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第65話 低迷 混迷 迷メイめぇぇぇ〜  ❶

仮設の社務所を取り壊し終わる頃 道場は完成を迎えた 此れで菩提寺 楽巌寺は納骨堂の建築と参拝堂の建築だけとなった 道場は始まる前から人気で1階は合気道、柔道 躰道等を 2階は極真空手や護身術を 3階は少し天井を高くして剣道、薙刀、居合等を 其れ等を曜日と時間で振り分けて生徒を募集した 護身術は仕事帰りの時間帯や、週末に受講を希望する女性の希望者が殺到した 護身術と剣道と薙刀、居合はARЯK警備保障の元警官だった人とかが受け合ってくれたり、人を紹介してくれなりして講師になってもらっていた その中でもかなり有名で大会を賞を総ナメしたと謂う元選手が講師になってくれたのは大きかった 曜日と時間を分けたから、良い具合に生徒はバラけてくれたのも大きかった 始動した道場に雅龍が通い、一生も通い始めた まずは合気道と柔道の黒帯目指して一生は頑張っていた 雅龍は薙刀と居合に重きを置き、習っていた 龍星が小学校を卒業するまでに、ある程度習って魔界で教えねばならないから必死で食らいついていた 菩提寺で毎朝繰り広げられる太極拳は、受講料千円の安さだったからご近所の老人達から口コミで広がり今じゃかなりの人が参加していた 菩提寺も起動に乗り、次から次へと建築が始まる まだまだ気の抜けない状態ではあるが、菩提寺に新しい風を吹き込めたと烈は想っていた 烈は狙われている事を良い事に、榊原の祖父母や神野達とも距離を取り過ごす事にしていた 桜林にはZOOMで授業に参加はするけど、登校はしていなかった そして会社で寝泊まりするのも限界があると想ったから、会社の近くのマンションを神威に借りさせて、その部屋で生活する事にした 烈はレイを連れてその部屋で過ごす事にした 虎之助親子は新居に連れて来たが、飛鳥井の家族や一生達にも新居が何処にあるのか?は知らせてはいなかった 慎一は食事の事があるでしょ!と詰め寄ったが巻き込むから………と教える事はなかった 日々の食事はどうしているのか?家族や慎一達は心配していた 飛鳥井の家から烈とレイが消えた だがまだ会社に行けば烈に逢えたから、家族はまだ安心はしていた だがリフォームが総て完成した後、烈は会社に顔を出す事はなくなった 自分がいたら狙われているから巻き込んでしまう そう考えた烈は家族と距離を置いた事を、康太は家族に伝えた 神野と須賀と柘植と相賀は…………烈と連絡が取れなくなり………あの日誘われた時何故飛鳥井へ行かなかったんだ、と後悔した それは真矢も清四郎も同じだった、何故あの日烈に誘われた時断ってしまったんだろう………と悔いていた 海外ロケで海外に行っていた真矢は、海外の水が合わず体調を壊して帰国早々入院した その時………初めて烈と連絡が付かなくなっている事に気付いて後悔した 皆が後悔を募らせて、烈に逢いたいと康太に訴える 兄達も烈は何処へ言ったのか?両親に問い掛けた 両親は無言で教えてはくれなかった 烈………レイ…………何処へ行っちゃったんだよ…… 兄達は弟を想い、日々探した だけど烈とレイは何処にもいなかった 皆の前から消えた烈とレイは冥府の闇が漏れ出て異空間と化した闇の間に来ていた 皇帝閻魔と共に世界軸を歪めている闇の対処に当たる 最初はちまちまと闇の昇華に当たっていた 闇の浄化をして少しは減らした………と想っても翌日はまた元に戻っていた 冥府の皇帝炎帝が住んでいた屋敷で過ごし、間へ出掛けて闇を昇華する………を繰り返していた 皇帝炎帝の屋敷では熱烈歓迎を受けた 皇帝炎帝の息子!!!と大歓迎され執事にはそれはそれはヘルシーな野菜料理ばかり用意され、久遠に怒られない現状に助かっていた 聖鳥 朱鷺とクーも烈と一緒に冥府に来ていた 闇を蹴散らせ最初は頑張っていたが、今じゃヘロヘロのヨレヨレになっていた 烈はその闇が消えない現状に段々と面倒臭くなって来ていた 約束したから冥府に行って間の闇を消し去る為に日々頑張ってはいるが……… 2週間も経つ頃には、減らない闇にウンザリしていた 「その闇ごと消し去ってやるにょよ!」と烈は言った 「れちゅ!れい ぎゃんばる!」 「レイたん闇を消し去る呪文、唱えるわよ!」 烈の言葉に皇帝閻魔は「そんな呪文あるんですか?」と問い掛けた 自分は創世記の一柱だが、そんな呪文など知らない その呪文は何時、何処で生み出された呪文なのか?さえ解らないのだ 「闇を祓う呪文があるにょよ! その呪文は天体に携わり幾多の星を破壊し、幾多の闇を消し去り受け継がれ、語り継がれ、記憶の奥深くに封印され封印事受け継がれ今に至る 天地天聖天動説に基づく闇を破壊する呪文にゃのよ! 遥か昔の賢者や賢人はあまりの強大な力に……封印したとまで謂う呪文にゃのよ!」 「え………それを今遣われると申されるのですか?」 「そうよ、景気よくド派手にぶっ放して消し去ってやるにょよ!」 流石……我が子の魂を受け継ぎし子だとつくづく想う その横でレイはうんうん!と頷いていた 「レイたん!やるわよ!」 「れちゅ!」 二人は手を重ね呪文を唱え始めた 皇帝閻魔はえっ!!…………もう始めちゃうのですか!!!!と唖然となった 闇を祓うは光なり 光は闇を祓い影を深める 影は何時しか大きな闇となり 「「蠢き広がり暗黒の世界を創る」」 二人の声が重なる その声の上に幾多の声が重なる その呪文を生み出し封印して消え去った賢者や賢人の声が重なり呪文を唱える そしてヘルメースの声が響き渡り かなり長い時間、息を乱す事なく詠唱を続ける 「闇よ、消え去れ!」と印字を切ると、暗黒の闇に亀裂が走った 何本も亀裂が走り、ボロボロと光に飲まれて闇が消える 「創生の光よ! 創世記の輝きよ! 今 この空間を清め給え!」 ニブルヘイムが唱えると目が開けていられない程の光りに包まれた 世界軸の闇の空間は祓われた ヘロヘロのニブルヘイムは「さぁアイツが好き勝手出来ない様にこの空間は二度と闇に染まらぬ様にして下さいよ!」とボヤいた ”解っているよニブルヘイム この地は二度と闇には染まらぬ様に封印するとしよう!” 