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第55話 愛は深く 想いは強く ❶

飛鳥井建設 入社式が行われた 後列に先輩社員が座り、前列に新入社員が座った その横に各部署の主任 統括本部長が座った 壇上には椅子が並べられ真贋を中央に右に会長、社長、副社長が座っていた 真贋の左に宗右衛門が座りレイ、竜馬、兵藤が座っていた 司会進行を務めるは飛鳥井翼と安西力哉だった 力哉が「此れより飛鳥井建設の入社式を行います!」とマイクで始まりを告げる 翼が「飛鳥井建設は特殊な会社で、前世の記憶を持つ者が会社の未来を導く事になっています 其れ等詳しい説明、そして誓約書は入社式の前に提出して戴いたので御理解なさっていると想います!飛鳥井建設に入社したならば、今日から貴方達は会社の為に仕事をなさって下さい! では、宗右衛門、御言葉をお願いします!」と言った 烈は演説台の前に立つと宗右衛門の声で話し始めた 「今日 此時より主等は飛鳥井建設の社員となった!今回は飛鳥井建設は資格者を雇用する事となった為、新卒の社員はいないが、即戦力を期待して雇用する事に決めた 慣れぬ事ばかりじゃが、主等は今日、この時から飛鳥井建設の社員として誇りと自覚を持ち、節度ある行動を心掛け仕事をして貰いたい!  儂からは以上じゃ!活躍を期待している!」 と言い後ろに下がって椅子に座った 入社前の説明で転生者として記憶も力も持つ存在が飛鳥井家真贋と宗右衛門、竜胆、源右衛門、恵方だと書いてあった その宗右衛門と謂うのが今 目の前の子供だけど嗄れた声で喋る存在なのか……と想っていた そしてニュースで騒がせた子供だと想い出した 【R&R】のリーダーでもある………事も……… 力哉は「それでは真贋、御言葉をお願いします!」と進行して言った 康太は演説台の前に立つと、新入社員を視た その瞳に………冷や汗が出て来る……怖い…·と想った 「入社おめでとう、今日から飛鳥井建設の社員として頑張って欲しい!  我が社は特殊な形態を取る故、小さい子が社内を歩き回る時がある だがその子等は次代の真贋であり、次代の宗右衛門であり竜胆と謂う飛鳥井を担う存在 今世は顔合わせ故に揃っているが、今後は100年ごとに生を成す転生者だ オレも……オレの前に口上を述べた烈も転生者としての役務がある存在だと謂うのを忘れないで貰いたい!オレからは以上だ!」 康太も演説台から離れると後ろに下がり椅子に座った 力哉は「社長の言葉の前に紹介を致します! 飛鳥井家真贋 飛鳥井康太 宗右衛門 飛鳥井 烈 飛鳥井家 次代の稀代の真贋 飛鳥井レイモンド」 紹介を受けると立ち上がり会釈をした 「次代の宗右衛門 飛鳥井椋 竜胆 飛鳥井 凛 この二人は今日は出席してません!」と言った 翼が「飛鳥井建設 会長 飛鳥井清隆 社長 飛鳥井瑛太 副社長 榊󠄀原伊織 以上が役員の紹介です! 社員の方々には真贋と宗右衛門の立場は会長よりも上だと理解なさって、くれぐれも失礼な態度はご遠慮願います! では社長、御言葉をお願い致します!」と促した 瑛太が演説台の前に立つと、皆は座った 「入社 おめでとうございます 今日から君達は飛鳥井建設の一員として頑張って下さい!今回は精鋭となるべく存在を雇用致しました! 新卒の社員は取らなかった、それはそれだけ我が社がプロの手を要した証拠です 即戦力になると踏んで入社を決めた なので君達は今まで以上に我が社で頑張って貰いたい!私の話は以上です! 統括本部長、並びに責任者の方は、自分の課に入る社員を連れて行って下さい! それでは解散!」 と社長の言葉で入社式は終わりを告げた 自分の課に入る社員を連れてそれぞれの課へと分かれて行った 皆がいなくなると康太は 「しかしこの講堂、立派なので驚いたわ!」と言った 榊󠄀原も「こんな立派な講堂ならば他を借りる必要もありませんね! 広報宣伝課のプレゼンの時は全面プロジェクトマッピングが上から下ろされ映像が投影されるから、此処で会議やプレゼンは出来る仕組みだと聞きました、こんなリフォームしちゃってたんですね………」と感慨深く言った 烈は兵藤と竜馬に「どうだった?火種になりそうにゃのいた?」と問い掛けた 兵藤は「どうだろ?資格持ちばかりの入社なんだろ?それなりに自信がある奴ばかり集まってるな、って感想しか言えねぇな……… まぁ入社式から問題あり行動してたら、それはそれで問題じゃねぇかよ?」とボヤいた 竜馬も「プロ意識高そうだから、入社した後を気を付けて見ないと解らない部分が大きいかな? 近い内に意識改革やる? 俺等はイベントの後なら出ても大丈夫だぜ?」と言った 「そうね、様子見て決めるわね!」と謂うと烈は母の傍へと近付いた 「母しゃん、ボクは今日は帰るわね! レイたんをゆっくり過ごさせたいから!」 「おー!お疲れ!ケントに送って貰え! 【R&R】の方 片付けたりしてくれ!」 「そっちも見るけど、家に帰ってレイたんをにーに達に頼んだら【R&R】のメンバーの新着状況を確認して、菩提寺の建築状況を見に行くわ! 仮設の社務所で働く人達も見て来にゃいとだし、 ばぁたんちの建築状況も確かめて、夕方はじぃしゃんにファミレス奢って貰うにょよ!」と嬉しそうに謂う 「ならオレ等も合流してファミレスに行くとするわ!ファミレスに行く前にラインするわ!」 「良いにょ?」 「あぁ凛と椋も連れて来いよ! あ、日程が決まったらお前のご要望のヤツを飛鳥井に運んで貰う予定だ! ある程度筋道が決まったら言ってくれ!」 「了解にゃのよ!イギリスに飛べにゃいからね…… 今の所見通しが付かにゃいのよ……… まぁ由香里は来れないなら来日しても大丈夫だぜ!