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第54話 未来へ架ける希望 ❷

10時を過ぎた頃、烈はレイと共に自室に引き上げた 康太と榊󠄀原兵藤は日付が変わる頃、客間を出て行った 一生や聡一郎はそんな康太達を黙って見送った 何かある………と察してはいた あの烈が泣く程の事なのだ 只事じゃないのだろう…… たが引き留めても何も出来やしないと、一生と聡一郎は見送る事にした 深夜、酔いつぶれて眠る酔っぱらいに毛布を掛けてやり部屋に戻ろうとする一生に聡一郎は 「烈からラインが来ていた…多分一生の所にも来てるよ……」と言った 一生は慌てて携帯を取り出すと、ラインを確かめた 一生はそれを見て…………言葉もなかった 『カズ、ボクが泣いていたから心配してたでしょ?だから話します 飛鳥井の1000年続く果てが、近い将来で途絶える運命が出たの…… だから必死にあれやこれやと足掻いて頑張って来た 一人で背負いすぎだと家族やにーに達は言ったけど………ボクは家族や兄達にそれを告げられにゃかった…… そしてやはり避けられない現実に立ち向かうしかないと決めたにょよ! そーちゃんにも送ったけど、僕とレイたんと母しゃんと父しゃんと兵藤きゅんと神威とで今夜 天界へと行きます 明日を繋げる為になら何でもしないと繋がらにゃいから………でも心配しないで、時差なく絶対に還って来るから……では行って来ます!』 時間がなかったのか? 要点だけ書かれていた 一生は「飛鳥井が近い将来途絶える?」と信じられない事を呟いた だから烈は泣いていたのか………と一生は想った 1000年続く果てを繋げる為に転生して来たのに……それが途絶えると謂うのか? ならば烈は何の為に生まれて来たのか?苦しんだのだろう……… 一生と聡一郎は康太や榊󠄀原、兵藤、そして烈とレイの無事を祈った 「絶対に還って来いよ!」と呟いた 深夜1時、ガブリエルとオーディーンが飛鳥井の屋上に姿を現すと、神の道を通り大歳神も姿を表した 兵藤は朱雀になるも烈とレイを背に乗せた 大歳神はオーディーンの馬車に乗り込むと、クロスをポッケから出して烈に渡した ガブリエルは「私が導きますから青龍、龍になり後を着いて来て下さい!」と言った 朱雀は天高く飛ぶと、オーディーンもその横に並んだ 榊󠄀原は青龍に姿を変えると、妻を背に乗せ飛び立った 大天使ガブリエルの導きの道に沿い、天高く昇って行く ガブリエルは創造神から闇夜に輝く聖剣を下賜され、それを手に持って飛んでいた オーディーンは大歳神に 「終わったら飲むとするか?大歳神!」と飲む算段を口にする 大歳神は笑って「それはよいな!疲れた時は飲んで寝るが一番だからな!」と笑い飛ばした 緊張感の欠片もないおっさん達だった 朱雀の背にいる烈とレイとクロスは楽しげに話していた 話題は蜂蜜、魔界には蜜蜂がいないから蜂蜜は取れなかった 「蜜蜂いにゃいかしら?」 烈が言うとレイが「れい ちゅくる!」と頑張って言う クロスは「どうやって作る気?」と問うとレイはフンフンと鼻息荒く 「てんち ちゅくるときに、みちゅばちも ちゅくりゅ!」 烈は「え〜それは無理だって!」とレイを止めた 「みちゅばち ちゅくったら はんぶんもらうにょ!」 「それは美味しい話しだけど……」 烈が言うとレイも「そうね、美味しい話しね!」と言う でも「蜂は刺すからにゃ………」と怖いと烈は言う レイは「にゃら やめりゅ……」と蜂の針の怖さに止めると言い出した 朱雀はそれを聞き笑っていた 「ちっこいの、後少しで天界だぜ!」 朱雀が言うと烈とレイとクロスは曇だらけの世界を眺めた オーディーンは先に到着すると、ラグナロクの戦士を整列させた 朱雀が天界の門の前に降りるとちっこいのを下ろした 青龍も康太を下ろして人に姿を変えた 榊󠄀原は「では行くとしますか?」と言うと 烈は「アルくん!」と魔界で乗ってる馬の名を呼んだ するとパカパカとレイのタカシと共に走って来た 榊󠄀原は「何故にアルくんとタカシが?」と唖然となった オーディーンが「天界は広いから足がないとやってられにゃい!と言ったから特別にガブリエルが導き呼び寄せたのじゃよ! 無論主等の馬も来ている!」と言った 兵藤は「レイモンド!」と呼ぶと走ってやって来た 榊󠄀原は「天馬、風馬!」と呼ぶと走ってやって来た 康太は天馬に乗り込み「これは楽やんか!」と笑った 榊󠄀原は「まず、何を遣ります?」と問い掛けた 更地となった天界をこの眼に見るのは初めてだった 烈は「天界の中央に逝くにょよ!そしたらボクととうしゃんとレイたんとガブたんとで円陣になるわ!」と言った 康太は「なら取り敢えず中央に行くとするか!」と言うと皆走り出した 大歳神はオーディーンの馬車から降りる気は皆無なのか、ずっと乗っていた 烈は更地の天界の中央が解らなくて悩んでいた 「何処らへん?」 