「後、此処があるから黒いのが動きやすいって場所は?あるですか?」 ”今の所、それはない………また有ったとしても、後は他の神に頑張って貰うしかないから大丈夫じゃよ!” 「よりによって願いが叶うぬいぐるみとか作りやがって!! 僕は絶対に許しません!烈を狙いやがって許せる訳が無い!」 と、私情をバンバン織り交ぜて怒る ニブルヘイム相手に弱気な創造神なんて想像も付かないけど……… 皇帝閻魔はニブルヘイムの生命力に溢れた姿を見ていた 烈は「レイたん!」と謂うとレイは黙った 「ならボク等は人の……」と言おうとして烈は倒れた 慌てて皇帝閻魔が烈を抱き締めた レイも力使い果たして倒れた クーとトキは空間の浄化をして戻ると気絶してる烈とレイを目にして「ガス欠だな!」とボヤいた クーは「俺はレイを、トキは烈を咥えて素戔鳴殿の所へ飛ぶぞ!」と言い皇帝閻魔の手から烈とレイを渡して貰うとクーは 「それでは、またな皇帝閻魔!」と言いひとっ飛びして消えた 皇帝閻魔は我が息子 皇帝炎帝のリビングに姿を現すと我が子を呼んだ 康太は呼ばれて服を着てリビングに行くと皇帝閻魔がいて「親父殿どうしたんだよ?」と問い掛けた 皇帝閻魔は笑って「お前の息子は本当にお前の魂を受け継いで破天荒で大胆で豪快な子ですね!」と言った 康太は「え?烈とレイ、冥府にいたのかよ?」と問い掛けた 「ええ、約束通り冥府の外に出来た異空間となった間を修正してくれる為に来てくれました! 八仙に伝言を貰い崑崙山へ出向いた時、それを告げられ以来、間の浄化に当たってくれていました ですが、やはり君の子ですね 消えない闇に面倒臭くなって天地天聖天動説に基づく破壊の呪文を、景気よくド派手にぶっ放して消し去ってやるにょよ!と仰り唱えたのです! 間の闇の異世界は亀裂が走り崩壊させられ消えました その後は創造神により二度と闇に乗っ取られない様に呪文を唱えて貰いました! 本当に君の子はやる事も成す事も破天荒で………見てる私は物凄く慌てました…………」 康太はたらーんとなった 榊原は気を取り直し「烈とレイは今は何処ですか?」と尋ねた 皇帝閻魔は「烈は君達に行先を告げずに来たのですか?」と問い掛けた 「いいえ、ちょっくら冥府に行くにょよ!とラインして後は音信不通です! で、その我が子は今何処ですか?」 「二人は闇を消し去って封印を施した後に気絶したので、朱鷺殿とクー殿が素戔嗚殿の所へ連れて行くと謂われたから、私はそれを知らせる為に君達の前に現れたのだよ!」と皇帝閻魔は説明した 康太は「んとにオレの子は……大人しくしててくれねぇかな? 命狙われているんだから、心配するじゃねぇかよ!」とボヤいた 親になり我が子を心配する姿に…………皇帝閻魔は涙を流して感動していた 康太は涙を流している皇帝閻魔の姿に「親父殿?」と問い掛けた 「君が親になっていて……私は本当に嬉しいよ あぁ………でもあの子は君と同じ様に破天荒な嵐を呼ぶ男ですね 本当に君によく似てて生き写しかと想いました 面倒だから、景気よくド派手にぶっ放して消し去ってやるにょよ!と謂う台詞は君以外に聞いた事がない………」 榊原は面倒だから………で何でもかんでも消し去ろうとする康太を何度も止めて来たのだ その大変さを我が子にもしなきゃならないのだと、つくづく想った 榊原は「烈は本当に母親の気質を強く受け継いで生まれて来ちゃいましたからね」とボヤいた 「オレ産んでねぇ!」 「あぁ、伴侶殿もそう痛感していますか?」 康太がボヤいて謂うが、榊原も皇帝閻魔も聞いちゃいなかった 「ええ、烈は康太の仲間達からも良く似てると言われてます!」 「私は久し振りに我が子と一緒にいる気になれて楽しかったです! 2週間は皇帝炎帝の屋敷で一緒に過ごしました 執事のクライスも皇帝炎帝様そっくりと泣いていた程なんだよ伴侶殿!」 「オレは産んでねぇってば!」 「でしょうね、コピーの様な我が子を持つと、苦労も倍です! きっと烈は母が冥府の闇の昇華に当たるなら、面倒だからともっと酷くぶっ放すのを危惧してレイと共に行ってしまったんでしょうね」 「本当に優しい子ですね 約束だからと朱鷺殿とクー殿を連れて来てくれました!まぁやはり炎帝の子なので面倒だからと、景気よくド派手にぶっ放して消し去ってやるにょよ!と言って呪文をぶっ放してましたけどね」 「だから!聞けってばよぉ~」 榊原は皇帝閻魔に深々と頭を下げ 「ならば我が子の連れに行きます! 知らせて下さりありがとうございました!」 「迎えに行って上げて下さい! それでは私はこれで!」 皇帝閻魔は康太を抱き締めて、離すと姿を消した 榊原は飛鳥井の屋上から飛べば………居場所が知られてしまう……と康太と共に菩提寺へと向かい 試練の間から崑崙山へと向かった 崑崙山からは愛馬を呼び出し素戔鳴尊の屋敷を目指した 途中で黒龍が康太を見付けて「どうしたのよ?」と問い掛けた 康太は「我が子を迎えに来たんだよ!」と謂う 黒龍は「烈とレイか?素戔鳴殿の家にはいねぇぞ!憔悴が酷すぎて閻魔が人の世に連れて逝ったんだよ!」と伝えた 「え?閻魔自ら人の世に逝ったと謂うのかよ?」 「閻魔は地獄界にも天界にも視察に出向いているからな、人の世に視察にも何度も行ってるから今は不思議じねぇんだよ」と謂う 「何よそれ?何で急に行動的になってるのよ?」 「それは聖神が齎した変革期に置いてかれねぇようにするには己の目で見るしかねぇからだろ? 俺も魔界へ還って来て族長になったけど、週末は烈の意識改革の授業を受けて足りない部分を勉強したり大変なんだよ! だからな烈には元気にまた魔界に来て貰わねぇとならねぇんだよ!」 康太は黒龍を見た 引き締まり鍛え上げられた体は修行の厳しさに耐えて身に着けた証だった 「お前、男前になってねぇか? 族長になったしモテるだろ?」 「あー!そんな浮ついた話しは止めてくれ! 烈の耳に入ったらレイに飛び蹴りかまされるやんか!」と止めた 昔の黒龍ならばヘラヘラと受け流していたのに、今の黒龍はキッパリ言葉にしていた 変われば変わるものだな……と想いつつ 「ならオレは倅が心配だからこのまま人の世に戻るとするわ!」 「おー!また烈の元気な姿を素戔鳴殿に見せてやってくれると助かるわ!」 「元気になったら閻魔庁の建設もあるし来るだろ?」