と言ってくれてるから、そしたらレッスン始めるつもりにゃのよ!」 「だな、行けねぇなら来て貰うしかねぇからな 志津子に謂えば一部屋位何とでもなるからな 来日してレッスン着けて貰えばどうよ? レッスン場は病院の地下のスイミングスクール横のトレーニングスタジオでやればええやん トレーニングスタジオ移転したからな、今は空き部屋になってるから部屋は抑えやすいぜ!」 「にゃら都合がつくにゃら、来日して貰うわね!」 「そうしとけ!オレ等は全面協力してやるって言ってるやんか! お前じゃどうしようも出来ないならば、オレ等が必ずやお前の手助けをしてやる! それを忘れるな、良いな!」 「はい!母しゃんありがとう 父しゃんもありがとう………ボク、母しゃんと父しゃん大好きよ!」 「オレもお前らが大好きだぜ!」 「僕も君達が大好きですよ!」 母と父からそう言われ烈は嬉しそうに笑っていた レイもその横で笑っていた 烈はレイと兵藤と竜馬と共に講堂を後にした エレベーターに乗り地下一階で降りると、ケントの車に乗り飛鳥井へと還った 竜馬は兵藤を乗せて飛鳥井へと還った 飛鳥井に帰ると烈は竜馬と共に源右衛門の部屋に向かった 兵藤はレイをソファーに座らせ「静かに待ってような!」と言った レイはソファーから降りるとワン達の傍に行った ガルはレイに飛び付き嬉しそうに顔を舐めていた 烈は竜馬と共に源右衛門の部屋へと向かった 竜馬がPCを見せてこんな感じにでどうかな?とプロットを見せた 烈はそれを見て「此れって……村松監督から?」と問い掛けた 「康太さんが口を利いてくたんで話をする機会があったんだよ、で話したら全面協力させて貰うよ!と言ってくれたから実現したんだよ! どう?烈、烈の描く世界は作れてる?」と問い掛けた 烈は涙ぐみながら竜馬を見上げた 「りゅーま……ボクの願いも思いも詰まってるよ……」 「最終日はこんな感じだよ!」 烈は竜馬に抱き着いて泣いた わんわんと子供みたいに泣くから、兵藤が見に来てしまう程の泣き声だった 「おい、竜馬、烈を虐めたのかよ?」 「違うよ!貴史、嫌だな俺が烈を虐める日なんて未来永劫来ないっすよ!」 竜馬はそう言いPCを見せた それを見た兵藤は納得した 兵藤は烈の頭を撫でて「最高の想い出作るんだろ?作れるさ!烈の思い通りになるよ!絶対!」と言ってくれたから、更に烈は泣いた そして涙を拭くと竜馬を見上げて 「りゅーま【R&R】のマンションへ行くわよ!メンバーの作品見たら菩提寺に行くわよ!」と言った 兵藤は「凛と椋の開放の儀だっけ?」と呟いた 朝 めちゃくそ落ち込んだ椋がいたから、どうしたよ?と問い掛けたら竜胆が教えてくれたのだった 稀代の真贋に立会人になって貰うんだから頑張らねぇとな!と気合い入りまくりの凛に対して、ドキドキハラハラの椋は無口だった 兵藤は「レイはどうするのよ?」と問い掛けた 「連れて歩く方がレイたんの負担になるからね にーに達が帰って来たら見てもらうにょよ!」 と烈が話をしていたら翔が源右衛門の部屋までやって来た 「烈、行く所あるんだろ?レイは僕等が見てるから行っておいで! そしてかなり凛が椋を追い込んでたから頼むね! 母さんがお昼食べたら菩提寺に向かうと言ってるからね………椋大丈夫か見てあげてね!」 母は情け容赦のない鬼なのだ 妥協と謂う言葉を遥か何万光年先に置き忘れて来たかの様に……仕込む と謂われたら、それはもぉ仕込まれるのだ それが解るから様子を見て来てと謂うのだ 飛鳥井家 稀代の真贋には何も申せば出来ない だが稀代の真贋に唯一モノ申せる者がいるとしたら………それは同列にいる宗右衛門だけだった 「見て来るわ、でも母しゃんは相手が東矢だから無茶はしにゃいわよ」 「そうかな?」 「………自分の為に生きてくれた存在だからね……どうかしら?」 「自分の為に生きてくれた存在だからこそ、腕に縒りをかけて………って感じだからね母さんは……」 「そうね………後のフォローはしておくわ!」 「なら僕等は帰って来た時にフォローするわね!」 「お願いね、翔にー!」 「大丈夫よ!さぁレイは見ておくから行っておいで!」 兄に送り出され烈は竜馬と兵藤と共に飛鳥井の家を出た 烈はケントの車で、竜馬は兵藤を乗せて【R&R】のマンションまで行く マンションの駐車場に車を停めると烈は呪文を唱え始めた 手にはビリビリ雷を纏った釘が握られていた マンションの中へ中々入らない烈の傍に行こうとした竜馬を兵藤は止めた 「動くな竜馬………アレを食らうと命がないかも知れねぇからな!」 「アレ?」 竜馬は何か解らなくて兵藤に問い掛けた 烈は何やら詠唱し、手にした釘を天高く放り投げると、釘は静止し 烈が両手を天高く伸ばし、左右に広げると釘も左右に飛び散った 兵藤は「烈の手にしてる釘は特別でな我等四神の守護を与え、閻魔の電磁結界を織り込ませてあるならな、アレには何万ボルトもの電気が流れてるんだよ、人間が下手に触れたら黒焦げだ、止めとけ!」と言った 竜馬は何てのを持ってますの?………と想いつつ黙って烈を見守った 「東西南北 守護する四神よ! 東は蒼龍 西は白虎 南は朱雀 北は玄武の守護する位置に護られし結界を張れ!」 と大きな声で釘に指示すると、釘は蒼い光を放ち放物線を描き光が走る 赤い光が、白色い光が、真紅の光が 漆黒の光が、四方八方に伸びてビリビリした雷を纏い伸びて行った 結界を張り終わると、辺りは静かになった 烈は「このマンションを守護するにょよ!」と言いポッケから白い煙の様なモノを取り出した 兵藤は「それは何だよ?」と問い掛けた 「此れはね天空神から下賜された守護天使にゃのよ 昨夜ガブたんが届けてくれたにょよ! この結界内に放っておくから、気にしなくても大丈びにゃのよ! マンションの庭園にある木に住み着き暮らすからね!