クロスが飛んで見るが、ちっこいのが飛んでも見渡す限りの更地に「僕も解りません……」と弱音を吐いた 兵藤は朱雀になって飛んで見たが、中央を決めるのは難しくて 「俺も解らん!」と言った ガブリエルも「更地の天界は初めてなので中央は解りかねます!」と言う程だった 大歳神は面倒なのか? 「此処らへんでええやんか!」と言った 「そうね、此処らへんでやるにょよ!」と言った 烈はレイの相対の位置に立った 大歳神とガブリエルに十字を描く様に相対の位置に立たせた そして左手を心臓、右手を前に突き出した レイも同じ様にすると、ガブリエルと大歳神も烈に倣って同じポーズを取った 「とうしゃん、天界中に根を生やして下しゃい!」 と言うと、大歳神は天界中に根を生やした サクサクとスムーズに根が広がり天界中に広がる こんなモクモクの曇の上なのに大地はあるんだな、と大歳神は感心した 烈はサコッシュから紙を取り出すとガブリエルに渡した ガブリエルは「これは?」と問い掛けた 「大天使ガブリエルの名の元に【天地創造 開闢の書】を刻むにょよ! 天使が読めるルーン語で変換してあるから読める筈よ!」 ガブリエルは渡された紙を良く見て 「はい、読めます!」と応えた 「ボクの後に続かなくても良いから、一文一句間違う事にゃく詠唱してね!」 「解りした!」 「では始めるわね!」 と合図を出すと烈は【天地創造 開闢の書】の詠唱を始めた 大歳神は地底から根を出して、言葉を刻む そして根を生やして、次のを刻む 詠唱中、それを続けて行くのだった 康太と榊󠄀原と兵藤はそれを見守り、見届ける為に微動だもせずにいた レイは呪文を唱え始めた 世界樹の世界樹の根を、大歳神の根に絡めて刻む そして天界中に根を生やし、書を刻む 世界樹の木から湧き水が流れ込み、まるで水槽があるかの様に水が溜まって行く 永遠に時が止まった様な長い時間を掛けて、詠唱は続けられた ジワジワと水が流れ込み大きい水槽が出来上がる頃、【天地創造 開闢の書】は印字を刻んで終わりを告げた 時間に換算すると3時間位の長い時間、詠唱し続けガブリエルはヘロヘロになっていた …………が、ガブリエルの詠唱はまだ終わらなかった だから動く事が出来ずにいた かなり遅れてガブリエルが詠唱を終えると、ガブリエルはその場に崩れ落ちた 天界中の大地が畝り蠢き暴れていた 烈はヘロヘロで地面に座っているガブリエルの羽根を一本手にすると ガブリエルが「え?え?え?その羽根どうする気ですか?」と慌てて羽根を隠そうと抵抗するが、気にも止めずにブチッと一本引っこ抜いた 「痛いですって!!」ガブリエルが叫ぶ 「レイたん、癒やしの水で直ぐに生やして!」 と烈が言うとレイは癒やしの水でガブリエルを濡らした すると痛かった羽根の痛みが止まり、羽根が生えた ニッコリと喜ぶガブリエルの羽根を更にもう一本、烈は抜き取った 「もぉ!何なんですか!痛いってば!」 ガブリエルが叫ぶとレイは癒やしの水で、ガブリエルを癒やして羽根を生やした そしてオーディーンを目にすると 「オーちゃん3本位おビケ頂戴!」と言った オーディーンはヒゲをブチブチと抜き取った その手には3本以上握られていた それをハンカチの上に置いてハサミで細かく切り刻んで行く 烈は榊󠄀原と兵藤にハサミを渡すと 「クシャミは厳禁よ!」と言った 兵藤と榊󠄀原はブンブンと頷いた 烈はレイの毛先を少しだけ切って混ぜると 「父しゃんの毛はダメかしら?」と言った 「僕の髪の毛なら好きなだけ差し上げますとも!」と言いチョキチョキと切ってハンカチの中に入れた 総て切り刻み入れ終わると、ブツブツと何やらを唱えていた 「曲がらない正義、揺るがない正義、真実の元に、正義の元に、我等は誕生する! 信念、理念、秩序を守り、正しい道を刻む 我等は人の為 天界の為 冥府の為 魔界の為 明日の為 この全宇宙の為、蒼い地球(ほし)の為 正しい道に正しき神の配置をする」 其処からは明らかに烈の声ではない者の声になり 「天空神 ウーラノス アトラス ゼウス それらの神は今ここに限界し天界を護る一柱になる存在となる 我等は人の為に 我等は天界の為に、我等は魔界の為に 我等は冥府の為に 生ある総ての生き物の為に この蒼い地球(ほし)の平和を願う!」 そう唱えると切り刻んだガブリエルの羽根、オーディーンの髭 レイの髪の毛 青龍の髪の毛は蒼く燃えがった 「この地球(ほし)の為に!」 そう唱えると【我等は死命を持ち誕生する! 全ては蒼く輝くこの地球(ほし)の為に!】と謂う声が響いた 烈はその声を聞き、ホッと息を吐いた ニブルヘイムは「成功ですね烈!」と言い、烈を抱き締めた   声だけの存在は、モクモクとした雲みたいなカタチになり、其処に立っていた 創造神はそれを見届けると "今 この者たちに姿と力を与えよう!" と謂うとモクモクした雲みたいな存在は、ちゃんと実体を持つ存在となった ゼウスは「我等が誕生した忌日を遺すがよい!」と謂うとガブリエルは3神の前に跪き 「はい、私が総ての忌日を書き記します!」