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第47話 配置 ❷

美知留と匠は榊󠄀原の家に行き、着替えとか制服とかを取りに行った 鍵を開けて家に入ると、家の中は静まり返っていた 慎一はこの家はこんなに淋しい家だったか?と今更ながらに感じていた 美知留と匠は大きなボストンバッグに着替えと制服と教科書と筆記用具を入れて準備をした ゲーム機も入れる 烈とオンラインで遊べなくなるからだ そして支度を整えると慎一と共に榊󠄀原の家を後にした そして病院上のマンションへと移る マンションの上に行くと志津子が待っていて、二人を家の中へ案内した 志津子は慎一に「もう大丈夫です!私が見てますから!」と謂うと還って行った 志津子は「この部屋は今日から自分達の部屋だと想い過ごして下さい! お風呂は蛇口を捻ればお湯が出て何時でも好きな時にお風呂に入れます! 洗濯とかは自分でして貰いますが、食事は朝に昼の分も用意して置くのでそれを食べて下さい 夜はこの部屋に運んで来るので安心してね 学校は……どうします?」と説明して問い掛けた 美知留が「明日から通いたいです!」と告げると、志津子は「なら夜に何時間授業を受けるか申告してね、でないとお昼が無駄になるからね」と言った 匠は「はい!その都度言います!」と少し慣れて来て言った 志津子はお風呂の使い方、キッチンとかは使わないでと注意し、お湯はポットに入れてあるのを使ってね、と言い 「二人で大丈夫?」と問い掛けた 美知留は「はい!大丈夫です!」と答えた 志津子は「何かあったら電話してね!」と言い自分の携帯番号を書いた紙をテーブルに置いた そして部屋を出て行った 美知留は「何か夢見たいね!」と言った 匠も「夢なら醒めないで欲しいね」と言った 二人きりになると謂われても、怖くなんかなかった 此れであの苦しかった生活から開放されるなら……二人きりの方がマシだと想った 二人は烈にラインした 「烈……母さんから離れて生活出来る様になった ありがとう烈……僕達を助けてくれて、ありがとう」 すると直ぐに返信があった 『今暫くは離れて互いを見つめ直して考えるにょよ!その時間は大切な時間だから、二人も沢山考えるにょよ!』 匠は「うん、一杯考えるね!」と言い親指を立てたスタンプを送信した 美知留と匠は冷静に自分達を見つめ直す場所と時間を用意して貰った だから考えようと想った この先 どうしたいかを………… 烈はラインを送信しながら、聡一郎が持って来てくれたお弁当を食べていた 会社も行かないとな、門扉とドアも取り付けてチタンプレート入れにゃいと………と思案する モヨモヨ朝を食べながら考えていると 「れちゅ……」と声がして烈はお弁当をテーブルに置きレイの傍まで行った 「レイたん大丈び?」 「れちゅ にゃいてなかった?」 「ボクは大丈びよ それよりレイたんよ、何でこんな無茶したにょ?」 「れちゅにょ しじゅきゃにゃひび おくれにゃいにょ……いやらった」 「ボクは止めてたよね? 今度やったらお尻ペンペンらからね!」 烈は怒りながらも安堵し、母に「レイたん目が醒めたにょよ!」と送信した 「れちゅ ぎょめん……」 「ボクはレイたんが痛いの嫌だからね!」 レイは何度も頷いた その時 ドアがノックされ聡一郎がドアを開けた 意識が戻ったとラインしたから両親かと想っていたら、兵藤だった 美緒と昭一郎を連れて見舞いに来たのだった 昭一郎の手には山盛りのフルーツの籠が持たれていた 兵藤は「レイが怪我したって飛鳥井に行った時に聞いたんだけど大丈……夫じゃねぇな 包帯だらけじゃねぇかよ!どうしたんだよ!」と叫んでいた 烈は「兵藤きゅん、煩い!」と怒った 兵藤は「すまん……取り乱した!」と謝った 美緒はレイのベッドの横に立つと 「レイ、大丈夫ですか?」と心配そうに謂う 「みおたん……らいじょび……じゃにゃい いたいにょよ………」 と弱音を吐いた 美緒はレイの包帯だらけの頭を撫でた 昭一郎はテーブルの上にフルーツを置くと、レイのベッドの横に来て 「レイ、フルーツを沢山持って来たので剥いて貰いなさい!」と言った 「れいね、りんぎょちゅき ちんいちきゅんが、うしゃぎにちてくれりゅ!」 と伝えた それは慎一にして貰うしかないわ、と皆が想った 兵藤は包帯だらけの手を取り無事を確かめた 烈は「母しゃんに聞くにょよ!」と言った 此処で事情なんて話せないから、だ! 兵藤は「解っているよ!それより竜馬は? 飛鳥井にもいなかったし、喧嘩か?」と飛鳥井に行った時竜馬の車がなかったから聞くと 「最近はいない!」と言われたのだった 「りゅーまはね、緑翠の定期的教育実践で絞られてるにょよ!一ヶ月は還らないわよ!」 兵藤は「それなに?俺はそんなのやって貰ってねぇぞ!」とボヤいた 「兵藤きゅんは緑翠に謂われて、年末から昭一郎と共に地元入りしたんでしょ? それも教育実践にゃのよ!」と笑った 「なら竜馬は三木の地元に行ってるのかよ?」 「りゅーまはね三木では出にゃいから、また違う場で叩き込まれてる最中にゃのよ! 