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第58話 愛は深く 想いは強く ❹

康太も………こんな強烈な負のラビリンスを放てるのは、中国古来の呪術師しかないと想っていた 「ならば烈、この件は地獄界が一枚噛んでいるって事なのか?」 魔界でさえ……地獄界が一枚噛んでいるのか?と謂われてるから、ついつい用心して問い掛ける 「それは解らにゃいのよ! 軽率な判断で動けば……界界戦争へ発展しちゃうからね! それこそが狙いにゃら、乗っちゃダメにゃのよ! どの道今夜崑崙山に行くにょよね? ならばそこで現状を明らかにして話をすり合わせるしかにゃいのよ………」 「だな、でも問題は須賀が何処でそのゾンビと出逢った?と言う事なんだよな?それも調べねぇとだろ?」 「それはスケジュールを時系列にして詳細を照らし合わせにゃいと何とも言えにゃいのよね……」 「ならば翔達に須賀のスケジュールを出させて、時系列に詳細を出させる事にするか?」 「そうね、直くんはボク達が還るまで飛鳥井にいて貰い、にーに達にスケジュールを提示させて疑わしい所をピックアップさせて貰うにょよ!」 「お前達、それが出来るか?」 康太は翔達に問い掛けた 流生が「頑張るわよ!母さん!」と謂うと兄弟達は頷いた 「なら、次は烈だな、幾ら非常事態だったと謂えど、限界超えて無理しろなんて言ってねぇよな? 早くしなきゃってのは解るが、だが負のラビリンスを破壊する呪文なんて今の小さいお前じゃ負荷が大きいって何で思わなかったのか? 下手したら命を落とす事だってあったかも知れねぇんだ、今後はオレを呼ぶか?伊織を必ずや呼べ!良いな!」 「解ってるわ母しゃん………でも少しでも早く消し去りたかったにょよ……放っておいたら……ガッくんだけじゃにゃいのよ? 神野や相賀も飲み込まれちゃうから早くって想ったにょよ……」 「烈…………」 見捨てておけないのが烈なのだ 眼の前で不幸になる者がいれば、即座に烈は動いて助けようとするだろう……… そう謂う優しい子なのだ 「それでもな、オレ等はお前一人に無理させて黙っていられる訳ねぇんだよ! お前の兄達だってそうだぜ! お前のサポートに日々当たってくれているって事を忘れるなよ?」 「解ってるわ母しゃん………ごめんなさい……」 兄達は優しく烈を抱き締めた 兄達の優しさに護られる 小さな頃から兄達は弟の為に骨身を削り支えてくれたのだ 「にーに………ごめんね」 大空が「本当に烈は突っ走るからね、流ソックリで困るわね!」とボヤいた 太陽も「流もね見てないと無茶ばかりするしね、そんなに似なくても大丈夫なんだよ?」と弟の頭を撫でて謂う 流生は唇を尖らせて「そんな事謂わなくても良いじゃないか!」と拗ねた 翔が「流、無茶しちゃう弟見てさ、自分が如何に無鉄砲だったか?解るんじゃない?」とズバッと正論を言う 流生は烈を見た 烈は流生を視た そしてニコッと笑って流生に抱き着いた 流生はバツの悪い顔をして 「…………解ってるよ………次からは気を付けるわね………」と言った 兄弟は笑って烈と流生を抱き締めた 本当に仲の良い兄弟だった 康太と榊原はそんな我が子を嬉しそうな瞳で見ていた だか兄達は既に戦闘モードに入っていた 音弥は「烈、何日位遡れば良いのかしら?」とスケジュールを何日先までチェックすれば良いか問い掛けた 「最低でも一ヶ月はチェックお願いにゃのよ あの術式はそんなに経ってなかったから、2、3週間位のラビリンスだったけど、念の為に一ヶ月は何処へ行ったか? 誰と逢ったのか?擦れ違ったか?これが重要にゃのよ それを防犯カメラをチェックしながら擦り合せしてくれると嬉しいにょよ!」 「解ったわ!なら防犯カメラ手に入れないとね!」 音弥が言うと大空が「彼処の警備会社はARЯK警備保障だったわね、なら烈は防犯カメラが見られる様に話だけ通しておいてね!」と頼んだ 烈は即座に暦也にラインして「三者共同事務所の一ヶ月分の防犯カメラ見せて欲しいんだけど? 出来るかしら?」と送信した 即座に暦也から『持ち出しは出来ねぇから会社に出向いて貰わねばならねぇけど、見せるのは出来る!』と返信した 烈はそのラインを両親に見せ 「こんな返事だけど……どうする?」と問い掛けた 榊原は「防犯カメラを見に行く時は僕達が付き添うので、今夜はスケジュールの擦り合わせになさい!相手が判るまで下手な事は避けねばなりませんからね!」と言った 烈は納得して携帯をジェラルミンケースの中へ入れた 今夜は崑崙山へ行くから携帯3台をジェラルミンケースの中へ入れ両親の部屋で保管して貰うのだ ある程度カタが付けば、竜馬や烈は自分の携帯を持てるが………今は知られれば即座に抹消する為に使い捨ての携帯にする必要があるからだ 兵藤は「今夜は俺も逝くからな!」と言った 康太は「あぁ、ならばお前は誰よりも冷静な立場で矛盾点をチェックして教えてくれ!」と頼んだ 「了解した、だけどさ康太、神野と相賀が飛鳥井で待ってる時に皆で食べようとデリバリー頼んでくれたからな、それを先に食べようぜ!」 「あぁ、そうするとするか! あ、烈は当分消化の良い食べ物しか駄目だって久遠が言ってたからな! 当分は朝 久遠に診察を受けてからのスタートとなる事になるな!」 「……少し無茶しちゃったからね…仕方にゃいわね」 と肩を落としながら言う烈が可愛そうで竜馬は 「もぉ、烈は……俺が和華ちゃんに消化の良い超ヘルシー定食頼んどいてやるからな! 超ヘルシー定食は毎日奢ってやるから元気出せ!」と励ました 竜馬は烈を抱き上げて客間へと逝く 客間には飛鳥井の家族が揃っていて、皆チビチビ飲んでいた 瑛太は烈を見て「烈!大丈夫なのですか?」と心配して立ち上がると竜馬から烈を受け取り清隆へ渡した 清隆は烈を受け取り、玲香と共に「大丈夫なのですか?」