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第46話 配置 ❶

社内が新しい風が吹き始めていた 部署ごとブースみたいに下は透かし上はクリアなボードに仕切られ各部署のプレートがドアと天井から表示され、どの部署の部屋か即座に解る 社員達は名前を振り分けられた紙を手にして、自分の部署となるブースへと移った そして責任者の元、机と椅子を運び込み、社員食堂へ名前を書いた袋を取りに行き、今手にしている仕事を片付けていた その仕事が終わったら、新しい課の仕事に取り掛かる 営業は赤松達也が今後の営業方針と求人を数名だけ出して盤石な体制を取れと謂われているから動き出していた それにはやはり広報宣伝課と連携して仕事をせねば……と考えていた 製図課の社員は…………製図課へ移動して………唖然となった 何?此処?公園?それともホテルのロビー? と各自が想った程に……凄く様変わりをしていた 従来の製図を引くと謂うスタイルではなく、インスピレーションを湧き立てさせる空間を作り 好きな場所へ製図台を移動させられる様に作られていた 製図を引いて即座にPCへ読み込ませCAD(キャド)して行く それ専門のCADも揃えて最先端の技術を駆使して生き残りを図る! 悠太もその日は出社していた 悠太は【製図課 相談役】と謂う役職を貰っていた 悠太の製図室は6階に作られる予定だった 烈は社内を全部見回って社員食堂へ行き 「おばちゃん お茶を下しゃい!」と言った 社員食堂には給茶機が備え付けられていたが、烈はおばちゃんが淹れてくれるお茶を欲しがった おばちゃんも烈が欲しがるならお茶を淹れまくった 「ほら烈ちゃんお茶よ!」とおばちゃんがお茶を淹れてくれた 烈はそれを席に座り込んでいた おばちゃんは「お疲れかい?烈ちゃん」と心配して聞いてくる 「今朝までね入院してたにょよ、だからにゃんか疲れたにょよ!」 「大丈夫なのかい?」 おばちゃんが心配する 「熱があったからにゃのよ 今は熱も引いてて大丈びにゃのよ!」 とおばちゃんを安心させる お茶を飲んでると城田がやって来て 「烈、責任者なんて責任重大やんか!」とボヤいた 「大丈びよ、しろたんにゃら出来るにゃよ!」 「しかし製図課、生まれ変わったな 入った時、此処は公園か?と想う程で驚いたわ!」 「あれね、ゆーちゃんが生み出した空間にゃのよ きっとこれからは自由に伸び伸びと製図を引く子が出て来るにょよ!」 「烈、今朝まで入院してたんだろ?無理するなよ」 「大丈びよ、しろたん!」 城田と話していると康太が烈を呼びに来た 「烈、今日は還って安静にしてろよ! ケントが送り届ける、車も戻って来てるから迎えに来てくれる!」 「にゃらケントが来たら帰るわね!」 「あぁ、そうしてくれ!」 康太はそう言い、非常階段のドアを開けて真贋の部屋に還って行った 暫くするとケントがお迎えに来て、烈はおばちゃんに湯呑みを返して、城田とお別れして飛鳥井建設を後にした そして車内で康太にラインを送る 「今夜病院の上のマンションで話し合いをしたいにょよ! 母しゃん佐伯と笙へ今夜6時、病院横のマンション入口の予定で連絡をお願いするにょよ! ボクはばぁたんと、じぃたんに連絡しておきます!さっき神威が譲渡の書類をばぁたん達に渡したと連絡来たにゃよ!だから頃合いにゃのよ!」  とラインが来たから、康太は即座に動いた 康太は佐伯を真贋の部屋に呼び出した 佐伯は0からのスタートを切った今、その顔はスッキリして「何か御用ですか?」と前では考えられない態度となっていた 「今夜6時に病院横のマンションの入り口まで来てくれねぇか? 子供達は京香にでも見て貰って笙と二人で来てくれ!今後の話をしようじゃねぇか!」 「解りました、今夜の7時ですね 子供達は美知留と匠が留守番が出来るので、任せて行きます!」 「大丈夫なのか?」 「大丈夫です、留守番は慣れているので!」 その言葉に違和感を感じる………留守番は慣れてる……それはどう言う事よ?と想いつつも 「なら笙に伝えて二人で来てくれ!」と言った 「はい。解りました!」 軽くお辞儀をして佐伯は真贋の部屋を後にした 烈は真矢に「今夜話し合いするわよ、神威が作ってくれた譲渡の書類を持って来てね マンションの入り口に6時に行くからね!」とラインした 真矢は『了解しました!ではマンション入り口で待ってます!』と返信した 「じぃたんにも伝えてね!」 『解ってます』 そうして決められた約束の時間ピッタリに真矢と清四郎はマンション入口にやっ来た 明日菜と笙と6時少し前にはマンション入口にやって来ていた 皆が揃ったから康太と榊󠄀原と烈はマンションの中へと入りエレベーターの前へ向かった やって来たエレベーターに乗り込み、最上階へと向かう 真矢は「烈、何が詰まってるの?パンパンねリュック!」