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第67話 低迷 混迷 迷メイめェぇぇぇ ❸

社内は講習会へ向けて活気付いていた 宗右衛門は資料を作成すると同時に社員達へ、今回の講習会のテーマをHPに発表した 「今回の講習会のテーマは【建築会社】じゃよ! 主等は自分の会社がどんな会社で何をやっているか?答えられるか? まぁ建築会社と言うからビルや家を建てている と答える事は出来る だがどんな仕事をしているか?解るか?答えられるか? 建築会社で働いてるのに、無知な社員が多くて………転生して直ぐは目を疑った程じゃ! なので良い機会じゃから建築に関するノウハウを叩き込みたいと想う! そして社員達にはそれと同時に【現場】を知って貰う事にする! 今後生き抜く為に我等は無知は許されぬ! 先にどんな異論も聞く気はないと申しておこう!」 とコメントを乗せた やけに強気な宗右衛門の言葉に社員達は言葉もなかった 女性社員は統括本部長に「私達事務職の女性社員も現場へ行かねばならないのですか?」と質問が殺到した 統括本部長は「それは宗右衛門が決められる事! 我等は命令が下されれば従うしかない! 嫌ならば転職も考えられるとよい!」と返した もう宗右衛門に異論を唱える統括本部長は一人もいなかった 会社を軌道に乗せる為だけに転生したと謂うのだ 生半可な事はないど言ってはいられないなのだと、統括本部長達も腹を括っていているからだ! 兄達は、祖父や、家族達は………烈の髪の毛が、風もないのに揺れている事に気付いていた 最初は勝機を呼んてるのか?と想っていた 榊原や家族も兄達も、烈の髪が揺れているのは知っていた 風もないのに髪が揺れるのは、康太を見ていれば不思議な事じゃないから……… 烈は勝機を呼んでいるのですか?と聞いた 闘うならは勝機を呼んでも当たり前だと想っていたから… だが康太はそんな事を言う家族に 「アイツが呼んでるのは勝機なんかじゃねぇよ! 特大級の嵐を呼びやがったんだよ! 荒れるぜ社内は………本当に社員を篩に掛ける気満々でいやがるんだ!」と吐き捨てた 榊原もその横で静かに頷いていた 翔は「ハリケーン到来するの?季節外れなのに………」と呟いた 竜胆は身震いして「何時の世も宗右衛門の呼び起こす嵐は半端ねぇからな! 衝戟に備えねぇとな!」とボヤく 瑛太は「荒れるのは構いません!ですがそんな時………烈が大変な目に遭う事が多いから心配ではあります………」と烈の心配をした 榊原は「呼び起こした嵐は総てを出し切りまで止まりません………心配ではありますが、仕方ありません!源右衛門が高齢過ぎて飛鳥井がボロボロにされたのもあるのですから……此処で踏ん張らねば100年も続かず飛鳥井は終焉を迎えるしかないのですから!」と英断だと言った 家族はそんなことは絶対にさせない!と心に誓う ならばどんな衝戟が来たとしても、飛ばされない様に踏ん張らねば! そうして迎える飛鳥井建設 講習会 一日目 その日 烈は最初から飛ばしていた 講堂の演説台の前に立つと 「辞表は常に受け付ける用意は出来ておる! そして半端な考えしか持たぬ社員には、解雇通達も既に用意しておる! 飛鳥井建設は先の1000年続く果てへ逝く為に、今を乗り越えられる者だけを必要とする! 主等がどの会社に勤めておるか解らぬのならば、この先の会社には必要とはせぬ!」 と先制攻撃を仕掛けイーサン・オルディスとフレディ・ホワイトが壇上に立ちプロジェクターのスイッチを押した すると一面に基礎の工事の画像が映し出された 建築の基礎の画像が映し出されイーサンは「右と左の画像の違いは解りますか?」と問い掛けた 営業の一色が手を上げて「基礎の工程が直接基礎と杭基礎と違っています!」と答えた フレディは「良く勉強してますね一色サン!そうです、基礎の工程を見ても現場に出て働いていなければ中々この工程差は解りません! 貴方達は建築に携わるのに、何故勉強しないのですか? 事務員は事務仕事だけしてれば良いと?」と社員に投げ掛けた 女性社員が「私達は事務員として雇われているので、現場の仕事なんか知らなくて当然です!」と言った 竜馬は「それは倭の国の女性社員的な発言ですか?ヨニー©イギリスは宗右衛門が固定させた社員以外はどの部署の仕事も出来る様に各部署をローテーションさせ働いてます! 自分の会社が何を作ってどんな仕事をしているか?知らない社員はいません! 飛鳥井建設はどうです? 事務職の人間にどれだけ会社の仕事が解ると謂うのか?