と心配して抱き締めた 烈は祖父母に抱き締められニコニコと笑っていた その夜は皆でデリバリーを食べながら須賀はお泊りとなった 神野や相賀もオマケでお泊りとなり、皆で仲良く飲んでいた 康太と榊原と烈と兵藤は、10時前には部屋へと戻り、飛鳥井の家の屋上から崑崙山へと朱雀の背に乗って向かった 時空の風に乗り朱雀は崑崙山を目指して飛んでいた 快調に崑崙山へと着く頃、ガブリエルも天界からやって来て「後からオーディンもやって来ます!」と言った 朱雀は康太と榊原と烈を下ろすと人に戻った ガブリエルが地上に降り立つ頃、何処からともなくオーディンが愛馬を走らせやって来て、馬車から降りた 八仙が康太達を出迎えると、屋敷の中へと招き入れた 屋敷の中には既に神髄師が八仙の屋敷の中にいた 烈はその横に座ると、康太達は適当にソファーに座った  神髄師は烈に「頭の状態はどうじゃ?」と訪ねた 「まだ無理すると負荷に耐えられにゃい時あるけど、ほぼほぼ前と同じ様になって来ているわ!」 「それは良かった! また続けて薬を飲むのじゃぞ! さすれば必ずや完治するであろうからな!」 「うん!頑張って飲むわね! ありがとうね、何時も!」 神髄師は微笑みを浮かべて烈の頭を撫でた 烈は八仙に「八仙、じぃさんがデカブとデカボを持って来てくれるって言ったけど……来てにゃいのね?」と訪ねた 八仙は「素戔嗚殿ならば直ぐに来られるであろうて!皇帝閻魔殿を迎えに行っておいでだからな!」と告げた 烈は「あぁ間(はざま)へ迎えに行ったにょね ならトキちゃんも来るわね!」と言った そう話してると皇帝閻魔が素戔嗚尊と聖鳥 朱鷺と共に八仙の屋敷にやって来た 重い荷物を八仙の家に入れると八仙は喜んで荷物を受け取っていた 流石と此処までの大人数は座れそうもないから康太は 「裏のお前んちに広い応接間あるやんか? そこへ移って話し合うとするか!」 と提案し移動する事にした 烈の屋敷の周りは花々が花を咲き良い香りに包まれていた 神髄師は「こんなミストの濃い場所でこの様に花々が咲こうとは………」と唖然と呟いた 烈は「四神の山で育てて咲く可能性があるのを、じぃさんが植えてくれているにょよ!」と言った 烈の屋敷に入ると、そこは大きなソファーがあり、その大きなソファーに皆が座った 榊原が皆に烈特製の紅茶を淹れに行き、皆の前にティーカップを置くと、話し合いを始めた 烈は榊原に「父しゃん、魔界で起きた事、人の世で起きてる事、総て地獄界が関与しているかも知れない事を皆に話して下さい!」と言った 榊原は烈とクロスの畑の作物を盗んだ神三軆が地獄界の神 羅刹天様の指示だと話した事 そして康太と烈の共有の知人が巨大な負のラビリンスを掛けてられて、それを破った事等を話した あれだけの負のラビリンスを掛けられる術師は倭の国では考えられない 可能性の話をするならば方士か道士ではないかとの可能性が出て来た事等を総て話した 真髄師はその話を黙って聞いていた ガブリエルは「地獄界の領域侵犯でしょうか?」と不安げな声で………可能性の話をした オーディンは「落ち着かれよ!ガブリエル! 不用意な事を言えば天魔戦争再びの様に、界界戦争へ発展する可能性もあると想われよ!」と窘めた ガブリエルは「済みませんでした、軽率な言葉でした………」と謝罪した 烈は「ねぇちんずいし的にはどう思う?」と真髄師に問い掛けた 神髄師は「何故儂に聞くのじゃ?」と問い掛けた 烈はニコッと笑って「それは貴方が三清が一人 元始天尊であられるからにゃのよ!」と言った 神髄師は驚いた顔をして「八仙か?」と訪ねた 烈は首を振った 「八仙は余計な事は謂わにゃいわよ! 桃源郷に住める存在は最高位の【神】位のモノなのよね、にゃら誰だろ?と星を詠んだのよボクは!母しゃんは一目視ただけで誰かは解っていたわよ!」 「あぁ烈殿は七賢人八賢者の弟子であられたな そして烈殿の母上は皇帝炎帝………その人であられるならば、その瞳には総てが映されておいでだったな………ならば儂は地獄界の神の一人として言わせて貰うとする! 地獄界は魔界とは適度な距離、適度な存在、適度な秩序を保ち今後も共に死者を管理して逝きたいとの考えである! 儂は崑崙山へ来る前に本国の地獄界へ顔を出して八仙から聞いた羅刹天に誑かされた一件を伝えた 羅刹天本人はそんな事を指示した事は一切ないし、地獄界から出た事はないと申している それを裏付ける様に指示して調べた詳細を提示致します!」 と言い神髄師は証拠の数々をテーブルに乗せた 素戔嗚尊はその証拠を隅々まで見て 「ならば奴等が申しておった【羅刹天様】と申す者は偽物と謂う事でよいのか?」と問い質した 「我等が魔界へ入れば、要らぬ軋轢も出て来よう それ故、この崑崙山へその罪人を連れて参ってくれぬか?さすれば羅刹天本人を連れて逝く故 そこで擦り合せをするとしようぞ! 羅刹天は本国を一度も出た事のない神じゃ、その上人嫌い神嫌い故……その姿は地獄界の神すら存在を掴んでおる者はおらぬ その羅刹天を崑崙山へ無理矢理連れて参る故、本当に羅刹天が申したのか?確かめられてはどうじゃ?」 神髄師が言うと康太は「だな、下手な軋轢は不要だかんな、確かめさせて貰えるならば真相はハッキリさせねぇとな! それは羅刹天を確認するとして、負のラビリンスを放てる奴って知ってるか?」と聞いた 「負のラビリンスか……そのラビリンスは確認は出来ぬか?見ねば術式が解らぬからな!」 烈は「にゃらおでこ貸して下さい!」と言った 「おでこ?どうするのじゃ?」 「念写よ、思念を直接送るわ!」 烈がそう謂うと神髄師は烈におでこを近付けた すると烈はそのおでこにピッタリおでこをくっつけて思念を送った 烈から送られてくる映像は頭の中でハッキリした映像となり、神髄師の頭上でその時の情景を知ら示した 「これは………」 神髄師はかなり大きな負のラビリンスに言葉をなくしていた 康太は「めちゃくそでけぇ負のラビリンスだろ? こんなん放てるのは盤古位のモノだろ?」と言った 盤古…………それを言っちゃう?と烈は想った 神髄師は「儂を疑っておいでか?」と尋ねた 盤古真人は謂わば元始天王と呼ばれた元始天尊その人を指すからだ 康太は嗤って「疑っちゃいねぇよ!