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第48話 配置 ❸

烈はケントの車の助手席に兵藤を乗せ、美知留と匠と共に後部座席に乗り込んだ 「みっくん、たっくん、あの話し合いで大丈びだった?」 烈が聞くと美知留は「うん!やはり結子には母さん必要だし………家族でいられるなら、家族でいたい想いもあるんだよ………でも心の中では許せない自分もいて……まだ複雑かな?」と本音を吐露した 兵藤はその話を聞いて美知留に 「別に許さなくても良いさ! 家族ってそんなもんだろ?所詮は他人が家庭を作り、子を生み家族となるんだ 相性もあるし、何の努力せずに家族仲良くやってます!なんてのは綺麗事なんだよ! 飛鳥井だって家族が仲良く過ごせているのは一人一人の努力の賜物みてぇなものだしな! だからさ美知留、我慢ばっかしてるとその内壊れるぞ! 確かにお前はお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんは何でもかんでも我慢しなきゃならねぇ訳じゃねぇんだよ!もっと肩の力抜いて今度は逃げて良い!」 と贈った 美知留は「そうだね………ならもう一度……家族を始めてみるよ………それでダメなら逃げるよ!」と言った 匠も「烈、ありがとうね、凄く気が楽になった 兵藤君もありがとう……」と言い兄の手を強く握り締めた 美知留と匠を病院横のマンションの前で下ろすと、ケントは飛鳥井の家まで送って行った そして烈と兵藤を下ろすと、待機所へ戻った 烈と兵藤は飛鳥井の家に入ると、竜馬が 「お帰り烈!あ、貴史もお帰り!」と出迎えてくれた 「母しゃんと父しゃんは?」 「お買い物して還ると言って慎一を連れて出掛けたっすよ!」 「なら夜は宴会ね!」と烈は走って応接間へ入って行った 烈は応接間にいた兄達に「宴会の準備しにゃいと!」と告げた 兄達は久しぶりの宴会に喜んだ 音弥は「カズ、大土鍋かしら?」と走って呼びに行った 流生は「カズ早く!」と急かした 一生は「俺一人で大土鍋は運べねぇって!」と怒る 兵藤と竜馬が仕方なく駆り出され、大土鍋を出して磨き上げて竈の上に乗せた 烈は会社から還って来た悠太を捕まえて 「ゆーちゃんリフォームの製図引いてくれにゃいかしら?」と頼んだ 悠太は笑って「良いよ、何処をリフォームするだ?」と問い掛けた 「榊󠄀原の家よ、あの家をぶっ壊してリフォームするにょよ!」と言った 悠太は応接間へ入ってタブレットを取り出すと、榊󠄀原の家の製図をデーターから取り出して表示した 烈は悠太に要望を伝えた 悠太はその要望を聞いて構図を考え示して行った 聡一郎が応接間へ来た時には、烈と悠太は夢中になり話をしていた 旗から見たらまるで恋人同士かよ!と言う程に引っ付き、一つのタブレットを共用して話を弾ませていた 「そーにゃのよ!ゆーちゃん!」 「なら此処は、こーしちゃう?」 「そうそう!良いわね、それ!」 盛り上がる二人を見てる聡一郎を、一生は 「妬くなよ?」と一応言っとく 聡一郎は「妬かないよ、この二人が仲良しなのは今に始まってないし! 飛鳥井の製図課のリフォームの時もこんな感じで夜中までやっていたからね!」と呆れつつ 「僕は烈が無理しないか?其の方が心配だよ!」と言う 烈は聡一郎を見付けると「そーちゃん、どうかしら?意見聞かせて!」と呼ぶ 聡一郎もタブレットを覗き込み「これ榊原の家?」と問い掛けた 「そーにゃのよ!ばぁたん達出たら部屋が余るし……今のままにゃら呪物よ……」 家は人の念が篭りやすい箱だから、常に浄化して綺麗な心でいなければならない……そう宗右衛門は言う………まぁ無理な話だけど……… 聡一郎は「ならさ、こうしたら?」と提案して行く 3人はスッカリ夢中で話しを始める 一生は「こりゃダメだ……」と諦めの境地だった 3人は本当に仲が良い 烈の大切な存在だから、ちっこいのにも気を配る 兄達もそうだった まるで康太の宝物の隼人を一生や聡一郎が護った様に、ちっこいのを大切に想い接する こんな所までも似てるなんてな………と一生は想っていた 康太と榊原が買出しから還って来た 真矢と清四郎の手には沢山のトートバッグが下げられていた 一生と隼人は、康太と榊原の手からトートバッグを受け取りキッチンへと運んだ 康太達は応接間を覗いくと、一生が 「あの3人は今は製図の世界に没頭中だ!」と告げた 康太は「なら連鎖してすげぇ事になるな!」と笑った 兄達は手が空くとタブレットを覗き込みに来て、自分達の意見を言う 仕事から還って来た清隆や瑛太がそれを覗き、アドバイスを言う そしたら話は大盛りあがりになり………凄い事になるのだ ! 会社のリフォームの時に体験済みだった 根っからの建築バカなのだ飛鳥井の家族は……… 家の為に生きているが、建築が好きだから知りたくて勉強をしている だからこそ、製図や構図を見ただけで話が盛り上がるのだった 悠太は「家族5人であの家は大き過ぎじゃない?」と改めて見て言う 烈は「にゃら半分売る?