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第45話 一族詣で……そして果てへ

1月3日 それは飛鳥井にとって戦場だった 朝から客間では着付けが成されていた 自分で着ようとする烈を慎一が慌てて着付けをする! 今年の一族詣では皆 着物と宗右衛門が決めたから、各自の着物を持って客間に集まっていた 烈は自分の着物を手伝って貰い着ると、凛の着物を着せていた 「キツイって宗右衛門!!」と竜胆になり文句を言う が、聞き入れられずに着付けされて行く 椋は前もってタオルを数枚持っていて着付けの時、タオルを入れて帯を締めて貰っていた 慎一や一生は翔達の着物を着せていた 客間は「ぐるじぃ〜」と叫び声が響いていた 榊󠄀原は康太と自分の着付けを終わらせると、ちっこちのの着物を確認していた そしてちゃんと着付けされていて「良いです!椋は少しタオル入れすぎですけどね!」と言った 椋は笑っていた あれから本当に椋は変わった 笑顔も増えて来て、榊󠄀原は良かったと心から想った そして皆着物に着替えると、慎一が研修用に買ったバスを持って来て、皆で菩提寺まで行く事になっな 菩提寺の駐車場に到着すると城之内がお出迎えに来ていた 「飛鳥井のご家族は壇上へどうぞ! 真贋と宗右衛門は此方へどうぞ!」と言い、龍太郎に皆を案内させた 真贋と宗右衛門は禊を受けてから、本殿へと向かう そして壇上へ上がるとマイクの前に立ったのは宗右衛門だった 「明けましておめでとう! 昨年、社務所は全焼、建ったばかりの保養施設は半焼、そして道場は耐震基準に足らず取り壊しが決まった………放火したのは解雇された者の一人じゃった、が、菩提寺の下には結託した者がガソリンを運び込む姿も映っておった その者等は即座に飛鳥井を追放して、使い込みもあったからな、賠償金を支払う事となった 5人合わせて1億近い負債を抱える事となった! そして其奴らはこの菩提寺も担保に入れておった!それ故に銀行と訴訟も見据えて話し合いをした所、無効裁判を起こすまでもない、と示談が成立!融資したお金は解雇となった者へ請求される事となった 本当に愚か者よな………そしてその者等は試練の間の巻物も書き換えておった 必ずや魔獣が出るように細工をしてあったから、総て破棄した そしてその細工をした者に返る用に呪詛返しをオマケしてやったから、今頃は生きてはいまい! しかも百済と繋がりを待つ者が手引してやらせた事だと言う事も判明した 我等は1000年続く果てへと逝かねばならぬじゃ、こんな所で止まっていては果てへは逝けぬ! それにより菩提寺は大幅な改革へと踏み切る事にした、それは真贋から話しを聞くとよい!」 と言い後ろに下がった 康太は前に出てマイクを持つと 「飛鳥井の本殿とかには手は付けられねぇが、墓は最新式の納骨堂を建てて、そこへ遺骨を収める!墓参りに来られる時は事前に予約され納骨堂の中に造られた参拝所で参れる事にする この菩提寺の歴史も古く、百年前の墓の持ち主は絶えたのか?墓参りすら来ぬ者も増えた…… 絶えた墓の骨は合祀として名を刻み祀る事にした それに伴い、一族以外の者も望むならば受け入れる事となる 寺の存続は絶対、だが年々飛鳥井も腐って数を減らしたからな、この際に一族を増やす事にした そして飛鳥井以外の者も寺に参拝する でなくば………100年しないうちに菩提寺は終わるしかない、それは宗右衛門の星詠みが導いた結果だ……そして今踏ん張らねば飛鳥井は終焉を迎える事となる それは飛鳥井建設も例外に漏れず、だ! だから此処で踏ん張り皆で協力して1000年続く果てへと繋いで逝こうぜ!」 一族の者は終焉と聞き唖然としていた 神威は情けない一族に「踏ん張れば良いだけだろ!」と発破を掛けた 真贋は「そう言う事だ!」と言った 次代が壇上には並んで座っていた その中に耀も座っていた 次代へ繋ぐ存在が、其処に存在している それを見て一族は安堵する 繋がると信じて頑張ろうと想った 一族詣ではこうして無事に終わる事が出来た 控室に行き、皆着物を脱ぐ 慎一や一生は、やはり全員ポリポリ掻くから、薬を塗って怒っていた 烈は畳にデローンと寝っ転がって着物さえ脱いでなかった 一生は「こらこら着替えんとあかんがな!」と言う レイか「れちゅね がちゅけつ」と教えた 大空が慌てて自分のバックを探して、中からウィンダinゼリーを取り出し烈の口に突っ込んだ 太陽は「宗右衛門出てたもんね、ほら烈カニパンもあるわよ!」と面倒を見る 烈は起き上がってカニパンに手を伸ばした…が、それを一生に阻止された 慎一は宗右衛門の着物をせっせと脱がした そしてトレーナーを被せてズボンを履かせるとカニパンを渡した モヨモヨとカニパンを食べながら、チューチューとウィンダinゼリーを吸う 康太は「家に帰ったら鍋やるぞ!あの大土鍋で鍋やるからな!」と言った レイは「おもち!」と喜んで やはり凛は「はばねろ!」