烈を消し去りてぇ奴が、烈を助けてくれる訳がねぇかんな! 誰よりもこの地球(ほし)の和平を願っているのは元始天尊だと我等も知っているしな!」とキッパリ言った 神髄師は「ならば何故その様な物言いを?」と謂うしか出来なかった 「だが現実として、其処までの負のラビリンスを放てる存在がいるとしたら? それは太元を神格化した道教神学中の最高神と並ぶ三清が一柱 元始天尊その人しかいねぇ だがオレ等は真髄師として崑崙山へ来ている貴方がそんな事をしない事を知っている! ならば?何処でそんな力が存在するのか? まるでコピーした様に創ったのか?と疑うしかないこの現状に悪意しか感じられなかった 多分……貴方の骨をベースに創った傀儡しかない 原始の焔にこの地球(ほし)が焼き尽くされる事を、ニブルヘイムの創世記の泉の雨が降らされる事を知っている奴が隠して避難させていたに違いねぇって考えている ニブルヘイムが神聖剥奪に動くのを見越して、ドサクサに紛れて世に放った そしてまさにソイツが須賀直人に近付き負のラビリンスを解き放った と、我等は考えている この件に地獄界は一切関与してねぇ!違うか?」 「儂の骨で傀儡を創ったと申すのか…………じゃがそう謂われれば辻褄は合う……墓が暴かれた形跡はないか?帰還したら即時に調べさせよう! 儂の傀儡ならば、本人が自ら手をくださねばならぬな!炎帝殿、我等にも情報提供をお願い致す! 我等と天界や魔界と平和協定を結び、この果ての世界では切磋琢磨して逝かねばならぬと議会では話が出ておる………儂はその道筋を着けに参った 今回の話し合いで地獄界の果てを考えて逝かねばならぬ……」 榊原は神髄師に「ならば貴方は総て聞かねばなりませんね!」とテスカトリポカと謂う神がこの蒼い地球(ほし)を壊滅に追い遣ってる現状 そしてテスカトリポカが烈を狙っている理由 ニブルヘイムを狙っている理由を話した そしてニブルヘイムは本体を捨てて今は烈の傍に転生を果たした事も話した 神髄師は静かに話を聞き「レイがニブルヘイムであったのか………」と呟いた 烈と一緒に何度も崑崙山へやって来て、一緒に他愛も無い話をして一緒にお茶した事のあるレイがニブルヘイムだと謂うのか? 信じられない想いで一杯になった ニブルヘイムが皇帝閻魔とガブリエルと共に何処かへ行き敵と闘った話は地獄界にも轟いて来ていたが、其処までの詳しい話は伝わっては来てはいなかった 神髄師は覚悟を決めた顔をして 「一度 地獄界へ来ては下さらぬか? 無論オーディン殿やガブリエル殿烈殿やレイ殿、そして炎帝殿と青龍殿もお頼み申し上げます! 世界が足並みを並べ烈殿とレイ殿を御守りすると謂うなれば、我等地獄界も足並みを揃えるべきであると判断致した! 我等地獄界だとて5年の猶予は知っておくべき話である! 地獄界の皆に桃源郷の皆にその話をしようと想う 其の上で我らの身の振り方を皆に唱え一致団結せねばと思っている所存じゃ!」 オーディンは「万が一儂等に刃を向けたら此の世から消してやる、それが許されるならば行ってやろう! まぁ烈とレイに刃を向けたらと更地になると想え 天界は更地となり【天地創造 開闢の書】で再び創り変えられた そうなりたくなきゃ………レイは絶対に護れ、烈を絶対に護れ!二人のどちらかが傷付けば確実に更地にされるぞ! まぁ儂はラグナロクの戦士を呼べば全滅狙えるとだけ申しておこう!」と物騒な事を言い嗤った 神髄師は姿勢を正すと 「我等地獄界も変わらねばならぬ……と近年の魔界を見ていて実感させられているのじゃよ! 地獄界は一昔前の魔界じゃよ………まぁ領地は魔界よりは広いから獣は多いがそれさえも枯渇しつつあるから、烈殿の品種改良の技術を此処に来て聞いているのじゃよ! 種は規定がある故譲渡はされなんだが、烈殿が大豆の様な雑草から始めた品種改良の日々の話を聞きながら、努力を積み重ねた結果を知り我等もそれに続こうと日々努力しておるのじゃよ! 我等は戦など願ってはおらぬ! 今後の為にも平和協定を締結させて良好な関係を築き上げたい!」と言い、深々と頭を下げた 康太は「兄者を呼ぶべきだったな……」と呟いた この場に閻魔が出れば、魔界の総意と思われてしまうから遠慮して貰った だが此処まで話が具体的になるならば、閻魔に話さねば勝手には決められない 素戔嗚尊は「閻魔は知っておる!崑崙山へ烈と共に来て真髄師を紹介した後 何度も話をしているからな!まぁ雑談ではあったが互いの理念や考えは話され知っている それ故、閻魔は出る事を避けられたのじゃよ! 自分が出る事により地獄界と魔界の諍いが決定打となる事を避けられたのじゃよ!」と話した 兄者らしくて康太は兄の想いを痛感していた 康太は「ならば何時羅刹天に逢わせてくれるんだ?」と具体的な話をした 神髄師は「崑崙山の入り口に待たせている故、直ぐにでも可能です!」と答えた 素戔嗚尊は「ならば呼べば即時に罪人を閻魔の鬼に連れて貰える手筈は整っている故、即座に呼ぶとしようかのぉ〜!」と言い屋敷の外に出ると 【来るのじゃ!四鬼!」と大声で叫んだ! そして涼しい顔で「直ぐにでも来るじゃろう!」と言った ガブリエルは耳を押さえて「何ですか?今の声?」とボヤいた 神髄師も外に出ると「今直ぐに来られよ!羅刹天!」と大声で叫んだ ガブリエルは気絶しそうだった クターっとなったガブリエルに烈は慌ててポッケからパケを取り出し、赤い実を一つ取り出すと手渡して「食べるのよガブたん!」と言った ガブリエルは烈から受け取った赤い実を疑う事もせずお口に放って食べた モグモグ食べたガブリエルは「あ、意識がハッキリして来ました!ありがとう烈!」と礼を言った 康太は烈から手渡された赤い実を疑う事もなく食べたガブリエルを目にして、二人の信頼関係を感じていた 素戔嗚尊は赤い実を目にして「気付けの実であるな!」と呟いた 康太は「気付けの実?それは何よ?」と問い掛けた 「気付けの実とは烈が試験的に作っている木の実じゃよ!