維持も大変にゃのよ」と思案する 「半分にするのは勿体無いんだよ! あの家は師匠の技術が生きているからね!」 「にゃら……この家売って何処か買った方が早いかしら?」 「……それだと僕がリフォーム出来なくなるじゃないか!」 「それもそうね!」 なんちゅー話してますの? と一生は想う こいつ等本当に建築馬鹿だわ……… でも楽しそうだから、まぁ良いか 一生はせっせと宴会の準備をしていた そして宴会の準備が整い、いざ宴会に突入すると………人が増えていた 【R&R】のメンバーが集まり、神野や相賀や須賀も来ていた どう言う訳か神威もちゃっかり参加して、何時もの賑やかな宴会が始まった 竜馬が烈を抱き上げて、無理矢理客間に連れて行く それで悠太や聡一郎もタブレットを片付け、客間へ行くのだった 真矢と清四郎はニコニコして皆と共にいた 康太は笙と明日菜の上にも良い風が吹いているならば、良いなと想った 皆 平等に幸せが来るなんて思ってはいないが………… 不幸になれとも想ってなんかいないのだ そして楽しげに飲む家族を見る 幾ら忙しくても飛鳥井の人間は本当に宴会が好きで、楽しく飲むのが好きだった 康太は…………家族のそんな時間を大切に想い、感慨深く想っていた……… が、目の前ではやはり凛が「あちゅい!」と服を脱ぐから太陽は「着てなってば!本当にもぉ!」と怒っているのだった 「あちぇぼ でりゅ!」 「こんな寒いのにあせぼでてるの凛だけだから!」 太陽が言うと清隆と瑛太は飲んでたお酒を吹いた 玲香と京香が「汚いわいな!」とそれを拭く 皆が笑い………客間は楽しげな笑い声が響いていた こうして飛鳥井の夜は更けて行った 菩提寺の社務所は今度は鉄筋2階建てになる予定だった 今は仮設で仕事をしていた 保養施設と道場は建設が始まった 宮瀬建設が一手に引き受けてくれる事となった 那智の意識改革は年を明けて再開され、今はかなり改革され社員教育に力を注ぎ、飛鳥井の社員の実習先の受け入れ準備を始めていた それに伴い、社員も育てる為、資格支援制度を作り資格を取らせる為に会社を上げてサポートして行く事も決めた! そうすると、皆が目の色を変えて資格を取ろうと頑張り始め、社内は活気付いていた そんな変化を目の当たりにして那智は、今後も時代の最先端を勉強して逝かねば!と心に決めた 保養施設と道場は国から支援金も出るから、かなり立派なモノが建てられると宗右衛門は満足していた それと並行して菩提寺の家族向けマンションの建設も飛鳥井建設が着工を始めた 元々在った場所を、菩提寺で働いてくれる人も少なくなったからと、建て壊し大々的に人を集める為に建てるマンションだった 家賃は半額位を取って何年で減価償却出来るか計算した 半額では到底住めない豪華な出来になるから採算は取れると踏んで踏み切ったのだった マンションが建つと、今度は納骨堂の建設予定を入れた 納骨堂 参拝堂を建設し、墓地があった場所は更地にして浄化してから僧侶達の試練場を作る予定だった 其れ等を5年計画で完成させる予定だった 今回の道場は雑木林を切り開き、そこに仮説の駐車場を作ったから、3階建ての道場になる予定だった 一階を畳敷きの武道場にして、二階を合気道や護身術を習う場にするつもりだった 三階を極真空手の修練場にして、一階は使わない時は、太極拳をやるつもりだった 今から太極拳をやるならば通いたいと希望者が上がっていた 生徒は道場の完成を見越して今から募集は募っていた 極真空手は何故か小学生の希望者が殺到して、どうするか?梓澤達と思案中だった 飛鳥井の会社もやっと新しい部署に慣れて来て、今の部署の方が働きやすい、と社員達は痛感していた 最初は畑違いじゃないか?不安がない訳ではなかった だが示された以上はその部署で働くしかなくて、働き始めて直ぐに、あら?自分はこの部署の方が合っているかも?と感じる社員が殆どだった 宗右衛門が一人一人に合った部署へ配置した と統括本部長に聞けば、大変だったろうに………と宗右衛門の大変さを社員は想い差し入れに力を入れるのだった 康太も最近は社内を歩く様にしていた 今では真贋の目が怖い……と避ける社員は一人もいなかった 真贋よりも宗右衛門が怖い 社員は皆 そう想っていた 相談をすれば、ズバッと言い当てられ、詳しく話してみろ、と謂われれば更に当たり社員を唸らせていた 絶対の信頼と絶対的な存在に対する畏怖 だがそれ以上に秩序と規律を貫き通す姿は、社員の中に息づいていた 他人に厳しいが己にも厳しい宗右衛門 皆が宗右衛門を敬い、烈を愛した 飛鳥井建設の社員は、今は施工の社員を今は見下したりはしていなかった 資格を取りまくり、生き生きと仕事する施工の社員を目にして、ライバルとして自分も資格を取り頑張らなきゃ!と想い始めていた 現場で施工の社員を見かける事が増えて、一緒に仕事をして行くうちに、施工の社員を馬鹿にする者もいなくなった 馬鹿にしている自分こそ、愚か者としか見えないと気付き、顔を合わせても最初はぎこちなかったが、今はライバルとして切磋琢磨していた 笙は榊原の家のリフォームを、飛鳥井施工株式会社に正式に依頼して来た 見積もり金額はまだ渡してはいなかった どんな風にリフォームするか?