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第63話 苦難 ❷

クーは烈とレイを口に咥えると、時空を駆けて行き人の世に着いた クーは烈とレイを病院のある屋上へ置くと、小さな白い猫になり久遠の所へ走った にゃーにゃー泣きながら久遠の所へと走って行く 病院の関係者は突然入って来た猫を捕まえようとした だがすばしっこく走り回り、久遠がその猫を目にすると、クーは久遠の背に飛び乗り小声で 「烈とレイが気絶したから屋上まで連れて来たから見てやってくれ!」と伝えた 久遠は即座に病院のスタッフと共に一旦外に出て、マンションのエレベーターに飛び乗り屋上へと向かった 屋上で倒れている烈とレイを見ると、久遠は即座に抱き抱えて病院へと連れて行った そして検査をして個室へ入院させた 弱っているレベルの数値ではなく、過労死一歩手前までヨレヨレの数値に久遠は手早く処置をして個室で寝かせたのだった クーは飛鳥井建設までひとっ飛びして康太の前に姿を現した 「炎帝、烈とレイが入院した! 手続きとか頼む!」 とクーが話すと康太は「お前も喋れるんだな、ならばどうして入院したのか?経緯を話してくれ!」と言った クーは魔界での事を詳細に話した そして復活の儀を天高原で行い、気絶したと伝えた 「兄者は?どうなった?」 「それは知らぬ、神名を明かして原始の血を吸い込み再生したであろう! 新たな命を吹き込まれたも同然なんだから、もう大丈夫だろ? また大丈夫じゃなきゃ、気絶までした烈とレイが報われねぇじゃねぇかよ! 儂は烈とレイの為の存在だからな、烈とレイを優先させて貰った!」 「ありがとうクー! お前がいてくれて本当に助かった!」 「ならば儂は烈の傍へ行くとする!」 そう言いクーは姿を消した 康太は「まさか兄者が狙われるとはな………烈は閻魔が崩御した後を考えて………再生の儀をやったんだろうな……まさか烈が再生の儀まで出来るとは想いもしなかったな…………」と呟いた 榊原は言葉もなかった 炎帝なれば……もし此処で閻魔の魂が消滅したとしたら? 今後一切魔界の為に動く事はしないだろう……… 榊原はそんなそんな自分の考えを吹き飛ばす様に 「再生の儀はそんなに難しいのですか?」と問うた 「最高位クラスの呪文だからな………転生の儀とかのレベルじゃねぇんだよ! その者を再生し生かす儀式だならな人じゃねぇ神を相手にする儀式なんだよ! 消滅してしまう神に対しての儀式だからな それ知る者も今の魔界じゃ聖神だけだろな…… 兄者は八雷神の一柱の転生だったのか……母者の血が濃く出た証拠だな………」 そんな大変な儀式をしたと謂うのか? ならば気絶しても当然か……と榊原は想った だが現実は猶予のない現実が待っているのでは? 「今宵………金龍と黒龍のお披露目があるのでは?」 と呟いた 「それな、今夜は無理だろ………でも時を見誤ると手遅れになるしかねぇからな………烈の意識が戻るのを待つしかねぇな オレは魔界へ行ってくるわ!」 「ならば僕も龍になり君を乗せて行きますとも!」 康太は瑛太に内線で電話をした 電話に出た瑛太に「烈が入院したらしいから、どんな様子なのか見に出るわ!」と言った 『伊織も一緒ですか?』 「あぁ、烈の入院は内緒にしてくれ! 家族にはイギリスへ行ってる事にしてあるからな 頼むな瑛兄………」 『行ってらっしゃい!烈を頼みますよ! 宗右衛門を欠いて明日の飛鳥井は成り立ちませんからね!』 「解ってんよ瑛兄!」 そう言い康太は電話を切ると副社長室を出た 屋上に上がると榊原は龍に姿を変え、康太は青龍の背に乗り魔界へと向かった 烈は限界まで力を使い果たし、意識を手放した レイも体の小さな者がやる儀式じゃないのにやったから、力を使い果たし気絶してしまっていた 予定は詰まっているのに…………こんな所で寝てられない! 烈は何とか起きようとした が、それを止めたのは神威だった 「寝てろ!無理して起きてもぶっ倒れるぜ!」 「とぅしゃん……でも今夜………」 「釈迦が1日だけ時間を遡ってもよいと言って来たからな、もう少し寝てろ! そして体調を整えたら金龍達を導いてやってくれよ!それが魔界の為になるんだろ?」 「そーね、それが正しき道へ逝ける最善策にゃのよ………なのに………こんな事されたら黙ってはいられにゃいのよ!」 と、歯を食いしばり呟いた 神威は「それも体が治ってからにしろ!さぁ今は眠れ!」と言った 烈は父に言われて目を瞑った すると意識を失う様に眠りへと落ちて行った その頃 康太と榊原は魔界にいた 建御雷神の屋敷に顔を出すと、怒りまくった建御雷神と素戔嗚尊が閻魔を睨み付けていた 康太は「兄者は魔界を終焉に向かわせる気だったのかよ?」と問い掛けてソファーにドザッと腰を下ろした 閻魔は「次代の雷帝を゙亡くす訳には逝かない………我が子をみすみす死なせる訳にも逝かない…… 一人目の子は………天狗になり離れ離れになり今は釈迦の所で修行を積んでいる 今後も閻魔とは関わりのない者にしかならない!