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第44話 年末年始 到来
飛鳥井建設の大掃除が始まった
その日、飛鳥井烈は皆を集めた前に立っていた
社員達は深々と頭を下げた
そして姿勢を正すと社員を見渡して
「皆さん、大掃除の時がやって来た!
今年の大掃除は何時もとは少し違うのじゃ!
それを伝える為に皆の前に立った
このお正月休暇中に会社は大幅な部署の入れ替え作業をする事になった!
それ故、私物は今日中に持ち帰り、仕事は総て社員食堂へ運ぶ、スーパーの袋を渡す故、その袋に部署と名前を書いて社員食堂まで運び込んでおいてくれ!
新年、始まりの時、部署の説明とその部署で働く者を3階廊下に張り出しておく故、それを見られる様に!飛鳥井は更なる躍進を遂げて進んで行く!と言う事で今年は特に念入りに掃除を頼む!
そして来年社員旅行がある故、今回の弁当は希望者が1000円出して購入して貰う事となる
すまぬな、絶対に社員旅行は敢行したいからな、少しだけ経費の削減をさせて貰う!」
そう言い宗右衛門は深々と頭を下げるです詫びを入れた
社員達は【大丈夫です!宗右衛門!頭を上げて下さい!私達が宗右衛門の分も払いますから!】と言う程だった
烈は「にゃら綺麗に磨き上げてね!」と言った
社員達はフンフンッと鼻息荒く、その手にマイお掃除用品を手にしていた
翔が前に出て「それでは飛鳥井建設、大掃除始まります!」と始まりを告げた
皆一斉に階段に向かい、階段を駆け上がった
そして自分の部署に行き、掃除を始めた
翔達にはスーパーの袋を持たせて、各部署へ配布に向かった
清隆や瑛太、玲香には前日、会長室で話をした
飛鳥井がこのままでは終焉へ向かうしかない事
今は強引だと想われても、やり遂げねばならない事
そして部署を烈が書いた紙通りに振り分けて年末年始にリフォームが入る事
総てを伝えた
清隆も瑛太も烈の強引な佐伯や水野に対する態度に何かがあると想っていたと話した
そして清隆は「宗右衛門の思いの儘に!」と言い
瑛太と「我等は貴方が敷いたレールの上を直走る
その道を途絶えさせては先祖に顔向けは出来ません!終焉?そんなのは蹴り飛ばしてやります!」と言い切った
終焉を避ける為ならば家族一丸となり立ち向かうだせだ!
社員一丸となり立ち向かうだけの事だ!
そうして部署の事も伝えて迎える大掃除の日だった
この場に佐伯も水野も一色も広報宣伝課の社員達もいなかった
烈は、さてどうしたものか?と思案する
その前に大掃除のこの日を乗り切らねばならないのだ………
広報宣伝だった社員達もこの日は、自宅待機させていた
だが腹いせするなら「来るのよね………」と想っていた
それは康太と榊󠄀原も想っていたから警戒していた
その為にちっこいのは、菩提寺の大掃除へ借り出していた
巻き込まれたら堪ったモノじゃないからだ
何時の世も仕返しや報復の手口は同じ
本当に辟易となる
それでも逝かねばならない道だった
烈が社内を見回る
それは何時もの事だった
そして階段を登り上へと上がる
上がりきった先に急に人が飛び出して来て、烈は嗤った男に突き飛ばされた
ケントは一瞬出遅れて「烈!!!」と叫んだ
やはり………と想い烈はまた痛い目をせねばならぬか………と諦めて目を瞑っていた
…………が、何時になっても痛くなくて、烈は目を開けた
すると蔦が伸びて来て烈を絡み、何とか落下は避けられていた
何もない所から男が現れて、烈を突き飛ばした男を捕まえて殴り飛ばした
「良い度胸だなお前、殺人未遂で突き出してやろうか!」
男は「うわぁ〜助けてくれ!」と叫んだ
その騒ぎを聞き付けて、康太と榊󠄀原が駆け付けて来ると神威がいて驚いていた
榊󠄀原が「神威?」と名を呼ぶと、神威は烈を床に下ろして「良い度胸だな!コイツは会社で殺人未遂を起こす所だった!」と告げた
康太は「あんで神威が?烈が知らせたのかよ?」と問い掛けた
「嫌、伯母上が主の倅ヤバいぞよ!と教えてくれたんだよ!
で、即座に鏡で送って貰ったから来たんだよ!
そしたら後少しで階段の下に叩き付けられる所じゃったから蔦を放ち助けたのじゃよ!」
と説明した
康太と榊󠄀原は成る程と納得した
天照大御神ならばそれも可能な事だから………
烈は「報復に来るかにゃって想っていたにょよ
でもね、まさか階段の上に突然現れて突き飛ばされるにゃんて想わなかったにょよ!」と言った
康太は唐沢に電話を入れた
ワンコールで出た相手に「烈が危うく殺される所だったわ!」と告げた
そして事情を話した
大歳神が出て来て烈を助けたけど、それだと警察には言えないからだ
唐沢は『防犯カメラとかありますか?突き飛ばしてるのが映っていたら後は此方で何とかします!』と言った
飛鳥井は階段にも防犯カメラが備えてあった
そして出来たばかりの、ARЯK警備保障と契約を交わしたばかりで、その映像は警備会社に転送されていた
康太は直ぐ様警備会社に連絡すると、唐沢が取りに来たらその上像は渡す!と約束してくれた
それを唐沢にラインで伝えた
榊󠄀原は元広報宣伝課の社員に
「こんな子供に仕返しですか?恥を知りなさい!
