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第43話 捲土重来 ❷
西村は「佐伯じゃ分が悪すぎだな!」と呟いた
「でしょ?だから佐伯を一皮も二皮も剥ぎ取る必要があったにょよ!
そしてやはり、心にはゆとりがにゃいと、ね」
「アイツ等は真贋専属で管理して行くんだろ?
なら私は真贋の仕事はノータッチで構わぬのだな?」と問う
「それは駄目にゃのよ!
楽になれるなんて想っちゃ駄目にゃのよ!」
「秘書使い荒いよな?おめぇは!
でも3人も来るんだろ?
なら私は不要な気がするぞ?」
「次代の真贋や現真贋を送り迎えしつつ、仕事させ管理して逝くのよ?
そして宗右衛門の仕事も管理させていくてしたら?足りると思う?」
「あ〜足らんわな!」
「暇な時は秘書課で手伝い合うにょよ!
そして果てへと繋いで行くしかにゃいのよ!」
「だな、なら頑張るし、仕事してくるとするわ!
あ、大掃除は今年はどうするんだ?」
「ボクね施工に行くからね、こっちは出にゃいわよ!」
「それだと心配する奴も出て来るからな、それは駄目だぜ!」
「そう?にゃら半々で頑張るにょよ!」
「そうしてくれ!」
そう言い西村は仕事に戻った
烈は宗右衛門の部屋に一人になると、記者会見やXmasイベントなどの、怒涛の忙しさを想う
そしてやっと自分の道を歩き始めた善之助を想う
蔵持善之助は会社を秘書と妻に奪われたと公表して、株主達が初めてどうなっているんだ?と騒ぎ出して今いる輩を全て排除して、リセットされその席に善之助は座る事となった
妻が善之助から奪った資産は総て凍結され差し押さえられた
テレビの取材陣が元秘書と元妻を追う
二人は逃げ回り……そして証拠を突き付けられた二人は警察に逮捕され連行されて行った
そして白日の下に晒され罪が科せられた
元秘書の自宅には蔵持の家から盗んだ車が所狭しと停めてあった
善之助はその車を総て売る事を決めた
そしてそのお金で、飛鳥井の近くに家を買うつもりでいた
妻に托卵され生まれた子は、どの子も善之助の子ではなかったし、愛情すらなく過ごして来てしまった
子供達は妻の実家に引き取られたと後から聞いた
妻の実家の両親は善之助に謝罪を申し入れて来たが、善之助が断った
もう過去は振り返らないと決めたからだ
会社も移転する事に決めた
命の恩人の清三さんが、使っていない選挙事務所が入ってたビルあるから、そのビルを使うと良いよ!
と言ってくれたから、規模を縮小してそのビルに移ると決めた
会社の建物を売却したお金と、車を売却したお金を合わせてビルを買おうとしたら、清三さんは破格の値段で売ってくれた
「私はもう選挙に出る事はないからね、選挙事務所にしていたビルはもう必要がないんだよ!」と言ってくれ、再出発の手助けをしてくれた
清三さんのビルを買って、リフォーム代を引いた余ったお金は烈にプレゼントした
「烈君、お金にゃいって何時もボヤいてたでしょ?
だからこのお金は君にプレゼントするよ!
私を生かしてくれてありがとう!」
「ぜんちゃん、ボクはお金が欲しいからじゃにゃいのよ!」
「知っているよ!君がそんなにあざとい子じゃないって知っているよ!」
「にゃらぜんちゃん、此れより2年以内に建つビルの中にぜんちゃんの会社、入れると誓うからね!【R&R】のビルとオブライエン家の倭の国の支部がコレから建築されるから、その中にぜんちゃんの会社も入るにょよ!」
「烈君………」
「でね、飛鳥井記念病院の近くに移ってせいぞうじぃさんと囲碁友だちににゃってくれたら嬉しいにょよ!」
「それは楽しそうだね!」
「そしたらぜんちゃんの伴侶が現れるから、第二の人生のスタートを切れるわね!」
「え………私にそんな人生が残っていたのかい?」
「そうよ、人生って捨てたもんじゃにゃいからね
諦めたら、そこで終了しちゃうにょよ!
だから悪足掻きしまくって根性で踏ん張るにょよ!
薬局を新しく建てるから、今の薬局は総リフォームするからね、そしたらぜんちゃん引っ越して来るにょよ!」
「ありがとう烈君………」
「で、ぜんちゃんは幾つも会社を持っていたてしょ?警備会社はどうするにょ?」
「警備会社は切り捨て様と考えているよ
幾つも幾つも複合で回せる程能動的じゃなくなっているから、運送会社だけにするつもりだよ!」
「にゃら、年が明けたら戸浪の若旦那と会談しにゃい?そしたらぜんちゃんの果てが開いて行くにょよ!」
「それは………嬉しいよ
えっと、烈君は警備会社を持っていると聞く
我が社の警備会社を合併してはくれないか?」
「え?良いにょ?」
「そしたらその警備会社が入っていたビルも売りに出すつもりなんだ!」
「ならスタッフに言って合併する手筈を整えるわね!それと烈と呼び捨てで良いわよ!」
「烈………」
規模を縮小して複合企業の幾つかを手放す
それしか生き残る術はないからだ
烈は善之助からの好意のお金を貰った
それで資金は十分に足りるからと、打って出ると母に告げた
康太と榊󠄀原は善之助に貰ったスーツケース一杯のお金を目にして言葉を失った
烈は母に「薬局を新しく建てたら、今の薬局はぜんちゃんにプレゼントするにょよ!