と笑った 烈はそれに答えなかった 見るだけで解るパンパンのリュックを烈は背負っていた 最上階へ到着すると、康太の持ち部屋の鍵を開けて部屋に入った 榊󠄀原はエアコンを着けてお茶を淹れに向かった 明日菜は深々と頭を下げ 「義母さんと義父さんには本当に多大なご迷惑をお掛けしてもう訳御座いませんでした!」と謝罪した 笙も「僕達は母さんを苦しめたので、これ以上………同居が不可能な事は承知しています! 本当にごめんなさい……母さん、父さん!」と謝罪した 真矢は榊󠄀原の家の譲渡書類が入った封筒を笙に手渡した 笙は「此れは?」と問い掛けた 清四郎が「あの家の権利者だよ、お前の名前に書き換えた譲渡の書類だよ!」と答えた 笙は「我等が引っ越しすべき事だから……此れは受け取れません!」と断った 烈は「この話をみっくんとたっくん抜きで話すのは筋が違うと、想うにょよ! お願いします、二人を同席させて下さい!」と両親に頼んだ 康太は一生に電話をして「美知留と匠を連れて来てくねぇか?結子は京香に面倒見て貰ってくれ!」と頼んだ 一生は「了解、直ぐに動く!」と言い、電話を切ると直ぐに榊󠄀原の家に向かい3人の子を連れ出した そして結子だけを京香に預けてマンションへと向かった 一生がマンションのドアをノックすると榊󠄀原がドアを開けて、3人を部屋に招き入れた 康太は席に座った美知留と匠に話し合いの詳細を話した そして「何処で住みたいよ?」と問い掛けた 美知留は「僕達はあの家で住みたいです!」と答えた 匠も「あの家から越してくならば…母さん達だけ越してけば良い!」と吐き捨てた 明日菜と笙は唖然として言葉もなかった 烈は宗右衛門を出して 「この機会じゃから儂から謂わせて貰う事にしよう! 主等は飛鳥井が側にいるから、美知留と匠の面倒は総て飛鳥井が見ると思っておるのか?」とズバッと問い質した 笙は「何故に御座いますか?」と問い掛けた 「桜林学園は金持ちが通う学校と謂う事もあり、送り迎えされて当たり前の学校なのじゃよ そんな中、美知留と匠は歩いて登下校しているは知っているか?」 笙は「え?誰の送迎もなく歩いて登下校している………そう言う事なのですか?」と信じられない風に問う 「そうじゃよ、ならば主等は美知留と匠を送り迎えしているのか? してなくば、自分の足で登下校するしか無いではないか! なんじゃ、二人の送迎も飛鳥井がしてると思っておったのか? 二人が歩いていれば、車に乗せた事はあるが、儂は今狙われているからな、一緒に乗る方が危険じゃから乗せてはおらぬよ! 二人は金持ちが通う学校じゃと謂うのに、徒歩で通学しておった! 見兼ねた御子柴のお付きの者が、世話を焼いておったが何時も………とは行かぬからな歩いて登校しておるのじゃ!知らなかったのか? ったく………我が子が苦しんでいるのに知らぬ存ぜぬじゃったとは………」 宗右衛門が言うと明日菜は「何故言わなかったのですか?」と言った それには美知留はブチッと堪忍袋の緒が切れた 「言ってもどうもしてくれないじゃないか! 僕達はずっと言っていた、だけど母さんは聞いてくれなかった! そればかりか飛鳥井へ行け!と一言 何でもかんでも飛鳥井、飛鳥井、飛鳥井で何とかしろ!そんなに頼れる訳無いじゃないか! 従兄弟だからってそんなにオンブに抱っこなんて無理だって何で解らないのさ! 母さんは何時だって僕達の話なんて聞かないじゃないか! ばぁちゃん達が出て行ったら、家事さえしてくれない! だから僕達は何時だってお腹を減らしていた! 煌星と海がパンをくれるけど、それさえ兄弟で分けたら僕は食べられない時だってあった! 母さんに何か食べるのない?と聞いても適当に食べてなさい、飛鳥井へ行って食べなさい! 行けれる訳ないって何故解らないの? 僕と美知留は施設に行こうか? そんな話ばかりしていた 匠が御子柴の人に僕と匠を引き取って面倒見てと申し出てくれた時もある! 御子柴の人は何時でもおいで、と言ってくれた だけど僕も匠も烈と離れるのは嫌だったから………何とか堪えて来たんだよ! そしてお腹を減らしていると何時も烈は玄関の隅っこに紙袋置いてくれた、ラインで取りに行っておいでよ中はお弁当だから、と差し入れしてくれていた だから何とか心が折れず来られたんだ!  なのに引っ越し?ふざけないでよ!」 美知留は泣きながら訴えた 匠も兄が頑張ったのだから謂う事にした 「母さんは何時もイライラしてばぁちゃん達が出て行ってからは特に酷くて家事さてしてくれなかった、兄さんが洗濯して僕の服を洗ってくれていたって知ってる? 父さんは仕事で滅多といない 母さんはイライラして僕達を見ない 僕は御子柴の人に、家を出たいと言った事があるんだよ そしたら美知留も面倒見るから絶えられなくなったら言ってくれと言ってくれた……… 何時も何時も兄さんは必死に僕と結子の面倒を見てくれた 自分は食べなくても、僕達を食べさせてくれた 御子柴の人に言われわよ これは育児放棄だって…………ってね…… 律が来てからは八つ当たりが酷くて、どうして僕達の母親はこんなんだろ?