我が社にはそんな社員など不要です!
貴方は解雇とします!」と解雇通達をした
警察がやって来て、元社員を連れて行った
康太は「自宅待機だからIDは停止してなかったわ!」と言い即座に自宅待機となっている社員のIDを停止させた
これで社内に入り込むのは無理となった
そんな中、翔達は社員に寄り添い、掃除をしていた
お昼前にお弁当の申込者からお金を貰い、お弁当を運んで貰う手筈を整えた慎一は康太に
「社員が皆、烈の分だとお金を渡して来たのですが、どうしますか?」と問い掛けた
こは笑って「それなら食堂のヘルシー定食の食券にして烈に渡してやってくれ!」と頼んだ
烈の為に渡して来たお金ならば、烈のお昼に消えるのが良いだろう、と踏んだのだった
慎一は直ちに食券を購入した
一年は食べられるんじゃないか?って程の食券の束をケースに入れると、掃除の終わりに告げようと想った
そしてお昼の手筈を整えて注文する
おおよその数量は事前に伝えてあった
そして正式な数を伝え、支払いはお弁当が来た時に支払う予定だった
皆、掃除の前に机の上のモノを総て配られた袋の中へ入れ名前と所属を書いて社員食堂へと持って行った
そして机を重ねて廊下に出して、部署の掃除を始めた
綺麗に綺麗に掃除をして行く
そしてお昼になると各部署の責任者にお弁当を配り、責任者はお弁当をコンテナに詰めて貰い皆で運び込み食べる事にした
部署の皆と話をしながらお弁当を食べる
清隆と瑛太はヘロヘロになり掃除をしていた
そしてお昼になると食堂へ移動して、お弁当を食べ始めた
烈もお弁当を食べていると食堂へ社員が差し入れを持って来ていた
「烈さん、ウィンダinゼリーです!」
「宗右衛門、カニパンです!」と次から次へと差し入れが持って来られる
特に主婦層の社員には人気があり
「これ香ばしい麦茶よ!」とお茶を貰ったりしていた
女性社員には悩みを相談して聞いてくれるって事もあり、それが百発百中当たるから、下手な占い師に行くよりも凄い!と感謝の思いを込めて差し入れがあった
そして烈の大好きな兄達にもレイ達にも差し入れはされた
涙で瞼を晴らした女性社員は
「年が明けたら話を聞いて下さい!
やはり宗右衛門が止めとけ!と言った通りの人でした!」と涙ながらに言いヘルシー寒天ゼリーの入った紙袋を置いて行った
清隆や瑛太は社員の目線で話を聞いている宗右衛門が、めちゃくそ人気があるのが理解出来た
そこへ城田と愛染と瀬能がやって来て
「烈、お疲れ様!」と言い井筒屋の羊羹を差し入れた
「あ、ようかん!」と烈は叫んだ
ニコニコ笑って「家に帰ったらにーに達とレイたん達と食べるわね!ありがとう!」と礼を言った
そして「お礼にしろたん、あいちゃん、せのちゃん達を大変な部署の責任者にしちゃうわね!」と言った
城田は「それ要らないよ!」と遠慮する
愛染も「責任重大になっちゃうじゃんか!」とボヤいた
瀬能は「烈が言うならば地獄の果てでも逝くと決めている!」と言った
烈は笑って「遠慮すんにゃ!そしてせのちゃん、大好きよ!」と言った
瀬能は能面の様な顔を外して、嬉しそうに笑っていた
康太は笑って「その部署の責任者は嘘じゃねぇから!オレ等も最近聞いたからな!」と追い打ちを掛けた
城田は「烈がやれって言うならさ、何としてでもやるよ!」と言った
愛染も「烈の事だから我等を適材適所配置して、扱き使う算段なんですね!
解りました、頑張りますよ!」と笑った
瀬能は「どの課でもやれと言うならばお任せてしてくれ!烈!」とデレデレだった
それを見ていた社員が「瀬能さん、烈君と下のレストランでお昼食べてるの時たま見ます!」と瀬能だけ良いなって羨ましがった
瀬能は笑っていた
人間味を溢れさせて笑っていた
昼休みを終えて大掃除のラストスパートに掛かる
神威は康太からデラックス定食を奢って貰い食べていた
清隆からは珈琲を奢って貰い、満足して食べていた
瑛太は「今夜は一緒に帰りましょう、夜はお疲れさん会を開く為、すき焼きの材料を頼んであるんですよ!」と謂われたから、俄然やる気になり
「帰りは乗せて行って下さい、儂は足がないので!」と頼んだ
清隆は「なら掃除が終わったら迎えに来ます!」と言い掃除に戻った
今年最後の大掃除は終わりを迎えた
どの課も総ての机を片してピカピカに磨いてあった
掃除の終わりを告げると、宗右衛門は各部署に回って「お疲れ様じゃった!来年も頑張ってくれると嬉しい!」と回った
そして挨拶が終わると烈が「ありがとう!」と深々と頭を下げた
榊󠄀原が「烈の分のお弁当代は、ヘルシー定食に変えて当分は烈のお腹を満たしてくれます!