時々フルーツをガーデンテーブルに置いてあげてくれれば喜ぶわ!」 そう言い放り投げると、白い煙の様なモノは綺麗な天使に姿を変えて、天高く飛び立った 「ボクにとって【R&R】は家族も同然だからね、その場を護る為にゃら、何でもするにょよ!」 と笑って謂う 竜馬は「烈!!」と言い烈を抱き締めた 兵藤は「早くマンションに入るぞ!要件を済ませて菩提寺に行かねぇと康太がやる気だして頑張って椋を仕込みだすぜ!」と催促した 烈は慌てて竜馬を引き離すとマンションの中へ入って行った メンバーは中庭が見える大きな窓のあるリビングでその光景を一部始終見ていた 天使が羽撃いて行くと唖然として言葉もなくなっていたが、烈の家族も同然発言に感動していた 烈がリビングに行くとメンバーは皆、烈に抱き着いた やはりこの人をリーダーと決め着いて行って良かった………と心から想う 感激して酔ってるメンバーに烈は容赦なく 「さてと見せて貰うわよ、大幅にズレてるヤツはやり直しにゃのよ!」と非情な言葉を吐く メンバーは慌てて烈から離れると、プロットをプレゼンする為にプロジェクターにPCをセットして準備を始めた 烈がソファーに座ると、竜馬と兵藤も座った メンバーは一人ずつプロットを流し始めた 烈はダニエルのプロットを見て 「ダニー、コンセプト解ってるにょ?」と問い掛けた 「【想】だからコンセプトは合ってる!」 「…………ダニー、こんにゃにヤサグレちゃってたのね………明日の施工の入社式の後に京都に旅行に行くわよ、週末だから少し位時間を貰って強行軍で行くわよ! ダニーには今一度、ボクの想いを知って貰わなきゃだからね! 竜馬、皆に新幹線の指定席を持って費用を徴収しておいてね! そしてボクのカードでホテル予約しておいてね 金、土、日と泊まって日曜に帰るわね!」 「了解っす!貴史手伝ってくれる?」 竜馬は兵藤に手伝いを頼んだ 兵藤は「任せとけ!」と言い全面協力を約束した 続けてメンバーのプロットを見たが、やはりしっくり来なくて保留となった 烈は「今日から明日まで何もしにゃくて良いわ! 頭の中を空にして過ごすにょよ! 今夜は鍋にでもしようかしら? 鍋メンバーを集めにゃくちっちゃ!」と言った ヘンリーは「何が駄目なのか教えてくれないのか?」と問い質した 「何が、じゃにゃいのよ ならヘンリーはこの映像で大きな足跡遺せると想うのかしら? 別にプレッシャーを掛けたい訳じゃにゃいのよ 最高の映像だと見た側は想える、だけどねヘンリーの心は別にあるのかしら? 心が何処かへ旅に出てるわよ! これじゃ足跡遺せたとしても、その足跡では直ぐに乾いてなくなりそうだわ!」 ヘンリーは言葉もなかった 「やはり……リーダーの目は誤魔化せないか………」 「イギリスの母上が気になる?」 「……………傍にいられないのは辛いよ……… あの日(襲撃に遭った日)以来、母は体調を崩して寝込んでると聞くとね………どうしても………」 「ヘンリーんちは、家族が増えるからね……… あんな事が遭ったからこそ、用心して大事にしてるんだと想うにょよ!」 「へ??家族が増える???それ何???」 「え?聞いてにゃいの?ごめん……忘れて ボクの口からにゃんて………OUTな発言だったわ」 「リーダー、僕………父さんに聞いてくるよ!」 と言いヘンリーは走って自分の部屋に行った 竜馬は「ロザリー妊娠してるの?ひょっとして?」と問い掛けた 「ボクは常にメンバーの星を詠むにょよ 星は本人よりも正確にボクに伝えてくれるからね メンバーの状態を知る為にそうしてるの で、ヘンリーの星を詠んだ時に家族が増えると出てたから………もう安定期は超えたから言っちゃったにょよ!」 「そうか、ヘンリーは長男だしそろそろ家を継ぐ為に帰国しないと駄目かもな………」 と竜馬はこれが最期の【R&R】のイベントになるのかな?と想った するとサムエルが「家督はとっくの昔に譲られる事が決まってるし、家業もヘンリーが継ぐの決まってる、それはヘンリーが40歳になったら総てが受け継げられる事なんだよ! だからもう少し猶予はあるし、我等は死ぬまで【R&R】として活動をすると決めている! それはヘンリーも同じだよ! 竜馬、お前も政治家になっても活動は続けるんだろ?」と問い掛けた 「俺の心は決まってる! 俺は政治家になっても【R&R】のメンバーと共に活動すると決めている! なぁ烈………何時かメンバーも魔界を見せてやれないかな? 死した後お前が還る場所をメンバーに見せてやれねぇかな?」 「閻魔様に一度聞いて見るわね! 許可が降りたら一度見に行こうね でも……あの場はメンバーにはタイムリープした位に何もにゃいから………京都の方が良くにゃい?」 「大丈夫だ烈、俺はあの時、あの場所で原点を思い知らされた 素朴な魔界の者達の優しさに触れ、人の原点を知れた気になった、だからこそメンバーを何時か連れて行きたいとあの日想ったんだ!」 「なら週末は京都じゃにゃく魔界ね! 母しゃんに話をしなきゃ………」 と烈が思案してると、ヘンリーが頬を赤くして戻って来た 「リーダー、母さん妊娠してた!! 烈が謂う通りだった、今はその所為で体調が優れなかっただけだった! その事はオリヴァーも知らなかったから、心配させて悪かったなと父さんに謂われたよ! でも何故ロザリーの妊娠が解ったんだ?メディアさえ知らせてないのに?にって不思議がられたから、リーダーが教えてくれたと言っといた そしたらまた烈に逢いたいから、連れて来てくれと煩く言われちゃったよ!」 興奮してヘンリーは言った そして想う こんな風に離れているからこそ………家族を想い 家族を案じるのだと………… それこそが今度のイベントのコンセプトなんだと…… 烈は「今夜は宴会よ!