多分皆無でしょうね! 営業は己の会社の商品を売るのだから必死に覚える、一色さんは自分の職業を武器にする為に必死に勉強なさったのでしょうね! 貴方達は飯の種になる職業を知らねばなりません!知る気がない者は去りなさい! 我々は遊びに来ている訳ではないのですから!」と謂うとイーサンとフレディによる講義は始まった 建築の現場に行ってる社員は「あ、それ一級建築士の試験に出たヤツだ!」と呟いた 事務に配属された者は資料にギッシリとメモを取り、自分の勤めている会社を何も知らなかった……と、思い知った 一日目は社員に衝戟を与えて終了した その夜、飛鳥井の家では宴会が開かれた 家族と【R&R】のメンバーと仲良く大土鍋で鍋を楽しみ酒を飲んだ 皆から徴収したお金でかなり贅沢な宴会となった 講習会 2日目 この日は製図課 特別顧問の飛鳥井悠太が壇上に姿を現した 悠太は一軒の家の製図をプロジェクターに映した 「この家は秋頃 宗右衛門の意向で売りに出された建売住宅の製図です! この製図から何が読み解けますか?」と問い掛けた 瀬能が手を上げて「少し質問宜しいですか?」と問い掛けた 悠太は「どうぞ!」と謂う 瀬能は製図の前に立つと「この部分、何がありますか?」と分厚く壁が作られた部分を指差し問い掛けた 悠太はイーサンとフレディと仲良くハイタッチすると 「そこ、気付いて欲しかったから出したんだよ!」と言った 烈がマイクを取ると宗右衛門の声で 「この分厚してある壁面はヨニー©イギリスが誇るセキュリティが搭載されておるのじゃよ! 儂はヨニー©イギリスの副社長もしておる故、少しだけ融通を効かせて貰い、他社との【差】を着けて建売住宅を売りに出したのじゃよ! コストは少し高めの設定じゃったが、安心を買える家!と銘を打ち売り出したら飛ぶように売れたのじゃよ! これで儂が飛鳥井建設会社を立ち上げた時の犬小屋からビルまでのコンセプトを活かして、戦略が掛けられる事となったのじゃよ! 主等は好きなモノを買うなれば、その商品を調べて手にして納得して買うじゃろ? ビルや戸建て住宅なれば尚更、理解して買わねばならぬ財産とも言える買い物じゃ! それを売る側の社員が知らずして、主等は顧客に対してどう責任が取れるのじゃ? 我が社は一丸となり1000年続く果てへと逝くつもりじゃ! なので会社の理念や方針を理解出来ぬ者は退職して構わぬと申しているのじゃ!」 悠太も「宗右衛門が打ち出す果てへと俺等は逝かねばならない! 俺も会社を理解出来ない者にはいて欲しくないかな?我等は血と汗と涙を流した結晶とも言える建物を生み出して生活している! 少し前に俺は会社の下のカフェで「建築なんて汗臭くて汚くて結婚相手も探せやしないわ! 転職する先間違えたかしら?」と友達と話している社員を目撃している よくもまぁ会社の傍で会社の悪口言えるなって想っていたら、烈もその光景を竜馬と貴史とで見ていたから、こんな風に打って出たのも納得だと想ったよ!君達さ結婚相手探すならば、結婚相談所へ行きなよ!此処は働く場であり、結婚相手を探す場ではない!」と言い皮肉に嗤った 講堂はシーンと静まり返った フレディはプロジェクターを遣い建築法や建築の技術を使った建物を映し出し解説を始めた 社員は皆 必死に食らいついてメモを取っていた 講習会 2日目はこうして終了した 瑛太と清隆は宗右衛門が打って出た経緯を聞き、納得していた 講習会 3日目 最終日 この日は社員の建築に対しての知識と常識問題のテストをさせた 竜馬が作った常識問題のテストは人間性を見る為の仕掛けがしてあった テストが終わると宗右衛門は 「社員の皆には定期的に建築の方で働いて貰う機会を作る!そして今の部署も近々変わる予定じゃ!皆にはどの場所も一通り知って貰うつもりじゃから、製図だけ書けば良い訳では無い 製図を引くならば現場を知らねば、人の住む家など引けはせぬ! 事務仕事している者も、総ての場所を回り会社を知るがよい! のうのうと仕事したいならば、我が社は今後はかなり難しくなる故むかぬな! 我が社は叩いて叩いて叩き上げた存在しか残らぬ様に更に厳しく篩にかける事にする! 儂からは以上じゃよ!」と宣言した 榊原はマイクを取ると 「此れで講習会は終了となります! 今年の仕事は今年中にお願いしますね! 明日は仕事納めで大掃除です! お疲れ様でした!」と言い終了を告げた 九頭竜は烈の傍に来ると 「烈、事務職の奴等を現場に寄越したら足引っ張らねぇか?」と問い掛けた 「元より承知なのよ! だけどそれを知らないと無知を上塗りしちゃうからね、働かせるわよ! 