本当に社員の皆さん、ありがとう!」と感謝の意を伝えた
烈はヘルシー定食の食券を手にして嬉しそうに笑っていた
康太が「今年の大掃除はこれで終わる!
皆 一年間 ご苦労様でした!
そして来年も宜しくお願いします」と締め括りの言葉を放った
清隆は神威を拾って飛鳥井の家へと還った
慎一は流生達を乗せて家へと還った
玲香も瑛太も飛鳥井の家へと帰る
烈はケントに乗せられ飛鳥井の家に還った
それを見届けて、康太と榊󠄀原は飛鳥井の家へと還って行った
その夜は一年間お疲れ様会を開いた
流石にすき焼きの材料をあの大土鍋で煮込む訳には行かなくて、土鍋を3個出して作っていた
子供達はやはりお肉もだけど、何故かお豆腐が人気あり焼き豆腐を沢山入れて作り上げた
それを菩提寺の大掃除に行ってた、ちっこいの達も喜んで食べていた
「おもち」
「はばにぇろ!」
「あつあげ」
とちっこいのは好き勝手言いながら食べていた
烈はすき焼きを食べつつ母に
「母しゃん、りゅーたろうにおもちつかせたら?
そしたらあんころ餅とかきなこ餅とか作れるにょよ!」と提案してみた
一生が「それ良いな、餅米を買って来るからさ、明日にでもお餅ついてやったらどうよ?」と問い掛けた
榊󠄀原は「大掃除がありますよ?」と謂うと翔が
「後は各々の部屋だけです!
他はばぁたん達に手伝って貰って総て片付いてます、あの……僕も搗き立てのお餅食べてみたいです!」と言った
大空は「レイは本当にお餅好きだもんね!
僕達もお餅大好きなのよ、ねぇ、流生!」と言った
流生は「レイに搗き立てのお餅を食べさせてやりたいのよ!それにばぁたん達も搗き立てよ?
食べたいわよね?」と謂う
真矢は「そうね、食べたいわ!」と謂うと清四郎も「私達も食べたいからね、無理かな?」と問い掛けた
すると神威が「ならば義泰の実家を取り壊す前に実家から臼と杵を持って来てる筈だぜ!
それを借りてやれば良いではないか!
無論、儂も搗き立てのお餅を食べさせてくれるならば、餅つき要員として頑張るぞ!」と謂う
榊󠄀原はわらしべ長者並の話の展開にほぼ諦めの境地になり
「ならば餅米を買いに行きましょう!慎一
そして明日は朝早くからお餅付きをやりましょう!」と告げる
子供達は「やったー!」と喜んだ
太陽がレイに「良かったね、柔らかいお餅食べられるよ!」と言った
すき焼きの卵でお口をデロデロにしたレイが嬉しそうに笑う
「りん おもちらよ」
レイが言うと凛は「とりあえじゅ、やきゅ!」と熱く語った
流生は「焼いたら駄目だよ凛、搗き立てのお餅なんだから、そのまま食べないと!」と謂う
椋は「おいちぃにょかな?」と前世も一度も口にした事がない搗き立てのお餅に思いを馳せた
音弥が「僕達もさ、搗き立てのお餅は食べた事がないんだよ!」とワクワクして謂う
椋は嬉しそうに笑っていた
搗き立てのお餅で話は弾み
清隆も「私も搗き立ては初めてなのですよ!」と謂う
神威は「義泰は臼と杵持ってる癖に使わねぇからな、貰っといたらどうよ?地下駐車場にトレーニング室在るやんか、その片隅にでも入れとけよ!」と謂う
康太は「おっ!それ良いな!オレも搗き立ては食ってねぇからな楽しみだな!」と謂うと玲香と瑛太も京香も頷いた
その夜は………まさかあんなに餅搗きがあんなに大変だとは想う事なく、話を弾ませていた
翌朝、早くから餅米と米を洗って浸して蒸して、圧力鍋で小豆を煮て準備していた
菩提寺から慎一が龍太郎と仁を連れて来てくれた
帰りには龍星や環や夏海や水萌、竜之介達の分のあんころ餅やきなこ餅を持たせるつもりでいた
今有るだけの餅米を使い準備する
そして何時も利用している米屋に朝イチで餅米を3キロ配達して貰える手筈を整えいると、神威が荷台に臼と杵を乗せて持って来た
それを風呂場で綺麗に洗い準備する
龍太郎は杵を手にしてやる気満々だった
蒸した餅米を臼に投入すると、龍太郎がペタペタと搗き始めた
返しは聡一郎、お水をつけてひっくり返す
絶妙なコンビネーションで1回目付き終わり!
