64 / 100

第64話 苦難 ❸

時は烈が金龍と黒龍のお披露目をしに魔界へ行っている時まで遡る 閻魔が我が子に魂を与え、影も魂も薄く建御雷神の邸宅で話し合いをする事になった その時 雷帝の衰弱ぶりを目にして、クーは即座に動き、雷帝を背に縛り付けて貰い人の世に連れて行った後、雷帝の魂を吸っていた人形が爆発した クーは結界が破られた事に気づき、雷帝を炎帝に預けて慌てて烈とレイの元に駆け付けると、建御雷神の邸宅は屋根まで吹き飛ぶ悲惨な状況になってしまっていた 天照大御神の手は吹き飛び、爆破にあった部屋にいた者は傷付き血を流していた クーは呪いに満ちた部屋ごと、呪いを返して癒やしの呪文を唱え治したから助かった 建御雷神の邸宅は爆破前に戻り、天照大御神の手も吹き飛ぶ事なく戻っていた 何もかも……元通りにされた だが返された呪いは………人の世で大爆発を引き起こしている筈だ クーは『この爆破は仕掛けた本人に還る様に弾き返した 今頃人の世の何処かで爆破が起きてる頃だろ!』と言った ならば人の世で爆発事故が起きてる筈なのだ 烈は人の世に還ると新聞記事を遡り、火災の記事を調べていた 康太は応接間で新聞記事の記事を必死に調べる烈に 「何故そんなの調べてるのよ?」と問い質した 烈は雷帝が持っていたぬいぐるみが建御雷神の邸宅を吹き飛ばし爆破で吹き飛ばした事態を引き起こした事を話した 康太はその爆破は知っていた 知っていたから魔界へ行き話も聞いて来ていた 烈は「クーたんが慌てて還ってくれ再生の呪文を唱えてくれたから、あまちゃんの吹き飛んだ手も、たけちゃんちの屋根が吹き飛んだ邸宅も治ったけどね、クーたんは呪いは返したと言ったから調べているにょね!」と話した すると康太は聡一郎や一生を呼び出して、夏休みが終わる少し前に起きた爆発事故を検索掛けてくれ!と頼んだ 聡一郎は「どの地域か解りますか?」と問い掛けた 「それは解らねぇけど調べてくれ!」 何時起きたかも知れない、何処で起きたかも知らない爆破を探す……… 一生と聡一郎は必死に検索して探した かなり検索して一つの記事に目を留めた 滋賀の綿向山の山奥にある工場が大爆発を巻き起こし、山火事へと発展させ、かなり状況は酷い事になっていた その工場で働いていた者は……遺体も残さず消し炭と化した そして山火事は1週間近く燃え続き消火活動は続けられていていたが、今は鎮火している そんな記事を見つけ聡一郎は一生と目配せして、PCを康太に見せた 一生は其処がどう言った建物なのか?を調べ始めた 烈は「ひょっとしたらぬいぐるみ工場かもね?」と呟いた 康太は顔色を変えた 「それって雷帝が持っていたぬいぐるみは人の世で作られた………って事なのか?」と信じられない想いを口にする 「何の目的でそんな呪いのぬいぐるみを作っていたと謂うんですか?」と聡一郎は呟いた 烈はルーズリーフに雷帝が持っていたぬいぐるみを描いた すると太陽が「それ願いが叶うぬいぐるみかしら?」と呟いた 流生も「あ、やっぱりそれよね!僕もそれかな?と思った!」と想っていた事を口にする 兄達は頷いていた 康太は「願いが叶うぬいぐるみ?何だそれは?」とボヤいた 音弥がタブレットで検索して烈に見せた 烈は色んな色のぬいぐるみの中から 「この黒い子見せて!」と謂うと画像を開いてみせた 「あ!それだわ!爆破の後、跡形もなくにゃっていたけど、それよ!」と言った 康太は「ならこのぬいぐるみの工場って事か?」と問い掛けた すると一生はその願いが叶うぬいぐるみを検索した するとHPを発見し「滋賀の澄み渡る聖域とも言える場所で作られ、呪術師が願を込めた願いが叶うぬいぐるみ………って書いてますがな……」とボヤてそのページを見せた クーは「その呪術師ってのが引っ掛けるな……」と呟いた 康太は「この建物の持ち主をまずは探すとする! そして探したら暦也に調査を依頼する事にする!」と謂うと聡一郎が 「ならば僕は今枝に連絡して、このぬいぐるみを持ってる子達に警鐘を鳴らす様に発信して貰います 多分………ろくでもない事になってそうなので、探して手を打ちます!」と言って応接間を出て行った 一生も「菩提寺にそのぬいぐるみがねぇか?探しに行く事にするわ!」と謂う すると烈が「ならボク達もにーに達も探して会社の社員達にも注意喚起するわね! カズはにーに達を乗せて菩提寺へ、ボクはケントを呼ぶから、お願いね!」と言った 皆 応接間を出て目的の為に動くのをか、康太は見送り………榊原と共に魔界へと向かった 烈がルーズリーフに描いた絵を持って、魔界中に注意喚起をするつもりだった 烈は願いが叶うぬいぐるみの写真をネットで検索して保存すると、竜馬にラインを送った 「このぬいぐるみには気を付けるにょよ! 身近で発見したならば、即座に逃げるにょよ! 兵藤きゅんにもメンバーにもボクのライン回しておいてね!」 即座に竜馬からラインがあり 『烈、解ったよ!このぬいぐるみには注意するよ!それよりも烈、冬休みは結構長く取ったからさ、帰国するからイベントしようね!』 