決めていなかったからだ! あれから城田も交えて、康太と榊原も交えてアドバイスを貰った やはり5人家族なのにあの敷地面積の家は重荷なのではないか?と皆が想う 康太は「半分、売るか?」と烈と同じ事を言った 「それね、ボクも言ったにょよ!」 すると榊󠄀原は「あの家は無駄に庭が広いじゃないじゃないですか、家をズラす事は可能なのですか?」と問い掛けた 城田は「不可能じゃないですよ!あの家は木造じゃない!セパレート式で増やして行く事も視野に入れて作られている脇田誠一の作品ですから! 脇田誠一は一つの家を立てるにしても可能性を残して製図を引く! 広くも出来るし、逆に切り離して狭くも出来る なのであの家の壁を取っ払って、半分に切り離すのも可能なんですよ!」と言った それを聞き烈は「にゃら半分っこに出来るにょ?」と聞いた 城田は製図を指差し「ええ、家族が減った時を考えて、ココから切り離して半分にする事も可能なんですよ!」と言った 康太は「なら家を半分っこにして、間に塀で別物なんてのも可能なのか?」と聞いた 城田はニコニコとして「ええ、可能ですよ!それが脇田マジックですから!」と語った 烈は「しろたん、家要らにゃい?」とトンデモ発言をした 「え?そりゃ家は欲しいですが……」 「ならこの家切り離して間を壁で間仕切りしてくれたら、こっちの家しろたんにあげるわ!」 その発言に城田は驚いた 「え?冗談は…………」 「冗談じゃにゃいわよ! ボクは何時だって本気にゃのよ!」 城田は康太を見た だが康太は「おっ!それは良いな!笙んちの隣を下手な奴に住まわせたくねぇからな! それに新婚だろ?お前は!」と喜んだ 城田は「…………結婚して3年になります………」と新婚じゃないと言った 烈は「愛があれば何時だって新婚にゃのよ うちの母しゃんと父しゃんは何時だって新婚よ!」と言ってのけた 康太は「おー!そうだぞ!しかもお前の妻、子供生んだんだろ?」と楽しそうだ 「はい、2年前に生みました……」 「なら次作れ!そしてその家で子育てしろ!」 「母しゃん、凄いにょよ!」 と親子で大喜びだった 榊󠄀原は「諦めなさい城田………似た者親子なので、康太と烈が意気投合すると、もう決定したも同然です!」と言った 烈は「しろたん、バンバン仕事して固定資産税支払うにょよ!」と楽しそうだ 康太は「だな、家はやるけど税金はお前持ちだ! ついでにリフォーム費用もお前持ちだ! 社員割引してやれよ、相談役!」と言った 「解ったにょよ!社員割引でやる様に凛太郎に言わにゃきゃ!」 城田は言葉もなかった 康太は「明日から工事に入ったら何時頃完成するよ?」と問い掛けた 「4月の新学期に合わせたいわね!」 「頃合いじゃねぇかよ! で、お前、城田に家の半分やるって言っちゃってるって事は、既に笙に話し済みか?」 「そーね、笙の希望は慎ましくも5人が住める身の丈に合った家だって謂われたにゃよ! にゃら半分ボクが貰って誰かにあげるわよ!って言ったにょね、そしたら笙はそれで良いって、知らない誰かに住まわれる位にゃら烈が決めた人を住まわしてくれた方が安心するって言ったにょね!」 「なら譲渡の書類、作ったか?」 「神威に頼んだにょよ!」 「うし!税金も安くなるし、暮らしやすいだろうかんな!」 「ゆーちゃんが狭くしたら、家族の空間作ってくれるにょよ! しろたんもゆーちゃんに頼んでみたら? 勿論 謝礼に恋人とのディナー差し入れしたら喜ばれるわよ!」 「いえいえ、依頼料支払いますって!」 城田が言うと烈はうるうるの瞳をして母を見た 「母しゃん……」 城田は烈を泣かしそうになり焦っていた 康太は「城田、悠太は別に依頼料なんて欲しくないんだよ!烈が頼むならば聞いちゃう叔父馬鹿だからな、烈の頼みなら地球の裏側に飛んでだって製図を引いちゃうんだからな! だから恋人とのディナーで頼んどけ!」と言った 城田は何が何だか解らないうちに押し切られ、烈のうるうる攻撃に白旗を揚げるしかなかった トントン拍子に話が進み、城田は施工の凛太郎に給料天引きでリフォーム依頼を引き受けました!と謂れ正式な契約書を取り交わしていた 凛太郎は「城田、月に何時間残業してる?」と聞かれ、殆ど残業してないって答えた 「ならさ来月からもっと仕事入れてさ、月に3万は残業しなよ、で給料天引きだからさ給料下がっちゃうでしょ?」と謂う 「解った………バリバリ仕事引き受けるよ!」 「そうしてね、で、月々引くお金がこうでしょ、そして何年間は頑張ってね!」 と凛太郎が説明していく それと同じく笙も凛太郎から説明を受けていた 笙も神野の事務所から給料天引きで支払う事になっていた だから仕事を入れさせてね!と烈からの依頼だった 「リフォーム代支払えにゃいのは困るにょね! だから仕事させるにょよ! で、凛太郎と謂う施工の社員行かすからね、月々給料天引きの書類とかお願いね!」 