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第66話 低迷 混迷 迷メイめぇぇぇ〜 ❷
そんなに寿命は与えられてないけど、其処まで早くは逝かないわよ!
往生出来る程の長生きは出来にゃいねど、20代で体内を毒に蝕まれ………って事はにゃいわよ!」
え?嘘………兵藤は言葉もなかった
「まぁ今世はボクも、前世程は長生き出来はしないだろうと想っているのよ
我等はね、人の世を変えてはならにゃい存在として、軌道に乗せる為だけに存在を許されているのよ…………だからね短命と義務付けられているのよ!
でも流石と真贋は30前に逝ってて早過ぎなのよ」
「なら康太………長生き出来るんだな………」
兵藤は嬉しくて、その言葉を噛みしめる様に呟いた
「老衰するまでの年齢は無理だけどね……
我等は軌道に乗せれば命は尽きる様に定められている
そして我等は色々な制限を受けているのよ
例えば………我等は人の世で血は残してはならないし、時代を変えるような事はしてはならないのよ!
常に世の中のバランスを取らねば、バランサーによって消されてしまうからね!」
烈の言葉は兵藤には理解し難い話だった
「そのバランサーって何なのよ?
誰が携わっておるんだよ?」
「バランスを常に取っているのは創造神よ!
そしてバランサーは創造神が決めた存在がなるのよ!行き過ぎた発明も文化も発展もその時代に合わねば、神の怒りに触れ一晩で姿を消した都市の二の舞いになるのよ!
そんな都市あったでしょ?あれは夢物語じゃにゃいのよ!過ぎた文明はこの星を滅ぼす
だからボクらは節度を持って生きないと駄目にゃのよ!
まぁ前世のボクはかなり長生きしたにょよ、下地を作って転生する許可を取ったからね
なのに源右衛門が高齢だったから総てが途絶えて苦労したんだけどね!
それも総て明日へ繋ぐ為にだけに頑張って来たにょよ!」
烈の言葉が重すぎて………そして理解し難い話し過ぎて……
「何か…………理解し難い話だな………
でもお前等は血を残せないのなら、弥勒は子を作ってるよな?あれは何でだよ?」
「あれは途絶えた種族を一度人の世に下ろして、再生の道を辿らせる為だと想うわよ
それは弥勒がせねばならない定めだったから、母しゃんは頑張って弥勒に子を作らせたのよ!」
「なら俺………レイ作って大丈夫なのか?」
「中身がニブルヘイムだから大丈夫なのよ!」
「そう言うモノなのか?」
「まぁ細かい事を考えるのは面倒だから、それで良いにょよ!
で、母しゃんはバランサーとして人の世の秩序を護って来たにょね!
御厨は道を外したから母しゃんは狩りに行った
そうして世の中の秩序は護られて来たにょよ!」
「何か俺の知らねぇ事って多いよな………」
「それは人の世で特殊な力を与えられた一族しか知らない話だからね………朱雀が知る事はないのよ
それにそんなに難しくはにゃいわよ!
秩序を護らねば狩られる、それだけだからね!」
それが一番難しいんだって…………だが秩序を重んじ規律を正す宗右衛門ならば、そんな難しい話ではないのだろう……
そして特殊な一族しか知らない話を何故自分に聞かせるのか?
兵藤は不思議で堪らなかった
「なら何で今………その話をしてくれるのよ?」
烈はそれには答えなかった
ニコッと笑って
「それはそのうち………解るのよ」と言いそれ以上、その話をするのを止め話題を変えた
「兵藤きゅんは年末は還って来るにょ?」と問い掛けた
「あぁ、その予定だぜ!
冬休みを一ヶ月半近くもぎ取ったからな!
後少しで冬休みに突入する
俺等はイースター休暇とかないから2月まで倭の国にいるつもりだ!」
「なら皆で過ごせるわね!」
烈はニコニコとそう言った
「それよりお前、少し前に姿を消していたんだってな?何処にいたのよ?
飯はどうしてるか?管理出来ない現状が一番困る
って慎一がボヤいてたぜ!」
「桜林で匠を巻き込んで爆発したからね、ボクがいたら巻き込んじゃうから消えたにょよ!」
倭の国の各地で爆発した話しはイギリスにまでニュースになり届いて、話題にされていたから知ってはいた
「何処に行っていたのよ?
飯とかはどうしていたのよ?」
「ボクは家族には内緒だったけど、両親には逐一報告はしてたのよ
最初は会社の中で生活していたし、冥府に逝く少し前は神威が部屋を借りてくれたから、そこに住んでいたのよ!
一応は神威が食事の面倒見てくれてたけどね………」
「神威が生活の面倒を見てくれていたのかよ?
何か神威の私生活って何時もガード下で飲んでる雰囲気しか思いつかねぇよ!」
神威は独身だったよな?と思い浮かべてみるが、私生活を知らない兵藤には皆目検討が着かなかった
「そうよ、でもね………神威は本当に、物凄く面倒臭がりな奴たからね………四角い部屋を丸く掃除する様な奴なのよ!そして埃では死なない!って謂うヤツだし
料理は食えれば良い!がモットーな奴だからね
面倒くせぇって料理するからさ、本当に豪快な料理しか作らにゃいわよ!
ボク、綺麗好きで几帳面な父しゃんの子だからね、凄く困ったのよ………」
神威が掃除して料理して………ってあんまり想像は出来ないか……と今更ながらに兵藤は想う
だが魔界では素戔鳴尊と豪快に料理している所は見てたから………料理は出来るんだと想っていた
「ボクがちまちまとモップ掛けてると、埃では死なん!と謂うし………
ボクね茶碗蒸しが食べたくて………茶碗蒸しの材料を買って来てね、ちまちま入れてたのよ!
そしたら、あ~もぉ、ちまちま面倒だ!って丼持って来てぶち込んだにょよ!