と宣言され蓮華は悲しんで泣いていた そして今度の子まで亡くせば………蓮華は壊れてしまうでしょう………私はそれが耐えられなかった だけど烈とレイを亡くしても………魔界は成り立ちはしません! この魔界は聖神の恩恵で成り立っていると言っても過言ではない 彼の日々の努力がこの魔界を発展させてくれた 私が弱かったから………こんな事態を招いてしまった………」と深々と頭を下げ謝罪の言葉を口にした 康太は「再生の儀はあんな小さな子供がやって良い儀式じゃねぇんだよ! 命と引き返しにても文句が言えねぇ儀式なんだよ!今の魔界で再生の儀が出来る存在は烈しかいねぇ!そしてその手は2度は使えねぇ! 神名は其々の神に一つしかねぇからな!   だから兄者、頼むから軽率な事は辞めてくれ!」と敢えてキツい事を言った 「解っておるよ………再生の儀は父者も母者も知らない儀式だと帰還して教えてくれた あんな呪法………古来の神だとて使えばせぬな!と母者は申していた………七賢人八賢者の弟子なれば知るのであろうが………あんな小さな体では気絶して当たり前だと謂われた 其れ程に……無理をさせてしまったと後悔しています!」 「兄者、蓮華と雷帝は人の世で過ごす事にしろ! 我が家のちっこいのでさえ、知らない人には着いて行かない!落ちてるモノは拾わない!を徹底してる 幾ら気に入ってしても殴り倒してでも離すべきだった!無知過ぎるんだよ! 今 魔界は烈が考案したカリキュラムで一般常識から魔界の歴史まで学んでるんだろ? ならば魔界のどの奴らよりも無知で愚かになるぜ!」 素戔嗚尊は「閻魔よ、主は命を分ける事が愛だと勘違いしておらぬか? 八仙や釈迦で埒が明かないならば、何故儂に話をせなんだ? そしたら烈に聞く事だって出来た筈だ!」と言った 康太は「大歳神はどうしたのよ?」と問い掛けた 我が子を愛する大歳神なれば、我が子と合わせて魔界に来そうなものなのに? 素戔嗚尊は「倅は今、人の世に烈を見舞いに行っている!釈迦が1日だけ時間を巻き戻して魔界へ戻してやると約束してくれたからな それを伝え、烈の様子を見に行っているのじゃよ!」と答えた 「ならさ、伯父貴、閻魔に一般常識から教えてやれよ!どうやら兄者はズレてるかも知れねぇからな………蓮華はオレが還る時に一緒に来い! 夏海も今 人の世にいるからな、この機会だ一緒に過ごしたらどうよ? 其処で一般常識から学んで行けば良い!」 康太が言うと蓮華は深々と頭を下げ 「宜しくお願い致します!」と言った 康太はニャッと嗤うと「さぁ伊織、兄者に常識を叩き込んてくれよ!」と言った 榊原は「こんな事なら烈にテキスト作って貰っておくべきでした!」とボヤいた そして榊原、素戔嗚尊、建御雷神の長い長い………説教……もとい、一般常識の勉強が始まった 康太はヨレヨレになった兄を見て笑って 「そろそろオレ等は還るするか! 烈も気になるからな!」と言った 榊原は「建御雷神殿、素戔嗚尊殿、当分はこの世間知らずの坊っちゃんを叩き込んでやって下さい!」と言い、蓮華の手を取り応接間を出て外に出ると龍に姿を変えて人の世に飛んで行ってしまった 蓮華は不安そうな顔をしていた だが康太は榊原に「会社の屋上で良い、車に乗り菩提寺に蓮華を連れて行くかんな!」と言った 榊原は「なら会社の屋上を目指します!」と言い時空の波に乗って人の世に渡って行った そして屋上へ降りるとエレベーターに乗り込み、地下駐車場へと向かった 榊原は「先に病院へ行きますか?」と問い掛けた 「だな、蓮華に雷帝を見せねぇとだし、烈とレイも気になるかんな!」 榊原は自分の車に康太と蓮華を乗せると、車を走らせた そして病院へ到着すると来賓用の駐車スペースに車を停めた そして病院の中へ入ると、個室へ行くエレベーターに乗り込んだ 目的階に到着すると、エレベーターは止まり外へと出た ナース・ステーションに行き看護師に、烈とレイともう一人の子の病室を聞く すると3人は同じ個室に入ってると教えてくれた ナースに聞いた個室をノックして中へと入ると、神威が寝ていた 烈もレイも雷帝もちっこいベッドを運び込まれ寝ていた 康太は我が子の頬に手をやり「無茶するんじゃねぇよ………」と呟いた 榊原はレイの無事を確かめ頭を撫でてやった 頑張った子には最大限の愛て持って労る それが飛鳥井の家族達の想いだった 蓮華は我が子の傍へと近寄り………顔を見た そして我が子に触れようとするとすると 「触れるな!」と烈の声が響き渡った 康太は「烈?」と名を呼んだ 烈はベッドから身を起こすと 「雷帝の中へは釈迦に入って貰った! 主は八仙にも釈迦にも聞きに行ってはおらぬ! 我が子を殺すつもりだったか? 強いては閻魔を殺すつもりだったか?」と問い掛けた 蓮華は「滅相も御座いません!」と申し立てをした レイもニブルヘイムの声で 「おかしいと想ったんですよ! ヨチヨチ歩きの子供でも落ちてるモノは拾うなと親が躾ければ拾いはしない 貴方は敢えて拾わせた、嫌、与えた! 違いますか?」と吐き捨てる様に言った 蓮華は冷酷な瞳を烈とレイに向け 「何故そう思われるのですか?」と問うた 「総てがおかしいから!」 ニブルヘイムが言うと天井に張り付いていたクーが蓮華を押さえる様に飛び降りた そして呪文を唱える 「悪しき魂は地獄の業火に焼かれて消えるがいい!」と謂うと蓮華は苦しみ出した 康太と榊原は出口を塞ぐ様に立っていた 烈は「ガブたん浄化して!