と絵文字とスタンプだけのラインに烈は笑顔を漏らした 菩提寺へ到着すると、兄達は烈を待ってくれていた 菩提寺の中へ入ると職員や菩提寺で働く全ての人間を集めた 翔がタブレットの画像を見せて 「このぬいぐるみを持っていませんか? このぬいぐるみは危険なので今すぐ手放して下さい!」と言った 子持ちの職員達は「今此処ではそれは解らないので家へ帰り探してみます!」と約束してくれた 菩提寺のマンションに住んてる者は即座に家に帰り家の中を探した 通勤している者は帰宅して探す事にする 取り敢えずそれで様子を見る事にした 魔界へ行っていた康太と榊原も閻魔に注意喚起を促して、ぬいぐるみは何時爆発するやも知れないから気を付ける様に言い帰還した 閻魔は魔界中にぬいぐるみがないか?調べさせると約束してくれた 注意喚起と警戒は怠らないでおこう!と決めていたが、何処で誰が持っているか? 解らないから注意喚起を呼び掛けるしかなかった だが事件は思わぬ所で引き起こされた 烈のクラスの子がそのぬいぐるみを持っていて、放課後爆発事故を起こし騒動になった 昼で早退して還る烈と違い、匠は6時間授業を終えて友達と少し話をしていて、還ろうとしていた時に、その爆発に巻き込まれた 煌星と海は授業終了と共に迎えに来た車に乗り、帰宅していて難は逃れた 匠と美知留のお迎えに行こうとしていた佐伯に連絡が入り、佐伯は即座に病院に駆けつけた そして匠が入院したから3日は会社を欠席させて貰うと連絡が入れた 西村がそれを康太に伝えた事により、康太は宗右衛門の部屋へ出向いて話をする事にした 「烈、匠が病院に運ばれ入院したって……何でか解るか?」と問い掛けた 烈は「え?たっくんが?知らないわそれ?」と何も知らない風だった 烈は長瀬にラインして「たっくんが病院に運ばれたって何故なの?」と問い掛けた すると直ぐに長瀬から電話があった 『烈か?クラスで突然爆発事故が起きたんだよ! 匠は廊下に出ててカラスで切ったから病院へ運ばれたんだよ かなりの被害者が出てて今はその処理に当たってるんだ! 何故爆発事故が起きたのか?理由が解らなくてな学長は気絶して佐野が飛び回ってる 出来るならば力を貸してくれないか?』 「なら今直ぐ学校に逝くわね!」と言い烈は電話を切った そして直ぐ様電話を掛け始めた 「暦也、桜林の初等科3年A組の映像飛んでるかしら?」 『待ってろ、今調べる』 かなり長い間保留の音楽が流れた後に 『あるぞ、何時でも警察に聞きに越させろ!』と言ってくれた 「ならその時になったら頼むわね!」と烈は電話を切った 烈は「母しゃんボクは桜林に行って来ます!」と謂うと康太は 「オレも逝くから一緒に行こうぜ!」と言い榊原を呼んだ そして瑛太に「桜林で爆発事故が起きた………それに匠が巻き込まれたらしくてな、取り敢えずどんな状況だったのか様子を見に学園に行ってくるわ!」と内線で電話した 瑛太は『匠はどうなりました?』と問い掛けたが、康太は「それも後で見てきてラインするわ!」と伝えた 榊原の車で桜林へと向かう 烈は「クーたん偶然かしら?」と問い掛けた クーは「お前のクラスの奴だって知ってて仕込んだんたんだろ?」と吐き捨てた 「ボク半日で還ってるのに………爆破は放課後にゃのね………」 「そんな内情は知らねぇ奴の仕業だろ?」 「被害者出たのよね………」 「こんな人の世で復元なんて無理だからな!」 と先手を打つ 「当たり前じゃない、別に復元なんてしなくて大丈びよ! でも………たっくん巻き込むなんてね………」 「それこそたまたまだろ?」 「ボクが学校にかようと………巻き込んじゃうわね」 と烈は呟いた 榊原の車は桜林学園へ到着し、車から降りると長瀬が待ち構えていた 康太は長瀬に「現場を見せてくれ!」と言った 長瀬は康太と榊原と烈を連れて初等科 3年A組へと向かった 3年A組の窓ガラスは飛び散り、廊下側の壁は穴が空き天井の蛍光灯は割れて飛び散っていた 烈は長瀬に「ボクね、何かあった時の為に証拠は常に残す!を心掛けてね、四季に頼んでクラスに防犯カメラ仕込ませているにょよ!」と黒板上に設置されているスピカーの上を指さした 長瀬は「防犯カメラですか?」と半ば信じられない想いで問い掛けた 「でねその映像は総てARЯK警備保障へ飛ぶ様になっているにょよ! 何がおきたか?知りたいならばボクと一緒に警備会社に行って見て来るしかないにょよ!」 「…………解りました、それは何時見られますか?」 「何時でも構わないのよ 多分………ぬいぐるみを持っていたとしたら……願いが叶うぬいぐるみだわ!」 「願いが叶うぬいぐるみ? それは何なんです?」 「それはそのワードで検索すると出て来るからね、自分で調べてね!」 白い猫は烈の肩から降りるとクンクンと匂いを嗅いでいた 「呪詛の匂いがするぞ!」と白い猫は喋った 長瀬は「白い猫が喋った………」と唖然と呟いた 飛鳥井ならば何が起きても当たり前だと想っていたが………猫が喋るなんて……… その白い猫は常に烈が肩に乗せて登下校していた猫だった 学長は何故か鳴かないし大人しくしているから、と烈と共に生活するのを許可していた 不思議だったが………こう謂う事だったのか………と納得していた 長瀬のそんな戸惑いなんて何のその!