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第53話 未来へ架ける希望 ❶

康太と榊󠄀原は秘書に烈が詠んだ紙を手渡して、食堂へと向かった 食堂へ逝くと烈と清隆が笑顔でお昼を食べていた 清隆は康太を見ると「烈の奢りなんですよ!」と言った 瑛太も「私も烈に奢って貰ったんですよ!」と定食を食べていた 烈は父と母にも大掃除の時に貰った食券を手渡した 「奢ってくれるのかよ?」と問い掛けた 「しろたんがね、家が心地良いからって新しく食券くれたにょよ!」と内情を明かした 仲良くお昼を食べてる会長、社長がいるのに社員達は皆 微笑ましい光景に声を掛ける 「会長、お孫さんとお昼ですか?」 「そうなんだよ、烈が奢ってくれたんだよ!」 とても嬉しそうなその顔に会長がめちゃくそ近く感じられていた 瑛太にも社員達は声を掛けた 「社長、今日は甥っ子さんとお昼なんですね!」 「そうなんだよ、今日は烈が奢ってくれたんだよ!」 会長や社長が嬉しそうに言うと社員達は烈のテーブルの上に食券をそっと置いて行く 烈はヘルシー定食を食べてる手を止めて 「ダメだよ、良いにょよボクは大掃除の時に沢山貰ってるから!」と言った そこに城田もやって来て「貰っとけよ、烈!これ、俺も感謝の意を込めて!」と食券の一つ釣りを烈に渡した 「しろたん、ダメだって」 「だってお前何も受け取ってくれないからな!」 そんな会話を聞いた女性社員達が白いアザラシを出して 「城田主任、しろたんってコレみたいで可愛い呼び名ですね!」と言った 城田は困った顔をして「止めてよ、そのネタでイジメるの!」と言った 烈は困った顔をして…… 「ボクは滑舌悪くて、舌が短いから発音が悪いにょよ し、を強調すると、しろたんと聞こえて た、を強調するとちろたになるのね……ちろたの方が良いかしら?」と悩みつつ謂う 城田は「しろたんで良い!そんな事で悩まないでくれ!瀬能に蹴り飛ばされ………っ痛いって!」とボヤいた 城田の背後には瀬能が来ていて、確り背中を張り飛ばされていた 瀬能は「烈を虐めたら許さないからね!」と怒る 「イジメてないって!」とボヤいて城田は御昼を買ってテーブルで食べ始めた その横で瀬能と愛染と中村が食べていた 烈はお昼を終えると薬を飲み、テーブルの上に置かれた食券をサコッシュの中の食券入れに入れて、食器を戻すと食堂を後にした 仕事を終え烈はケントを呼ぶと飛鳥井の家に還った 竜馬と兵藤は慎一と合流してお買い物に行くとラインが入っていた 今夜は宴会か、と想いながら烈はスーツを脱いでクローゼットにかけると、部屋着に着替え手洗いうがいをして、少し疲れたからベッドに潜り込んだ 少し寝るつもりが、目を醒ますと辺りは真暗だった 烈はリモコンで電気を点けると、部屋が明るくなったのに気付き大空が部屋に入って来た 「烈 大丈夫?」 「今何時?」 「今は午後5時11分よ」 と時計を見て答える 烈は洗面所に行き顔を洗い、どう謂う訳か歯も磨いていた 「烈、夜だよ?朝じゃないのよ?」 と問い掛けると烈は 「解ってるにょよ、今夜は宴会でしょ? だから寝起きの口臭はダメだからね!」と言いマウスウォッシュまでする そして服を整えると応接間へと向かった 烈を見掛けると竜馬が飛んで来て 「大丈夫なの?烈?」と心配して聞いて来た 買い物から帰って烈は?と聞くと部屋で寝てると聞き心配していたのだった 「何かね疲れて寝てたにょよ、こんなに寝るつもりはなかったにょよ!」 烈の凄い事になってる髪を直しながら竜馬は 「メンバーも来てる!」と告げた 烈は客間に行くとメンバーが楽しげに話しをしていた そして烈を見付けると近寄り話し掛けて来た 烈は英語でメンバーと話をしていた 明日からコンセプト【和】を取り入れたイメージで映像を考えてね!と伝えた 竜馬は「烈のイメージはこのイベントをやる時に聞いているんだよ、だから俺はそれを限りなく烈の思いを組み込み作ると約束した!」と伝えた メンバーは俄然やる気になっていた 康太と榊󠄀原も仕事を終えて帰宅して来た 真矢も一時退院して飛鳥井にやって来ていた 烈は着替えて来て客間に行こうとする両親に「頼みがあります!」と話し掛けた 榊󠄀原は応接間に烈を入れると、ソファーに座った 康太は「お前の頼み事は大体解るから安心しろ!全面協力してやると言ったやんか! 当日までに用意してやんよ! 元々処分したり売ったりしてねぇかんな、展示したりするから綺麗に保管を頼んであるんだ! だから心配しなくて大丈夫だ!」と言った 「母しゃん………ありがとう」 「お前が描く絵図は完璧だ、きっと遺恨は残す事なく仲直り出来るさ!」 「母しゃん………」 泣きそうな顔になる烈を榊󠄀原は抱き締めた 「君の好きな祖父母が揃ってるんですよ? そんな泣き顔じゃ心配するでしょ?」 榊󠄀原はそう言うとハンカチを取り出し、優しく涙を拭ってやった そして客間に烈を連れて行く レイは烈に抱き着くと、兄達と共に宴会の準備を始めた 清隆や瑛太が帰宅して来ると、宴会は始まった 玲香は早めに仕事を終わると、病院まで真矢を連れ還ったのだった もう少し数値が安定したら真矢は退院しても良いと謂われた 烈は準備を終えると真矢の傍に行き抱き着いた 「ばぁたん、ボクね今度のイベントで始めて考案出してそれをりゅーまが映像ににしてくれるにょよ ボクの描く世界には、ばぁたんとじぃたんが欠かせにゃいのよ!だから6日続くイベントの長丁場を乗り切る体力を着けて欲しいにょよ!」 