現場に立たせて木偶の坊になるか?何かを学んで動き出すのか? 分かれ目にゃのよ!」 「そうか………ならいきなりバリバリの現場はハードル高いな 飛鳥井は施工の社長から名人と謂われる職人を配置され、バリバリと仕事させているからな そんな現場へ行かされたら……怒鳴られ心が折れるのは目に見えてるからな 俺は今【R&R】のビルの建設で宮瀬建設とか他社と仕事しているから、その現場に連れて行き下働きさせるとするわ!」 「頼める?遼ちゃん?」 「烈の頼みならば何でも聞いてやるさ! 真人にも頼まれているからな! ありがとうな、建売住宅製図を恵太さんと共に引かせてくれて……立体駐車場の製図もやりたかった仕事だって喜んでた!」 「木瀬はねもっと凄いのゆーちゃんと共に引いてくれるからね!ボクも頑張らなきゃなのよ だからこその教育なのよ、結婚相手を探しに来てる場じゃないのよ!」 「だな、ならば現場には来年からか?」 「そうね、南雲や宮瀬に研修に逝くのも一段落したから、今度は社内で研修に出て貰うしかないのよ、来年からは社員をローテションで回して教育するつもりよ!」 「了解だ!ならな烈!」と言い九頭竜は烈から離れた 康太は烈の傍にやって来ると「社内もケントを連れて歩け!」と言った 康太は改革を進めれば、逆恨みに遭う事が何度もあったのを身を持って解っているから余計にそう言った イーサンやフレディ、【R&R】のメンバーは瑛太と共に最上階へと行っていた 烈は康太に呼ばれて来たケントと共に6階の宗右衛門の部屋へと行きテストの採点をしに向かった エレベーターの中で烈は「災厄は会社から襲って来る訳じゃないのよね………」と呟いた ケントは「それはどう謂う事なんだ?」と問い掛けた 烈は何も答えなかった 宗右衛門の部屋に行き、テストの採点をしている兵藤と竜馬と【R&R】のメンバーと共に烈も採点を始めた クーは流生の膝に丸くなり寝ていた 皆 黙々と採点をする 竜馬は「ナメてるよな………この会社の社員って……」とボヤいた 竜馬の言葉の意味を知る兵藤も呆れ顔で 「だな、何しに会社に来てるのよ?って感じだな」とボヤいてた 榊原は「其処まで酷いのですか?」と問い掛けた 竜馬は「このテストは心理的なトラップを仕込ませて、本人が気付かぬ奥の奥の本音を誘導しているんですよ!」と言いその問題の部分を指でコンコンと叩いて説明した その説明を聞いて榊原は唖然としていた 「事務関係の女性に関わらず男性社員も………ナメてるんだよ!この会社を!」と謂う ヘンリーは「ヨニー©イギリスでそれをやったら即刻解雇だよ……オリヴァーは会社に対してナメているのはその考案を出した烈をナメているからだ!と逆上して暴れて………大変な事になるよ!」とボヤいた 竜馬は「オリヴァーは烈命だもんな………」と謂う ダニエルは「愛してるもんねリーダーを!」と怒りまくるオリヴァーを想像して言う 烈はそんな竜馬の言葉を聞き流しながら…… 「あ、兵藤きゅんに言う事があったんだ!」と言った 兵藤は「え?俺??何よ?どんな話よ?」と問い掛けた 「兵藤きゅんの縁談、破談にするから!」とサラッと言った 「え?俺の縁談……破談になって良いのかよ? 康太は承知しているのかよ?」と康太に問い掛けた 「母しゃんなら今の兵藤きゅんを視れば納得してくれるわよ! もうね母しゃんか詠んていた未来へは逝けにゃいのよ……行けば破滅しか待ってないからね!」 烈が言うと康太は「確かに………破談も止む得ねぇな!」と言った 兵藤は「理由を話してくれ!」と言った 烈は「役不足なのよ!何かにつけても今の婚約者では役不足なのよ! 兵藤きゅんの運命が変わったからね、未来も変わったにょよ!」とサラッと言う 康太は「オレの視て来た果てが悉く狂わされていていた弊害が出ていたんだよ! それを烈が軌道修正してくれたからな、もう狂った先には逝けねぇんだよ!」と言った 兵藤は「解った、破談の手続きは康太がしてくれ!」と言った 「少し前に斎王もオレの運命軸のズレを感じていたらしくてな 烈に合わせて話をして貰った所だ! 斎王は理解を示してくれ、烈が導き出す果てへと逝くと約束してくれた その中で兵藤貴史との縁談も烈が決めて運命に乗せる………そんな話をしたばかりだから白紙に戻すと言った所で斎王も納得するだろう!」 「うし!ならば俺は烈が敷いたレールの上を直走る事にする!因みに俺の嫁………いるよな?」 兵藤は不安げな瞳を烈に向けた 烈は「人を大切に想えたら現れるわよ!」と笑って言う 「なら大切に想えなかったら?」 