定期的に錆びついてにゃいか確かめてるにょよ!」 かなりキツい日々を送ってるであろう竜馬を想像し、頑張れ!竜馬!とエールを送る 烈はしれっと笑って 「次は兵藤きゅんがそこへ行って絞られるにょよ、キツいからね………あそこは……」と脅した 兵藤は戦々恐々として「あそこって何処よ!」と聞いた 「有栖院家翁の秘書よ! あの爺さん、めっちゃ厳しくて叩き込むにょよ 可能性があると解った者には特に厳しくて………落語者が多数出るにょね、その中でりゅーまはね生き残っているにょよ、だから定期的に錆びついてにゃいか確かめているのよ!」 烈の話を聞いていた美緒が「翁まだ生きておるのか?」と酷い事を言った 烈は笑って「次代が生まれなきゃ死ねにゃいからね、そりゃ生きてるわよ! でもね次代生まれたしね、継げる年になったら翁は転生の道を辿るにょよ!」と言った 美緒は「次代………生まれたのか………茉莉亜は生きておるのか?」と問い掛けた 強い子供を生み出すと謂う事は命と引換えとなる事も多いのだ 況してや有栖院家の次代の翁となれば……半端な力ではないだろう……… 「生きてるわよ、夫はあの暦也だもんね 悪運だけは強い男の子供だからね 死なせる訳にゃいのよ! もし死んだとしても、地獄の果まで追い掛けて生き返らすわよ!」 あ〜、あの男ならばやりそうだ! 「やはり相手は暦也であったか……… 有栖院家は全てにおいて隠されておる家じゃから、現場を離れた今、見えて来ない事が多いのじゃな」と美緒はボヤいた 「戦乱の時代を生き延びた家にゃんて、皆同じにゃのよ!財閥にゃんて今もひっそり存在してるもんね!」 「名のある家は今も倭の国の根底に根付いておるからな………」 兵藤は美緒と烈の会話を聞き、何と言う話をしてますの?と想った 美緒と烈が意味深な話しているのに、レイと昭一郎は楽しげに話をしていた レイは頬を赤くして興奮して話していた 昭一郎はその話を楽しげに聞いていた レイは飛鳥井の大土鍋の話を昭一郎にしていたのだ 両手を広げて「おおきいにゃべにゃのよ!おいちぃにょよ!」と謂うレイの話を嬉しそうに聞いていた そしてレイの頭を撫でると 「大人しく寝ているんですよ? また来ますからね!」と言った レイはうん!と元気に返事をして痛そうに眉を顰めた 美緒は包帯の上から撫でてやり「又来るわいな!」と言い還って行った 兵藤は「康太に聞いてくるわ!」と言い病室を後にした 聡一郎は烈に「ケントが呼びに来るから、家に帰り寝なさい!」と言った 烈は「そうするわね、レイたん起きたから寝に還るわね!」と言いケントが迎えに来たら飛鳥井の家に還って行った 家に還るとまずお風呂に入り、パジャマに着替えた そしてベッドに入り込むと虎之助が甘えて布団の中へ入って来た 烈は直ぐに睡魔に誘われて眠りに落ちた その頃兵藤は康太に「今から会社に行くから、レイがどうして怪我したのか教えろや!」とラインを送った 車を飛鳥井の傍のコインパーキングに入れて、飛鳥井建設へ向かう 一階の受付嬢に「飛鳥井家真贋に用が有って来ました、アポは取って有ります!」と告げると受付嬢は「伺っております、どうぞ此方に!」と言いエレベーターを呼びコードを打つと 「此れで最上階まで行けます!」と告げて深々と頭を下げられ見送られた 兵藤は最上階に着くと副社長室のドアをノックした 榊󠄀原がドアを開けると、部屋へと招き入れた そこには康太が既に座っていて、兵藤がソファーに座ると、レイの話を始めた 榊󠄀原は冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出すと兵藤の前に置いた 兵藤は信じられない想いで康太の話を聞いていた レイと烈の絆の話は聞いていた 二人は絶対の絆を持ち、互いを支え合っている それは見ていれば良く解った …………だが此れは………想像を絶していた レイの命と等価の存在 そんなレイの想いがひしひしと伝わる 兵藤は想わず泣いていた 烈はどんな想いでレイを待っていたんだろう…… 熱を出して入院していたと聞くと、その心情は計り知れない そしてそんな烈の日常生活を守る為にレイは打って出たのだろう……… 互いが互いの為に生きている 互いを想いやり生きている そんな二人の想いを聞いたならば、兵藤は堪えきれずに泣くしか出来なかった そして康太は今 烈がとても大変な想いをしてる事も伝えた 会社の大幅な改革、そしてリフォーム 新しく始動した会社は宗右衛門の指導の元、走り出した事 そして明日菜の事……烈は美知留と匠を支えてご飯を差し入れしていた事 そして今後の配置をせねばならない事 全て伝えた 兵藤は「背負わせ過ぎだろ?それは?」と言った 康太は「何も総てやらせる訳じゃねぇよ! だが指針は指し示して貰わねぇと動き出せねぇかんな、果てへと導いて貰っている それは宗右衛門の役務だかんな、烈がやらねぇとならねぇ事なんだよ! だけど美知留達はオレ等も手助けして、何とか配置して貰うしかねぇと想っている オレもな、まさかこんな数十年で榊󠄀原の家が崩壊するなんて想ってもいなかったさ! オレの指し示した果てが悉く潰されに掛かってる こんな現実を突き付けられたオレを………烈は庇って背負おうとしてくれていたんだよ!」