と言った ゼウスは烈の中の懐かしき存在を目にして、ただ見ていた アトラスは「我等 天空神が今後は天界の秩序を護ります!」と言った ウーラノスは「我等が天界の秩序を刻み正しき子らを生み出すとしよう!」と告げた ゼウスは「ヘルメースは【天地創造 開闢の書】を唱えたならば、ガブリエルに正しき天界を想像させて作らせるがよい!」と告げる 烈はガブリエルを座らせると額に手を翳した 「どんな天界を望むのですか?」と烈じゃない声が問い掛ける 「花々に囲まれ妖精が飛び交い、様々な用途に合った建物が建つ天界でありたいです!」と告げた 「ならば描くのです!貴方が想い描く天界を!」 と謂われるとガブリエルは目を閉じてルシファーと話し合っていた時の天界を思い浮かべた 花々に満ち溢れ、妖精が飛び交い、色の着いた建物やお店、カフェや過ごしやすい架空の世界を思い浮かべた 神の門の近くには白亜の貴賓殿が天界の象徴として建つ、そんな天界がいいね! ガブリエルは泣いていた あんなに毎日毎日、切望して願っていたのに…… 君はいない………… だけど僕は君と語り合った日々を思い描くよ 夢のような世界を思い浮かべるよ! すると何も無い世界に建物が建ち、花々が至る所に咲き乱れ、妖精が飛んでいた 世界樹から光の道が出来、妖精はその道を通り好きな所へ行ける世界となった ガブリエルは思い描いた世界を総て出し切ると、目を開いた すると瞳にルシファーと語り合っていた風景が飛び込んて来て驚いていた ガブリエルは「何で…………」と呟いた ヘルメースは「貴方が願った世界じゃないんですか?」と笑った 「あぁ………僕とルシファーが願って語り合っていた世界です、でも何で……」 「【天地創造 開闢の書】とは何も無い世界に、願いを込めて生み出す事が出来る書なんですよ!」と告げた だからこれは貴方が望んだ世界なんだと…………ヘルメースは告げた ヘルメースは「逢いたかった方にも逢えた………なので、僕は再び眠りに付きます!」と言い気配を消した 烈はゼウスを見た ゼウスは同化した存在を確かにその目に刻んだ 天空神 3神はニブルヘイムの作り出した水槽に天使を想像して誕生させた 水槽の中から次々と天使が誕生して行く ゼウスは「曲がらぬ使徒となれ!」と言葉を刻んだ アトラスは「死命の為に誕生した事を忘れてはならない!」と言葉を刻んだ ウーラノスは「この蒼い地球(ほし)の平和の使徒となれ!」と言葉を刻んだ 天使を生み出す作業は一昼夜続けられた 康太達は来賓殿に移り休む事にした 力を使い果たした烈は気絶していたから榊󠄀原が背負い連れて行く 康太はその横を歩いて神殿に向かった 兵藤はクロスをレイの頭に止まらせると、レイを抱っこして連れて行った 大歳神はオーディーンと共にヘロヘロになりつつ神殿に向かう 康太達が神殿に向かうと3神は天界に総結界を張った 東西南北、守護する聖獣は戻り守護を始めていた ガブリエルはお茶を皆の前に置くと、烈は目を醒ました 何時も想うが、このセンサー凄いなと感心していた お茶の用意だけするとガブリエルは3神の前に行き、生誕した天使達を立たせて整列させた 一糸纏わぬ天使達に創造神は神聖なるリングと衣を与えた 生誕させた天使は300体 其れ等を見届けて、ゼウスは水槽を壊してその水で大地を潤した 神々の棲む屋敷は創造神の扉の近くに用意され 仕事を終えた3神は屋敷へと還って行った これからは総てが3神を頂上として、天使は指示を全うする為に骨身を惜しまずに働く事となる 烈はクロスに「これからは妖精は何処へでも自由に飛んで行けるにょよ!」と言った クロスは嬉しそうに笑って「ありがとう烈!」と言った 「ボクのおかげじゃにゃいのよ! ガブたん、妖精は花々を交配させて新しい新種を生み出すプロにゃのよ! 天界も霞食べてるんじゃなく、大地に成ったモノを収穫して食べるにょよ! 当番制で作物育てさせるにょよ!」 「解りました、困ったらクロス殿に来て貰い試行錯誤して行きます!」 お茶して少しだけお腹が満たされると烈は、クロスをポッケに入れるとレイと共に馬に乗り世界樹へと向かった クロスは「世界樹から魔界へと飛んで行けるんですね……」と感慨深く謂う 「妖精は自由に好きな所へ飛んで行けるにょよ!」 「僕はもう天界にいてもやる事がないので、世界樹の道を通り魔界へと還ります! 本当に帰れるか?不安はありますけど………何事もチャレンジでしょ?烈」 「そうね、クロスが魔界へと還ったら皆に伝えてあげるにょよ!」 「解ってます!では烈、レイ、また魔界で会いましょうね! 妖精王にもちゃんと見届けて参りましたと伝えに行きます!」 クロスはそう謂うと世界樹へと近寄り、吸い込まれる様に姿を消した 烈は世界樹の木の傍に来た本来の目的を口にした 「レイたんボクが【天地創造 開闢の書】を唱えているから、レイたんは四方八方に川を通してね!」