で話は進められる 康太は「ならば願いが叶うぬいぐるみか……… 早くその呪術師を捜さねぇとならねぇな! まさかクーの返した爆破で死んでねぇよな?」と希望的観測を述べた クーは「それはねぇだろ?跳ね返されたのが解った時点で飛んでるだろ?」とにべなく言い捨てた 榊原も信じられない想いで 「まさか烈のクラスを爆破させられるとは……この学園の結界も弱って来てますかね?」とこんなにも簡単にそんなモノが持ち込めるなんて………と想っていた 康太は「結界は張り直したばかりだからな、弱ってなんていねぇよ! 頭のチップを警戒して烈とレイが結界を張り直したばかりだからな でも人の手から持ち込まれたモノまでは、どうやっても警戒なんて出来ねぇって話だなんたよ!」と話した 榊原はそれなら警戒なんて出来ないレベルの話だなと納得した 長瀬は佐野を呼び出した 呼び出された佐野は憔悴しきって弱っていた だが烈を見付けると駆け寄りスリスリするのは忘れてはいなかった 長瀬はバリッと烈を引き離し佐野に 「烈が防犯カメラを仕込んでいたと謂うので見に行きますよ!」と発破をかけた 佐野は「あぁ、そう言えばもしもの時の為に防犯カメラ仕掛けてあったな………」と呟いた 烈は「ボクはやはりケントの車で行く事にします!」とクーを肩に乗せてさっさと行ってしまった 榊原は「なら長瀬先生と春彦さんは僕の車に乗り行くとしますか?」と言い長瀬と佐野を連れて駐車場へと向かった 駐車場へ向かうと流生が「母さん!」と呼び掛けた 駐車場には栗栖がお迎えに来ていて、兄達が其処にいたのだった 康太は我が子を抱きしめて無事を確かめた 「匠が爆破に巻き込まれて怪我して入院したらしくてな、その原因をこれから見に行くんだよ!」 兄達は「匠が………」と信じられない想いで呟いた 爆破の噂は翔達のクラスでも騒がれていた 康太は「気を付けて帰れよ!」と言い榊原の車に乗り込みARЯK警備保障会社へと向かった 一足先にARЯK警備保障会社へ到着していた烈は、両親や先生を待っていた その横には更に貫禄も気迫も出て来た暦也がいた 「おー!真贋待ってたぞ! 俺もあんまし時間がねぇからなサクサク行こうぜ!」 あんまりな言い方に康太は「あー!サクサク頼む!」と返した 暦也は爆破が起きる前からの映像を流し始めた 放課後と謂う事もあり生徒はあまり残ってはいなかった 匠は友達と楽しく話をしていた きっと母が迎えに来るまで話をしていたのだろう クラスの中の子は鞄の中から白いぬいぐるみを取り出して友達に見せていた 友達はそのぬいぐるみを渡してもらい触っていた 匠が教室を出て歩き出した時、クラスの中のぬいぐるみを持っている子のぬいぐるみが爆発した 窓ガラスは吹き飛び、廊下との間仕切りの壁は吹き飛び廊下側の窓ガラスまで吹き飛ばす威力の爆破だった 烈は「白いぬいぐるみか…………クーたんへの宣戦布告かしら?」と呟いた クーはブスッとしてニャ~と鳴いた 長瀬と佐野はその映像を見て唖然としていた がすぐさま気を取り直し、佐野は「この映像を貸し出しては下さいませんか?」と問い掛けた 「マスコミ対策だろ? 真贋、美緒を動かされよ! 今兵藤貴史が使えぬのならば、美緒殿を遣いマスコミ戦略を練らねぇと桜林は襲撃事件の後だからな、管理体制を問われるぜ!」 「解った……美緒を遣いマスコミの操作をする」 「ならば俺が動いてやるよ! 効果的にこの映像は使わねぇとな! 有栖が通う桜林を潰す訳にはいかねぇからな! 俺は父ちゃんだから我が子の為になら動いてやると決めている! ましてや雇用主の学校でもあるからな、腕に縒りをかけてやるよ!」 そう言い嗤う暦也は関わりたくない程に………食えない顔をして嗤っていた だが味方になってくれるのならば、誰よりも心強い漢だった 康太は烈に「ならば烈、この件はお前に託すが良いか?」と問う 烈は「母しゃんが出て貰わねばならない時はお願いね!」と謂うと康太は 「当たり前やんか!オレが出る時はドカーンと出てやんよ!」 「ならボクは暦也と共に動くわ!」 と言った 烈は美緒に連絡を取り、美緒に即座に動いて貰った 康太と榊原は長瀬と佐野を乗せて桜林へと向かった 康太は佐野に「学生には当分私物の持ち込み禁止を徹底しねぇとまた爆発するぞ!」と言った 佐野は「学長に話して貰えませんか?」と問い掛けた 「まぁ話すなら良いが、動き出した烈は止まらねぇぞ?況してや暦也が腕に縒りをかけてって言ってやんか………ならばその動きは倍速でになるぜ? 頭脳の凄さは烈に匹敵する切れ者だからな、あの漢は………」 桜林学園に到着して学長室へ逝くと、学長は烈に呼ばれて出て行った後だった 長瀬と佐野は唖然となっていた 佐野は「気絶していたのに?烈に呼ばれるとサクサク動けるのかよ?」とボヤいた 康太は「下地は烈がやってくれるかんな、後は仕上げで動けば大丈夫な感じだな ならば長瀬と春彦は保護者各位に説明する場を開かねぇとな!」と今後の予定を口にする 榊原は携帯が震え開いて見ると映像が添付してあった その映像を開いてみると防犯カメラの映像だった それを遣い保護者会を乗り切れと言う事何だろう 榊原は「PC出して下さい!」