ては宗右衛門、お前が決めた事には異論なんて申したりしねぇよ!」と宣言した 「ならばイベントじゃな 最高に楽しいイベントを創るつもりじゃ! それに伴い貴殿らの事務所の子を何時もの面接で決めさせて貰いたい 神野、イベンを聞き付ければ笙は黙ってはおらぬじゃろう……じゃが儂は関わりは持たぬと決めている!また宣言した以上は………勝手に来るならば死ぬ程後悔する目に合わせる事となる!」 そう言い宗右衛門は嗤った こんな狂気を剥き出しにした宗右衛門と謂う御人を目にした事がない相賀達は言葉もなかった そして次の瞬間にはニコッと笑って烈に戻り 「ねぇ、今夜は3000円ずつ出して鍋パーティーしにゃい?何故3000円かと言うとね、ボクのお財布の残高3000円しか入ってにゃのよ!」と言った 神野は「鍋なら材料は奢る!」と申し出た だが烈は「それは駄目にゃのよ、ボク等は対等な存在にゃのよ! だから時には割り勘でやらにゃいとね、何時も奢りにゃのは相賀達に対して無礼だからね! 今度お財布がホクホクになったら奢るからね!」と言った そして思案する「りゅーま呼んだら、3000円増えるわね!」と。 そして電話を掛け始めた ワンゴールで出た竜馬に 「ボクね、お金にゃいから、りゅーまカンパよ!」と言った 『烈の分位出してやるっすよ!』 「それ嫌にゃの!」 『なら幾ら出せるんすか?』 「3000円!」 胸を張り言う姿が思い浮かべられる 『それを誰と誰とに出せるんすか?』 「神野と須賀と相賀よ! Xmasイベントの依頼に行ったにょよ!」 『ならばあの【こんなんあるのかよ?】と烈が叫んだ土鍋の出番すか?』 「あ、良いわね、それ!」 『了解っす!ならば今から徴収に行くっす!』 そう言い電話は切れた 「りゅーまが今から徴収に来るにょよ! お酒はあるから大丈びよ、でも熱燗にするにゃら足らにゃいかしら? あ、じぃたんとばぁたんいたじゃない!」 と呟い、電話を掛け始めた またまたワンゴールで出た清四郎に 「じぃたん、日本酒にゃいのよ ばぁたんと3000円ずつ出し合って日本酒を買いに出て欲しいにょよ! 神野がお迎えに行くからね、そしたら安いお店で日本酒買って来てね! ばぁたんとじぃたんとで3000円ずつの費用で買って来てね!」と言った 『烈、ならば今夜は宴会ですか?』 「そーにゃのよ!神野達が増えるにょよ あ!たかなちも入れたら3000円増えるじゃない! 頼むわね!じぃたん!」 『了解したよ、真矢と私とで3000円ずつ出して用意しておくとするよ、電話があったら下へ降りて行くからね!』 と言い電話を切った 神野は小鳥遊を見た 小鳥遊は「お安い御用ですってば!なら僕はお鍋班に入り慎一拾って買い出しに出ます!」と慎一に電話を入れた 烈は「ならお金が出揃ったら神野がお酒班ね、りゅーまが来たら慎一きゅん拾ってお鍋班はお買い物よ!」と言った 相賀は「我等はどの班に入りますか?」と聞いて来た 「相賀はね、お酒班ね、須賀はお鍋班よ お鍋班はボクはお鍋にお金渡して置くからりゅーまの車でたかなち、須賀、りゅーま、ぼくの4人分12000円 お酒班は日本酒を買いに神野の車で、神野、相賀、ばぁたん、じぃたんの1200円で日本酒買って来てね!」 と言った 烈はテーブルの上に3000円置いた 皆もテーブルの上に3000円置いた そして竜馬が相賀の事務所に到着すると、竜馬も3000円財布から出して置いた 烈は神野に「今ばぁたん達は飛鳥井記念病院の上に住んでるから、近くに着いたら電話するにょよ!」と教えた それで神野は笙は使わないのか……と漠然と想った 笙とは同居だった筈なのだ それが今は飛鳥井記念病院の上に住んでいるとしたら………それは言わずもがな、なのだった そしてそれぞれテーブルに置かれたお金を12000円分ずつ持つと、それぞれの班に分かれて買い出しに向かった 神野は相賀と2人分持って行って、後で真矢と清四郎の分を請求するのだった その方が真矢達も遠慮なく楽しめると烈が踏んたからこそ3000円ずつ出させているのだと想った 烈はケントと共に飛鳥井の家に還って行った 飛鳥井の家に還ると兄達から笙からの電話がウザいと申し入れがあった 「年が明けるまで拒否にして構わぬ!」 と宗右衛門が言うから、兄弟は笙と明日菜を着信拒否にした 何かが起こる予兆を感じていた タダでは済まされない予感を感じていた 巻き起こるハリケーンは総てのモノを巻き上げて、出し切るまでは止まらない 翔は烈に「今度のハリケーンは部外者になりたくはない!」と訴えた 烈は「にーに達全員数に入れてるに決まってるじゃにゃい!」と嗤った 烈が兄達と仲良く話をしている頃 お酒班の神野は相賀を乗せて飛鳥井記念病院に着く前に清四郎に連絡を入れると、清四郎と真矢は直ぐに下に降りるよ!と言い降りて来た その顔は物凄くスッキリしていて、総ての憑き物が落ちた様な、そんな顔に感じた 清四郎は真矢と自分の分の6000円を神野に渡した そして後部座席に乗り込むと、お酒班は安いショップへGOをした 竜馬の車に小鳥遊、須賀を乗せて途中で慎一をGETして買い出しへと向かった そして皆が一丸となり買い物に出て戻る前に、烈は兄達に「今夜は宴会よ!」と言った 兄達は聡一郎や隼人や一生を総動員して準備にあたり始めた 一生が「何人位来るんだよ!」と聞くと烈は 「相賀達3人と、たかなちでしょ、りゅーまよ りゅーまが【R&R】のメンバー呼んだら、その時におざぶ用意したら良いにょよ! ばぁたん達喜ぶからね人が多いと!」