烈の訴えに真矢は「烈、その話を聞いた時から、もう悔やんだり悩んだりしないと決めました! それは見切った…………とかじゃく烈が示してくれた先に必ず解り合える時が来ると信じて……です なので私も歩き始めます」と言った その瞳はもう前を向いて光り輝いていた 相賀はそんな真矢の姿に内心ホッとしていた あれから兵藤と竜馬が残り、選出の日程の調整をして決めて来た 流石、烈が残して行った存在、一歩も譲歩する事なく話を進めて行った 兵藤は座席に座った烈に紙を渡した 烈はその紙に目を通し、少し苦笑して頷いた そして兵藤に「兵藤きゅん、懐かしい友が遊びに来てくれてるわよ!」と言った 兵藤は「え?それは誰よ?」と問い掛ける すると流生が兵藤の前にクロスを置いた 「あ!クロス、来てたのかよ?」と嬉しそうな顔をした 「お久しぶりです朱雀! 烈に連れられて来ました 今夜還りますけどね、帰る前に逢えて嬉しいです!」 「誰に連れ帰って貰うのよ?」と問い掛ける 「大歳神が送ってくれます!」と言った 「え?来てるのかよ?神威?」と当たりを見る すると客間の隅っこに神威とオーディーンが座って酒を飲んでいた 兵藤は「え!!本当にいるのかよ?」とビックリしていた そこへ康太がやって来てた 榊󠄀原はせっせと料理を作っているのだろう 「貴史どうしたのよ?」と康太は問い掛けた 「おいって、アレはオーディーンだろ?」 「あぁ、だから烈に着いてくれていると言ってるやんか!」 「本当にいたんだな、まさか本当にいるとは想わなかった………」 「まぁ今夜は宴会だ、誰かが増えようが飛鳥井は気にしねぇからな大丈夫だろ?」 そう言う問題を言ったんじゃないんだが……… 兵藤は諦めた ダニエルが兵藤の横に逝くと「和……とは何ですか?」と問い掛けて来た 「和?京都とか行ったら解るんじゃねぇか?」 「それ……カズと同じです…」 と謂われ兵藤は一生を見た 一生は「俺を見るんじゃねぇ!和って聞かれても答えられる訳ないやんか!」とボヤいた 烈は「じぃたんとばぁたんは凄いにょよ! そしてばぁしゃんが好きにゃエビ様も凄いにょよ!」 と言い客間に事前の用意していた榊 清四郎の写真集を見せた その中真矢と共演した写真も入っており、烈はそれを開いて見せていた そして玲香の大好きな海老様を見せていた 「ばぁしゃん 美緒たんと良く見に行くにょよ!」 とニコニコで話す ヘンリーは「エビ?shrimp?」と頭に食べ物のエビを描いて問い掛けた 榊󠄀原は「歌舞伎役者の立川屋海老様です!」と解説してやった 動画で歌舞伎とはどんなのか?を見せてやる メンバーは歌舞伎は流石と知らなくて、今度見に行かねば!と謂うと玲香が 「ならば我が見に連れて行ってもよいぞ!」と言った メンバーは是非に、と言いチケットはどうやったら買えるのか?を聞いていた 玲香はならチケットを買う所から一緒にやろう!と約束してやった その夜の宴会は大盛り上がりしていた 真矢はジュースを飲みながらメンバーに写真集を見ながら質問される事に答えてやっていた 烈の横に康太が座り 「大丈夫なのか?寝てたって聞いたぞ?」と問い掛けた 「何かね疲れたにょよ」 「くれぐれも無理はするなよ! お前が倒れたらイベントはポシャるぜ!」 「解ってるわよ、絶対に成功させにゃいとリフォーム出来にゃいのよ!」 「んなに気負うな、何も直ぐにやらねぇと駄目な訳じゃねぇ、2回でも3回でも分けて費用稼げば良いかんな!」 「今度はイギリスとアメリカで配信決まったにょよ、だからねメンバーも力が入っているにょよ!」 「ならさヘンリー達には【和】は難しいから国際色豊かにしたらどうよ?」 「そうね、それも蓋を開けてみにゃいと解らないわね!」 何だって一癖も二癖もあるメンバーなのだ! 一筋縄では行かない 康太はそれを察して「だな!」と言った クロスは兵藤と楽しく喋っていた 烈はテーブルの隅っこにお皿にお酒を入れ、汁物を置いた 流生が既に窓を少しだけ開けていたから、そこから妖精が入っていた 飛鳥井の部屋を妖精が飛んでいたから……家族は苦笑しつつもお酒を飲んでいた 京香は「これ、その子のちっこい子の服だけど、着れるかしら?」と言い流生に渡した 流生は「クロス、お洋服だよ、持って還ると良いわよ!また遊びに来てね!」と言った クロスは「ありがとう!絶対にまた遊びに来るからね!」と言った そして京香が作ってくれた服を嬉しそうに試着していた 「着れます、ありがとうございます!」 烈がクロスの服をちっこいサコッシュに入れて、クロスに掛けてやるとクロスは 「何?この便利なのは!!」と言った 流生が「サコッシュっていうのよ!烈が何時も着けてるのと同じなのよ!」と言った 流生は「これ烈が作ったの?」と問い掛けた 「ひなにーよ!ちっこい子に合うかな?って、さっき手渡してくれたのよ!」 手先の器用な太陽ならば作ってしまえるだろう クロスは「本当にありがとう!」と礼を言った 兵藤も「良かったな!」と言った 今夜クロスは大歳神に連れられて魔界へと還るのだ クロスは烈に「何時か妖精達が自由に魔界へ出入り出来る手段、編み出してね 人の世の妖精は………何処へも移動する事はできないから………」と頼んだ 「すぐには無理だけど考えるわね!」 烈が謂うとクロスは嬉しそうに笑った 真矢はそんな孫達や宴会に駆け付けた人達を見ていた 楽しげに飲む、そう謂えば……榊󠄀原の家では人が集まる機会がなかったから………宴会なんてしなかったわね…… いつの間にか皆がバラバラの方を向いて、こんな風に宴会もしなかった あの家に………最近は友達も呼ばなかった 今度の家には楽しい思い出を一杯作ろうと心に決めていた 楽しげな笑い声が響き、飛鳥井の夜は更けて行った 朝方、クロスは大歳神に連れられて魔界へと還って行った 烈はクロスが気軽に飛鳥井に遊びに来て貰えるシステムを作ろうと想っていた その前に選出だった 兵藤と竜馬は有能でサクサク片付けようぜ!