と話した 「烈は母ちゃんと父ちゃん大好きだからな 祖父母も家族も全部大好きで大切にしてるからな………だから背負おうと躍起になってるんだろうけど、これは背負い過ぎだよ! 竜馬もいねぇならば、俺が手助けする事にする どうやら俺は竜馬が還ったら翁の所へやられる見てぇだからな!」 康太は兵藤の話を聞いて 「竜馬、翁の秘書してるのかよ? あ〜相当窶れて還って来るしかねぇわな」と言った 兵藤は「んなに厳しいのかよ?」と弱気に問い掛けた 「翁は80位と謂われているが、とうの昔に100は超えているんだぜ? 戦乱の世の中をその目で見て、生き残りを図って来た存在なんだよ! 次代が生まれなきゃ死ねねぇ定めを生き抜いて来たんだから、一筋縄で行く理由ねぇだろ? しかも次代が生まれたから、今は教育に力を入れて育てている最中だからな、頑張って竜馬は窶れて来るだろうさ、そしてお前も厳しく鍛えられて来るしかねぇんだろ? 翁にとって烈は次代を産む為に導いてくれた恩人的存在だからな、腕によりをかけて鍛え上げてくれるだろうさ」 と言い笑った 「そりゃあ頑張るけどさ、レイも烈も………そしておめぇも無茶ばかりするからな! 俺を安心させる為に大人しくしていやがれ!」 「まぁ………それなりに……な!」 「約束しろ!」 「あぁ………うん……」 歯切れの悪い返事に、兵藤は約束して貰うのを諦めた そして「佐伯明日菜を見届けてやる!榊󠄀原笙との今後の話し合いには俺も参加する!」と言った 榊󠄀原は「参加しても良いですが………あの佐伯ですからね、僕でも殴り飛ばしてやろうか……と歯噛みした程だと思いなさい!」と釘を差した 兵藤は「………何か自分の想いだけ突き通そうとするから、から回ってるの烈と会社に来た時に目撃したわ! しかも社員を見下してか、無視してるって社員達から嫌われていたのも目撃して知ってる!」と答えた 康太はどんだけ社員達に嫌われてますの?と想った だが烈と行動を共にしていた兵藤が謂う程に、目に余った行動をしていたのだろう 康太は「今美知留達はお前達が住んでた部屋に住まわせて志津子に世話を頼んでいる! 来月まで半月足らず有るからな、その間に離れて考えれば良いんだよ!」と言った 「だな、時として人を冷静な思考に導けるのは時間だからな! 離れて考えてみれば良い……所で佐伯は?」 「今日は休んでるな、まぁ今日はと謂うより少しの間休むと来た 神野からも笙どうしたのよ? 今月は仕事を入れないでくれ!って頼まれてると謂われたらしくて連絡来ていた!」 「なら話し合っているのか?夫婦で?」 「だろ?我が子にひもじい想いをさせたと笙はショックを受けていたから………最悪離婚しても笙は我が子を取るだろうな……美知留はあの子の魂を受け継いで生まれて来たからな、許せない思いもあるんだろ? 明日菜も許せないし、気付けなかった自分も許せない! そして【離婚】と謂う答えを持っている 明日菜は打ちのめされるしか無い…… そして考えれば良いんだよ、全て無くすか? 家族を取るか?を、な!」 「佐伯を失って会社は回るのかよ?」 「んなの、宗右衛門がとうの昔の布石打って秘書を増やしている!」 「すげぇな宗右衛門は………」 「遥か昔から家の為に生きて来た人間だからな!」 明日の飛鳥井の為だけに生きて来て、果てへと繋ぐ存在、それが宗右衛門だった 兵藤は「あ、鳳凰が烈にブラシを高いお金で買わされたとボヤいたんだけどさ、あのブラシにはそれ以上の価値があった!と感激していた 稼いでるよな、烈は魔界でも!」と言った 「でも全ての収益は閻魔庁が管理して閻魔庁に入ってるから、烈が儲けている訳じゃねぇんだよ」 現世でも魔界でも利益は総て還元して活性化を促して行くのだ 「あ、烈に閻魔からの伝言預かっていたの忘れたわ……」 と兵藤は思い出して呟いた 康太は「伝言ってあんだよ?それは?」と問い掛けた 「彼の地、約束通り正され神は消滅された! 創造神が約束通り、消滅された神の分だけ神を魔界へ住まわせる事を約束された、と伝えてくれと言われていたんだよ!」 「金龍しか開拓出来ない地に強引に住み着いた神は殲滅されたか………その分増やすって誰を増やす気なんだろ?お前聞いてる?」 「それは俺は知らなーずだわさ! 俺は伝言を預かっただけだからな!」と言い、それをラインに打ち込み送信した 「あ、それより鳳凰が烈にデカニンを定期的に購入できないか?聞いてくれ、と言われてたんだった」と言い更にラインを送った 康太は「デカニン?それは何よ?」と問い掛けた 「何か馬がめちゃくそ喜ぶ大きい人参見てぇな野菜だそうだ、俺も見てぇねぇからな解らねぇよ!」とボヤいた 「デッカい人参だからデカニン……か、んとにネーミングセンスねぇな!」 康太がボヤくと兵藤は「ならおめぇなら何と着けるのよ?」と問う 「オレか?オレならスパニンとか着けるぜ!スーパー大きい人参だかんな!」