一粒食べれば気絶した者も意識が戻る実でな、烈はそれを幾つか持っておるのじゃよ! 魔界に来れば、魔界中をアルくんで視察に回っておるからな、具合の悪い者とかの為に幾つかの薬草や実を持っておるのじゃよ!」と話した 神髄師は「儂にも一粒下され!」と言った 烈は一粒神髄師に渡した 「これは持って行って参考にさせて貰ってもよいか?」 「構わにゃいのよ! ボクの頭の治療をしてくれたからね! ボクが出来る事にゃら恩返しするにょよ!」 「烈殿………」 「デカボ持って還ってね! デメロンよりもメロン味のデカボにゃのよ!」 「ありがとう、八仙と分けて持って還らさせて貰うよ!」 「八仙はまたじぃさんが持って来てくれるから、全部持って還って大丈びにゃのよ!」 「ならばその発音を治す漢方を是非作らさせて貰うとする!」 「良いにょ?」 「あぁ、日々工夫して改良して必ずや作ると約束しよう!」 「天ちゃんと呼んでも良い? ちんずいしは呼びにくいにょよ!」 「あぁ好きに呼んで下され! ならば儂も烈と呼び捨てにしようではないか!」 「そうね、その方がもっと仲良くなれた気がするわね!」 「そうであるな、今日はレイ殿は一緒では御座らんのじゃな!」 「レイたんはお留守番にゃのよ でもボクの眼で視てるから来たも同然にゃのよ!」 「眼?………それは?」 神髄師は少し困った顔で問い掛けた 榊原は「羅刹天様との顔合わせの後に話しますので暫しお待ちを!」と言った 四鬼が罪人を連れてやって来ていたからだ 気配を感じて外に出ると四鬼が罪人を連れて八仙の屋敷に入る所だった 「此方へお願いします!」と榊原が言うと四鬼は罪人を率いて榊原の傍に向かった 時を同じくして羅刹天も八仙の屋敷へとやって来た 羅刹天は神髄師を目にすると、傍へ近寄り………足を止めた 「皇帝閻魔………何故貴方が?」 皇帝閻魔は「呼ばれたから各方面の責任者や関係者が来ているのですよ!」と答えた 「関係者?ならば其処のちっこいのも関係者だと申すのか?」と小馬鹿にした様にフンッと言った 榊原は烈の前に出ると罪人と引合せ 「此の方が地獄界の羅刹天です! どうですか?お前達の前に現れた羅刹天と同じですか?」と問い掛けた 罪人は「羅刹天様で間違いないです!」と申した 羅刹天は「我は魔界へは一度も参った事はない! 其れこそが諍いの炎に火を焚べる様なモノではないか!」と言い放った もう一人の罪人が「そう謂えば纏っている気が違う…………」と言った 羅刹天と寸分違わず同じだが、気だけが違う 神髄師は「ひょっとして………傀儡ですか?」と呟いた 康太は「その可能性はあるな!帰還されたら墓所の中の骨を確認されたらどうだ? 地獄界にはテスカトリポカが創った傀儡の話は行ってなかったのかよ? 白の聖教団とかの話題は行ってなかったのかよ?」とボヤいた 羅刹天は「その話は来ておったし、傀儡を調べ白の聖教団なるモノは潰した 各国と同じ様にと足並みを揃えてやって来た筈だ ……なのに我の歹を使って我を創ったと謂うのか? 我等は………何処かで他国を莫迦にしておったのだな……そんな事に時間を掛けて莫迦みたいに想っておった じゃが蓋を開ければ………既に我らのコピーが作られて勝手に動いておると申すのか? 万が一、我等だと信じた他国が仕返しを始めたとしたら?それは天魔戦争再びとなる火種となる! それを狙ったとしたら………相手は我等の上を行く天才としか言い様がないではないか!」と絶望した声で内心を吐露した 神髄師は「そうならぬ為に動くのじゃよ羅刹天よ!我等は闘いなど望んてはおらぬ! じゃがこうして我等が崑崙山へ来ている隙を狙って魔界との全面戦争など仕掛けてみろ! 地獄界は更地になるしかない! 天界が更地になった様に………地獄界も更地になるしかない!」と話した その時 その場にいない筈の声が 「良く解っているではないですか! 烈に何かすれば確実に更地にしてやります!」と言った 榊原は来ちゃったか……と顔を覆った 素戔嗚尊は「レイ、一人で来たのか?」と抱き上げた レイは冷酷な残酷な笑み浮かべ嗤っていた 「烈に何かした瞬間 消し去って差し上げましょう!」と言った 素戔嗚尊は「レイ、よゐこはそんな言葉を口にしてはならぬぞ!」と窘めた レイはうるうるの瞳で「れも……れちゅ……」と泣いた 烈はレイに手を伸ばした するよ素戔嗚尊はレイを烈の傍へ下ろした 羅刹天は「何故此のような場に子供が?……こんな小さなお子をこの場にいさせる理由を聞かせて貰えぬかな?」と言った 康太は四鬼に「この者達は連れ帰り牢屋に入れておいてくれ!」と言い烈の屋敷に入る事にした 烈とレイは手を繫ぎ歩き出す 兵藤はそんな二人を見守りながら屋敷の中へ連れて行った 榊原は神髄師と羅刹天を屋敷の中へと案内し、お茶を入れ替えに行き、新しいお茶を皆の前に並べた 神髄師は「そちらの二人は今 地獄界の方にも保護対象として名が上がって飛鳥井烈君とレイ君です!そして神の名を聖神、ニブルヘイムと申す御方だ!」と紹介した 皇帝閻魔と聖鳥朱鷺は世界軸の間の揺れに、その場にいるだけだった だが少しずつ元に戻り皇帝閻魔は 「やっと話せる感覚に戻りました!」と言った トキも「だな、やっとこさ戻ったぜ!」と謂う 羅刹天は「この鳥は?」と問い掛けると榊原が 「オリンポス十二神が一柱 ヘルメース殿の聖鳥 朱鷺殿です!」と紹介した 羅刹天は「聖鳥…………そんなのが存在するのか? 其れよりも何故皇帝閻魔殿が?冥府の干渉ですか?」と問い掛けた 皇帝閻魔は「違います、この地球(ほし)の為に角界の責任者が来ているのですよ! 冥府からは私が来た、それだけです!」と何でもない風に言った 羅刹天は天界のガブリエルやオーディンを目にして、皇帝閻魔に関して何か謂う事を止めた だが聖鳥 朱鷺?それは地獄界の伝記でも読み解いた事があるとオリンポス十二神が一柱の神に仕えた聖鳥であると読んだ記憶があった 「聖鳥朱鷺?それはギリシャ神話の中の存在なのでは?」 信じられなくて謂うとトキは怒り気味で 「失礼な!