蒸せば茶碗蒸しだ!ってね……
母しゃんと同じ事したにょよ!神威!!
兵藤きゅん、丼の茶碗蒸し食べてみた事ある?
蒸し加減は良かったけど、丼よ?
神威の料理は全体的にそんな感じだからね
今じゃ有栖が部屋の掃除したり、食事作ってるのよ!それ程の面倒臭がりな奴にゃのよ?
料理もね不味くはないけど、漢の料理にゃのよ!部屋もね埃では死なないけどね………それ父しゃんに言ったらお尻ペンペンされるにょよ!」
何か漢の料理………良くは解らないが………面倒臭がりの神威ならば……納得が出来るから不思議だった
「なら今度、神威に作って貰うとするわ!
漢の料理………それって面倒臭がりのヤツの料理になるんだな!」
兵藤は笑っていた
楽しそうに笑っていた
そしてふと烈の言葉が蘇る
「康太、丼で茶碗蒸し作った事あるのかよ?」
「あるわよね?カズ!」
烈は一生に話を振った
一生はそれを思い出して爆笑しながら話した
「あぁ、真矢さんの快気祝いをするから茶碗蒸し作ろうって事になり、兄弟がせっせと作っていたんだよ!
康太がそれを手伝っていたんだが、あ~ちまちま面倒くせぇ!って丼持って来てぶち込んで作ったんだよ!」
一生も楽しそうに言う
メンバーもそれを聞き笑っていた
竜馬は「還りたいな………」と呟き烈を抱き締めた
一生は何とも言えず………ビールを出してグラスに注いで一気に飲み干した
クーにも注いでやると、器用にコップを持ち飲んていた
メンバーは「クーはお酒強いですか?」と聞きながら飲む
クーは「美味いのは好きだぞ!」と言い飲み始め………兵藤と烈と竜馬以外は皆で楽しく飲み始めた
烈は竜馬に話を始めた
「おっと!イギリスに来た本来の目的忘れる所だったわ!あのねりゅーま、どうしても無名の子を使いたいならば、メンバーに紹介して解って貰わなきゃ!どんな子かもメンバーは知らない
だけどイベントで使う!と言われてもコミュケーション取れないから必ず不協和音が鳴り響くわよ
ボク達は好きな事を皆で楽しんで来た、違うかしら?りゅーま」
「違わない………ごめん…ゼミの奴に【R&R】は倭の国の同じヤツばかりしか使わないさる芸だと謂われて………空回りしていた………」
「ならば、そんな事を言うヤツは蹴散らして【R&R】此処にあり!って所を見せにゃいとね!
あのねボクね9月にNYに行った時にね、Strong Hiと謂うバンドのボーカルにね、【R&R】の映像は駄作って謂われたにょよ!
頭に来てね、なら【R&R】より凄いの作って見せてよ!出来るならね!と喧嘩売っておいたのよ!だからねアメリカでやるわよ!
由香里がイギリスに戻って来たなら、無名だろうが有名だろうが人選して面接して盤上に上げるにょよ!だからりゅーま遊んでる暇なんてにゃいのよ!ボクの喧嘩買って貰わなきゃ!」
竜馬は瞳を輝かせ頷いた
「絶対に【R&R】は負けない!」
メンバーも「リーダーがいて俺等がいるならば負ける日なんて来ないでしょ!」と言い竜馬をテーブルに引き摺って行った
烈は「兵藤きゅん ごめんね
拗れたりゅーまは面倒臭かったでしょ?」と言い笑う
「だな、連絡が着かないから帰る気でいたしな
それを止めて落ち着かせるのはかなり面倒だったな!」
「りゅーまはね強気でいる反面脆い所もあるのよ
その都度蹴り飛ばして発破をかけて来たにょね
でも立派な政治家になり兵藤きゅんのライバルになるわよ、あの男は曲がらにゃいからね
良いライバルとして並走して走り続けてくれるわよ!」
「それは頼もしい!でねぇと俺の横は走らせねぇよ!」
兵藤はそう言い笑った
「ボクは明日帰るわ!2日しか時間は貰ってにゃいからね!」
「クーはどうやって連れて来たのよ?」
「クーたんはぬいぐるみにもなれるからね
キーホルダーサイズになり来たのよ!
でなきゃイギリスに来る前に上空で爆発される可能性もあったからね………」
「それ、やられそうになった事あるのか?」
「あるわよ、9月にNYに行ったと言ったじゃない
NYの市長に招待されイベントに出る為に行った時、ボクが乗る筈だった飛行機が上空で右翼に発火して爆発した事件あったのよ!
ボクね、用心してフライトギリギリで正義しゃんが乗る飛行機に乗せて貰ったからね
爆発は免れたけど………でもね毎回そんなに上手く逝かないから……用心しとかなきゃ…にゃのよ!」
命を狙われている事が現実だと良く解る………
そしてその飛行機事故は大体的にニュースで流れていて知っている
竜馬は「明日帰るの?本当に!」と問い掛けた
「2日しか貰ってないからね
年末年始は何かと忙しいにょよ!
後ね、榊原の祖父母の家が完成するからね
家具とか見に行かにゃいと駄目なのよ!」
「やっと完成するんだね
基礎までやって半年って長いよな?」
「そりゃ女優と俳優の住む家だからね
セキュリティ対策しないとだからね」
ヘンリーは「遊びに行くの楽しみだよ!真矢と清四郎は遊びに来いと言ってくれるかな?」と不安そうに言う
「ラインで聞いてみたら?」
「聞いてみます!」
と言い携帯を触って真矢と清四郎に遊びに行って良いか?問い掛ける
メンバーは皆楽しそうだった
烈は眠そうに目を擦ると「寝るわねボク!」と言った
竜馬は烈と共に寝室へ向かった
仲良く寝る気満々だった
兵藤は「新婚かよ!」とボヤいた
ダニエルは「僕達も最初は竜馬があんなに烈を溺愛しているから、二人はデキてる?と想った時があったんだよ!