と辛くしろと言う 椋は「なべにゃら、なんれもおいちぃ!」と渋い事を言った 烈は携帯でケントを呼び出した 「菩提寺にいるにょよ、お迎えに来てね!」と。 康太は「烈?バスで還らねぇのか?」と問い掛けた 烈は「ばぁしゃん達がいるにょに、車突っ込んで来られるにょは勘弁にゃのよ!」と言った 康太は「あ〜そう来るか………なら何かあったら電話しろよ!」と言った 烈はレイと共にお迎えに来たケントの車に乗った 清隆は「烈とレイは別行動ですか?」と聞いた 康太は「今烈とレイは命を狙われてるからな……… この前も交差点で危うく車に突っ込まれる所だったし警戒したんだろ?」と言った 瑛太は「朝は一緒に来ましたよね?」と不思議がる 「あぁ、朝は唐沢が交通規制掛けてたからな! でも帰りは万が一を考えての別行動なんだろ?」と説明した 一足先に還った烈とレイはケントの車で帰路に着いていた 次はどんな行動に出るか?解らないから家族を巻き込む訳にはいかないのだ 烈は「お正月位静かに過ごせにゃいのかしら?」とボヤく 一族詣では飛鳥井の人間ならば誰でも知っているから、朝は交通規制を掛けて貰い主要道路を走ってこれたが、度重なる失態を繰り広げれば相手も突っ込むばかりではなく他の手段を考えるだろう 車で突っ込んでも妨害されてトドメを刺せない ならば次は飛び道具……かな? と考えながら乗っていると、後部座席の窓ガラスがピシッと蜘蛛の巣の様なヒビが入った 信号待ちで車が停まった瞬間を狙われたのだった ケントは即座に車を路肩に停めて、唐沢へ連絡を入れた 即座に唐沢達がやって来て銃口の軌道を確かめる 烈は割り出した計算を唐沢に渡した 唐沢は即座にそのビルの近くの防犯カメラを確かめに行かせた 唐沢は烈の乗る車に銃弾が撃ち込まれる可能性も考慮して防弾ガラスに入れ替えていたのだった 康太達が乗ったバスが横を通ると一生が 「あれ烈が乗ってる車じゃねぇか!」と顔色を変えて訴えたから、バスを路肩に停めた 康太と榊󠄀原が慌てて下りて事情を聞く 事情を聞いた康太は唐沢に 「信号待ちでって、この信号で烈の車が停まるのって偶然なんかじゃねぇって事か? 相手は信号を操作したか?って事にならねぇか? じゃなきゃそんな偶然起きねぇだろ? しかも今日はまだ三が日だから道路は空いてる」 と訴えた 唐沢も「それを考慮して今調べています! 車は我等が預かり防弾ガラスを直した後に飛鳥井へお届け致します!」と言い車を持って行った 烈とレイとケントはバスに乗って飛鳥井の家へと還った 飛鳥井の家に帰ったら、皆気を取り直して何時も通りに振る舞った 大土鍋で海鮮鍋をせっせと作り、お酒を飲み時を忘れて過ごした 家族は正月位は安らかに過ごさせてやりたいと、気を使い何時も通りに過ごしていた だが、レイはずっと怒っていた 何故こんなにも烈の日常生活が脅かされねばならないのか?と怒っていた そのうち僕か烈がこの世から消されてしまうのだろう…… それが狙いだから…… ならば阻止せねばならない もう我慢ならなくて…………その夜 レイは消えた 翌朝、朝食の時間を過ぎても起きて来ないレイを心配して見に行くと……そこにレイの姿はなかった 慎一は家族にレイがいない、と告げた 一体、何処へ行ったんだ?と家族は家の中を一頻り探した 烈の部屋に一番先に見に行ったが、いないとなれば…… 康太は「創世記の泉か………」と呟いた 榊󠄀原は「其処へは君は行けないのですか?」と尋ねた 「オレでも創世記の泉には行けねぇよ………だって…この地球(ほし)の上に逝かねぇと辿り着けねぇ場にあるんだからよぉ……… しかも許可なくば弾かれて宇宙のチリになるしかねぇからな………まぁオレも親父殿も知ってても絶対に逝かねぇと思ってる場所なんだよ!」 「ならば………戻るのを待つしかないのですね……」 「だな……呼びには行けねぇからな」 「家族にはレイは烈を案じて策を練る為に消えたと伝えておきます!」 「烈………心配だよな」 「あの二人の絆は互いの命を繋いでいる様なモノですからね………」 「それでもオレ等は立ち止まっていられねぇからな、昼からまたリフォームが始まる!」 「あぁ、4、5、6日と後3日リフォーム有りますからね!今日からは昼から始まりますからね」 「烈は……どうしてた?」 「スーツを着て応接間にいました!」 「ならば昼食って会社に行かねぇとな!」 と康太と榊󠄀原は着替えに向かった 兄達は烈を心配していた 流生は「烈……大丈夫?」と心配して声を掛けた 烈は「大丈びよ、レイたんは………狙われてるボクを案じてたの知ってたけど、止めていたにょね で昨日の銃弾が撃ち込まれたの見て、行っちゃったにょよ……」と力なく説明した 流生は烈を抱き締めた 音弥も翔も太陽も大空もその上に重なる様に抱き締めていた 応接間に来た康太と榊󠄀原は塊になってる兄弟を目にして……… 「うちの兄弟ほんとに仲良いな」と笑った 一生が塊になってる兄弟をポイポイと引き剥がして「ほれほれ、烈が会社に行けねぇだろうが!」