と謂う 榊󠄀原は兵藤にもう何も言うな、と視線で制止した ネーミングセンスが壊滅的なのは親子で一緒なのだから……… 榊󠄀原は「デカチゴと着けた烈に、オレならデカイチと名付ける!と言ってのけた事がありますからね!」と謂うと兵藤は爆笑した そして「今夜は俺がレイに付き添ってやるよ!」と言い還って行った 兵藤が還ると榊󠄀原は止まっていた仕事を再開させた せっせと書類を確かめて副社長決済をし、仕事をしていると、異様に分厚い書類の束が現れれた 提出者の名前を確認すると飛鳥井烈と書いて在った 榊󠄀原はその書類に目を通した そして「原点に戻る……本気だったのですね!」と呟いた 康太はその書類を目にして、犬小屋からビルまでを実践する気なんだと痛感していた 烈が副社長まで上げて来た書類は既に会長、社長の認印が押してあった 榊󠄀原は「これってヨニー©イギリスが研究に成功した材木の再利用と銘打ち考案して特許を取った 建築とかで出てくるロス材木を加工して作られた資材で作る気ですかね?」とボヤいた 少し前に、ヨニー©イギリスが大々的に発表し特許を取ったニュー資材と言われたパネル板が発表された 廃材や建築で出て来るロス材木を加工して、防火、防カビ、防音、耐震性に優れた次世代資材と銘打った資材が話題を集めていた 康太は「前に転生した時、大正時代あたりだったかな? その時宗右衛門が犬小屋からビルまでを銘打ったんだからな、それをやるんだろ? この時代に特化した犬小屋からビルまでをコンセプトにしちまう気なんだろ? まぁ原点に戻るのは悪い事じゃねぇかんな! また、建売とか視野に入れてるとしたら? 防火、防音、防カビ、耐震、それら総ての基準に値する資材は強みになるからな! それを全面的に出して行く気なんだろ?」と説明した 「ならば我等も勉強して行かねばなりませんね! 常に勉強して常識も知識も更新して逝かねば、生き残れはしませんからね!」 「だな、海外では既にその次世代資材は注目を浴びているかんな…… やはり建築の要は低コストだけど、信頼と実績で造られた建物なんだよな………昭和 平成 令和と生き抜いて来た飛鳥井は、今は建売からは離れてしまっているからな……飛鳥井建設=ビル建設的な考えを持たれているのは否めねぇからな………」 「でも何でもやらねば生き残れはしない………と謂うことなんでしょうね!」 榊󠄀原はそう言い、副社長決済の所に判を押した 副社長と真贋が真剣に今後の話をしている時、烈は………爆睡をかましていた 昼になっても起きて来ないから心配した慎一が部屋を覗きに行くと、爆睡していた 慎一は起こさずに烈のお昼にラップして名前を貼った そして買い出しに出かけて行く 年が明けて暫くは大土鍋で宴会続きで、忙しかったけど楽しい時間は続いた だが新年が終わり日常に戻った今は、宴会とは程遠い生活を送っていた あの賑やかな日々を、烈ならばまた祖父母達の為に作りそうだと想っていた 年が明けて、正式に馬関係の会社が設立された 代表取締役社長には一生と慎一が連名で就任する事になった 理事に飛鳥井家真贋と宗右衛門が名を連ね創られた会社だった 主な運営は篠崎青磁も宮瀬蓮司が主として回して行く それに伴い調教師を増やし、スタッフも増やした 総て経験者で増やした今、熟練された仕事がなされ、働く事が楽になって来ていた 【R&R】のビルに事務所は構えられ、牧場は今 建設に入った 馬事協会の協力や口利きもあり有能なスタッフを集められ、チームとして活動して行く事が決まった それに伴い白馬と横浜で馬の育成と飼育の過程を調整し振り分ける事となった 横浜牧場では種馬との繁殖、出産、飼育、調整を担い、調整を経て白馬で本格的に調教師により仕上げて行く 金沢にある土地を正式に示談金として譲渡され、今は工事が着工された 製図を引いたのは飛鳥井悠太 何度も何度も慎一と一生の希望や意見を話し合い、それに答えてくれ何度も調整して引き直してくれた横浜牧場だった 今回の牧場からは固有名詞を省き、横浜牧場、白馬調整施設と名称を変更した そして今 緑川ファームとして使っている所は、県と市の助成金を受けて、触れ合い牧場と名を変え、馬に乗れる体験や動物達と触れ合える場とする、それに伴いその施設限定のグッズも販売する予定だった 考案は飛鳥井の子供達が頑張って子供目線で制作中だった 変わりつつ在った 総てが変革期を迎え変わりつつ在った 飛鳥井建設もあれから何名かの一級建築士が誕生していた それに伴い社員も増やした 製図はCADを主体とした資格持ちを増やし回して行く事となった 教育して資格を習得させて行く そして下請けも総て変えて、回して行く事が決まった 施工の方も教育に力を注ぎ社員達に資格推奨して応援していた その甲斐あって『建設施工管理技士』『電気工事施工管理技士』『管工事施工管理技士』『電気工事施工技士』等 頑張って習得した社員が増えて仕事の幅も広がりつつあった 変わり逝く社内に努力をしないでいると置いて行かれる そんな雰囲気を作るのが宗右衛門の得意分野とする 