とニコニコ言い、そして真顔になり 「今宵はこの家に誰一人邪魔者は入れるでないぞ!」と宗右衛門の声で告げる 「了解!宗右衛門!」 多分笙夫妻の事だと理解して答える 来るの見越して言うから、やられた方は堪ったもんじゃねぇわな!と想う だが、それをせねばならぬ時なのだと感じて全面的に追い払う気満々でいた 烈は嗤って真っ黒の玉を取り出すと 「四方に飛び散れ!」と命じた すると黒い球は分離して4個に分裂すると四方に飛び散った そして「雷電結界張るしかにゃいのよ!」と言った 一生は……閻魔の雷も搾り取ったんだと想った 「でね、雷電結界の上に上書きするにょよ!」 「上書き?」 「そう、【飛鳥井さんちは留守ですよ!】ってね」 あの日天龍に見せたまやかしの術だと理解した お酒班が戻ると烈は「カズ、お酒取りに行ってね、割れたら大変にゃのよ!」と言った 一生は地下駐車場までお酒を取りに向かった 清四郎は「12000円だとそんなに日本酒は買えないんだね……でも自腹で買うと烈が怒りそうだから止めたけどね!」と言う 一生は「熱燗終わったら焼酎もあるのでお湯割りにするしかないわな!」と言った 真矢は「私はお湯割り好きだもの、それで良いわ!」と笑って言う お酒を皆手にして部屋へと上がると、一生はキッチンにお酒を置いて貰った 烈は「カズ、あの土鍋何処に在るにょ?」と問い掛けた 「あぁ、あのデッカイのなら茶室の押し入れにいれてあるぜ!今夜使う気か?」 「ちゃんこにするにょよ! それだと鍋一つで足りるにょよ!」 「なら何処で炊くよ?」 「茶室、竈あるにょね! そこにゃら大丈びじゃにゃいかしら?」 「なら大丈夫そうなら慎一と共にそこで煮込む事にするわ!」 と言った そして隼人と大きな土鍋を持って行こうとしてると、榊󠄀原が康太と共に還って来た 隼人に変わり土鍋を持ってやる そして二人で協力してキッチンに持って行って洗った 榊󠄀原は「これ使う気ですか?烈」と問い掛けた 「ちゃんこにするって言ってたぜ!」 「ならば慎一と共に頑張りますかね! 茶室に持って行くのは僕が着替えて来るまで待ちなさい!」と言い榊󠄀原は着替えに行った 康太も着替えに行き、私服に着替えて来ると、瑛太と清隆と玲香が帰宅して来た 賑やかな声が聞こえるから、客間を覗くと相賀達が来ていた 今夜は宴会を確信して、直ぐ様着替えに向かった そして皆が着替えから戻ると榊󠄀原は茶室の竈に火を入れた そして一生と共に大きな土鍋を運び込み竈の上にセットした 水を入れて味付けをして行く 「こんな大きなの………どれだけ味付けしたら良いか?解りませんね!」と慎一とで、試行錯誤して味を整え具材をぶち込んで行く 神野は「んな大きな土鍋なんて見た事ねぇぞ!」とボヤいた 相賀も須賀も頷いていた 榊󠄀原は「あの土鍋は烈が何かのキャンペーンに応募した時に、あの土鍋が欲しい、と書いたのが目に止まりプレゼントされた土鍋なんですよ! 勿論、烈が土鍋の横に立ち写真を撮った事で騒がれていましたよ?」と言った 普通は欲しがらないだろ……… それを欲しがる烈に、プレゼントしちやうスポンサー側も、すげぇなと想った そして飛鳥井にお届けされた訳ね……… 大土鍋で調理して皆のテーブルには土鍋に分けて入れてカセットコンロの上に乗せる 榊󠄀原は「これはこれで楽ですね、皆均等な味に仕上がるし、出来上がりも同時に出来ますからね!」と言った 竜馬が【R&R】のメンバーを呼ぶと、皆喜んで飛鳥井にやって来た 皆の手には3000分の日本酒が持たれていた 慎一はその日本酒を納戸に持って行き、熱燗の準備をする ストーブを買って貰ったから鍋を乗せてその中に徳利を入れて置けば良いから楽になっていた 部屋も暖かいし、熱燗も出来る 一石二鳥だった その夜は皆で楽しく話に花を咲かせ飲みまくった 真矢も清四郎も心からリラックスして笑っていた 孫達はそんな祖父母を見て安心し、飛鳥井の家族達も安堵していた その夜、笙は明日菜を連れて飛鳥井の家のインターフォンを鳴らした 留守なのか?部屋には電気が着いてはいなかった 幾ら待っても家族は帰らず…… 榊󠄀原の家に還ると………西村が待ち構えていた そして和紙で書いた書状を明日菜に渡すと、何も言わずに還って行った 家に入り書状を広げて見ると 【主は告げられた事も聞く事が出来ぬ様じゃな! 儂の視界に入るなと申した筈じゃ! 何故そうなったのか? 己の態度を鑑みて反省するならばまだしも……… 夫を連れて談判とは……儂の秘書ならば即刻解雇じゃ!真贋も甘くはないからな、そう何度も許されるとは想うな!        飛鳥井 宗右衛門 】 と達筆な文字で書かれていた 明日菜は崩れ落ち………泣いた 笙は何故、烈がそんなに熾烈な態度なのか? 訳が解らなかった 清隆や瑛太に電話したが「宗右衛門が出ている件に我等は関与は出来ぬ!」と一蹴され話を聞く事すら出来なかった ならばと子供達に烈の事を聞こうとしたが、繋がらず……そうこうしている間に拒否られたのか? 電話が繋がらなくなった 烈は携帯番号すら変えてるらしくて繋がらない 兎に角話を聞かねば…………と、笙は明日菜をソファーに座らせ 「会社で何があったのか話してくれないか?」と烈の書状を読み返しながら問うた 明日菜は泣きながら話し始めた 「私はずっと焦っていた……会社では次から次へと秘書が入って来ていて、私は負けまいと必死に食らいついて来た そんな中、烈……いいえ宗右衛門の専属秘書がやって来て、真贋や伊織は翼を呼び出し使うようになった………翼は賢くて凄い子なのは解る………だけど私だって真贋の専属秘書なんだと想い………己を奮い立たせて頑張って来た だけど翼、翼、と呼ばれて行く様子を見ると…… ついついツンツンした態度を取り無視したりした 常にそんな態度をしていたから……社員からは見下しているとか謂われる様になってしまった 社長も翼はいましたか?