って泣いたよ 母さんや父さんがいるのに………僕達は孤児のように飢えて………面倒すら見てくれなかった」 明日菜はそんな事を言う子供が信じられず 「言ってくれれば…………」と言った 美知留は「何度も言ったよ、でも僕達の話を母さんは聞いてもくれなかった 母さんに取って僕達は………要らない存在なんだって想っていた……」と突き放す様に言った 烈は背負っていたリュックの中からおにぎりを取り出すと美知留と匠の前に置いた 「慎一きゅんがね握ってくれたにょよ! お腹減ってるでしょ?食べるにょよ!」 と言った 美知留も匠も「結子に取っておかなきゃ!」と言って中々食べなかった 烈は「ゆいちゃんはママが食べさせてくれてるにょよ、だからみっくんとたっくんも食べるにょよ、でないと倒れちゃうわよ!」と言った 美知留と匠は烈の差し入れのおにぎりを食べ始めた 真矢は「食べさせて貰えなかったの?何してるの?笙!この子達は貴方の子じゃないの?」と非難する様に言った 烈は「ばぁたん、食事中にゃのよ!」と真矢を止めた 美知留と匠は相当お腹が減っていたのか? ガツガツとおにぎりを食べていた 康太は「あんで言わなかったんだよ?」と言った 烈は「家の恥にゃのよ、そんな恥は誰にも言いたくにゃいのよ!」と言った 言われてみれば恥だ ご飯も食べさせて貰えてないなんて……言えない 榊󠄀原はお茶を淹れに向かった 程よく冷めさせる為に氷を入れて冷やして、二人の前にコップを置いた 二人はお茶を飲みつつ、おにぎりを食べていた 最期の一個になると美知留は匠に 「食べな、匠!」と言い、おにぎりをあげた だが匠はそのおにぎりを半分にして、兄と二人で食べた 宗右衛門は「我が子の食事を作れぬ程に仕事を優先するならば、二人を手離せ! お前達を両親に持つ方が美知留と匠が不幸である!」と吐き捨てた 明日菜は「我が子に御座います、それは嫌にご御座います!」と言った 「我が子だと言うなれば何で面倒を見なかった? 飛鳥井に総て放り投げて面倒を見させる気じゃたか?二人がそれに甘えて、飛鳥井へ来ると想っておったとしたら、主は親になる資格はない!」 宗右衛門にそう言われ笙は深々と頭を下げ謝罪した 「甘えてました、飛鳥井がやってくれる! 任せておけば大丈夫………そんな甘えの上に来てしまいました! 僕は我が子がご飯さえ食べていない事に気付けませんでした……… 母さん達がいた頃ならば………仕事から帰ればなにか食べる?と声を掛けてくれていました だけど今はそうではない………どうせ帰っても何も食べるものがない……と、家でなにか食べる事はなくなった 外で食べて帰る様になったから、子供達が何も食べさせてもらえなかった事に気付けませんでした 明日菜、お前……我が子を飢えさせて……… それに気付かなかった僕も………本当に親失格じゃないか!」 笙は泣いていた 我が子を此処まで追い詰めていたなんて…… 気付けなかった自分が情けない…… 笙はずっと思っていた事を口にする 「明日菜、そんな仕事がしたいなら離婚する? 僕達が明日菜の足枷になるならば………それは前から考えていた事なんだよ………」 「嫌だ………離婚したくない………我が子とも離れたくない………」 「ならば今後の事話し合わなきゃね…… 二度とこんな事………我が子を惨めにさせる事は絶対にさせてはならないからね! そして飢えさせる事も………学校にも歩いて通学させていたなんて……僕達は本当に愚かで駄目な親だと自覚して考えなきゃ………」 「…………本当にすみませんでした………」 烈はそれには答えず美知留と匠を抱き締めていた 美知留は「烈、ありがとう………」と礼を言った 「みっくん、苦しい時は言わなきゃ壊れちゃうわよ!」 「言って言葉が通じるなら言うよ……… でも何も通じない、何も響かない………何を言っても無駄な人に何を言えば良いの?」 「そんな時は逃げるが勝ちにゃのよ!」 「逃げたかったよ………でも僕はお兄ちゃんだから……」 「みっくん………」 匠も泣いていた 烈は自分が子供じゃなきゃ助けてやれたのに……と悔しくて泣いた 部屋には子供達の啜り泣く声が響いた 大人は何か言う言葉さえ………見付からなかった そんな静けさを切り裂く様に……… 「れちゅ いじめたにょ  だれ……」と声が響いた 皆振り返ると、血まみれのレイが立っていた レイは「れちゅ……にゃかにゃいで…………」と手を伸ばし…………倒れた 榊󠄀原が慌てて抱き起こすが、意識は戻らなかった 榊󠄀原はレイを抱き上げた すると真新しい傷から血がポタポタ落ちていた 榊󠄀原は近くにあったタオルを掴むとレイの傷を押さえた 「康太、レイを久遠先生に診させます! 話し合いは終わりましょう、康太は二人を連れて行って下さい! 一生は烈を連れて病院まで来て下さい!」 と言いレイを抱き上げて走って行った 康太は久遠に電話して「レイが怪我してる!診てくれ!」と伝えた すると『すぐに連れて来い!』と言われたから 「今向かってるから頼む!」と言い電話を切った 一生は烈を病院まで連れて行った 康太は美知留と匠を連れて飛鳥井へ帰るつもりだった すると真矢が「私と清四郎も飛鳥井へ行って良いかしら?」