会費はりゅーまと兵藤きゅんが決めて材料買いに出てね! ボクはじぃしゃんに宴会になったからファミレスキャンセル入れとくわ!」と謂うと携帯を出してラインを送った そして立ち上がると、ケントと共に出て行った リーダーを見送ってメンバーは やはりリーダーの目は誤魔化せないな………と痛感していた 厳しくて………それでいて誰よりも優しい 人の痛みを知っているからこそ、寄り添い導いてくれるのだ デービッドは「やはり我等がリーダーは容赦無いですがな!」と叫んだ ヘンリーは「さぁ、慎一GETして宴会の材料買いに行くよ!一人幾らになるの?竜馬?」と問い掛けた 「一人8000円徴収しちゃうよ! で、海の幸尽くしにしちゃうっすよ!」 竜馬が提案するとイーサンが 「一人一万円で良いじゃない、二千円のお釣り用意出来るの?それこそ面倒だよ 余りはまた乾物かって保存で良くない?」と提案した 皆 その意見に賛成してお金を出し合った 竜馬は烈の財布を取り出すと 「これは烈のお財布なんだけど、烈は母さんに朝 必要経費を貰って来てるんだよ まさに今 この現状を視ていたとしたら一万入ってるっす!」と言いお財布の中のお金を取り出した するとお財布の中には一万円が入っていた フレディは「流石康太さん……」と感激していた メンバーはダニエルが運転してメンバーを乗せて買い出しに出た 竜馬は兵藤を乗せて慎一をGETして買い出しに向かった 皆が買い出しに出ている頃、烈は菩提寺にいた 社務所の建築状況と保養施設、道場の建築状況を把握して現場の責任者と話をしていた そして本殿へ向かい城之内に「凛と椋の能力開放の儀、始まったにょ?」と問い掛けた 城之内は「あぁ、少し前に康太が本殿儀式の間に入り始めたぜ!」と教えた 「父しゃんは?」 「あぁ、伴侶殿は控室におられるから、行って見ると良い!」 城之内に謂われ烈は控室に向かった 控室に行くと兄達が来ていた その中にレイの姿はなくて「レイたんは?」と問い掛けた 翔が「レイは凛、椋と共に儀式の間へ入って行ったよ!」と教えた 烈は心配そうな顔をして「レイたん熱あったにょに、大丈びにゃの?」と問い掛けた 大空が「熱は下がったんだよ、僕等は止めたんだよ………でも凛と椋が解放の儀をやるなら僕もその場にいなければならない!って謂うから連れて来たんだよ!あの子は本当に頑固で連れて来なきゃ飛んじゃうじゃない!」と愚痴った 榊󠄀原は「烈は大丈夫なのですか?」と問い掛けた 「ボクは大丈びよ!しかも今夜は宴会なのよ! じぃしゃんにそれ送ったら喜んでいたわ また別の日に皆でファミレス行きましょうね、って言ってくれたわ!」 「なら別の日に連れて行って貰いなさい!」 「そうするわね、それより父しゃん……話があるにょよ」 「何ですか?」 「メンバーを連れて行きたいにょよ! だから、これから、えんちゃんに逢いに行きたいんだけど、大丈びかしら?」 「メンバーを連れて行くのですか? ならば僕が交渉して来てあげます なので君は此処で待ってなさい!」 と謂うと榊󠄀原は控室を後にした 烈はまさか父が動いてくれるとは想わず唖然となった そんな烈を兄達は支えるように抱き締めていた かなり長い間控室には誰も来なかった 皆が息を飲み待っていると、買い物を終えた兵藤と竜馬がやって来た その場に康太と榊󠄀原がいないから、兵藤は 「康太と伊織は儀式の間にまだいるのかよ?」と問い掛けた 翔が「儀式の間にいるのは母さんだけで、父さんは烈の用事で何処かへ行きました!」と伝えた 二人がバラバラで行動してるのか?と兵藤は想った、そんな事は滅多となく珍しいからだ 「アイツが康太の傍を離れて単独で何処かへ行くなんて…………」と信じられなくて想わず呟いた 「兵藤きゅん?」 「何でもねぇよ………それよりも康太は何してるんだよ?」と気を取り直してと謂う 「覚醒の儀を執り行っているにょよ! 竜胆と東矢の式神は偶然にも阿吽でね、この前桜林に暴漢が押し入った時に強引に限界させてしまったからね、正式な儀式に則って開放させる為に解放の儀を執り行っているにょよ!」 「それをやらねぇと式神を操れないって事なのか?」 「目醒めていにゃいからね、寝惚けた状態の式神ではいざと謂う時に困るからね! 式神は己の意識とリンクさせて寸分違わず動かせなきゃならないのよ 陰陽師の様に飛ばす式神も己の気を式神に吹き掛けて操る技術が必要なのね それに本体が備わると紙と違って式神本体の意識の解放も必要となるにょよ! 竜胆と東矢の阿吽は、他の式神とは格が違うからね、阿吽の銅像そのまま限界させた様な式神と謂うか守護神だからね、一手間いるにょよ!」 烈は兵藤にも解りやすく説明した そして言葉もない兵藤に更に続けた 「東矢は一族から無理矢理仁王を守護神に着けられ契約させられた………過去があるにょよ 東矢は絶対に暗殺に仁王を使わないと心に決めて意識の奥深くに封印した……… 転生した椋ですら遺っていない意識を掘り出す必要もあるからね、母しゃんが立会人になってくれたにょよ………ボクだと少し荷が重いからね」 それを聞き兵藤は東矢の一族は呪詛を生業にする一族だったな……と想い出していた 親に捨て駒にされ殺されそうになった………生きてる事を諦めた東矢はそれを受け入れて死ぬ気でいた そんな東矢を生かして果てを与えたのは康太だった 「康太、腕に縒りをかけたりして………」 烈は「椋はまだ4歳にゃのよ………紫雲見張っててよ!椋が危険だったら強制的に部屋から出すにょよ!」と言った すると姿はないが声が響いた 『承知した、遣り過ぎるならばストップを掛けるとしよう!』 