と直に神野に言い、リフォームを完璧にさせる そして全ての手筈を整えて行くのだった 後日、笙と城田から時を同じくして 「烈って怖い…………」とボヤかれたが、康太は笑い飛ばしていた 「烈は1000年以上何度も何度も転生してる強者なんだぜ?勝とうなんて想った時点で負けてんぜ!」 と謂われれば、成るようにしかならなかった 笙は神野から「どん底に落ちて苦しくのた打ち回る男の役やらせろって言われてるから、仕事取って来たよ!リフォーム代金の為に頑張れよ!」と謂われた 今までの自分を見せろって事ね……と居直り、笙は役を演じた その役で榊󠄀原 笙はアカデミー賞を受賞する が、今の笙はそれを知らない 佐伯明日菜はパートとして会社に努め始めた 今は離れて暮らして入るが、毎朝美知留と匠を初等科に送迎して結子を幼稚園に連れて行っていた そして作り置きの遣り方を慎一に聞いたり、料理教室に通い、習っていた その合間に家事をして掃除洗濯する 怠けていた体が悲鳴を上げる だが二度とチャンスは来ないのだ 今踏ん張らねば【家族】は二度と自分を見てくれない事が、解るから努力していた 榊󠄀原の家はリフォームに入った 笙も暇を見つけては我が子に逢いに行っていた 休日は美知留と匠と結子を連れて家族で遊びに出掛けていた 美知留は母がパートなど、出来る筈がないと想っていた バリバリ仕事がしたい人間がパートになる また秘書課では一番下からのスタートを切ったと聞く 我慢できるのかな? そう想っていた だが佐伯も笙も子供の事を中心に考えて仕事を入れていた 笙の場合、リフォーム費用は給料から天引きだから頑張らねば生活出来ないから仕事も頑張っていた 朝 佐伯は烈と顔を合わせる 佐伯は深々と頭を下げて挨拶をする 「おはようございます!」 佐伯は無視されるかと想っていたが、烈は 「どう?頑張ってる?」と声を掛けてくれる そして少しへりくだり過ぎよ、とか、その調子よ!とか、社員と接する時の態度に対しての助言をしてくれる 3時にパートを上がり我が子を迎えに行く 烈は「結子が小学校に上がったら、昼休憩は遅目に取ってその間にお迎えに行く時間を作るのよ!」とアドバイスまで貰える 結子は市立の小学校に通うから、学童保育が出来る様になるまでの我慢ね、と言ってくれる 本当にそうだと明日菜は想っていた 自分の態度を見直し、社員と接して行く 最初は嫌な顔をされたり、どうせ見下すんだろ?って態度されたが、烈が「人は変わるにょよ、気付いた瞬間変わろうと努力するにょよ! そんな人間を見守る位は寛容になるにょよ!」と言ってくれたから、社員達も許しはしないが態度には出さないでいてくれる様にはなった すると自分の愚かさが見えて来た 魂の邂逅でつくづく自分は愚かだと痛感したが、更に現実を突き付けられ知る事になった だか、此処で挫ける訳には行かなかった! 我が子を幸せにしなければならないからだ! あれから誠心誠意、真矢と清四郎に謝罪した 二人は何も言わなかった だから許されたのか?許されてないのか? 解らないが…………見限られていないのならば、チャンスはあると、烈が言ってくれたから…… 頑張っていこう!と心に決めていた そんないい風が吹き始めていた1月後半 兵藤貴史の有栖院家翁の秘書の話が決定した 有栖院家へ行く前に烈は【R&R】のメンバーと兵藤との旅行を決行した! 1月 年明け早々の、施工の旅行は清隆が行ってくれ、凄く刺激を受けたよ!と謂う社員旅行となった 建設の方も1月の終わりに長崎に社員旅行を敢行した! 康太と榊󠄀原と社長をしている瑛太が参加した 旅行先で康太は誕生日を迎え、社員達に祝って貰い、忘れられない誕生日となった そして大きなイベントを終えた今だから、と旅行に出たのだった 予定は一週間 だが飛鳥井の家族は金曜の夜から日曜の帰宅までを同行する事となった 【R&R】のメンバーは観光ツアーばりの勢いで感激しまくりで、全て英語で話していた そうすれは話し掛けられる事もないだろう、と烈と竜馬が提案し、それを実行した! 旅館は離れを貸し切りにした   離れにはプライベートで入れる温泉があるからだ! 大きな温泉にお盆を浮かべてお酒を飲みつつ浸かっていた だが温泉に慣れていないメンバーは直ぐに酔いクラクラになった 兵藤も実は本格的な温泉は初めてで、メンバー同様にクラクラになっていた 竜馬は平気な顔してお酒を飲んでいた 烈もお盆に薄めのジュースを入れて、飲んでいた 兵藤は部屋からその光景を眺めつつ 「どうして竜馬は平気なんだよ!」とボヤいた 竜馬は「俺は烈と何度も温泉に来てるからな!」と笑った 「烈が幾つの時から来てるんだよ?」 「烈が3歳の時から来てるのさ!」 竜馬は、ねっ!烈!とご機嫌だった メンバーは「Oh!no!」とボヤいた 大体、外人は湯船にはそんなには浸からない しかも浸かるにしても、温めの湯にしか浸からない こんな吹き出す源泉を水で薄めて入る風呂には入った事がなかった 「恐るべし………Onsen………でーす!」 