煽られ闘志に火を着けられた社員は只管勉強して努力を積み重ねて行く そして実る成果という確かな資格だった 飛鳥井建設も施工も社員の意識改革が成されてきた実績だった 康太は配置された果てを視て、いい風が吹いてるなって痛感していた あれから穏やかな日々は続き、レイが退院した まだ包帯は取れないし、顔にも絆創膏だらけだが、傷が開かないと久遠が判断し退院させた レイは幼稚舎へ通い始めた 烈も初等科に通い始めていた 朝から昼まで通い、昼は社員食堂でヘルシー定食を食べて宗右衛門の仕事をする そしてその合間に社務所の建築状況の確認をしていた 金龍はあれから護身術を学びに通っていた その合間に、剣道、居合、弓道を習っていた 鷹司は古来より武道を広く教えていたから、鷹司道場へ通い日替わりで訓練していた 黒龍も赤帯はまだ時間が掛かるから、その合間に、武器と謂うのに慣れる為に同じ様に武道を習っていた それを1年かけて習得すると二人は意気込んで、日々鍛錬していた 宗右衛門からは書道を習っていた 金龍が武道場を建てた暁には道場に書を贈ると約束してくれた 環や龍星らとも同じ道場で日々鍛錬する 前よりも距離はなく自然と話が出来ていた 赤帯を習得した龍太郎が環や龍星に稽古を付ける 二人は前よりも真摯に教えを請い、習っていた 此処でもいい風が吹いていた 笙と明日菜と……美知留と匠と結子だけが……… 置き去りにされたかの様に………何も始められてはいなかった 2月に入ると烈は精力的に動く事を決めていた 竜馬が翁の所から還って来たからだ! 2ヶ月間みっちり絞られた竜馬は、ゲッソリ窶れていた 兵藤はそれを見て………俺もああなるのか?と想った 兵藤は竜馬に「何をやらされるんだよ?」と問い掛けた 竜馬は「あぁ、貴史も行くんだったね翁の所へ あの人は自分が出来ないって事を理解出来ない人だからね、人に対しての要求が高いのさ 仕事は、秘書全般の仕事だけどさ………ケアレスミスなんてしたら背筋に冷や汗かきまくりで冷たくなる程に怖いんだよ………もぉね胃が痛くて仕方ないよ!」とボヤいた そして「あ、翼……行ってたって翁の秘書として教育されてたって、その上で合格貰って烈の正式秘書に収まったって聞いたよ!」と思い出した様に伝えた 兵藤は恐るべし飛鳥井翼…………と想った 兵藤は「合格でるのかよ?」と恐る恐る問い掛けた 「出るよ、俺も合格貰ったから半年に一回、錆びてないか見せに行ってるんだもん!」 「そうか………政治家になるまでは、そんな風に確かめられて行くしかねぇんだな……」 「そーなんだよ!貴史!翁の所へ行ったら確実に10キロは痩せるよ……俺なんかスボンが下がるからサスペンダーしてるもん!」 と兵藤にサスペンダーを見せた 確かに腰は痩せてスボンはかなりスポスポだな………と確かめた 「初対面だから優しくして………」 「くれないよ!」 兵藤の質問に竜馬は間髪入れず答えた 「あの爺さんには優しさとか、思い遣りとかないんだよ!出来て当たり前だろ?お前は斯波宗右衛門が送り出した存在なんだから!と謂われたらさ、烈の顔に泥塗りたくないからさ、頑張るしかないんだわ!」 兵藤は「お疲れ………」と竜馬を労った 竜馬は「次は貴史っすね!」と言った 兵藤は「なら、そろそろ佐伯と話し合いさせるしかねぇな!」と言った 見届けてやる!と言った以上は見届けてから行きたかった! 「え?それなんすか?」と竜馬は問い掛けた 兵藤は竜馬がいなかった時の話をしてやった 佐伯が育児放棄しやがってて美知留と匠が飢えていた事………真矢と清四郎が家を出て、暮らしていた事を話してやった 「真矢さん達が家を出たのは年末前だったから知っていたけど………育児放棄は聞いてないな…… そうか、佐伯……何時もイライラして社員に当たり散らしていたのを家でもやっていたんだ あの人……仕事終わりに何度もカフェに居るのを目撃したっすよ! こんな時間にサンドイッチとかカレーとか毎日日替わりで何か食べてるのを目撃していんすよ! 自分は仕事帰りに食べて、子供には何か食べてなさい!ってなら買ってきてるのかよ?ってレベルの話じゃないすか!」 と怒り狂っていた 兵藤は「自分は帰りにカフェに入ってたのかよ? 笙は家に帰っても何もないから食べて帰ってたって言ってたらしいじゃねぇか! なら家に何も食べるものがなくて当たり前じゃねぇかよ!」と怒りを顕にして吐き捨てた 話し合いの時、それを聞くしか無いと兵藤は想った 兵藤は烈と康太が揃っている時にその話をした そしてそろそろケリを着けろ!と突き付けた 康太は烈を見た 烈は頷いた 康太は「ならば部屋を取る事にする!んな話をオレんちの子供に聞かせたくねぇからな!」と言った 「にゃら夜はばぁたん達だけ呼んで宴会ね! そろそろ【R&R】の仕事してリフォーム代を稼ぎたいにょよ!」 「うし!全面的にサポートしてやんからよぉ! お前は、そこそこに頑張れ!母ちゃんはめちゃくそ頑張るかんな!」 康太と烈は拳を握るとバシッと拳を合わせた 榊󠄀原は「ならば【R&R】を追い掛けて旅行に行く準備をせねばなりませんね! 