あの仲は絶対に出来ていそうだったから……
でもあんな子供に手を出すのは犯罪だから友として止めよう!って話していた時があるんだよ」と笑って言う
兵藤は「まぁ自分の運命を握ってるヤツだからな、そんな色っぽい話じゃねぇんだよな……」
イーサンは「側にいれば………そうなんだと解るけどね………やっぱ竜馬は烈の謂う事しか聞かないんだからね……」と意固地になり辟易した日をついつい愚痴る
その夜はかなり遅くまで皆で飲んていた
久し振りの一生の料理に、飛鳥井の家に還りたくなるのだ
ヘンリーは「僕、リーダーが帰国するなら明日僕も着いて行っちゃおうかな?」と謂う
メンバーは「だね!そうしよう!」とチケットを取るのに奔走する
オブライエン家の飛行機で逝けば楽なんだけど、目立つ行為は標的になるならするな!と烈に謂われているのだ………
翌朝烈は遅めの朝食を取ると、一生とケントと共に空港に向かい、飛行機に乗り倭の国へと帰国した
クーはキーホルダーサイズの大きさになり、烈の鞄に着けられていた
烈は飛行機に乗る度に危機感を感じならも、乗らねばならない状況に嫌気が差していた
一生は烈に「大丈夫か?」と問い掛けた
「カズ……大丈夫よ!
でもね毎回こんな不安な想い抱いて乗るのは疲れるにゃって想うのよ!」
「だな、でも安心しろいざとなったら龍になりお前を乗せて飛んでやるからな!」
「カズ………ありがとう」
烈は礼を言い、寝て過ごす体制を取る
一生も雑誌を読み静かに過ごした
そんな想いをして無事に倭の国へ到着した
烈と一生とケントは倭の国の地面を踏んだ瞬間、疲れが一気に襲った
空港には慎一がお迎えに来てくれて、車に乗り込み走り出す
烈は一生と慎一に「ばぁたんちの家具や家電を見に行き運び込んで貰わなきゃならないのよね!」と言った
慎一は「週末に見に行く予定を立てているんですよ!烈も行きますよね?」と謂う
烈は「ボクのセンス母しゃん譲りだからカエル色の家電とか買いそうで危険だってにーに謂うのよね………」とボヤいた
慎一は「皆で選べば真矢さん達も喜びます!」と言って慰めた
「ならにーに達と話をして皆で決めるわね!」
「そうして下さい、烈は先に久遠先生の診察をして下さい!俺と一生は竜馬と貴史と【R&R】のメンバーを迎えに行きます!」
慎一が言うと一生が「家にいるヤツ迎えに越させるからな!ちゃんで診察受けるんだぜ!」と謂う
烈は頷いた
烈はケントと共に病院の前で下ろして貰うと、慎一と一生は飛鳥井の家に還り車2台で空港まで迎えに逝く事になった
烈はかなり長い時間を使って検査をされた
2日の海外渡航だが、年末前に検査の予定が入っていたから前倒しで検査に踏み切った訳だった
久遠は検査を終えて烈を待合室に連れて逝くと、榊原と康太が待合室で待っていた
久遠は康太と榊原に「消化の良いモノを食べさせてくれ!少し疲れてるからな今日は早目に寝させろ!」と伝えた
烈は帰国したばかりなのに、検査で疲れてヘロヘロで康太と榊原と共に病院を後にした
飛鳥井の家に帰ると烈に早目に夕飯を食べさせて寝かせた
竜馬と兵藤と【R&R】のメンバーは築地で買い物をして飛鳥井の家に還って来た
烈は寝てると謂うと心配したが、久々に皆で飲もう!と康太が言うと宴会へ突入した
帰宅した清隆と玲香と瑛太は喜んだ
久し振りに飛鳥井の家に賑やかな笑い声が響いた
翌日から烈は忙しく動き回っていた
薬局がやっと新築の建物の中へと引っ越しする事になったからだ
烈は朝から薬局へと顔を出し、引っ越しの風景を見ていた
その時、知らない顔の社員を見掛けた
烈は薬局の外に出ると、暦也に電話を入れた
「暦也、新しい薬局の防犯カメラちゃんと作動してる?」
『おー!烈、少し待ってろ!』
暦也は烈の要件は必ずや自分で動くと決めているから、こうして待たされる事が多々とある
が、必ずや自分の目で確かめて教えてくれるから、確かな情報か聞けるから烈は暦也を信頼していた
『おっ!烈、ちゃんと届いてるぜ!』
「なら一ヶ月、薬局の映像はボクのPCに送っておいてくれるかしら?」
『了解した!』
暦也は了承し電話を切った
烈は薬局の様子を注意深く見て、家に戻ると調査を依頼したり、資産状況の確認をさせたりとテキパキと指示を出した
そしてPCはヨニー©イギリスの精鋭を派遣して貰いセキュリティを強化して、総ての情報は【R&R】の事務所で一括管理するを徹底する事にした
好き勝手やられて経営状況の悪化は防ぎたかったからだ
それに伴い、社員や薬剤師も吟味した薬剤師を改めて雇い新体制で挑むつもりだった
心機一転、新しくした薬局をスタートさせるつもりでいた
なのに烈の知らない社員がいた
何故いるのか?解らない
翌日 烈は責任者に「面接した社員じゃない人が混じっていたけど?」と尋ねた
店長をしている責任者は
「そんな細かい事を貴方に逐一報告せねばならないのですか?子供は大人しく勉強でもしてなさいよ!」と吐き捨てた
この薬局がこんな統制の取れない状況ならば、他の薬局もきっとこんな感じなのだろう…
烈は都内に15店舗、横浜市内に20店舗ある総ての薬局を、営業停止にした
薬局を営業停止した間は、提携の薬局に調剤を頼み、徹底的にやるつもりだった
売上も下がりつつある
薬も不足しまくっている
それがジェネリック不足故の不足なのか?