とデービッドがボヤく それなのに、ジジイ臭く烈と竜馬は温泉に入っていた だか、何日もトライしてると慣れて来るもので お盆にお酒を浮かべて飲める様になって来ていた その頃、飛鳥井の家族や真矢や清四郎やちっこいのがやって来た 清隆は早速温泉に入りメンバーと共にお盆にお酒を浮かべて、チビチビ始めた 瑛太も清四郎もご機嫌にそれをやる メンバーも一緒に入っても余る程に、離れの温泉は広く………だが女性はそれに入る勇気はなかった 本館の方に温泉が有るので、そちらをどうぞ!と言われて玲香と真矢と京香と柚は女風呂へと行くのだった 康太と兄達と烈とちっこいのは温泉で泳いでいた スイスイ泳いでいた それを目撃した榊󠄀原が「温泉で泳ぐんじゃありません!」と叱った 康太も兄達も烈もちっこいのも榊󠄀原の前に並び、くしゅーんと説教されていた 清隆と清四郎が「そんなに怒るモノじゃありません!」と取り成す 兵藤は北斗と和真に背中を洗って貰い上機嫌だった 康太と兄達と烈とちっこいのは大人しく温泉に浸かる事にした レイが温泉の暑さにクラクラになり、一生が 「ほらほら無理するから……」と温泉から上げて団扇であぶってやった 烈は慣れたもので温泉に浸かっていた 竜馬も笑って温泉に浸かるから メンバーからは「じじむさい!」と言われてしまっていた 流生は「烈、お肌ツルツルになる?」と聞くと 「なるわよ!この温泉は神経痛にも効くわよ!」と祖父を見た 兵藤はぷるぷる笑っていた 清隆は「だからお酒が更に美味しい訳だ!」と言い飲む 清四郎も「なら更に良い役出来ちゃうね!」と、言い飲む 瑛太は「私は神経痛とはまだ無縁ですから!」と言い飲む 翔は「この前忙し過ぎて腰が痛いって言ってなかった?」と謂うから瑛太はしー!です、と慌てた 烈は「もう若くにゃいのよ!」と呟く 竜馬がウンウン!と頷くから「竜馬、後で覚えときなさい!」と謂われてしまうのだった 「え〜!瑛兄さんお湯に流してくれませんか?」 と、温泉だからお湯と言った 「仕方ありませんね!」と言い笑ってお酒を飲んた 連日こんな感じで男達は温泉を楽しみ、お酒を味わっていた 真矢と玲香と京香も女風呂でもそれが出来ると聞き、温泉とお酒を楽しんでいた たが…………楽しいとふやけるわ………と想った 皆で楽しく観光し、お土産を沢山買う! 烈もお小遣いの範囲で買う そして部署ごとにお土産を渡したい、と謂うと両親が買ってくれた ドタバタ熱いけど楽しく 夢のような時間を過ごし メンバーとの絆も強くし、家族の絆も絶対のモノにし、兄弟の結束も確かめて終わりを告げた   【R&R】のメンバーはまた皆と旅行に行きたいです!と言った 烈は「また行こうね!」と約束した! 家に戻ってからは、また忙しい日々が戻って来た 菩提寺の社務所建築と保養施設の建築 それに加えて榊󠄀原の家のリフォーム状況をを毎日確認にして目を光らせる 榊󠄀原の家は、器具を使い家を切り離した 切り離されても丈夫な家はびくともせず、その様に設計されているのだと謂う事が良く解る事となった 飛鳥井建設は飛鳥井記念病院の立体駐車場の建設に着手して、大分出来上がりつつあった 当初は医者専用にしようかと想っていたが、薬局建設を視野に入れてた結果、結構大幅な工事となった 今 薬局は仮説の建物で処方を受け付けていた 元々あった薬局は荷物を全て出してリフォームに踏み切った オートロックにしてセキュリティを高めて、善之助に贈る為に、細部まで拘りリフォームする そのリフォームの製図は城田が引いてくれた 立体駐車場は木瀬真人が引いてくれた 耐震を踏まえて400台駐車を見越して製図を引く 外観も病院の駐車場と謂う事で、外から見ると植木が組み込まれ雨水を利用して育てられる様にした 木瀬はその仕事に心血を注ぎ 九頭竜は愛する人の引いた駐車場を建てる事に心血を注いだ 駐車場を半分のスペースにして その横に私道を通してその横に薬局を建てる 鉄筋3階建てのビルで一階を薬局にして、二階と三階は真矢と清四郎の家になる その製図は飛鳥井恵太が引いてくれた 烈にうるうるの瞳で頼まれ、真矢と清四郎の意見も聞き引いた家になる 一階の薬局もキッズスペースを作り、椅子も多く置き、ゆったり薬の説明を聞けるようにした また成人病や疾患の人の為の食事指導の講義や、日々の健康の為のアドバイスを送れる様に、管理栄養士も月に数回は来てくれる事になっていた こうして着実に配置された建築が始まり 配置された日々が蓄積され、仕事に精を出し 始まりを迎えていた いい風が吹いていた 烈は2月の中旬から4月の中旬まで、休みを取ると両親に申し出た 康太は「2ヶ月間も休むのか?どうしたよ?体調でも悪いのか?」と心配して問い掛けた 榊󠄀原は「【R&R】の仕事でイギリスへ行くのですか?」とイベントかと想い問う だが烈は「魔界に行きたいにょよ!魔界は人の世を写す鏡だから………今布石を打っとかにゃいと、って考えているにょよ!」と言った 康太は「電磁波流すとか言ってたっけ?」と思い出し謂う 菩提寺や榊󠄀原や飛鳥井が安定するのを見届けてから、魔界へ行く気だったのだろう 康太は「うし!行って来い!レイを連れて行けよ!」