熱海と鬼怒川、どっちにするんですか? どっちも御盆の上にお酒は浮かべて温泉に入れますよ?」と調べたのか?そんな事を言って来た 烈はニコニコと笑顔を浮かべ 「メンバーはどうやら鬼怒川に行きたいらしいにょよ!竜馬が色々とホームページとか見せたら気に入ってね、行きたいって言ってるにょよ!」 「なら鬼怒川で決定ですね! 飛鳥井は今年は新入社員の募集は掛けなかったので、入社式とかないので、行くとしたら今ですね!」と燃えていた そして更に面倒な事はサクサク片付けるつもりで 「康太、料亭に席を取りますか?」と問い掛けた 「だな、ホテルより料亭が良いかもな!」 「飛鳥井の家族はどうします?」 「………揉め事なんて聞きたくねぇだろ? オレは我が子に揉め事なんて見せたくねぇから場を外に設けたいって想ったんだからな どうだろ?一応父ちゃんと母ちゃんには聞いてみるか?」 「ですね、聞いてみますか?」 聞きたくねぇだろうな………と康太は想う 飛鳥井は皆 仲が良い だがなんの努力もせずに、皆 仲が良い訳では無い 皆んなが皆を思い遣り慈しみ日々生活しているからこそ成り立つ日々なのだ 康太の子も、慎一の子も、聡一郎の子も、一生の子も、ちっこいのも 皆がそれぞれ育てて守ると謂う意識の下に生活しているのだ なんの努力もせずに仲が良い訳ではないのだ 「伊織、母ちゃんと父ちゃんはラインで聞いてみるわ、面と向かってどうする?何で深刻に聞きたくねぇかんな……」 「ですね、君がラインしますか?」 「あぁ、今送るわ!」 と言い康太は両親に「真矢さん達の話し合い、明日菜達家族の話し合い、母ちゃん達はどうする? 別に出なくても大丈夫だぜ、母ちゃん達は揉め事は嫌いだかんな………」と書いて送信した 玲香からは『話し合いが終わったら真矢と清四郎を連れて還ってくれるならば、出席はせぬよ! 我等がいる方が……本音で話し合いにならぬであろうからな!』と返信が来た 清隆からも『我等は見届けたい想いはあるが……清四郎達にしてみれば、家の恥を聞かせたい訳はないと想うから同席はせぬよ! でも話し合いが終わったら飛鳥井へ連れておいで!その時はレイの快気祝いを兼ねて宴会を開くとしよう!』と返って来た 康太は「どっちも同席はなしだな!」とラインを見せた 榊󠄀原はホッとしていた そして「ならば今夜料亭に席を設けるので話し合いをしましょう! 美知留と匠だけ出席させましょう!」と告げた 榊󠄀原は即座に料亭に予約を入れた 選挙やイベントもない時期が幸いして、部屋はすぐに取れた 康太は「烈、美知留に今夜話し合いがあると知らせといてくれ!」と言った 烈は即座に二人にラインを送った あの話し合いの夜から佐伯は会社を休んていた だから敢えて榊󠄀原は兄に電話をした ワンコールで『はい!』と電話に出た笙に榊󠄀原は 「今夜料亭で話し合いをしましょう! 何時までも美知留達を宙ぶらりんにさせておく訳には行きませんからね! 母さんや父さんとも話し合いをして下さい! 良いですか?」と言った 笙は『あぁ、僕もそろそろ話をせねばと想っていたんだ…………丁度いいです!』と言った 榊󠄀原は料亭の名前と午後7時に来て下さい!と告げた 笙は『解ったよ、ありがとう伊織、本当に世話をかけたね』と謝罪した 榊󠄀原はそれには答えず、電話を切った 康太と榊󠄀原は、早めに帰宅して支度を整えた そして7時に間に合うように真矢と清四郎を迎えに行った 烈は別行動でケントの車で兵藤と美知留と匠を乗せて料亭へと向かった 料亭へ着くと明日菜と笙は既に来ていた 明日菜は見るからに憔悴していた 明日菜と笙は軽く会釈をすると、何も言わずに康太達の後を付いて座敷へと向かった 座敷に通されると、お茶請けが運び込まれた この日は話し合いと言う事で料理は頼まず、お茶請けを頼み運び込んで貰ったのだ 座敷に入り席に着くと笙と明日菜は土下座した 「本当にご迷惑を掛けて申し訳ありませんでした!」 笙は心から謝罪した 明日菜も「ごめんなさい………ご迷惑をお掛けてしました!」と謝罪した 康太は「この半月、仕事にも行かずに話し合いしてたんだろ?どんな話し合いになったんだよ?」と問い掛けた 笙は「明日菜とは離婚も視野に入れ話をしました!僕は二度と我が子を惨めな想いなどさせない為にその決断も止む得ぬと思い話をしました」と言いそこで俯いて息を飲んだ 明日菜は「笙には最低だと謂われました………それは当たり前です、我が子には適当に食べておきなさい!と言いつつも買い物すらしてなかったのですから………食べ物なんてあの家にはありませんでした!解っていて飛鳥井へ行けば食べさせて貰えるでしょ?と我が子の面倒も見なかったのです!」と言葉を選び言った 兵藤は「自分はカフェで食べて還れば腹なんか空かねぇよな? 子供達は何も食べてないって想像すら出来なかったのかよ?」と痛烈な一撃を放った 「はい………すみませんでした 笙が外で食べて帰るようになった頃から私は家事を一切やらなくなった…… 飛鳥井の子供だって洗濯や掃除してるんだから、美知留や匠に出来ない訳がない………と美知留達に任せて………私は我が子を顧みませんでした!」 