と気合入りまくりだったのだろう 翌日面接をもぎ取り、本日撮影休みに撮影場所の華族の庭園のセットでの面接をする事になっていた 昨夜紙を受け取り、翁に預けた成果出てるから苦笑しちゃったのだ 烈は朝早くに流生と屋上で話していた 流生は「クロスが気に入ってくれた温室なのにね……」と寂しがっていた 烈は「なら妖精に賃貸に出す?」と突拍子もない事を謂うから流生は驚いていた 「流にー淋しいから妖精にこの温室を賃貸に出すにょよ 妖精が触れた花は、どの花よりもより美しく育つにょよ!それを賃料にして貸し出すにょよ!」 「それ良いわね、出来るの?そんな事!」 「クロスに頼まなきゃ、だから直ぐにじゃにゃいけどね、待っててね!」 「何時までも待ってるよ! 嬉しいなぁ、僕の温室を妖精に借し出せるなんて!」 「流にーボクね当分は馬車馬のように働かなきゃならにゃいのよ! だから現場の視察は行かなくて良いから! 流にー達に何かあったら果てが狂うにょよ! だからボクが見に行って、と言った時にお願いね!」 「解ったよ、ならばその間は烈のサポートするよ 宗右衛門の一言、復活させて社内を活気付かせるよ!」 宗右衛門の一言は烈が遠出していたから休まねばならなかったから休載中なのだ それを復活させて社内を活気付かせてくれると約束してくれた 「ならボク頑張って一言書き込むね!」 「お願いね!会長や社長、副社長や真贋の一言も日替わりで入れてみるよ!」 「なら新居に転居したしろたんに一言貰えば? 社内の誰かの一言、載せちゃえば良いにょよ! 社内のHPだもん、皆も参加させちゃえば?」 「それ良いわね、ならば宗右衛門がその誰か?選出してくれる?」 「良いわよ、でも直ぐにネタ切れになるから、流にーも取材してみてね!」 「了解、それより夏野菜よ!烈! 今度のお休みに父さんが買いに連れて行ってくれるって!」 烈は「やったー!」と喜んでいた 一頻り話をしてお世話を終えると、烈と流生はキッチンへと向かい朝食を食べた 幼稚舎の制服に身を包んだレイがやって来て 「れちゅ!おはよ!」と声を掛けて横に座った 「え?今日から始業式?」と烈が謂うと流生が 「そうよ!でも今日は入学式だから半日で終わるのよ!」と告げた 烈は「ボク……3年何組だろ?」と呟くと太陽が「見て来てあげるよ!でも烈はA組でしょ?」と言った 「ボクはロクに学校行ってにゃいから、D組かも知れにゃい………」 と弱音を吐く弟を兄達は抱き締めて 「大丈夫よ!烈はもう大学まで出てるんだから、その配置は不動なのよ!」と慰めた 烈は兄達に「海外の学歴は大卒でも、この国の学歴が小卒にゃんて嫌だにゃ……」と本音を吐露する 兄達は大丈夫だから!と弟を安心させて桜林の初等科へと通学して行った 兄達が学校へ登校すると烈は【R&ふR】の居場所とも言えるマンションへと移動した メンバーは烈が来るのを待っていた 竜馬はメンバーに烈の祖母、真矢が息子の笙夫妻と上手く行かずに別居している事を告げた そして烈は今回のイベントに賭ける想いを伝えた メンバーはまさか嫁姑の関係の悪化で………なんてまさかの事を知らされ驚いていた ヘンリーは「嫁姑問題は万国共通で多かれ少なかれある事だからね……… でも我が家では有り得ないけど……なんたって家族が揃うの滅多とないし 同じ屋敷に住んでても滅多と顔を合わせないからね………諍いになる以前の話なんだけどね」と話す 竜馬と烈はあんな広い屋敷なら有り得るな、と理解した メンバーは、ならば絶対に成功させないと!と応援してくれた デービッドも「竜馬の回を2国配信リスト一位にすればええですがな!」と言った 烈は「皆の見て決めるからね、それはダメにゃのよ!」とキッパリ言った ダニエルは「ならばタイトルは【和】ではなく【想】にしたらどうなのだ? 皆それぞれ想いはある………伝えたい人に伝えたい想いは在る筈だから!」と言った メンバーは賛成して【和】ではなく【想】になった 烈は「なら庭園での面接じゃ………イメージに合わないんじゃにゃい?」と問い掛けた サムエルが「所作が美しい人ならば【和】のカテゴリーでなくとも美しく振る舞えるから庭園で大丈夫だ!」と言った そして事前に打ち合わせして竜馬と兵藤とメンバー何人かが先行してカメラを取り付ける作業をする為に出て行った 烈はケントを呼び出して、ケントの車で庭園のロケ地へと向かった 烈は徹底的にメンバーとの全体行動は避けて、ケントと共に行動する様にしていた 道中事故でも作為的に引き起こされたら、無関係なメンバーにまで迷惑が掛かるからだ 庭園のロケ地に到着すると、竜馬が待っててくれていた 竜馬はモニター室へ烈を連れて行った 「どのアングルも確かか確かめてくれよ!」 と竜馬が言うから烈はメンバーと共にカメラのアンクルを確かめた そしてマイクの感度を確かめる為に、兵藤を庭園へ行かせて何か話させた 兵藤は「こんなに美しい庭園が本当にあるならクロス達を連れて庭園ツアーに繰り出してぇな!」と独り言ちる そんな言葉をマイクはちゃんと広い 「戻って大丈夫だ!」とインカムに指示を出した 相賀と須賀と神野は既に来ていて、美味しいと評判のお弁当を注文すると言ってくれた それを早めに食べて烈は薬を飲むと、小休止した 午後1時になると相賀、須賀、神野の事務所のタレントが集まって来た 連れて来た責任者から「指示が出るまでは自由に過ごして下さい!」