と言った 流生は「カズはケチな男ね!」と言った 一生は「あぁ、俺はケチな男だよ、そんな事を言うのはこの口か?」も流生の口を引っ張った 「いひゃい!」と流生が言うと大空がベリッと一生から流生を引き離し護った 翔が「カズ、流生を虐めないで!」と言っちゃうから一生は拗ねた顔をした 烈は「にーに!カズをイジメにゃいのよ!」と謂うと兄達は一生に抱き着き「ごめんね!」と謝った 蟠りのない光景だった、仲のいい微笑ましい光景だった 康太と榊󠄀原と烈は早目にお昼を食べて会社へと向かった この日烈は榊󠄀原の車に乗って会社へと向かった 会社に着くと施工の社員が整列していた 凛太郎が「此れよりリフォームを再開致します!」と告げると施工の社員は社内へ入りリフォームを始めた この日は3階を完璧に点検して4階に取り掛かった そして3階の各部署に入り口にプレートを貼り付け、天井にも各課の所属部署が解る様にしてあった 1時から始まった工事は5時には完璧に終わらせて、施工のスタッフは撤収して行った その鮮やかな仕事ぶりに康太と榊󠄀原は凄いな!と想っていた 生まれ変わった施工は統制が取れて規律を守り自信に満ち溢れていた プロの仕事を魅せつけられた、と想った その日飛鳥井に帰ると、佐伯明日菜からお時間を頂けませんか?と電話が入った 何度電話しても繋がらなかったのに、その日は繋がったから驚いていた 「ならば面談をしよう! 主の立場は今更前の様に働けるとは想うなよ! 下っ端からのスタートしかないと覚悟した上でならば面談をしようぞ! 但し遊びに来る訳では無い、夫や子供を連れて遊び感覚で来るならば儂は逢いはせぬ!」 と告げられた そんな辛辣な言葉ならば覚悟はしていたから 『はい、どの様な立場になろうとも、働けるなれば…………もう一度チャンスを戴きたく想います! 夫や子供は私の仕事に関係ないので元より置いて逝きます!』 「ならば此れより飛鳥井に来るがよい!」 そう言い電話は切れた 烈は「茶室使っても良いかしら?」と問い掛けた 康太は「おー!一生に火を入れさせる………オレ等は口は出さねぇから、同席させて戴きたい!」と申し出た 宗右衛門は「口を挟んだとて、既に決まった事じゃ!覆りはせぬ!」とだけ言った 茶室でお茶を点てる準備をしていると、佐伯が飛鳥井にやって来た 茶室に通され正座すると、宗右衛門はお茶を点て始めた その光景を明日菜は黙って見ていた 心が何だか静まり返り落ち着く 宗右衛門は点てたお茶を明日菜の前に置いた 明日菜はお茶の儀礼に則り、お茶を戴き口にした そして何度かに分けて飲むと、呑口を拭いて 「結構な御点前でした!」と礼をした 宗右衛門は康太と榊󠄀原にも茶を点て差し出すと、二人もお茶を受け取り飲んだ その腕は前世、師範まで努めただけあって、きめ細やかで円やかに点てられていた 康太と榊󠄀原も飲み終わった後、礼をして控えた 宗右衛門は「で、己を振り返る旅をして何を探し、何を見つけたのじゃ? 主の邂逅は何処へ辿り着いたのじゃ?」と問い掛けた 総てお見通しか………と明日菜は想った 「私はずっと焦っておりました 他の秘書達とはそんなにスキルは変わらないのに………どんどん置いて行かれている気になって、余計に焦り余裕をなくしていた 余裕がないから……何時もギスギスしてしまっていた………だから社員達にも話し掛ける余裕なんてなかったし、また秘書を増やすと聞かされれば、もっと焦ったし、置いて行かれたくない!と躍起になった……… そんな頃、翼が来た、翼はPCには長けていて、どんなトラブルも瞬時に直す……… 秘書課の皆も会長も社長も……翼、翼と謂うから私は無視を決め込んだ……態度が悪いのは承知でやってしまっていた………申し訳ありませんでした宗右衛門! でも私は真贋の秘書でいたいのです! だから秘書として働かせて下さい!」 明日菜はそう言い深々と頭を下げた 「今後、主は茨の道を逝く事となるぞ! それでもその道を逝くと申すのか? 専業主婦になっても暮らしていけるのに、何故敢えて茨の道を逝くと謂うのじゃ?」 「専業主婦になった方が楽ですが、私の中に家の中へ入ると謂う選択肢はありません! 私は死ぬまで飛鳥井康太の秘書でありたいのです!」 「ならば、飛鳥井建設でなく、飛鳥井康太、飛鳥井家真贋の秘書になり私設で働いてはどうじゃ?」 そう来るのは解っていた………が、いざ謂われるとかなりのダメージを喰らう 「それは嫌です!私は飛鳥井建設で働きたいのです!」 「飛鳥井建設は今年から真贋の仕事は切り離して仕事をさせる事にする その為に3人の秘書が増えるのじゃ! 主の場合、真贋の秘書と謂うより会社の秘書として来た傾向がある なので真贋の秘書と謂う文言を外して、秘書課の秘書子として考えられよ!」 康太は秘書課の秘書子………何かアダルトな事言ってますやんか………と想った 佐伯は「それでも良いです!仕事に関わって行きたいのです!