と許可を出した 榊󠄀原も「僕達も見に行けるなら行きますから気を付けて行ってらっしゃっい!」と言った 両親に許可を貰った烈は、その晩家族に留守を告げた 「やらにゃいといけにゃい事があるにょよ!」と告げた 家族は寂しがり、兄達は留守は任せて!と送り出してやり、ちっこいのは無言で手を振って送り出してやった 真矢と清四郎にはラインで「暫く留守にするにょよ!ボクの留守中、にーにや、ばあちゃん達を気にかけてやってね!」と頼んだ 真矢と清四郎は、出来るだけ気にかけるわね!と約束してくれた 烈はその日の晩、神の道を通りレイと共に魔界へと出向いた 崑崙山に出ると、アルくんを呼んだ レイはタカシを呼び、まずは畑へと出向いた 畑へ逝くと素戔嗚尊がクロスと共に畑仕事をしていた 烈が「じぃさん!」と呼ぶと、素戔嗚尊は笑顔で烈とレイを抱き締めた 「どうしたのじゃ?烈、レイ?」 「魔界全土に電磁波流す為に来たにょよ!」と烈は言った 「電磁波?閻魔が今、魔界の区画毎に立ててる電柱みたいな事の話だったりするのか?」 「そーにゃのよ!閻魔、立ててくれてたにょね!」 「あの固まる土と何かを混ぜて形を取り作っておったわ!鬼達やガタイが良いのは駆り出されて仕事させらせられておっわ!」 「にゃら全部の区画に立った頃かしら?」 「だな、武道場も近々完成する!」 「なら畳みたいなの作らにゃいと! 今回はね針も完成させたいにょよ!」 「おー!鉄鉱石をかなりの量集められているからな、それは出来るであろうて!」 素戔嗚尊と話しているとクロスが 「烈、デメロン生ってるわよ! 味見しちゃう?僕達味見はしてないのよ! 烈が来たら一緒に味見するつもりで取ってあるのよ!」と嬉しそうに謂う 「にゃら、じぃさんの家に持って行くにょよ! ………じぃさん、トキちゃんも畑に来てるのね……」 素戔嗚尊の横には同じパレスの聖鳥 朱鷺がいた 素戔嗚尊が常に連れ歩いている鳥だった 朱鷺は「今夜は酒が飲めそうか?」と嬉しそうに謂う 烈は「じぃさん飲ませてたにょね………」とボヤいた 素戔嗚尊は「コップの中に顔突っ込んでおったのじゃよ! その日から、何時もコップを用意すると顔を突っ込んで飲んでいるのじゃよ!」と笑い飛ばした レイは朱鷺を撫でていた 朱鷺はレイにスリスリしていた 朱鷺は「乗るか?レイ!」と謂うとレイは朱鷺の背に乗った 烈はお前さ………聖鳥じゃにゃいの?それで良いにょ…………と想った タカシがクロスに「ならクロス乗れよ!」と言った クロスはタカシの背に乗って手綱を握り締めた 素戔嗚尊は沢山籠にデメロンを入れて、馬に乗り自宅へ還った 烈もその後を追い家へと向かう アルくんを厩舎に入れ、庭に出て縁側に座っていると素戔嗚尊がまな板と包丁を持って来た その包丁は烈が鉄鉱石を溶かして、鬼に打たせた包丁だった 良く切れる包丁を素戔嗚尊は愛用していた クロスとレイとトキがワクワクとその時を待っていた 「よいか?切るぞ!」と言い素戔嗚尊はデカメロンを切った するの甘いメロンの匂いが充満した 烈は「成功かしら?」と喜ぶ バランスボール位大きなメロンを切るのは大変だった デカチゴも大きかったが、デメロンもかなり大きく育っていた 素戔嗚尊は種を皿に取りつつ、切り分けて行く 烈は一口サイズに切って貰ったデメロンを口に入れた すると人の世のメロンとは違う味だが、甘くて美味しい味が口に充満して「成功よ!」と言った するとクロスもレイもトキもデメロンを食べ始めた 甘い匂いに釣られて閻魔と建御雷神と天照大御神が姿を現し、トキは「ギョエエエエエ!」と鳴いた 素戔嗚尊は即座にトキを抱き締めた 建御雷神は「其奴は聖鳥 朱鷺であられるのであろう?八仙が絶対に食うな!と伝令を流して参った!なので魔界中に伝令を流した 本当におったのであるな………聖鳥 朱鷺殿」と言った 閻魔も「烈と同化したヘルメース殿の聖鳥なれば食べたりしません! そもそも少し前から素戔嗚殿が散歩に連れ歩いてるトリなれば、食べようとする者などおりはしません!」と言った トキは「我を食うなれば吹き飛ばしてやるさ!」と言った 皇帝閻魔のピンチを救った話は魔界中では有名な話になっていた 天照大御神はトキの嘴にデメロンをポイポイ放って食べさせてやっていた 「あまちゃん 甘いぞ!主も食え!」 トキが言う 天照大御神は笑ってデメロンを食べ始めた 「これも甘くてヘルシーな味がするわいな! 烈、これで作るスィーツなるものを考案するがよい!そすれば我はめちゃくそ嬉しいぞよ!」 「スィーツね、それ良いわね! あまちゃんを唸らせるの考えるわね!」 「この前烈がくれた櫛を使ったら髪がサラサラになったのじゃよ! あれは魔界中のおなごに受ける事間違いなしじゃよ!」 「そう、にゃら工場で作らせにゃいとね! 針も出来たら服が出来るにょよ!そしたらお洒落な子達が増えるわね!」 「そしたら我に合う服を作ってたもれ!」 「あまちゃん 美しいからワンピース着たら似合うわね!」 「そうかえ?我は美しいなんて謂われた事がないからな…………」 「あまちゃんは美しいにょよ! ボクが知ってる魔界の女性の中ではダントツにゃのよ!」 