リフォームしてね、住んで貰うにょよ!」と告げた
康太は「それはお前の好きにすれば良い!善之助は会社を幾つか処分する様なんだな……」と心配そうに聞いて来た
「警備会社は合併が決まったにょよ!
【ARЯK(アーク)警備保障】に決まったにょよ!
暦也が必死に残留させる社員を選別しているにょよ!取り敢えずぜんちゃんの骨董品売ったお金と貰ったお金で保養施設の建設と道場と社務所
そして薬局のビルは建てられるにょね!」
烈はお金を貰ったとしても、それら総てを会社やそれらの施設の建設に使うと言う
スーツケースの中には軽く見積もって一億は有るだろう
本当に欲のない子だ、と榊󠄀原は想う
こんな所は康太と良く似ていた
烈は笑って「でね、やっぱ会社のリフォームはイベントで稼がにゃいとね!
年が明けたらイベントやるにょよ!」と言った
康太は「この前のXmasイベントのスポンサー料とか、チケット代とか神野達は必要経費だけ取って振り込んでくれたんだろ?それどうしたのよ?」と問い掛けた
「あ、アレね飛鳥井の門扉とドアに消えるにょよ!残りはメンバーとの旅行の費用に化けるにょよ!」と言った
「飛鳥井の門扉とドアはオレ等も出しても良いと、母ちゃん達と話していたんだよ!」
「工事がね特殊になるのよ、チタンプレートを支柱にして入れてね、補強するにょよ!
もうね材料は来たから、後は門扉とドアが来たら取り掛かるにょよ!」
と烈はニコニコで言う
康太は何処まで頑丈にする気だよ………と想った
が、気を取り直して「旅行は何処等辺りを目指しているのよ?」と問い掛けた
「熱海か、鬼怒川!」
温泉地かい!
何と渋いんだ!
榊󠄀原は「温泉に入りに行くんですか?」と問い掛けた
「メンバーは海外とか行き慣れすぎててね
倭の国ならば温泉で〜す!
トレーにお酒浮かべて飲みたいです!
って言ってるから、トレーでお酒浮かべて飲める旅館探して行くにょよ!」
外人って………フジ山とか好きだよな
榊󠄀原は「芸子とか見たがりませんでしたか?」と問い掛けた
「見たがったにょよ!
でもそれだとお金が足りにゃい!」
「見るだけで彼等は満足するでしょ?
横を通れば満足しそうです!」
「にゃら京都………」
烈は悩む………
「烈は行くのですか?」
榊󠄀原はならばその間は宗右衛門関係は停止させとかねば、と考えていた
「ボクは行かにゃいわよ!
お酒飲む席にボクいると……気を使うからね!」
「それは今一度、竜馬やメンバーと話し合うと良いです!」
「そーね、そうするわ!」
烈はそう答えPCを眺め考え込んだ
榊󠄀原は烈は常に自分を数に入れずにいると、つくづく想った
何かをやる時等は率先して前を走るのに、何かを食べる時、皆の食べたいのは聞くのに、自分の食べたいモノは数に入れてない
だから兄達は烈が何を食べたいか?
真っ先に聞く様になったのだから………
何処かへ行く時とかもそうだ、何処へ行きたいか?
皆を優先して自分は行きたい場所に行く事すら考えはしない
本当に烈は無欲な子だと痛感していた
烈はスーツケースを榊󠄀原に託して
「父しゃん、此れを通帳に入れて来て欲しいにょよ!」と施工で管理している通帳を榊󠄀原に渡して頼んだ
榊󠄀原は頼まれた以上は即座に動き、銀行にお金を入金しに向かった
入金金額を目にした銀行は別室に通して、部外者の目を警戒して事務処理に当たった
入金を終えた榊󠄀原は通帳を烈に渡した
烈は凛太郎を呼び出して通帳を持たせて帰した
12月26日 それは突然やって来た
飛鳥井建設の地下駐車場からアルマーニーのスーツをビシッと着込んだ男達が烈と共に会長に逢いにやって来たのだった
皆 サングラスをして迫力があった
その中のちっこいのに目を留めると会長は皆を部屋に招き入れた
会長は「どうしたんです?烈?」と問い掛けた
烈は「抜き打ちテストに来たにょよ!」と告げた
竜馬が仕方なく説明する
「【R&R】の意識改革の講義を経て1年になります!なので皆さんの中でどの様に意識改革が成長しているか、テストに来ました!」
会長はニコニコ笑って「社長と副社長と真贋を呼びます!」と言うと秘書を呼びつけ直ちに呼びに行かせた
社長と副社長と真贋が会長室にやって来た
康太は「烈、どうしたのよ?」と問い掛けた
それには竜馬が答えた
「今会長にもお話しましたが、【R&R】の意識改革の講義から1年を経て皆の中にどう息づいて成長しているか?見に来ました!」と告げた
康太は「ならば大型会議室ぶち抜きで広くして、そこで1階ずつの人間をぶち込んで見てもらうとするか!」とニコニコ笑って言った
竜馬は「これは相談をする対価だと思って下さい!テストが終わったら……清隆さんや瑛太さんを交えて相談させて貰えませんか?」と言った
「良いぞ、でも相談料にしては安く見積もったな
お前ならばその何万倍の費用を取るのにさ!」
「俺等はお金では動かない………なので働くので話を聞いて下さい!」
「だから良いぞ!って言ってるやんか!」
「ならば即座にテスト始めます!」と言った
会議室を3部屋分ぶち抜きで使い、そこへ1階ずつ社員を投入!