その声を聞き「頼むわよ!」と烈は呟いた 兄達は烈を抱き締めた 翔が「レイが心配なの?」と聞いた 「違うわよ、やる気になってる母しゃんだからね、凛と椋を潰さにゃいか心配してるにょよ!」 あぁ…………成る程………有り得すぎて兄達は言葉もなかった 「まぁレイたんは昨夜熱出していたから、心配だけどね……今回は解放の儀だから主役は凛と椋よ! にーに、どんなにヨレヨレでもご飯食べさせて寝かせてね!」 烈が言うと流生が「解ってるわよ、烈」と言った 大空は烈に長瀬から渡された宿題を渡した そして筆記道具を渡すと、烈はそれを片付け始めた かなりの時間、静かに宿題を片付けて過ごしていた 兵藤と竜馬は飛鳥井の家に還って行った その場にいても仕方ないから、還って来たら即座に食事が出来る様に、と準備の為に帰ったのだった 夜、6時を過ぎると清隆が菩提寺の控室にやって来た 清隆は「まだ凛と椋の覚醒の儀は終わりませんか?」と問い掛けた 烈は祖父に抱き着き「まだにゃのよ」と訴えた その頃になると烈は宿題を終わらせて兄に宿題を託して待っていたのだった そこへ榊󠄀原がやって来て康太の姿を探した そしていないから「まだ出て来ませんか?」と尋ねた 翔が「まだ出て来てません!」と伝えると榊󠄀原は烈の方を先に片付ける算段で烈に向き直った 「許可を取ってしました! 明日、施工の入社式を終えたら直ぐに旅立ちなさい!」と言った 「父しゃんありがとう!」と烈は礼を言った 榊󠄀原は烈に「神の道を開きなさい!そしてその道を儀式の間に繫ぎなさい!」と言った 烈は呪文を唱えると、何も無い空間か開いた 烈がそこに入ると榊󠄀原は「少し待ってて下さい!」と言い烈と共に消えた 烈は「レイたん、そこへボクを呼び寄せて!」と思念を送った すると道が輝き導かれる様に歩くと……急に開けた場所に出た レイは烈の姿を見ると、飛んでいき抱き着いた 「れちゅ!」 榊󠄀原はヘロヘロのレイの頭を撫でると 「康太、式神の意識は覚醒出来ましたか?」と尋ねた 康太は愛する夫の姿を見つけ、レイ同様に飛んでいき抱き着いた 凛と椋はヘロヘロでその場に崩れ落ちた 康太は榊󠄀原から離れると「んじゃ、後は城之内に頼んで訓練させて貰うとして、今日はこの辺で終わるとするか!」と言った 榊󠄀原はヘロヘロの凛を抱き上げた 康太は椋を抱き上げると、烈が「覚醒の儀、見事完遂致しました!」と告げた すると儀式の間の襖がスパーンと開いた 清隆がその音を聞きつけ儀式の間の方へ行くと、ヘロヘロの凛と椋が康太と榊󠄀原に抱き上げられて出て来た 烈はレイと手を繋いで出て来た 兄達は「レイ、怪我はしてない?」と心配した そして凛と椋を渡して貰うと、怪我をしてないか?確かめた 椋はあっちこっち怪我をしていた 縫う程の怪我じゃないから、家に帰って手当しようね!と謂う事になり皆は飛鳥井の家に帰って行った 飛鳥井の家に還ると宴会の準備は出来ていた どう謂う訳か神野と小鳥遊も来ていた 須賀と相賀も来ていて、宴会の費用を払ったと言っていた 烈は手洗い嗽をして部屋着に着替えて客間にやって来ると、神野と小鳥遊と相賀と須賀に 「どうしたにょ?何かあったにょ?」と問い掛けた すると小鳥遊が「僕が横浜橋通商店街で買い物していたら、貴史と竜馬がいたから声を掛けたんだよ、そしたら宴会の材料を買いに来たと言っていたからね、便乗させて貰ったんだよ!」と説明した 烈は嬉しそに笑って「ばぁたん達呼びたかったな……」と呟いた 竜馬が「呼んでいるよ、撮影で少し遅くなるけど絶対に行くと言ってくれてるよ!」と知らせた 「りゅーま、ありがとう!」 「もぉ暖かくなって来たから小鳥遊さんがビールを箱買いしてくれたから、瑛兄さんも喜んでた 今日はあの大土鍋使うって言ってくれてたから、皆も楽しみにしてるんだよ!」 そんな話をしているも真矢と清四郎がやって来た 今は忙しく仕事している様だった 須賀が烈を見付けてやって来くると 「少し良いかな?」と神妙な顔で問い掛けた 「良いわよ、どうしたにょ?」 「烈が暇な時で良いから………我空と話をしてやってくれないかな……」と問い掛けた 「良いわよ、そろそろ来るかと想っていたから…」 「え?それはどうして?」 「大きな壁に突き当たるにょは我空だけじゃにゃいわよ!美怜だって今、超えるべき壁に突き当たって悩んでる筈よ! イメージを作り過ぎにゃのよ、カタにハメるからその枠から出れない仕事しか来ないのよ それで満足出来にゃいのなら、それは変えられない壁として立ち塞がるしかにゃいのよ!」 「あの5人は………国際大会のイメージから抜け出せないでいる……」 「抜け出せにゃいんじゃないのよ、抜け出さてにゃいだけよ、あのままじゃ………榊󠄀原真矢は遠ざかるしかにゃいわね……… 我空もランウェイ歩く事しか出来ない木偶の坊ね 来週、ボクが帰って来たら連絡入れるから、藤島流の家元の所へ二人を連れて来てくれるかしら? そしたら一人ずつ面談するわ!」 烈はサラッと言っているが、キツい一撃を食らわされ須賀は言葉もなかった 「須賀んとこの営業はダメダメな奴ばかりね………ボクね営業してる奴で凄い見てるにゃって想えるの柘植恭二だけだと想うにょよ 流石次期社長だって想うにょよ って謂う事で3社共同事務所も事務員、営業社員を研修に出すにょよ! 其の為に補充の社員を公募しておくにょよ! プロ意識も低いし、やる気も感じられにゃい社員は切り捨てるにょよ! 須賀も神野も今 分岐点に来てるわよ!」 とズバッと烈が言うと、いつの間に来たのか? 康太も「だな、少し見ねぇ間になんて事になってるのよ?