と言い康太は崑崙山まで向かって走った 榊原は龍に姿を変えると妻を背中に乗せ 「僕の方が君に愛されてますよね?」と問い掛けた 「当たり前やんか! オレは蒼い龍しか愛せねぇよ! 黒龍は結構鍛え上げられたからな、聞いただけだよ、だけど変わったな押せば謂う事を聞くお人好しの黒龍じゃねぇって想ったんだよ!」 「そうてすね、兄は変わりましたね 今は赤いのがかなり道場で鍛え上げられているみたいです 雅龍も薙刀や槍を習得しなければなりませんからね………皆イケメンになっても君は僕だけを愛して下さいね!」 「当たり前やんか!オレはお前だけを愛してるに決まってるやんか!」 「捕まってて下さい! 烈を見舞った後は愛し合います!」 やはり妬いていたのだ 愛する男は愛されているのが解る癖に妬くのだった 飛鳥井記念病院の横のマンションの屋上に降りると、榊原は人の姿に変わり康太と共に病院へと急いだ 病院へ入り病棟の面会受付に烈とレイの面会を申し出る 今は病棟に不審者を入れない為に、総ての面会の申し出は病棟の面会受付を通さねばならない 係の人間が烈とレイの病室を告げると、康太と榊原は面会バッチを貰い、それを着けて個室へと向かった エレベーターに乗り個室のある階まで向かう 烈とレイの病室をノックするとドアを開けたのは神威だった 康太は「烈とレイは?」と神威に尋ねた すると「消耗が激し過ぎるのでICUに入っています」と答えたのは閻魔だった 「兄者!二人を連れて来てくれたのは兄者なんだな、ありがとう」 「烈に倒れられたら閻魔庁の建設に遅れが出てしまうので、何としてでも治して貰わねば困るのです!」 と謂う 閻魔と話していると久遠がやって来て、康太と榊原に病状を話す 「烈、何食っていたのよ?」と康太を見るなり久遠は問い掛けた 「え?それはオレには解らねぇよ 人の世で一ヶ月半近く、冥府の時間ならば2週間近く、飛鳥井にいなかったからな…… 凄く贅沢なの食ってて血糖値が大幅に影響あったのかよ?」 きっと皇帝炎帝の執事が饗したのだから、贅の限りを尽くして料理したんだろうな……と康太は想っていた 「違うって!栄養失調一歩手前なんだよ! 葉っぱしか食ってない様な健康状態なんだよ!」 「え!!栄養失調一歩手前!!!」 「烈が謂うには葉っぱ料理は美味しかったにょよ!と言ってたが、葉っぱ料理って何だよ!と聞きたかったんだよ!」 「葉っぱ料理………それこそオレが聞きてぇよ……」 康太がボヤくと榊原は「レイも栄養失調なんですか?」と尋ねた 「レイはガス欠で倒れただけだ! かなり栄養状況は良いからな、葉っぱは食ってなかったんだろ?」 あぁぁぁぁ!!ヘルシーな野菜をわざわざ頑張って作らせたのだろう………… 烈の為にヘルシーな葉っぱ料理を用意したのだろう……… 「烈は今 栄養不足だから栄養素の点滴をしている、それと栄養失調ばりの衰弱で自力で食事も取れねぇからICUで管理して眠らせている 数値が元に戻ったら病室に戻しておかゆからだな レイは明日には病室に戻して、少しガス欠を補えたら退院して良いが、アイツはどうせ返しても食べねぇからな烈の退院まで寝かせとけ!」 説明すると久遠は病室を後にした 久遠がいなくなると、康太はソファーにドサッと座った 「痛い!!!俺を踏み付けるな!!」と怒りの声が響き……… どうやらクーの尻尾の上にドサッと座った様だった 榊原はクーを抱き上げ、尻尾をサスサスと撫でてやった 「クー、君は食べてましたか?」 「俺?俺はちゃんと食わして貰っていたさ トキも豪華な料理食ってて艶々だぜ?」 「烈は葉っぱだったのですか?」 「何を食いたいか?執事が聞いたからな その時烈はヘルシーな料理を所望したんだよ! だから執事が頑張ってそれはそれはヘルシーで美味しい料理を用意させたんだよ でもヘルシー過ぎて………美味しかったらしいけど、葉っぱがベースだったから栄養状態が悪かったんだろ? しかも冥府の野菜は不味いって、執事に野菜の改良をしろ!と指南していたからな アイツ野菜となると人が変わるからな…………執事がタジタジだったぜ! 野菜の改良やっちまうし、もっと住みやすい環境作るべきでしょう!と四帝呼んで説教するわ……冥府で過ごした2週間は退屈しなかったぜ!」 康太はそれを聞いて烈らしくて笑っていた …………が、冥府へ行って生活すると謂うのは普通の神ならば消滅して当たり前になる事態なのだ 「レイは元々が冥府の地下深くにいたニブルヘイムだからな冥府に行けるのは解るが………… 烈、冥府に行けるんだな………普通の神ならば消滅してしまうのにな………」と呟いた クーは「アイツの中は今も冥府の闇に染まっているからな、冥府に行っても消滅しねぇんだよ! 俺は冥府に入ったら消滅しちまうぞ! それは創造神だとてどうも出来ねぇ領域だから辞めろ!と言ったぜ でもアイツ………大丈びよ!と行きやがったんだ 今もアイツの中にはヘルメースが生きていて、烈と同化して生きているんだな……って痛感した」と刹那げに話した 榊原は言葉もなかった……… 我が子の背負うべき過酷な試練に………謂う言葉なんて見当たらなかった 康太は「冥府の異空間となった間は消滅させたか、となると好き勝手はもう出来ねぇって事だな 異空間の闇を使い好き勝手にあっちこっちと繋いでいやがったらしいからな! 其処を潰せば宇宙の果ての闇しかねぇ! もう冥府には入れねぇだろうしな………世界中の神々が一点集中して潰す時が来たって訳だな」と話した クーは「だろ?だからぶっ倒れてもあの異空間は消し去るしかなかった!それより俺は腹が減ったぞ………烈を咥えて魔界へ飛んで、それで人の世に還って何も食ってねぇからな」と訴えた 榊原は「なら君は飛鳥井へ帰りご飯を食べますか!神威、君も来ますか?」と問い掛けた 神威は「良いのか?俺は今日は何も食ってねぇからな腹が減って大変だった」と訴えた 康太は「あんで、そんなに忙しいのよ?」と尋ねた 「桜林の被害者との示談に奔走してるんだよ! 四季のヤツ、儂に案件放り投げやがって!」 「あの爆破に在った子の家族か? あんなの自己責任の範疇じゃねぇのかよ?」 「爆破は自己責任でもな、学園側も爆破で出た損害金を親に請求してるんだよ! 