そしたら釈迦が蓮華の中へと入り精神を元に戻して封印をしてくれるから!」と叫んだ するとガブリエルが姿を現して蓮華を浄化の光で包みこんだ 釈迦は姿を現すと康太と榊原に「炎帝、青龍、蓮華をソファーに寝かせて下され!」と言った 榊原は蓮華を抱き上げるとソファーに寝かせた 釈迦は「天上天下唯我独尊!」を唱えると蓮華の中へと入り精神を保護してプロテクターを張り巡らした クーは蓮華の中から悪しき黒いモノを咥えて引きずり出した 大歳神がそれを踏み付けて、根っこに搦め捕り………一瞬にして鳥籠の中へ閉じ込めるとガブリエルへ放った そして呪文を唱えると蔦は幾重にも絡まり抜け出す道さえ封じた ガブリエルはその鳥籠を渡されると姿を消した レイはベッドから降りて蓮華の傍へと行くと 「お口を開けて!」と釈迦に頼んだ 釈迦は口を開けてやると、レイは指先から創世記の泉の水を湧き出させて蓮華に飲ませた 宗右衛門は「蓮華は実家を持たぬ存在、魔界に頼れる存在も親も姉妹も友達すらいない! 心の隙間に寂しさや哀しさが沸き起こり、蓮華は体を乗っ取る好材料となったのじゃよ!」と説明した 康太は「母者だとて………ここ最近までは兄弟にさえ近寄りはせなんだ………状況は同じなのに?」と呟いた 「あまちゃんは魔界では絶大な人気がある! 魔界になくてはならぬ女神じゃよ! だが蓮華を知る存在は?誰が知る? 閻魔の傍でひっそりと過ごす蓮華とあまちゃんを同じ土俵に上げるのは無理がある! 主だとて………誰にも頼らず………総てが敵にしか見えぬ世界を知る筈であろう…… 蓮華は弱くはないが……強くもない だから心の中に血溜まりの花を咲かせた 闇が好みそうな状況じゃったと謂う訳じゃ!」 康太は言葉もなかった 世界を呪い自分を呪った………時はある 周りの総てを拒絶して生きて来た時だってある 皆が想う程に強い訳じゃない 性格が少し捻くれているから、泣くより笑って歯を食い縛るだけなのだ……… 烈はガス欠なのか宗右衛門が出ないのか? 「ボクなんか……日々皆殺しの夢ばかり見てたからね………こんなになっちゃたにょよ……」とボヤいていた 康太は烈の言葉に笑った 皆殺しの夢を見ていたと謂うのに………聖神は誰一人殺めてはいないのだ……… 康太は烈に「蓮華はどうするよ?」と問い掛けた 「蓮華はね、周りを見る必要があるにょよ! 周りを見て、人の優しさを知り、己の愚かさや未熟さを知らねば、これ以上の成長はないわね 閻魔の影に隠れて生きるじゃなく、前線に出る生き方も覚えにゃいとね 周りが蓮華を拒絶してるんじゃにゃいのよ! 蓮華が周りを拒絶しているって事、知らないとね!」 「なら夏海に託すか?」 「そうね、そしたら雷帝も幼稚園に通わせて一般的に常識を学べば良いにょよ! 猫っ可愛がりして育てるんじゃなくね…… 本当にね魔界の奴等って両極端にゃのよ! 力押しで教える奴と、猫っ可愛がりして育てる奴 何方も間違いではないけど、その中に愛がにゃいのよ!」 「愛か………」 「父しゃんには溢れる程にあるのにね……」 榊原は烈を抱き締め頭を撫でた だが「幾ら閻魔が死にそうだったとしても、無理して良いと誰が言いましたか?」と怒るのだった 烈は父が我が子を愛しているからこそ怒るのだと理解していた 榊原は「レイもですよ、無茶して!」とレイを抱き締めた 烈とレイは榊原に抱き着いて「「ごめんにゃさい!」」と謝った 康太は蓮華の横に座ると 「オレと伊織には6人の子供がいる で、飛鳥井には次代の転生者としてちっこいのが3人生活している! 他にも何人かの子供がいる! オレ等はどの子にも変わりなく愛して育てている 時には怒り、時には抱き締めて愛を伝える オレの伊織は怖いんだぞ! 子供達は伊織のお尻ぺんペンは痛くて泣いているけど、そのペンペンは何故されたか? ちゃんと理解している! お前はそんな風に我が子に接した事があるのか?」と問い掛けた 蓮華は泣きながら「有りません………」と答えた 「お前等親子はチグハグだな、この機会に怖い母ちゃんに変貌を遂げてみたらどうよ?」 「次代の閻魔様を?それは畏れ多いです!」 釈迦は、はぁーとため息を着いた 「あの聖王でさえ父ちゃんやって我が子を愛して育てているのに? 蓮華、次代の閻魔じゃないんだよ、お前の息子でしょ?その子は? ならば我が子を怒る、それ位しなきゃナメられるのは当たり前だと想うけど?」とボヤいた 烈は「なっちゃんに託すから大丈夫!そして暇もない位に菩提寺は今忙しいにょよね!」と言った 康太は「うし!蓮華と雷帝は夏海に託しとくな!」と言った 「蓮華の人の世の名は華絵!雷帝は尊(たける)」と言い横にあった紙に書いて見せた 康太は驚いた瞳を烈に見せた 「お前……蓮華の母の名前知ってたのかよ?」と問い掛けた 烈は榊原がポッケからウィダinゼリーを渡したから、それを吸っていて答えなかった 「魔界へ還る時には魔界名を蓮華に渡すから、閻魔の妻として公式の場にどんどん出て名も顔も売るにょよ!その社交の教育の為に人の世に来た理由だけだからね、毎日が勉強で、毎日が糧となるのよ!」 と話し合いは終わりだとばかりにベッドに入り、眠りに着いた 釈迦は大歳神に「主は人の世に還るのか?」