ダラダラ仕事して給料高いから辞めないで勤めてるだけの木偶の坊しかいねぇなんてな 研修に行かせて鍛え上げて使える奴を育てる そしたら殻を破く仕事を取って来る営業とか出て来る筈なんだけどな……このまじゃ中から崩壊しそうだな………」とボヤいた 須賀は「私の事務所はそこまでダメですか?」と問い質した 「営業掛けてる奴いるのか?今一度調べてみろよ!そりゃ営業は掛けてるけど、イメージに合う役の枠から出る様な営業かけてねぇ時点で、その営業は自社のタレントに愛もなければ熱意もねぇ 終わっているって、そこだよ須賀! 烈はタレントを売り込む事もせず、既存のイメージの役しか与えてないから、ようやく出た芽も摘まれてしまうって言ってるんだよ! 榊󠄀原真矢の様な女優を育てたいなら、汚れ役だってやらせろよ!枠を出ない、それは次の篁を作っている様なモノなんだぜ! 篁は烈がヨニー©イギリスに修行に出して働かせ扱かれ、仕事に対してナメくさった意識を叩き潰しレッスンさせたから再生の道を辿れたが、他はそうは行かないぜ! 心が折れたらそこまでだ、折れた瞬間全てが終わる………そんな危う均衡を堪えて掴める人間なんて一握りしかいねぇ………それを忘れるな!」 須賀は康太の言葉に………事務所で働く社員を思い浮かべた 無駄口聞く事もなく働いてはいる………が、そこまでだった 営業も仕事を取って来る熱意のある者はいなかった……  須賀は痛感した顔になり黙った  烈はやはり須賀の心には康太の声しか響かないか…………と想うと同じ話を二人でする事もないだろうと判断して、立ち上がると竜馬の傍へ行ってしまった 【R&R】のメンバーも集まり鍋が出来上がるのを楽しみにしていた 康太は「烈の星詠みの力はオレの果てを読む制度より数段上だ! その烈が分岐点に来ていると謂うんだから、本気で取り組まねぇと………お前の事務所潰れるぞ! オレは分岐点に来てる奴しか視えねぇ だけど烈はその人の持つ運気も運勢も運命も全て詠む、その烈がお前の事務所の社員は糞だと言ってる、信じるか信じないかは?お前次第だ……… オレにはそれしか言えねぇ!」と言った 須賀はその場を離れてしまった烈を想い 「私は烈を怒らせてしまいましたか?」と問い掛けた 「…………あの場で話に割り込んだオレが悪いんだよ 烈はオレで事足りる話ならば、いなくても良いと判断したんだよ! 同じ話を二人で話したって仕方がねぇだろ? 別に烈は怒っちゃいねぇよ、アイツが怒る事なんて滅多とねぇよ! 自分が殺されそうになったとしても、相手を恨んだり怒ったりする奴じゃねぇからな アイツが怒るとしたら大切な存在を傷つけられた時だけだ!」 康太はそう謂うと烈の傍に行き  「烈、すまねぇ、オレが話に割り込んだから怒ったのか?」と話し掛けた 「母しゃん怒ってにゃいわよ! 須賀にはやはり母しゃんの言葉しか届かないのなら、母しゃんが定めを教えてやれば良いと想っただけにゃのよ!」と答えた 「オレにはお前みたいに緻密な箇所は教えられねぇから、烈が導いてやってくれねぇか?」 「まぁそれもイベント終わらにゃぃと無理なのよ ボクね設備会社を作るからね、今度はそっちに時間割かれるしイベントもあるしね」 「設備会社?それってあんだよ? オレはその話聞いてねぇんだけど?」 「エスカレーター着けるじゃにゃい その管理と修理を担うの外注じゃ費用かさむのよね、ってじぃしゃんにボヤいたら、なら作ろうか!と言ってくれたからね作るにょよ!ねぇ!じぃしゃん!」 傍にいた清隆に声を掛けると、清隆はニコニコして「私と玲香の資産を整理して会社に投入する事にしました!まぁ私が死しても財産分与するお金なんて有りませんからね 資産の総てが飛鳥井のモノですから、私個人のモノなんて有りません! だから預貯金や源右衛門から個人的に譲渡された土地を処分して作るんですよ!」と説明した 玲香も了承しているのか?ニコニコと笑っていた 康太は「それ………あんで話してくれねぇのよ」と拗ねて謂う 烈は笑って「だってまだ決定してにゃいから、話すまでもにゃいのよ! でも今話したから、母しゃんが盤上に上げてくれるにょよ!」と言った 康太は烈の頬を左右に引っ張ると 「ずっこいぞ!烈!」と言った 「いにゃい………」と涙ぐむと兵藤が「止めとけって!」と止めて烈を離した 兄達が烈の頬を撫でてやる レイが小さな手で烈の頬を撫でた 榊󠄀原が「鍋が出来ました!さぁビアグラスとビールを運んで下さい!」と謂うと子供達は慌てて動き出した 康太は「オレの子はずっこい!」と謂う 須賀はハラハラと心配していた 竜馬が「直人さん、心配しなくても烈は怒っていないっす!烈が怒る時は知らないうちに姿を隠すから、ほとぼり冷めるまで烈は捕まりやしません 今も此処にいるなば怒っていないんすよ! でも烈の話を聞かないならば、我等【R&R】は黙ってやしませんよ、それだけ覚えておいてくれれば良いっす!」と釘を差した 須賀は「解ってるよ、烈を蔑ろにしたりしないよ!唯ね、現実を見せつけられて言葉もなかった………だけなんだよ」と言った 「営業、飛鳥井に腕利きの営業と公報の鬼と謂われた男を烈がスカウトしたから研修に出したらどうっすか?それか一度見学に来たら違いが良く見えて来ると想うけど?」 竜馬が言うと兵藤も 「俺は今 烈の所で修行中の身なんだよ そんな俺だから言える事は、直人さんは世間知らずなんだよ、外を見て自分の事務所を見て知る事も大切だと想う! 飛鳥井烈の名を知らない者は多くとも、飛鳥井家 宗右衛門の名なら芸能界では飛鳥井家真贋と同列で轟いていると想うけど?」と言った 竜馬は「何かあるのかな?最近烈、宗右衛門をあまり出さないんだけど?」と心配して呟いた 入社式とかでは宗右衛門で話すが、他はなるべく宗右衛門は出さないでいた 兵藤は天界で力を使いすぎたんだろう……と想いつつ 「入社式控えてるからだろ? あんまし飛ばして宗右衛門だしてるとガス欠になからな! さぁ飲むぞ!