社員は何が始まるのか聞かされずに、その部屋に行けと命令され………後は【R&R】による意識改革のテストと称して講習が始まる
1年前の感覚を呼び覚まされ、社員達は気を引き締めた!
全部の階の社員が講習を終える頃、就業時間は近付いていた
皆 ヘロヘロになり食らいついて頑張った
講師陣は皆満足で「明日は各セクションの統括本部長、課長、主任クラスの人間の指導者たる実力を確かめに来ます!」と告げた
皆が講義に出ている間、清隆は瑛太と榊󠄀原と康太と玲香を会長室に呼び出し
「抜き打ちで【R&R】のメンバーが来てくれたので、夜はあの土鍋を使った鍋にしたいのでカンパお願いします!
明日も来るならば、今日と明日の鍋の材料は必要となります!」と打ち掛けた
瑛太も榊󠄀原も康太も玲香と賛成!と清隆の意見に賛成した
玲香が「ならば幾ら出すとする?」と問い掛けた
榊󠄀原が「皆 5000円でどうです?それで刺し身も買って来ます!」と言った
皆 財布の中から5000円を取り出してテーブルの上に置いた
榊󠄀原は康太と2人分、一万円を置いた
そしてそれを持って「慎一を捕まえて買い出しに出ます!」と言い康太を引き摺り還って行った
その日の講義を終えると、皆 ヘロヘロになりながらも意欲は凄く
【ありがとう御座いました!】と感謝の言葉を貰った
烈はやって良かったな、と想っていると父からラインが届いた
講義を終えると【R&R】のメンバーは会長室に集まり「今日の講習の対価は、お鍋を御馳走して下さい!今日と明日、あの見た事もない土鍋で御馳走して下さい!
メンバーはあの土鍋を見るのを楽しみにしてます!」と対価を要求した
すると清隆と瑛太は笑って
「そんなのは要求される前に、我等が費用を出し合って、伊織が材料を買いに行ってます!」と告げた
烈のラインには
『メンバーを家にお呼びして下さいね!
今夜は鍋です、烈は榊󠄀原の祖父母も呼ぶだろうから、既に呼んでおきました!』と入って来て
烈はラインを竜馬に見せた
竜馬は「飛鳥井の家に逝くっすよ!お呼ばれしましたからね!」と告げた
メンバーは大喜びして竜馬の車に乗り飛鳥井へと向かった
この日、烈も竜馬の車に乗り飛鳥井へと帰る
想いは鍋に向かう!
竜馬の車が交差点に差し掛かろうとした時
信号無視の車が突っ込んで来た
すると猛スピードで1台のパトカーが走って来て、その車に体当りして停車させていた
竜馬やメンバーは目の前で繰り広げられたカーチェイスを唖然として見ていた
烈は「各国の護衛は既に始まっているにょね!」と呟いた
竜馬は「俺等は護られていたから……事故を避けられた、って事なんすか?」と問い掛けた
「そーね、さぁ帰るわよ!鍋が待ってるわよ!」
竜馬は気を取り直して車を走らせた
それを見送って唐沢はホッと息を吐いた
「本当に勘弁してくれ!こうもバンバン狙われたら護衛するの減っていなくなるぜ!」
とついついボヤく
目の前では突っ込んで来た車を停める為に体当して停めた署員が血を流し乍も、交通違反者を逮捕していた
唐沢は自爆防止に犯人を電磁波テープで拘束した
このテープは烈と綺麗が共同開発した微弱な電波を含むテープだった
各国は本格的に教団関係者のアジトを潰し壊滅させる事に尽力していた
そんな唐沢の苦労を知る由もない烈達は飛鳥井の家に還った
するとメンバーは源右衛門の部屋に向かいスーツを脱ぎ捨てウェットスーツに着替えた
そしてスーツをハンガーに掛けてクローゼットに仕舞った
【R&R】のメンバーは無名のウェットスーツを着ていた
烈がブランド物のウェットスーツだと目立つ!
と言ったから以来、何処にでもある量産型のウェットスーツを着ていた
そして外に出る時はボサボサの髪でダサい眼鏡をすれば、金髪にしたけどイメチェン失敗のニートにしか見えにゃいわよ、とお墨付きを貰ったから、その格好を愛用していた
その夜の鍋パーティは真矢と清四郎を呼んだら、どう言う訳か………神野と相賀と須賀も参加していた
瑛太は嬉しそう神野と酒を飲んでいた
烈は携帯を取り出すと「しづちゃん?飛鳥井に来にゃい?勿論 義泰もせんせーも拓人達もね!」と誘った
すると『直ぐに行きます!』と返信が来て、直ぐに一家総出でやって来た
久遠も義泰も疲れ果ててた顔はしていたが、スッキリした顔をしていた
そしてどう言う訳か神威も引っ付いて来た
神威曰く「姉から飯食いに来いと呼ばれたから来たら、着くなり飛鳥井へ行くわよ!と引っ張って来られた………」との事だった
神威は神野や瑛太と仲良く酒を飲んでいた
今夜のお鍋は子供達のリクエストで再びおでんだった
また、皆で協力して作り上げたおでんだった
それと活きの良い刺し身の盛り合わせを作った
【R&R】のメンバーは、見た事のないデカい土鍋にやはり感激しつつ写メを取りご機嫌で飲んでいた
最近は神威とガード下で良く飲んでいると謂う
榊󠄀原は「明日は【R&R】のメンバーは責任者達を講習してくれるそうなので、キムチ鍋を作ります!辛さは大人の味で作ります!
子供達は少し辛いキムチ鍋です!