「それは………まぁ………成るようにしか成らないわよ!」と答えてはくれない 烈と兵藤が楽しく話していると、ケントは康太と榊原を別の部屋に移動して先程の烈の発言を伝えた 「災厄は会社から襲って来る訳じゃないのよね??それは気を付けるのは会社じゃないって事なのか?」とケントに問い掛けた ケントは「計り知れないからお耳に入れさせて戴きました!」と言い、ケントは烈の元へと向かった ケントがいなくなった後 康太は 「烈は何を抱えているのよ?」と呟いた 榊原は「災厄は、って事は誰かが烈に逆恨みしてるって事ですか?それで逆恨みして仕返しをしようとしている奴がいるとか?ですか?」と思案して、携帯を取り出すと神威に電話を掛けた ワンコールで出た神威は『おー!どうした?儂は寝る時間もねぇ程に忙しいんだよ!』と不機嫌な声で言い放った そんな事に気に止めず榊原は 「烈、誰かに恨み買ってますか?」と問い掛けた 『恨みならあっちこっちで買いまくりじゃろ? あのお子様は!!昔は虫も殺さぬ子じゃったのに………』とボヤく 「直近で恨みを買ったとしたら? それはどれですか?」 『あー!それは宗右衛門の事業の一つの薬局だろうが!オーナー不在で好き勝手にされ連鎖倒産されかかっていたからな それを大量の解雇者を出して正して今に至るだからな! 身内を勝手に働かせて店長の娘って言うだけで大きな顔して社員を扱き使っていたらしくて、評判も下げていたし、店長の母親の方は不正に経費も横領していたから今は裁判中だ!店長はそれはそれは烈を逆恨みしてるだろうな! 真矢さん達の家もあるのに、薬局にガソリンまいて燃やそうとしていたんだから、その修繕費も加算されて、莫大な賠償請求されている!』 「その店長は今は?」 『頑丈な鉄格子が着いた部屋の中に入ってるだろうさ!』 「なら店長の娘は?」 『それは知らん、でも何かやるならば烈を狙うだろうな………薬局の方は今定期的に警察がパトロールしてくれている! まぁ気を付けてやってくれ!』と言い神威は相当忙しいのか?電話を切った 康太はその話を聞いて「薬局……そんな事になっていたのか………」とボヤいた まぁオーナーが不在だったり、子供だったりすれば好き勝手にされ連鎖倒産する程まで追い込まれてしまうのも………理解は出来た 「烈………めちゃくそ忙しそうにしてたの………会社の事だけじゃなかったんだな……」 祖父母の新居の用意や菩提寺の管理運営も宗右衛門の仕事だったから、今は納骨堂の管理とかもあり忙しそうなのかと思っていた 康太と榊原は気を取り直して宗右衛門の部屋に戻ると、烈は何処かへ出掛けていなかった 「あれ?烈は?」と問い掛けると翔が 「納骨堂の建築でトラブルが出てケントと共に出掛けたわ!」と言った 「トラブル??それは何よ?」 「それは解らないのよ……」 兄達は心配した顔で弟の事を案じていた 取り敢えず、康太と榊原はテストの採点を終わらせる事にした 菩提寺へと駆け付けた烈は、城之内の所へ走って向かった 「城之内!骨??骨って何??」と問い掛けた 「烈、納骨堂の地震祭やって、今は基礎をやる為に敷地を掘っていたら、大量の骨が出て来たんだよ!今 工事は中止になって警察に連絡を入れたから鑑識が調べている」 「菩提寺で保管してる納骨は?無事なの?」 「今 竜之介に調べさせている」 菩提寺の墓地には鑑識が来て何やら調べていた 竜之介がやって来て「遺骨は無事でした!合祀の遺骨も納骨堂に納める遺骨も、菩提寺の奥の奥に管理しているので部外者には保管場所さえ解らないでしょう!」と言う その事は鑑識の人にも話し、ならこの骨は何処から来たのか?となった 鑑識の人は「巻かれていた骨は遺骨ではありません!ならばこれ程の大量の骨をどうして手に入れて撒いたのか?此処の土と骨に着いている土を鑑識に掛け調べます!この寺は監視カメラがありますよね?それを確認させて戴くのは可能ですか?」と問い掛ける 宗右衛門は「この菩提寺の監視カメラはARЯK警備保障へと転送されるシステムを取っておる! 責任者には申しておくので、監視カメラを見られるならば何時でも確認へ行って構わぬ!」と言い暦也の直通電話の番号を記した名刺を渡した 鑑識はその名刺を受け取り、骨を回収して帰って行った 烈は城之内に「鑑識の結果が出るまでは現場はストップね!」と悔しそうに言った 城之内は「烈!保養施設で茶でも飲んで落ち着こうぜ!」と言い烈を抱っこして保養施設へと向かった 「いらっしゃいませ!」と大きな声がして 「あら?住職どうされました?」と話す女性の姿があった 烈はその女性に「華絵元気かしら?」