と問い掛けた 「構いませんが、レイの着替えとか用意しないと駄目だからバタバタします!」と言った 「それでも良いから………」と言う真矢と清四郎を連れて帰る事にした 康太は明日菜と笙に「兎に角話し合え!そして二度とこんな目に合わせやがったから、美知留と匠は幸せにしてくれる奴に面倒見させる事にするかんな!」と告げてマンション下で別れた 康太は歩きで飛鳥井の家に帰った 家に着くと、慎一が忙しそうにレイの着替えを用意していた そしてバックに詰め込んで病院まで走った 康太は聡一郎に「何がデリバリー頼むわ!」と言った おにぎりだけで腹を満たしたなんて………悲しすぎるからだ 隼人は「オレ様達も何も食べてないのだ、ついでに頼んで良いか?」と問い掛けた 「あぁ皆んなで食べれる様に注文頼む!」と謂うと隼人は聡一郎の所へ行き注文を頼んだ 玲香と清隆は帰宅した康太の声に、応接間に顔を出した 真矢は玲香の顔を見ると、姉さん……と言い泣きながら事の詳細を話した 玲香はその話を唖然として聞いていた…… 康太は「レイが気になるから行くけど、頼めるか?」と聞くと玲香は「大丈夫じゃよ!この家にいるならば手は沢山ある!」と言い康太を送り出してやった 康太は病院まで歩いて向かった 緊急搬送用通路から入り、病院の待合室を覗くと榊󠄀原と烈と一生がいた 康太は「個室取ってそこに移るしかねぇだろ?」と言った 榊󠄀原は「個室なら取りました、君が来るんじゃないかって、此処にいました!」と言った 烈は康太が来たから立ち上がり、エレベーターの前に進んだ 康太と榊󠄀原と一生もその後に続いた 康太は「慎一は?荷物持って来たんじゃねぇのかよ?」と話した 一生は「慎一は個室を取って、病室に荷物を置いたら帰ったよ」と告げた 入れ違いになったのか?と康太は思った 康太達は個室に移ってレイが戻るのを待っていた 康太は「一生……見て来てくれねぇか?」と問い掛けた 一生は病室を出て飛鳥井の家に戻った 話し合いは午後6時からでレイが現れたのは、8時位だった……… なのに時計を見れば日付はとうに過ぎていた まんじりともせずに、レイを待つ すると廊下をカラカラ寝台を引っ張って来る音がした ドアがノックされレイが運び込まれた 小さなベッドごと部屋に入れられ、看護師は点滴を装置に通して作動させて一礼して病室から出て行った 久遠は「全身、切り刻まれたのか?って程の怪我で大きいのやら小さいのを縫ったりテープで止めたりして処置はした 血が足らなかったから輸血もした 泰知がレイと血液型と一緒だと言ってくれたから調べたら一緒で輸血を提供して貰った 何があったのよ?どうしてこんなに怪我してるのよ?」と怪我の状況を話して、尋常でない怪我に問い掛けた 康太は「解らねぇんだよ、少し前にレイは姿を消していたから………何処で何してたかなんて解らねぇんだよ……」と言った 久遠は「んとによぉ飛鳥井にいるお子様は規格外な奴ばっかじゃねぇかよ! 当分は動かせねぇから入院な! 気絶していただけだから、そのうち意識は戻る!」と言い久遠は病室から出て行った 烈は包帯だらけのレイの手を取り 「レイたん……」と呟いた 康太と榊󠄀原はどうしたものか?と顔を見合わせていると、大天使ガブリエルが姿を現してレイのベッドの横に立った 「この傷は医療では治癒しませんから!」と言うと癒やしの卵の中へとレイを入れた 康太は「レイは何処へ行っていたんだよ?」と問い掛けた ガブリエルは「レイは創造神を使い創世記の泉に皇帝閻魔、そして私を呼び付けました そしてテスカトリポカの本拠地を叩くと仰られたのです! テスカトリポカはアステカ帝国の在った地で信仰されいたので、メソアメリカへ行きアステカ民族の神殿を叩くと告げられ、我等は同行して行きました 向こうは私達が来るのなんて、想定内だったのでしょう………信徒により妨害されたのです 黒曜石の鏃の弓矢をぶっ飛ばされレイはかなりの傷を負いました 信徒はその上………自爆したのです 私も無傷ではなかったので………癒やす為に創造神の元へ行き、癒やしておりました! レイは烈が心配だと止めるのも聞かず行ってしまいました! 皇帝閻魔も無傷では済まなかった……… あの方を取囲み自爆しそうになった時、聖鳥 朱鷺が現れて信徒を吹き飛ばして下ったのです それで自爆からは逃れられましたが……皇帝閻魔とて無傷ではないから……今頃は八仙に手当と薬湯を飲まされていると想います それ程に………悲惨な闘いでした!」と告げた 康太は「親父殿は大丈夫なのかよ?」