それが真贋に返せる恩返しだと思っているから………」と伝えた 「ならば仕事初めから出勤されよ! じゃが主は一度皆からクレームが来た身じからな、秘書課の責任者は西村がなる事になった 主は社内を周り社員達の信頼を回復する事に全力を尽くせ、解ったな!」 「はい、有り難う御座います!」 「それと、此れからの話は私的な話となる 主もこのままでは嫌であろう? ならば先に主と話すの方がよいと決めた 主は榊󠄀原真矢が理解は出来ぬか?」 やはり来たか……と佐伯は息を飲んだ そして自分の言葉で答える 「はい、理解は出来てはいませんでした 今も全部理解するのは無理に御座います!」 「ならば同居は解消されよ、それが互いの為になる事もあるのじゃからな! 主は嫁の立場で、真矢は姑の立場ではある じゃが主は夫の母に対してどんな態度を取った? そして真矢はそれに傷付いて痩せて落ち込んでいた、このまま同居は無理であろう?」 佐伯は言葉もなかった そして振り絞る様に口にした 「夫と相談せねば………答えは出せません」 「答えなど要らぬのじゃよ明日菜! 此れは決定事項であり、覆りはせぬ現実なのじゃ!榊󠄀原真矢と清四郎は二度と主ならとは同居はせぬよ! なぁ真贋、主の眼にはどう映っておるのじゃ?」 そう振られ康太は口を開いた 「あぁ、榊󠄀原真矢は二度と同居はしねぇだろう 運命の軸がカチャッと嵌め込まれた以上、此れは決定事項だ、話し合いをするとしたら、家の譲渡とかの話をする、それだけだな!」 と康太は答えた 佐伯は言葉もなく悔いていた 宗右衛門は「他人の血の繋がらぬ子を可愛がるって事が理解出来ぬのであろう?主は! 飛鳥井の人間は皆、果てへと繫がる存在を育てている!血も繋がらぬ子を、な! 律だとて全く関わりがない訳では無い! 定めがあるからこそ竜胆の傍へ来たのじゃからな 我が両親、我が祖父母はレイ、凛、椋、と謂う次代の存在を愛して育てている! レイなんて外人の風貌であるからな、理解しがたいと想うが、外見など些細な事なのじゃよ! 我等はその器に転生者が詰まっていれば良いだけの事じゃからな! 飛鳥井を取り巻く輪の中に生まれて来た者には意味がある だからこそ我等は愛して育てて逝くのじゃからな じゃが理解はせぬともよい! 理解しがたい世界であるからな! 強要などはせぬよ!じゃが否定はするな 主は総てを否定したから真矢との間に亀裂が生じたのだからな! 解ったな佐伯、主は主の家族を護り生活をしていけ!それが定めなのじゃよ………」 「解りました………ならば今後の話は笙にもお願いします! そして笙を使ってやって下さい! この前のイベント、笙は悔しい思いをして過ごしました………ですからお願いします!」 「それは儂には、決められぬよ 【R&R】のメンバーのインスピレーションが湧かぬならば使いはせぬ、そう言う事じゃからな 儂は映像には関わりはせぬからな、使うか?使わぬかはメンバーが決める 笙は使われたくなる様に日々錆びずに頑張るしかないのじゃよ!」 言葉もない………解ってはいたが……こうして謂われると悔しがっていた笙が報われない 「話は以上じゃよ! 今後、真矢達の話し合いに儂らは関与はせぬ! じゃから詳細を事前に伝えた 主ら家族と真矢達の事に出しゃばり口を出す事は皆無であるからな! じゃが運命の軸が定まった今、総てが遅いのじゃよ………主は榊󠄀原真矢をナメすぎた 人は感情がある生き物である! 主が儂に謂われて傷付いた様に、真矢に、感情があり許容範囲を越えてしまうまで主は追い詰めた それだけは理解して、話し合いに望むがよい! 儂の話は以上じゃよ!」 そう言うと宗右衛門は立ち上がって茶室を出て行った 佐伯は動く事が出来ずにいた……… 康太は「オレは何も謂う事はねぇよ! 真矢さんと清四郎さんとの話し合いは別居一択だろう………それ程に真矢さんは傷付き憔悴しきっていた、清四郎さんが真矢さんを連れ出して離れて生活させねばならぬ程に……な それはお前が一番良く知っているよな?」とキツい言葉を放つ 佐伯は「はい、傍で見ておりましたから一番良く知っております………私は怖かった……… 飛鳥井の子達が常に優先されているのに、律まで来て………その内律に何もかも取られてしまうんじゃないかって………不安でした 私には理解は出来ませんでした 我が子も孫も他の子も変わりなく愛させる義母さんや京香が理解出来ませんでした……」と苦しい胸の内を話した 榊󠄀原は「理解せずともよいです!別に理解されたくて我等は我が子も北斗達もちっこいのも愛して育ている訳では無いのですから! 宗右衛門が申していた通り、器は些細な事、我等は果てへと繫げる為に転生者として生まれた子を大切に育て果てへと繋いで逝かねばならぬ死命があるのです! それは飛鳥井でない貴方に理解しろとは謂わない なので貴方は貴方の家族を護り大切にして行きなさい!解りましたね!」と言った 佐伯は「義母さん達と離れてしまったら………笙は飛鳥井へはもう来られなくなる……… 【R&R】の仕事に誘って貰えなくなる………」と涙した 康太は「佐伯、仕事始めに出勤されよ!