と聞くから無視した事もある………私の態度が悪かった……… だけど私にもプライドはある! …………なのに………更に秘書を増やすと言う…… 宗右衛門は真贋と同列の扱いをせねばならないのは解っている それなのに会社で【烈】呼びした私が悪い………」 笙は黙って聞いていた そして「明日菜はこの先どうしたい?」と問い掛けた 「それはどう言う意味なの?」 「母さんや父さんとの間にギスギスした雰囲気が漂っていたよね? それに耐えきれず………母さんと父さんは家を出て行ってしまった……… 離れて暮らしたいならば……僕は別居を考えている この家は父さんや母さんの家だから、当然僕らが出て行かないと行けないのは解っているよね?」 明日菜は頷いた 「僕は別に別居でも構わない 明日菜がどうしたいか?なんだよ?」 「私は……母さんも父さんもどうして他人の子を我が子の様に可愛がれるのか?意味が解らない 母さん達に取って美知留や匠、結子は孫ではないのか?」 「我が子じゃない子も可愛がる、それは康太に我が子を託した時に決めた事なんだよ…… だから母さんや父さんは飛鳥井の子供はどの子も可愛がっている………理解できない?」 「律は飛鳥井の子供とは無縁な子なのに……何故引き取った?私はそう想った 最初はそれでも自分を納得させていたが、私は…………律が怖かった…… そのうち義母さん達の愛情も独り占めしてしまいそうで………怖かった」 「今 飛鳥井にはちっこい子がいるよ? あの子達は皆に愛され育っているよ? それも理解できない?」 「出来ない……何故他人の子と暮らしているのか? 意味があるから引き取られたのだろうけど、我が子とは接しては欲しくはない………」 「ならば明日菜……僕達は東京の都内に引っ越そうか?飛鳥井の家族や他の子に逢わなくても良い様に引っ越そうか?」 「何故?私は此処にいる! 絶対に引っ越したりしない!」 「明日菜……」 「ごめん………私が間違っているのは解っているの だけど……感情が追いつかないの…… 京香は本当に凄いって想う……自分の子を奪われ、なのに血の繋がらぬ子達の面倒見て分け隔てなく愛して………凄いと想う……だけど私にそれが出来るとは想えない………」 「明日菜は明日菜にしかなれないよ! 人を羨んでも何も生まれやしない……だから…… 美知留達の母として…僕の妻として生きる事だけは手放さないでくれないか!」 「笙………」 「僕等は逆立ちしても、飛鳥井の家族達の様にはなれないんだよ! どの子も変わりなく愛して育てている飛鳥井の家族達の様にはなれないんだよ 僕だってそうだよ、我が子で手一杯なんだよ? 他の子に愛情なんて分けてあげられない だから律が出て行くと決めた時、引き止められなかったんだ! 僕だって………律を追い出してしまったんだ!」 明日菜は涙を濡れた瞳で笙を見た 笙は明日菜を抱き締めながら 「年内は会社を休んだ方が良くないか?」と言った 「嫌だ………行かなかったら……もう行けると思えなくなるから………休みたくない……」 「だけど、烈は明日菜を無視するよ? 避けて避けて避け通すかも知れないよ? それでも覚悟を決めたのならば行くと良い! だけど明日菜、このままじゃ明日菜は駄目になる だから会社に行くのならば、悔い改めて変わらなきゃならない、解ってるよね?」 「…………笙、私は………烈が怖い……康太の眼とは違う烈の眼が怖い……そして下される判断は誰よりも正しくて………私情など一切挟む事がない……… 康太の眼とは違う眼が審判を下すと想うと足が竦む………」 「それ匠も言っていたね! 僕は烈の眼は怖くなんかないよ だから怖いって感覚が解らない……ねぇ明日菜は烈をどう想っているの? 僕は……怪我ばかりして1年の半分は入院している烈を見ていると………もう頑張らなくて良いんだよって言いたくなるんだ……… あの子は正しい道に軌道修正する子だと聞いた ならば明日菜、怖がってばかりじゃなく、烈の真意、本音、考え、そしてどうしたら良いかを話そうか?この機会だから腹を割って話そうよ!」 「そうね、こんな機会は中々ないから………話をしましょうか………笙は私と結婚して後悔とかしてない?」 笙は間伐入れず答えた 「してないよ!後悔する程僕は暇じゃない 康太に繋げられた命だからね、悔いたりしない今を僕は生きているからね! 明日菜は後悔しているの?」 「後悔なんてしていない、私は貴方と出逢ったから我が子を持てた………私にとって貴方と我が子は総てで………あぁ、こう言う想いがお義母さんの想いからズレているのかも知れないわね」 自分を見つけ直す為に話し合う 辛い想いも、見過ごして来た想いも…… 全部吐き出して話し合う その話し合いの果に答えがあるかは?解らない だけど……自分を見つめ直す為に話し合う そんな作業をしていた 皆で宴会をした翌日、康太と榊󠄀原と烈と兵藤と竜馬は、朝から忙しく記者会見の準備をしていた ロザモンド・ホテルのバラの広間をヘンリー・オブライエンが口利きしてくれ、格安で貸し切る事に成功したから、ゲートを取り付けたり、椅子を並べたり、と忙しくて動いていた 出入り口には【R&R】警備保障のスタッフが金属探知機を持ち立つ事になっていた そして暦也は約束通りの【モノ】を烈にお届けしてくれた 控室にその【モノ】を持って来てくれた暦也は烈の分を特注で作って持って来てくれていた そして康太と兵藤と竜馬に渡す 司会をしている翼もそれを貰い、本番前に着る事にした 記者会見をやる事は報道関係者に前もって通達してあった 雑誌社や新聞社にも周知を徹底させ開く事となった そして今回の記者会見から飛鳥井は金属探知機の検査を徹底する事を告げた! 