それも調べなければならない
【 健康である日々を未来へ繋ぐ 未来薬局 】
この機会に薬局名も変更するつもりだった
薬局の職員や薬剤師は突然の営業停止に躊躇した
だが文句を言おうにもオーナー権限を発動させて黙らせた
その薬局は飛鳥井宗右衛門の事業であり、転生した子供だろうが、宗右衛門の事業なのだ
決定権は飛鳥井宗右衛門にあるのだった
好き放題やっていた薬局は結構多くて、経営体制の根底からテコ入れせねばならなかった
そんな時、真矢達が入る家の下の薬局で、何やら不審な動きあるぞ!と暦也に言われ警察と共に駆け付けると売上金や売れるモノを持って薬局を出ようとする店長を任意で警察へ連れて行かせた
その間に何度も何度も横領した証拠を並べ立て、神威に実証させ賠償請求させる為、訴訟に踏み切った
その薬局をスケープゴートにし、一斉に監査の者を投入して調べ上げる
殆どの薬局がオーナーが不在だと解ると、利益を自分のモノにしていた
そして烈が見た事のなかった社員は、店長の娘だと判明
一応 受付に立ち処方箋の処理を他の社員にやらせて楽して店長の娘だと大きな顔をしていた
烈は店長に横領した金額を請求をし、解雇とした
当然、雇用していていない娘は即座に薬局から追い出した
そして新たに社員を募集して社員教育をして行くつもりだった
【R&R】である程度叩き上げて鍛え医療事務の経験のある社員を各薬局の店長に据えて、新しい体制を作り上げる
まさかオーナー不在を此処まで利用され好き勝手やられているとは思ってはいなかった
そしてオーナーがガキだと解るとナメて付け上がり好き放題やられているとは思いもしなかった
このままでは連鎖倒産するしかなかった
使い込んだ金は…………借金させてでも支払わせる
ないから払えない!を通したら誰も払わないのだ
徹底的にやると決めて裁判に突入する
宗右衛門の事業の薬局の横領の事件は立件された後にニュースにもなる程の騒ぎとなった
烈は日々慌ただしく過ごしていた
薬局は今は営業停止だが、新体制を出れば即座に動き出す
徹底的な教育体制を取らねばならない
烈は飛鳥井の一族の中から、萌音(もね)流花(るか) 莉子(りこ)と謂う才媛を一族の中から選び呼んだ
彼女らは東大ストレート合格し幾つかの資格を持つ
莉子は飛鳥井の五つ子の妹だった
「東京の薬局15店舗の管理、社員教育、収支の管理をするにょよ!」と命令をした
彼女達は「それは腕が鳴るわ!宗右衛門!」と大層喜んで仕事に着いてくれた
そして更に一族で絶対の信頼が出来る存在を呼んだ
飛鳥井郁也 亮太 啓一 澄人 篤司を呼び
「腕を震える時が来たにょよ!
薬局の徹底した管理を頼むのよ!
東京の薬局15店舗は萌音、流花、莉子の3人に任せた!
横浜市内の20店舗は皆で協力して収支の管理、社員の管理統制を取り回して行くにょよ!出来るかしら?」
皆は口を揃えて「出来るに決まってる!徹底的な管理教育を我等は施されて宗右衛門の力になる日を待ち侘びていた!今こそ思う存分に腕を奮う時が来ただけの事だ!」と言い了承してくれたから、烈は管理運営を任せた
「月に一度オンラインで経営状況を話し合い、健康教室や子育ての相談や、お薬相談とかやれる様にして行くのよ!
狭い店舗は改善点を話し合い、移転する方法を取って地域の住民に寄り添う薬局にするのよ!」
と指示を出す
新しい薬局の名称は【健康な明日をサポートする 健康堂薬局】と統一して変えた
与えられたポジションに着くと、それぞれが手腕を奮い、好き勝手出来ない状況を作り上げた
再始動するまでの間にオーナーが子供だから………と言った考え方をしている奴等を排除して、意識の高い職員や薬剤師で固めて行った
【R&R】の事務所で育てた子を店長に据え、其々の店に責任者として着いた飛鳥井きっての切れ者達が監視して、統制の取れた雰囲気が出来つつあった
真矢と清四郎の家の下の薬局は生まれ変わり、始動を開始した
烈はこまめに薬局に顔を出し、好き勝手されない様に目を光らせていた
そんな12月中旬 真矢と清四郎は新居を見に来ていた
薬局の横には一般人は立ち入り出来ない様に結構高い壁が作られ、その横に頑丈な門扉が作られていた
その門扉の鍵を開け中へと入る、手摺と緩やかなスロープが出て来てバリアフリーに特化した作りにもなっていた
2階に上がると玄関が出て来て、カードキーをタッチするとドアは開いた
玄関横にはシューズクロークがあり、収納スペースや、靴が大好きな真矢の靴を総て収納しても、大丈夫な作りとなっていた
来客のコートや雨に濡れた服はシューズクロークに掛けて……とか出来る様になっていた
シューズクロークの下駄箱の横には姿見が備え付けられ、外出時の服装のチェックが出来る様にもなっていた
玄関を上がり直ぐに応接間があり、奥へ進むと、リビングがあり続きでキッチンに続いていてカウンターキッチンになっていた
一つ一つの部屋はかなり広めに取ってあり、高い天井に開放感のある作りとなっていた
真矢は「此れがシステムキッチン付きLDKと謂う作りですか?」と流れるような空間を眺めてうっとりと呟いた
烈は「カウンターキッチンとしても使える仕組みにしてあるから、此処で二人で作って食べれば良いにょね!」と謂う
翔は「僕達が遊びに来た時は此方のリビングで食べれば良いからね!」と言った
真矢は「素敵……」と喜んだ
清四郎は妻の嬉しそうな顔に安堵していた
キッチン奥には結構立派なバスがありトイレがあった
お風呂の浴槽は檜に拘り立派な作りになっていた