一から始めて逝く作業をして、社員達の信頼を勝ち取られよ!オレからはそれしか言えねぇんだよ!」と言った 佐伯は深々と頭を下げ、還って行った 榊󠄀原は「兄さんは………辛い選択をせねばなりませんか………」と呟いた 「笙は既に選んでるんでるんだよ そして佐伯よりも早く答えを出している」 「そうですか………」 「離れた方が上手く逝く事もあるかんな…… あ〜!!飛鳥井は仲良すぎなんだよ! 喧嘩する暇に仲良くファミレスなんかに行きやがって!!」 「え?ファミレス?誰と誰がですか?」 「レイがいなくて寂しがり屋の烈を連れて母ちゃんと父ちゃんと瑛兄と兄弟とで、ファミレス行きやがった!」 とボヤくと慎一が「待ってるので早くして下さいね!」と言った 慎一は茶室の窯の火が消えてるか確認して、康太と榊󠄀原を連れてファミレスへと向かった 其処には真矢と清四郎もいて、仲良く笑っていた 烈は少し淋しそうにメロンジュースを飲んでいた そしてファミレスでデザートを食べて飛鳥井へ帰ると其処に笙が来ていた 康太は「烈、笙が来てる!」と伝えた 烈は嫌な顔をして「今日はもぉそーえもん出にゃいわよ!」とボヤいた そして「少し頭が痛いにょよ!」と訴えた 榊󠄀原が「どんな風にですか?」と慌てると 「ズキズキして目が回るにょよ………」と言い、意識を失う様にくたーっとなった 地下駐車場に車を停めると康太は一生に 「笙は応接間に通しておいてくれ! 義母さん義父さん、この機会ですので全て吐き出されてはどうですか?」と言った 真矢は覚悟を決めた瞳をして 「そうね、そうするわ!」と言い車から降りた 清四郎は妻の手を握り、一緒に車から降りた そして皆 家の中へ入ると榊󠄀原は 「僕は烈を病院へ連れて行きます!」と言ってベンツに乗り換えて病院へ逝くつもりだった 慎一が烈を抱き締めて後部座席に乗り込むと、榊󠄀原は車を走らせた 康太は皆と一緒に応接間へと向かった 応接間に入って来た飛鳥井の家族を見て笙は 「あれ?伊織と烈は?」と問い掛けた 康太は「烈は頭部陥没と謂う大怪我をして入院していた、怪我は治ったが脳は未だに限界は超えさせられはしねぇ……無理すれば即座に目眩と吐き気と謂う後遺症に苛まれている! 宗右衛門を出すって事もそうだ! 烈は元々舌が短い分確りと発音が出来ねぇんだよ だが宗右衛門ならば嗄れた声で発音良く喋る それはそれさえも、力を使っているって事なんだよ、自分の中の宗右衛門を呼び覚まし力で当時の声で喋ってる だから今は本当に無理はさせられねぇのに……限界超えて力を使うから目眩と吐き気にやられて病院へ行ってるんだよ!」と伝えた 「ならば今日は宗右衛門とは話せませんね?」 「あんでお前が宗右衛門と話してぇんだよ?」 「………あの日………僕は悔しくて堪らなかった 母さんや父さん、隼人や篁が出てるのに、僕はその場にいられなかった……それが悔しくて堪らなかった………」 康太はカチンっと来て「おめぇ……んな下らねぇ事を言いに来たならば帰れよ!」と吐き捨てた 一生は「宗右衛門は命を削って明日の飛鳥井へ繋ぐ為に今は全ての時間を使っている! 【R&R】と仕事してぇならば、事務所を通して話すってのが筋じゃねぇのかよ! んな下らねぇ話ならば帰られよ! 真矢さんや清四さんと話すならば、我等は部外者として部屋は提供してやるが、関与は一切せぬ! それは宗右衛門が宣言した故覆りはせぬ!」と半ば怒鳴りながら言った 真矢は呆れて「烈が病院へ行ったと謂うのに………貴方は自分の事ばかりですか?」と冷めた声で吐き捨てた 笙は真矢と清四郎に向き直ると深々と頭を下げた 「僕の妻が母さんを追い詰める様な事をして本当に申し訳ありませんでした! 僕等は………あの家を出て行くべきだと想っています……引っ越しも視野に入れて明日菜とは話し合っています!」 笙は心から母に謝罪をした だが真矢は「あの家は笙に譲渡します!近い内に神威に頼み譲渡の書類を作成するつもりです!」と艶やかな笑顔でそう言った 清四郎は「私達の荷物は総て処分するつもりだよ 何もかも新品で揃えて一から始める、烈と約束したからね、あの家の自分達の服以外は総て要らないし、処分して行くから後は君達が好きな様に模様替えして行けば良い!」とスッキリした顔で言った 笙は「あの家は僕達では荷が重い………」と弱音を吐いた 真矢は「あの家に住みなさい!そして我が子を愛して育てて行きなさい! やはりね、私には同居は重荷だったのです! 良き祖母になろうと、どの子も愛して行こうと想って日々そうして生きて来たけど、明日菜には私の生き方が理解出来ないでしょ? 私はもう違う生き方なんて出来ないわ! それにね、烈が家を建ててくれると約束してくれたのよ!だからね私達はそこへ住みたいのよ! 勿論、貴方達の子も私の孫である事に変わりはないわ………だから時には逢いましょう 私達にはその時間と別々な生活が必要なのよ!」と言い切った 笙は言葉もなかった そこへ榊󠄀原が帰宅して家族に 「烈は入院になりました!」