親はそんな金絶対に払わねぇ!と言ってるから、このままでは裁判に突入するしかねぇからな、落とし所を探って奔走してるんだよ」 爆破では学園側も一応被害者も出ている以上は見舞金や保険で医療費も出さねばならない ぬいぐるみを持ち込んだ子に対して、被害の損害賠償請求するポーズは取らねば、他の親に対して示しが付かないのだろう 私物持ち込み禁止を謳うならば、スケープゴートは必要なのだ 要らないモノを持ち込んだら弁償させられる! それを徹底的に知ら示しるつもりなのだろう 康太は「病室にいても烈もレイもICUから出られねぇからな飯を食いに還るぜ! 後で誰かに内密で越させる事にする!」と言い榊原と神威とクーを連れて帰宅する事にした 閻魔は妻と退院した我が子に逢ってから魔界へ還ると言うから菩提寺まで送ってから飛鳥井の家に還った 飛鳥井の家に着くとキッチンに向かいテーブルの上にご飯を用意した クーはキッチンテーブルの上に置かれたご飯を、箸を使い上手に食べていた こんな姿、家族には見せられねぇな…と想いつつ 「お前上手に箸が使えるんだな!」と感心して問い掛けた 「まぁ俺は姿はアイツに対抗する為の姿になっているけど、人と何ら変わりなく食事も出来る 逆にキャットフードとか出されるとアレは上手くないからな……食いたくねぇんだよ!」とボヤいた 「烈の部屋に虎之助用のキャットフードがありましたね?それを食べたのですか?」と聞いた 「烈の野郎、虎たんのご飯で大丈びかしら?ってキャットフード食わせやがったんだよ! 俺は口に入れた瞬間不味すぎて吐いたぜ!」 ボヤくクーに言葉もなかった 猫なのにキャットフードが吐くほど不味いなんて……… 康太は「なら今まで何食っていたのよ?」と問い掛けた それに応えのは慎一だった 「クーは俺のご飯を食べてました!」と答えた 「え!!こんな風に食っていたのかよ?」 「そうですよ?烈の猫なので喋ろうが箸を使おうがあまり驚きはありませんでした! この子はニャ~とも鳴きませんでしたね」 と、やけにシビアに話す 「なら今後は体調悪い時は久遠に診て貰うべきか?」と康太は思案する 「体調が悪い時は創造神に直して貰うから不便はない!」 クーの言葉に創造神に死命を与えられ生まれたのだと理解する 榊原は「ひょっとして飛鳥井の家族は皆 クーがこうして食べるの知ってるのですか?」と問い掛けた 慎一は「ええ、朝は烈と食べてますからね 最初は驚きましたが、皆受け入れてクーと楽しげに話して食べてますよ!」と謂う 飛鳥井の家族………どんだけ凄いのよ? 猫だぜ?猫が喋るだけでも変なのに、箸使ってご飯を食べてるんだから………驚こうよ……… まぁ何でも受け入れる家族だからこそ、ちっこいのも愛して他の子も愛して暮らしてくれるのだろう 家族の愛が嬉しかった クーは食後の緑茶を美味しく飲み干し、神威に 「烈が退院したらガード下に逝こうぜ!」と話し掛けた 神威は笑って「ならば今度また行くとするか!由香里も最近は飲みに来てるからな めちゃくそ賑やかになってるぜ!」と話す 楽しげに話していると翔達が塾から帰宅する時間となった キッチンにやって来ると、大空はクーを見付け 「クーちゃん、食事前に手を洗った?」と問い掛けた 「腹減ってたんだよ!俺は!」 「それでも手洗い嗽はしないと駄目なのよ!」 と言いクーのお口の横に着いてるお米を取り、お口を温かいお湯で濡らしたタオルで拭いてやる クーは気持ちよさげに拭かれていた 音弥は「クーちゃん足拭いた?」と問い掛けると、クーは気不味い顔をした 音弥は「もぉー!」と温かなお湯で濡らしたタオルで拭いてやる 何度も濯いで足も手も拭いてやる 流生はクーを撫でて「クーちゃんがいるって事は烈還って来てるんだね!」と嬉しそうに謂う クーは「栄養失調だけどな!」と謂うと兄達は心配して「え!!どう謂う事よ!それ!」とクーに迫った だがクーはそれ以上は話さなかった 口を割らせる為にクーの全身撫で、コショコショとするとクターっとなった クーはデローンと伸びて小さい白い猫になった 翔は「あ、やり過ぎた…」と小さい白い猫を抱き締めて撫でた 康太と榊原は笑ってその光景を見ていた だが一斉に兄達に視線を受け、烈の状況を話せ!と無言の訴えの視線に榊原は 「烈は今 栄養失調でICUに入ってます! 烈は狙われているので入院したなんて知られたら大変なので口外は禁止ですよ!」 榊原が言うと音弥は「レイちゃんも?入院してるの?」と問い掛けた 「ええ、レイもICUに入ってますが、栄養失調ではありません!ガス欠で数値が悪かったので安静にする為にICUに入ってます!」 「お見舞いに行きたい……駄目ですか?」 榊原は康太を見た 勝手な事は言えないから、康太が判断せねば何も言えなかった 康太は「見舞いに行くのは良いが、絶対に誰かに言うなよ!それは榊原の家族や友達にも、容易に謂うな!と謂う事だ! 烈が距離を取っている間は、何か考えが在るからそうしてるんだ! 連絡を取るならば、それは本人がやるからお前等は誰にも言わねぇと約束が出来るならば面会に行っても良い!」と言った 翔は「烈の果てを狂わせる事は我等兄達はしてはならないと覚悟はしてます!」と言った その日から兄達は烈とレイのお見舞いに行く様になった レイは翌日 病室に戻され体力を着ける為に午後からリハビリが入れられた 兄達はリハビリを頑張るレイを応援しサポートしつつ、烈が一日も早くICUから出られる様に祈る 5日経つ頃、烈は病室に戻された その頃になるとレイは退院し飛鳥井の家に還る事になった そんなレイを連れて兄達は病院に通い続けた 真矢と清四郎はここ最近レイを連れて病院に通う翔達を見ていて話し掛ける事にした 真矢は「翔、流生、音弥、太陽、大空、レイ、貴方達、ここ最近ずっと病院に通い続けているけど、誰か入院しているの?」と問い掛けた 兄達は予期せぬ出来事に焦ったが 「レイを久遠先生の診察に連れて来ているのよ!」と何とか誤魔化そうとした 真矢は「レイどうしたのですか?大丈夫なのですか?」と心配して問い掛けた 音弥は「少し前までレイちゃんは入院していたからね………」と呟いた 「え?入院していたの? 私はそれ知らなかったわよ? 