竜馬!」 と兵藤は竜馬を引っ張って宴会の席に着いた 皆 ビールの美味しさに舌鼓を打ち飲んでいた 大土鍋の鍋も美味しくてビールが進んだ 皆が楽しく飲んで話していると、須賀が 「済みませんでした!」と烈の隣に座り謝罪した 「別に怒ってにゃいから大丈びよ 怒っているなら当分は誰とも逢わないからボク!」と言い笑った 「衝撃でした……」 「だろうね、にーに達少し動いてくれにゃかしら?」 隣りに座っていた兄達に烈は声を掛けた 流生が「良いわよ、ヘルシー定食で手を打つわ!」と言った 「ならヘルシー定食奢るわね! で、3社共同事務所の駄目な部分、見て来て報告して欲しいにょよ! 明日から数日、ボクは留守にするからね お願い出来るかしら? ケントとニックとリックを護衛に着けて、遼太郎も着けるから!」 翔は「2日位掛けて見て来るわね!」と約束してくれた 流生は「改善点は兄弟で話し合うわ!」と言ってくれ 音弥は「研修に出すなら何処が一番か見極めとくね!」と先を見つめて言い 太陽は「礼儀作法もちゃんと見るわ!駄目ならば藤島流で作法の修行に出すしかないわね!」と辛辣な事をいう 大空は「僕はその人の素質を見るわ!相賀さん、須賀さん、神野さん社員の名簿と基本データーと顔写真をお願いします!」と言った 烈は「ボクは数日留守にするけど、にーに達が僕の代わりをしてくれるから、受け入れてね! 拒めば………この先はない話となるのよ!」とキツい言葉を言う 神野は「烈、拒まねぇの解ってて言うなよ! 俺は康太や伊織や一生達やお前ら子供達が大好きなんだ、俺はその縁を簡単に切ったりしねぇからな!」と泣きながら言う 流生は「あ~あ、烈遣り過ぎよ!泣いちゃったじゃない!」と言った 「あきましゃ、泣かないのよ!」 烈は取り敢えず慰めた 「烈、意地悪言うなよ!」と泣かれた 竜馬は「烈、意地悪言うの禁止っすよ!」と神野を慰めつつ言う 「意地悪じゃにゃいのよ………困ったわね ほらほら、直たんも飲むのよ、楽しく飲まなきゃ…… ばぁたんに捕まったら説教よ!」 烈が言うと真矢はニコッと笑って 「そうよ、お酒は楽しく飲まなきゃ! 楽しく飲んでない子は誰?一晩中説教されたいのかしら?」と言う その迫力に神野は泣き止み楽しげにお酒を飲み始めた 清隆は笑って「流石女優ですな!迫力が違う」と清四郎と酒を飲んていた 清四郎は「最近の真矢は何時だって笑ってくれてるんです………ほんの些細な事にも笑っていてくれる程に落ち着いて来ています」と話した 清隆は「良かったですね、兄さんも最近は血色が良くなって来ましたよ!」と言った 笙家族の件で胃潰瘍になるまで悩んだ真矢を心配して清四郎も顔色が悪かった だが今は血色も良くなって来て、穏やかな顔をしていた 烈は「ばぁたん 元気になって来た?」と問い掛けた 「当たり前じゃない!烈のイベントに何としてでも出たいからね! 今は体力着ける運動したりしてるのよ! マンションの下のスイミングにも通い出したしね 清四郎と共に体力作りしてるんですよ!」 烈はそんな祖母の思いが嬉しくて笑っていた 飛鳥井の家に楽しげな声が響き、夜は更けて行った 翌朝 烈は朝を食べるとスーツに着替えて、誰よりも早くケントを呼び出して家を出て行った 烈は【R&R】のマンションに来ていた 庭に放った天使と話をして、マンションの中へ入って行く 昨夜、烈がメンバーに朝早くマンションに行くから、と話をしていたから泊まらずマンションへと帰って来ていたのだった 竜馬も兵藤と共にマンションへ来ていた 竜馬の部屋を兵藤に貸して、竜馬は烈の部屋で泊まっていた 烈がマンションに来るとメンバーは全員リビングにいた 「おはようにゃのよ あのね、今日行く場所の話をするわね 魔界と謂う所は、亜細亜圏の地獄を統括して死者を管理して輪廻の道を辿らせる場所にゃのよ 本当に何も無い無駄なモノはない、娯楽もない場所にゃのよ りゅーまは一度ボクと共に魔界へ行ってるにょよ 人の出入りは一切禁止されているけど、閻魔大魔王様が許可すれば入る事も可能な場所にゃのよ と、一応事前情報だけは入れとかにゃいと、行き成り魔界はハードル高いからね」 と事前に皆に話をした イーサンは「竜馬は『死した後お前が還る場所』と言った 人は死したらそこへ逝くのは解る、だが還る場所とは?」と確信を突いて来た 兵藤は「それも魔界へ逝けば全部解るさ、俺も逝くからな、崑崙山からは俺が乗せて行ってやるさ!」と言ってくれた 烈は「え?良いにょ?兵藤きゅん?」と信じられない想いで言う 「おー!任せておけ!んじゃ入社式に行こうぜ! 入社式が終わったら此処へ来るからな、少し待っててくれ!」 と兵藤はメンバーに言った そして慌ただしく施工へと向かった この日は竜馬と兵藤は烈と一緒にケントの車に乗って移動した 飛鳥井施工株式会社は新社屋に移転していた 5階階建てのビルで一階はカフェレストランになっていた 飛鳥井建設の社員食堂にいる武藤と梓澤が知人に声を掛けてくれ、カフェレストランを開いたと謂う経緯だった パッと見 カフェにしか見えないが横に上に行くエレベーターや階段が上がる小さいホールがありがあり、2階上がると直ぐに受付がお出迎えしてくれる 2階には商談室や来客用の部屋があり、ホテルのラウンジみたいな寛ぎの空間がそこにあった 3階が事務関係の課がブースに分かれて作られていた その中に営業のブースもあり、テキパキ指示を受け動いて活気付いていた 4階が社長室、宗右衛門の部屋 副社長室 秘書室と食堂があった 5階は入社式やイベントが出来る様に吹き抜けのホールになっていた そこで入社式は行われる事になっていた 施工の社長は最近 南雲建設の社長の口利きで、施工の名人として名を馳せた邑田庄三郎がなった 副社長は飛鳥井凛太郎が残留して行く行くは社長となる予定だった 【R&R】のメンバーは監査役員として名を連ね各々施工の株を購入し株主に収まっていた 正しいカタチになりつつ在る施工だった 飛鳥井建設と施工は子会社と謂うカタチを取っているから本社から会長と社長が入社式には出席する! 