と謂う ニブルヘイムは笑って 「烈もニブルヘイム使いが荒いんだから………」とボヤいた だが直ぐに詠唱を始めた烈の思い通りに、世界樹の木から湧き出す水を川にして四方八方へ流した 世界樹の木は創世記の泉から湧き出た水で闇を浄化して、この地球(ほし)の浄化をして来た 創世記の泉の水で常に大地を浄化して潤し、二度と闇に染まる者を出さない為に……… かなり長い時間詠唱は続き、レイは川を想像し水を流した 総てが終わると烈は「レイたんお疲れ、無理させてごめんね!」と謝った レイは「へるちーていちょく それでちゃらね!」と言った 「なら明日幼稚舎休んで、食べに行くにょよ!」と言った レイは笑顔全開にして笑った アルくんとタカシに乗って来賓館へと戻ると、康太が 「お疲れ!全部見届けたし帰るか?」と言った 榊󠄀原も「後は天空神3神が総てを正して見張ってくれますから、戻りますか?」と言った 「アルくん達………」 とアルくんとタカシや他の馬が天界のままだと困るから言った 康太は安心させるように 「戻してくれるさ、だから心配しなくていい!」と言った 烈は「兵藤きゅん飛べる?」と問い掛けると、創造神が "天界へ来た時間に寸分違わず送ってやろう!" と言った "馬は一塊に整列させ、主等も固まって立っているがよい!" 先に馬を魔界へと送ると、次は康太達が人の世に送り届けられた 衝撃に目を瞑ると直ぐに静かになった 目を開けると、静まり返った飛鳥井の屋上のだった 屋上から家の中へ入り、子供達の部屋の前にある時計を見ると、午前2時5分だった 康太は「午前1時に天界へ向かったって謂うのに、送り届けられたのは天界に着いた時間に、かよ!」とボヤいた 榊󠄀原は「でもそこまでのタイムロスがなくて助かりました!」と言った 榊󠄀原は今にも寝そうなの烈とレイを起こしながら、ご飯食べさせるべきかな?も思案する 兵藤と神威はご飯より眠気でヘロヘロだった 兵藤は「俺は兎に角寝るわ!」と謂うと、神威も 「儂も寝させろ、家まで行く体力も気力もないからな!」と言う 兵藤は「源右衛門の部屋の和室の方に布団敷いて取り敢えず寝ようぜ!」と言い兵藤は神威と共に取り敢えず寝に行った 兵藤と神威が階段を降りて行くと、一生と聡一郎が入れ替わりに顔を出した 静まり返った部屋に声が聞こえたから、取り敢えず見に来たのだった 一生は「大丈夫なのかよ?」と声を掛けた 榊󠄀原はヘロヘロの烈を一生に、レイを聡一郎に渡した 「二人に軽くご飯を食べさせて、烈は薬を飲ませて下さい 多分限界超えてるので……今日の朝は起きないかも知れません」と言った 一生と聡一郎は烈とレイをキッチンに連れて行くと、慎一がキッチンにいてヘロヘロの烈とレイを目にして即座にミルク粥を作った 慎一は康太達が何処かへ出て行ったのに気付いていた だからこそ、何時還って来ても良い様に、食事の仕込みをしていたのだった 烈とレイにミルク粥を食べさせて、烈には薬を飲ませると、慎一は烈の熱を測った 37度近く熱があり、久遠から熱が出てる時の薬を処方して貰っていたから、それを取り出して飲ませた そしてレイの熱も測ると、レイも少し熱が出ていた 慎一は「今夜はレイは烈の横にお布団敷くから寝た方が良いですね 何かあれば即座に対策も打ちやすいし、一緒に寝て下さいね!」と言った 一生は今にも寝そうな烈を背負って部屋へと連れて行くと、パジャマに着替えさせてベッドに寝かせた 聡一郎は既に寝てるレイを抱っこして烈の部屋に連れて行った 慎一はレイの部屋からお布団を持って来ると、烈のベッドの横に敷いた パジャマに着替えさせると、お布団の中へ入れて寝させた そして二人のおでこに冷えピタを貼ると頭を撫でて 「もう寝て良いですよ!」と言い寝かせた 烈とレイは相当に疲れていたのか?直ぐに寝息を立てて眠りに落ちていた 烈の部屋を出ると、康太と榊󠄀原がキッチンで軽いのを食べて戻って来て自室へと入る所だった 一生は康太に「お疲れ、お前と伊織は大丈夫なのかよ?」と問い掛けた 康太は「今回は烈とレイが一番大変だったんだよ 3時間位続く【天地創造 開闢の書】っていうのを詠唱し続けたからな その後、ガブリエルが想像する天界を作らせたり、世界樹から天界中に川を想像して流したりと、結構大変だったからな………今日は起きるか解らねぇ その後に大変だったのは大歳神だな、天界中に根を生やしたりして力を相当使っていたかんな! 貴史と伊織は朱雀と龍になり天界に向かったけど、オレは乗ってるだけだったし、今回はオレの出る幕はなかったかんな………んなには疲れてねぇよ」と話した 榊󠄀原は「まぁ烈と謂うよりヘルメースが唱えていたんですがね、それでも体力の消耗は半端ないでしょうからね………でも困りましたね 今は寝かせてやる時間なんて有りませんよね?」と困った顔で謂う 聡一郎は康太と榊󠄀原に 「ヒースロー空港は正式に閉鎖されました、外国人観光客の出国は許可したけど、閉鎖が解けても当分は入国は制限かけるみたいです!」と告げた 康太は「え?