と問い掛けた 「おー!烈!!!頗る元気だぜ!」と笑顔全開で言う もう大人しい蓮華ではない………少しガサツな気がするが…… 「もう慣れた?」 「はい!何か今の暮らしの方がしっくり来ます 前の生活が如何に異常だったと今ならば解る! そもそも私はそんなに大人しい女じゃないからな!自分の本質が良く解ったわ! 悪戯っ子はお尻ペンペンもします!」と悪戯っ子みたいに笑う 夏海とも仲良く大きな声で話し、顔をクシャクシャにして笑う 城之内は「今ではスッカリ皆と仲良くなっているぜ!」と言う 「それが華絵の本来の姿なのよ! 還っても気負わず夫を蹴り飛ばす強気なままで良いからね!」 「それは楽しみだわな!」 華絵は烈と城之内に熱々のお茶淹れテーブルの上に置いた 城之内は「……結構順調に行ってたからな……この先どうしたら良いか?」と弱音を吐いた 「城之内、骨は多分……ボクの方の輩からの嫌がらせかも知れにゃいわね……… 防犯カメラを見なきゃ解らないけどね………」 「烈……今朝、竜胆の夢に予知予見の恵方が出て宗右衛門が危険に見舞われる!宗右衛門を守れ!と言って来たそうだ!んとに大丈夫なのか?」 と城之内は心配して問い掛ける 「ボクね恨み買いすぎて地獄へしか逝けそうもないのよね………」とボヤく言葉に城之内は言葉をなくした どの道 烈が逝くのは地獄の閻魔様の所なのだ 近い内にまた魔界へ行き閻魔庁の建設の指示をして来ないといけないのだ そのついでに黒龍の教育をして来ているのだ ズズッと熱いお茶を啜り 「城之内、工事は中止になるしかないわよ 骨が出ちゃったからね、あ!母しゃんにラインしとかなきゃ!」と言うと携帯を取り出して 「母しゃん、菩提寺の納骨堂の工事中に大量の骨が発掘されちゃったにょよ……… で、納骨堂の工事が止まっちゃったのよ……」と送った 康太はそのラインを見て『直ぐに逝くから待ってろ!』とラインを送った 康太と榊原は秘書に「問題が持ち上がったから菩提寺へ逝く!」と言い、直ぐ様菩提寺へと来てくれた 菩提寺へ到着する前に康太は烈に『何処にいるのよ?』と問い掛けた 「保養施設の1階にいるわ!」と送ると、そんなに待つ事なく康太はやって来た 「烈!どう謂う事になってるのよ?」と心配して駆け付ける 「ボクもね良くは解らないのよ 納骨堂の建設為の基礎を掘っていたら大量の骨が発掘されちゃったにょよ! で、警察に連絡したら鑑識が来て骨に着いた土と菩提寺の土とを鑑識で調べるとの事なのよ それに伴い監視カメラの映像もチェックするそうなのよ………また工事の遅れよ……最近本当に嫌がらせのように工事の遅れが多発しているのよ…」 康太は直近の工事の遅れを思い出した 「コンクリートに水混ぜまくりの現場だよな?」 「コンクリートにあんなにガバガバ水混ぜまくったら耐震基準は標準より下がりまくりなのよ! それも解らずに生コン屋を名乗るな!と言いたいのよ!」とかなりの激怒だった 榊原も思い出し「あの現場もストップしてますね 耐震基準は満たしていないならば、解体ですから…………損害賠償請求してやります!」と激怒だった 康太は「それよりも、竜胆が一族に警告を飛ばした!恵方が夢の中で烈、お前の命狙われているって警告出したんだって?」と問い掛けた 「それは知らないけどね、ボクの星が危険サインを出しているから警戒してるにょよ! ボクね恨みならばこの年で沢山買ってるからね 地獄へ堕ちるしかにゃいのよね……ボク天国に行きたいのにね!」と笑う 「まぁオレも地獄へ堕ちるしかねぇから、逝く所は同じだかんな! まぁオレも天国へ行きてぇけど、天国に行ったら行ったで大変だかんな! オレはやっぱ地獄で良いかな?」と嗤う 「そうね、それこそ水が合わないわねボクも! それよりも骨………罰当たりな奴よね 死者の眠りを妨げやがってばら撒き埋めるなんてね!」 「本当にな、死者は眠りを暴かれて行き場所を失ったに違いねぇな!」 「相当恨んでるわよ! 死者に鞭打つ!ってこう謂う事よね!」 と烈は熱いお茶をズズッと啜る 康太と榊原の前にもお茶を華絵が置く 「どうぞ!」 康太は「どうよ?慣れたかよ?」と問い掛けた 華絵は「はい!もぉ慣れました!あ〜!おっちゃん!それじゃお茶飲んでるのか溢してるのか解らないってば!」と叱り布巾を持って行き片付ける 太極拳に来たお年寄りがお茶しに来る 誰かと話したいお年寄りの憩いの場所になりつつ在った 華絵はお年寄りを叱り片付ける その手つきは慣れて来て、テキパキと熟していた 康太は「男前になってね?」