下の薬局から伸びた植物がカーテン代わりになり外から浴室を見えなくさせていた
そひてその奥にホテルの部屋ばりの高級感のする客間が用意されていた
皆は一通り2階を見ると、3階へ向かった
3階へ行く階段はやはり緩やかなスロープになっていて、真矢は上の階に行くのが楽だと想った
3階は清四郎と真矢の部屋と洗濯室が作られていた
室内で干しても良い、外にサンルームっぽい部屋があるから、其処へ干しても良かった
外からは見えない作りになっていて、広々とした大きいガラスが部屋を明るく見せていた
サンルームの横には広いベランダがあり、ガーデニング好きの真矢の為に、花を育てやすい環境にしてあった
洗濯室からホースを伸ばせば花に水をやる事も可能だった
ベランダも細工がしてあり、かなり高い柵がしてかあって、病院側から見えない様な工夫がしてあった
そして3階にはユニットバスが入って、孤立したトイレが在った
一応2階の浴室は来客を視野に入れ作られていたが、何方でもお風呂が入れる様になっていた
来客も視野に入れての作りは、生活する上での配慮かなされていて、暮らしやすいだろうな………と想った
清四郎は「本当に………こんな良い家を貰っても良いのかい?」と烈に尋ねた
「良いのよ!じぃたんとばぁたんの為に建てた家だもん!」と言った
康太と榊原、清隆、玲香もやって来て、一緒に新築の家を見ていた
烈は「じぃたんとばぁたんの部屋はウォークインクローゼットが備え付けてあるから、整頓は楽だと想うにょよ、そして何より防音にゃのよ!
二人は役者だから、それぞれの空間は必要だからね、大き目に部屋を作ったにょよ!
イチャイチャしたい時はどっちかの部屋でやる事になるけど良いわよね?」とサラッと謂う
真矢は顔を赤くして「烈!恥ずかしい事謂わないのよ!」と謂う
清四郎は真矢の肩を抱き締めた
康太は「この家ってセキュリティ高いよな?
秋頃に売り出した建売住宅もセキュリティ高くて好評な売れ行きだったから、第二弾を!って話も出てる程だからか!」と言った
榊原は「薬局から侵入も不可能だし、門扉を破って侵入したら………シャッター降りる仕組みですよね?これ?」と言った
清四郎は「え?其処までセキュリティ高いのかい?」と驚いた
清隆は「ヨニー©イギリスのセキュリティ会社が開発した最新鋭の防犯システムですよね?」と謂う
烈は「ばぁたんとじぃたんとの家だからね!
ばぁしゃんとじぃしゃんの生活が不自由になったら、ボク頑張ってバリアフリーにしちゃうわよ!
あ、でもじぃしゃん来年 会長職を辞そうと想ってるでしょ?そしたらね、じぃしゃんは相談役になり残らにゃいとね!
まだまだ楽にはさせにゃいのよ!」とサラッと言った
清隆はまだ言ってないのに………詠まれてて焦った
「康太かい?」と息子に問い掛ける
康太は「え?オレは言ってねぇよ!
言わなくても烈やオレの子がそんなに簡単に辞めさせねぇから黙っていたし!」と謂う
清隆は恐るべし宗右衛門と思った
榊原は「瑛兄さんがいたならば、まだ会長は父さんで!と謂うでしょうね!
飛鳥井は60定年制は撤廃されてますからね
能力に合わせて仕事が出来るシステムを今、構築中ですから!楽にはさせません!
あの相賀にでさえ楽したらボケ老人一直線よ!と相談役にしたんですから………烈がそんなに簡単に楽にはさせませんよ」と冷たく謂った
玲香は最近、総務の方で働き方改革の見直しの責任者として飛鳥井に通っていた
レストラン部門は飛鳥井とは切り離し、カフェとレストランを子会社を立ち上げて管理させていた
玲香は総務に長い事働いて色々な問題を抱えてレストランの方へ行ったが、今回の移動で烈が再び社内へ戻したのだった
外部から見た社内や、社員を客観的に見れる存在として日々社員達と共に働いていた
陣内のサポート的存在として働けば、若い社員達から話し掛けられ毎日楽しく働いていた
玲香は若い子達とランチやカフェに行ったりと毎日が充実していて、若返った
飛鳥井の家族はそんな日々元気に仕事している玲香の姿にホッと胸を撫で下ろしていた
京香は今 飛鳥井の子会社でカフェやレストラン、保育園の運営管理の責任者として働いていた
京香もバリバリ働いて更に男前に磨きが掛かったと謂われている
更に美しくなり若返ったが、元々が男前なのだ
烈が配置し、家族が新しく走り出したばかりだった
烈は「家具を買いに行かにゃいとね!
ボク………買い物は………下手らしいから……カズと慎一きゅんに頼んだのよ!」と言った
流生は「カエル色の冷蔵庫が欲しいって客間の冷蔵庫買う時に言ってたもんね……」としみじみ謂う
烈はサコッシュの中から紙を取り出し
「ばぁたんとじぃたんの運気の上がる色は、パステルグリーンかピンクにゃのよ!
白い家電は……駄目よ、ばぁたんの気が滅入るから!」と言い渡した
真矢は紙を受け取り「パステルグリーン良いわね、パステルピンクも素敵ね!あるかしら?」と心配して言う
玲香は「ならば一生と慎一を連れて買いに逝かねばな!」と言う
「姉さん、楽しみだわ!」
「そうじゃな!食器は我と清隆が引っ越し祝いにプレゼントするわいな!」
と玲香が言うと榊原が「ならば、僕等は照明器具を引っ越し祝いにプレゼントします!」と言った
烈が「ぜんちゃんが玄関に合う絵画をわかちゃんと探してプレゼントするって張り切ってるわよ」と伝えた
皆に祝って貰うのならば、と清四郎は
「ならば引っ越しが終わったらお祝いをします!祝ってくれた方をお招きしてお祝いをします!