天界を元に戻したのに事態は何も変わらずか………まぁ天変地異が起きる程の変化は期待してなかったけどな、それでも少し位烈の抱えてる件が解消してくれてれば………とは想ったのによぉ……」とボヤいた 聡一郎は「相賀達もイギリスへ飛べないから、烈の指示を仰がねばと言ってました 起きないとなると…少し困りますね」と現状を口にする 康太は「だな、寝かせてやりてぇけど現実は猶予すらねぇって事か……」と現実を重く受け止め口にする だがそんな話を夜中に長々とする訳にも行かないから…… 康太は「夜遅くまで起こして悪かったな、お前等も寝てくれ!お休みな!」と言い寝室へと戻った 一生と聡一郎も自室へと戻った その夜、深夜3時を周る頃、静まり返った烈の部屋に大天使ガブリエルが姿を現すと、烈に何やら液体を飲ませた 「ゼウス様に頼まれてやって来ました この後、レイにも飲ませます! こんなにちっこいのに天界への大移動に、かなりの力を使ったから心配なさってました!」 烈は口に流し込まれた冷たい液体をゴクッと飲み込んだ それを確かめて今度はレイにそれを飲ませた レイもお口に流し込まれた冷たい液体をゴクッと飲み込むと、癒やしの光が二人を包みこんだ 疲れがスーッと癒えてく暖かな光に、烈とレイは眠りに落ちた ガブリエルはそれを見届けて、兵藤と神威を癒やし、康太と榊󠄀原を癒やして天界へと帰還した 夜空を飛ぶ天使は「本当に天使使いが荒いんだから!」と夜風に羽根を抜かれた傷がピリピリ傷むからボヤきながら、夜空を飛んで消えた 翌朝 烈は何時も通り目を醒ました そしてレイの額に手を当て熱がないか?確かめてるとレイは目を醒ました 「起こしちゃった?レイたん」 と烈はレイに声を掛けた 「れちゅ!」とレイは嬉しそうに名を呼んだ 烈は「レイたん大丈び?」と心配して聞く 「らいじょーびよ!れちゅは?」 「ガブたんが癒やしてくれたから、大丈びなのよ!」 「おきりゅ?」 「まだ早いから寝てて大丈びよ?」 「りゅーにーにょおはにゃ?」 「そうよ、お世話手伝うにょよ!」 レイは起き上がるとお布団を畳み始めた 烈も手伝いお布団を積み上げた そして一緒に歯を磨きに向かった 洗面所の歯ブラシにはレイが磨ける様にレイと書かれているのもあった 2階の洗面所でも烈のいる3階でも磨ける様に慎一が揃えてくれているのだった 烈とレイは歯を磨き顔を洗うと屋上へ向かった 屋上へ行くと流生が「おはよう!烈、レイ!」と声を掛けてくれた レイはペコッとお辞儀をして「おはよー!」と挨拶した 流生は「今日はレイは烈のお部屋で寝たんだね、なら後でお布団をレイの部屋に持って行って着替えさせてくるね!」と言った そしてレイ専用のぞうさんのジョウロに水を汲むと、レイに手渡した 「あいがとー!りゅーにー」 レイは嬉しそうにぞうさんのジョウロで、チューリップの球根に水をやった 烈と共に屋上に来るレイの為に植えてやった球根だった 花の世話を終えると流生は、烈の部屋に行き、レイのお布団を持つとレイと共に2階へ降りて行った 烈はパジャマを脱いで、下着も新しいのに取替え 部屋着に着替えると、洗濯物を洗濯ネットに入れた それを洗濯室に持って行くと音弥が 「烈、おはよう、今日は枕カバーとか変える日だよ!」と謂われたらから、烈は慌てて 「おはよう!おとにー!待ってて!」と言い枕カバーを変えて洗濯ネットに入れた 音弥がせっせと皆の洗濯ネットをドラム式洗濯機の中へ入れて洗濯の準備をする レイのお布団を持って行った流生は、レイを着替えさせた後、戻って来て自分の部屋の掃除を始めた 2階は北斗や和希、和真兄弟や永遠が主流になり、ちっこいのの洗濯をやっていた お部屋の掃除は手伝うが出来るだけ自分でやらせていた レイも着替えを終えたら、お部屋の掃除が待っていて、掃除をしているのだった 康太は起きて烈とレイの様子を見に来たが、何時も通りに起きてお部屋の掃除をしていて せっせと畳に雑巾がけする烈に康太は 「体調どうよ?烈」と声を掛けた 「昨夜ガブたんが来て癒やしてくれたから、大丈びよ、でもレイたん少し熱あったすみたいにゃのよ!」と伝えた その話を聞いて流生は掃除の手を止めて 「あ、それ僕が言おうと想っていたのよ! 母さん レイね着替えさせた時、少し体温高かったわ、でも凛は何時も体温高いから……どうなのかしら?って想っていたのよ!」と伝えた そこへ榊󠄀原がモップを持ってやって来て 「凛は常に体温高いけど、レイは日頃は体温低めなので、疲れが出ましたかね?」と言った 康太は「なら朝 会社に行く前に烈とレイを久遠に診せてから出勤するしかねぇな!」と言った 「ですね、レイは今日は幼稚舎へ行かせますか?」 「今日の昼から入社式だからな、どの道今日はレイは会社に連れて行くしかねぇんだよ!」 「ですね、ならば食事を終えたらスーツに着替えさせます!」 と言い榊󠄀原はモップ掛けの続きを始めた 烈は掃除を終わらせると大空に 「凛達の方見てくるわね!」と言った 大空は「レイ、熱あるなら無理させないようにね、後 凛はやたらと熱血なら僕止めに行くわよ!」と言った 烈は2階へ降りて行った すると北斗が「烈 おはよう!」