我はヘルメースの傍にいる存在! 神話の中の存在にするな!」と文句を言った 「オリンポス十二神は消滅した! なのに聖鳥だけが残る事なんて皆無だろ?」 「ヘルメースは烈の中で生きている! 消滅したなんて言うな!」 トキは涙を流し鼻水を垂らしながら叫んだ 素戔嗚尊はトキの涙と鼻水を拭いてやり、そっと抱き締めてやった 兵藤は「ヘルメースは烈の中で生きている! だから聖鳥 朱鷺が烈の傍にいるんじゃねぇか!」と言った 榊原は烈の魂が冥府の闇の狭間に落さるれ消されそうになった話をした その時 烈の魂を救ったのがヘルメースで、烈とヘルメースは同化して今も烈の中にはヘルメースが共に生きている だからテスカトリポカから付け狙われて、まともに学校さえ通えないし、何度も何度も命を狙われている事を話した 羅刹天は「ならば地獄界も烈殿とレイ殿を護る事になるのであろう?ならば我は我の手で偽物の自分を消すと決めた!」と言った 皇帝閻魔は「冥府も足並みは揃えています!ニブルヘイムを失う事は………皇帝炎帝の対の存在を失う事となる!それはさせてはならぬからな!」と言った 羅刹天はニブルヘイムを見た 「烈殿とレイ殿は何故小さいままなのじゃ? 元は神だと申すならば、神の姿はどうなさったのじゃ?」 烈は「ボクは神の姿は捨てたにょよ!何もかも要らなかったからね…………」と言った レイもニブルヘイムの声で 「私もニブルヘイムの姿は捨てました! 何もかも要らなかったので元の姿は捨て去りました!創造神が力までは捨て去る事を許さなかったので、前より性能の良い眼と力を与えられましたけどね!だから神の姿になどなれはしないのです!」と言った 「レイたん羅刹天にお水を!」 烈がそう謂うと皆の顔色が驚愕の色に変わった ニブルヘイムは呪文を唱えると 「闇に染まってますね! ついでなので皇帝閻魔とトキも浄化しますかね?」と言い霧雨を降らせた 家の中で霧雨……… 烈は「この家壊れにゃいかしら?」と家の心配をした 兵藤は「大丈夫だろ?」と安心させた 霧雨に濡れると皇帝閻魔と朱鷺は黒い涙を流し始めた 羅刹天も同様に黒い涙を流し………神髄師は言葉を失った 霧雨は神髄師も濡らしていた だが神髄師は平気だった 烈は「天ちゃんはボクのフルーツ食べてるからね大丈びにゃのよ!」と言った 創世記の泉から溢れた水で潤された畑の作物を食べてるから平気だと教えた 羅刹天は手元に零れ落ちる涙で自分も黒い涙を流しているのを知った 皇帝閻魔は「烈、レイありがとう、身体が軽くなりました!」と礼を言った 烈は「皇帝閻魔、間の浄化は少し止めるにょよ! も少し経てばボクとレイたんも行けるし、母しゃんと父しゃんが行けるからね! そしたら一度で片付けてしまうにょよ!」と言った 「それは助かるよ、あの間にいると……目眩が酷くて直ぐに思考停止になって頭痛も酷くてね、1日のうち数時間しか入れなかったんだよ! それなのに元に戻るのはその倍必要になるからね…………」 トキは「なら還って良いのか?素戔嗚殿の所へ?」と泣きながら問い掛けた 「還って良いわよ!還ってじぃさんと宴会すると良いわよ!」 「烈は?」 「ボクは人の世でやる事があるにょよ!」 「ならたまには逢いに来てくれよ!」 「解ってるわよ!トキたん!」 レイはニコニコ笑ってトキを撫でていた 「レイ、熱はどうなった?」 「らいじょうびよ!」 「そうか、無理するなよ!」 そんな会話を羅刹天は黙って見ていて……… 「レイ殿はそちらの方のお子として転生されたのか?」と問い掛けた そちらの方と謂われた兵藤は「え???」と固まった 烈は笑って宗右衛門の声で 「彼は朱雀神、神であられる! 容姿など些末な事よ! まぁ人として親子なのか?と聞かれれば、そうだと申そう!じゃがニブルヘイムが誰の子か? それは然程必要ではない、存在していればそれだけでよいのじゃからな!」と笑って言った 羅刹天はその言葉の重さに言葉もなかった レイは烈に抱き着いた 康太は「ならば魔界の方へは地獄界は一切関与しておらぬ!と告知する! 地獄界の方も魔界と多分軋轢を抱かせ空中分解を狙っているとしたら、今後何かあったとしたら魔界の者の仕業とか言い出しそうだからな その都度、擦り合せして行くとしようぜ!」と言った 神髄師は「それで宜しいかと!我等地獄界も足並み揃えねば、中から空中分解を狙われるであろうから、その都度解明して行く所存です!」と言った ガブリエルは「天界は天空神3神を頂点としておりますので、天空神が判断を下す所存! 地獄界の方も近い内に天界へお越し下さい! もう前と同じ天界では御座いません! 聖神とニブルヘイムが天界を更地にして天地創造 開闢の書を用いて作り直してくれたのです!」と内情を話した 羅刹天は「一度天界へ行かさせて戴きます! 我等はこの蒼い地球(ほし)の為に明日を繋げねばならぬ存在! 切磋琢磨して果てへと繋いで行きましょう!」と口にした 皇帝閻魔も「冥府は公平中立の立場は崩しはしません!ですがこの蒼い地球(ほし)の為に協力して逝く所存です!」と言った 八仙は「我等はこの地球(ほし)を護る為に今を紡ぎ明日を繋ぐ為に共に行こうぞ!」と誓いを立てた 互いの行く先の擦り合せを確認し、話し合いは終わりを告げた  ガブリエルとオーディンは天界へ帰還し、皇帝閻魔も冥府に還った 神髄師は烈から貰ったデカブとデカボを荷台に置いて馬車を走らせ羅刹天と共に還って行った 話し合いを終えると康太は兵藤に 「烈とレイを連れて還ってくれねぇか? オレは閻魔にこの件を話しておかねぇとならねぇかんな!」と言った 兵藤は「うし!ならば俺はこのちっこいの二人を連れて帰るとするわ!」と言った 康太と榊原は愛馬を呼び出して、素戔嗚尊とトキと共に閻魔の下へ走って行った 兵藤は庭に出ると朱雀に姿を変えると、烈とレイを背中に乗せて天高く飛び立った 康太と榊原と素戔嗚尊とトキは閻魔の執務室の近くに降りると、愛馬から降りて共に執務室を訪ねた 閻魔は3人と聖鳥を見ると「話し合いはどうでした?」