記者会見は5時から蔵持善之助の略奪された経緯、そして裁判を踏まえて白日の下に総てを晒す事をする そして6時からは飛鳥井記念病院の記者会見をする事となっている 飛鳥井記念病院は増渕関係の嫌がらせで崩壊させられ痛手を負った そして時折、菩提寺も同様な手口で潰された事を伝える 今度の記者会見は二本立てになっていた 善之助は前日に人の世に戻っていて、今記者会見を前にスーツに着替えていた このスーツは執事がまだいた頃………良くお似合いです、と言ってくれたスーツを選んだ そしてパリッと着付けして蔵持善之助が出来上がった 烈はこの日、宗右衛門の着物を着ていた 勿論 着物の下には防弾チョッキを着用してその上に宗右衛門の着物を着る事にした その着付けを榊󠄀原自ら着付けて行った 自分で着れるから、と謂う烈を 「記者会見で宗右衛門が着崩れしていたなんて飛鳥井の恥です!」と言い黙らせパリッと着せていく 防弾チョッキの分烈では強くは結べない為だった そして書類を整え記者会見の場へ出て行く 会場には4時半から入場が許可され、報道各社が撮影の準備を整え時間が来るのを待っていた そして5時ピッタリに飛鳥井翼が皆の前に出て 「此れより蔵持善之助の記者会見を開始致します!」 と告げると、烈と善之助と顧問弁護士の飛鳥井神威が登場して壇上のテーブルに腰掛けた 翼はその前に名前のプレートを置く それで自己紹介は省くつもりだった 記者会見が始まると宗右衛門がマイクを取った 「この度は蔵持善之助の記者会見にお集まり戴きありがとうございます 経団連会長を務めた蔵持善之助が、経団連会長を追われ総てを略奪され無くした事実を此処に白日の下に晒す事に致しました! 皆様の元には今回善之助を裏切り秘書と結託して総てを奪った妻と秘書の悪事や経歴など記した詳細の資料を手渡しましたので、ニュースで流す時はその資料を参考にお使い下さい!」 宗右衛門の先制攻撃に報道陣は一瞬唖然としたが、資料を見て納得した それ程までにらその資料は解りやすく写真を使い説明してあった 善之助は穏やかな顔で報道各社の人間達を見ていた その顔にはもう前の様な人間嫌いを゙全開にした嫌悪感を滲ませた顔ではなかった 宗右衛門は善之助と妻との間の子は秘書の子で、托卵され秘書と結託して会社の権利を総て奪ったばかりか家から金品総てを略奪して行った詳細も語った そして声を高らかに告げる 「我等は屈したりはせぬ! 善之助は略奪された総てを奪い返す事を此処に誓う!奪われたのならば、必ずや己の手で奪い返すと誓ったのじゃ! 此れより妻を相手取り托卵事実を証拠に不貞行為等の慰謝料を請求した後、元秘書にも慰謝料を請求する! そして会社も不正で手に入れ善之助を蹴落とした事実を白日の下に晒し、失脚して貰う所存! その会社は一旦リセットする為、資産を凍結、そして解体作業をした後、善之助はトップに返り咲く事を此処に約束する事を誓う!」 宗右衛門がそう言うと顧問弁護士がマイクを取った 「顧問弁護士の飛鳥井神威です! 我等は既に動いており、妻と秘書を相手取り慰謝料請求を裁判所にて起こしております! 不貞行為も托卵の事実も明らかきさせた今、間男にも慰謝料は請求しております! そして会社は不正により乗っ取られたとして株主を近々招集して正常な状態に戻す所存です 会社の経営権を手にするのは株主の過半数以上の同意が必要となる! だがその株主は知らぬ話だとしたら? それは不正な経営権の略奪として、株主総会を直ちに開き経営権の奪還をせねばならない事として近々株主総会を開きます その株主総会は報道公開して行う事を此処に告知します! 我等からは以上です!翼、質疑応答に移って構わないです!」 神威がそう言うと翼はマイクを握りしめ 「それでは質疑応答に移ります 質問がある方は所属名と名前をハッキリ告げて下さい!」と言った その姿は毅然として、飛鳥井翼として生きている今の姿だった 誰も翼が氷室灰音だとは想わないだろう 借り物の姿を脱ぎ捨てて、今は飛鳥井翼として生きている姿なのだから! 質疑応答は冷静に着々と行われた 善之助に質疑応答が向けられても、善之助の言葉で話して、モメる事なく静かに着々と進められていた そして時間になり善之助が締め括りの言葉を言う 「今日は蔵持善之助の為に皆様の貴重なお時間を有難うございました! 私は……再び会社を取り戻して今度は血肉の通った会社を経営して行きたいと想っています! 自分の不甲斐なさが招いた今回の不祥事ではあひますが、私を助けたいと生かしてくれた人々の為に…………頑張りたいと想います! 何もかも無くしたあの日………私は死のうと想っていました 生きていく明日を考えられなかった…… そんな私を気遣って傍にいてくれた人がいた そしてその人が友だちになってくれ、烈君を紹介してくれた そして烈が私の背中を押してくれたから、私は再び闘う事にしました! ありがとうせいぞうさん、ありがとう烈君 私は明日を生き抜く為に闘って行きます! 本日は本当にありがとう御座いました!」 