とボヤいた 烈は「元々なのよ、持っていた素質は男前にゃのよ!それを夫の影に隠れて生きて来たから、本質も知らずに護られて生きて来たのよ! 戻したらかかあ天下の出来上がりにゃのよ!」と笑って言う 康太は笑って「かかあ天下の方が上手くいく場合もあるからな、そうか……兄者女房の尻に敷かれるのか?」と謂う 烈は「うちも母しゃんの方が強いにょよ!」と笑う 榊原は「我が家もかかあ天下ですからね!」と笑う 康太は唇を尖らせ「んな事ねぇかんな!」と拗ねて謂う そんな話をしていると唐沢が菩提寺の保養施設までやって来た 唐沢は康太と榊原の前に立つと 「会社に電話したら此方だと秘書に伺った故、越させて貰った!」と謂った 康太は「あんで唐沢が出て来たのよ?案件が違うだろうが!」と言った 「大量の所持者の解らぬ骨……俺の案件でしょうが!」 「骨が誰かは解らないけど、誰がやったかはそろそろ防犯カメラから判明するんじゃないかしら?」と烈が言う 「ええ、犯人は防犯カメラに映ってました で、身元も解りましたよ、今頃は刑事が探し回って、見つけ次第身柄を拘束して、決定的な証拠が出るのを待って、逮捕のタイミングを図っている所です!」 唐沢が謂うと康太は「え?誰よ!!」と問い掛けた 「未来薬局の店長の娘 飛鳥井紅葉と書いてメイプルと謂う子の姿が映っていたらしいです 今はまだ状況確認の段階なので気を付けて下さい!で、何故そんな暴挙に出たのかを聞きに来ました!」 烈は薬局の不正の話をした 切っ掛けは雇った事こない人間が我が物顔で薬局に立っていた事から始まった 調べてみれば、好き放題横領されていたから告発して、刑事事件として訴えたと伝えた 逆恨みして店長は薬局にガソリンを撒き火を付ける所を巡回中の警察に捕まり逮捕、店長は横領の罪に対しての訴訟の準備期間で保釈されて直ぐに再び留置所に送られる事になった 刑期を償い出て来ても死んだ方がマシな賠償金の支払いだけが残っている 当然資産は総て凍結し差し押さえてやったから、逆恨みされるのは予想していた、と烈は言った 唐沢は「んとに腐った奴はどうしよもねぇ事をしやがるな!で、骨、遺骨じなくて骨を回収して鑑識が色々と土壌の成分を調べだ所、富士の樹海の土が着いてたと出たらしい……… まぁ樹海の中を探せばゴロゴロ骨は転がってるだろうが……遺骨を動かしちまったから、身元の解るのもないからどこの誰の骨なのか?特定は難しくなっているのが現状だ! 失う事のない無敵な人って何するか?解らないから、閣下からもお気を付けて下さい!との事だ!」と伝えた 康太は「死してからもこんな仕打ち受けねぇとならねぇなんてな……残酷だな………」と呟いた 烈は「死者を冒涜してまでボクに嫌がらせしたかったなんてね………」と何とも言えない気分になり謂う 康太は「工事はどうなる?まだ中止にしてねぇと駄目か?」と問い掛けた 「再開して構いませんが、骨がまだあるかもしれないので、気を付けて工事して下さい! ったく寺に骨まくか?…………死者を冒涜しやがるな!」 唐沢はボヤきつつ、伝えるべき事を終えて還って行った 康太は「オレ等は会社に戻るけど、お前はどうするよ?」と問い掛けた 「ボクは薬局へ顔を出してから会社に戻るわ!」 「気をつけるんだぞ!」 「………了解なのよ!」 烈はケントの車で薬局へ、康太は榊原の車で会社へと向かった 康太は車内で「何か胸騒ぎがする………ずっとな不穏な空気……感じていた」と謂う 榊原も「それは僕もずっと感じていました、飛鳥井の球技場にミサイル撃ち込まれた時からその不安はずっと強くなり、何かあるんじゃないかって……感じていましたからね!」と胸の内を明かす 康太は空を見上げた 人の醜い逆恨みならば嫌と謂う程に宗右衛門は経験して来ただろう…… 人とは失う事に怯え……無くすならば諸共……と無敵になる者だって嫌と謂う程に見て来ただろう……… だが今世の烈はまだ9歳の子供だ………子供なのだ……… 子供らしい事は何一つ出来ていない日々に………康太は遣る瀬無さを覚えた だが気を引き締めて立ち向かう姿勢を取る 宗右衛門が引いた1000年続く果てを途絶えさせてはならないからだ! 「伊織、テスト採点終わらせるぞ!  そしたら【R&R】のメンバーを呼んで宴会だ!」 「解ってます、今夜はおでんです! 烈の好きなしみしみ大根を沢山作る予定です! 今頃は慎一が準備してくれてるんじゃないですかね?」 榊原は会社へと急いだ その頃烈は薬局へ向かいケントに乗せて貰っていた 薬局の駐車場に車を停めケントと共に薬局へ向かう その時、猛スピードで烈目掛けて走って来る車に気付きケントは烈を庇おうと動いた だが一瞬遅れて………烈に手を伸ばす 烈はこんな年末に……車に轢かれて入院かしら?