と問い掛けた 「大丈夫です、レイよりも軽症です 毒素は抜きましたし、後は怪我の手当だけなので八仙がしてるでしょう! それより……あの聖鳥 朱鷺は一体何なんですか? レイがあれは聖鳥 朱鷺だと教えてくれましたが………羽ばたいただけで信徒は吹き飛び、建物までも吹き飛んだ そして鳴き声を上げればアステカ帝国の建物は跡形もなく燃えて消え去った 私はあの存在は知りません………皇帝閻魔は知っていたみたいですが………」 「聖鳥 朱鷺はヘルメースの側にいた鳥だよ! ヘルメースは宗右衛門の魂を救い同化したから今は烈と同化している そうか………烈は親父殿を救ってくれたんだな」 「聖鳥が現れてくれねば、皇帝閻魔は死に至る程の傷はないだろうけど、ダメージは計り知れなかったと思います だが自爆の前に聖鳥が信徒を吹き飛ばしたから、吹き飛ばされた先で自爆する事となってしまった 向こうは我等が来るのなんて解っていたかの様に準備万端でしたから………抵抗する間もなく先制攻撃を受けてしまいました…………」 「テスカトリポカの神聖は剥奪出来たのかよ?」 「ニブルヘイムと共に信仰の地を悉く壊滅させて、その上でアステカ帝国の地に行きトドメを刺したのです、少し位のダメージを負って貰わねば採算は取れません! その上、創造神が何やら原始のルーン語で唱えてましまから、何かしらの影響は出てくれるんじゃないかって想っています! だが向こうの方が一枚も二枚も上手でした………我等は傷つき過ぎました………」 「信仰の地を悉く壊滅させたならば神聖は剥奪出来たも同然と謂う事か……ならば向こうは余計に形振り構わず来るだろうな………」 「それは遅かれ早かれそうなっていたと創造神は仰れてました、ニブルヘイムは遅すぎだと蹴り飛ばしてましたけど…………」 「烈に銃弾がブチ込まれたからキレたんだよレイは…………その前に動く気でいたのを烈が止めていた 神聖の剥奪は手痛いだろうけど、アイツは既に2歩も3歩も布石を打ってるんだろ? だから其れ等を今使い嫌がらせをしてるんだよ!イギリスもそうだろ?王室に対して嫌がらせの様に狙いを着けて自爆テロの脅威を突きつけ脅している アメリカにしてもペンタゴンで自爆されたら警戒の意味を無くす、面目を潰して高笑いしてるんだろうさ!んとに趣味が悪い!」 今 世界を脅かしている存在 そして世界が共通認識した敵 それがテスカトリポカだった そんな凄い神ではない アステカ帝国を作りケツァルコアトルと共に文明を支えた神だ 長い時を経て赤、青、白、黒の四兄弟は一つになり今の原型になり信仰の元に栄えた神だ 長らくの時に考え方の相違やアステカ帝国の崩壊にケツァルコアトルは袂を違え離れた筈だ だがあの力は………他の神も吸収して力を増して行ったとしか考えられなかった だと考えたらケツァルコアトルは既に吸収されているのかも知れない 康太はその仮説を口にした 榊󠄀原は間違いなく吸収していると頷いた ガブリエルは戦慄いて 「我等が敵と認識している存在は……一体何なんですか?」と呟いた 「神とも悪魔とも謂われた存在 テスカトリポカ アイツは七色の地球(ほし)を悉く消滅させて来たんだよ そして遺るはこの蒼い地球(ほし)のみとなった アステカ帝国の復興、そして信徒以外の消滅 其れ等を企んで幾つもの地球(ほし)を消滅させた………遺るはこの地球(ほし)のみだからな そりゃ躍起にもなるだろ? だが創造神は失くした地球(ほし)を再び創ると約束された そして地球(ほし)は新しく創られ輝いている その地は……テスカトリポカの介入など出来ぬ領域となり……アイツは滅ぶしかねぇんだよ ならば滅ぶならば諸共を狙ってるんだろう……」 ガブリエルは信じられない想いで康太を見ていた 康太はガブリエルを射抜いて 「これからは最終決戦となる 何方も削り合い逝くしかねぇんだよ! だから神聖の剥奪をニブルヘイムは狙ったんだろう………オレもニブルヘイムもこの蒼い地球(ほし)と共に消えると決めている………」 ガブリエルは「ならば私もこの地球(ほし)と共に消える覚悟を決めます! ですが我等はそんなに容易くは消されたりしません!…………それが友に対する私の信念ですから!」と答えた 「この地に………オリンポス十二神がいたならば話は違って来ただろうけもど、今はもう………いねぇかんな!」 「オリンポス十二神がいたならば、どう違ったのですか?」 「格がそもそも違うんだよ! オリンポス十二神の神聖は己の力を根源としている、それと違いテスカトリポカは信仰を神聖に変えて存在している 烈がヘルメースと同化している今……肉体を持つ烈を消し去りたいんだろうな ニブルヘイムの大切な存在ってだけでも目の上のたんこぶなのに、ヘルメースと同化だぜ? 聖鳥 朱鷺さえも思いの儘に動かせるって証明しちまったからな………そりゃ全力で消し去りたいだろうさ!」 「世界の主要国が占いにより烈を護り通せ!と護衛を送っているんじゃないんですか?」 「それは人に対しては効果があるけどな……脳まで弄くり回す狂人軍団を相手にしなきゃならねぇんだからな、何処で狙われるか?なんて占いの乙女だって予想は不可能だろうが!」 「…………天界も総力を上げて烈とレイを護ります!」 そう言い癒やしの卵の色が変わると、卵から出してレイの様子を確認して、大丈夫だと見届けてガブリエルは天界へ還って行った 康太は烈に「あんで親父殿がピンチだと解ったんだよ?」