と言った 佐野は学園室の奥にに駆け込みPCを用意すると、学園室の奥にある応接室に康太と榊原と長瀬を連れて入った 榊原はPCと携帯を繋ぐとデーターをPCへ送った 送った映像を見ると少し洗いが、見えなくもない状況だった 榊原は「この映像を遣い即座に保護者説明会を開いて下さい!との事なんでしょう そしてラインには『リフォームの御用命は飛鳥井施工株式会社まで!』の文言入りで送って来ています!」と笑いながらラインを見せた 長瀬と佐野が保護者説明会を視野に入れて動いていると、警察が現場検証にやって来た 長瀬と佐野は立ち会う為にその場を離れなければならない事になった 康太と榊原は「何かあればまた連絡を下さい!」と言い飛鳥井記念病院へと向かった 病院に行き先に匠の病室に顔を出すつもりだった が、受付に聞くと匠は個室ではなく大部屋に入れられていると謂われ病室の番号を伝えられた 康太と榊原は大部屋に顔を出すのは辞めて、久遠にどんな状況なんだ?と尋ねた 久遠は「ガラスで切ってるから傷が開く事を警戒して入院させただけで、傷が開かねぇならば明日にでも退院しても大丈夫な感じだから大部屋に入れたんだよ!」と答えた 康太は「オレ等は大部屋だと見舞えねぇからな、明日退院するなら後で慎一でも向かわせ様子を見させるわ!」と言った 「あの子は烈の従兄弟で同じクラスの子なんだろ?烈のクラスの奴等がゴロゴロ入院してるからな今…………」 「酷いのか?」 「匠と他の数人は廊下にいたからガラスで切ったから様子見で入院してさせてるが、爆破の発信源にいた奴は………体の一部があっちこっち吹き飛んで重体だ………数が多すぎて総合病院へ回す事になった」 そりゃ建御雷神の家の屋根は吹き飛び、天照大御神は手が吹き飛んでいたと謂うのだ そんな爆破を教室で引き起こせば………命だって落としかねない状況になるだろ? 久遠は「平和な倭の国で暴漢や爆破が起きた………それは総て烈の近くで巻き起こされてる事態は異常だろうが……」とボヤいた 康太は「烈は学園を休学するつもりでいる……オレは………せめて学園生活を送らせてやりてぇけどな………現状は何が起こるか解らねぇからな巻き込むならば距離を取るだろうな………」と現実を口にした 「消えさえるんじゃねぇぞ!見張っとけ!」 「あぁまだリフォームも終わってねぇからな 建築もまだまだ終わらねぇから……消えて貰っては困るから大丈夫だ!」 康太がそんな話をしている頃 烈は美緒を動かし警察を動かし、現場検証をさせた 現場検証をした後は報道各社に防犯カメラの映像を流した 勿論、生徒の顔にはモザイクを掛けて流させたのだ 烈は今枝にも連絡を取り、願いが叶うぬいぐるみなるモノの危険性を訴え警鐘を鳴らす様に頼んだ 今枝は「その件は聡一郎さんからも申し入れがありました!お時間があるならばお話を聞かせて貰えませんか?」と問い掛けた 烈は「ならば防犯カメラの映像を持って行くとするわ!」と今枝と約束した 東都日報へ出向いて話をすれば大事になるから、烈は部屋を秘書の遼太郎に取らせた そして遼太郎から部屋番を聞くと今枝に部屋の番号をラインしてホテルで逢う事にした ホテルの部屋に入ると烈が白い猫と共にソファーに座りケントに護衛されて先に部屋にいた 今枝が部屋に入って来ると烈はPCを取り出して、今枝に防犯カメラの映像を見せた 烈は映像を見ている今枝に 「これは戯言だと聞き流して欲しいにょよ! 魔界の次代の閻魔がそのぬいぐるみを持たされていてね、そのぬいぐるみは爆発したにょよ! 下手したらボクが死んでてもおかしくない爆破だったわ……それをねクーたんが呪詛を弾き飛ばして再生の呪文を唱えて治してくれたにょよ! で、その弾き飛ばしてた呪詛は人の世の滋賀の綿向山って所で大爆発したのよ まだそれしか詳細は解らないけどね、その願いが叶うぬいぐるみは人の世にかなり出回っているのよ………下手したら爆破テロ並みの脅威なのよ だから今枝には、この映像を託すからさ警鐘を鳴らして欲しいにょよ!」と言った 今枝は「解りました、何処まで貴方の期待に添えるかは解りませんが………会社を上げて警鐘を鳴らし動こうと想います!」と約束してくれた 「今枝、もうじき東条も復帰するからね、それまでの辛抱よ」 「え………社長は洗脳が酷かったと聞きましたが……」 「蔵之介程酷かった訳じゃにゃいのよ この会社の利益が欲しかっただけだから、コントロールさえ出来れば良かっただけらしくてね 悦郎みたいに脳も弄られた形跡ないし、綺麗が徹底的にマインドコントロールを解除したから今は社会復帰する為のリハビリ中よ!」 「本当に………ありがとう烈……」 「今枝、ボクが渡した石と御守、肌見放さず着けてるにょよ! そして身の危険を感じたらその石を地面に叩きつける、それを徹底するにょよ! そして家族がそのぬいぐるみを持ってないか? それもちゃんも調べるのよ!」 「はい!解っています! ぬいぐるみは妻が今、家中探しています! 子供達も持ち物を今一度調べている最中です!」 「この部屋はクーたんの結界の中だから、ボクとこうして逢っている形跡も解らない……… ボクと逢うと謂うのはね、それは次は狙われますよ!って謂ってる様なモノだからね」 今枝は遣る瀬無くて烈を抱き締めた クーは「その人間、魂が綺麗すぎるからな俺が守護を着けてやろうか?」