と久遠に怒られる……と考えていた 猛スピードで突っ込んで来る車は一瞬で烈を跳ね飛ばし………となる所だが、クーが身を大きくすると、烈が轢かれる瞬間 烈を跳ね飛ばした護ったのだった 聖鳥 朱鷺も現れて烈を轢き殺そうとした車を嘴に加えて放り投げた 車体が大きく宙に放り投げられ………地面に落下した トキは「大丈夫か?烈!朝から胸騒ぎがしたからお前を見張っていたんだよ!」と言った クーも「あ〜ぁ、腕が折れちまったぞ……あばも行ってるかもな………あんな衝撃で轢かれたら即死だぞ!お前!」とブランブランした手を振り回して謂う 烈はクーの手を見て泣きながら「クーたん大丈び?」と言った ケントは即座に康太に連絡して事故の件を伝えた 警察に連絡しようにも聖鳥 朱鷺と白い猫が大きくなって烈を突き飛ばして護り、猫は全身バキバキに折って、腕もバキッと折ったなんて言えない…… 康太は「唐沢に行って貰う事にする!オレが逝くまでそのままにしておいてくれ!」と伝えた 康太は即座に唐沢に連絡を入れ薬局へと行って貰う事にした そして榊原と共に慌ただしく上がったエレベーターを地下駐車場まで下がり車に乗り薬局へと急いだ 康太と榊原が薬局へ到着すると、唐沢が既に来ていた 烈はずっと泣いていた 折れたクーの手を撫でながら泣いていた 聖鳥 朱鷺は「そこの烈の護衛のドライブレコーダーに一部始終記録は残ってるし、薬局の外には防犯カメラも備えてあるから全部解るだろ!」と言った 唐沢は「此方の方は?何方なのですか?」と話す鳥サイズではない鳥を見て問い掛けた 榊原は「此方はオリンポス十二神が一柱ヘルメース殿の聖鳥 朱鷺であられます!」と説明した 唐沢は……これはもぉ気絶してもいいレベルの話しだよな?と想っていた 何でもうも次から次へと問題が降り注ぐんだ? しかもオリンポス十二神が一柱ヘルメースの聖鳥 朱鷺だって? 神話が実話になっていいのか?混乱する 混乱してる唐沢を他所に トキは「其れよりもクーの手、折れてるぞ!手だけじゃく全身もボキボキに折れてるぞ!」と謂う 康太は「………人の世の医者では治せねぇのか?」と尋ねた クーは「俺は此の後創造神の所へ行き治して貰う事にする!トキ殿少し烈を見ていてくれないか?」と折れた手をブラブラさせて謂う トキは「おー!任せておけ!俺は今朝から胸騒ぎがして烈の事を見ていたんだ! お前が戻るまで烈は俺が護るから安心して治しに行かれよ!」と安心させる クーは「事情聴取を受けたいけど、俺だって痛みがある生き物なんだよ! 折れれば痛いし、車で轢かれたら命は途絶える 不死身な体など与えられてはねぇんだよ!」と謂う 榊原は「クー、烈を助けてくれてありがとうございます!クーが帰還したならば大好きな吟醸を振る舞います!何か食べたいのはありますか?」と問い掛けた 「俺は刺し身が好きだぜ!後烈の好きなしみしみ大根も!」 クーは嬉しそうにそう言い「じゃお呼びが掛かったから行くとするわ!」と言い 天から伸びる光の道に飛び乗り吸い込まれる様に姿を消した 康太は泣いている烈を抱き締めた 「クーは大丈夫だ!きっともっと頑丈にして戻してくれるさ!もし帰らねぇならオレが連れに行ってやるし安心しろ!」 「母しゃん………逆恨みされてるのは知っていたにょよ……だけど改革をしないと……連鎖倒産は避けられなかった………だから結構強引に進めたにょよ そろそろ来るかな?とは想っていたけど、車から降りて直ぐに猛スピードで突っ込んでられるとは想わなかったにょよ…………死ぬかと想った…… でも死んだら改革もまだ途中だから………直ぐに生まれて来なきゃって想った………」 「烈………今は何も考えなくて良い………」 榊原は烈がこのままでは倒れて熱が出るんじゃないかと心配になり、烈を抱き上げると 「少し頼めますか? 烈を久遠先生に診せて来ます!」と言い、病院へと烈を連れて行った 病院へ早足で歩いていくと、病院の前に久遠が立っていた 久遠は物凄い爆音がして外に出て来ていた 「尋常じゃねぇ爆音が轟いていたから出て来て見てたんだよ! そしたら烈がいた、あれ以上泣くなら、連れに行こうかと想っていた所だ!」と言い烈を受け取り検査に向かった 榊原は烈を久遠に託すと、康太の傍に来て事故の状況をトキに聞いた 「烈、膝に怪我していましたが、どうしてですか?」 「あー、クーが烈を弾き飛ばして自分が轢かれたんだよ、その時クーは手を折った 多分あばら骨もボキボキだせクーは! そして弾かれた烈は膝を怪我した 俺は腹がたったから嘴で車を咥えて放り投げたんだよ!」