と問い掛けた 「嫌、烈が魔界にいる間は向こうにいるつもりで休みをもぎ取って来たからな、向こうへ帰るぜ!」 「ならば逝くとするか、素戔嗚殿んちに行き飲み明かそうではないか!聖王も既におるのであろう?」 「あぁ、一緒に魔界に行ったからな!」 「ならば還ろうぞ!」 と言い釈迦と大歳神は姿を消した 康太は蓮華を連れて、榊原と共に病室を後にした 蓮華は今も黒い涙を流していた 康太は「レイに透明にならねぇ時はどうしたら良いのか?聞いて来るべきだった………」と呟いた 車に乗り込み菩提寺へと向かう 榊原は信号待ちの時ダッシュボードの中に入れてある水を手にして康太に渡した 「予備の水はレイが用意してくれています!」と言って康太に放った 「この水は?」 「もしやって奴がいたら飲ませる様にレイが新品の水の中身を変えて渡してくれた水です!」と答えた 康太はペットボトルの蓋を開けると蓮華に渡した 「黒い涙が収まるまで飲めよ!」と言った 蓮華は水を受け取り飲み始めた 菩提寺へ着く頃には涙は透明になりつつ在った 菩提寺の駐車場に車を停め菩提寺の中へと入って逝く すると境内では太極拳をやってるお年寄りがいた 昔の菩提寺とは想像する事も出来ない位に活気付いた菩提寺になっていた 菩提寺は今はすっかり飛鳥井の為の寺ではなく、近隣住民やこの地区すべての住民の憩いの場となりつつ在った 太極拳を習った還りは保養施設の1階でお茶して還る者が多々といた 家に籠りがちな老人達が外に出て太極拳を学び、少ない年金でも保養施設の1階で、お茶して太極拳をやっていた人達と話せる憩いの場となりつつ在った 夏海は保養施設の1階の厨房に入り水萌と共に飲み物の準備をしていた 新しく入った巫女が調理師免許を持っているから、行く行くは飲食を其処で出来る様にするつもりだった 様変わりした菩提寺を水萌がスタッフと共に頑張って、遣り繰りしていた 菩提寺の寺や社務所、保養施設、道場、全てをひっくるめて新しく保険にも入った 保険の管理は社務所で務める事務員が管理して継続して行く 納骨堂と参拝堂、合祀塔も建設に入り、日々魂抜きをされた墓石が敷地の隅にうず高く積まれていた 墓は色んな手続きを踏み檀家以外の者も受け入れる承認を全て終わらせ、寺として正式な宗派を明記して檀家以外の者は【楽巌寺】と呼べる様に寺の名を掲げた 仏の道は楽には逝かぬ 厳しく辛い道なれど その魂の逝く先は楽園であれと願う との言葉を刻み【楽巌寺】と名付けた 楽巌寺は地域の皆に愛される寺になれと住職が願いを込めて日々 皆様に愛される寺になれる様に日々精進して参ります! とのパンフレットも作成し、ごく一部の一族しか使う事の出来なかった菩提寺は様変わりを遂げていた 康太は少し前に菩提寺のパンフレットを目にした時を思い出していた 「良い出来じゃねぇかよ! この楽巌寺って城之内が考えたのかよ?」と聞くと、それに答えのは翔だったのを 魔界に行った弟の変わりに、兄達は菩提寺の僧侶達と寺のパンフレットを関係各社へ送付してり、駅に置かさせて貰ったり出来る様に四つ折りに折って、の作業をしていた 翔は「烈よ考えたのは、候補から選んだのは僕達と城之内よ!」と答えた 我が子達の努力を積み重ね菩提寺は変わりつつ在った そんな寺に蓮華を連れて来た この先蓮華がどんな風に変わるのか? 不安はありつつも、今はそうするしかなかった 康太は城之内に「夏海は?」と問い掛けると 「今の時間は保養施設にいる!」と教えてくれた 保養施設に逝くと夏海は水萌や菩提寺の巫女やスタッフと共に忙しそうに動き回っていた その顔には元気な笑顔が浮かべられていた 夏海は「あら?真贋、どうされました?」と康太に気付いて問い掛けた 康太は夏海の前に蓮華を押し遣り 「お前に頼みたい!」と言った 夏海は「解りました!名を何と言うのですか?」と問い掛けた 「華絵だ、華絵には子供がいる! 今は入院しているけどな、そのうち退院して来る 名を尊と謂う、まぁ感の良い夏海なら華絵が人間じゃねぇって解るんじゃねぇか?」 「…………ですよね、魔界の気をこんなに背負った人間は烈かレイ位なものですから!」 と言い夏海は笑った 「頼めるか?」 「当たり前じゃないですか!」 「烈が夏海に預ければ大丈夫だと謂ったからな、お前に預ける事にする!」 「烈には……煌星に合わせて貰った恩もありますから!腕によりをかけて預かりますとも!」 と謂うと夏海は華絵にエプロンを渡した 「今 忙しいので手を取り丁寧に教えられません!なので今日は見て覚えて下さい! 戦力にならないと烈が蹴り上げに来ますからね! 烈が来ずとも夏休み中の烈の兄達が来て、世話を焼かれますから、そうならない為に覚えて下さい!」 「はい………解りした」 小さな声で言う華絵に夏海は 「声が小さいわよ! そんなんじゃ聞こえないわよ!」と叱った 「ごめんなさい!」 「あ〜もぉ謝るんじゃなく大きな声で話してね! あ、こんにちは、今日は何を飲みます!」 と太極拳を終えて保養施設に入って来た人達に話し掛ける 夏海は忙しく動き回り、話しかけられたら話して、大きな声で笑う 康太と榊原は華絵を置いてその場を離れた そして城之内に「1日に一回は息子の見舞いに逝く事になるが、それ以外は寺の為に働かせてくれ!