と告げた 玲香は「大丈夫なのかえ?面会とかは出来るのかえ?」と問い掛けた 「面会は出来ます、ですが今は熱が高すぎて意識が戻りませんから来ても寝ています!」 「それでも………傍にいてやりたいのじゃ……… 烈は忙し過ぎなのじゃよ……伊織、康太、どうか烈の不在ならばリフォームを頼む!」と玲香は頼んだ 康太は「烈の不在はオレ等が守るから安心してくれ!母ちゃん! 本当にな、今 宗右衛門を欠いて明日の飛鳥井は成り立たねぇんだよ! それ程に今は目が回る程に忙しいんだよ! 伊織、当分退院とか無理なのか?」と問う 「熱が下がれば退院は出来ます! 入院中に脳の状態も把握して検査すると言ってますから今は任せておくしかありません! 僕はパジャマを持って病院へ行きます!」 榊󠄀原がそう言うと清隆が「病院へは私が行きます!」と言った 玲香も「ならば我も逝くとしようぞ!」と言って烈の部屋に行きパジャマや着替えを用意して病院へと向かった 榊󠄀原は「話し合いはどうなりました?」と問い掛けた 「何も決まってねぇよ! 近い内に烈の顧問弁護士を貸し出して貰い、榊󠄀原の家の譲渡の書類を作成する! だから話し合いは明日菜も同席して来てねぇとならねぇんだよ!」 康太はボヤきつつ話した 榊󠄀原は「ならば週末に病院の上の康太の所持する部屋で話し合いをするとしましょう! その話し合いには飛鳥井は関与はしない! それが宗右衛門の考えなので、話し合いは笙と明日菜、そして真矢と清四郎とで話し合う それで良いですね、それと【R&R】と仕事したければ事務所を通しなさい! 兄さんが悔しい想いをしたとしても、宗右衛門へ談判するのは筋が違います! それと今宗右衛門は本当に日々の生活すら大変なのです、なのでこの事態が落ち着くまで構わないで戴きたいのです!」と兄にコンコンと話した 笙は「ならば話し合いは事前に日程をお知らせ下さい!」と言い還って行った 真矢は「どうしてあの子、あんなにもウジウジとしちゃう考えをするのかしら? 昔はもっとサッパリしていたのに……」と呟いた 清四郎は「それは真矢にだけだよ、私には結構恨み深くウジウジ言って来てたからね」ボヤく 榊󠄀原も「兄さんは元々ウジウジですよ?ウジウジ、ネチネチが兄さんの定番です!」と謂う 真矢は「あら?あの子私の前で本音を出してなかったのね………」と寂しそうに呟いた 瑛太は「男なんてそんなモノです、母親の前では格好つけたがるのです」と謂う 一生達も頷いていた そんな話をしている最中なのに、子供達は何やら話して パンパンのバックを手にしていた 今も尚、詰め込んでる 一生が「おい、何してるんだよ?」と問い掛けると兄達はそれに答えずに、アレやコレやと話していた 康太は「一生、放っといて良い!」と謂うと一生は心配そうに見守る事にした だが榊󠄀原は「今夜はお見舞いはダメですよ! 夜に外に出るのは当分控えて貰わねばなりません!」と言った 唐沢から「烈は兄達や祖父母が好きなのは周知の事実なので、当分は護衛無しで動かないで下さい!」と言われているのだ 兄達は「解りました、でも明日は行かせて下さい!」と言った だが榊󠄀原は「そんなに長くは入院はしませんよ? 今回は本当に過労と……レイの居場所を探ったのでしょう………脳を酷使し過ぎで熱が出たので、熱が引けば退院して来ます!」と謂うと、兄達は安堵の息を吐き出した だが「弟が入院しているならば、僕等は傍に行って支えると決めているのです!」と口にする 康太は「なら明日行ってやれ!だが誰かを連れて歩いてくれ、お前達も狙われているって事を忘れるなよ!」と言った 兄弟は皆頷いた 烈は3日入院する事となった その間に病室に水野と一色を康太に頼み連れて来させた でなくば仕事初めの日に間に合わないからだ 康太は何も言わず、水野と一色を病室に連れて行った 水野は「誰が入院しているのですか?」と問うたが、答えなかった 一色は「何の為に病室に呼ばれたのですか?」と問うたが康太は「行けば解る!」と言い病室に連れて行った 病室のドアをノックしてドアを開けると、二人を病室に入れた するとベッドの上には烈が寝ていて、水野と一色は驚愕の表情を浮かべた 康太は「お前達を呼んだのは烈だ!」と答えた 烈は二人の姿を目にすると 「どう?頭は冷えたかしら?」と問い掛けた 水野は「はい!あれから色々と一色と話し合いました! 本当に申し訳ありませんでした!」と答えた 一色も「我等は会社が変わりつつある流れに乗れず、自分勝手に来てしまいました! 本当に申し訳御座いませんでした!」と謝罪した 烈は「表面だけにょ謝罪は要らにゃいのよ!」と一蹴した そして告げる、厳しい現実を 「水野のは蒼太の元で徹底的に一年間鍛え上げけ貰い、その後中村の元へ一年間電算の仕事を覚えるにょ! そして一色は営業を半年として赤松に託した後 経理査定室の愛染に半年、建築の九頭竜に半年、経理の瀬能に半年、その後で答え聞かせて欲しいにょね、今日はそーえもん出にゃいから、滑舌悪くてすまにゃいのよ!」 