と問い掛けた 「母しゃんの星を詠んだにょよ! すると母しゃんはこの後、崑崙山に行くにょよ 皇帝閻魔を確かめに行くにょよ! だからボクは遡り時間を計算して聖鳥を飛ばしたにょよ!信徒の自爆には細工がしてあるにょよ ボクとか母しゃんが負った怪我みたいに、神聖がある者にだけ発動する細工がしてあるにょよ だからボクは聖鳥を遣わして、皇帝閻魔のピンチに出る様に頼んだ……それだけにゃのよ!」 康太は成る程と感心した そして「親父殿を見て来る、そんなに時間は掛からないけど、一人で大丈夫か?」と問い掛けた 烈は「レイたんが目を醒すまでいるから大丈びにゃのよ!」と言い送り出してやる 康太と榊󠄀原は病室を出てマンションの屋上に上がると、青龍になり崑崙山へ向けて飛んだ 崑崙山へ到着すると八仙の屋敷にはまだ皇帝閻魔がいた 康太は「親父殿、大丈夫なのかよ?」と八仙の屋敷に入るなり問い掛けた 皇帝閻魔は「私は大丈夫です、烈が聖鳥を飛ばして助けてくれたので、自爆の被害には合わなかった、黒曜石の鏃に傷を付けられただけです! それもガブリエルが来て毒素を抜いてくれたので、後は八仙の薬草で大丈夫だと言われました この前、烈の魂を救いに行った時、ヘルメース殿と同化している事を知った そのヘルメースの聖鳥なれば烈が飛ばしてくれたのだと理解が出来た……」と事情を話した 榊󠄀原は「その聖鳥 朱鷺って本当に朱鷺の姿なのですか?」と問い掛けた 「姿は、朱鷺の姿のままだったが、大きさが鳳凰位はあったし、羽の威力はどの鳥系の威力の上を行っていた、羽ばたき一つで信徒を吹き飛ばして、鳴き声一つで建物を総て焼き尽くしてましたから………あれは鳥なのか?私にも解りません」 それを聞き康太は「普段は何処で育ててるんだ?」と考えて呟いた 聖鳥ならば常に側にいる存在なのだから、傍にいるのだろう…… 烈の部屋で飼っていたりする訳ないよな? 虎の様な猫がそれを許しはしないだろう……… 榊󠄀原は「それは解らないので還ったら聞いてみるしかありませんね!」と言った 康太はそれもそうか……と頷いた 康太は「親父殿傷が深いなら久遠に縫わせるが?」と問い掛けた 皇帝閻魔は「大丈夫です、毒素と深い傷はガブリエルが癒やしてくれたので、後は八仙の軟膏と薬湯で何とかなります!」と言った 「無理しないでくれよ親父殿……」 「無理してませんよ、私には私の死命があるから動いた、それだけです!」 「なぁ親父殿、今回はあんでオレ等は呼ばれなかったんだよ?」 「それは太陽が動けば相手に即座に解られてしまうからだと言ってました! なので隠密で潰して歩いて、創世記の泉で癒やされ闘い続けたんですよ! 流石とアステカ帝国の本拠地は、既に布石が打ってあり、やられましたがね……… それでも最終決戦まで炎帝は温存しておかねば!とレイが謂うから我等はその意見に従っただけです!」 「親父殿………早く治してくれ…親父殿に何かあったら……オレはソイツを許しはしない!」 「炎帝大丈夫だ、私はそんなに簡単には逝かぬよ!だから安心するがよい!」 「親父殿………」 「烈にありがとう助かった! と、礼を言っておいて下さいね! 本当に助かりました!」 「あぁ、伝えておく、んじゃオレはレイも気になるし還るかんな!」 「気を付けて逝くのじゃぞ!」 皇帝閻魔は我が子を抱き締め、離した 康太は笑って皇帝閻魔に背を向けて、八仙の屋敷を後にした 青龍に乗って病院の横のマンションの屋上へと降り立った 康太と榊󠄀原は病室に戻ったが、レイはまだ意識を取り戻してはいなかった 康太は「皇帝閻魔が助かったと礼を言っていた!」と伝えた 烈は「母しゃんの大切な人だからね、守りたかったにょよ!」と笑って言った 榊󠄀原は「烈、聴きたい事があるんですが?良いですか?」と改まって謂う 烈は「なに?」と問い掛けた 「聖鳥 朱鷺 飛鳥井で飼ってるわけじゃありませんよね?」と問い掛けた 「ボクの部屋に入れたらボクの寝るスペースがにゃいのよ!」 と烈は訴えた 「なら普段は何処にいるんですか?」 烈は「普段はじぃさんが面倒見てくれてるにょよ!」と意外な事を言った 榊󠄀原は「え!素戔嗚殿が!!」と呟いた 「そうにゃの、番を探してくれてるけど、中々あんなに大きいのいにゃいのよ!」と答える 聖鳥だろ?番…………要らんだろ?と康太は思った 「じぃさんね、卵産まないけど、育ててくれてるにょよ!この鳥はきっとオスだから卵は産まないとか言ってたわよ!」 聖鳥 卵生むのか? 持った事がないから解らない 見た事さえないから解らない 烈はそんな両親の胸の内を知らずに更に続ける 「でもトキちゃん来たら、鳥が元気になって、卵をポンポン産むにょよ! だから大切に大切に屋敷の中で育ててるにょよ!」 康太は「屋敷!!この前いなかったやんか!」と叫んだ 「沢山魔族が集まる時はね、食べられちゃうからとぅしゃんの部屋に追いやっているにょよ!  だから何時もトリ臭くなるから入れるなって謂うにょよ、そしたらトキちゃんが突っ突いていたわよ!」 