なので頑張って講習をお願いします!」と言った
その夜はかなり盛り上がり、夜中まで賑やかな笑い声が響いた
翌朝、酔っぱらいを叩き起こし、朝食を食べさせて送り出す
【R&R】のメンバーは朝を食べると近くのマンションまで一旦帰り着替えて竜馬の車で飛鳥井まで行くつもりだった
烈はケントがお迎えに来るから、それに乗り一足先に会社へ出勤して行った
兄達は冬休みに突入していて、課題を片付け、少しずつ掃除を始めていた
そして真矢と清四郎とゆったりと過ごした
昨夜の残りの鍋でお昼を食べようと考えていたが………汁まで美味しく完食されていて、昼は慎一が簡単なのを作り皆で食べた
一生と慎一は烈から宿題が出されていたから、応接間で翔達と共にPCを眺めつつ話し合っていた
時折、流生達が手伝ってくれ、子供の意外な意見に一生も慎一も感心させられていた
この日、会議室に集められた栗田、城田、陣内、蒼太、水野、一色らは上役たる資質テストされていた
烈は厳しい瞳で水野を視ていた
広報宣伝課の社員達は特別に参加させられ、席に着いていた
栗田は少しだけ押しが足りないが、ずっと社員を監督する立場だったからテストは満点に近かった
城田と陣内と蒼太も文句の着けようがなかった
だが水野はそのリソースが甘すぎて………
思わずヘンリーは「社員に馬鹿にされてない?」と聞いた程だった
一色もこうなると………庇い様はなくなる
そして一色もダニエルに謂わせると
「遊びに来てるの?」と謂われる程だった
竜馬が経歴を目にして
「最近は目立つ功績もないですね?」と止めを刺した
サムエルは「人の上に立つ存在は決してナメられてはいけない!部下はナメた人間の下に着くのならばとことん巫山戯た態度しか取らないからだ!」と厳しい言葉を投げ掛けられた
水野は涙目になっていた
一色が慌てて水野を慰めようとすると、烈が【縛!】と呪縛した
そして一色に「主は水野を上司とは見ておらぬのじゃよ、だから傍に来ようとする
主等は恋人同士かも知れぬが、それが会社で必要な行為か、考えれば解るじゃろ?」と熾烈な一撃をかました
「この体たらくでは、存在する意味がない!
広報宣伝は一度リセットする!
そして主等は別々の場所で仕事をするしかない!儂の言葉に異論はないか?」と問い掛けた
一色は「俺等は仕事はちゃんとしていた!」と言った
「上司を敬わぬ輩を、主が作っていると理解しているか?」と宗右衛門は呆れて言った
烈はここ数年の広報宣伝の仕事ぶりを書いた紙を一色の目の前に置いて、呪縛を解除した
「栗田、城田、陣内、飛鳥井蒼太、この仕事ぶりを見て仕事をしている様に想えるか?」と問い質した
4人は広報宣伝課の仕事を記した紙を見ていた
広報宣伝課は数年前にパンフレットを成功させて以来、泣かず飛ばすの仕事ぶりを目にして
蒼太は「此れでは切られても申し開きなど出来ませんね!」と言った
陣内も「宗右衛門は誰よりも厳しい御人だが、間違っている事は絶対に言わない!
俺から見ても、これは酷すぎる!
良くもまぁ、真贋は何も言わなかったな………
あぁ、宗右衛門が苦言を呈するのを見越して何も言わなかったのか……」とボヤいて
城田も「施工はやる気を無くして腐った仕事しか出来ない時があった
宗右衛門が適材適所、配置して子会社として成功を収めている!
今じゃ建築の上を行く勢いと技術を取得して頑張っている、だから一度解体されて作り変えられた方が、良い仕事するんじゃないかって思うよ!」と辛辣な言葉を放つ
栗田は「我等は労働する対価に給料を得ている
それが然程の仕事もせずにいたら、生き残る事なんてまずは無理だと言うのが現実だ!
飛鳥井もこの不景気な中を生き抜かねばならない
だから、水野、一色、自分達の立場を考えられてはどうだ?
これで良くもまぁ、給料貰っていたと想わねぇか?そこに呼んでいる社員達も同様に、だ!
仕事をしねぇならば会社から去れ!
お前達の仕事ぶりが目に余るから何処からかクレームが出てるんだろ?
だから敢えての意識改革講習会を敢行したのだろう!ならば己の置かれた立場を考えられよ!」と冷たい言葉を放った
一色は言葉もなかった
水野は泣いていた
烈は呆れて「泣いて何かが解決するのか?」と問い質した
水野はいいえ!いいえ!と何度も魘された様に言った
烈は翼を呼んで「年内で広報宣伝は解体し、来年からは新たな社員を据えて活動させる事を社員に知らしめよ!」と告げ仕事ぶりを記した紙を渡した
翼は命を受けて即座に動いた
まずは真贋に報告を入れ経緯を伝える
「社内に伝令して大丈夫ですか?」と問い掛け、烈に渡された紙を渡した
康太は詳細を目にして………此処までナメられていたのか………と唖然とした
しかも最近のパンフレットは外注で、広報宣伝が自ら手掛けた作品は一つもない
そこまで告げられたら、康太は「宗右衛門の言う通りにしてくれ!」と言う事しか出来なかった
広報宣伝だけ甘えを許せば、その甘えは社内に伝染して、宗右衛門が正して繫げる飛鳥井への障害になると想ったからだ!