と言った 今枝は白い猫が喋って………嘘……ただの猫じゃないんだ……と想った そりゃ見た目は綺麗な白い猫………なんだけど……猫は喋らい 「クーたんお願いね!」 「よし!俺が齧って穴開けるからさ、そしたら守護天使を着けてるやる!」 今枝は齧って穴を開けると聞き………痛いのか?それは?と想った クーは今枝がそんな事を考える間に、耳をカプッと囓った すると牙が刺さりチクッと痛みに眉を顰めた そして呪文を唱えると白いキラキラした煙みたいなのが今枝の耳の穴の中へ入りピアスをした様に綺麗な石になり今枝の耳で輝いていた 「これで良いぞ!」 クーは少し血が出たからペロペロ舐めて癒やした 今枝は「クー殿ありがとう!」と礼を言った 礼を謂れクーは笑った 「普通猫に噛まれたら大騒ぎしそうなのに、この男は身動ぎ一つしなかった! 炎帝が見込まれただけの事はあるな!」と感心した 烈は忙しそうに「今枝、このデーターPCの方に送っとくから、それをニュースにして流してたり記事を書いたりして警鐘を鳴らしてね!」と言った 今枝は「必ずや警戒する様に流して行きます!」と約束した 烈は今枝のPCにデータを送る事を約束し、先に今枝を帰らせた 烈はケントにチェックアウトをさせるとホテルのレストランでお茶をして会社へ戻った 今枝や約束通り、防犯カメラの映像を系列のテレビ局で流し、記事にしてくれた このニュースを切っ掛けに、願いが叶うぬいぐるみは危険だと警鐘を鳴らし注意喚起は出来たが…… 家にあったぬいぐるみを見付けて捨てに行こうとした者が爆破の被害に合い、人々がその爆発に巻き込まれ、倭の国は何時起こるか?解らぬ爆破の恐怖にパニックになりつつあった マスコミは連日 何故ぬいぐるみが爆破するのか?を検証しまくりカメラの前でもぬいぐるみは爆破した 研究機関に渡されたぬいぐるみも悉く爆破して、検証さえさせずに跡形もなく姿を消していた 匠は翌日退院したが、学園は1週間の休校となった 保護者説明会を開いた時、防犯カメラの映像が流され説明した だが被害にあった父兄はぬいぐるみが爆発する訳が無い!それは作った映像だろう!と主張し、学園側の責任を要求したが、全国各地で願いが叶うぬいぐるみが爆破したと謂うニュースが流れると、何か謂うのを辞めた 桜林学園は私物を一切持ち込むのを禁止した もし持ち込んだ場合、突発的な事故が起きても自己責任で、と謂う事が決まった それに伴い、各クラスに防犯カメラが設置される事となった ARЯK警備保障へ依頼され、その映像は一週間保存され、異常がなければ削除を繰り返す事で契約は決まり依頼された マスコミは桜林学園の不手際を唱えていたが………… こんな予想も出来ない突発事故を誰が予想出来たのか?と世論を納得させた新聞記事で沈静化された 父兄も世論も提示された防犯カメラの映像を前に、誰の落ち度も責任も問える事は出来なかった 烈は度重なる事件に学園へ登校するのを辞めた 両親に相談すると康太は「それも止む得ねぇな………お前がそう言い出すの解っていたしな」と言ってくれた 退学すると申し入れて来た烈に、学園長の四季と佐野が涙ながらに辞めないでくれと訴えられ、休学と謂うカタチを取った だが長瀬は休学した烈に宿題を出し、ZOOMで授業に参加させたりとして休学になっていたのだが……休ませる気は皆無だった 菩提寺の職員の中にも、やはり願いが叶うぬいぐるみを持っている子がいて、運悪く菩提寺職員用の新築マンションで爆破しそうになった 異変を感じた陰陽師 紫雲龍騎が異変を察知し、即座に飛んで爆破の瞬間ぬいぐるみを空高く投げ飛ばしてくれたから、天空で爆破させる事が出来、新築のマンションから爆破の脅威から護ってくれた その職員は何故確りと探さなかった!と厳重注意された が、その職員は家中探している映像を遺していた だから持ち込んだとしたら、その後に我が子が持ち込んだ事になると言った 子供に良く話を聞くと友達の誕生日会に出席した時、帰宅する時皆にお返しの紙袋を渡されたと謂う 多分持ち帰ったとしたら、その時だとその子は話してくれた 時を同じくして、紙袋を持ち帰った子は自分達の部屋で紙袋が爆発して留守だった家は家が爆破にあい、在宅していた家の子は…………死者まで出たと謂う 警察がその紙袋を渡した友達の家に事情を聞きに向かった所、その家は引っ越した後で……… その家の住人の提示した戸籍は総て嘘で巧妙に偽名を使っていたと謂う 倭の国がちょっとしたパンデミックになっていた ぬいぐるみは全て危険だと謂う者まで出て来て………弱小企業の玩具屋は軒並み倒産の煽りを受けていた 不穏な空気が世の中を包んでいた だが飛鳥井の家族は結構忙しいけど、平穏に暮らしていた 烈はそんな頃、呪いを掛けられている事が解った クーが「お前、呪われてる匂いがするぞ!」と言ったのが発端だった 烈は「え?ボク呪われてるの?」と半信半疑で問い掛けた 「おー!呪詛の匂いがする!」 「えー!どうするのよ? ボク死んじゃうの?」 「まぁ落ち着け!呪詛なら何とかしてやる!」 「え!どうやるのよ!」 「耳を貸せ!」 ヒソヒソ ゴニョゴニョ カクカク シカジカ 烈は頷きながら聞いていた 「ならボクはにーに達やカズに助けを求めて動いて貰うわね!」 