善之助はマイクを置くと深々と頭を下げた 神威は毅然と前を向き、善之助と烈は深々と頭を下げた 蔵持善之助 再スタートの瞬間となった 取材陣の中から拍手が巻き起こると、次々に拍手と謂うエールが贈られた その拍手は善之助が控室に消えるまで続いた そして息を継ぐ間もなく次の記者会見が行われる 飛鳥井神威は椅子に座ってペットボトルのお茶を飲んで喉を潤していた そこへ飛鳥井康太と兵藤貴史がやって来て席に着いた そして康太の後ろに三木竜馬が控えて立った 飛鳥井翼は時間が来ると 「今日は大変な中、二度の記者会見にお越し戴きありがとう御座いました! それでは飛鳥井記念病院の経営状況、そして飛鳥井家菩提寺の火災の説明等、この場で総てを白日の下に晒す所存で御座いますので、此れより記者会見を始めたいと想います! お手元には此れより詳細を記した資料をお配りしておりますので、お確かめの上質疑応答をなさって下さい、それでは此れより飛鳥井記念病院の記者会見を始めます!」 と開始を告げた すると康太はマイクを手にして 「今日は飛鳥井記念病院についての記者会見にお越し下さりありがとう御座います 私がオーナーを務めます飛鳥井記念病院は政治家の妨害により機能を失い、今入院患者だけ残し、全ての業務を停止させねばならなくなりました! 増渕の妨害は菩提寺にも及び、我等は病院と菩提寺を一度に壊滅させられる事態となりました 病院の方は株の過半数を所持するオーナーである私に無断で株主総会を開き、受付や警備会社を勝手に変えさせられてしまい病院として正常に運営出来なくさせられました その株主総会、他の株主にも一切の連絡も経緯も通達すらなく勝手に可決され変えられたのです 飛鳥井宗右衛門の顧問弁護士 飛鳥井神威が地道に調べた結果、その総てが増渕の息の掛かった者だと判明しました そして今頃は増渕の事務所には家宅捜索の手が入り、調べられている事でしょう! 我等は揺るぎない証拠を持っている! そして増渕はあの政府が発表した教団の息の掛かった存在として、刺客に向けられた存在でもある あの教団は九鬼と謂う医者に成り代わり洗脳する組織として患者を洗脳し頭にチップを埋め込んだ 教団は悉く我等を着け狙い、そして壊滅的なダメージを与えんとばかりに刺客を放った!」 そう康太が言葉を放った瞬間、ボーガンの矢が康太を狙い放たれた 矢は康太の心臓を狙った だがその矢は心臓に突き刺さり、ボトッと落ちた ボーガンの矢を放った男は待機していた警察官に即座に捕獲され捕まえられていた 康太のインカムに『後2回衝戟来るわよ!母しゃん!』と声が入る それと同時に銃声が驚き康太を狙い放たれた そしてナイフを持った女が記者の中から飛び出して兵藤を襲った 康太が無理ならば、傍にいる者でも諸共と指示でも出ているのか? その動きは淀みなく動いていた その女の影にはもう一人いてその女は康太を狙ってナイフの矢を康太に向けて突き刺しに行った 捨て身の作戦だったが、兵藤はそのナイフを握る手を掴むと、竜馬がその手を叩き落とし、蹴り飛ばして捕獲していた 「烈の母さんに手を出す事は許さない!」 と竜馬が頑張る 即座に待機していた警察官が女二人を捕獲して連行して行った 榊󠄀原が警官と共に拳銃を持った男を蹴り飛ばして、手を踏んづけて 「僕の妻に銃口を向けたならば、死んだ方が楽だと想う想いをさせて差し上げましょうか?」と冷たい瞳で見つめ吐き捨てた ギシギシと手を踏み躙る 男は呻いて叫び声を上げていた その土手っ腹に蹴りをお見舞いし、再び手を踏み付け躙る 警官が「後は我らが!」と言っても榊󠄀原は止まらず、烈が「父しゃん過剰防衛ににゃるわよ!」と止めた 榊󠄀原は犯人の手から足をのけた 「烈、父は…………」 「大丈びよ!父しゃん! 警察だって見ないフリしてくれるにょよ!」 と言うと警察は「我等は何も見ておりません!」と言い犯人を捕縛して連行して行った 烈は榊󠄀原を連れて記者会見場から姿を消した 康太は椅子に座り直すと、兵藤も姿勢を正して座った 神威は「儂は眼中になかったな………」と残念そうだった 康太はマイクを手にすると 「こうして刺客は常に我等を狙っている 我が子の烈にも脅迫電話が常に入っていた この先も我等は……平穏な日々は送れはしないだろう………幾度も幾度も命を狙われる それはオレだけじゃねぇ、我が子の烈もだ 烈は初等科に入学してその半分も学校に通えてはいねぇ! 烈は転生して飛鳥井に生まれて来てまだ7歳だ! こんな子供まで殺そうと脅迫電話に刺客まで送り込まれて死にそうに何度もなった そして飛鳥井は先日、玄関にトラックが突っ込む事故を起こされた 烈が自宅に寝ている時でした そして先日、烈が菩提寺に泊まった夜、菩提寺には火が着けられ火災が起こりました これは物語の世界でも捏造した話でもなく、真実を話している 調べたら直ぐに解る事だ それで飛鳥井烈の顧問弁護士の飛鳥井神威は幾つ裁判を掛け持ちせねばならぬ状態になっているか?知っていますか? まだリムジンバスの事故の判決すら出てなくて、補償問題もカタは着いてないのに!ですよ? 今述べた事だけでもあなた方は異常だと感じませんか? 我等はそんな中、生きているのです! そして戦友とも謂える佐々木蔵之介氏を亡くした 彼には絶大な信頼が有ったから、オレは烈に佐々木氏の建築会社は信用出来ると教えてしまった それにより烈は……嫌、宗右衛門は肝いりの保養施設や道場を………耐震基準に満たない建築物にされてしまった 死者にむち打ちたくはないが………現実は宗右衛門の面目は潰れた そしてオレの面目も潰された………病院を壊滅的なダメージを受けさせられたのだから…… だが我等は此処では立ち止まりはしない! 