翼は敢えて烈の元へ行き「真贋の許可が出ました!宗右衛門が正して構わないそうです!」と伝えた
水野と一色は唖然としていた
何処かで康太が救って助けてくれると想っていたから…………
広報宣伝課は解体作業をした後、正常な活動がさせられる社員を配置する事となった
そして広報宣伝課の社員達は皆、能力検定試験を受けさせれる事となった
振り分けて働かせる為に必要となるからだ
其れ等を仕事納めの日までに済ませる
水野と一色は唖然としている間に……働く場所を失った
烈は各部署の責任者と共にその事を伝えに歩いた
責任者と烈が前に立つと、何も言わなくとも集まり並んで、の動きを取れる部署になりつつあった
だが、あの広報宣伝は号令を掛けてもダラダラとしか集まれない
自主性もなければ、集団行動も出来ない
上司を上司として見ていないから、ダラけた行動しか出来ない飛鳥井建設一、使えない部署だった
成果を上げているならば、まだしも
ここ数年の目立つ活躍するしてない
何をしに会社に来ているのだ?
こんな社員がいたら会社の指揮系統が下がる
社員達は広報宣伝の話を聞かされた時、成るべくしてなった、と皆思った
一色は康太に電話を入れた
康太は会議室に水野と一色を呼んで話をする事にした
水野と一色は康太を見ると深々と頭を下げた
康太は椅子に座ると、水野達に「座れよ」と言った
康太は一色が何かを言って来る前に
「オレには宗右衛門を止められねぇぜ!」と言った
水野と一色の瞳が絶望に染まる
「ハッキリ言って会社は遊びに来ている場じゃねぇからな、それなりの成果を上げねぇと評価なんかされねぇって理解してるか?」
康太の言葉が胸に突き刺さる
「飛鳥井の中で宗右衛門のポジションはオレと同列、以下でも以上でない!
総てがオレと同列なんだよ、宗右衛門は!
その宗右衛門がダメ出しをした、オレが異議など唱えられる筈なんてねぇんだよ!
其れ程に宗右衛門は緻密に調べ上げて動いているからな、動き出し証拠を突き付けられたのならば、それはもう申し開きなんて出来る筈がねぇんだよ!
飛鳥井の一族の秩序を守り、規律を正す、それが宗右衛門が存在する理由なんだよ!
そして宗右衛門は1000念続く果てへと導く為に転生された存在、そりゃ目に余るのはバッサリ切り捨てて正して行くってもんだろ!
お前等は会社を……オレを甘く見すぎていたんだよ、ナメていたんだよ!
どうせピンチな時は真贋が助けてくれるって、高を括って来ちまったんだよ!
だから成果を上げてない広報宣伝はバッサリ切られた!
それは結果だ、受け止めて次の部署ではちゃんと仕事しろ!としか謂えねぇな!」
水野は泣いていた
康太は「水野、泣いて何かが解決するのか?って言われなかったか?」と聞いた
「謂われました………」
とクスンクスンと泣きながら答える
「宗右衛門と言う御人は他人に厳しいが己にも厳しいんだよ!
何度も何度も死にそうになりながら、それでも立ち上がり己の道を突き進む
烈はまだ7歳だ、なのに宗右衛門として生きねばならぬ死命に歯を食い縛り耐えて立っている
烈が泣いてる姿を見た事があるか?
ない筈だ、あんな子供でも泣かずに耐えているのに水野、おめぇは泣くしか出来ねぇのか?
オレはお前達を庇い此処まで来てしまった事を後悔している………もっと厳しくテコ入れしてればって、想うが総てが遅い
宗右衛門が下した判決なれば、飛鳥井の人間は誰も異論などは唱えられぬ!
それは会長でも社長でもな、何も謂えねぇ存在なんだよ!
お前等は宗右衛門もナメすぎたんだ仕方ねぇよな?」
言葉もなかった
一色は「ならば来年からは………違う人間が広報宣伝の課に入り仕事をすると言うのですか?」と問い質した
「まぁそう言う事だ!
部署の人間も残留試験を受けさせたから、合格ラインより下ならば解雇となる!」
「俺等は別々の場所で仕事するしかないのですか?」
「一色、お前等会社に何しに来てるのよ?
恋人と一緒しか嫌ってか?
会社は仕事する場だからな、宗右衛門ならば確実に別々にされるだろう!
だって恋人と常に同じでいたい、それは無理だって解らねぇか?
他の奴らはそうしているのかよ?
やらねばならねぇ事があるならば、一緒と言うのは無理がある事だと思い知れ!」
「ならば会社を辞めます!」
「そうしたいならば、そうしろ!
だがお前程度の経歴じゃ何処へ行っても半端な存在にしかならねぇ
お前等は資格試験を受けて資格を取ったのかよ?
昇級試験を受けて昇給資格を取ったのかよ?
何もして来なかった、そして仕事もして来なかった………他の社員は必死に資格試験を習得して先へ進んでるぞ!
その差が……出て来てる事にお前の部署の奴等は誰一人気づいていねぇんだよ!」
康太はそれだけ言うと会議室を出て行った
水野と一色は言葉もなく………動く事すら出来ずにいた
重くのしかかる現実に押し潰されそうだった
会議室を出た帰り、統括本部長と共に歩く烈を見た
社員達は烈を目にして頭を下げる
そして気さくに話をして時には相談に乗る
だが今日の烈は統括本部長を従えて歩き、広報宣伝を取り潰す事を告げて歩いていた
統括本部長と共に烈が立つと、部署の皆は即座に整列し謂われなくても話を聞く体制を取る
その動きの素早さに、宗右衛門のポジションを理解しているのが伺えられた
あまりにも違う…………と想った
あの陣内の部署でさえ、前に立てば即座に社員は仕事の手を止めて整列した
水野は自分の課は………あまりにも仕事をナメていたのだと理解する
その日のうちに広報宣伝は取り潰しされ、部屋の総ての備品は地下の倉庫に運び込まれる事となった
そして広報宣伝課の者達へ通達がされた
『来年、年明けて仕事始まりまで自宅で待機されて構わない!