水野と一色は深々と頭を下げた 水野は「飛鳥井建設で働かせて貰いたいので、総て宗右衛門の仰る通りにさせて戴きます!」と言った 一色も「どんな状況も堪えて宗右衛門が描く果てへと行きたいと想っております!」と答えた 烈は「総ては2年後、答えを聞かせて貰うわね!」と言い、後は興味もなくPCを叩いていた 康太は水野と一色を病室から連れ出した そして二人に「宗右衛門が決めた事は覆りはしない!って事で仕事初めからは言われた通りの部署に行くと良い!」とだけ言い送り出した 烈は残りのリフォームには立ち会う事は出来なかった 5日、リフォームも残り一日を残す所となった日 施工の社員と共に飛鳥井悠太が共にやって来た 台車には植木をを沢山乗せて、施工の社員と共にやって来て悠太は挨拶をした 「今日は宗右衛門に頼まれたので来ました! 製図課の製図は俺が引きました、なので俺は寸分違える事なく見届ける義務があるので来ました ここへ来る前、烈と逢って来て頼まれまし、頑張りたいと想います!」と胸を張り告げる そして施工の社員達と共に5階へと上がって行った 5階は広報宣伝課が使っていた部屋の壁を総て撤去した そして倉庫に使っていた壁も総て剥がして行った そして通路側の壁は葉っぱや花が沢山描かれたクリアなパネルで間仕切りしてドアを付けた そして広々とした空間に悠太が描いた寛ぎの空間を創って行く 植木やパネルを使い脇田誠一の弟子である悠太が作り替えて行く この日はドアや壁を撤去して新しい壁やドアをはめ込み終わった 悠太は明日も製図課を完成させる為に来ると謂う 今日、設置出来なかった植木は通路に置いて、その日は撤収して行った 康太と榊󠄀原は飛鳥井の家に還って行く 車を運転しながら榊󠄀原は 「雨降りませんね? レイは創世記の泉に雨を降らせに行ったんじゃないんですか?」と問い掛けた 「それな、オレにも本当に解らねぇんだよ 烈がレイの星を詠めない様に、オレもレイの動きも果ても詠めねぇんだよ」 と困り果てて謂う 「レイ……還って来ますよね?」 「還って来る為に行ってるんだろ? 烈の平穏な日常生活を取り戻す為に行ってるんだろ?ならば還って来るに決まってるやんか!」 「一人で突っ走らなくても、我等もいるのに………」 「やっぱ銃弾がぶち込まれあの瞬間にキレたんだろうな………」 「仕方ありませんね、アレは僕もキレましたから……」 後はもう………言葉もなくて………飛鳥井まで車を走らせ還った 飛鳥井の家に帰ると、耳が痛く成る程に静かだった あの騒がしい日々が嘘だったみたいに……静かだった 烈のいない飛鳥井は覇気を失ってしまっていた そして翌日6日 飛鳥井の3階から5階のリフォーム最終日 この日も悠太は施工の社員と共にやって来た 悠太は「リフォーム最終日、完璧なモノに仕上げたいと想います!」と言い5階へ社員と共に上がって行った そして昨日の続きをする 壁紙も総て薄いグリーンに変えて、張り替える 間仕切りはなく、その代わり植木が置かれ、南雲建設を見た事が無い筈の悠太が、寛ぎの空間として、同じ様な空間を作り出していた 流石は脇田誠一の弟子だなと康太と榊󠄀原は想った 5階は社員食堂と変わらずだが、製図課が様変わりして出来上がった 横を通るだけで製図課の外観に癒やされる事だろう そして5階には広報宣伝課が使っていた会議室があり、そこを面談室にする予定だった そして広報宣伝の倉庫として使っていた部屋を人事課にする 倉庫のドアも取っ払ってクリアなドアに入れ替えた 壁紙も色褪せていたから薄いグリーンの壁紙に張り替えた 倉庫とは思えない仕上がりになって行った 広報宣伝課が会議室として使っていた部屋は、今はまだリフォームは出来ないから、プレートを外した 6階のリフォームの時に、この部屋は役員面談室となり、面談する時は役員が下りて来て面談する事になるのだ 施工の社員は3階から最終確認をして、問題がなければ5階の最終確認をして全て完遂となる 確認し終わった社員が凛太郎に告げる 凛太郎は「総ての課のリフォームは完了致しました!お確かめの上、この書類にサインをお願いします!」と言いリフォーム完了の書類を手渡した 康太はそれを受け取りサインをした 凛太郎は「それでは、此れにて総ての工事の終了とさせて戴きます!」と告げ、施工の社員は撤収して行った 康太の榊󠄀原は戸締まりを確認して、帰宅する前に病院に寄り烈にリフォームが終わった事を伝えた 烈は明日の朝 熱が上がってなければ退院する事が決まった 仕事始めの日から宗右衛門として取り仕切るつもりだった 烈は一生に頼み部屋からスーツを持って来て貰っていた 烈が入院した日から家族が代るがわる付き添って寝てくれて、烈は淋しく過ごす事なく過ごせていた だが………心は何時もレイを想う ねぇ………レイたん 何処へ行っちゃったの? あの湖があった星へ行っちゃったの? でも彼処は………一人だと……とても淋しい所だよ? レイたん………そこにいるの? 