と謂われ、皆自由に過ごしていた 庭園を歩く者 露地に腰掛け待つ者 様々だった 烈は「こう謂う庭園の中に在る茶室に付属する庭にある腰掛待合とか諸々含めて露地と呼ぶにょよ、凄いわね、セットにゃのにこんなに忠実に再現してあるにゃんて」と感動して言った 竜馬は「烈はあんな立派な茶釜見たらお茶点てたくなるんじゃないのか?」と聞いた 「そうね、庭園でお茶を点てれるにゃんて最高だけど、ボクが出て行ったらバレちゃうじゃにゃい!」 「ほぼ選出したら点てに行けよ!」 「良いにょ?」 「構わねぇだろ?」 相賀も須賀も神野も頷いていた 烈は腰掛待合で足を組み座る子を指差し 「この子はダメね、此れ等総てが茶室にゃのよ?」 と嘆いて言った ヘンリーは「ニーズを理解出来ない者は、その所作も美しくはありません!」と言った 相賀達は腰掛待合に、背筋を伸ばして腰掛けている者を見た後に、足を組み座る者を見て、それを理解した イーサンは「相賀サン、庭園へ逝くと連れて来たんですよね?」と問い掛けた 「はい、庭園でオーディションがあると連れて来ました!だからそれに相応しい格好を、と言いました!」 須賀も神野も頷いた だが数人はロケ先に衣装が用意されていると思ってか?ジャージだったり奇抜なキャバ嬢かよ?と謂う様な服装でやって来ていた ダニエルは「ニーズに合わない者はまず、この場から出して帰して下さい!」と言った 3人は即座に連れて来た責任者に電話して、相応しくない服装をした者、足を組んだり礼節を欠いた者を事務所へ連れて行かせた そして更に篩い落として行く 待たされた時程、その人の本質が出ると烈は想っていた 案の定待たされてイライラとしてガムを噛み出す者、貧乏ゆすりする者 様々な行動をし始めた メンバーはそんな者達を篩い落として、ある程度のタレントの選抜をした 烈が「ボク、お茶を点てに行くわ!竈に火は入っているかしら?」と問い掛けた 神野は即座に電話して確かめさせた 火は入ってないから直ぐに入れると言った 茶釜が湧いたら連絡をくれる指示を出した 烈は「所作を良くチェックするにょよ!」と言った メンバーは頷いた 茶釜が湧いたと連絡を貰うと、烈は庭園へと入って行った 突然現れた子に皆はざわたいた だがその子は茶室に入り、茶釜の前で綺麗に正座して、茶を点て始めるから皆 茶室に入って正座した 烈は皆の前で茶を点て、一番前に座った子に茶を差し出した 一番前の子は礼儀に則り茶を戴き一礼して 「結構なお点前で御座いました!」と言った 烈は懐紙を渡すと、それで呑口を拭いて後ろに捌けた そしてその子が捌けると、覚えがある子が座った 烈はその子の為にお茶を点て差し出した その子も必死に思い出し「結構なお点前でした」と言い一礼した 何人かにお茶を点て振る舞った後 烈は「どう?またやる?」と問い掛けた すると竜馬と兵藤がやって来て「もう大丈夫だ!大体候補者は出た!」と言った 「ならメンバーと相賀達を呼ぶにょよ!」 竜馬はマイクに向かって「皆来てくれ!」と言った メンバーと相賀達は即座に茶室へと向かった 兵藤は正座してるタレントに「足は崩して構わない!」と告げた 皆 何が起こっているのか?解らずにいた 一人の子が烈と竜馬を見て「【R&R】のリーダーとサブだわ………此れってオーディションだったの……」と唖然として言った それだけで【R&R】が関わっているのだと理解した 相賀達がメンバーと共にやって来ると、烈はメンバーと英語で話をしていた メンバーは名前を告げると、烈はこれで決定かと英語で問い掛けた メンバーが頷くと、決定した名前を相賀、須賀、神野に伝えた それぞれの事務所5名ずつ選ばれていた 合計15名がこの後イギリスへと旅立つのだ そしてそれとは別枠として、可能性を秘めた子を烈は3名選んだと名簿を指差した ならば、とメンバーも話し合い3名、その子の可能性に賭けたい、と選出した 相賀は選ばれた子らを集めた 神野と須賀も選ばれた子らを集めた そして選ばれなかった子らは責任者が連れて還った 選ばれ残された子らは唖然としていた 烈は「イギリスから帰国したら数名は日舞 藤島流で日舞のお稽古に入るから!」と言った フレディは「皆習わせたら?日舞って少し前に烈が師範代として発表会に出た、あれでしょ?」と言った 「そうよ!日舞はね精神修行の一貫で習わされてるにょよ! 見てるとね所作が綺麗に出るにょよ! 隅々まで綺麗な動作が出来るからね習わせたいにょよ!」 デービッドも「なら皆に綺麗な所作出る様にやらせればええがな!」と言った 「なら皆で藤島流で日舞のお稽古ね! 本当にゃら花柳流で教えたかったけど………今は教室総て閉鎖しちゃったからね」 と烈が残念そうに言った 花柳宗家は息子が洗脳され頭にチップを埋め込まれていた事実を重く受け止め、今は総ての教室を閉鎖して活動も休止していた 花柳流の宗家のたっての願いで、弟子を引き取って活動の拠点をそちらへ移して欲しいと頼まれ、師範代の一人が立ち上げた流派が藤島流だった 烈は今 そこの流派で日々精神修行をしていた 「悦郎も蔵之介も……洗脳解けたのか連絡にゃいのよね…………」と烈は悲しそうに呟く 烈は蔵之介が絶対に戻って来ると信じて、善之助に貰った土地にマンションを建てる時に1階はテナントにして蔵之介の会社を入れるつもりでいた 資産は総て凍結され、被害者に分配された それでは全然足らないから会社の土地や倉庫にしてる土地も国が抑えて売却して被害者の救済給付に当てた 烈が思いを馳せていると、兵藤が慌てて烈の傍に駆け寄り携帯を見せた 画面を見ると……………烈は固まった 竜馬もメンバーもそれを覗き込み……固まっていた 烈は「やってくれたわね!」