来年、年が明けたら部署の者は、能力に応じた部署へ配置替えとなる!
これは決定事項だ、覆る事はない!
又、残留試験に基準値以下の社員は、解雇対象となる事を此処に告げる
飛鳥井建設 相談役 宗右衛門 飛鳥井烈 』
とホームページに即座に載せられ、社内の掲示板にはその事が張り出された
烈はそれらの仕事をやり遂げると、真贋の部屋をノックした
ドアを開け、康太は烈を部屋へと招き入れた
康太はソファーに座ると「どうしたのよ?」と問い掛けた
「社内、少し弄って構わにゃいかしら?」
「どんな風に弄る気なんだよ?」
康太が問い掛けると、宗右衛門は
「もっと能動的に活気ある部署にしたいのじゃよ!」
と言い、構想を描きた紙を真贋に渡した
康太はそれを見て、文句の付けようがないと、想った
「3階を営業は変わらずだけど、営業のエキスパートを求人して募集を掛けた方が、大小の仕事を拾って来られる
昔の飛鳥井は犬小屋からビルまでをコンセプトに仕事を取っていた筈じゃからな、原点に戻る意味を込めて、営業を頑張って貰う事にする
その為に二度と不正など起こさせない様に、経費査定課、経理課、電算室、そして会議室を設置する
4階建築、資材管理課を作り資材の手配や備品の手配を明記して管理させる
それに伴い、資格教育室を作り、そこで資格の勉強の講義を受けられる様にする
そして総務と広報宣伝課と会議室を設置する
5階は社員食堂は変わらずで、製図課を広く取る
自由な空間を創り出し、伸び伸びと製図を引ける空間で仕事をして貰う
そして役員面談室を作り、用のある社員はそこへ来て役員と面談する
6階は秘書課を広くして、秘書課で出来る仕事はそこでさせる
そして宗右衛門の部屋を広くして、次代の真贋の部屋を作る、そこはかなり広く取り兄達もそこで仕事を覚えさせる!
真贋の仕事もそこで仕事の管理をして貰い、翔も仕事を割り振り働かせる
7階は会長、社長、副社長、真贋、そして会議室を持つ!
それら総ての構想じゃよ!
施工は来年早々社員旅行に出るからな、皆が仕事休みの間にその工事をする
工事日程は29.30.そして年を越して4.56.の間で5日間で完成させるつもりじゃよ!
まぁ6階以上は直ぐには無理じゃからな3階から5階までの工事となる!」
康太は工事内容を隅から隅まで見て
「すげぇな、更に緻密に管理されてるじゃねぇかよ!オレは異論なんてねぇよ!
宗右衛門の思いのままにやれば良い!」
「それに伴い責任者も移動がある
営業は見ていて頑張っている赤松達也
経理査定課愛染、経理は瀬能、経理電算室は中村、
資格教育はプロを招いて建築士としての講義を開く、総務は蒼太、製図課は城田、建築は九頭竜
そして統括本部長
3階フロアーを統括する蒼太
4階フロアーを統括するのは栗田
5階フロアーを統括するのは陣内
そして秘書課の責任者は西村
異論があれば、申してくれるならば直そう!」
「秘書課、佐伯じゃねぇんだな」
「全体的にモノを見られるのは西村だからじゃな!別に狙ってなどおらぬ!」
「別に佐伯を戻せとか水野と一色を戻せなんて謂わねぇから安心してくれ!
宗右衛門の耳に入るなんて……余程の事だからと理解しているよ!」
「今 解らせて正さねば飛鳥井はない
己を知らぬ者は滑稽で愚かだと知らねばならぬ
独り善がりの行動は皆に迷惑を掛けて眉を顰められていると知らねばならぬ!」
「だな、オレもそこまで酷いとは想わなかったからな………悪かったな宗右衛門、オレがやらねばならねぇ事だったのに、お前にやらせてしまった」
「構わぬ、それが儂の飛鳥井での定めじゃからな!」
「なぁ、烈、オレが聞く事素直に答えてくれねぇか?」
烈は頷いた
「お前さ……やけに改革とか急いでるけど、それって死の影見えてるからとか、違うよな?」
「違うわよ、ボクは今自分の星を詠んでいるからね、死の影にゃんてないわよ!」
「それは本当だな?」
「ボク嘘着いてにゃいのよ!」
「なら、何でそんな倍速で改革してるんだ?」
「それはね…………竜胆達が継ぐべき明日が……潰えてしまう可能性が消えにゃいからよ…………」
烈はレイ、凛、椋の星を巡るホロスコープの紙を出した
そして星が巡る軌道を指し示す
すると幾度かの転生で飛鳥井は無くなる
飛鳥井の終焉を迎える事となる
その原因を辿ると【今】に在った
今 軸となる根底に根を生やさねば、倒れてしまうと言う事だった
康太はその紙を唖然として見ていた
「飛鳥井が終わるのか?
永らく続いた家が終わるのか………」
「そうさせにゃい為の布石を打ってるにょよ!
今はね生き急いでいる訳じゃにゃいのよ!
でも悠長な事してたら、無くなるのよ!