レイとクロスが頷く! 閻魔も釣られて頷いた 建御雷神は「我妻は美しい………我は誰かに盗られたりせぬか?心配で仕方ないのじゃよ!」と本音を言う 烈は「あまちゃんは女性の羨望の眼差し受けてるし、男性からは感嘆の溜息出てるからね!」と言う 天照大御神は顔を赤らめ 「それは嬉しいわいな!」と言った 烈は「この前来た時に作った果実酒あるからね、帰りに持って帰ってね、あまちゃん」と言い笑った 「何か美容に良さげな酒じゃな!」 「あまちゃん、金ちゃんが還って来たら太極拳教えてもらいやると良いにゃよ! 美容と健康に気を使って何時までも美しくいてね!」 「烈………」 「今回ボク来たからね、電気完成させるわよ! そしたらあまちゃんの部屋が明るくなるわね クロスの服、あまちゃんが作ってくれたにょよね 部屋が明るくなったら縫い物も楽になるからね」 優しい言葉をサラッと烈は言う 思い遣る気遣いが常に出来ているからか、烈はサラッと思いやりの言葉や、敬う言葉や褒め言葉をまるで日常生活の一環とばかりに口にする 素戔嗚尊は宴会の準備を始めた レイが湯呑を並べていた、烈はレイの傍に行き、湯呑にお茶を注いだ そのお茶は烈が畑の周りを囲む様に植えたお茶の木から採取した茶葉を蒸したり炒めたりして作ったお茶だった いい香りが部屋を包む 天照大御神は差し出されたお茶を飲み、ホッと一息着いていた 大皿にデナスの漬物を切りまくり、大鍋に余った材料を入れまくり汁物を作った 其れ等を食卓に持って行き並べると宇迦之御魂神がやって来てツマミを作っていた 「うーちゃん 魔獣の味噌漬け焼いたら?」 と言うから鉄板に樽からお肉を取り出して、適当に切り焼いた 焼けたのをお皿に適当に入れまくると、レイがそれを回収してテーブルに並べて行った 天照大御神はお手伝いがちゃんと出来るレイの頭を撫でた そして烈がクロウと弟のタロウを呼ぶと、クロウは酒蔵からお酒を持って越させ、タロウにはワイナリーからワインを数本持って越させた それを素戔嗚尊がコップに注ぎ渡して行く 天照大御神にはワインを手渡した 建御雷神は「魔界酒と魔界ワインであるな!この前の辛口は飲みごたえがあったな!」と感激して飲んでいた 烈とレイはデナスで夕飯を食べていた そして汁物を口にしてご満悦だった 鬼達に大鍋作らせて正解だったな、と想う 魔界には調理器具がない だから良く切れる包丁を売り出したら飛ぶように売れた 今では3年待ちの予約が入る程だった 桜の里の子達に土鍋を作り売りに越させたら、かなり売れて今は予約制にしてしか売れなくなった 妖怪が山に住み着く様になり、妖怪達が上質な土を孔明に持って来てくれる様になったから 烈がその土を使い土鍋や食器を作って売りに出た方がお金は稼ぎやすくにゃるわよ! と言ってくれたから作り始めたら大人気になり、それを魔界で働いているクロウ達が管理してデカチゴやデナスに変えて来てくれるから、孔明は美味しいモノを皆で食べられる様になって嬉しかった ただ………果てしなく未来のない日々に消えてなくなる事だけを願い漠然として過ごして来た事が嘘の様で……… 孔明は時々来てくれ、アドバイスしまくってくれる弟子の息子との時間が楽しくて仕方がなかった レイも桜の里へ行くのが楽しみだった 今回は少し長く居られるから、桜の里へ顔を出すつもりだった 桜の里でもやはり警戒は怠らない そう想っていた 烈とレイは何時の間にか眠ってしまい、素戔嗚尊が二人を抱き上げて部屋に寝かせに向かう するとトキも一緒に着いて行った 閻魔は初めて目にする聖鳥に………格の違う鳥……どう接したら良いか?と悩み来たが……… 何時の間にか素戔嗚尊に呑兵衛鳥にされてしまっていたから……言葉もなかった 孫を寝かせて還って来た素戔嗚尊は、建御雷神に 「さぁ飲み直そうぞ!」と言った 建御雷神は「あの聖鳥………かなり大きいんだな 下手したら鳳凰よりデカくないか?」と問い掛けた 「あやつはよゐこなのじゃよ! まぁ少し大きくても我が家は困らぬからな!」   と素戔嗚尊は笑い飛ばした 「トイレとかどうしてるんだ?」 生き物だなら、出るモノは出るだろ?と想像して聞く 「自分で行くから問題ない!」 流石聖鳥………そもそも聖鳥なんて皆 産まれて初めて目にするのだ 神格の鳥など目にした事もないのだ 凄い鳥なんだと見に来てみれば、口は悪い、酒は飲む………炎帝の馬と大差なくしか感じられなかった 外ではアルくんとタカシとアレクが歌を歌っていた それがまた上手いから魔界では話題になってる程だった 変だな………素戔嗚尊んちの鳥も馬も…… 毛艶ツヤツヤだし愛されて育てられるのが解る 建御雷神は「烈の作るブラシと謂うのが儂も欲しいと思っておるのじゃよ!」と鳳凰の馬もそう言えばツヤツヤだったなと想い口にする 閻魔が「ブラシは今 閻魔庁で管理してますから横流しは無理です!」と釘を刺す 建御雷神は「一つ位……」とボヤいた 素戔嗚尊は奥からブラシを持って来て建御雷神に渡した 建御雷神は信じられない想いで、それを受け取り 「よいのか?」