そう言い兄達や一生、聡一郎、慎一に助けを求めるラインをした 即座に動いてくれた兄達や一生達と菩提寺の保養施設へと場を移し買い物へと出掛けた 兄達に手伝って貰い買い物を終えると、即座に作業に取り掛かった ある程度、終わると烈は風呂に入り体を洗った ベタベタと気持ち悪い感触を洗い流し一息着くと烈は母に 「ボク、どうやら呪われてるらしいのよ」とラインを送った 康太はそのラインを見て慌てて 「伊織!烈が呪われてるって!!」と訴えた 榊原は眉を顰め烈に『今何処ですか?』と問い掛けた 「ボクは菩提寺にいるわよ!」 『直ぐに逝くので待ってなさい!』と言い榊原は瑛太に「烈の事で菩提寺まで行って来ます!」と連絡を入れ康太を連れて菩提寺へと向かった 菩提寺の駐車場に車を停めると、菩提寺へ入って行き城之内を捕まえると 「烈は何処ですか?」と問い掛けた 城之内は「烈なら保養施設の3階にいるぜ!」と言った 康太と榊原は即座に保養施設の3階へと向かった 烈はお風呂に入っていたのか?バスタオルを腰に巻き付けて椅子に座っていたが構わず 「それはどう謂う事なんてすか?」と尋ねた 烈は「クーたんがね、お前呪われてる!って言ったにょよ!」と訴えた 榊原と康太はクーに視線を向けた クーは「烈から呪いの匂いがするんだよ!誰かに呪われたんだよ!烈は……」と返した レイが「ゆるしゃにゃい!」と何やら唱え様とするクーはレイの口を前足で押え 「呪文は唱えるな!」と叱った 榊原は「何か方法はないんですか?」と尋ねた 烈は「今 クーたんが呪いを移す方法を教えてくれたから、そーちゃんやカズ、慎一きゅんに頼んで蒟蒻芋のパウダーを買いに行って貰ってるにょよ!」と言った 兄達は粘土で烈の型を取っていた 流生は「百均で粘土を買いまくってやっと烈の表と裏の型を取れる様になったのよ!」と説明した 榊原は「粘土で型を?それをどうするのですか?」と問い掛けた 翔が「その型の中に蒟蒻を流し込み、烈の身代わりになる存在を作るんです!」と話す 音弥が「その蒟蒻の烈の中に呪いを移すのは可能だとクーちゃんが言ってくれたから、今作ってるのよ!」と説明した 太陽が「どう?クーちゃん 烈の型取れてる!」と問い掛けた 大空が「烈が呪われて死んだら、僕とレイが呪い殺してやるのよ!」と物騒な事を謂う 翔が「かな、僕らの弟は弱くはないよ!呪いになんて負けないから!」と言った 「翔…………」 大空は翔に抱き着いて泣いた 「僕らの大切な大切な弟だから、守るんだ!」と翔は言った 「にーに、服着ても大丈び?」 何度も何度も型を取り直して、烈は粘土でベタベタだった 取り敢えず風呂に入り、バスタオルだけ腰に巻き待機していたのだった 流生は「クーちゃんどう?これで流せる?」と聞く クーは「大丈夫だな、烈服着ても大丈夫だぜ! そのちっこいポークビッツ隠せよ!」と失礼な事を謂う 烈は「失礼にゃー!」と怒っていた 兄達は笑っていた 康太も榊原も烈に悪いと思いつつ笑っていた 暫くして聡一郎と一生と慎一が両手に一杯のトートバッグを手にして戻って来た 慎一は両手一杯のトートバッグから蒟蒻芋のパウダーを取り出すとテーブルに並べ 「これで烈の型を取るのに十分ですかね? 取って余ったなら、当分は蒟蒻料理になりそうですね……」とボヤいた 素材を無駄にしたくない慎一は頭の中で調理法を考えていた 康太は「その蒟蒻のお金は誰が払ってるのよ?」と問い掛けた 慎一は「烈が払いました、でも俺等も聞いた以上は協力するから割り勘で割ったんですよ!」と烈にお財布を返してそう言った 榊原は「ならば今宵は余った蒟蒻で鍋にします! 皆を呼んで蒟蒻パーティーをしましょう!」と言った 康太も「等分で割る時は声を掛けやがれ! ならオレは刺し身を買ってやんよ!」とボヤいた 烈は服を着ると皆の前にボールを出した それも百均で買って揃えたモノだった 兄達が其処へ買って来た蒟蒻芋のパウダーを入れて捏ね始めた 慎一と一生は粘土を固める固定剤を塗って、裏と表を重ねて立たせた 頭の天辺あたりに蒟蒻を流し込む、注ぎ口を作り其処へ流し込む様にした その後は只管蒟蒻を捏ねて捏ねて捏ねまくる 慎一や一生や聡一郎も榊原も康太もコネコネと捏ね始め、流し込み型を取っても崩れない様に均等の硬さ調節して、型枠の中へ蒟蒻を流し込んで行った 蒟蒻芋のパウダーはかなり要ったが……頭の天辺まで満遍に蒟蒻を注ぎ、後は固まるのを待った 蒟蒻芋のパウダーは多めに買ったからテーブルの上には何個か余っていた そしてボールの中の蒟蒻も少し余った 榊原はその蒟蒻を色んな形で作ると、兄達も楽しそうに余った蒟蒻を色んな形に作った 榊原はそれを茹で「此れで今夜は蒟蒻鍋パーティーをやるとします!」と言った 烈は「ならあきましゃと直くんとおーちゃん呼ばなきゃ!ばぁたんとじぃたんは時間あるかしら?」