だからこそ、正して軌道修正を掛けて行く
それでもまだまだ星は………軌道修正されてにゃいのよ
だからありとあらゆる可能性を排除して、意識改革してる最中にゃのよ!
真贋が止めろと謂うにゃら止めるわよ!
目に余ると謂うにゃら止めるしかにゃいからね」
「そうか………このままじゃ1000年なんて言ってられねぇ状況なんだな……
ならばもっと早く謂えよな!こう謂う事はよぉ!
お前一人が踏ん張らなくて大丈夫だ!
オレとお前はワンセットでの転生じゃねぇかよ!
レイ達に繫げる明日が潰えてしまう………
んな事させるかよ!何の為に転生させたんだよ!
ならばオレも頑張るかんな!
烈、オレと二人で踏ん張って頑張ろうぜ!」
康太が言うと宗右衛門の部屋にお迎えに来た榊󠄀原が「その中に父も入れてくれませんか?烈!」と声を掛けた
烈は笑顔全開で「父しゃん!」と呼んだ
榊󠄀原はホロスコープを目にして✗印を目にする
その✗印は来年から変革期に突入する事を告げていた
そしてそれに失敗すると………飛鳥井の明日は潰えてしまう運命なのを詠み解いた
だから改革の手を止めなかったのだ、と理解する
烈は「本当にゃら水野と一色の星も詠みたかったけどね、ボクの脳がそれ以上の負荷は受け入れられにゃくて吐いてしまったから出来てにゃいのよ」と手の内を明かした
榊󠄀原は「目に余る行為だと謂うのは僕の耳にも入っています………此処で知らねば明日はない所まで来ていたのです
そしてそれを知るのは己自身、他の人では知り得られない領域なんですよ!
だから個人の星は詠まなくて良いです!
今無理させて宗右衛門を失いたくないですからね!」と言い烈を抱き締めた
榊󠄀原も1000年続く果てへと飛鳥井が逝けなくなる明日など考えた事はなかった
ならば竜胆やレイや東矢のどれかは、目の前で飛鳥井の終焉を目にせねばならぬと謂う事だと謂うのか……
榊󠄀原は「今を踏ん張れば明日へ繫げる事は出来るのですか?」と問い掛けた
「生半可な改革では続かにゃいのよ!
社員には血反吐を吐いて踏ん張って貰わにゃいとね!」
「ならば頑張って貰いましょう!
勿論、私達も頑張りますから!」
心強い言葉を貰い烈は安堵の息を吐く
そして思い出した様に
「昨日、りゅーまが交差点走ってた時車が突っ込んで来たのよ、その時パトカーが体当して軌道を逸らしてくれたにょね
そこに唐沢もいたわ……母しゃんお礼言っといてね!」
と母に告げた
榊󠄀原は眉を顰めて
「何かやってる事総て康太がやられたことの再来ですか?交差点に車突っ込むの好きですね」と吐き捨てた
康太は「形振り構わなくなって来たって事か……
ならばレイに護衛着けねぇとな………
それか人の世から年明けたら少し隠すか?」と思案していた
「レイたん………狙われているにょよね………
レイたんの星はね、ボクでは詠めにゃいのよ
何時危機があって……とか詠むのは至難にょ技にゃのよ」
「それはどうしてよ?」
「レイたんはニブルヘイムの転生者でしょ?
だから己の星は常に創世記の泉の水でバリヤみたいに護ってるからね……あれを詠むのは無理よ…」
康太は天を仰いでレイの星を探した
転生者の星は真贋と宗右衛門の間にあり、目に見えるからだ
だから烈が耀の星を知れたし、竜胆と東矢の星も詠めたのだった
康太は「あ〜、アレはオレでも詠めねぇわ!
改めて見た事はなかったけど、あの星なれば宗右衛門の星に施した細工なんて出来ねぇわな!」とボヤいた
「そーにゃのよ!だから詠めにゃいから狙われてるのか?解らにゃいのよ!」
榊󠄀原は「ちっこいのにはSPが常に着いてます
ですが、足りませんか?誰か着けますかね?」と悩みつつ口にする
康太が「悩んでても何も出て来ねぇからな、それは追々考える事にしようぜ!
さぁ帰ろうぜ、伊織、おめぇが帰らねぇとキムチ鍋出来ねぇじゃねぇか!」と謂うと慌てて立ち上がり
「では帰りましょう!奥さん
烈は誰と帰りますか?」
「ボクはケントが送ってくれるにょよ!
りゅーまもメンバーも今は飛鳥井で、鍋が出来上がるにょ待ってるわよ!」と言った
榊󠄀原はケントを呼び出して、共に飛鳥井へと還った
この日 烈は狙われる事なく飛鳥井の家に辿り着いていた
烈は「毎日じゃにゃいのね?」と呟いた
まぁ何にしても目の前をチラつく蝿バリに鬱陶しい事に変わりはなかった
飛鳥井の家に帰ると兄達は疲れ切っていた
「どうしたにょ?」と問い掛けると
流生が「白菜の葉っぱをね目が回る位沢山洗ったのよ!」
白菜の葉っぱには土が着いてるから、ペリペリ剥がして洗ったと謂う
烈は「ザバザバ切ってから洗った方が楽にゃのよ……」と謂う
太陽は「それだと土とか完全に取れながらさ、葉っぱをバリバリして洗った方が完璧よ!」と謂う
神経質な太陽には白菜の土とか受け付けないのだろう………
烈は「漢の料理は細かい事は気にしちゃいけにゃいのよ!」と言った
流生はウンウン!と頷いていた
太陽は「え〜そうなの?なら次はザクザク切って洗うわよ!」と謂う
音弥は「食べれれば何でも良いわよ!」と言うと
流石と烈は「その領域には達してにゃいのよ!」とボヤいた
兄達も【それはない!】と却下した
音弥は「え〜食べれれば細かい事は気にならないわよ?」とボヤく
烈が「それは隼人にゃのよ!」と食の拘りのない隼人は何も気にせず食べる
それが焦げてても………気にせず食べる
隼人は傍にいたから
「オレ様は食べれれば何でも良いのだ!