頼めるか?」と、頼んだ 「あぁ、倅が入院してるんだっけ? 1日に一回は見舞いに行けば良いから、大丈夫だ!酷いのか?」 「少し………な、でも久遠か治してくれるかんな!」 「烈、まだ倭の国へ帰国しねぇのか?」 「………何かトラブルか?」 「違う、少し厄介な部位の素材を聞きたかったんだよ!」 「烈は今入院してる、PC触れるからデータ送っておいてくれ!」 「大丈夫なのか?」 「力を使い果たしてガス欠で入院してるんだよ」 「無茶するよな、お前んちの倅……」 「本当にな…なら後は頼むな! あ、烈が入院している事は内緒に頼む!」 康太と榊原は菩提寺を後にした そして会社へと向かい仕事を片付けた 飛鳥井建設は今 怒涛の忙しさの真っ只中にあった 【犬小屋からビルまで、未来へ繋ぐ飛鳥井建設】 このコンセプトを打ち立て、新しい仕事も入りつつ在った 飛鳥井建設はビルやマンションの建設が多いから戸建てや、犬小屋なんて………想像も付かないでいた たが烈がヨニー©イギリスで開発した新素材を使った犬小屋が施工で売り出されると、飛ぶように売れた 軽くて丈夫で犬小屋の割に少し高いが、イギリスの結構有名な俳優やアスリートが使用したのを切っ掛けに火が付き今では施工の専門スタッフが作っている程だった 建築の方でも建築に携わる最初に仕事として犬小屋を作らせ販売して逝く事が決まった まさに犬小屋からビルまでをコンセプトに、戸建て住宅も新素材を使い売りに出す事が決まった それに伴い戸建てのパネルサイズで加工する材木店と契約し、試行錯誤で何とか行っていた 初めての戸建てが売り出しがされるのは、今年の秋だった 戸建てを足掛かりに注文住宅も安心してご用命下さい!と宣伝のキャッチコピーで売り出す事も決まっていた だから今からその販売の戦略を立てる為に広報宣伝部は寝る間も惜しんで仕事をしていた そんな訳で榊原も仕事に忙殺されていた 真贋の仕事も切れる事なく依頼があり、秘書を増やして正解だった 翔で出来る仕事は秘書が翔に振り分け、少しずつ仕事をさせていた そして必ず仕事へ向かう時は飛鳥井の五つ子のうちの3人 宗太郎、英太郎、遼太郎が付き添った 飛鳥井建設の最上階のリフォームも大分出来上がりつつあり、それに伴い5階の面談室の着工が始まった エスカレーターが完成したら地下1階から1階へは階段で上がらねばならないが、1階からはエスカレーターで上がって行ける事となる それに伴い、1階から5階のエレベーターのドアや回数ボタンは撤去して壁にする予定だった エレベーターは役員専用となり、行先階は6階と7階のみとなる そして屋上には更なる電力供給を見越して、太陽光発電のパネルが増やされ設置された 烈が魔界から帰還する頃には、最上階のリフォームも終わり役員たちの部屋はお引越しとなる 会社が変わりつつ在った 目まぐるしい変化を遂げて、新しい第一歩を踏み出す事となるのだ 烈とレイは翌日、何とか体調を戻して呼びに来た大歳神と釈迦と共に魔界へと向かった 時は1日巻き戻し、金龍と黒龍の為の集会の少し前に、還る事が出来た 烈とレイは釈迦と大歳神に連れられて、建御雷神の邸宅へと入って来た 応接間には素戔嗚尊もいて、烈とレイに正装を渡した 閻魔は「今度から聖神の正装は新しく作らせました!クロス殿が生地から染めてくれました! その生地を使い縫製工場の皆が作ってくれたのです!烈は薄グリーンの燕尾服を、レイは薄いブルーの燕尾服を着なさい!」と言った その姿にはもう消えかかっている閻魔ではなかった 気力も体力もフル充電され動ける様になっていた 少しヨレヨレなのはきっとお説教でもされたのだろう 烈は閻魔に「もう大丈夫?」と問い掛けた 閻魔は「はい!もう大丈夫です……私も視野が狭く凝り固まってしまっていたのかも知れません…… もっと柔和な考えで逝かねばと想っておます!」と答えた 「えんちゃんはね一人で背負いすぎにゃのよ! 二人でも持つ荷物を一人で持っていたら、そりゃ精神も擦り切れるわよ! もっと蓮華を使うにょよ! 蓮華をもっも全面に押し出して闘う姿を見せる それが強いては魔界の為になるにょよ! 妻だからと言って押し込めておいてどうする気だった? 妻は飾りじゃにゃいわよ! 飾りがほしいにゃら、今度熊獣の置物でも持って来ようかしら?」 の皮肉った 建御雷神は「倅を許して下さらぬか?」と申し出た 「たけちゃん、許すとか許さないとかじゃにゃいのよ………蓮華と雷帝を再び戻すならば、環境と立場を変えにゃいと蓮華は萎れて枯れていなくなるわよ!もう飾りの妻を持つならば、開放してやったらどう?閻魔の見栄や飾りの為に蓮華を犠牲にするの、辞めたら?」とキツい一撃を放った 建御雷神は言葉もなかった 天照大御神は「それはな、我もずっと想っておった……最初の妻を手放した時もそうじゃが……… 主は死ぬ気で愛すると謂う事がない気がしておった………主も変わらねば烈に鍛え上げられた蓮華は変わるであろう………ならば主は捨てられるぞよ? 主も死ぬ気で変わるがよい………」と悲しげに言った 「子供はね命を分け与えてくれても有り難いなんて想わないわよ! それなら共に闘って欲しいにょよ! えーちゃんだって弥勒だって不器用ながらにも我が子を愛して、我が子や妻の為に精一杯変わろうとしているのにね……えんちゃんは一体何を見て何を守ろうとしているのかしら?」 