次は神威と慎一がペアになり、搗き始めた
その次は仁が一生とペアになり搗き始める
それを何度か繰り返し、流石の神威もヘロヘロになり頑張っていた
榊󠄀原は玲香と京香と真矢で、お餅を等分に分けて米粉の上に投げ入れて行く
そのお餅を翔、太陽が丸くしてケースに入れると
和希と和真、流生、音弥があんこを担当、大空と永遠と北斗がきなこを担当してまぶせて作業をしていた
まずは菩提寺へ持って行く分を作り、重箱に詰めて風呂敷で縛ると、隼人に菩提寺に持って行って貰う
その後に自分ちの分を作り出す
烈、レイ、凛、椋は瞳を輝かせ、その工程を隅っこで見ていた
そして搗き上がると、お疲れ様!と龍太郎と仁と神威にスポーツドリンクを手渡した
そして榊󠄀原は大量に作られたあんころ餅ときなこ餅をお皿に一つずつ入れて、客間に運ばせた
龍太郎と仁と神威は源右衛門の部屋で風呂に入り着替えたら?と言ったが、3人は汗なんてかいてない!と笑い飛ばした
客間で搗き立てのお餅を食べる
神威は「酒に合いそうやんか!」と謂うと清隆と瑛太が酒を持って来て飲み始めた
龍太郎と仁も飲み始め、慎一と榊󠄀原は急遽酒のツマミを作りに行った
年末年始を視野に入れ買い出しならば多めにしてあった
子供達は祖母に頼み、お餅のお替りを貰っていた
レイはお口にあんこを一杯着けて食べていた
「おいちぃ!」
「うめぇにゃー」
「こんにゃのたべたことにゃい」
と各々に言い食べていた
そしてお腹が膨れると、お茶を飲んでいた
子供達は榊󠄀原を始め飛鳥井の家族や神威や龍太郎や仁に「ありがとう御座いました!」と感謝の言葉を述べた
龍太郎は穏やかな顔をして笑っていた
夜になると、烈は康太と榊󠄀原と共に立ち上がった
榊󠄀原は「飛鳥井建設のリフォームを見届けに行ってきます!」と告げた
清隆は「今夜から始まるのでしたね」と呟いた
瑛太は「29日からでしたよね?昨夜から始まったのですよね?昨夜も康太達は行ったのですか?」と問い掛けた
慎一は「ええ、夜の9時時から開始なので、それまでには行ってます!」と伝えた
一生は「あの3人はいねぇけど、皆はお疲れだったから飲んで明日帰ってくれ!との事ですから!」と言った
その言葉に………家族は何時も通りに過ごす事にした
康太と榊󠄀原と烈は会社のリフォームに立ち会っていた
皆手際が良く、流れる様に動き自分の仕事を片付けて行く!
防音を視野に入れた作りに榊󠄀原は
「あれは防音パネルですか?」と問い掛けた
烈は「そーにゃのよ、他部署の声が響いていたら仕事ににゃらないからね!」と言った
足元は透かしガラスで、上はクリアな感じだが、その防音パネルは天井に穴を開けてブースとして作られていた
各部署をブース形式にして作り上げられている部署を目にして康太も榊󠄀原も全く違う会社の様だと想った
会議室は箱状に組み立て作られていく
小さな会議ならば、この会議室で事足りる様になっていた
3階が終わったら次は4階に取り掛かるが、会議室が手が混んでるから時間が掛かる
取り敢えず3階は終わらせ、年内の工事は此れでは終わる
来年は4階から始める予定だった
そして一番難関は製図課だった
烈は悠太に相談して製図課を自由な空間にする為のリフォームの製図を頼んであった
昨夜から始まる工事は皆一丸となりサクサク進めて行った
そして日付が変わる前には工事は終えて撤収していた
康太と榊󠄀原は烈を乗せて飛鳥井の家へと還って行った
そして迎える大晦日、榊󠄀原は朝からお節の作成にキッチンを占拠していた
子供達は昨日のあんころ餅ときなこ餅を焼いて貰って食べていた
菩提寺へとお土産のあんころ餅ときなこ餅は隼人が早々にお届けに向かって、皆喜んでいたと丁寧なお礼の電話を貰った程だった
菩提寺の皆は、喜んでお餅を食べていた
夏海は「懐かしい!」と感激して食べていた
まさか………こんな風にまた人の世に来られるなんて想っても見なかったからだ!
そんな想いを抱き迎える大晦日
夜までに榊󠄀原はある程度のお節を作り上げ、重箱に詰めて完成させた
後は大晦日に生物を入れて、彩れば完成だった
そして今夜は時間がないから慎一は天麩羅を買いに商店街で買い物をする
飛鳥井は一年間、年末年始のお料理の為に家族でプールさせる食費とは別にお金を積み立てていたのだ
それを年末年始に使って買い出しに出る
竜馬達【R&R】のメンバーも食費を入れてくれてるから、今年は潤沢な資金で刺し身の塊を幾つも購入した
【R&R】のメンバーは今イギリスへ帰国していた
竜馬も実家に帰り年末年始は三木の家で過ごす
兵藤は少し前から烈に叩き込まれた戦略を駆使して地盤を固める為に、父親の選挙区の地元入りしていた
顔を売り、名を売り、その実力を認めさせて行く
烈達はあれから井の頭公園へ何度か行ったが、警戒した霊が姿を消していたから打つ手がなかった
また年を越して、見に行く事で話は着いた
そして迎える大晦日だったが、紅白見てると烈は眠気に負けて、おざぶの上で眠ってしまっていた
また今年も年明けと同時に【明けましておめでとうございます】が言えなかった
レイも凛も椋も眠ってしまい、部屋へと連れて行って寝かせた
清隆達は改めて年明けと同時に
「明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願いします」と口にした
年が明けた
新しい年の始まりだった
元旦の早朝、烈は応接間にいた
そして応接間に入って来た一生に
「年始の挨拶に行って来るにょね!」の言った
一生は「何処へ行くんだよ?」と問い掛けた
「煌星と海たんちよ!」
「こんな早くにか?」
時計を見れば朝の6時だったから、聞き返してしまった
「誰に乗せて貰うんだよ!」
「バスだと駄目?」
「駄目だよ、俺が連れて行く!」
「良いにょ?」
「良いに決まってるやんか!さぁ行くぞ!」
と言い、一生は烈を乗せて戸浪海里の自宅へと向かった
来客用の駐車場に車を停めると、海が姿を現し
「明けましておめでとう、烈!」と声を掛けて来た
一生と烈は海に案内されて自宅の応接間へと迎え入れられた
ソファーには煌星が座ってて「明けましておめでとう!烈!」と声を掛けた
烈と一生をソファーに座らせると沙羅が珈琲とお茶を淹れてやって来た
沙羅は「烈、明けましておめでとう、今年も宜しくね!」と珈琲カップを置きながら声を掛けた
「一生、朝早くから悪かったですね!」
「構いませんよ!」
一生と沙羅が話をしていると、戸浪が起きて来て応接間にやって来て………固まった
子供が一人増えていた
ニコニコ笑って座る煌星、海、そして烈だった
戸浪は「烈、どうしたのですか?」と問い掛けた
「若旦にゃ、明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願いにゃのよ!」
烈が言うと戸浪も新年の挨拶をした
「煌星をね、昼まで借りに来たにょよ!」
「煌星だけですか?」
「そーにゃのよ、ボク学校休んでたでしょ?