文句を言うのは作ってくれた人に対して失礼だと母に教わったのだ!」と訴えた
傍にいた康太はたらーんとなった
高校の頃の康太は何でもぶち込み食べていた
そしてそれを隼人にも食べさせていた
そして文句を言おうモノならば
「作ってくれた人に対して失礼な事だからな!」と教えたのだった
子供達は一斉に康太に視線を向けた
視線が突き刺さる
結構痛い…………
榊󠄀原が子供達に「キムチ鍋お預けにされたいですか?」と脅して言う
子供達は母に抱き着き、それを阻止した
榊󠄀原は笑って、ずっこい子供達を客間に追いやった
客間には昨夜の客がキムチ鍋を食べに来ていた
榊󠄀原は大土鍋の方では本格キムチを投入して、キムチ鍋を作っていた
部屋にキムチ鍋のスパイシーな香りが充満する
慎一は大量に買った乾物からツマミになりそうなのを作りテーブルに並べて行く
子供達の鍋は一生が辛くない様に作っていた
レイがお餅を手に「これ、いれりゅ?」と聞く
凛が唐辛子を手にして「これいれろや!」と注文をする
椋はちくわを手に「これも!」と言う
一生は「お餅と唐辛子は却下だ!ちくわ、何処からか持って来たんだよ?」とボヤいた
椋は「ちんいちきゅん!」と慎一を指差した
慎一は「ちっこい子には辛いのは無理なので、ちくわで緩和して下さい!
凛、君には中間のをブレンドしてあけるので、その唐辛子はキッチンに置いて来なさい!」
凛は唐辛子をキッチンに置きに行った
その手で目を掻かない様に聡一郎が手を洗ってやった
キムチ鍋を前にして、ちっこちのは
「はちみちゅ?」
「ハバネロ」
「かまぼきょ!」
と勝手な事を言う
一生は仕方がないから最終手段を手にした
「お前らの大好きなお豆腐だ!
これでとうよ?」
とお豆腐を鍋に入れた
レイはレンゲを手にしてワクワクしていた
凛は服を脱ぎ出した
それを慌てて音弥が着せた
「凛、服は脱がないのよ!」と怒る
椋は烈と共に熱いお茶を啜っていた
「落ち着く」
「わねぇ!」
とジジ臭く落ち着いていた
太陽は「母さん、此処に爺さんいるぅ〜!」とボヤいた
家族や皆は笑ってその煩い光景を見ていた
神野や相賀、須賀も騒がしくも楽しい家族に癒やされ辛いキムチ鍋を食べていた
清隆は「これは……辛すぎやしませんか?伊織?」
と言う程に辛かった
榊󠄀原は「流生が屋上で唐辛子とハバネロとジョロキアを育てて、それがゴロゴロ成ったので中に入れました!」と笑って言った
清隆は「え?流生はお花を育ててたんじゃないんですか?」と問い掛けた
「烈のお願いで屋上の温室の外にプランターを置いて野菜を育てていたんですよ
で、島忠まで苗木を買いに行った時、烈が唐辛子、ハバネロ、ジョロキアの苗を欲しがったので買って流生と育てていたんです
それが秋に収穫してキッチンに吊るして保存しておいたモノです!
この前、今年最後の青じそで肉巻きしたじゃないですか!あれも二人が育てていた野菜です!」
自家製ならば辛くて当たり前か?
皆は寒い夜に汗だくだくでキムチ鍋を食べていた
辛いが病みつきなる味に、皆は汗を流してお酒を飲んだ
この日は皆、熱燗ではなくビールを飲んでいた
やはり凛は服を脱ぎ捨て、大人のキムチ鍋を食べていた
どんだけ辛いの好きなんだよ?と想うが、竜胆は生前から辛いのには目がなかった
そして熱々のお茶が入った湯呑みを持ちグビッと飲み干す
清隆は「それ、お酒じゃありませんよね?」と思わず聞いた
皆も同意で烈ばりにお酒の似合う男だと想った
慎一は「お茶です、こんなにちっこいのに飲ませたら捕まりますって!」と言った
烈もお茶をグビッと飲む
榊󠄀原は「あれもお茶ですよね?」と思わず言う
康太は「お子様に見えねぇんだよ!烈、凛!」とボヤく
烈は「失礼にゃー!」と怒る
レイは流石に康太に飛び蹴りかませなくて、烈の背を撫でた
凛は「おれ、ようちちゃ!」と言う
幼稚舎のお子様に見えない貫禄だった
北斗は凛の好みのキムチ鍋を混ぜ合わせて増やしてやる
和真はレイの真っ赤なお口を拭いてやった
和希は烈のお茶をせっせと淹れてやっていた
永遠は静かに食べていた
【R&R】のメンバーも相賀達も楽しげに辛いキムチ鍋を食べてビールを飲んで笑っていた
真矢も清四郎も楽しげに笑っていた
最近は血色も良くなり、顔も穏やかになり元に戻りつつあった
夜が更けても飛鳥井の客間にはにぎやかな笑い声が響いていた
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