と思案した 最近は真矢と清四郎は仕事が忙しくて中々お茶する時間もなかった 取り敢えずラインしておいた 神野達はグループラインを持っていたから、グループラインに連絡を入れた そして祖父母には個別でラインを送った 真矢は今 倭の国にはいなくて海外ロケで、清四郎は沖縄ロケで無理だった 神野達は大きなイベントが控えていて、今てんてこ舞いの忙しさで無理だとラインがあった 烈は両親にそのラインを見せ 「ボクを呪って孤立させるつもりね 次はにーに達が、その次はじぃしゃん達がボクから離れて行くのね」と呟いた それは康太がやられた事だった 仲間や家族と距離を取らせれ………気持ち悪い事態に追い遣られた事が在った 康太は「何かオレがやられた事をなぞる様にやりやがるのな!」と言った 烈は母の耳にだけ聞こえる様に 「ボク少し家から消えるわ」と言った 康太は頷いた 蒟蒻が固まると枠から外し、蒟蒻烈を立たせると、その前に烈を立たせた そして烈の呪いをその蒟蒻烈の中へ移すと、烈の呪いは蒟蒻烈へと移った クーは「此れでお前の呪いはこの蒟蒻烈の中へ移った!この呪術師は結構腕が良い………そして願いが叶うぬいぐるみの呪いと同じ匂いがする!」と言った 榊原は「願いが叶うぬいぐるみで烈が死ななかったから……直接本人に呪いを掛けた………と謂う事ですか?」と問い質した 「そう謂う事だろ? この蒟蒻烈は烈の部屋に置いて置いてくれ! 烈の服を着せて置いてくれ! もし爆破したとしても即座に返して修復してやるから、そこは安心しろよ! まぁ爆破で返されたから今度は爆破はしねぇと想うけどな、死なねぇならば有り得るからな! 烈の部屋に俺の結界を張っとくから即座に動いてやる!」 康太は「ならばこの蒟蒻烈に服を着せて部屋に置いておくとする!」と言った 榊原は「今宵は蒟蒻鍋パーティーなので消えるのは許しません!」と言った 烈は頷いた 榊原は烈を連れて飛鳥井の家と還った ケントは蒟蒻烈を後部座席に乗せて飛鳥井の家まで送り届けた その夜は蒟蒻鍋パーティーを開き、触感の良い蒟蒻を美味しそうに食べてお酒を飲んていた その夜 烈は飛鳥井の家から姿を消した 秋へと移り変わろうとしている頃だった 烈は飛鳥井の会社の中で生活をしていた あの隠し部屋は更にリフォームして広く快適にされベッドまで運び込まれ、虎之助親子も其処で生活していた 烈は更に社員達に目を向け、社内を見回り社員から話を聞くを徹底した 掃除のおばちゃんから食堂のおばちゃん達にも話を聞き、社内の不穏な芽を早目に摘むを徹底してやっていた 改善すべき点が出て来たら即座に対応した 兄達は烈に逢いに会社に出向いていた 兄達は「クーがね動かないと不審がられるって言ってね、蒟蒻烈に妖精を宿らせて動かしているのよ」とボヤいた 毎日の日課を蒟蒻烈がやる きっと烈が部屋に戻っても綺麗な部屋だろう……… 音弥は「今はね蒟蒻烈に愛着わいてね、応接間にまで来てるからワン達は怖かっていたけど、今は慣れて舐めてるわよ! あんまり舐めると擦り減るから、止めてるけどね!」と真顔で話す 烈は「蒟蒻烈に負けちゃう………」と不安がったが、どちらも烈なのだ そんな不安必要ないよ、と弟を抱き締めた 蒟蒻烈が烈の部屋で過ごす様になって一週間が過ぎる頃………蒟蒻烈はベッドの上で冷たくなり動かなくなってしまった 最初に気付いたのは大空だった 大空は泣きながら母に「蒟蒻烈動かない!」と訴えた 康太と榊原は烈の部屋に行くと、ドサッと蒟蒻烈は倒れて動かなくなっていた 榊原は「呪詛が成就したと謂う事ですか?」と呟いた 康太は「そう謂う事なんだろ?クー」と問い掛けた クーは姿を現し「まぁそう謂う事だ、この蒟蒻烈は死した、中にいた妖精は可哀想だが烈の変わりに死して輪廻の道を渡らせた!」と言った 榊原は「ならば菩提寺へ連れて行き供養させます!」と言い蒟蒻烈の体を白いシーツで包んだ そして康太と共に菩提寺へと向かい………蒟蒻烈の供養を頼んだ 城之内は萎んで固まって行く蒟蒻烈の体を目にして「了解した、この中の妖精が輪廻の道を逝ける様に経を唱えるとする!」と約束してくれた 裏の空きの出た開発の予定のない区画の墓地に蒟蒻烈を埋葬し弔い、経を上げて供養する 埋葬され蒟蒻芋はその内土に返るだろう……… その内 そこへ木を植えよう そしたらきっと綺麗な花を咲かせてくれるだろう…… 康太と榊原は両手を合わせ冥福を祈った 康太と榊原は会社に戻ると烈に蒟蒻烈が死んだ事を伝えた 烈は何も言わず、その現実を受け止めていた 康太はポケットからネックレスを取り出すと、烈の首に掛けてやった 烈はそのネックレスを手にして「これは?」と問い掛けた 「そのネックレスはオレが呪詛を受けた時に作った鏡なんだよ! それを烈のサイズに小さくしてお前の兄達にも分けて6等分にした呪い返しの鏡を遣っている その鎖はガブリエルに頼み神聖な銀を遣い編み込ませた鎖だ!魔除けの意味を込めてお前達6人分用意させた! お前は既に天照大御神の勾玉を一つ与えられてるからな、重ねて着けて身を護ってくれ!」 「母しゃんも呪われたにょ?」 「あぁ、お前がされた事は総てオレがやられている事と大差ねぇんだよ!」 「そんな昔から狙われていたのね………」 「今想うと……お前がやられている事は総てオレがやられた事だからな……貴史と事故に遭った場所もオレが神野と小鳥遊巻き込んで事故した場所だし、お前が交差点で車を突っ込まれた事故はオレの駒を狙った事故と一緒だ ナイフにボーガンに銃弾、総てがオレがやられた事の再来だ……」 「なら次は………ボクの駒を狙われるわね……」 「五つ子か?」 