飛鳥井記念病院は来年1月5日までに経営体制を完璧に整え、再スタートを切るつもりです! その為の記者会見であり、不正を暴く為の記者会見でもありました!」 と言いマイクを置いた それからは神威がマイクを手にして、既に裁判を起こしてる事案と、今後裁判を起こす事案を説明した そしてマイクを中央に置くと、翼が 「それでは質疑応答を始めたいと想います 質問のある方は挙手をして所属と名前を告げて下さい!」と告げた すると即座に挙手された、翼がマイクを渡すと 「東都日報社長をしております東条と申します 鴻池翁を殺したのは飛鳥井家真贋が滅びの序章を放ったからだと実しやかに騒がれていますが、その真意は?如何なのですか?」 と問い質した 康太は嗤って 「蔵持善之助の妻を籠絡して不正に【蔵持】を手に入れた秘書と謂うのはお前の弟だろ? ならばお前は何の為にこの記者会見場にいるんだよ?そしてオレが鴻池の翁を殺したと言う真意は何処にあるんだよ?」と質問を投げ付けた 会場はザワザワとザワつく そこへ烈がマイクのキーンを利用して電磁波を流した すると東条は白目を剥いて、その場に倒れた 涸沢が即座に動き東条を担架に乗せて運び出した 翼はマイクを手にするとザワつく会場にいる皆に 「お静かに、彼は禍の教団に洗脳されていたのでしょう…………宗右衛門が操る電磁波で白目をむいたと言う事が証拠です そうして人を操り籠絡して駒にする 東条社長は駒にされていた、自爆するにしてもこの空間は飛鳥井宗右衛門が作り上げた空間 自爆などは出来ません! あなた方はこの事態を国と協議して正確にお伝え下さい! そしてパニックになる事なく、導いて行って下さい!」と締め括った 康太はマイクを手にすると 「宗右衛門の専属秘書が伝えた通りだ! 取り敢えず、飛鳥井記念病院は1月5日から新たに開院する事とする  だが今度は完全予約制で重篤な患者を優先して診察を行う事になる! 皆の為の町医者を目指して地域医療の活性化になればと想っています そして菩提寺の方は飛鳥井の一族の為の寺と言う概念を取っ払い、何方も利用出来る寺となります!そして半焼してしまったが保養施設は何方でも利用出来るコミニティーにする予定です そして耐震基準で取り潰しが決まっていますが、再び道場を建設した際には、是非とも我が道場で心も体も鍛え上げて下さい! 我等はどんな妨害にも屈指はしない!」と宣言した そして「あ、これだけは此処で宣言しておくけど、オレは鴻池の翁を呪殺なんてしてねぇと誓う!あれは破滅の序章ではない! それだけは宣言しておく! 敵の多い方だから身内を調べて見ろと、宗右衛門が告げている! 調べたら腹心中の腹心に謀られて死した それを我等に目を向けさせているだけ事だ! 嘘だと想うなら腹心中の腹心を調べられよ! と言う事で記者会見は終わりにさせて戴きます!」と告げ記者会見は終わりを迎えた 控室に戻ると烈が私服に着替えて、ウィンダinゼリーを飲んでいた 「お疲れにゃのよ母しゃん、神威、兵藤きゅん、りゅーま、翼!」と記者会見に出ていた皆を労った 善之助もウィンダinゼリーを飲んでいた その顔はスッキリして色艶が良かった 烈は「父しゃん、ボクね今月のお小遣い……この前の鍋で使っちゃったによね だからカズとそーちゃんと隼人にカンパして貰い、おでんを作って貰ってるにょよ! だから皆で帰りましょう!」と言った 康太は「防弾チョッキ助かったわ!」と言った 「でも母しゃん……先っぽ刺さった? 血が少し出てるにょよ………」とスーツを脱いで赤くなっているシミを見て烈は泣きそうになった 榊󠄀原は烈を抱き締めて 「大丈夫です、烈、そんなに大きな怪我じゃ有りませんから!」と宥めた 榊󠄀原は康太の傷の手当をして私服に着替えると 「なら、おでん食べに行きますよ!」と言った そして皆でおでんを食べに飛鳥井の家に向かった 榊󠄀原は康太と翼と神威を乗せて帰宅の途に着いた 竜馬は兵藤と烈と善之助を乗せて飛鳥井へと帰る! 地下駐車場に車を置いて家に入ると、何だか人が多かった 戸浪も記者会見を見て心配して田代と共に来ていた 神野や相賀、須賀も心配して来ていた 飛鳥井の家族も真矢と清四郎も心配して帰宅を待っていた 戸浪は一生に、飛鳥井の家に行くから何か買って行きます!何が良いですか?と聞くと 「きっと烈が日本酒を欲しがると想うから、日本酒をお願いします!」と言った 「それ、お中元とかのお届け物でも構わないかな?かなりあるんだよ我が家…ビールに日本酒にワインにウイスキー、全部持って行って構わないかな?あ、新しくお酒と買って行くよ!」 「いえ、有るのだけで構いません!」 「いやいや、烈には並々ならぬお世話になっているからね、少しでも役に立ちたいんだよ 烈は家族が大好きだから、皆が飲むお酒を沢山提供するよ!勿論私達も御相伴に預かるけどね!」 と戸浪の声は嬉しそうに弾んでいた だからお届け物を全部持って来て貰ったのだが………納戸に入り切らず客間の隅っこに積み上げなきゃならない程だった だが日本酒も確保した一生と慎一と隼人と聡一郎は、これで烈喜ぶな!