何故知らせてくれなかったの?」 真矢は傷ついた顔をした 清四郎は「知っていたならば付き添ったよ?」と謂う 翔は「レイは命を狙われていたから入院していたなんて誰にも知らせる訳にはいかなかった 僕達も知らされてはいませんでした!」と言った 真矢は驚いた顔をして「翔達も知らなかったのですか?」と呟いた 真矢は「烈は?まだ連絡有りませんか?」と問う それには兄達は何も謂わなかった 流生が「烈の事は尚更僕達に知らされる事はない! 下手したら母さんや父さんでさえ知らない事も多々とある程だからね……」と悲しげに話す 病院の外で話していたら大空の携帯が震えた そっと祖母から離れて携帯を開いて見ると 「かなにー、もうばぁたん誤魔化すのは至難の業だから、言っても良いにょよ! ごめんね、かなにーは嘘が下手なのに……」 大空はそのラインを見て泣いていた 泣いている大空を心配して流生や音弥、太陽、翔が駆け寄る 大空は携帯を翔に渡した 翔はそれを目にして泣いた、他の兄弟も優しい弟の言葉に泣いていた 真矢と清四郎は泣いている兄弟を目にして追い詰めてしまったかしら?と後悔していた レイは真矢の手を取り、見上げてニコッと笑った 清四郎はレイを抱き上げた 「軽くなってしまいましたね………」とレイの軽さに呟く 真矢はレイの頭を撫でた その時「あら真矢さんと清四郎さん、どうなさったのですか?」と声が掛かった 振り返ると蔵持和華子が立っていた 真矢は「あら和華ちゃん、どうしたの?」と問い掛けた 「私は烈にヘルシー杏仁豆腐を差し入れに来たのです!真矢さん達も烈のお見舞いですか?」と謂われたから、真矢は卒倒しそうだった 真矢は「何故和華ちゃんが烈の入院を知ってるの?」と問い掛けた 「私はこの病院の入院患者の為の献立の監修をしているので、飛鳥井の食堂の後は病院で患者さんに合わせた献立を給食のスタッフと決めているのです!なので私は病院に良くいるのです 少し前に、検査で降りて来た烈を見掛けて声を掛けて、それ以来差し入れに来てるんです!」 病院で見かけなきゃ兄達にも知らせない徹底ぶりに、烈の置かれた現状を垣間見た 真矢は翔に「私達はお見舞いに行っても大丈夫なのですか?」と問い掛けた 翔は大空のラインを見せて「はい、烈が良いと言ってます!でも他言は無用にお願いします! 飛鳥井家宗右衛門は今 命を狙われていますから!」と告げる 真矢は「元より承知よ!」と返した 清四郎はレイを抱っこしたまま病院の中へと入る 入院受付に行きお見舞いの手続きをすると、お見舞い証明書のバッチを渡すされ、それを着けた そして受付は「レイ君 久遠先生の診察があるからね! 病室に先生が行くから、待っててね!」と優しげに言う レイはブンブン頷いた エレベーターに乗り個室階で降りると病室に向かう ドアをノックすると榊原がドアを開けた 烈は「わかちゃん!」と名を呼んだ 和華子は榊原に差し入れを渡して、烈のベッドの近くへ行く 「烈、顔色も良くなったわね!」と安心して烈の頭を撫で言う 「寝てたから体力落ちたからね、体力着けないと退院はまだ先にゃのよ!」 「またお見舞いに来るからね! 週末には善之助と共に来るからね!」 和華子はそう言い烈を抱き締めて還って行った 榊原は和華子のお見舞いの杏仁豆腐を冷蔵庫にしまった 真矢は烈の傍に行くと抱き締めて泣いた 清四郎も烈を抱き締めて泣いた 烈は「母しゃん、せんせー呼んでばぁたん診て貰うにょよ!」と言う 榊原は「え?母さん何処か悪いのですか?」と問い掛けた 真矢は「いやぁ〜ね!烈!ばぁたんは何処も悪い所なんてないわよ!」と言う 「ばぁたん化粧濃いわよ! 顔色悪い時はばぁたん化粧濃くなるのよね! ばぁたん、せんせーに診て貰うにょよ!」 化粧濃いわよ!と謂われて真矢はショックを受けていた 榊原は病室の外に出て看護ステーションに行き、真矢の体調が悪いから真矢も診てくれと言った 看護師は「久遠先生がもうじき個室に逝くのでその時仰って下さい!」と言う 榊原が病室に戻ると、少しして久遠が個室にやって来た 「真矢さんの体調悪いんだって? レイを診たら真矢さんを診る事にする!」 そう言い久遠はレイの診察をした 久遠は「今何g位ご飯食べてる?」と問い掛けた 榊原はポケットから紙を出すと久遠に渡した 久遠はそれを見て「食べてる割に軽すぎるよな?今度からフレンチトーストとか牛乳が沢山のヤツを食べさせたりしてくれ!」と言った レイは「French!!」と喜んだ 榊原は「あ、外人の血が濃いから洋食が良いのですか?」と問い掛けた 「レイは今骨や筋肉を作らねぇといけねぇ年齢なんだよ!だから牛乳や玉子やチーズ、炭水化物と蛋白質を組み合わせた食品を多めに取る必要が在るんだよ!筋肉中のグリコーゲンの回復が早くなるとされているんだよ!それと同時に分解された分の蛋白質も摂取する必要が在るんだよ! 慎一にはその様に食事の指導していたけど、食ってねぇのか? このまま大きくなると直ぐに骨折したりするぜ!」 レイは烈に嫌われると想い 「それはいやらぁ〜」と泣いた 久遠は「ならば食え!でねぇとボッキボッキの骨にしかならねぇぞ!」と脅す レイは「たくしゃんたべゆ!」と約束した 久遠は「うし!約束は護れよ!」と言いレイの頭を撫でると、真矢に向き直った 「化粧濃いな、顔色の悪さを化粧で誤魔化すのは感心しませんよ!」 と謂れ真矢はクシュンとなった 「海外の水が合わなくて……入院してましたの……」 「それは何時です?何処の病院で入院してたのですか?」 「先月海外から体調を崩したから帰国して、家に帰る前に倒れて空港近くの病院に運ばれました 私はこの病院に来るつもりでしたが………緊急搬送されて気が付くと入院してましたの………」 「倒れた患者は返せませんからね………退院してから病院には掛かってないのですか?」 「はい……少し休めば大丈夫かと………」 「此れから検査します! 化粧を落として術着に着替えて下さい! 看護師が案内しますから!」 と言い久遠は出て行った 真矢は呼びに来た看護師に連れられて検査へと向かった 烈は「ばぁたん何処の国にロケに行ったにょ?」と尋ねた 「ドイツです!」 