だからね、同じ班の煌星に聞かにゃいと解らにゃいのよ!でね、呼びに来たにょよ!」
戸浪は「解りました、煌星、行ってらっしゃい!」と送り出してやった
戸浪にはそれだけではないと想いつつ………烈に報いる為に送り出すのだった
一生は煌星と烈を乗せて、戸浪の家を後にした
一生は「飛鳥井に帰るのか?」と問い掛けた
烈は「菩提寺にお願いにゃのよ!」と言った
それで烈の意図を察して菩提寺まで車を走らせた
菩提寺の駐車場に車を停めると烈と煌星は車から降りた
そして菩提寺の家族が住む寮へと歩いて行った
水萌が「烈…………その子は?」と烈に声を掛けて、その横に龍星ソックリの子がいて息を飲んだ
「夏海は?」
「部屋におります!」
水萌が答えるから、烈は夏海が借りている部屋の前まで行き、ドアをノックした
すると夏海がドアを開けて「烈ちゃん、どうしたの?」と声を掛け………
その横にいる子に目を止めて息を飲んだ
烈は煌星の手を掴むと部屋の中へズンズンと入った
そこには雅龍もいて、煌星の姿に動きを止めていた
龍星は煌星を見て……兄弟だと想った
こんなにも似ている存在なれば、兄弟しかない
そう想った
煌星はニコッと笑って「戸浪煌星です!」と自己紹介した
烈は「飛鳥井烈です!」と自己紹介をした
煌星は「烈はそれ要らないじゃんか!」と謂う
烈は「そう?にゃら聖神で〜すって言っとく?」と聞いた
煌星は「それはもっと要らない!」と一蹴した
烈は雅龍と夏海の手を取ると、煌星を抱き締めさせた
龍星は煌星に「飛鳥井龍星です!」と自己紹介した
煌星は「どんな字書くの?」と問い掛けた
すると烈がメモ用紙を取り出して【龍星】と書いた
煌星は「なら僕らは兄弟だね!」と言った
龍星は煌星に抱き着いて泣いていた
煌星は少しだけ泣いていた
烈は「がっくん、見て来てくれた?」と問い掛けた
雅龍は「見て来たぞ、本当に住み着いていたから閻魔が創造神の怒りに触れると警告したが、聞きやぁしねぇよ!」とボヤいた
「にゃら仕方がにゃいわね
神が半分ににゃるのよ、朱雀大変になるからね、手助けしてあげてね!」も言った
「あぁ、俺は今半々で過ごしているからな
今度帰る時は朱雀と同じにする事にする!」
煌星は「ねぇ烈、兄弟の感動の再会なのよ?何で見てくれないの?」と文句を言った
「だってこーくん泣いてたから見ないフリしてあげたにょ?」
「煩いよ!烈、良いじゃんか少しだけ泣いちゃっても………」
「良いにょよ、だから見ないフリにゃのよ?」
「れつぅ!」
煌星は烈を抱き締めた
煌星は姿勢を正すと「また烈に連れて来て貰います!」と言った
そして龍星を抱き締めて、烈と共に帰って行った
烈は一生に飛鳥井の家まで送って貰った
昼過ぎに戸浪が煌星を迎えに来た
烈と煌星は応接間で宿題を片付けていた
それを目にして戸浪と共に来た海が「あ、ズルい!先に進めてないよね?」と聞いた
烈は笑うと「進んじゃった!」と言った
海は「酷いよ烈!」と抱き着いてボヤいた
烈は「にゃら夜にまたZoomね!」と謂うと煌星も海も納得した
康太は烈が煌星を何処へ連れて行ったか、視て知っていた
が、何も言わず「んとに悪ガキだなおめぇ等は!」とボヤいた
戸浪は新年の挨拶をして明日は年始に親類が集まるから…と、煌星と海を連れて還って行った
戸浪が帰ると烈は母に
「思春期が来る前に一度手を打ちたかったにょね
こーくんは曲がらにゃいけど、意固地なヤツだからね、ここいらでソックリにゃの知るべきだったにょよ!」と言った
康太は「煌星は龍星を認めたのか?」と問い掛けた
「認めるしかにゃいのよ
鏡みてる程に似てるんだもん」
康太は笑って「だな、いい風が吹いて煌星が曲がらないならば、俺はそれで良い!」と言った
「こーくんは頑固一徹だからね、海たんは大変にゃのよ!」
康太は笑って「だな、アイツの親父が不動な男だからな!」と言った
そして果てを見て「龍星も自分の兄弟の存在を知り、考えて馴染もうとするからな、良いタイミング狙ったな!