と想っていた そして大きな土鍋で煮込むおでん 試行錯誤しながら慎一が作るのを、一生達は手伝った 幾つも幾つもゆで卵の殻をむいて、準備する 慎一、一生、聡一郎、隼人が5000円ずつ出し合って買い出しに出たおでんだった ラインすると烈は凄く喜んで、兄達に即座にラインして翔達は手伝いに来たのだった 兄達が卵の殻をむく ちっこいのは殻が向きやすい様に、卵をガラガラ転がして剥きやすくして行く 皆が手伝い、皆で作るおでんだった 準備万端になった頃、清隆や瑛太や玲香が帰宅した 真矢と清四郎も昼には来て記者会見を一緒に見ながら、支度を手伝った そして記者会見を終えた皆が帰宅して来た すると竜馬が呼んだのか【R&R】のメンバーも来ていた 労を労い、皆で楽しくおでんを食べた この日のおでんは烈や兄弟の大好きなシミシミ大根増し増しと、ちっこいこが大好きな揚にお餅が入った巾着増し増しで作られていた 熱燗とおでんが良く合って、皆で心温まる時間を過ごした 記者会見を終えた烈はXmasイベントに集中した その合間を縫って耐震基準の測定がされ、取り壊しが決まった 国は蕪村の建築物総ての測定をして、耐震基準に満たない建物には、申請すれば補助金が下りる法案を可決させた 飛鳥井は国から遣わされた測定士の判断により、取り壊しが決定していた 保養施設は総てが廃材で建築されていて、耐震性は皆無に等しく道場同様取り壊しが決定していた 社務所と保養施設と道場が取り壊しされる事が決まった 社務所は飛鳥井建設が執り行う事が決まった 保養施設と道場は国から委託業者が取り壊し更地にしてくれる事となった それに伴いは墓地の移転も決めた 今の時代に特化した納骨堂を作る 雨の日でも雨に濡れず参れる室内墓地に切り替えをする それに伴い、菩提寺は飛鳥井以外の者も入れる様に墓地の区画売も始める事にした 今の時代、跡取りがいなくなり墓まりに来れなくなり墓じまいしなければならない事も考慮して、そんな墓は最終的に合祀になる事も明記してメリット、デメリットを明記した上での募集を掛ける事となる その事項を決める為に菩提寺の職員達と連日議論に明け暮れていた それは康太と兄達が軸になり話を纏めて議論を重ねていた 烈は【R&R】のXmasイベントに集中させる為だった 相賀と須賀と神野が3者共同でスポンサーを募り、イベントをテレビで放送出来る事を決定させて来た そして【R&R】のメンバーは何時ものやり方で、3者共同でタレントを広間に集めた その中からインスピレーションが合うタレントを見つけ出して、選んで行く 今回のイベントのタイトルは【邂逅】だった メンバーはどんな意味だと烈に問い掛けた 烈は「巡り合う事を言うにょよ!ボクらは巡り合い、こうして【R&R】として活動を始めた そしてまだ見ぬ出逢う人達に向けて巡り合う意味を知って欲しいにょよ! その出逢いは必然であり、自分の為の、貴方の為の、出逢いにゃんだと! だから【邂逅】と着けたにょよ!」と説明すると、自分達に相応しい言葉だと想った するとインスピレーションが湧いて来て、メンバーは次々に人を選んだ その子等はまたしても無名で名も無きタレントだった 相賀、神野、須賀の事務所から有名なタレントも1名ずつ出して貰う 相賀の所は真矢と清四郎がワンセット 神野の所は隼人一択と篁をオマケに 須賀の所は咲楽我空 そしてカタチになった【R&R】のイメージを体育館を借り切ってリハーサルを重ねた 【R&R】のイベントは血反吐を吐く程にハードで難問だった 良くもまぁ隼人は何週間も【R&R】と何度も活動したな………と感心する程だった  一番難関は烈で、手の動き一つ取っても合わないと何度もやり直された そして皆の心を焚き付ける 「諦めたらそこで終わるにょよ! 君はそこで終わりたいにゃら、出て行けば良い 簡単にゃ事じゃにゃいの?」 負けたくない!と言う心が己を奮起させる そして立ち上がった子は、見違える程になる そして迎える12月24日 Xmasイブ ド寒い中、国際競技場でイベントは行われた だがチケットは即日完売で6万人の観客がこの日の為に集まっていた 花火一発ぶち上げると【R&R】のイベントは始まった 360度のパノラマのプロジェクションマッピングが、赤ちゃんが生まれて大きくなり育つ姿を移り変わり流して行く その映像の写真はとても可愛い赤ちゃんで、大きくなると美しい女の子に成長して行った そして女の子が沢山の人と出逢い、そして別れて行く 巡り巡る季節は目まぐるしく変わり………… その女の子が美しい女優になり………皆は息を飲んだ 榊󠄀原真矢だ 皆が想った その瞬間、真矢が少し大きな子や小さな子達に囲まれて出て来た 飛鳥井の兄弟と北斗達とレイ達だった その後に清四郎が隼人と仲良く出て来た 子供達は清四郎を見ると、駆け寄り手を繫ぎ真矢の傍へ連れて行く 子供達がステージを去ると、映像は四季を映し出す そして相賀達の事務所の選んだ子達が踊りながら過ぎ去って行く 真矢は歌った 清四郎も歌った 隼人も篁も歌い巡って行く 人々が出逢う 人々が別れ去って行く 観客は皆、そんな邂逅を思い出に重ねて涙していた 愛した人の記憶を呼び覚まし………今の自分を思う どれも、総てが自分の人生だった そしてステージの中央には榊󠄀原真矢が一人立っていた 真矢は下を向いていた そして涙していた その涙は…………今の真矢の想いだった その映像がプロジェクションマッピングに映し出される し〜んと静かまり返った 真矢が顔を上げると、一人の男の子が走って近寄って来た 烈だった 烈は真矢の手を取ると走り出した 烈は「ガク!」と叫んだ すると咲楽我空が空から姿を現し 真矢の上に花を降らせた 烈は清四郎の所まで真矢を連れて行く 烈は息を切らし、清四郎に真矢を渡した すると兄達と再び登場して、皆で絆を歌った 我空は地上に下ろして貰い踊り出した とても綺麗な踊りだった そして隼人が出て来て踊り出す 出逢いと別れ くるくる巡って踊り出す それに篁や他のタレントも混じって踊り出す そして歌が終わると、皆一斉に走っていなくなった 真矢は清四郎に手を差し出した 清四郎はその手を取り、孫達を愛しげに見詰めた 真矢は清四郎と繋いだ手のまま輪になり、翔達や北斗達を抱き締めた そして「私の宝物です!