と問い掛けた 「烈が儂の為に何本も作ってくれた、それは烈の手作りのブラシじゃよ! 今は大量生産中じゃが、それは手作りの品じゃからな、遣うといい!」 「烈の手作りのブラシか………大切に使わせて貰う!」 天照大御神は「我は髪用のブラシを貰って使っておるのじゃよ!」と嬉しそうに謂う 閻魔は「髪用も今は閻魔庁が管理してます! 飛ぶように売れて、予約制にして販売中です!」と大変な状況を告げた 閻魔は「デメロンも完成しましたね………これも切り売りしかない程大きい……」と一つ摘んで口に入れた すると甘い果汁が口一杯に広がった 「美味しい!」と閻魔が言うと建御雷神も「本当に甘くて美味しいではないか!」と食べていた 建御雷神は顔を引き締めると 「烈は電磁波なるモノを流しに魔界に来たのか?」と問い掛けた 閻魔は「そうです、定期的に時間が来たら電磁波を流す、この魔界も不安要素は沢山含んでいますからね、人の世を騒がせた頭の中を弄くり回された様な存在の対策は必要となるのです! 原始の焔に焼かれ死した者も多い そして創世記の泉の雨に打たれて黒い涙を流した者も多かった…………警戒せねばならないのは否めません!」と言った 「あんなに……ちっこいのに………背負う荷物は誰よりも重い………我等が一丸となり支えねばならぬな!」 建御雷神は覚悟を込めて言葉にした 天照大御神は「我も闘いとなれば率先して闘うと決めている!もう黙っているのは辞めたのじゃよ!我は闘う!あのちっこいのを護らねばな!」と笑って言った 建御雷神は「レイはまだ傷が癒えぬのだな………この機会に癒して治してやりたいな………」と言った 皇帝閻魔や大天使ガブリエル等と闘った事は魔界ではもう情報として流していた チビチビ酒を飲み、ちっこいのを心配して謂う 素戔嗚尊はこんな夜もまたよいものじゃな……と笑っていた 烈が魔界へ来てくれる様になってから、素戔嗚尊は皆に気を配られ過ごせるようになり、寂しくなくなった 毎日が大変だけど充実していた 烈の畑を守る! 孫の為に生きている日々は素戔嗚尊を若々しくさせて活動的にさせていた そして何より……近付く事なく過ごして来た姉上が家に尋ねて来るなんて………夢のようだった 互いが距離を取って近付こうとしなかったのに…… 妖精が部屋を飛び交い、お皿に入れたお酒を飲みに来る 何時もの光景だった 素戔嗚尊を心配して皆が来てくれる様になった こうして騒がしくも烈の魔界一日目が更けて行った 朝、烈はトキの蹴りで目が醒めた トリだからトキは夜明けと共に目を醒ます そして寝ている烈を蹴り飛ばす だから朝食前に烈は仕事を始めるのだった アルくんの背に乗り、ミネルヴァの森へ行き雷石を割り加工して行く 雷石は幾ら削っても、翌日には元に戻っているから、少しずつ削って貰っていた 削る前には「少し貰うね!」と声を掛け 終わったら「ありがとう、かみにゃりくん!」と礼を言う こうして創造神に戴いた雷石を敬いつつ、削って加工をしていた 太陽石や星石はまだ山の様に積み上がっていた 電磁波を流す区画に建てた電柱みたいな棒は細工がしてあり一番上に雷石を埋め込み 電柱みたいなモノには中心を細い棒で型取り作らせていた レイがその電柱の下に水路を作る 水は電柱に吸い上げられ星石が上がって行く仕組みだった 星石は少しずつ押し上げられて行き、太陽石に触れ電磁波が放出する 放出した後は星石はまた下に下がり、少しずつ押しやられ上がって行く それを3時間に一度のペースで流して行く 区画を結ぶ様に建てられた電柱から放出された電磁波は魔界中を一瞬で駆け巡り区画に住んてる魔族を選別するのだった 人の世の様に頭を弄くり回された輩は、その衝戟に耐えられなくて倒れるから即時に拘束する 今の魔界の技術では、改造された存在は治せないから、残念だけど消滅させるしかなかった 無間地獄の奥の奥にある空間に放り込み、様子を見る それで消滅するならば、そこまでだった 閻魔でさえ無間地獄の奥の奥にある場所の噂は知っていた……… 迷い込んだら最後、絶対に出られない迷宮だと無間地獄で役務をしていた鬼が何人か消え…噂になったから知ってはいた だがその噂を確かめに行く気にはならなかった まぁ出てこられない場所ならば、落とすしかないのだが…… 烈はその場を「あの場から先は異空間ににゃってるのよ!」と言った だから行った者が消えても不思議ではない、と言った 何処へ繋がっているか? それは「ボクでも知らにゃい未知にゃる空間にゃのよ!」と言った そこへ放り込んで大丈夫なのか?と不安はあるが……… 何だって戻って来た者はいないから……解らないが、そこへ放り込むしか道はなかった そうして迎える全区画作動の日 烈は太陽石を鬼達と一緒に埋め込みに歩いた 今度の太陽石は光さえあれば充電出来る様に何ヶ月も改良に改良を重ねて作り上げた太陽石だった それを埋め込み固定する 全区画埋め込み終わり………さぁ開始の時間となった

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