と声を掛けて来るから、烈は北斗に抱き着いた 「おはようにゃのよ、北斗!」 「レイ、熱あるでしょ?今 和真が掃除手伝ってるわよ!」 「凛は?」 「朝から煩いから客間の人達を起こしに伊織さんが行かせたわ!」 「掃除終わってるにょ?」 「凛は朝の5時から掃除してるから鶏かよ!と怒られてるわよ!」 烈はたらーんとなった 椋が烈に近寄ると東矢の声で「式神の扱いか上手く行かないんだけど、どうしてかな?」と聞いた 烈は「阿吽の方の式神?」と問い掛けた 東矢はコクッと頷いた 「それね本当なら覚醒の儀をやってから出すつもりだったにょよ! でも急遽限界させたからね、やはりやらにゃいと駄目なのね……」と謂う 「いちゅ?」 「明日、やっとく?」 椋は頷いた 「と謂う事は竜胆も?」 椋は首を振った 「竜胆は慣れてるよ、使い熟せてる」 東矢は謂うが烈は「それは違うわよ、東矢!」と言い滾々と説明をした 椋が上手く使い熟せてるいないなら、凛の方も不安定になってる状態だと伝えた そして完全に覚醒が必要となるから覚醒の儀式をやらねばならない、と説明した 椋は納得し「ぎゃんびゃる!」と言った 烈は椋を抱き締め 「僕が立会人に……」と言おうとすると それよりも先に「オレが立会人になってやんよ!」と康太の声がした 「母しゃん……」 「完全限界させるんだろ? お前は【R&R】の方に力を入れろ! オレは使い熟せる様に多少仕込む!」 椋は………僕………生きて帰れるかしら?と想った…… 烈はそんな椋の心中など知らず、凛の部屋をチェックしてレイの部屋を覗いた レイは部屋の隅から隅までモップを掛けていた 「ほこりはたいちぇき!ほこりはたいちぇき!」と歌を歌いながらモップを掛けていた 「レイたん、終わり? まだなら手伝うわよ!」 「もー、おわるにょ!」と元気よく謂う 掃除を終えると先にキッチンに行き朝食を食べた 食べ終わると食洗機に食器を突っ込み、洗濯物を干しに向かう 何時もの日課だった パンパンとシワを伸ばし洗濯物を干して行く 飛鳥井の子供達の家事能力は高く、掃除洗濯は日課として熟していた 乾燥まで掛けてあるから、干さなくても大丈夫だけど、烈はサンルームに洗濯物を干して行くのだった 無論、烈はアイロンも得意だった レイは小さいからアイロンは使わさせて貰えないけど、北斗や和真達や兄達が交代でアイロンを掛けてやっていた 烈はおひさまの匂いが好きだと謂うけど、大空は柔軟剤の匂いしかしないじゃないの………と何時も想う だが拘りがあるから、烈の好きにやらせていた 洗濯物を干し終えると、烈はレイの部屋にスーツを取りに行くと、レイを先にスーツに着替えさせた 出来るだけ本人にやらせて、出来ない所は手伝ってやる 烈は【R&R】のスーツに着替えていた レイのシャツの襟を立てると、ゴムのネクタイを装着して襟を直す 自分もゴムのネクタイをしていると、竜馬が様子を見にやって来て、レイのスーツの上着を着せてネクタイを直してやった 「おはよう、りゅーま どうしたにょ?」 「伊織さんがレイを見て来てくれと言ったから、部屋を覗いたらいなかったから来たんだよ 熱あるんだって?」 と竜馬は心配してレイの額に手を当てて、熱を確かめた 「少し熱あるね、烈も朝は病院へ行ってから相賀さん達のタレントを移動させてね!」 「飛行機飛ばにゃいの?」 「今は無理かな?昨日とあんまし状況は変わっちゃいないすよ………」 「どの道、どっちが先でも変わらにゃいのよ 藤島流の家元には昨日連絡入れといたから、今日からお稽古着けるって言ってくれてるからね りゅーまはマンションまで連れて行ってくれる?」 「烈は?」 「僕は朝 病院行って昼からの入社式に備えにゃいと!」 「了解っす!なら俺はタレントをマンションに連れて行き、荷物を置いたら家元に預けてくればOK?」 「それでOKよ!飛行機飛ぶまでは半月以上掛かりそうだから、今月は所作の訓練って事でね!」 「メンバーはもう自分達のイメージを膨らませて制作に入ってるから、チェックお願いすね!」 「了解よ!りゅーまと兵藤きゅんは入社式に出てね! その目で新入社員の資質を確かめに来てね!」 「了解っす!宗右衛門の部屋でデモ作ったから見て、こんな感じで作りたいって意見出して欲しいっす!」 「りゅーま ありがとうね! ボクの我が儘を何時も聞いてくれて、本当にありがとうにゃのよ!」 そう言い烈はペコッと頭を下げた 「止めて烈!何か別れみたいで嫌だ!」 竜馬はそう言い烈を止めた 「別れはまだ先に在るわよ! りゅーまを立派にゃ政治家にしなきゃだもん!」 「それでも、そんな風に改められると……なんかあるんじゃないかって勘繰りたくなるから……止めてくれ!」 竜馬はそう言い烈を抱き締めた 烈は笑って「大丈びよ、りゅーま ボクの方が若いにょよ!」と背中を擦りながら謂う レイも竜馬の背中を擦り「りゅーたん」と心配そうに謂う 竜馬は「レイ、無茶は禁物だからね、熱があるんだからね!」