空を見上げて……想うはレイの事ばかりだった   翌朝、朝早く久遠は烈の熱を測り、診察をして異常がないと判断し退院させる事にさせた 烈はパジャマを脱ぎ捨て、スーツに着替えた 着替えを紙袋に入れて持ち帰って貰うつもりだった 朝早く康太と榊󠄀原が烈を迎えに来た 烈はノートPCをカバンに入れると書類の束も鞄にしまった そして両親と共に飛鳥井建設に出社して行った 烈は会社に逝くと、3階の通路に配置した部署の社員の名を振り分けた紙を貼って貰った そしてその紙を社員の枚数刷ってくれと頼んだ 榊󠄀原はその紙を高速プリンターで刷って用意した 出勤した社員達はその場に整列させられた 社員達は戸惑っていた すっかり変わった社内の雰囲気に、自分はどの場所へ行かされるのか?とドキドキしていた 宗右衛門は始業時間が来ると 「明けましておめでとう! 今年は社内を一新する事にした 社員も一新してスタートを切る事にした それに伴い責任者も一新する事になった まずは3階、営業課は責任者を赤松達也とし 元々飛鳥井のコンセプトであった犬小屋からビルまで、をの精神で小さな仕事から大きな仕事まで営業を掛けて行く事にする 営業の出す伝票に不正はないか?を確りと精査して管理して逝く経費査定課を愛染が責任者となる 経理課を瀬能、電算室として総ての経費の管理をするのが中村、総務は陣内が責任者がなる そして3階全部の管理する 統括本部長は陣内」 そう告げると社員達はザワザワとざわついた 「今更文句は受け付けぬ!嫌ならば他へ行くが良い!では続けるとしようぞ! 4階に建築課 責任者を九頭竜 資材管理課責任者 そしてその者には資格教育室の責任者もやって貰う事となるその責任者を綾小路 資格教育室と謂うのはその資格を習得するに特化した者による講習会を開く事とする 講師を手配したり、試験の日程日を見据えて講習会を開ける様にする管理責任者も込みである! 資材管理はその現場に必要な資材の管理を一手に管理する課だ、まぁ大変ではあるが、一人でやる訳では無いので頑張って欲しい そして広報宣伝課は広報に長けた者を求人で募集する事となる責任者は今後決める事となる! 4階 統括本部長は栗田がなる! 続き5階 5階の社員食堂はそのまま梓澤と武藤が担当となる そして5階に製図課は移動となった 責任者は城田 そして人事も5階へ移動となった 人の合否ばかりでなく、社員の監査も兼ねて仕事をせねばならぬ その責任者を飛鳥井蒼太! 統括本部長は飛鳥井蒼太とする、以上じゃ! 各自 手渡した紙を確認して各部署へ行き責任者の指示で席を運び込む作業をした後、社員食堂に置いた名前を書いた袋を取りに行って下さい! それでは真贋、何かあるか?」 と説明した後、真贋に問い掛けた 康太は「社内は大幅にリフォームして様変わりをした! それに伴い、社員も宗右衛門が果てを詠み配置した、これは飛鳥井建設が果てへと生き残る為の大幅な改革である! 此処で根を張り踏ん張らねば、1000年続く果てへは行けぬと宗右衛門は申された ならば我等は此処で踏ん張らねばならねぇ! 飛鳥井は終わらせたりはしねぇ!絶対に、だ! だから頑張ってくれ、その日の為に烈は無理して熱を出して入院した 今朝退院したその足で会社に来て見届ける為だけに来たんだ! お前達が行く場が働く為の最善の場だと想って移動を始めてくれ!」と言った 社員達は【はい!此れより移動して新しい部署へ行き仕事を始めたいと想います!】と答え移動を始めた 皆テキパキと動き新しい部署へも移って行った 机と椅子の配置は各部署の責任者が管理しやすい様に配置する様に!と配った紙には書いてあったから、部署の責任者が配置して置いて行く 烈はそれを見届けて帰るつもりだった 意識改革が皆の中にちゃんと根付き育っているのが、そのキビキビした動きから伺えられた 烈は各部署を回る 皆、責任者の采配で机と椅子を運び込んでいた 皆と席を同じにする者 皆を監視する様に自分の前に席を並べる者 様々だが、その部署たる責任者として采配しているのだろう 机を配置して、社員食堂に荷物を取りに行く 康太は社内放送で「今 袋の中に入れた仕事は責任を持って仕上げ、その仕事を片付けた後、今いる部署の仕事を始めて下さい!」と放送を入れた 皆、社員食堂から持って来た仕事をしていた それが終わったら新しい部署の仕事に取り掛かる 新しい部署の責任者には大まかなマニュアルを配ってあった 仕事に関する大まかな内容だ 経費査定課は営業が出して来た経費の査定を大まかに、他部署の経費も査定して行く 経理課は社内で使った経費の計算、電算室は総てのお金の流れを把握して数字を出して行く 不正があれば、即座に発覚しどの部署が不正を働いているか解る仕組みとなる 総務は社内全体の事務処理がなされているか?を常に把握する と言った様に概要だけは伝えられていた

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