笙は「明日菜とは話し合いました 僕も……家に還っても何も作ってくれないから、外で食べて帰るようになって、まさか子供達が何も食べてなかった事を想像する事が出来ずにいました 愚かです、本当に我が子に目を向けないにも程がある………悔やんでも、もう取り返しが付かない ですが、僕は我が子に責任を持って暮らしたい 我が子と暮らしたい なので離婚するしかない現状を明日菜に伝え話し合いました 気がキツいのは良いですが、人の話を聞かないにも程がありすぎる……… だから明日菜にどうしたいのか? どうして行くつもりなのか?話し合いました 何日も何日も話し合いました 離婚の二文字が互いの前をチラチラチラついていました………」と言い涙を拭いた 明日菜も「私は離婚はしたくない………何度も笙に言いました、だけど子供達を放置していた事実は消えない……そして笙は同じことの繰り返しはしたくないと言った 私は………どうしたら良いか解らなくて………泣いてるばかりでした そしたら笙が烈に相談して、烈は笙に魂の邂逅をやれ、と勧めた その日からは何が悪かった その時は互いがどう想った? 自分の嫌な部分も愚かだと想う部分もまざまざと知ら示られ………互いを見直す作業から始めた 律が来て………私は怖かった………律がそのうち何もかも総て奪って行ってしまうんだ………と思い込み………理解出来ないからと義母さんを責めた 自分の総てが責任転嫁してしまっていた 考えてみれば母さんが死んだのも父さんのせいだと逆恨みみたいに拒絶して凝り固まっていた 私はあの頃の自分より退化してて………愚かになっていると痛感した」 明日菜は謝罪の言葉を並べた 康太も榊󠄀原も烈も何も言わなかった が、兵藤はイラッとして 「んな謝罪の言葉なんか今更なんだよ!話し合いの結果を聞かせろよ! 離婚になって笙が親権取って面倒見るとして、真矢さんや清四郎さんは同居なんてしねぇぞ! 総てが今更なんだよ!」 と吐き捨てた 真矢は「そうね、総てが今更ね、私はもう二度と同居はしたくないわ、それが私の答えよ 笙が離婚して子供と暮らすとなっても、ね!」と謂う 清四郎も「そうだね、今二人で気儘な生活して、今更同居は無理だよ! 笙が離婚するから同居してよ!と言われてもね 今度はこっちに全て押し付ける気なのか?と思ってしまうからね、同居は嫌だよ!」とにべもなく言う 笙は突き付けられる現実に………… 此処までさせたのは自分達なのだと反省した 笙は「私達は親の自覚が足りませんでした! なので今更同居して下さいなんて言えないのは、良く解っています! 僕達が出した答えは、我が子の為に最後に一度全力を出すと結論を出しました 離婚して、僕が仕事の時は誰か世話してくれる人を頼む事も考えました 神野に相談したら、その時は全面的なサポートを約束してやる!と言ってくれました だけど、明日菜はなんの努力してない 僕もなんの努力してないのに、逃げるのは烈が許してはくれないから……これが本当の最後のチャンスと想い、互いに努力して過ごすと決めました 明日菜は仕事をセーブして我が子の送迎をやる 僕も仕事がない時は家事をして、明日菜をサポートするつもりです、いや、サポートなんて言葉使っている内はダメ出しされますね! 明日菜と協力して毎日、どっちかが時間を必ず作り我が子中心の生活をする それが出来ない時は即座に離婚すると、互いが離婚届けを所持して何時でも出せる様にしました!」 と、笙は覚悟を語った 明日菜は「美知留と匠の転校も考えました 公立に転校も考えました………が、二人は父の母校である桜林を、烈がいる桜林を、離れはしないでしょうから全力で送迎をして行く所存です!家も引っ越そうか?と考えました……… 何度も何度も笙と話し合いました だけど、住み慣れた家を出たくないと謂う美知留達の意見を聞き、掃除は週に一度家政婦を雇い磨き上げて貰う事で話が付きました! 義母さん達をあの家から追い出してしまい………本当に申し訳ありませんでした!」と心から明日菜は謝罪した 康太は美知留と匠に「お前等はどうするよ?」と問い掛けた 美知留は「帰れるなら帰りたいよ、今借りてる部屋は本当に気楽で………このままでいたい想いもあるんだ、母さんのご機嫌伺いしなくても良い生活が楽すぎて、帰りたくない想いも大きい でも帰りたい思いもある…………家族皆で笑って過ごせるなら………還って結子や匠と共に暮らしたい もう匠や結子が飢えないでいるなら……そうしたい!」と答えた お兄ちゃんは常に弟や妹の心配をする 烈は「しょーたん、あの家で過ごすならリフォームしにゃいと駄目よ!」と言った 「え?どうしてですか?」 「そのまま住めば、負の気を吸いすぎてるからね 呪物にゃのよ今の家は………運気を詠んでリフォームして浄化するにょよ! ばぁたんは御子柴の血を引いてるだけあって、涙が染み込んだ空間なんて負の因子を呼びまくってるわよ!」 「え?ならどうしたら?烈ぅ〜!」 「毎度御用命ありがとう御座います! 飛鳥井施工で工事するにゃら、親族割引で消費税分はサービスするにょよ!」 