と問い掛けた 榊原は話し合いの詳細を詳しく話した 羅刹天の傀儡と元始天尊の傀儡によるモノだと伝えた 罪人が確認し気が違うと申したので多分傀儡の仕業かと………と詳しく話した 閻魔は「ならば近い内に平和調印式をやらねばなりませんね! 今 世界は混乱と内戦を巻き起こし悉く世界の平和調印を反故にしていますからね………せめて天界、欧州、地獄界だけは強い絆で乗り越えたいですね!」と言った 「兄者………熾烈な骨身を削る戦いの火蓋は落とされた………後は足掻いて足掻いて足掻きまくるしかねぇんだよ! 其の為に烈は金龍を鍛え上げさせて武道場なるモノを建てて力のない者も自分の命は自分で守らせる為に力を尽くしているんだよ! もうじき金龍は帰還して来る、一番良いタイミングで金龍は魔界へ帰還する! 烈は今その時を狙っているんだよ! オレがゴリ押しして龍族の道を作ろうとしたけど、烈は龍族の進むべき道を指し示し、魔界でのポジションを確立させようとしているんだ それも此れも総ては青龍が帰還した時に成り立つ完璧なリソースを描いているんだよ! 其の為に今必死に骨身を削って烈は道を創っている、オレ等は烈の努力を無にしねぇ為に明日へ築く為に努力をしねぇとならねぇんだ!」 「金龍はそろそろ帰還しますか………」 「だろ?順調に力を着けて来ている 今は太極拳の習得に日々を費やしている  なんでも『あまちゃんが習いたいからね、ちゃんと習って還るにょよ!』と烈が釘を差しているらしくてな、金龍は頑張って太極拳を極めている その日の為に母者はジャージを烈に頼んで作らさせている最中なんだとよ!」 その話を聞き閻魔は「ジャージ?あの伸縮性のある糸から作るヤツですかね?」と最近の母上のハツラツした姿を思い浮かべていた 閻魔は「何だか最近母上は楽しそうです………昔では想像もつかなかった程に若返り元気になって来ています!それも烈が色々と母上に気を配ってくれるから………」と感慨無量な感じで閻魔は言葉を詰まらせた 素戔嗚尊は「昔の姉上なれば………儂の屋敷になど来はせなんだが、今は気楽にお見えになられて本当に嬉しそうに孫やちっちこいのを大切にして下さる………本当に嬉しい事この上ないな!」とトキを撫でながら話す トキも「あまちゃんは優しい!」と嬉しそうに言った 素戔嗚尊は「倅と孫が還る魔界を命に変えても護ると儂は決めておる!其の為ならば何でもする! あ、そのジャージは儂も作って貰い建御雷神と3人で太極拳を習うのじゃよ!」とトドメを指した 康太は「伯父貴がジャージ??そんな日が来ようとはな………」とボヤいた 閻魔は笑っていて、真顔になると康太に向き直り 「あ、そうだ、康太は天羽々斬剣と言う剣が今何処にあるか御存知ですか?」と尋ねた 「天羽々斬剣?伯父貴の剣?何故今それを探している?」 「この前レイが何処にあるか探して!と言って来たのですよ!」 「伯父貴は聖槍持ってるやんか………」 「草薙剣は烈に与えてしまったので、この先を見据えたら剣も必要よね?と謂われたので、そうですね!と答えてしまったのです………」 「伝記の剣だかんな何処かの神社に祀られているんじゃね?」 「祀られていたら手に入りませんよね? レイは諦めてくれますかね?」 「無理だろ?あのレイだぜ? 烈の為ならば神聖剥奪に行っちまうレイだぜ? 止めるだけ無駄ってもんだろ?」 「烈の為ならば行きそうですね…困りましたね……」 「まぁ当分は烈は忙ししいし、レイは本殿儀式の間の三通夜の儀式があるかんな、それどころじゃねぇだろ?凛が何としてでも完遂するぞ!と熱くなっているからな、今は日々鍛錬してる最中だかんな!」 素戔嗚尊は「レイは本当に優しいよゐこじゃ!何時だって儂を気遣いお手伝いしてくれる! じゃからレイに無理せずともよゐと伝えてくれぬか?その想いだけで十分じゃと伝えておくれ!」と言った 康太は「きっと伝えるかんな!ならオレ等は還るとするわ!今は目が回る程に忙しいかんな!」と言い立ち上がった そしてさっさと歩き出し後手を振って出て行ってしまった 康太と榊原を見送り素戔嗚尊はトキと共に屋敷へと還って行った 閻魔は今は心穏やかに時を過ごしていた この先大変な事態に突入する事があったとしても、我等は絶対に負けはしない! 皆が力を合わせて乗り越えられる明日が必ずやあると信じていた 烈とレイは朱雀の背に乗り飛鳥井の家に還って来た 人の世は明るくなりつつある朝だった 烈は「兵藤きゅん疲れてにゃい?」と心配して問い掛けた 兵藤は「少し疲れたけど大丈夫だ!」と話していると流生が花の世話にやって来て弟とレイを見て 「烈、レイ、兵藤君 おはよう!どうしたの? こんなに朝早く?」と心配して問い掛けた 兵藤は「少し用があって出掛けていたんだよ!」と流生の頭を撫でて話した この頃ますます一生に似つつある姿になって来た 慎一の子の和希と和真と並べば兄弟?と想われる程に似て来ていた たが横顔は戸浪海里にも似ていて、亜沙美と一生のDNAを受け継いでいるのが伺えられた そこへ康太と榊原も帰還して来た 榊原は「お花の世話ですか?流生」と話し掛けた 「はい、そうです!」 「烈、レイ、朝を食べて出掛けるまで休みなさい!」と言い榊原は康太と共に部屋へと向かった 烈とレイは自分達のお野菜と花のお手入れして水をやっていた レイは「もうじき しゃきそーね!」と嬉しそうに「さいた、さいたぁ」と歌っていた 流生もレイのチューリップを見て「そうね、暖かいから咲きそうね!」と言った 「ちゃめ とらにゃきゃ!」 レイは榊原に作って貰ったキッズ携帯でお花を撮るのが好きだった 「僕も写メ取らさせてね!」 「りゅーにー れい うれちぃ!」 