と悔しそうに呟いた 兵藤は「この後イギリスへ行くんだろ?下手したら飛行機飛ばねぇんじゃねぇか?」と心配して言った イギリス皇室 女王の崩御 そして側近がバタバタ後を追う様に死去したと報じられていた そして女王の縁の地 各所で自爆テロが起こされる被害が出ていて、空港は一時閉鎖される可能性も出て来ている、と報じられていた オーディーンが今 倭の国にいるから狙われたのか? 烈は携帯を手にすると、少し離れた場で電話を掛けた ワンコールで相手が電話に出ると烈は 「母しゃん、イギリスへ飛べにゃいかも知れないの、それってオーディーンが倭の国にいるからかしら?」と問い掛けた 『そのニュースならオレも見て驚いていたんだよ お前、この現象イギリスだけじゃねぇぞ! アメリカもテロの脅威か?と各地で自爆テロの脅威に晒されていて空港は一時閉鎖になるかも、と謂われてるぜ! だからオーディーンが此処に来てるからじゃなく、嫌がらせだ! この時期にだから、それしかねぇ!』 「天界を先に軌道に乗せにゃいと不味いって事ね」 『だな、まぁ天界の配置するんだから、向こうに行ってても行った時の時間に還して貰えば問題ねぇかんな、行くしかねぇわな!』 「そうね、母しゃん!今夜くしかにゃいのよ! とうしゃん連れて行って構わないかしら? 天界の地に【天地創造 開闢の書】を刻み付け根を張らせたいけど………天界に地はにゃいのよね? にゃら開闢の書は意味がなくなるのかしら?」 と悩んで謂う 康太も天界に地はあるのかすら解らなくて………天を仰ぐと 「おい、天界に地は存在するのかよ?」と問い掛けた まぁそんな事で返事はしてくれねぇだろうな…… と想いつつも解らないから聞くしかなかった ”天界にも地は存在する!天と地と魔界と冥府、全てを分け隔て切り離したが、それら全ての空間に地は存在しておる 大歳神を連れて逝くのであろう? なれば大歳神に天界中に【天地創造 開闢の書】を刻み根を生やさせて印を結ぶ事は可能である そして妖精を天界に逝かせる事も可能とさせよう!妖精は天界へも人の世でも魔界でも冥府でも、好きな場に飛んで逝ける光の道を世界樹の木に作ってやろう! それで聖神の悩みは解消させてやろう! そして天界へ行ったならば、帰還する時は行ったその日に帰還させてやろう! 其処まで用意はするから、さぁやる事をやるのじゃ!” と前では考えられない言葉が来て、康太は驚いていた 「大盤振る舞いですがな……」 ”総てが大詰めになって来ておるからな、少しの譲歩はしてやるし、望む事は叶えてやろう! まぁ聖神の望む事は……本当に些細な事であるからな、叶え甲斐がないが………出来るだけ叶えてやろう、それが死命を堵して逝く者への背中を押せるのであれば、してやると決めておるのじゃよ さぁ愛しき子よ、破天荒な二人を連れて天界へと逝くがよい! 好きな者を連れて逝くなれば許可をする!" そう言い創造神の気配は消えた 康太は『烈、聞こえてたか?』と問い掛けた 「聞こえてたわ、なら今夜行くのかしら?」 『だな、イベントは待ったなしだからな………元の時間に戻してくれると言ってるけどな タイムロス考えたら夜には行くしかねぇだろ?』 「解ったわ!なら今夜行くにょよ! ボクとレイたんはオーディーンの馬か、朱雀で飛んで逝きたいわね……階段登り切る自信ないわよボク……」 『レイも小さいし、それしかねぇからな……… なら今夜は早めに飯食って備えておけ!』 「了解にゃのよ!」 烈をはそう言い、電話を切って兵藤にラインを入れた 「ちょっと来て欲しいにょよ! 茶室の裏にいるわ!」と送ると直ぐに兵藤は竜馬と共に駆け付けてくれた 「どうしたよ?烈」 「イギリスには飛べにゃいから………飛べるようになるまで待機させて欲しいにょよ! そしてね兵藤きゅん、今夜天界へと逝くわよ! 兵藤きゅんにはボクとレイたん乗せて欲しいにょよ!とうしゃんはオーディーンに乗せて貰うにょよ!この後ボクは魔界へ行きクロスを連れて来るわ!」 「…………魔界へは行かなくても大丈夫だぜ! 康太がクロスは魔界へは還せないから温室で預かっててくれと謂われているからな、温室にいる」 「え?母しゃんが?果てが視えたにょね なら今夜一緒に逝けるわね………ボクは竜馬とばぁたん達とご飯食べに逝くわ! 兵藤きゅんも来るにょよ!」 「おー!兄達は良いのかよ?」 「…………ボクを見たら流にーは解っちゃう…… ひなにーもかなにーもおとにーも翔にーも……勘づくにょよ!」 「それでも、お前の兄達はお前をサポートする為に日々頑張ってくれてるんだろ?」 ならば兄達に報いろと兵藤は謂う 「にゃら相賀達も全面協力してくれてるから、今夜は宴会ね、ボクが奢るにょよ!」 「そんなお金あるのかよ?」 「ボク、カード持ってるから大丈びにゃのよ! ねっ、りゅーま!ボクのカード黒いのよね!」 烈が話し掛けると竜馬が笑って 「そう、俺等【R&R】はクリストファー・オブライエンのご厚意でブラックカードを持たされてるんすよ!まぁ滅多と使わないけどね! 宴会の費用位そこで出しても大丈夫っすよ! なんなら俺のカードを使っても大丈夫っす!」 と言い胸ポケットからカードケースを出すと烈と自分のカードを見せた 兵藤は「あんだよ?烈のカードも竜馬が持ってるのかよ?」