最期に貴方がいてくれれば私はそれで幸せです!」と言った 清四郎も「私も君だけいてくれたら、それで良い そして私達には掛け替えのない宝物がいてくれる」と言い真矢の手を強く握り締めた   一条隼人が前に出て来ると 「今 側にいる人や、出逢った人は奇跡だと思って下さい! どうか、巡り合った奇跡に感謝を!」と言い深々と頭を下げた その時、アナウンスが流れた 「【R&R】Xmasイベント公演はこれで終了致します! 皆様 お気を付けてお帰りください!」 真矢と清四郎は子供と並び観客に手を振った その映像がプロジェクションマッピングに映し出される そして何時もの文言が映し出された 【何者に囚われない    何者にも干渉しない       我等の世界     それが【R&R】で在る】」 それで本当に終わりだと皆は知る 真矢と清四郎と子供達とタレント達は皆控室に戻って行った 咲楽我空は烈に「ありがとう、俺は踊りたくてずっと続けて来た 今はモデルとして生計を立てられる程になったけど、やはり踊りは捨てられなかった 踊らせてくれて本当にありがとう!」と礼を言った 烈は何も言わずに横を通り過ぎて行った 言葉なんて要らなかった 何時だって背中を押してやるから好きにやれ!と言われたも同然だったのだから……… この日のイベントは翌朝のニュースやワイドショーで流され話題となった やはり榊󠄀原真矢の生い立ちを彩った最初の感動と、咲楽我空の踊りの凄さに話題は集中した 咲楽我空の仕事の幅が増えたのは言うまでもなかった 神野の事務所の隼人も篁も仕事が増え やはり安定の榊󠄀原夫妻には感動を貰い、仕事を増やした またあのイベントで踊っていた子達が注目を集め、事務所を超えたコラボユニットを作る事も発表され更に注目を集めた 榊󠄀原笙はその映像を自宅で見て、悔しくて堪らなかった 明日菜はそんな夫の悔しさが解るから……… 烈が打ち出した邂逅の本当の意味を考えようと決めた その先に答えがあると信じて……己の考える邂逅の旅に出ようと考えていた 年末年始を使って、旅行を計画し家族で旅に出ると決めた 飛鳥井記念病院は開院の日を告知した事もあり、開院に向けて慌ただしく動いていた 佐伯はXmasの後から有給を取り休みだった 西村は「宗右衛門、もう来ないとなったらどうするんですか?」と怒ったが、宗右衛門はフンッと鼻で嗤った 「あのおなごがそんな殊勝な玉なものか! 儂がXmasに打ち出したイベントのタイトル【邂逅】を巡って旅に出ておるのじゃろうて! 佐伯は今答えを探す旅に出ておるのじゃよ!」 「何故、それがお分かりなのですか?」 西村が問うと烈は携帯の画面を開いて見せた 美知留と書かれた子からの楽しげな家族写真だった 弟や妹、そして両親の写メが沢山届いていた その中に佐伯の姿を見つけ出して 「あ、従兄弟であられましたね!」と今更ながらに言う 「そーにゃのよ、みっくんはね、運気を詠む力を持ってるにょね だからこうして運気を詠んで写メを送って来るにょよ!」と教えてやった 「ならば佐伯は答えを見つけて再び来ると言う事なのですか?」 「でしょ?それが佐伯明日菜じゃにゃいの?」 「んとに食えねぇよなお前……あの方の弟ソックリではないか!」 「仕方にゃいのよ、それは!」と言い笑った 「解りました、秘書が増えるんでしたよね? ならば今一度我等秘書の立ち位置と仕事を考えたいと想います!」 「増える秘書は現真贋、次代の真贋の仕事を管理する為の秘書にゃのよ! そして宗右衛門の仕事もそこで管理させるつもりにゃのよ! 秘書課の業務と切り離して、管理させる それが目的にゃのよ! そして秘書に据えるにょは飛鳥井の五つ子の、残り3人にゃのよ!」と宣言した 「宗太郎、英太郎、遼太郎の3人ですか?」 「そーにゃのよ!真贋の仕事のサポートはなまじっかな人間に出来にゃいのは西村が一番知ってるでしょ?」 「あの三人なら……完璧に熟せると?」 「仕事をするならば、あの三人以上に完璧に出来る人間はいにゃいわよ! 3人が上手く作動するにゃら、最強ににゃる事間違いにゃいのよ! でもね、アイツ等は厳しいからね、どの秘書よりも完璧に出来るし、社員達の信頼も人気も凄い だから明日菜とぶつけたら………明日菜は負けるわよ! 今のままにゃら太刀打ちすら出来にゃく完膚なきまでに潰されるわよ! アイツ等はボクが仕込んでボクが育てたエキスパートな五つ子だからね!」 「佐伯には何が足りなくて、何が必要だったのだ?」 「佐伯ににゃいのは寛容さでしょ? そして冷静な判断、感情で動くのは駄目にゃのよ それにね、厳しい奴ばかりじゃ秘書課の秘書子さん達は辞めてしまうにょよ! だからね、あの五つ子は何でも熟せるし、性格も様々だけど、適材適所自分達の立ち位置を理解して動けるにょよ! 色んな職業に着かせ、飛鳥井に戻した時は色んな部署に行かせて鍛え上げた、それが今カタチににゃり、還って来たにょよ!」 そして一本の鍛え上げられた刀剣に仕上げられたと言う事なのだろう あの五つ子は飛鳥井宗右衛門が誇る刀剣なのだろう! それでは佐伯明日菜は完膚なきまでに負けるだろう、納得した

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