閻魔は驚いた瞳を烈に向けた 「ボクとレイはこの世に一切の未練はない! ボクはボクを救ってくれた炎帝の為に今存在している!そしてレイたんと共にこの地球(ほし)を護る為にいる だからボクは………今を精一杯生きている 明日………消されようとも……ボクは死命の為に今を生きている! 閻魔も閻魔の死命を全うされよ! そして悔いのない末路を……考える時なのかも知れないね!ボクからはそれだけ! 閻魔が視る先が魔界じゃないとしたら、ボクはこれ以上の協力は…………しない!」 そう謂うと正装を持ってレイと共に建御雷神の邸宅を後にした 外に出るとアルくんとタカシを呼び、素戔嗚尊の屋敷まで向かった 自分の部屋に行き正装に着替える これは金龍と黒龍の為にせねばならぬ事だから、今宵の金龍と黒龍のお披露目をせねばならないから着替えた 本当なら腹が立って仕方ないから、還りたいのを我慢していた レイは「れちゅ………」と名を呼んだ 「レイたん、今夜は失敗出来ない闘いだから!」 と言いニコッと笑った 着替えて自分の部屋を出ると、大歳神と素戔嗚尊も正装に着替えていた 大歳神は烈を見ると「倅よ、そんなに拗ねるでない!」と頭を撫でた レイは大歳神の脛を蹴り飛ばした 「すねてにゃい!」 大歳神は笑ってレイを抱き上げた 「レイ、トキとクーも正装させたんだぜ!」と言った すると目の前にはキラキラの艶々なトキとクーが蝶ネクタイを締めて勲章を着けていた クーは「何だかブラッシングは気持ちよかったぜ!」とご満悦 聖鳥と聖獣がキラキラの艶々で良いのか? 烈は唖然となっていた 「ボク還ったら頑張って虎親子のブラッシングしなきゃ!クーが還るなら艶々だと見劣りしちゃうじゃない………」とボヤいた レイはクーを撫でてトキも撫でてやって 「そーね、とらたんすねちゃうにょね!」と謂う 大歳神はレイを抱き上げて「さぁ逝くよ!レイ!」と言い屋敷を出て行った 素戔嗚尊は烈とトキとクーと共に会場となる広間へ向かった 広間は凄い事になっていた 魔族で溢れかえり、金龍と黒龍は正装をして烈に近寄って来た 「金ちゃん、黒ちゃん時間よ!」 と謂うと烈は金龍と黒龍と共に壇上に上がった 宗右衛門の声でマイクの前に立つと 「魔界の者達よ、今宵は主等に知らせる事があったから集めさせて貰った! この度 金龍と黒龍は厳しい修行から帰還された 今後は金龍は誓約の地を開拓し、龍族をその地に住まわせる為に尽力する! 龍族は誓約の地に住む事になるが、それは龍族が優れているからでも優遇されているからではない!誓約の地に住む、それは即ち約束を破れば即座にその地は崩壊を遂げ主等は土砂に飲み込まれる事となる! 誓約の地を勝手に開拓しようとした神々は、違えたから土砂に飲み込まれ消滅した! くれぐれも違えぬ事を願う! 金龍達、龍族を誓約の地に住まわせる それは今後は魔界の主軸となり鍛え上げて力のなき者を助けて護り共に逝ける道を築いて貰う為! 金龍は指導者となり、武道場で教える事となる! 黒龍は龍族の長となり、龍族の者を遣いこの魔界を見通して逝く使命を持った 主等は種族を超えて金龍と黒龍を助けて行ってくれたらと想う この魔界も油断は出来ぬ状況にある! 各々が助け合い力を付け闘える様になってくれる事を望む! この魔界は滅んびはせぬ! この蒼い地球(ほし)は滅んだりはせぬ! 皆が力を合わせてこの難局を乗り越えて行こうではないか!」 と焚き付けて素戔嗚尊と変わる 素戔嗚尊は「我等一人一人の力は微々たるモノでも、力を合わせればそれは強大な力となると儂は想っておる! 今こそ金龍の元で力を着けて行こうではないか! 武道場は金龍と黒龍の給料を確保せねばならぬから、無料と謂う訳には逝かぬが、それでも遣り繰りして通っては力を着けてはくれぬか? その為に金龍と黒龍は厳しい修行に出て力を着け還って参ったのじゃ! 一人でも多くの魔族が己を鍛える力を着け、戦士となり来る未来の為に力を着けてくれる事を望む!我等は負けたりなどせぬ! 不屈の闘志を心に燃やし我等は逝くと決めている!武器を手にして闘うのじゃ皆よ! 其の為の日々を過ごそうではないか!」 と皆を焚き付け心に火を灯す 閻魔は金龍に前に出て挨拶しろと背を押した 金龍はマイクの前に立つと深々と頭を下げた そして背を伸ばすと静かに話し始めた 「心配を掛けて本当に申し訳なかった だが儂は聖神に導かれ敷かれたレールの上を直走ると決めて魔界へと帰還出来た! 本当に聖神には頭が上がらぬ恩を受けた 我は武道場の師範代として多くの者を教えると決めた!多くの者を闘える存在に鍛えると決めた 教えるからには、甘くはないと先に言っておこう!其の為に逝かねばならぬのだから! 共に行こうではないか!そして闘おうではないか!それが示された先にある我等が死命だと心に火を灯そうではないか! 我は武道場の師範代として生きる傍ら、龍族の相談役となる事が決まった 龍族の長は黒龍がなると決まった 黒龍は武道場の師範代として皆を教える傍ら龍族の長として生きるが役目! 