とボヤいた 「烈は現金もカードも持たないんだよ ケントか俺に渡して絶対に持たない まぁ子供がカード持っていたら盗んできたのか?騒がれる可能性あるからなんだけど…… だから康太さんは何かあった時の為にって、ケントにある程度の現金を持たせてるんすよ! 小遣いは総て慎一さんが管理して、会社の給料とかは凛太郎が管理して、ヨニー関係の給料はオリヴァーが管理してるんすよ! で、【R&R】関係のお金は俺が管理して必要な時に出してるんだよ!」 「烈はお金持ってねぇのかよ?」 「多少はサコッシュの中の財布に入ってるっすよ!それ以上のお金は持たない主義なんすよ! 烈の飛鳥井の資産は管財人が管理してるし、それを貯まったら会社へ還元してるんすよ!」 「物欲ねぇのか?」 「いやいや、物欲はあるっすよ! 普通の子並にあるっす! まぁ康太さんは甘い母ちゃんなので、烈が欲しいオーラ全開にしてると買ってあげちゃうんですよ!」 「あ〜康太ならあり得るな 烈は3歳で携帯を持ってたって聞くし、俺は早くねぇ?って聞いても使い熟せるから大丈夫だろ?って与えてたしな」 「あ、その携帯は俺とラインしたりするのに要ったんすよ!俺はまだ表に出られなかったから連絡手段とか必要だったから!」 そう謂えば………烈が3歳の時に出逢い、3秒で飛び蹴りかまされて説教されたんだっけ…… 以来 竜馬は烈と共にいて現在に至るのだ 兵藤は気を取り直して 「取り敢えず、イギリスに飛び立てるかチケット取って、駄目なら保留で待機だからな、神野の事務所へ場を移そうぜ!」と言った 相賀達は責任者を呼んで事務所まで選ばれた子達を連れて行き、5階の会議室で待機と指示を出した 相賀達も「先に事務所へ行きチケット取れるか聞いて来ます!」と言い先に事務所へと向かった 烈はケントの車で相賀達の事務所へ向かい、兵藤は竜馬の車で後に着いて行った メンバーはマンションへと帰って行った ヘンリーは「飛行機、オブライエン家のが使えそうなら、それで飛べるようにするよ! また逐一連絡入れるから!」と言ってくれた ケントは烈を事務所の前で下ろすと、近くで待機してるから呼んだら来る、と言い車を走らせた 路駐が厳しいから、仕方ない事だった 烈が事務所の中へ入ると、兵藤と竜馬が待っていてくれた 一緒にエレベーターに乗り5階へと向かう 5階へ到着して会議室のドアを開けると、相賀達やタレントは静かに座っていた 竜馬は「オブライエン家の飛行機が飛べそうならば、それに乗りイギリスへ向かいます でも空港が閉鎖されたならば、それは無理なので情報を仕入れる必要があります!」と言った それに答える様に小鳥遊は 「今の所、正式に閉鎖はされてない だが………女王の崩御、そして側近がバタバタ死去して、爆破は女王縁の地で次々に起こされた以上、警戒態勢を取らねばならない!との公式表明が先程されたから時間の問題かな?」と言った 烈は「なら待ってても飛行機は飛びそうもにゃいわね………」と言った 竜馬の携帯にヘンリーからラインが入り、竜馬はその画面を皆に見せた 『ヒースロー空港は爆破テロの脅威が去るまで入国は規制をかけるみたいだから、無理そう……… 父さんも今 飛行機は飛ばせないから様子を見なさい、との事だからね無理かな』 そのラインを見て、皆は今日は無理だと想った 烈は「なら藤島流を先に習えば良いわね! 茶道、華道、日舞、其れ等をスケジュールを立てて習わせるにょよ! 藤島流の傍のマンション、ボク持ってるから貸し出すわよ! そこで共同生活して自炊してイギリスへ飛べる日まで精神修行と所作をお勉強するにょよ! 今日は此れより帰宅して荷造りして来るにょよ! そしたらマンションへ移動して、藤島流で日々鍛錬して下しゃい!」と言った 竜馬が神野にマンションの名前と住所を書いて知らせる 竜馬は「荷造りしたら明日の朝8時までに、この事務所に集合してくれたら先にマンションへ連れて行きます そして荷物を置いたら即座に藤島流へ行き学べる様に手筈を整えておきます!」と言った 烈は藤島流の師範代に電話してその旨を頼んでいた 師範代は「何時でも連れておいで!何処へ出しても恥ずかしくない様に徹底的に仕込んで差し上げますから!」と約束してくれた 烈は神野に「当日……ボクは引率出来にゃいかも知れないけど、竜馬か兵藤きゅんが引率してくれるから、大丈びよ!」と言った 竜馬は烈が何処かへ逝くのは何となく解っていた だが引き留める事なんて出来ないのも解っていた 話が着くと烈は「今夜はボクが奢るからお買い物に新鮮な海鮮を買いに逝くにょよ!」と言った 小鳥遊が「ならば築地場外市場へ行きませんか?」と問い掛けた 皆はそれに賛成した 烈は竜馬に「ボクのカードで買って来てね!楽しみにしにしてるわ!ボクの干物忘れにゃいでね!」と言った 竜馬は笑って「了解っす!烈の好きな干物は俺のカードで買って来るからね!」と約束してくれた 烈はケントを呼ぶと、下に降りて先に帰って行った 待機していたタレントは皆、荷造をする為に帰宅して行った 皆がいなくなると神野は 「烈、どうしたのよ?最近別行動が多いけど、何かあるのかよ?」と問い質した 兵藤が「烈は今命を狙われているんだよ、だから常に別行動を心掛けているんだよ! ケントの乗ってる車は防弾ガラスで車体は宇宙船とかに使われるアルミニウム-スカンジウム合金で作られているからな、軽いが銃弾をぶち込まれても弾く位に強度を上げて作られているんだよ 世界の護衛対象が烈とレイなんだよ、まぁ信じられねぇ様な話だけどな 実際 正月の一族詣での帰宅中に銃弾ぶち込まれたそうだからな………皆を巻き込まない為に警戒してるんだよ!」