清四郎が答えると烈は「あの国は硬水だもんね、レストランの水さえミネラル水でも硬水だから腹壊すし、腸の弱いばぁたんなら体調壊して当たり前にゃのね マグネシウムが多いと飲み慣れてない者には直ぐに軟便になるし、飲み過ぎると腸の刺激が強くなるからね………」と呟いた 康太も「今なら少しはマシかもだけど、その地に住んでねぇと下痢確実だわな ドイツか…………宗右衛門は100年前ドイツに留学してたもんな………オレは行きたくねぇって言ってるのに、伊織とセットで連れて行ったよな オレは水が合わなくて死ぬ想いしてたのによぉ! 慣れだ!慣れれば大丈夫だ!と言ったよな? 自分は器具作って軟水にしやがってたのによぉ!」とボヤいた 榊原も「あの時は死ぬかと想いましたよ!まさか倭の国ならば川の水でも飲めるのに………… 下痢になる水なんて………毒でも入ってるかと想いましたよ!」と同じくボヤく 清四郎は「そんなにその国は水が危ないのですか?」と問い掛けた 榊原は「その国で生まれて、その水を飲んでるならば違和感なく飲めますが、留学と謂う他国から来た存在に取ったら………水が合わないのは地獄でした………しかもドイツは第一次世界大戦の最中でしたからね!何度も死ぬ想いしましたとも!」と最大にボヤく 清四郎は言葉もなかった 康太は「んとに宗右衛門には何度も死ぬ想いさせられたもんな!」と言えば榊原も「本当にね、銃口向けられてるのに死にたくなければ!走れ!と走らされるんですもんね」とボヤく 烈はたらーんとなった 榊原は瞳をキラーンと光らせると、烈を持ち上げるとお尻ペンペンを5回した 「行先だけ告げて音信不通だと心配するじゃないですか!」 「ごびんにゃしゃい!」 烈は泣きながら謝った ベッドに戻された烈を兄達は抱き締めて慰めた そしてレイを烈のベッドの中へ押し込むと頭を撫でた レイは兄達に撫でられるのが大好きだった 真矢は病室にベッドごと入れられ入院となった 久遠は真矢の腕に点滴の針をぶっ刺し 「お孫さんと仲良く入院して下さい! 良いですか?今度はぶっ倒れる前にこの病院に来て下さい!」と念を押した 「解ってるわよ先生! もぉ絶対に気絶しない!」 そんな約束しても気絶する程に限界なら仕方ない だけど久遠は敢えてそう言って約束させた リハビリを只管頑張る烈と、弱った胃腸を元に戻す為に頑張る真矢との入院生活が始まった その頃 烈と連絡が取れなくて帰国したい竜馬はモヤモヤしていた 一ヶ月半も音信不通なのだ 烈の兄達に聞いても何処へ逝ったのか解らないと謂う まぁ烈の周りで爆発事故があったりして匠が傷付いたと聞けば、烈は距離を取り隠れるのは解っていた 兵藤は「俺等は烈の望む果てへと逝かねぇとならねぇんだよ!竜馬! だからな連絡が途絶えようが俺等は乗せられたレールの上から勝手に降りるのは許されねぇだよ! より一層努力して一日でも早く帰国出来る様に頑張るしかねぇんだよ!」と言う 竜馬は今 この敷かれたレールから降りると謂う事は……ライバルに差をつけられ置いてきぼりにされてしまうと想った そしたらもう二度と再び烈は自分を見てはくれないだろう……と歯を食い縛り踏ん張った 明日を繋ぐ為に今を生きないとね! 烈の言葉が脳裏に蘇る 竜馬はイギリスの地で頑張っていた メンバーもイギリスの地で頑張っていた Xmas前には倭の国に還りイベントを成功させる! そんな想いでイメージを烈のPCへ送る 2ヶ月経った頃 やっと烈から返信が来た 季節はすっかり冬に突入して師走で街も慌ただしくなった頃 烈と真矢は仲良く退院した 真矢が入院していた事は事務所には伝えなかった 見舞いに来られたら困るからだ! 真矢は年内は安静にして休むと伝えた 清四郎はスローペースで仕事を入れ真矢と烈を見舞う時間を作った その二人が退院したのだ 清四郎は嬉しくて堪らなかった 烈は家にやっと還った 清隆や玲香、瑛太と京香は痩せた烈を抱き締めて 「お帰り!」と言い泣いた 烈は元気良く「ただいま!」と言った その夜、細やかながら快気祝いをやる事にした 家族は久々に家族が揃った事が嬉しくて、お酒も進んだ 烈は久々に慎一のご飯を食べ、笑顔だったが…… 「あ!!虎たんと小虎………迎えに行かなきゃ!」と言った 冥府へ逝く事が決まってマンションを引き払うと同時に、虎之助親子は一ノ瀬動物病院にお泊りさせていた 一生が「虎親子ならもう家に戻ってんぜ! コオが入院した時、似てるのがゲージにいるなって想ったら虎親子だったから引き取ってお前の部屋で過ごしてるぜ!」と教えた 烈は「コオたんどうしたの?」と問い掛けた 「まぁ年だからな消化器系が弱ったりするから定期的に行ってるんだよ」 衰弱が酷くて………年は越せないかも………と謂れたがそれは伝えない 飛鳥井の家に来て10年 コオは何時だって家族と一緒にいた イオリと共にいたのだ 生在る者には必ずや寿命があるのだ その夜は湿っぽくなるから、それで話は終わった 後は、楽しく快気祝いだと飲みまくり過ごした 烈は退院して自分の部屋に還ると、PCと携帯を取り出した 竜馬から物凄いメールとラインと着信があった メンバーからも沢山のメールやラインや着信があった 相賀や須賀、神野に柘植からもメールとラインと着信の嵐だった その中に戸浪や安曇、堂嶋からも着信があった 先ずは竜馬に「りゅーま、用でもあったのかしら?」と送ると電話が掛かって来た 『烈、烈!どうしてライン返してくるなかったの?電話も出てくれなかったの?』と泣きながら訴えられた 「僕ね今日の朝まで入院していたからね 病室では携帯駄目なのよ!」 『え?大丈夫なの? 烈の兄さん達に聞いても知らないって言ってた 誰も知らなかったの?入院したの?』 「そうよ、命狙われているのに入院したなんて解ったら病室に押し入られ他の人まで巻き込んじゃうからね極秘だったにょよ! そして携帯もPCも置いて行ったからね、連絡は誰とも取れなかったにょよ!」 『傍にいたかったな………』 「りゅーま、良い男になった? 鍛え上げられ皆が振り返る男になった?」 『頑張るよ!でも音信不通は止めてよね……』 「メンバーのイメージも凄く伝わってイベントやりたくなったわね!」 『だろ!