天龍も竜胆が一から教え始めて、日常生活は出来る様になって来たみてぇだしな、んとにいい風が吹いてるじゃねぇかよ!」と言った
烈は宗右衛門を出し
「今世は根を生やさねばならぬからな
揺らいで倒れる根では繋がらぬ故、確り根を張り踏ん張らねばな!
その為の必要な過程だったのじゃよ!」と言った
総てが飛鳥井の為、家の為、そして果てへと繫げる為の一環だと言った
そしてその絆は魔界へ還っても繋げられる兄弟の絆となる為………
康太は「ったく憎い事してくれるよな!」と笑った
烈は課題をせっせと片付けていた
そこへ兄達がやって来て、一緒に課題を始めた
康太は一生に「朝早くからお疲れさん!」と言った
一生は「俺は車に乗せただけだ、何もしてねぇよ!」と笑った
そして「しかし……鏡写してるの?ってバリに並べばソックリだったな………離れてる時は気にもしなかったが、並べば兄弟だったよ!」と告げた
康太は「龍って遺伝子レベルで似るのか?」と問い掛けた
「俺んちは遺伝子レベルでは似てねぇからな
アレは特別なんじゃねぇのか?
考えても見ろよ康太、遺伝子レベルで青龍4體になるんだぜ?
そんなんお前は喜んでも俺等は勘弁だわ!」
「お前達は似てないもんな、あ!でも痩せた金龍、青龍に似てるなって想っちまった………」
「あ〜、それな、俺も想った、本人は嫌だろうけど、若かりし頃は青龍だったんだと想うレベルだと考えちまったな」
そんな会話をしていると、後ろで嫌な顔をした榊󠄀原が立っていた
「君達、どんな話をしているんですか?」と少し怒って言う
一生は煌星と龍星が鏡を見ているバリに似ていたと榊󠄀原に説明した
榊󠄀原は肩を竦めて「そんなの君達はコピーバリにソックリな存在常に見ているでしょうが!」と言った
康太と一生は「あ!神威!!」と叫んだ
そして烈を見る
コピーバリは3代続いていたわ………
榊󠄀原は「それよりも烈がいなかったから、お雑煮食べれなかったので食べますよ!」と言った
すると兄達と烈は目を輝かせ
「何処で食べるにょ?」と聞いて来た
榊󠄀原は何と現金な奴と想いつつ
「客間で食べますよ、もう暖房もストーブも着いてて熱燗は作られていますからね
飲む気満々ですから………まぁお正月だから許しますけどね!」とボヤき客間に向かった
子供達は皆お手伝いしてお雑煮を食べる準備をしていた
レイは烈を見付けると、喜んで飛んで行った
「れちゅ!おきゃーり!」
「レイたん ただいま!」
「れちゅ、ぞーりよ!」
「ボク、草履は食べられにゃいのよ!」と笑ってレイを席に付かせる
凛と椋も席に付き大人しく待っていた
太陽が「凛、暑くても服脱いじゃ駄目よ!」と釘を差し、雑煮を置いて行く
凛は「わかっちゃ!」と言い雑煮を食べ始めた
椋は「おいちぃ」と食べていた
ここ最近の椋は些細な事でも感想を口にしていた
大空は烈の前にヘルシー寒天ゼリーを置いてやった
「かなにー達の分は?」
「あるよ、今ひなが配ってる!」と言った
ウィンダinゼリー以外は皆で分ける
応接間には子供用の冷蔵庫を設置して、そこに貰ったお菓子とか冷やしてあった
夏の間はカンカンジュースを大量に冷やして作ってあった
烈や兄達が何やら貰って来るから、その冷蔵庫は常に何かしらが冷やされていた
お雑煮を食べてデザートに寒天ゼリーを食べて、烈は満腹だった
烈の携帯は常にブルブル震えていたから、3階に用があって上がった慎一が烈の携帯を持って来て、烈の前に置いた
手渡された今もブルブル震えていた
烈は携帯を開いて「りゅーま……」と呟いた
そして「母しゃん、りゅーまうちに来たいって泣き言言ってるにょよ?」と母に相談した
康太は「喧嘩でもしたのか?」と問い掛けた
「三木の家では至れり尽くせりだけど、三木の家のお歳暮ぶん取ったから飛鳥井に来たいって泣き言にゃのよ!」
康太は笑って「来れば良いと返しておいてやれ!」と言った
烈は「でもお歳暮は駄目よね?」とボヤいたが
『母しゃんが来れば良いと言ってくれたにょよ!」とラインした
すると即座に返信があり『今から行くっす!』と返って来た
烈は携帯を母しゃん見せた
康太は「新婚の夫かよ!」とボヤいて
慎一に「竜馬来るわ!」と伝えた
慎一は「あの方はシャッターのリモコン持ってるので好きに飛鳥井に居着いてますよ!」とボヤいた
一生も「もぉな源右衛門の部屋じゃなくて竜馬の部屋だもんな!」と言う程だった
真矢は笑って「竜ちゃんは本当に飛鳥井大好きですものね!」と言った
康太はどんだけなのよ竜馬………と想った
暫くすると竜馬が烈に『荷物取りに下りて来てくれ!』とラインを入れた