レイは笑って流生を見ていた 流生はレイの頭を撫でて嬉しそうに笑っていた 花の世話が終わると烈とレイと流生は自分の部屋に戻り、着替えて洗濯物をネットに入れて洗濯室に持って行った後に掃除を始めた 掃除が終わると朝を食べに行き、食べ終わると洗濯を干し何時も通りの朝の家事を済ませていた 何時もの家事を終えると烈はスーツに着替えた 午前中は会社へ顔を出し、社内を見回り宗右衛門の部屋で仕事を一つ熟し、昼を食堂で食べて【R&R】の方へ取り掛かるつもりだった 鳳城優花里の来日の日程が決まった 思い立ったら即座に動きたい優花里は 「オリヴァー!何としてでもチケットを取りやがれ!!取ったら即時に教えやがれ! 俺は荷造りして倭の国に行ける様に荷づくりしてるからな!」と脅しにも近い圧を掛けオリヴァーにチケットを取らせたのだ その優花里は既に機上の人で、あと数時間で着くと謂う 朝 父から携帯を渡され、宗右衛門の部屋でメールのチェックをする為中を見たら 『倭の国へ逝くからな!』と書かれ搭乗する時間を送って来ていた 烈は慌てて竜馬と兵藤に、優花里が来日して来る事を伝えた 「優花里を迎えに行き、マンションまで乗せて来てね!ボクが行くとトラブルになるから………ボクはマンションで待ってるにょよ!」と言った 竜馬は「了解!優花里をマンションまで連れて来れば良いんすね!」と言った 「母しゃんか父しゃんが行ってくれるからね そしたら神野達を呼んで今後の話をしにゃいとダメにゃのよ!」 「なら烈は神野達に連絡して連れて行ってからの手筈をするっす! 俺と貴史は優花里を連れに逝くっす!で何時に到着する予定なのさ?」 「もうね来るんじゃにゃいかしら?」 「早く言ってよ!烈!」と竜馬はボヤき、兵藤と共に走って宗右衛門の部屋を出て行った 烈は副社長室へと行き、ドアをノックした 榊原はドアを開けると烈を部屋の中へ招き入れた 「どうしたのですか?」 「優花里が来るにょよ!」 「何時来るのですか?」 「もう直ぐマンションに来るにょよ!」 「え!そんなに早く?」 「思い立ったら即時に動いちゃうにょよ!優花里は………」 「何か烈の周りにもそんな女性ばかりなのですね めちゃくそ男前じゃないですか!」 ついついボヤく 「ボク………男前の女の人しか知らにゃいのよ…… にゃんか……自分が蹂躙されても聖神に手を絶対に出すんじゃねぇぞ!とボクを護ろうとした……そんな女性しか知らにゃいのよ……」 こんな事を話すのは初めてだった 榊原は烈を優しく抱き締めた 「康太の周りも男前しかいませんから大丈夫です!それより優花里をおもてなしせねばなりませんね!彼女は何が好きなんですか?」 「ガード下のおでんよ! 極秘で何度も来日して来てるからね優花里は……… 何時の間にか神威と仲良くなりガード下のお友達になっているにょよ!」 「神威………呑兵衛仲間増やし過ぎでしょう!」 とボヤきつつ榊原は「ならば僕と康太が優花里の部屋を案内をします! 烈はお昼を食べてから来なさい!」と言った 「ならボクは神野達を呼んで今後の話をするわね!」 「それが良いでしょう! それでは康太、少し出ますよ!」 榊原が言うとソファーからモソッと起き上がった康太が「おー!優花里か……疲れそうだな」とボヤきつつ副社長室を榊原と共に出て行った 烈は宗右衛門の部屋に戻り神野に「今直ぐに病院の横のマンションまで来て欲しいにょよ! 鳳城優花里が来日して来たから、今後のレッスンのスケジュールとか擦り合せが必要にゃのよ!」とラインで送った 相賀からは『直ぐに行くよ!烈!』と返信があった 神野も『直ぐに行くからな!』と返信があった 須賀からは流生から『須賀を連れて僕達も行くからね!』と返信があった 烈は連絡を終えると食堂へ向かいヘルシー定食を頼み食べ始めた 静かに食事をしていると、今年入った女性社員の一人が「烈さんって【R&R】のリーダーなんですよね?メンバーは会社には来ないのですか?」と猫なで声で話しかけて来た 烈は無視して食事をしていた なのに女性社員は「今度のイベント、社員達は優先席とか用意されていないのですか?」と前に座って勝手に話し出した 「烈さん【R&R】のメンバー紹介して下さいよ!楽屋とかに招待して貰いたいですぅ〜」  不愉快極まりない女性社員だった そこへ城田がやって来て「邪魔だ退け!」と女性社員に言った 瀬能と愛染が烈を庇って立つと、女性社員は城田を睨み付け、その場を去った 城田は「何なんですか?あの女は?」と問い掛けた  「【R&R】目当てであわよくはってヤツにゃのよ!」と言った 「総務に中途入社の試用期間の社員だよな? 後で陣内に言っておかないと駄目だね」 「まぁ試用期間だからね、半年の間に己の立ち位置を確保してにゃいと切るつもりだからね 頑張って貰いたいものにゃのね!」と烈はわざと大きな声で話をした 中途入社の社員達は気不味くて落ち着かない思いをしていた 「馴染むか?馴染まないか?努力するか?しないか?それだけにゃのよ!」 愛染は「それだけが結構ムズいんですぜ!烈!」と言った 宗右衛門を出し烈は食堂にいる社員に向かい 「何故飛鳥井が中途入社の社員を取ったか? 今一度考えられたら、どうなのだ? 飛鳥井は新卒の社員だろうが、中途入社の社員だろうが試用期間を設けておる! 試用期間と言うのは限られた期間に己の力を会社に貢献出来ると知ら示しめ持てる限りの力で社内に馴染み仕事をせねばならぬ期間なのじゃよ! それをクネクネ下品に【R&R】のメンバーとあわよくばとか、社員だから優先席で見れないか? 等と言っておる暇などないはすじゃ! その様な愚か者はこの先の飛鳥井に不要! 飛鳥井建設と【R&R】は無関係で在る! 今後 此の様な事態がない事を願う!」 そう言い食器を返却口に返すと社員食堂を出て行った 城田は怒り狂っていた 愛染も瀬能も怒り狂っていた 今まで飛鳥井建設の社員として築いて来た絆を揺るがさんばかりの事態に怒り狂っていた 地を這う様な低い声で城田は「二度と巫山戯た事を烈、いいや飛鳥井建設 相談役 宗右衛門に謂うな!解ったな!」と吐き捨てた 温厚な城田しか知らい社員達は城田の怒気に息を飲んだ 愛染も瀬能も毛を逆撫でしてる猫みたいに威嚇していた そこへ珍しく飛鳥井蒼太と恵太兄弟がやって来て 恵太が「城田、そこら辺にしとけと烈から伝言です!」