この家の2階はリビングとキッチンが続いてるし、烈が言うにさ応接間のドアを開けば、かなりのお客はお招き出来るそうなので、楽しみです!」と嬉しそうに言う
家電や家具を見に行く日を選び、翔達と一生と慎一と玲香が付き添いお出掛けとなった
キッチンはシステムキッチンが備え付けられていて、電子レンジやグリル等も既に備え付けられていて、買うとしたら冷蔵庫とかテレビとかになる
クローゼットは壁に備え付けになってるから、部屋でいるのは本当に個人の好きな家具とベッドとなる
真矢は「リビングと清四郎の部屋と私の部屋にTVは欲しいわね!」と謂う
清四郎は「そうだね、私はあまり大きくなくて大丈夫だからリラックス出来る空間が欲しいね!」と言う
その日見に来たのは家電と応接間のソファーとテーブルと絨毯
清四郎と真矢の部屋に置く家具はまた一生と慎一に乗せて来て貰うつもりだった
あれやこれと見て回り………疲れ果て、その日はキッチンに置く大型冷蔵庫を買って、50インチの壁に着けるタイプのTVを買って外食して還った
烈が必要な家具家電をリストにして渡すと、次の日に烈とケントが付き添ってくれ買い物に出掛けた
清四郎と真矢は自分の部屋の家具を見て回り、買った
冷蔵庫と応接セットと大型テレビは烈がお金を出した
榊原の家の家具を処分したお金だと言って出してくれた
だけど自分の部屋の家具は、それぞれのカードで買った
烈が真矢と清四郎の部屋のTVも買ってくれたから、テレビ台を買い自分の部屋を作る為に、其々が好きな家具を買う
そして家具が運ばれる日は施工のスタッフと慎一が応援に来てくれて設置して行ってくれた
そして洗濯機を買い、サンルームにある物干し台に物干しを固定して、洗濯アイテムを買い
生活が始められる様に日々、暇を見つけて少しずつ準備をした
榊原は約束通り康太と両親を連れて大型家電売り場にやって来て、照明器具を総てプレゼントした
部屋に合う照明器具を相談し買うのは楽しかった
そして応接間に置く応接セットやサイドボードを買って、清四郎と結婚してから旅行に行った時に買った絵皿やグラスや写真を並べた
キッチンには食器棚が置かれ、その中に玲香と清隆からプレゼントされた食器を並べて置いた
これからはデパートに行った時に食器を見るのも楽しいかも知れないわね、と真矢は想った
こうして二人で少しずつ買い揃え、家に合う家具や家電を入れて、12月の終わりに完全に引っ越しが完了した!
引っ越しが終わった日、飛鳥井の家族や仲間達や【R&R】のメンバー達を呼び引っ越し祝いをした
皆、プレゼントを持参で祝いに駆け付けてくれ楽しい時間を過ごせた
新居は楽しい思い出を沢山作るつもりだった
和華子とは良くお茶をする
真矢の家でだったり、善之助の家でだったり、で楽しくお茶をする
新居には友達も沢山呼んだ
清四郎の友達も新居に祝いを持って来てくれて、楽しい時間が過ごせていた
そして時は、年末の慌ただしさを孕み………
飛鳥井建設の会長のドアがノックされたのは大掃除へ突入する少し前だった
下の方でノックされた音に、清隆はドアを開けに行った
すると目の前にはアルマーニのスーツに身を包んで、全員サングラスをした外国人の集団が立っていた
竜馬は「今年も年末がやって来ました!
リーダーは今年は良いと言いましたが、我等は鍋目的でやって来ました!」と言った
清隆は【R&R】のメンバー達を部屋に入れた
清隆の会長室は【R&R】のメンバー達を入れても余裕で座れるソファーが置かれていたのだ
清隆はソファーに座ると「それではお聞き致しましょう!」と秘書に人数分の珈琲と薄めのジュースを頼みニコニコと問い掛けた
ダニエルは「新しい社員も入ったから余計に意識改革が必要になるね!」と言い
イーサンも「我等はそれを見極めに来た!」と言った
フレディは「見極めて正して逝かないと、社員が増えれば統制を取るのが難しくなります!」と述べた
サムエルは「この不景気な世の中を生き残る資質があるか?見極めてあげます!」と言った
デービッドも「下地を確かにして上にどれだけ積み上げようとも揺るがない様にせねば、震度7だと崩壊します!」と軽くジャブ程度の突込みをする
ヘンリーは「さぁ今回もリーダーの為に我等は貴重な時間を使って来ました!
なので饗して下さい!」と対価を口にする
竜馬は「と謂う事で我等を饗して下さい!
その対価で我等は社員達が何れ程の努力を積み上げて来てるか?を調べ上げて改善点を解らせましょう!でなくば新入社員を投入出来る余裕があるか?調べねば飛鳥井は何時になっても若い芽を育てる環境は来ません!」と言い切った
清隆は瑛太と榊原と康太を会長室に呼び出した
そして同じ事を話してもらった
メンバーと竜馬が話し終えた後 宗右衛門は
「今の飛鳥井は低迷が続いている、表面上は取り繕っておるが、意識は混迷して迷走を始めたから、ここいらで手を打つ必要があるのじゃよ!
今回は本当に【R&R】のメンバーの善意で協力して貰えると謂う事で、金欠な儂はお金を払う事がなくて助かっているのじゃよ!
儂からも頼む、【R&R】のメンバーを饗してくれ!頼む!」と深々と頭を下げた
清隆と瑛太と榊原は慌てて宗右衛門を止めて頭を上げさせた
瑛太は「そう言う事ならば伊織、頑張ってくれませんか?我等はボーナスが出て財布が温かいので、二万円ずつ出します!