何か頭痛がして来た……… 聖鳥なんだろ? トリ臭くなるって無礼な事言ったらあかんがな……… 烈に掛かったら聖鳥でも、そこら辺のトリになっちゃう所が凄いと想う 聖鳥 朱鷺に守護されている存在なのに……素戔嗚尊が育てていいのか? 「この前、じぃさんにブラシ作って渡したらね、トキちゃんをブラッシングしてるにょよ! でね時々、アルくんもタカシもアレクもブラッシングしてくれねるにょね! だからねブラシの量産考えているにょよ! この前鳳凰にブラシ売ったら喜んで愛馬に使っていたにょよね!」 ブラシの量産………そりゃ売れまくるだろうさ! 鳳凰が宣伝しまくってくれるだろうから…… だが幾ら売れても烈はお金を取らない 総て閻魔庁が管理して閻魔庁の方へ入って行く 康太は何か疲れて「今度見せてくれ、その聖鳥!」と言った 「食べにゃいなら見せるわ! じぃさんね、トキちゃんの首に首輪付けて散歩行ってる程に大切にしてくれてるからね 食べられたら……泣いちゃうにょよね」 いやいや……………素戔嗚尊は泣かんだろう……… 康太は榊󠄀原を見た 榊󠄀原は笑うのを我慢してプルプル震えていた 榊󠄀原は「食べませんよ、烈や素戔嗚殿が大切にしてるのを、食べたりしません!」と言った 烈はニコッと笑って「なら見せるわね!」と言った そして両親に「レイたんはボクが見てるから、母しゃん達は還って大丈びにゃのよ!」と言った 康太は「なら明日は誰か早目に来させるとするわ!それと……美知留と匠と結子……あのままじゃ哀れだからな、近い内に話し合いをしよう!」と切り出した 「そーね、親としての自覚にゃいなら親になるな……ってボクは想うにょよ! 子に惨めな想いさせてまで仕事を優先するなら………離婚しちゃって勝手に生きれば良いのにって……ずっと想っていた 明日菜は我が子にご飯食べさせたかったけど、自分は食べていたのかしら?」 「それも解らねぇからな、話し合わねぇとな! オレはそんな事態になってる事も知らなかった お前は狙われているから、美知留達を乗せる方が怖いよな………でも乗せてやりたかったんだろ?」 「そーよ、ボクは子供だからみっくんもたっくんも助けてあげられにゃい………ボクが大人にゃら助けてあげられたのにね………」 康太は烈を抱き締めた どれだけ慎一に頼みお弁当やおにぎりを差し入れていたんだろう? 家の恥だから………と美知留達が我慢してるのに、烈が言える筈もないだろう……… だけど言ったと謂う事は此処が分岐点になると謂う事なのだろう……… 烈は涙を拭くと両親に「大丈びだから!」と言った 康太と榊󠄀原は飛鳥井の家に還って行った 日付も変わっている事もあり、その日は寝室に直行して泥のように眠った 心配は尽きないが……今は眠ろう……と眠った 翌朝、キッチンに行くと真矢と清四郎は起きて朝食を食べていた 真矢は「私達の揉め事に巻き込んでしまって………ごめんなさいね、本当に申し訳なく想っております!」 と言い深々と頭を下げた 康太は「謝罪は要らねぇよ、きっとアンバランスなまま来てしまった事が………今回の事態に発展してしまったんだと想う なんたってオレの詠んだ果てが悉く狂って来てるからな………オレの方が申し訳ねぇと思っている位だからな、だから謝罪は要らねぇよ!」と言った 「美知留と匠は今日から学校を休ませます そして話し合いをした後、配置をお願いします!」 「………配置は烈がする! 切り出したのは烈だからな、果てを読み解き配置する筈だ………レイさえ意識が戻って元気になったら、頑張って配置するだろ?」 「レイ………酷いのですか?」 「…酷いって言ったら酷いな………全身包帯だらけだったからな…… 全身切ってたらしくて、縫ったり貼ったりと処置してくれたんだけど、終わったのは日付を超えた頃だった 病室に運ばれたても寝ていたから、烈が還っても良いって言ってくれたから帰ったんだよ 意識が戻ったら烈からラインがあるが、まだないって事は意識が戻ってねぇんだろうな 朝早く、レイの病室に誰か行かせねぇと、ちっこいのが二人きりだからな!」 康太がそう謂うと聡一郎が「なら僕が行きます!」と言い早目に食事をして行くと言ってくれた 真矢は「昨夜は慎一が子供達の好きそうなスィーツや、お菓子を買って来てくれたんですよ 子供達は嬉しそうに食べていました…………」と言った 康太は慎一に逢わなかったと想ったら、スィーツやお菓子を買いに走ってくれたんだと思うと胸が熱くなった きっと食べてないと想って買って来てくれたのだろう……… 康太は慎一を見ると「ありがとうな慎一!」と礼を言った 慎一は「俺は何時も烈に頼まれておにぎりや弁当を作ってました………最初は烈が食べるのかと想って、久遠先生に怒られますよ?と言ったら話してくれたんです……美知留と匠と結子が何も食べてないから差し入れしたいんだ、って 俺は康太に言わなくても良いのか?聞いただけど、烈がそんな恥を人の口から伝えられたくないのよ、と謂われたから黙ってました 律が引き取られて直ぐの頃から、差し入れは始まっていたので………スィーツも食べてないと想い買って来ました!」