と言い烈を離すとレイを抱き上げた 烈は応接間に行くと竜馬はレイを抱き上げたまま着いて来た 応接間に行くと相賀達が待っていた 烈は「研修に行く子を集めて下さい!そしたらりゅーまがマンションに連れて行き荷物を置いたら藤島流の家元の所へ皆を送り出してくれるから!」と言った 神野は「烈は?烈が連れて行ってくれないのか?」と尋ねた すると兵藤が応接間に入って来て 「飛鳥井建設は今日入社式なんだよ! 施工は明日入社式で予定がズラせられねぇんだよ!だから俺と竜馬が藤島流の家元の所へ連れて行く事になってるんだよ!」と知らせた 相賀と須賀と神野は【入社式】と聞いて、宗右衛門としての役目があるのだと痛感した 康太と榊󠄀原が忙しそうに応接間に入って来ると 榊󠄀原は「病院に行きますよ!」と言った 康太は「相賀、須賀、神野 悪かったな、飛鳥井は今日の昼が入社式なんだよ! 施工が明日の昼からだからな、今日と明日は外せねぇんだよ! 藤島流の家元の方にはオレからも良しなに頼むとお願いしておいた!だから安心して行ってくれ!」と謂う 相賀は「忙しのに悪かったね烈」と謝罪した 烈は「元はと謂えばボクの我が儘から始まっているにょよ!本当に神野や相賀、須賀には感謝しています!」と深々と頭を下げた 神野は慌てて「止めてくれ!烈!俺達はお前に感謝しているんた! 今の事務所にしてもお前の協力があればこそ、あんなに素晴らしい事務所にいられるんだ! 感謝してるんだ!本当に!!だから謝罪は不要だ ならば竜馬、貴史、案内をお願いする タレントは事務所に来るように謂う 藤島流は事務所から近いのか?」と言った 兵藤は「藤島流宗家の元で所作の修練を受けるんだから、少し離れるな………どうするよ?」と少し困って竜馬を見た 康太は「慎一に飛鳥井の研修用のバスを借りて乗せて行けねぇか?聞いてやる!」と言った 榊󠄀原は「宮瀬建設に今研修に出てますから、連絡入れますね!」と携帯を取り出して電話掛けた 暫く遣り取りして榊󠄀原は「10時にバスが戻って来るので、その後 神野達の事務所に使わせてくれるそうです!」と言った 相賀達は即座に事務所のスタッフに連絡を入れて選抜されたタレントを10時前に事務所の入り口で待っている様に言い渡した 榊󠄀原は「ならば烈とレイを病院へ連れて行くので、後は頼めますか?竜馬、貴史!」と問い掛けた 兵藤は「あぁ、後は大丈夫だ、早く病院に連れて行ってやってくれ!」と言った 榊󠄀原はレイを抱っこすると地下駐車場へと降りて行った その後を康太と烈は着いて降りて行った 病院に到着すると看護師に別の部屋で待っててくれと謂われた そこで待っていると久遠がやって来てレイと烈を診察してくれた 明らかに衰弱しているレイを見て 「これから点滴を打つ、烈も明らかに疲れてるやんか!1時間は動かせねぇからな!」と謂うと 烈は「ケントを呼ぶから母しゃん達は会社に行って大丈びよ!」と言った 榊󠄀原はケントを即座に呼び出し、点滴が終わったら即座に会社に連れて来る様に言い渡した レイは涙を溜めて点滴の痛さに耐えていた 烈は「レイたん大丈び?」と問い掛けた レイは「だいじょうび……れいたえれりゅ……」と言った 点滴が半分減った頃、竜馬と兵藤が点滴してる部屋にやって来た 「烈、レイ大丈夫なの?」と竜馬が烈に近付く 烈は「りゅーま、家元に送り届けてくれたにょ?」と問い掛けた 「家元はしかとお預かり致しました、との事だったよ!到着するなり家元自ら着付けを仕込んてお稽古だと言っていた」と伝えた 烈は何とか軌道に乗せられて安堵の息を吐き出した レイは兵藤についつい甘えて「いたいにょぉ〜」と弱音を吐いた 兵藤は困って「頑張ったら、入社式の後にパフェ奢るから、今は堪えて頑張れ!」と言った レイは「くりーむ たくしゃん?」と謂う 「あぁ、クリーム増量してやる!」 「にーにたちも?」 「あぁ、皆纏めて奢るさ!」 と約束した レイは嬉しそうに笑い何とか堪えて点滴を終わらせた 点滴が終わるとケントが迎えに来て、烈とレイは車に乗り飛鳥井建設へと向かった 竜馬は兵藤を乗せてその後を着いて行った 地下駐車場に車を停めると、竜馬と兵藤が来るのを待ってエレベーターで6階まで向かう 6階に到着すると烈は会長室へと向かいドアをノックした 低い地位のノックに烈だと確信して会長は自らドアを開けた 「入社式の前にお昼を先に食べますか?」 と会長室に烈とレイと兵藤と竜馬を招き入れて声を掛ける 「入社式は地下の講堂でやるにょ?」 