と言った 蒼太は「空気が悪くなったから烈から飴の差し入れだ!各部署に飴の袋を配布しといた! それでも舐めて午後からの仕事は笑顔でやり過ごす様に!との事です! 我が甥 烈の伝言ですから、皆さん笑顔を忘れたらいけませんよ!」と笑顔で言った 蒼太はポッケから飴を3個取り出すと城田と愛染と瀬能に渡した 「ほら、これ舐めて指揮を下げるんじゃないよ!」 蒼太に言われ飴を貰い破いて飴をお口に入れて舐めると甘い味が口一杯に広がった 城田はニコッと笑って 「では午後からのお仕事頑張りましょう!」と言った 蒼太と恵太はホッとして珈琲券を烈から貰っていたから、それで珈琲を頼み飲む 城田の部署の社員達は「蒼太本部長と恵太チーフが一緒にお茶なんて珍しいですね! お二人は兄弟なんだってこうして並ぶと実感させられますね!」と声を掛けて来た 恵太は「康太と悠太は弟で兄は社長なんてすけどね!」と苦笑した そこへ瑛太も社員食堂へやって来て 唐揚げ定食を頼み蒼太と恵太の横に座った 「そう、兄弟なんですよね 全然遊びに来てくれない兄弟なので、私は嫌われているんじゃ?って想った程です!」と瑛太が笑って謂う そこへ清隆もアジフライ定食を持って来て横に座った 「私の愛すべき子達です!」と言った そして「烈が今食堂に行くと蒼ちゃんと恵ちゃんとお食事出来るわよ!と教えてくれたんですよ!」と内情を話す 蒼太は嬉しそうに笑って「烈は本当に優しくて嬉しいサプライズしてくれるんです!」と言った 久しぶりに父と兄と食事をする こんな時間 滅多と取れなかった 瑛太は優しい顔をして兄弟と話をしていた 清隆も嬉しそうな顔をして、我が子と食事をしていた 社員達はそんな仲良しな家族を見ていた 城田は「本当に飛鳥井の家族は仲良しだな!」と言った 蒼太は「僕は愛する弟 康太と康太の子供達と一緒にいられる時間が好きです その烈が父と兄との時間をくれました! とても嬉しいです!」と本音を吐露した 恵太も「康太の子はどの子も優しくて可愛いからね! 僕も大好きだよ、そして烈がくれたこの時間がとても嬉しいな………父さん、兄さん、ありがとう」 と言った こんな時間を作ってくれてありがとう 本心から言った 優しい時間が流れていた だがそんな時間はあっという間に過ぎて行くのだった 食事を終えると社長と会長は食堂を出て行った 蒼太と恵太も食堂を出て行くと皆は息を吐き出した 飛鳥井の家族は結構威圧感が半端なくあるのだ そんな社員の内心を知らない烈は宗右衛門の部屋で薬を飲んでからケントの車で会社を出た 飛鳥井記念病院の横のマンション入り口に到着すると神野達が待ち構えていた 須賀は翔達が付き添い来ていた 烈は「マンションの下にいるわ!」とラインを送ると即座に返信が来た 『なら7階まで上がって来い!』との事で、烈は神野達を引き連れてエレベーターに乗った そして7階に到着すると榊原が待っていてくれた 「優花里さんが暴れて………大変でした」と疲れた顔して言った 榊原に連れられ部屋に入ると優花里はストレッチをしていた そして烈を見ると走って烈を抱き締めてスリスリ始めた 「おー!プリちぃーな烈、元気だったか?」 「ぼちぼちよ!」 「オッサンかよ?で明日からレッスン出来るぜ!」 「その前にね、ガッくん知ってるでしょ?」 「おー!美味しそうなケツした子だな!」 「あの子にパートナーを紹介して欲しいにょよ! 身元が確りしていてサポートに徹してくれる挿れれる方の男ね!」 「おー!うちのスタッフの中から選んでやんよ! 何か?スキャンダルでも出しそうだったのか?」 「そうよ、揉み消して直くんの資産食い尽くされる寸前だったにょよ!」 優花里は顔色を変えて「それでどうなった?」と問い掛けた 「まぁ死ぬ程の想いをさせてやったから手は引いたわよ!」 「マフィアでも使ったのか?」 「それは知らにゃいのよ 暦也が追い詰めて調理してくれたにょよ! まぁ美味しくにゃいけど片付けてくれたにょよ!」 「ソイツは知らねぇけど片付いたならば良い 売出中の奴がゲイでしたなんてスキャンダル出したら致命的だからな………んとに軽率だな! ビシバシ鍛えてやんよ! で、その我空は何処にいるんだよ?」 「菩提寺で早朝は修行して、昼まで藤島流で所作の稽古して午後から優花里のレッスンを受ける事になるにょよ!」 「なら明日の午後から楽しみだな!」 そう言い、優花里はニャッと嗤った 「我空は俺のパートナーに芸能界で生きる常識を教え込んで貰うしかねぇな!」 「エリック・トンプソン?」 「この俺と付き合えるのは、亡き夫の他ならばソイツしかいないやんか!」 「あのさ優花里は美しいにょに俺はダメにゃのよ ニューハーフかと思われちゃうわよ?」 「気の合う奴の前でしか言わんから大丈夫だろ?」 「にゃら大丈びね!」 烈と優花里の会話を聞いていた竜馬と兵藤は、大丈夫なのかよ?と想った 想ったが口には出さない! だって文句言えば倍になって返って来るからだ 烈は神野や相賀、須賀と共に今後のスケジュールを立て始めた 康太と榊原は兵藤に優花里の部屋のキーを渡し、会議をする時は志津子に部屋を借りろ!と言い会社に戻って行った 烈は優花里に榊原真矢と榊 清四郎を使った時のイベントの内容を話した それに竜馬が補足を入れてPCを取り出し映像にしてイメージを見せた 「この後ろで踊る奴は花の精にでもなった勢いで仕込まねぇとな!」と言った 「メンバーのは近々出来上がるからね そしたらそれに合わせて振り付けも選んで欲しいにょよ!」 「了解した!で、榊原笙はどうやってトレニングするよ?当日まで内緒っぽいよな?  ならばどうする気なんだ?サプライズなんだろ? 大好きな祖父母へのサプライズか、俺も腕に縒りをかけてやるぜ!」 「笙は神野が疑う事なくレッスンさせているから、その人にメニューを伝えてやらせるつもりにゃのよ!」

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