龍族の者よ、黒龍を長として支えてやってくれ! そして共に力を着け、闘える存在になろうではないか!我等は其の為に還って来たのだから!」 と謂うの皆が「金龍 お帰り!」と声が上がった 歓迎ムード一色になり受け入れられた瞬間でもあった 黒龍が金龍の次に話をする 「龍族の長になりました黒龍です! まだ未熟者の若輩者故、皆の力を借りて逝かねばならぬ! また龍族が一丸とならねば、誓約の地に住む我等は崩壊の一途を迎えねばならぬ故 皆が其々の役割を持ち過ごさねばならない 今度は楽は出来ません! 其れが聖神の打ち出した龍族再生の道なので、龍族が生かされて進む為に皆が努力して皆で協力して皆で逝かねばならない! そしてニブルヘイムの約束の盃を交わした我等は違えれば砂になるしか無い それは龍族の話だけではない 魔界の皆が協力し合い果てへと逝かねばならない!だからより一層協力して力を着け、その時の為に日々邁進して行こうではないか!」 と挨拶した その姿はもうお人好しの黒龍ではない ゴリ押しで何とか!と頼んだとしても動きはしない強さを秘めていた レイが閻魔を押しやると閻魔はマイクの前に立った 「魔界に住む総ての者へ、我等は姿の見えぬ敵と戦わねばならぬ現実を伝えよう! 私は先程下手したら消滅していたかも知れません 魔界の中にも漆黒のジャガーは潜み我が息子と妻を遣い………私は我が子を助ける為に命を削って息子に命を与え死にそうでした それを聖神が神名を蘇らせ生き返らせてくれました!私は今後は炎雷大神と名乗ります! 閻魔は役務、神の名は炎雷大神 私は生まれ変わったつもりで、今後は更なる力を込めてこの魔界を正して逝きます 金龍、黒龍、力を貸して下さい! そして聖神の導く果てへと逝きましょう! 必ずや我等は果てへと逝くと此処に宣誓致します!我が閻魔の名においてこの約束は果たされねばなりません!」 閻魔の迫力に魔族は皆息を飲んだ 前とは違う閻魔の力強さや迫力に言葉はなかった 魔界の最強の指導者として金龍と黒龍が帰還して、今 閻魔は魔界の魔王として名を君臨させた 皇帝閻魔が去って閻魔では……と謂れ続けた事が嘘の様に……閻魔は魔王として君臨していた 「我は閻魔大魔王! 魔界を正す死命を持つ!」 その姿は………魔族に絶大な力を誇り知ら示めた 烈とレイは満足にその光景を見ていた トキとクーもその光景を目にして安堵していた クーは「何とかなりそうだな!」と謂うと烈は頷いた 閻魔は「聖神、聖鳥 朱鷺、クー殿 壇上へ!」と謂うと烈はトキとクーと壇上へ上がった クーは壇上へ上がると身体を元の姿に戻した その姿は白く光り輝くジャガーとして皆の目に映った クーは「この魔界にこれ以上の横槍は許さぬ!」と言い呪文を唱えた 「創世の光よ、魔界を包み、今此処に到来せよ!」と上を向いて吠えると眩い光りに包まれ………魔界は光り輝いた バタバタ倒れる魔族を目にしてクーは 「その者らは無限投獄へ飛ばす!」と言い呪文を唱えた すると倒れた者は姿を消した 「烈、此れで魔界からの横槍はなくなる すると人の世で頑張って嫌がらせするだろうから、警戒は怠るな!」と言った 烈は嫌な顔をして「気を付けるわ」と言った だが何時何処で嫌がらせされるか解らないから…… 気をつけようがないのだけれど……… 魔界の住民は新しい指導者に熱気冷めやらぬ興奮ほ歓喜を上げて幕を閉じた 金龍と黒龍の指導者としての挨拶は大成功を収めた 烈とレイとクーはお披露目を完遂し人の世へと帰還した 帰還した烈とレイは病室へと還り、久遠に怒られ点滴となった 体を整え烈とレイは3日後 退院した 退院した頃には、夏休みはとっくに終わって新学期が始まっていた 【R&R】のメンバーは定期的に倭の国へ来て、飛鳥井の家に泊まりリーダーと交流を閉ざさない様に、来日していた そんなに来なくても大丈夫よ?と謂うのに一ヶ月に一回は来日していた 皆 来日して来る日を合わせているのか? 皆で集まりXmasイベントは必ずやしたいね、と 話していた 相賀は三社共同事務の相談役として忙しく働いていた 神野や須賀、そして新社長の柘植は【R&R】とのイベントを楽しみにしていたが、竜馬がイギリスに行き1年は還らないと聞き、残念に想っていた RODEOÑと一緒に出した楽曲【想】は今もヒットチャートに上がりロングランの人気を打ち出していた 咲楽我空と五十嵐美怜は仕事の幅を広げ、他の子等も国際大会の固定したイメージを脱ぎ捨て伸び伸びと仕事をしていた 笙や隼人や篁も今や引っ張り凧となっていた 篁はあのイベントでの歌唱力を買われて歌も出していた 三社共同事務のタレントは今や押しもされぬ実力を着けて安定した利益を上げて来ていた だが相賀や須賀や神野や柘植は仕事とは関係なく、烈とお茶したり時には慎一を捕まえて買い物をして宴会へ突入したり、前と変わらない付き合いをしていた 真矢も笙とお茶したり明日菜や子供達と時には食事をしたり良い関係を続けていた 飛鳥井の転生者である竜胆、東矢、レイは本殿儀式の間の5通夜の儀式を目前にしていた 菩提寺の巻物は総て破棄して、紫雲と弥勒と宗右衛門とで新たな巻物を作成した 巻物師 獅子神无位月が加わりその巻物に魂を吹き込み使える様に試行錯誤してレベルの調整を行って行った 烈と凛と椋と翔達とで、その調整に辺り連日試練の間で魔物や人間とし闘いまくり調整する 油断すれば………命は危ないってば!