と説明した 神野、相賀、須賀は言葉もなかった 竜馬は「多分烈はイギリスへは行かない………行くとしても乗り物には乗らず逝くだろう それを女王は許可していて、何時でも入国審査通すと言ってる位だからな!」と言った 兵藤は「湿っぽい話は終わりだ!今夜は宴会だぜ!真矢さんも退院して来るからな、烈は楽しい時間を所望してるんだ! 俺等は最高に美味い食材を慎一を捕まえて築地場外市場へ行き探す!それだけだろ?」と謂う 竜馬も「そうっすね!」と笑って言った 竜馬の車に皆を乗せて慎一を呼びに行く 慎一は飛鳥井の家にいて、待ってると言ってくれたから飛鳥井へ向かった 烈は飛鳥井の家へと帰宅した 昼からの選考と謂うだけあって、結構時間を食っていたから、会社に戻ってもそんなに居られないと踏んで帰宅したのだ ラインで「今日は直帰するわ、そして今夜は宴会よ!」と送った 康太から即座に電話が掛かって来た 『おっ、今度は誰の奢りよ?』と問い掛けた 「ボクの奢りよ!」 『大丈夫なのかよ?』 「築地場外市場まで行ってるから、盛大な宴会になるわよ!」 『だからお金、大丈夫なのかよ?とオレは聞いてるんだけど?』 「大丈びだから竜馬も行っているにょよ」 『あんまり無視すんなよ! 会社のリフォームの件もそうだが、お前一人が背負わなくても大丈夫だから! 其の為にオレ等がいる、父ちゃんや母ちゃんもいるんだからな!』 「解ってるにょよ、一人で突っ走ってる訳じゃにゃいのよ、手遅れになる前に手を打ちたい……… それだけにゃのよ………」 『それって…………何を意味するのよ? 電話で話せる話じゃねぇかんな、これから家に還るわ! 詳しい話はオレの部屋で聞くから、それで良いか?』 「良いにょよ!」 烈はそう言い電話を切った 烈はスーツを脱いで私服に着替えていると、康太が帰宅して来た 烈の部屋に顔を出すと「烈、話を聞かせてくれ!」と言い烈を自分の部屋に連れて行った リビングのソファーに烈を座らせ、康太と榊󠄀原も座った 「ボクの脳、今も真髄師から貰える漢方で元の状態に戻りつつあるにょよ! カズや兵藤きゅんが毎週崑崙山へ行って漢方を貰って来てくれてるからね それに真髄師がボクの症状を定期的に見て調合してくれてるからね、ボクの占いの練度も上がって来てるにょよ! で、今 改めて飛鳥井の家や飛鳥井の会社が、1000年続く果てを刻んでいるか?を詠んだにょね そしたら……道は途絶えて消える定めしか無いと出たにょよ…… それだとボクが生まれて来た意味をなくすにょよ………ボクは何の為に生まれて来たにょかしら? 悩んだし苦しんだ………でも果ては決定した未来ではない…… ならば踏ん張り頑張るしかにゃい………だからボクは改革を進めるにょよ! そして改革の後は社員の士気を高め、働きやすい環境を作る 其の為のリフォームであり、部署移動だったにょよ………ねぇ母しゃん…ボクはにゃんの為に………生まれて来たにょかしら? こんなにも無力で………苦しい飛鳥井は初めてにゃのよ………ボクは………」 そう言い烈は悔しそうに唇を噛み締め、涙を流した 康太は静かに口を開き話し始めた 「そんな想いならば今世俺は何度も何度も味合わされ泣いたよ! 無力でオレには家族すら救えやしないと痛感させられた 何度も何度も逃げ出したくなり……全て捨てて出て行こうと想ったのも一度や二度じゃねぇ………」 「母しゃん………」 「この世界を滅ぼして綺麗サッパリ消し去ってやろうと想った事もあるさ だけど伊織が殺された時、オレは我が子のいる世界を滅ぼす事は出来なくて自身の深淵で眠る決意をして己を殺そうとした 伊織が生きてくれてるからオレは頑張れた お前にとってレイは大切な存在なんじゃねぇのかよ? オレや伊織との関係とは違うが、お前にとって死ぬ程辛かった日々を支えてくれたのは………アイツなんじゃねぇのかよ?」 「そうよ、だからボクは諦めたりなんかしてにゃい………レイたんが継ぐべき飛鳥井を1000年果てまで繋げる死命があるにょよ! 未来は自分達の手で変えてみせる! 絶対にね、だから母しゃん父しゃん……ボクに力を貸して下さい! ボクだけでは及ばにゃいかも知れないから………」 「当たり前じゃねぇかよ! だから何時も言ってるやんか! お前一人が背負わなくても大丈夫だって!」 康太はそう言い烈を抱き締めた 榊󠄀原も「僕は全面協力するって約束したじゃないですか?頑張る我が子を応援するのは父の務め! 君はもう少し親を頼りなさい!」と言い康太と共に烈を抱き締めた 烈は大声を上げて泣き出した ずっと堪えていた分も吐き出す様に泣いていた そこへ兵藤と一生がやって来て、泣いてる烈を心配した 一生は烈を抱き上げて涙を拭いてやった 「兄達に、んな泣き顔見せたら心配するぞ!」と謂うと 「顔……洗うにょよ」 と烈が言う 「れちゅ!」といつの間にか来たのか?レイが心配して来ていた 一生は烈を下ろしてやると、烈はレイの傍に行った 「れちゅ………にゃかにゃいでぇ………」とレイが泣きながら言う 兵藤はおまえが泣いてるがな……と想いレイを抱き上げた 「ほらほら、今夜は楽しい宴会だから泣いたら兄達が心配するだろ?」 「れも……れちゅがぁ………」と泣く そこへ大空がやって来て「レイ、泣いてないでお手伝いよ!烈もお手伝いだからね!」とレイの手を引いて烈も連れて行く 太陽が「レイ、泣かなくても大丈夫だからね!」と抱っこしようとすると、和真がレイを抱っこして階段を下りた 大空は「お顔洗おうね、烈は滅多と泣かないのに、どうしたの?