なので会長、社長の私、そして副社長、真贋、そして特別顧問の玲香と京香は一万円ずつ出させて十万円でお饗しをお願い出来ませんか?」と言った
榊原は「解りました!何が食べたいか?後で聞き饗したいと想います!」と言った
康太は「母ちゃんと京香も二万円取っちまえよ!
母ちゃんも京香も二万出してもよいわいな!とライン返って来てるぜ!」と言い康太はラインを見せた
そして「聡一郎や一生、慎一、隼人にも二万出させて、それは美味しそうなの作ればええやん!
お酒も良いの買って来て飛鳥井の出来る限りで饗しをするんだよ!」と続けた
清隆も瑛太も頷いて、賛成してくれた
榊原は「と謂う事で饗します!後で何が食べたいか?聞きますから教えて下さいね!」と言った
【R&R】のメンバーは【やったー!頑張ろうぜ!】と言い喜んだ
榊原は「講習は何日の予定になりますか?
其れにより社員達に仕事の調整をさせねばなりません!」と言った
竜馬は「仕事納めの前日までの3日、午前か?午後からかになるかは?そちらで調整して下さい!
我等はそのその3日間を遣い講習します!
今度は講堂が使えると言う事で全員を講堂へ集め講習を開きます!」と説明した
烈はその横で薄めたジュースを飲んでいた
瑛太は「解りました、社員達にはその様に通達致します!
副社長、午前と午後、何方かを決めねばなりませんね!」と言うと
榊原は「午前中は仕事をさせ、午後からの方が良いのでは?」と提案を謂う
瑛太は「午後からだと食後と謂う事もあり社員は眠りませんかね?」と不安げに呟く
竜馬は「寝れる環境になどなりはしない!」と嗤った
その生意気な顔に瑛太は「それではお手並み拝見させて戴きます!」と言った
榊原は「なら講習会は午後からとします!
講習会でのテキストか教材は用意してあるのですか?」と尋ねた
烈が「この後にーに達に手伝って貰い完成させるつよりなのよ!」と伝えた
榊原は「解りました、その資料の作成は僕と康太も手伝います!明日からの講習会ですが、【R&R】の皆さんは今夜から我が家に来て楽しんで行って下さい!」と伝えた
メンバーは喜んでいた
榊原は俄然やる気になり
「ならば明日の午後から仕事納めの前日までの3日間は講習会に参加せよと告知致します!」と言い榊原は秘書を呼びそれを告げた
秘書は「直ちに用意致します!社内放送は誰がしますか?」と問うと榊原が
「僕がこの後、社内放送で流した後に、各場所を烈と回り告知します!」と言った
秘書は即座に動き会長室を出て行った
烈は竜馬に「メンバーを宗右衛門の部屋にお願いね!それと兵藤きゅんは?」と一緒に帰国した筈の兵藤の姿がないから問い掛けた
「あ、貴史なら既に宗右衛門の部屋に行ってるっす!大勢で会長室を尋ねる方が迷惑だろうが!言って遠慮したんすよ!」と説明した
烈は母の方を向いて「なら母しゃん、扱き使って下さい!」と謂う
康太は「うし!貴史の教育係のお許しが出た事だし、仕事納めまで扱き使ってやるとすんよ!」と嗤った
榊原は「ならば貴史を連れて放送室で放送を流した後に、講堂をチェックしに行きます!
明日ちゃんと機能するかチェックせねば!
烈、戻ったら各部署に説明に行きますからね!」と言い会長室を出て行った
康太は烈と共に宗右衛門の部屋に行き資料作りを始める事にした
宗右衛門の部屋には翔達が来て、資料作りの準備をしていた
こうして皆が仕事納めまでの日々を迎える為に動き始めた
榊原は即座に放送室へ向かい社内放送に向かい
【講習会告知の放送をします!
飛鳥井宗右衛門が今年も講習会を開いて下さるそうです!
社員の皆さんは、早急な仕事は残業してでも早く済ませて下さい!
明日の午後から【R&R】による講習会が始まります!
今回は地下の講堂にて全員参加の講習会となりますので、現場仕事で出る者以外は参加となります!】と告知した
社員達はそれを聞き、何としてても仕事を上げる事に全力を費やした
烈は兄達や母に手伝って貰い資料の作成をしていた
兵藤は榊原に連れられ講堂のチェックをしていた
清掃員に講堂は掃除させているから綺麗だが、マイクのチェックにプロジェクターのチェックに余念がなかった
兵藤は「此処って地下やんか?当日はエアコン入るのかよ?」とあまりの寒さに問い掛けた
スーツは防寒力が低いのだ………明日は絶対にヒートテックを着て来ようと心に決めてたのだった
流石に………ズボンの下にヒートテックのタイツ履くのは………モモヒキみたいで若者が手を出して良い品物じゃねぇよな?と想いつつも寒さには勝てず思案していた
榊原は「この講堂は気密性が高くて、総て閉めれば直ぐに部屋は温まるそうです!