と想う 其れ程に制度も練度も上げて調整をして巻き物が出来て行く 伴侶の義の巻物は榊原が調整を手伝いかなり練度を上げてしまっていた……… 烈は紫雲に「其処まで練度上げちゃうと……女の伴侶はまずは無理にゃのよ………」とボヤいた ならば夏海と水萌に一回ずつ伴侶の儀を受けさせて調整をしようとしたが……… どちらも笑って薙ぎ倒していたりするから……… 紫雲は「飛鳥井は男前の伴侶しか来ぬ可能性があるからな、此れでよいか……」と 伴侶の儀の巻物は完成した そんな事を延々と続け夏は過ぎ秋になり冬へと突入した 烈はゴタゴタ小さな事はあったが、それなりに平和な日々に感覚が警戒を怠りそうで………危惧していた それが狙いなれば………大変な事になる クーも「平和だなぁ………って想ってもアイツはそんな頃を狙って来るんだろうな……」とボヤいた 地獄界の羅刹天と元始天尊とは崑崙山で幾度も幾度も話を重ね、互いの想いを伝える時間を持って話し合った 生きて来た過程も違えば環境も違う だからこそ魔界を知って貰う必要があり だからこそ地獄界を知って理解する必要があった 羅刹天は「平和だな………このまま何もなければよいのだけど………」と願いを込めて謂う だがクーが「油断した時程ダメージが大きいからな、それを狙っているんだろ?」とにべなく謂う やはりそうか………と乱世の世に生きると謂う事を痛感する そんな頃 飛鳥井の総てのリフォームが終了した 夏前から始まったリフォームは結構な時間を要して終了した それに伴いエレベーターはIDがない者は、ドアが開かなくした 地下駐車場からエレベーターに乗ろうとしても、タッチパネルにIDを翳さねばドアは開かなくさせた 地下駐車場へ車を停める社員達は、地下駐車場から階段で1階まで上がり1階からエスカレーターで各々の階に行く事となる ダイエット階段は女性社員には人気で、食後は階段で下りる者が増加していた 更に画期的に能動的になり、社内の社員達の意識も変わりつつ在った 意識改革がこうして根付いて成長を遂げていると言っても過言ではなかった 役員との面談室もわざわざ上へ上がらずとも、役員が降りて来て、社員の話を聞く姿勢が受け入れられて上場だった 役員の部屋は最上階へ移動した 会長の部屋は結構広々として息の詰まらない空間を城田と悠太とで作り上げていた 社長室も副社長室も広めに作られ、稀代の真贋の部屋は副社長室の中に作られていた 秘書課の部屋は更に広く、秘書も増えた分広くなり働きやすくなったと秘書が喜んでいた 6階には秘書の控室もあり、7階に役員が移動した分、6階は次代の真贋の部屋 宗右衛門の部屋 兄達が仕事する部屋が作られていた 飛鳥井建設に入っていた保育所は近くの【R&R】のビルの2階に移転して、保育所があった場所は来賓室とカフェにした 結構頑丈な壁で仕切り別物にして行く作業は建築の職人に頼み作らせた 保育所は別階段で外から上がれるからそれを利用してリフォームしてお洒落な外観にしカフェを作った 梓澤と武藤がカフェに移動して、食堂は和華子とおばちゃん達で回していた その他に武藤の知り合いの料理人を回して貰い、更に和食にも力を入れたメニューを打ち出していた 今じゃカフェは近隣住民や近くの会社員達の憩いの場として人気で常に店内は満員だった 1階の倉庫と化したスペースもぶち抜き、1階は受け付けのみとなり、レストランは出入り口を大幅に移動させ社内からは入れなくさせた カフェの入りは2階だが、1階のスペースは静かな音楽が流れちょっとした隠れ家的なスペースになっていた お洒落なカフェはテレビでも取り上げられる程に連日大賑わいだった 社内側の2階は来賓室として結構重厚なソファーやテーブルを入れた そのソファーは蔵持の貴賓室に設けられていた調度品だった 蔵持の家を処分する時、中の総ては処分する事を善之助が願ったから、処分した だが貴賓室の応接セットや調度品は、もう手に入らない逸材で、何かに使えると倉庫に管理させていた その調度品と応接セットを来賓室に相応しいと持って来て設置したのだった 佐伯朗人と共に過ごした想い出が刻まれた家具は総て善之助が引き取り新会社に入れた 善之助はそれで満足だと言ってくれた 飛鳥井の来賓室は、ホテルのラウンジばりの重厚感が出て、飛鳥井の顔に相応しい出来となっていた 来客は総て来賓室へお通しして貰う 来賓室には常にジャミングや盗聴器に対応した設備がなされ自立歩行タイプの盗聴器にも即座に対応して社内へ入れない!を徹底していた 一般の社員達の方の階段からは入れない作りになっていたから、今も2階は素通りで3階へと向かうのは変わらなかった エレベーターは2階の来賓室の中で停まる仕組みになっていて、来客が告げられるとエレベーターで2階へ降りて行くと来賓室の中、と謂う一切の侵入を警戒した作りとなっていた 会社に新しい風を吹き込み、より能動的に息吹を吹き込む 飛鳥井建設の1000年続く果てへの闘いは始まったばかりだった

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