奇しくも社長となった邑田は清隆と学友で仲が良かった経緯もあった そして始まる施工の入社式 烈は控室で宗右衛門の着物に着替えて入社式に出席していた 新入社員達は面接の時にいた烈の姿を見ると、気を引き締めた 施工も入社前説明会で、飛鳥井家と謂う特殊な家系の説明をされたばかりだった 孝太郎が壇上に上がりマイクを持つと 「此れより新入社員の入社式を行います!」と開始を告げた 新社長の邑田はマイクの前に立つと 「入社おめでとう、だが君達は飛鳥井施工株式会社の社員に今日、此時よりなったのだから日々努力を重ねて、なるべく1日も早く育ってくれる事を期待している!私からの話は以上だ!」 と言って後ろに下がり座った 物凄い迫力に新入社員達は言葉もなかった 親会社 飛鳥井清隆が新入社員に言葉を掛け、社長の瑛太も祝いの言葉を述べた 滞りなく入社式は執り行われた ラストに孝太郎が「相談役 宗右衛門、社員に御言葉をお願いします!」と言うと烈は演説台の前に立った 宗右衛門の着物を着て迫力の烈は新入社員を見て宗右衛門の声で 「入社おめでとう 主等は此処が始まりで、此れよりは修練を積み経験を積み重ね技術と技を活かし生き抜いて行かねばならぬスタート地点に立った事となる! 我が社に入ったからには、甘えず傲らず日々を過ごして貰いたい! 此処が主等のスタートととなる、努力した者こそが先に行け、怠けた者は先はない分かれ道となる! 日々努力してこの乱世を生き抜いてくれる事を望む!儂からは以上じゃ!」 と言うと一礼をして後ろに下がった 物凄い気迫に新入社員達は言葉もなかった 此れで入社式は終わった 新入社員達は部署の責任者に連れられて部署へと散らばって行った 烈と邑田はそんな新入社員達を見送り 「半分生き残れれば上等か?」と宗右衛門が言った 邑田は「半分以下になる様に扱いてやるさ!」と嗤った 「程々にな」 「嫌、任された限りは己の持てる限りの技を伝授してやる! 俺はまだまだ現場に出るぜ!其の為の凛太郎と孝太郎なんだろ?」 「主が現場に拘る以上は、事務仕事は凛太郎と孝太郎がやるじゃろうて! なれば主は次代を誇れる職人を育ててくれ!」 「あぁ任せとけ!宗右衛門! あ、建築の方にも儂の職人仲間入れてくれたか?」 「あぁ、昨日から現場に出て特別顧問として入り、職人を鍛え上げてくれてるじゃろうて! 主等は建築、施工のプロじゃからな、次代にその技を継承して貰えるのは有り難い事じゃからな」 「世の中は何でもかんでも機械に頼りやがる まぁ良い機械があれば使えば良いが、最後は己の腕と技術が生かされる事を知らねぇからな! 時代は代わり建築や施工の技術も技も変わりつつあるが、そこを知らねぇ奴が多過ぎる! 儂は孫に誇れるじぃじでいてぇからな、一花咲かせてやるさ!」 宗右衛門は笑って、その場を離れた 烈は控室でスーツに着替えると施工の会社を後にした 兵藤と竜馬がその後を着いて施工の会社を後にした 駐車場に出ると清隆と瑛太が烈を待っていた 瑛太が「お茶して帰りましょうか!」と謂うから烈は喜んで「良いにょ?時間あるにょ?」と問い掛けた 清隆は「大丈夫です、還ったら倍働きますから!」と言った 瑛太は「カフェに入るので着いて来て下さい!」と言い車に乗り込んだ 瑛太が清隆を乗せて車を走らせると、烈と竜馬と兵藤はケントの車に乗り込み、その後を追い掛けていった 近場のカフェで車を停めると、ケントもその横に車を停めた 皆でカフェに入りお疲れ様、と労り飲み物を頼む 烈はメロンソーダを頼み、メロンソーダが来ると飲み始めた そして祖父と叔父に「ボクね週末は少し留守にするにょよ!」と告げた 清隆は「康太から伺ってますよ、京都へ旅に出るとか?」と康太が家族に無難な事を告げた事を知る 「そーにゃのよ、中々イメージが出ないからね、旅行に行ってそれを痛感しようとなったにょよ でもね、行き先は昔ながらの僻地だからね、お土産とかは買えそうにないにょよ それだけが残念にゃのよね…………」 烈が悲しそうに謂うから瑛太は 「お土産なんて要りませんよ 烈が元気に還って来てくれたらそれだけで良いんですから!」と言った 清隆も「そうです、何処へ行こうとも元気な顔を見せてくれるならば、それだけで良いのです!」と言った 烈は「元気に還って来るわね!」と祖父と叔父に約束した カフェでお茶して清隆と瑛太と分かれると、烈はケントに「【R&R】のマンションの前までお願いね!」と言った ケントは烈達を【R&R】の前まで送って行くと、車から下ろした 烈は「数日間ボクは留守にするから、その間にーに達の護衛お願いね!」と謂うとケントは 「了解した!」と言い車を走らせて待機所へと向かって走って行った 烈達はマンションに入ると、リビングに行き 「さぁ行くわよ!」と言った メンバーはずっと待っていた 魔界とやらへ行くんだから、とスーツケースに荷造りして持っていた だが烈はその光景を見て「着替えは2枚、リュックに入れて持って行くのよ!」と言った メンバーは慌ててスーツケースを部屋に置きに行き、リュックに着替えを2枚入れて戻って来た 皆が揃うと烈は神の道を開いた

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