烈は年末年始のリフォームの時に、広報宣伝課に与えられた地下のスペースをリフォームして講堂を作った 入社式やちょっとしたイベントならば、そこでやった方が経済的に安上がりになるからだ 広報宣伝課を縮小した今、荷物置きの倉庫と化した場を荷物を処分したり、他の部署へ配布したりして片付けそこを綺麗にリフォームして壇上を作り社旗と国旗と共に掲げ、講堂を作らせたのだった そこで入社式は行われる事となっていた 今回 飛鳥井へ入社して来る社員は資格を所持した者ばかり30人の雇用となった 建築、事務 OS 等などの入社となっているから年齢はバラバラで半分以上が現場仕事となる 烈はレイと清隆と兵藤と竜馬と共に社員食堂へ出向いた レイにヘルシー定食を奢るから、ついでに清隆や兵藤、竜馬の分も食券を出して奢った 因みに飛鳥井の社員食堂の食券のお金は材料費の為に食堂の方で管理されていた 勿論 値段が全部同じじゃないから食券を使って高いのを食べようとすると不足分は出るから、不足分の支払いは必要となっていた 城田がくれた食券は不足分の為の食券の綴りだった レイと烈はヘルシー定食で、清隆はデラックス定食を頼んだ 兵藤は鯵フライ定食で竜馬は唐揚げ定食だった 清隆は今日は出すよ!と言っていたのに、結局奢りになり 「ならば帰りはファミレスへ行き、美味しいのを食べて帰りましょう!」と言ってくれた 烈とレイはやったー!と喜んだ そこへ瑛太と康太と榊󠄀原がやって来た 烈は食券を出そうとすると、榊󠄀原は 「出さなくて大丈夫です!」と言った 瑛太はヘルシー杏仁豆腐を烈とレイの分頼みトレーに乗せてやる 烈は喜び「えいちゃん ありがとうにゃのよ!」と言った レイも「あいがちょー!」と礼を謂う 榊󠄀原は烈に「今回は新卒は一人もいませんでしたね?何か考えがあるのですか?」と問い掛けた 「出来上がってにゃい中へ未熟な存在を入れると悪い方へ反発するにょよ 今は社内を正している最中だからね、新卒は来年以降ね!」と言った それを聞いて康太も 「だな、今回の入社する奴がどっちに転ぶか? それを確認しねぇと新卒は無理だよな!」と言った 瑛太は「それは何故なのですか?」と問い掛けた 「資格持ちってある意味クセがあるんだよ、そんな中に新卒入れたら半分は挫折する 後の半分は大阪と同じ上に右に倣えで罪悪感もなくいじめとかしだすだろうからな 上を整えてからじゃねぇと新卒なんて入れられねぇんだよ! 資格持ちがどんな仕事するか?これからよく目を光らせて行かねぇと、狡い奴らは人目かない時に行動をするからな、だから社内中カメラは至る所にあるし、宗右衛門が社内を回るのはその抑止だ だから今後は篩に掛けられるからな社内は荒れるかも知れねぇって事だよ!」 康太が説明すると傍にいた社員は気を引き締めた そんな勝手な事は絶対にさせない! そんな想いでいた それを聞いていた城田は康太の傍に近寄ると 「ならば今後は更なる監視の目を厳しくせねばなりませんね! 我等は鉄壁の絆を持つ飛鳥井建設ですから、乗り越えられない壁などないのです!」 と言い切った 社員達は「良く言った!城田!」と歓声を上げた 瀬能は「烈、僕も頑張るからね!」と横に座り烈に頭を撫でられて笑顔でヘルシー杏仁豆腐を一口食べさせて貰っていた 愛染は呆れ「瀬能、烈の為に仕事しろよ!」と言った 瀬能は笑顔で「勿論さ!」と言った 食事を終えると烈は社員達に 「ほらほら、入社式にゃのよ! 先輩社員も参加して新入社員を見極めるにょよ!」と発破を掛けた 兵藤は烈とレイに薬を飲ませると、竜馬が食器を返却口に返して、食堂を後にした エレベーターに乗り地下2階で降り講堂へと向かう 入社式を執り行うのは新しく配置された広報宣伝課だった あれから広報宣伝課は広角媒体のプロをスカウトして何人かを鍛え上げて作られたチームだった 広報宣伝課の主任はトレンドCMを何本も手掛けた天才 紫峰圭祐と謂う男だった この男を紹介してくれたのは今枝浩二だった 今枝は今 倭の国に帰国して東都日報の副社長になっていた 東条が頭にチップを入れられていた詳細は、烈がラインで伝えていた、凄い衝撃を受けて帰国を決意したのだった 東都日報社長は東都のままだった 飛鳥井家 宗右衛門の意向で変更はするなと申し入れがあったからだった 東条と東条の弟、謂わば善之助の妻の愛人だった男は今 再生の道を辿る日々を送っている 二人の頭には同じ様にチップが入れられ操られていたと謂う事が解った まぁ弟の方は本当に善之助の妻を愛して影から見守っていただけだったが……… 頭にチップを入られた事によりその思いを成就させて則りを企ててしまった……と謂うのが全容だった 善之助は烈に「操られていたならば納得がいく、ずっと忠義を尽くしてくれた男だ……温情を与えてやってはくれないか?」と言ったのだ ならば綺麗が打ち出した再生プログラムを受けて、蔵之介や悦郎と共に人生の再スタートを切らせてやりたいと想ったのだ そして善之助の元妻も………愛されなく過ごした日々に少しずつ心が壊れて行き、歪んだ想いに漬け込まれて教団の使徒になり骨の髄まで洗脳され………その洗脳は解くのに長い時間を要す………との事で鍵付きの精神病院に入れられ過ごす事となった 事件はカタがつき、それぞれの道を歩き出した その道は険しく厳しい道だが、決して終わりへ向かう道ではない 未来へ向かう希望へ架ける道となる道となれ! と烈は願っていた

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