だろ!Xmasイベント、イギリスの実力はあるけど無名なヤツを使ってやりたいんだよ 今度のイベントは倭の国の人間は使わない 真矢さんや清四郎さんで固定してしまっているから…………少し怖い………脱却して見たい気もあるんだよ!それを言うと烈が怒ると想って言えなかったけど………』 「それね、ボクも考えていたわ 神野達の事務所の子達もある程度軌道に乗ったからね、枠を出る時かもって考えていたわ それだとやっぱし柵もあるしね、他は使いづらい気がしていたのよ!」 『ならば……無名のヤツを使おうよ!烈!』 「無名でも構わないわよ でもね、それで採算取れるか算出を先にしないと赤字のステージで借金になるわよ! 【R&R】で人は集まるけど、知名度が低いと【R&R】頼りになるわ! 此方も使う子とのコミュニケーションが必要になるから、今からXmasイベントでは使えないわ!」 『烈…………』 「りゅーまは今 他の事は考えないで勉強するにょよ!どっちも手を出せば中途半端にしかならないからね!」 『烈!冷たい!!もう俺なんて必要ないって言うのかよ!! 俺は何時だって烈の望む先に逝こうと努力してるのに!!もういい!』 竜馬はそう言い電話を切った 烈は溜め息を着いて、窓の外を見上げた 突っ走ってる気がする 躍起になり周りが見えなくて余計焦って我夢者羅になってる気がする 静まり返った部屋に着信音が響いた 烈は電話に出ると兵藤だった 『烈、竜馬と喧嘩か? ずっと心配していたんだ! そんなに追い詰めてやるな!』 烈は兵藤に竜馬との会話を話して聞かせた 「何をそんなに焦ってるのかしら? 会話のズレ、兵藤きゅんなら解るでしょ?」 『…………それは解るけど、竜馬はお前の事を心配していたんだ!それは解るな?』 「解るわよ、りゅーまだけじゃない家族も音信不通だったから心配させたわよ そして冥府から還ったら栄養失調で入院したからね、余計に心配させたわよ!」 『冥府?お前冥府に行ってたのかよ?』 「そうよ、冥府の外に出来た異空間の間を消しに行ってたにょよ!」 『お前………冥府に入れるのか?』 兵藤は驚愕の声で尋ねた 「ボクの半分は冥府の闇に染まったからね それとヘルメースと同化したから冥府に行けるにょよ!」 『そうか、冥府は魔界より時間軸が早いんだけ?』 「それも間のせいで歪めてたからね 今は魔界と同じ位の流れになってるわよ」 『そりゃ音信不通になるしかねぇわな………』 「兵藤きゅん、りゅーま今拗らせてるからね、傍にいてやってね! 拗らせたりゅーまは空回りしまくるから、冷静になるまでは空回りしまくるからね」 『気を付けて見ておくよ!』 兵藤とはそう言い電話を切った 烈は不安そうに遥か遠くのイギリスの地にいる竜馬を想った メンバーのラインを見ると皆が 「竜馬が突っ走ってる!」 「人の言葉に耳を貸しやがらない!」 だった 烈は両親に「少しイギリスへ行っても良いかしら?」とラインした 康太は烈の部屋にやって来て 「どうした?何があったか?」と心配そうに聞いた 烈は竜馬の事を話した 「意固地な竜馬は人の話を聞きやがらねぇからな………うし!2日で何とかして来いよ! 飛鳥井は会社も菩提寺も師走でめちゃくそ忙しいかんな、2日しか時間は取れねぇ!」 「解ったわ、なら明日には立つわ!」 「今夜はもう寝ろ! 本調子じゃねぇんだからな!」と言い、康太は烈の頭を撫でた 翌日、康太は秘書に良いケントと烈の分のイギリス行のチケットを往復で取らせた 秘書は即座にチケットを取り、往復のチケットを取ると康太に渡した 烈はそのチケットを渡して貰い、ケントと共にイギリスの地へと向かった 何とイギリスへは一生も同行してくれた ケントと一生と共に烈はマンションへと向かった マンションに行き荷物を置くと、一生は買い物に出掛けた 烈はヘンリーに電話を入れた 『烈!!!どうしたのさ!!』と熱烈歓迎してくれヘンリーは電話に出た 「ボクね今 イギリスのマンションにいるにょよ!りゅーまをね何も知らせずに連れて来て! そしてメンバーも集まるにょよ! ボク隠れておくから、イベントの事で話してみて!」 『了解した!リーダー! 竜馬の事は近々リーダーに何とかしてもらおうと倭の国まで行き、何とししでも来て貰うつもりだったんだ!』 ヘンリーはそう言い、電話を切った 烈は部屋に逝くとめちゃくそ散らかっていた う〜!!と眉を顰めているとメイドがやって来て掃除を始めた 綺麗に掃除機を掛けて拭き掃除をする 部屋に烈がいてメイドは喜び 「我が主人も喜びます!」と言い掃除をより頑張ってくれ、竜馬が散らかした部屋はピカピカになった メイドは掃除をして還って行った 烈は兵藤にラインして 「今日は早目の帰宅お待ちしております!」と送った 直ぐ様返信があり 『烈、お前今、イギリスか?』と問い掛けた 「そうよ、竜馬には告げずに連れて来てね! メンバーも来るからボクは隠れてそれを見るわ!」 『了解した!助かったわ、ハラハラしていたんだよ』 兵藤はそう言い、ラインを終えた その夜、メンバーが竜馬を迎えに行き、竜馬は不貞腐れた様な顔をして、メンバーや兵藤と共にマンションに還った 烈はケントと一生と共に竜馬が絶対に入らないメンバーの部屋に入り様子をモニターで見ていた ダニエルは「あれから僕ら考えたんだけど、時間が足らないよ!無名を使いたいのは解るよ! でもどんなヤツか知らないし、どんな風に使いたいのかも見てないから決められない また逢ったとしても、コミュケーション不足で良い作品が出来るとは想わない! リーダーはどう言ってるだ?」と問い掛けた 竜馬は「リーダーも同じ様な事言ってた でも今の俺等を見てない音信不通なリーダーに何が出来るんだよ!  リーダーならばメンバーの事考えて連絡位くれても良いだろ! リーダーにとったら俺等はその程度の事なんだよ!」と叫んだ 兵藤は「ならお前はもう烈に逢う資格ねぇぞ! お前は烈を切り捨てるんだろ?」と意地悪に聞く 「違う!烈が俺等を切り捨てたんだ!」 「烈は宗右衛門としてやらねばならない事がある ましてや命を狙われている今、家族だって烈の居場所が解らない時だってある! 翔達が烈が何処にいるか解らないんだ! こんな事ラインしたら母さんと烈も怒るだろうけど………弱音吐かせてよ兵藤君!とラインが来ていた!多分康太も烈の居場所は解らなかった! 