兄に話して……」と言った 「イギリスへ行けにゃいと困るにょね でも飛行機飛ばにゃいのよ………」 と、うるうるの瞳で烈は話す 大空は烈を抱き締めて「飛行機、飛ぶと良いね」と優しく話を聞き言う 「かなにー、思い通りに行かにゃいのよ」 「僕も何時もそう想うわ、中々思い通りに行かないからね、烈の言いたい事は解るよ 僕もそんな時………投げ槍になって翔に怒られるもん………」 「かなにーもそんにゃ時あるのね?」 「あるよ、悔しい想いなら沢山してる そして今後だって、そんな想いを沢山しないと駄目なのは解るんだけどね………」 大空がボヤくと太陽が「それは僕も同じだって何度謂えば解るのさ!」と言った あまりにも遅いから流生と音弥が階段を上がって来て、涙で濡れた瞳をした烈を目にして、流生は 「太陽と大空に泣かされたの?」と問い掛けた 「違うにょよ!」 烈が言うと太陽が経緯を話した 流生は「僕もそんな想いならば腐る程してる ならさ烈、今夜はヤケジュースね!」と謂う 音弥は「烈がおねしょしたら流の所為だからね!」と怒る 流生は「夜にヤケジュースは危険か……」と落ち込む 音弥は「そうよ!だからヤケジュースはお昼にでもするのよ!」と言った 翔はそれで良いのか?と想ったが兄弟は頷いていた 烈は一階の洗面所で顔を洗うと、身なりを整えた そして客間に行くと、準備を手伝った 康太と榊󠄀原はそんな兄弟の姿を見守るように見ていた 客間に行くと、ちっこいのもせっせとお手伝いしていた 凛は「しがちゅになったきゃら、ねんちゅーさん!」と息巻いていた 栄養失調だった時が嘘みたいに、大きくなっていた 椋はレイより少し大きくなっていた 「りん、おちつくよろち!」と宥める 真矢はそんなちっこい子達を微笑ましく見ていた レイは凛と椋の横に行くと「ほんれん、ぎちきのま!」と言った 椋が「しゃんとぉーやのぎちき!」と続きを言い 凛が「せったいに、かんしゅい、いたちましゅ!」と誓った 康太は「え?儀式の間の三通夜の儀式やるのかよ?早くねぇか?」と驚いた顔をして言った 榊󠄀原は「試練の間と、儀式の間の三通夜とは、何が違うのですか?」と問い掛けた それには竜胆が答えた 「練度が違うんだよ、儀式の間の三通夜のレベルは試練の間の五通夜クラス以上の難易度で、勿論出て来る側の練度も断然上がってて、油断したら即座に死に直結すると言っても過言じゃねぇ! 宗右衛門は儀式の間の連通連夜の儀式を何度も成功させて、今世は免除されてる 勿論 真贋も、だ!だが我らはまだ免除される程の実績はないからな、実績作りをせねばならない!其の為に儀式の間での三通夜をやるんだよ!」 レイと椋と凛は円陣を組んで「おー!」と気合入りまくりで頑張っていた 烈は「その前にレイたん達、お仕事よ!」と謂う レイ達は「はーい!」と手を上げて応えた そしてせっせとコップや小皿を運びお手伝いをする 榊󠄀原は見事な船盛りの刺し身を作り上げて、テーブルの中央に飾った そして子供達の方にも小さな船盛りを置く 竜馬は烈の好きな干物を焼いてテーブルに置いた 「烈、今日は鯵の干物があったんだよ! 骨に気を付けて食べるんだよ!」 結構大きな魚の干物で、烈は「これがアジ?」と謂う程大きかった 烈は真矢の傍に行くと「ばぁたん大丈び?」と心配して問い掛けた 真矢は笑って「大丈夫よ、もう退院したからね、定期検診は欠かせないけど、もう大丈夫よ!」と安心させるように言った 「体調が悪い時とか、今後は和華ちゃんに頼むと良いにょよ!栄養たっぷりの御飯作ってくれるわよ!勿論、和華ちゃんとかぜんちゃんが体調悪い時は助けてあげてね!」 「解ってるわよ烈、あれからご丁寧に挨拶してくれてね、話をしたけど本当に良い子で私と清四郎は仲人になり料亭で婚姻のお祝いをする事になりました なので烈、飛鳥井の家族や皆の時間を合わせて、お祝いの席に参加してあげてね!」 「了解にゃのよ!ばぁたん、明日からメニュー作るから、ばぁたんとじぃたんも日舞のお稽古に参加してね!」 「日舞?私、日舞は結構長い事 繊月流で習っていたわよ!」 「せん??にゃに?それ??」 烈にはサッパリ解らない流派だった 玲香が「今は廃れてしまったが、昔は五大流派と呼ばれ、中でも一番厳しい仕来りがある流派であったのじゃよ!」と話してやった 「今はにゃいの?」 「どうであろうな、今は聞かぬからそれは解らぬわな………」 「五大流派、昔は花柳も入っていたにょに……」 時が経つとお家騒動だの、分派騒動だので枝分かれして、かなりの数を減らし新しい流派が増えたり消えたり……… 真矢は「ならばぁたん頑張るわね!久しぶりの日舞ね、あなたも通わねばならないそうよ?どうなさるの?」と笑って清四郎に問う 「通うさ、未知の世界だけど、日舞の宗家の役でも出来る様に頑張っちゃうよ、烈!」と応えた 相賀がそれを聞いていて「それ良いな、今度プロデューサーに逢ったら売り込もうかな……」とかなり本気で言った 清四郎はこれを薮蛇と謂うんだな……と苦笑した 真矢はそんな困り顔の夫を見て笑っていた 玲香は元気になった真矢に安堵し 「海老様みたいな歌舞伎役者の役も似合いそうじゃな!」と謂う 清四郎は「姉さん止めて下さい、相賀が本気にして仕事を取って来るじゃないですか!」と訴えた 家族や神野達は笑った 飛鳥井の家に楽しげな笑い声が響いた こんな、何気ない日常だって 我等が生きて行く上で 大切な時間となり 明日を繋ぐ鋭気を運んでくれているんだと 我等は信じていた

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