と告げた きっとスィーツなんて食べていなかったら喜んだろう…… 慎一の心配りが嬉しかった 聡一郎は早目にご飯を食べると、烈の朝ごはんをバッグに入れ「では行ってくるね!」と言い家を出て行った 康太は「近い内に話し合いをする、それが最後の話し合いだ!家事もしない明日菜ではあの家を譲渡したとしても……掃除もままならない あの家は………残念だけど売りに出すとするか?」と言った 「それも話し合わねばなりませんね 其れよりも美知留達を面倒見れないのならば…… 今後の事を見据えて話し合わねばなりませんね」 「美知留は転生させた者、匠は御子柴の魂を持つ者、飛鳥井にはそんなには置いてはおけないので、志津子に世話を焼かせてマンションへ移すしかねぇと想っている!」 「私も仕事が有りますから、今更孫の世話は無理ですから………そうしてくれるのならばお願いします!」 「なら二人はマンションに連れて行くとする! 其の方が美知留も匠も気が楽に過ごせる 志津子がご飯は持って来てくれるかんな 洗濯は自分達でしねぇとならねぇけど、今までしてた見てぇだし、大丈夫だろ? 結子は一族の者に預けて世話をさせる事にする 飛鳥井のこの家に置いてはおけねぇからな…… 義母さん達も解ると想うけど、配置された子との相性があるんですよ 美知留と匠、結子の魂は次代の子を負かしてしまうかも知れねぇから………それだけは理解して欲しい………」 康太が言うと清四郎は「解っているよ!」と言った 飛鳥井は次代を育てて果てへと繋いでいる時なのだ そこへ美知留達を入れる訳にはいかない事位は理解はしていた そしてその為にレイは死にそうになって入院してるのだろう事も…… 康太は一生に「美知留と匠を志津子に面倒見て貰う様に頼んみるわ! 烈が住んでた部屋に住まわせてくれる様に頼む!結子は昼までに一族の者に預ける手筈は整える!」と告げた 凛と椋がキッチンに食べに来て席に着くと 竜胆を出して「レイはどうなった?死んだりしねぇだろうな!」と問い掛けた 康太は「全身包帯だらけだが、命には別状はねぇよ!」と告げた 東矢は「全身包帯だらけ……レイは何しに行ったんですか?」と問い掛けた 「神聖剥奪に動いていたらしい……オレも知らなかったけどな………」とボヤいた 東矢は唖然として「本当にあの子はやる事が破茶滅茶なんでさから!」と怒った 真矢は笑いながら椋の頭を撫で 「心配してたのよね?」と聞いた 「当たり前じゃないですか! 烈がどれだけ淋しがっていたか……傍で見ていた方は堪りませんからね!」 次代の3人の結束は固まったていた 果てへと繋ぐべく存在は絆により、更なる結束を結んでいた その中に美知留達が入るのは至難の業だろう…… 翔達もキッチンにやって来て「母さん、レイの御見舞行っても良い?」と問い掛けた 「おー!良いぞ!烈にウィダinゼリーとカニパンの差し入れするだろ?行って来いよ!」 兄達は喜んでいた 流生は「なら学校から還ったら僕のお花切るから持って行こうね!」と謂う 大空は「僕はウィダinゼリー!」  音弥は「僕はカニパン!」 翔は「僕はレイの好きなミルキー!」 太陽は「僕はレイの部屋の烈のぬいぐるみ!」 とそれぞれ言った 烈のぬいぐるみは、烈にそっくりのぬいぐるみを見掛けたから、太陽がプレゼントしてその日からレイがずっと一緒に寝てるぬいぐるみなのだ それを知っているから太陽はそれを差し入れると言った 兄達は烈とレイを別け隔てなく愛して愛くしんで、共に生活をしていた 凛と椋の世話も良くする! 竜胆が「流生、次は三通夜やるからな!」と熱く謂うと太陽が「僕達もそれやるから大丈夫だって!落ち着こう!凛!」と宥めた そして皆笑顔になり、何時だって笑っていた 兄達は初等科へ凛達は幼稚舎へ慌ただしく出かけて行くと、美知留達を起こして食事を食べさせた 康太は「今夜からお前達二人は烈が寝泊まりしていたマンションへ移り二人で生活をしろ! 食事は志津子が用意してくれるからな、洗濯は自分達でしねぇとならねぇけど、やってた見てぇだから大丈夫だろ? 飛鳥井の子供は朝から掃除と洗濯して学校に行くんだからな!」と伝えた 美知留は「匠と二人ならば洗濯も楽だし、母さん達と離れられるなら………そこへ住ませて下さい!」と言った 「あのマンションなら学校は直ぐだしな、歩いても行けるから大丈夫だろ? 予鈴がなって走っても間に合う距離だからな!」 美知留と匠は安堵して………そして謂うのだ 「結子はどうなります?」と。  「結子は一族の者に預けるから大丈夫だ! 預かってくれる者に連絡を取るから、そしたら今夜から預かって貰える!」 美知留と匠は安堵の息を吐き出した 「これから慎一と共に榊󠄀原の家に行き、当面の着替えとか制服とか取りに行けよ!」と言った 慎一は「解りました、後で連れて行きます!」と言った 離れて暮らす現実が…………確かになりつつ在った

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