烈は一生に「カズ、りゅーまがこんにゃ事言ってるのよ!」とラインを見せた
一生は慎一と共に駐車場まで下りて行った
すると竜馬が三木と一緒に来ていて車から大量のダンボールをドサドサ下ろしていた
一生は慌てて康太を呼びに行った
「康太、ダンボールを大量に持ち込みやがった!」と言うと康太と榊󠄀原と瑛太が駐車場まで下りて行った
康太は三木に「此れは何なんだよ?」と言うと三木は笑顔で「戸浪はお届け物を持って来て飲んでいたと聞きます!だから我が家もお届け物来てるので、この機会に極上なモノだけお届けに来たのですよ!」と告げた
竜馬は手に高級ハムを持っていて
「烈、高級ハムっすよ!」とハムを見せた
三木の家の家族は何を食べるのかしら?と烈は心配して「ともちゃん困らにゃい?」と問い掛けた
竜馬は「うちは母さんの実家の親族からもお届け物有りますから、カブってるハムを持参しただけです!」と安心させた
烈は「母しゃん、このハム薄く切ったらツマミににゃるわよ、神野とたかなち呼ぶ?」と聞いてみた
康太は「正月だからなどうだろ?一応聞いてみて、誘ってやれ!」と言った
眼の前ではダンボールを部屋へと運ぶ姿が………
「ボク持てるかにゃ?」と呟くと榊󠄀原が
「転んだら怪我するので大人に任せておきなさい!」と言いダンボールを手にして部屋へと向かった
取り敢えず客間の縁側に積み上げて行く
慎一はダンボールの中を確かめて、お酒と食品と油を仕分けした
兄達も手伝い分類で置いて行く
高級なお酒が何本も入っていて、それを更に日本酒とワインとブランディーに分けて置いて行く
烈は神野に「お酒飲みに来る?」とラインした
神野は『行きたい!良いのか?元旦から?俺等は元旦だから遠慮していたんだよ!』と返って来た
烈は「良いにょよ!にゃら飲みに来てね!」とライン送り「おれら?」と首を傾げた
そして母に「母しゃん、おれらって!」とラインを見せた
康太は爆笑して「そりゃ飲み仲間が一気に来る気だわ!」と言った
烈はたらーんとなり萎れた
「ぎょめん………母しゃん」
「あんで謝るんだよ?押し掛けて来ても飛鳥井は大丈夫だ!賑やかなの好きだからな
大勢来ても賑やかになるって喜ぶだけだ!」と烈の肩を叩いて言った
暫くして神野が「シャッター開けてくれ!」と康太に電話して来たから、慎一に頼みシャッターを開けに行って貰った
そして車から降りると、手に沢山のツマミを持って、神野、小鳥遊、相賀、須賀、そしてどう言う訳か神威と善之助がいた
皆、飛鳥井の家族を目にすると
【明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願いします!】と新年の挨拶をした
康太は「どんな集まりなのよ?」と問い掛けた
すると神野は「ガード下での飲み仲間です!」と言った
客間に通され、取り敢えず皆の前にも雑煮を置く
もしや増えるかも………と大土鍋で作っておいて良かったと榊󠄀原は想った
レイと凛と椋は皆の前にあんころ餅ときなこ餅を置いて行った
落とさない様に慎重にお皿を持って行く
そして「どうじょ!」と置いて、お手伝いは完了した
兄達も手伝い皆に配る
神野達はツマミを慎一に手渡すと、雑煮を食べ始めた
三木は家に帰り、竜馬がお届けされた事になる
三木は近くのコインパーキングに車を停めて2台で飛鳥井へ来たのだった
お届け物を飛鳥井に下ろして年始の挨拶をしたら、家族の待つ家へと還って行った
竜馬も兄達と一緒にせっせと動いていた
竜馬は幻の吟醸を手にすると
「これ、年始に相応しい酒なので冷で飲みませんか?」と聞く
すると清隆と瑛太はコップをキッチンまで取りに向かった
どんだけ飲みたいのよ?と康太は苦笑した
榊󠄀原が全員分のコップをトレーに出して乗せてやると、瑛太はそのトレーを貰いスキップ銭勢いで客間に急いだ
そして幻の吟醸を冷で注いでもらい飲み始める
皆は美味い!美味い!と飲んでいた
レイと烈はあんころ餅を食べていた
流生がレイのお口を拭いてやりカブれない様に気をつけてやった
レイはお醤油でも口がカブれてしまうから久遠に見せたら皮膚が弱いから気を付けてやってくれ!と謂われたからだ
飛鳥井の家族はこんなに賑やかな正月は初めてだな……と想った
神野達が持参したツマミも美味なのばかりで、清隆や瑛太、玲香と京香もにこやかに飲んでいた
真矢と清四郎もこんな賑やかなお正月は初めてだなと想い、美味しそうに吟醸を飲んでいた
榊󠄀原は夜になるとお節を広げ、皆は美味しいと口々に述べた程に最高の出来だった
子供達もお節を食べていた