その上足元にも温風が流れ部屋全体にも暖房を入れれる様になってるので、かなり温かくなるそうです………が今はチェックなので暖房は入れません
ですが明日はヒートテックのタイツなんか着て来たら汗ばみますよ!」とサラッと流して言う
兵藤は「俺の心を読みやがったのかよ!」とボヤいた
「康太が朝 君を見掛けた時に『アイツ、ヒートテックのタイツ買うか悩んでるわ!』と言っていたので……」と笑った
兵藤は不貞腐れて「俺はヒートテックを買ってイギリスに行ったんだよ!イギリスでは愛用しねぇと寒くて堪らねぇんだよ!」とボヤく
榊原は笑って「僕は烈を連れて部署を回りますよ!君は資料作りを頼みます!」と言い早足でエレベーターのタッチパネルに触れドアが開くと6階の宗右衛門の部屋へ向かった
ドアを開けると、皆で協力し合い資料作りをしていた
榊原は「烈、講堂は総て作動します!さぁ各部署を回って説明しますよ!」と言った
烈は立ち上がると榊原と共に宗右衛門の部屋を出て行った
まずは階段で5階まで降りると製図課と人事部の社員を通路に集めと講習会の話をする
主任の城田と蒼太に翌日から始まる講習会の全員参加を告げた
城田は「今ピッチを上げて仕事してます!明日は必ずや講習会に参加いたします!」と告げる
蒼太も「我等も明日は絶対に参加致します!」と謂う
社員達も手を上げて参加を告げていた
次は4階 建築、広報と資材管理室と総務の社員を資格教育室に集め講習会の説明をする
九頭竜は「現場に出ていない者は参加させても大丈夫か?」と問い掛けた
榊原は「勿論、交代して3日の間は出られると良い!」と返した
広報の紫峰圭祐は「我等は今急ぎの仕事ないので、全員参加させて貰います!」と告げた
資材管理室の綾小路は「我等も参加させて戴きます!」と言った
総務の陣内は「我等も全員参加で良いよな?」と総務の社員に尋ねると全員【はい!】と返事した
榊原は「では明日午後から講堂で講習会が開かれますから参加して下さい!」と言い烈と共にエスカレーター乗り下へ降りた
3階に降りると営業の赤松に社員を集める様に告げた
経理査定室 愛染 電算室 中村 経理 瀬能等も呼び出し各部署の社員も榊原と烈の前に整列した
榊原は講習会の参加を告げた
社員達は既に伺っております!と参加の意向を答えた
総ての階で説明を終えると榊原は
「烈、僕は部屋に戻りますが、君はどうします?」と問い掛けた
「ボクは赤松と話して、陣内にも話して上に上がるわ!」と言うと榊原は烈の頭を撫で
「無理は禁物ですよ!」と言いその場を離れた
解散となり皆は自分の席に戻り仕事を始めた
烈は「赤松!」と呼び止め、経理査定室の愛染も呼び共に会議室へ入って行った
烈は会議室へ入ると椅子に座り
「どう?一色と水野は?」と問い掛けた
赤松と愛染は烈が広報宣伝部を潰し、当時の責任者だった一色と水野を振り分けた事を知っていた
赤松は「一色は部内の意識をガラッと変えるのが上手いからな営業は天職でしょう!」と言った
愛染は「水野も真面目で直向きに仕事してくれるので、広報宣伝部の仕事よりも此方が天職だと俺も想います!」と言った
「二人は社内で話するの?」
「いいえ!一切関係を持とうとはしていません!」と赤松が答えた
愛染も「水野も今一生懸命に部内に馴染もうとしている、部内の人間も水野を受け入れ統制は取れていますから、その中に一色の存在を入れたくはないのでしょう!」と言った
赤松も「だよな、一年経てば一色は営業を離れますか?」と問い掛けた
「建築と経理も経験させた方が厚みが出ると思ってはいるのよ、だからの一年と言う事にした
この会社の中のヤツがどれだけ建築会社に勤めていると言うのに建築を解っているか?
赤松は建築も他部署も経験してるから解るでしょ?最終的にどの部署に配置するかは?
その時の一色の星を詠み配置するのよ!」
「解りました!今年で一年満了するので、年始からは一色は九頭竜に預けるとします!
九頭竜は半年でしたね?
配置を終えた後の一色が楽しみではあります!
どの様に化けるか?楽しみに待っています!」
と赤松は答えた
愛染も「俺の次は中村だけど、中村はもう昔の気弱な泣き虫な中村ではない!
己の生き方も見直さざるを得ない事態を目の当たりにして中村は変わりましたから!
なので俺よりもキツい事になりますが、今の水野ならば大丈夫でしょう!」と水野を思い口にした
「なら引き続きお願いするわね!」
烈はそう言い会議室を出て行った
その時 営業から戻った一色と目が会い、一色は烈に深々と頭を下げた
烈は何も言わず一色に背を向けてその場を去った
会議室から赤松と愛染が出て来るのが見え、自分の事で話していたんだと一色は想った
だが必死に食らいついて今を生きているのだ!
宗右衛門に誇れる自分を見付けると決めたのだ
烈はエスカレーターで4階に上がり、新しく出来た部署 働き方改革の部署を尋ねた
資格教室の中に設けられた課で玲香が働いていた
資格の講習会が開かれる時は、社員の様子を眺めてチェックを入れたり、改善点を見つけたら話し合う事などしている
陣内は3階のフロアの統括本部長だが、総務と働き方改革の部署は陣内の管轄だった
その分 栗田が現場の視察等に力を入れられる様に、4階の統括本部長は栗田だが総務は陣内がやっていた
今は玲香と手分けして働けて陣内は助かっていた
烈は働き方改革の部署に顔を出すと、玲香はテキパキと働いていた
綾小路と講習会の手筈を整えるサポートもしたりと玲香は忙しそうに働いていた
だが烈を見掛けると笑顔で「烈!!」と祖母の顔になり笑顔を見せるのだった
「どう?困ってる事にゃい?
働いていて辛くにゃい?」
「辛くなどない!
皆が手助けしてくれるからな、一丸となりやるのは達成感が凄いし、やり甲斐が在る!」
と笑顔で答える
烈は祖母に笑顔を向けつつも、部署の人間を見る目はとても厳しく………社員達は皆気を引き締めるのだった
ニコッと笑うと「ならお昼にね!ばぁたん!」と言い烈は部署を去っていくと社員達は
「後でウィダインゼリーの差し入れします!」と言う
烈に厳しい目を向けられたとしても、謂う事は正しく会社の為に生きているのが解るから社員達さらは人気があるのだ
絶対の信頼と絶対の絆で結ばれていると言っても過言ではなかった
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