烈はクラスメートを巻き込んだり、家族を巻き込むのを極端に嫌う そんな時は距離を置くんだよ まるで康太かと俺は想ったぜ! 康太は家族や仲間や身近な奴に危険が迫る位ならば身を隠し消える 俺は何度も何度も康太に置いてきぼり食らわされた………烈はそんな康太にソックリなんだよ 血は繋がっていねぇが、その気質も魂も受け継いだ子なんだよ! 俺等が烈の現状を何とか出来るのか? 出来ねぇならば悔しくても辛くても見てるしか出来ねぇんだよ! それが嫌ならば傍にいる資格はねぇよ!」 とキッパリ言う 竜馬はソファーに崩れ落ちてドサッと腰掛けた ヘンリーは「竜馬は本気でリーダーを切る気なの?」と問い掛けた 「ごめん………頭に血が上っていた」 竜馬は顔を押さえて泣いていた 烈はぬいぐるみに化けさせたクーを持ち込んでいたから部屋から顔を出すとクーを投げ付けた クーは小さな猫になり体を伸ばして大きくなると 竜馬の頭に飛び蹴りをかまし、ガジガジ竜馬の頭を囓った 「え???ひょっとしてクー????」 「本当に食っちまおうか?」 ガブッと痛めに噛まれて竜馬は「ごめん食べないで!」と言った 「お前 不味そうだしな! 美味いの食わしてくれるなら許してやるよ!」 クーはそう言い、竜馬の横にドサッと座った 流石とメンバーの前で小さな白い猫のままだったから………メンバーは驚いていた ケントは部屋から出ると烈を投げ飛ばした 烈は竜馬を蹴り飛ばし「この戯け者が!」と叱りつけた 竜馬は烈を抱き締めて泣いた 一生は部屋から出るとキッチンカウンターに料理を並べた メンバーは久し振りの一生の料理に喜び、自分の部屋へ飛んで行き、上質のワインを手にして戻って来た そして一生と共に飲み始めた 烈は「りゅーま、ボクお腹減ってるにょよ!」と言うと竜馬はキッチンカウンターの前にある椅子に烈を座らせた クーは既に椅子に座り一生の料理を食べていた ナイフとホークを上手に使い食べる姿に イーサンは「飲みます?」と問う クーはニコニコで「飲むぞ!」と言うとワインを注いだ 楽しい食事を終えると珈琲を飲みながら話す 烈は「【R&R】は規定概念が出来てしまったから、無名の存在でも使えるなら使ってイベントをするのは良い事だと想う だが連れて来たヤツとさぁイベントをしましょう!と謂う訳にはいかない! 意思疎通やコミュケーション不足だと何処かでズレが出て来てしまうわよ!」と言った デービッドは「神野や須賀や柘植とは倭の国に行った時はお茶してるから話をしている 三社協同事務所は今、其々のタレントの幅を広げる為に努力している 【R&R】に頼れば楽だけど、それだとイメージが着いてしまって互いに良くないから、また一緒に出来る時まで互いを高めて行かなけらば!と言っていた! 我等も先に進まねばならない、色んなタレントや歌い手と世界を広めるのは必要だけど、やはりネックは信頼とコミュケーションを重ねる事にあると想うんだ!」と思いを語った 竜馬は「烈のXmasイベントをやりたかったんだ……それと最近の【R&R】は特定のタレントしか使わない、何か裏取引でも在るのかい?と心無い事を謂われたから………そうじゃないって証明したかったんだ…………」と言った 烈は「言いたい奴には謂わせとけば良いにょよ! クーたんポコンしてやって!」と言う クーは猫パンチを竜馬にお見舞いしてやった 「ボクはレイたんと共に人も神も行けない場で、闇の浄化に当たっていたにょよ! 其処を綺麗にしなければ、闇に紛れて動くヤツの動きを止められにゃいからね! 其処へは誰にも告げずに行ったにょよ! ただ母しゃんにはちょっと出掛けて来るから!とラインしたけど………父しゃんにはお尻叩かれたわ でも言って行ける時もあれば、告げずに逝かねばならない時もあるにょよ! 両親は知っているから出してくれる! にーに達も知っているから黙って帰るのを待っててくれるのよ! 竜馬にも言えない事もあるし、電話も通じない所へ行けば連絡も出来ない! それと最近は病室に携帯やPC持ち込むと怒られるから退院するまで連絡すら取れにゃいのよ! それも総ては家の為、明日の飛鳥井の為にゃのよ!」 兵藤は「それ康太の口癖だな、アイツもお前も飛鳥井の家の為に何度も何度も転生して軌道に乗せねぇとならねぇんだもんな………」としんみり呟いた 烈は笑って携帯を開くと兵藤に渡した 画面を見た兵藤の目には満面の笑顔のレイが映った 『たかちぃー!』 レイの声に兵藤は「レイ!風邪引いてねぇか?」と問い掛けた 『れいね、にゅういちてた! れちゅと いっちょ!』 と笑顔で言う それを笑顔で謂れ兵藤は何と答えて良いか解らなかった それでも楽しく話して、名残惜しく電話を切った クーは烈に「齧っとくか?」と聞いた 「守護天使?」 「違う!レイが創世記の光をガラス玉に閉じ込めたんだよ!それを加工させピアスにしたのがあるんだよ!」と言い空間を切り裂き手をいれると紙袋を取り出した 切り裂いた空間を前足で撫でると切り裂かれた空間は閉じた 烈は紙袋を開いて中身を出すと綺麗な光を放つピアスが8個出て来た クーは兵藤の耳をガブッと噛んだ 「うぇっ不味っ!」と言いながら次から次へと噛み付き耳に穴を開けた 烈は消毒薬とピアスをメンバーに渡した 竜馬は烈がグシュクシュ消毒をして耳にピアスを入れてやった そしてペットボトルの水を竜馬に渡した 「レイたんの水よ! 其処まで拗れてるなら闇に染まってるのよ!」 と烈がボヤくと竜馬は水を飲み始めた するとやはり黒い涙が流れ…………烈は兵藤を見た 「兵藤きゅんの分ないじゃない!」 烈が言うとクーは空間を切り裂き、ペットボトルの水を取り出した それを兵藤に渡してクーは空間を閉じた フレディは「それめちゃめちゃ便利だね!」と感心する 兵藤はレイの水を飲みながら………平気そうだった 「あら、兵藤きゅん大丈びなのね!」 「おー!俺はもう康太と離れていようとも揺らがない!俺には俺の道があるからな! 例え康太が早死したとしても、俺は後は追わない!」 「あら!母しゃんの体内の毒はレイたんが抜いていたから毒で死ぬ事はないわよ

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