榊󠄀原は雑煮の残ったのにお豆腐とお餅を小さくして入れて皆に振る舞った
子供達はお豆腐とお餅のダブルコンボに上機嫌で食べていた
そしてやはり凛は「はばねろ!」と叫んで服を脱いでいた
翔がピキッとして「服を脱ぐ大人になったら大変なのよ!」と怒った
凛は「だってあちゅいんらもん」と言った
榊󠄀原は凛の額に手を当てた
熱はなかった
烈は「竜胆はね、昔から暑いって服脱いでいたにょよ!雪振ってても上半身裸だったにょよ!」とボヤくと康太も思い出し
「だな、何か何時も服着てねぇのなお前!」と言った
竜胆は「俺を変態みたいに言うな!」と怒った
そこにいた皆は爆笑していた
真矢は凛を撫でて「暑いならタンクトップ下に着させたら?」と真剣に言った
聡一郎は「それさえも脱ぎそうですよ!」と言う
真矢は「あら………野生児過ぎよ、それは」とボヤいた
清四郎は笑って「それが凛なんですよ!」と言った
真矢と清四郎は二人で暮らし始めて、ホッとしている自分達に驚いていた
やはり何処かで気を遣っていたのだと想う
もう同居は無理だと痛感していた
こうして誰に気兼ねする事なく、飛鳥井に来て孫達や子供達と触れ合う時間は本当に二人には必要な時間だった
同居にストレスはないと思っていたが、ギスギスして過ごした時間に………
やはりストレスを感じていたのだと想った
正月が明けたら、康太が「宗右衛門が正しい道を示すと申されているから、話し合いをする!」と言った
真矢も清四郎よ異論はないから、それを受け入れた
ずっとなんの話し合いもせずにはいられないのは、真矢や清四郎が解っている事だから………
「ばぁたん、楽しんでる?」
と烈が聞く
「楽しんでるわよ!」と心から謂う
烈はずっと二人が落ち込まない様に宴会を開き続けてくれたのを知っていた
榊󠄀原がついでだとばかりに
「あ、此処で皆さんにお知らせがあります!
1月中旬に烈が【R&R】のメンバーと貴史と旅行に出ます!
それに合わせて僕達は後でを追いかけて旅行に出ます!門扉とドアを烈が支払ってくれると言うのならば、我等はちっこいのも北斗達も総てで旅行に行きます!」と宣言した
そして「烈は熱海か鬼怒川を所望しているので、神野、参加しますか?少し参加費は必要ですが旅館貸し切りになるので料理代は出して貰いますが、飲める事は間違いないです!」と付け加える
神威は「なら儂は参加費払うから参加って事で!」と言うと善之助も
「なら私も参加費払うのでお願いします!」と言った
相賀も須賀も神野と小鳥遊も参加費を払うから、と参加を申し出た
小鳥遊は「我が子は私の実家の母に面倒を見てもらってるので、旅行に行きたいです!」と言う
清隆は「なら観光バスをチャーターして行かなきゃ!」とワクワク言っていた
竜馬は「めちゃくそ楽しい旅行になるじゃないっすか!」と興奮していた
清四郎も「私達も参加費払いますから参加させて下さい!あぁ仕事増やさなくては!
真矢も頑張って旅費稼ぎましょうね!」と言った
真矢は笑って「そうね、頑張って稼がなきゃ!」と言った
烈は竜馬とハイタッチして「りゅーま!」「烈!」と喜んでいた
そしてレイも手を出すからレイともハイタッチした
レイは「れちゅといっちょ!」と喜んだ
榊󠄀原は烈が門扉とドアの費用を出すと言った日から、清隆や瑛太や玲香と相談していたのだった
ならば全員で旅行に行きます?と聞くと大喜びして門扉と扉代を五等分で割った費用を請求していたのだった
その費用を旅行に当てるつもりでいたのだ
お正月から楽しい話に花を咲かせて、皆が幸せ気分を抱いたまま過ごされた
夜明けまで飲み………酔い潰れて寝てしまった酔っ払いに毛布を掛けてストーブを切った
エアコンを着けて温度を保ち、加湿器を着けた
榊󠄀原は早々に寝室に切り上げると姫始めの取り立てに夢中になっていた
喘ぎまくり、悶えまくりで迎えた姫始め
榊󠄀原は大満足で康太はヘロヘロだった
レイは烈の部屋の横にお布団を敷いてもらい、一緒に寝れて上機嫌だった
こうして元旦は過ぎて行った
2日目 酔っ払い達を起こして、初詣に全員で出かけた
そして神野や相賀達は還って行った
神威も有栖が待ってるからな、と言い還って行った
有栖は元旦は栗栖と暦也とで食事に出掛けていた
神威が留守の日は事務所のスタッフが来て、有栖の世話はしてくれていたから、こうして自由に生活スタイルを変える事なく過ごしていられたのだ
2日目は静かなお正月となった
3日目は一族詣でだからゆっくり過ごしたいから、丁度良かった
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