「あの五つ子は甲賀の里の忍びの家系よ 前世に助けて駒にして飛鳥井に入れたにょよ! 呪い程度ではダメージすら与えられにゃいわよ ならボクの駒………いないじゃない! 総ては出してにゃいからね、どれが駒かなんて解らないわよ! 国崎健人は今イギリスだからね時計塔の魔術師が護ってくれると女王が約束してくれたにょよ だから安心にゃのよね………」 「甲賀の里の忍びの家系……すげぇのスカウトしたんだな」 「足抜けは重罪だから殺されそうだったにょよ そこに出会し助けたのが切っ掛けだったのね ボクは昭和の世の中に忍びがまだいたのに驚きだったわよ、まぁ昭和って言っても昭和元年頃のお話にゃのよね……」 「オレの半分で転生してるんだったよな?」 「そーなのよ、恵方が飛鳥井の終焉を詠んでしまったからね 手を打たないと………って頑張ったにょよ!」 「恵方は前世で………飛鳥井の終焉を詠んでいたのか?」 「そうよ、だから恵方が宗右衛門何とかしろ!って謂うから、ボクはずっと音信不通だったとうしゃんに連絡して動いて貰う事になったにょよ! しかも………怒りまくったとうしゃんから拳骨かまされたのよ そんな想いしながら1000年続く果てに乗せる為に転生して来たにょよ!」 怒り狂った大歳神が想像出来るから言葉もなかった 我が子を愛して、我が子幸せだけを願っていた父なのだ その我が子が親と距離を取るならば………哀しくとも自分らはアクションを取りはしないだろう だからこそ頼って来た我が子に拳骨をお見舞いしたのだろう………… 人の世に堕ちてからは宗右衛門として生きて行く為に、父親とも音信不通だったのか………と改めて聞けば…聖神の覚悟にも似た想いを知らされ、康太は烈を抱き締めた 「お前とレイを何としてでも護り通すかんな! そして………1000年続く果てへと繋いで行こうぜ!」 何時まで生きられるか?解らないが………護り通すと心に決めた その想いは今も揺るぎはしない……… 「あのさ、母しゃん毒飲んでいたし体内蝕まれて長生きて出来ないって想ってにゃい?」 康太は烈を離すと不思議そうに烈の顔を見た 「母しゃんの体内の毒、レイがとうの昔に抜いといわよ! 母しゃんが死ぬ可能性があるとしたら……それはラスボスとの闘いになるわよ……」 「え?オレの体内の毒……レイが抜いたのかよ?」 そう言えば毒の影響で内臓の機能も低下していた 何かに着けて入院してもう駄目かと榊原や家族や仲間を心配させて来た……… だが今はそんな事は嘘みたいに、最近は入院すらした事がない もっぱら烈とレイばかり入院していた 「後、母しゃんの運命の軸がズレていたから戻したと言ったじゃにゃい! だから病気や怪我で命を落とす事はにゃいわよ!」 「え?オレ元気そのもの?」 烈はうんうん!と頷いた 榊原は嬉しそうに笑っていた 康太は嗤い「ならば最終決戦に全力を注がねぇとな!」と言った 烈は「その前に邪魔な黒猫殺らにゃいとね!」と謂う 「だな、チョロチョロウザい蝿ばりにウザいよな!アイツ!!」 「ボクを呪い殺そうとするし…………」 「殺らせるかよ!オレの子を!! オレの子は6人とも1000年続く果てへと逝く子達だかんな!殺らせるかよ!」 「その前にリフォーム終わるわよ!」 「会長室、広めに作ってやったんだな 父ちゃんめちゃくそ喜んでたぜ! 社長室も安らぎの空間が出来たって喜んでたぜ! でも一番喜んでたのは伊織だな! 稀代の真贋の部屋、副社長室の中に出来たんだな」 「母しゃんの仕事の管理は秘書がやるからね 母しゃんは現場に行き仕事するなら一緒の部屋の方が副社長が頑張って仕事するからね!」 的確に詠んでる辺りが末恐ろしいが、無事に帰還した姿が直ぐに見えてるから安心して仕事が出来ているのも現実だった 仕事を終えた康太の無事を直ぐに確認出来る今の部屋の方が良い 「秘書課の部屋も広くなったって秘書が喜んでたぜ!何せ秘書課の控室が下の階にあるからな 息抜きするのにあの空間は本当に癒やされるって言ってたぜ!」 秘書課の秘書の控室は二部屋続きで作られていた 一部屋はコピーを取るのに便利なプリンターを入れたり、作業するのが楽な様に大きなテーブルを入れていた そしてもう一部屋は応接セットを入れ、其処でお弁当を食べたりお茶したりする部屋になっていた 秘書課の秘書子さん達はお弁当が多いから、食堂で食べてる遼太郎達の様には行かなかった また遼太郎、宗太郎、英太郎兄弟が休憩時にそこにいる秘書が珈琲を入れてくれたりして、結構仲良く秘書達は過ごしていた 佐伯も今では結構ガサツな男前になり、遼太郎達とお茶したりカフェでお茶したりして過ごしていた 不穏な空気は孕んではいるが、平和な光景が在った 平和ボケしてしまいそうな………日々に警戒も弱まる それこそ相手の狙いなのかも知れない……… そんな頃 エスカレーターのリフォームが完成した 社内は能動的な空間を醸し出し、皆画期的に動いていた 会社に新しい風を吹き込み、より能動的に息吹を吹き込む 飛鳥井建設の1000年続く果てへの闘いは始まったばかりだった

ともだちにシェアしよう!