と冗談めかして言った 笙はスッキリした顔で笑って 「ならお願いします! 良いんですか?消費税分サービスなんてしちゃって!」と言った 「その分、ボクの給料で補填するから大丈びにゃのよ!」 それを聞き「いえいえ、通常料金でお願いします!その分僕は家族の為に死物狂いで働きますから!」と言った 「にゃら明日から工事に入るにょよ! 期間はリフォームの規模によるから解らにゃいわね、でも工事は凛太郎が指示して取り仕切ってくれるにょね!」 「それまでは美知留達をお願いします! 僕と明日菜はホテルで泊りますから!」 烈は美知留と匠に向き直ると 「家族運アップにょリフォームやるにょよ! しろたん、製図引いてくれにゃいかしら? あぁ、それとも、ゆーちゃんに頼もうかしら?」と思案しつつ、そう言った 美知留は笑って「烈が最高の家にしてくれるの?」と聞いた 匠も「楽しみね!」と言った そして兵藤を視ると宗右衛門を出して 「この辺で良いか?兵藤貴史?」と問い掛けた 兵藤は「俺は別に馬鹿な夫婦だなって想っていただけだし、こんな夫婦の元に生まれた子が可愛そうだなって想ったから見届けに来ただけだからな、美知留と匠、そして真矢さんと清四郎さんが納得すれば、別に構わねぇよ!」と言った 宗右衛門は真矢と清四郎を見た 真矢は「譲渡の書類は送付しちゃったわよ!」と言う 清四郎も「我等は烈が建ててくれる家に住みたいからね!美知留と匠も何時でも遊びに来ても良いんだよ!そしてまた育児放棄されたら言うんだよ、その時は永遠に無関係な存在に宗右衛門はしてくれるだろうからね!」と釘を差しておく 宗右衛門は「承知した!ならば、約束を違えた瞬間、この二人は『永遠に抜け出せぬ不幸のラビリンス』の中へ閉じ込めてやるとする!」と約束した 康太は慌てた「やべっ!今………約束しちまったよな?」と慌てていた 宗右衛門はニャッと嗤うと「違えねば良いだけの事じゃろ!」と簡単に言い捨てた 康太は「おい笙!お前等………約束破ると永遠に不幸になるぞ! その不幸は死んだからって抜けられねぇ不幸なんだぞ!嫌なら約束をちゃんと守れ! 宗右衛門、それは反則だろ?」とボヤいた 「約束を違えねば良い、それだけの事じゃろ? 簡単な事ではないか!」とガハハハハハハッと笑い飛ばした 兵藤は「んなにヤバい約束なのかよ?」と問い質した 「だからヤバいも何も口に出した瞬間から発動され約束されちまうんだよ、滅多と使う奴いねぇからな、油断したわ……まさか宗右衛門が使うとはな… さっきも言ったやんか、その【約束】は発動されたら死んだとしても抜け出せれねぇ無限ループなんだよ!不幸のラビリンス、読んで字の如し 抜け出せねぇ迷宮に迷い込み、延々と続く不幸に見舞われるんだよ! んとにな笙、そうなりたくなかったら約束は破るな!オレの息子は呪術に長けてて、人を呪う事なんてカニパン食う位に簡単な事なんだよ! 長い詠唱を省けるのは賢者とその弟子位なもんなんだよ!そして烈はその弟子だかんな!」 ボヤく母を知り目に、烈はニコニコと 「ばぁたん じぃたん 宴会したいにょよ!ボク!」と言った 真矢は笑って「良いわよ!帰りに買い物して帰りましょうね!」と言った そして振り返り蒼く光る眼で見詰められ、明日菜と笙は息を飲んだ 「みっくん、たっくん、リフォーム済むまで今の所へ還るのよ!心の準備するにょよ!」と言う 笙は深々と頭を下げた 「腑抜けじゃな………そんな腑抜けじゃから妻の舵取りも手を焼くのじゃ!この戯けが!」 「すみません………死にそうな時、魂の邂逅をやれと、遣り方を教えて下さったから、互いを見つめ直せました!」 「この次逢った時にレイに蹴り飛ばして貰うとする!そして佐伯、会社に出られよ! 主は特別に午前10時から午後3時までのパート扱いにしてやろう!その間に家事をして夕飯の支度をする!慎一に作り置きの奥義を伝授され家事を時短させられるようにするのじゃ! そして定期的に掃除は業者を入れ楽も覚えるのじゃ!母さんがギスギスしていては我が子は笑えぬ!主は我が子を飢えさせたばかりか、苦しめたのじゃからな、笑って心にゆとりを持つ事を覚えられよ!そして約束を違えたら不幸になればよい!約束は絶対じゃからな!」 兵藤は良い事を言ってる風に捉えられなくもないが…………言ってる事もやってる事も恐ろしいと想った そしてそんな事を考えていたら、烈とバッチリ目が合った 「兵藤きゅん、今夜からボクとりゅーまと【R&R】のメンバーによる特別授業始まるにょよ!」と笑った トホホとなる兵藤の背を康太は撫でてやった そしておもむろに立ち上がると 「さぁ帰るわよ!料亭にゃのに料理出にゃいし、佐伯と笙は榊󠄀原の家に帰りリフォームするから荷物の片付けするにょよ! ばぁたん達の荷物は売りに出すから、そのままでね!明日にでも獅童を連れて行くからね!」 と告げると美知留と匠と兵藤を連れて還って行ってしまった ケントも大変だな………と康太は想う

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