と説明した 唐沢は事故処理係を呼び、気絶している女を殺人未遂で逮捕し連行して行った 唐沢は警察の人間がいなくなると 「この聖鳥 朱鷺って人の目に映るのかよ?」と問い掛けた トキは「映りはしない、映像にも映りはしない! まぁ俺が見えてるって事はお前は何か特別な力を持っているんだろ?」とサラッと謂う 「特別な力があるとは想えないが……毎日が非日常な事ばかり扱っているからだろうな………」と諦めの境地で言う だが気を取り直して 「映らないならば烈を轢き殺そうとして運転を誤って大破した、それで通す事にする!」と言い唐沢は還って行った トキはスタスタと病院へ向かって歩き出していた 「烈!烈!あ、レイが来やがった………」とボヤく 榊原は康太の顔を見て「レイ……」と呟き、あのセンサー何とかならないかしら?と想う 榊原は病院へ入って逝くと、看護師の鈴木泰地が待っていて二人をカンファレンスルールへと連れて行った カンファレンスルールのドアを開けると、久遠の横にはレイが座っていた 久遠は「烈、今夜は入院させとく事にする 衝撃が強すぎてずっと泣いてるから体力が消耗しちまうからな!」と説明した 榊原は「ならばレイもベッドに押し込んでおきます!レイ、君は今何処にいたのですか?」と問い掛けた 「ぼらいじ……」 「ならばお迎えに行く慎一には言っておきます!」と言い慎一にラインした 久遠は「レイは約束守ってちゃんと食ってるんだな、体重も少しずつ増えているし骨の強度もこれからの成長期を踏まえて問題なく育ってるから、このままを維持させてくれ!」と言った そして久遠は「あー!それと鳥は病院にNGだって解ってるか?烈の所には何時も白い猫いたりするし、今度は規格外の鳥かよ!」とボヤく 康太は「この鳥……視えるのかよ?」と驚いていた 「当たり前だろうが! こんな大きな鳥見えねぇ筈がねぇだろが!」 と久遠は怒っていた トキは「この者は何度も魔界に来てるんだろ? そして今も魔界の烈の息のかかってる奴が研修に来たりしてるんだろ?そりゃ視えて当たり前やろ!」と謂う 久遠は説明を超えると立ち上がり 「烈は個室に検査を終えて今は眠らせている!」と言いカンファレンスルールを出て行った 榊原は「僕達は烈の個室に行きます! トキはどうします?」と問い掛けた 「俺?俺はクーの変わりに烈を見てねぇとならねぇからな!側に行く!」 「解りました、烈を頼みましたね! 後で誰かを付き添いに行かせます!」 康太と榊原はレイとトキを病室に連れて行くと、一生にラインして「烈が入院した、誰か病室に来てくれるように頼む!」と送信した 直ぐ様一生からラインがあり 『俺が付き添うから大丈夫だ! 今直ぐに病室に向かう!』とラインを返してくれた 康太と榊原は一生が来るのを待った 暫くすると一生が烈の入院用の荷物を持ってやって来た 「烈、どうしたのよ?」と心配そうに問い掛ける 烈はベッドで眠らさせれていた 腕には点滴が刺さっていて、その姿は痛々しかった 康太は一連の事件事から事故の事まで話した 話を聞いた一生は唖然となり、次の瞬間怒って 「骨…………バラ撒いたり、烈を轢き殺そうとしたり………それって逆恨みじゃねぇか!」と叫んだ 「まぁオレも烈も逆恨みならば嫌と謂う程に買ってるかんな!仕方ねぇ事だかんな……」 「クーは……烈の変わりに轢かれたんだろ? ならば一ノ瀬の所へ連れて行ったのか?」 「クーは創造神の所へ向かって行った 多分………アレは猫とかジャガーの類の生き物じゃねぇんだろうな………人間じゃ治せねぇんだよ!」 そう言われ一生は遣る瀬無い気持ちになった 「還るんだろ?」 「治れば還って来るだろうさ! まだ黒いの倒してねぇからな! …っ!!……もしや………メイプルってヤツ操られてるんじゃねぇか? 普通の人間なら其処までの逆恨みしねぇかんな……唐沢に連絡入れとくか!」 と康太は携帯を取り出すとポチポチ操作して送信した 一生は烈のベッドの横で椅子に座ったレイを見て 「やっぱしレイ飛んで来たんだな」と呟いた 「オレ等が病院に来た時には久遠と共にいたぜ!」と康太は笑って言った 一生はレイの側に行くと「夕飯は飛鳥井で食うんだぜ!後でまた連れて来てやるから食べに行け!良いな? 今 体重も良い具合に増えつつあるからな、計算された食事しねぇとボキボキの骨にしかならねぇからな!」と頭を撫でながら謂う レイは頷いて「かじゅ れい ぼちぼちいやらからたべゆ!」と謂う 「うしうし!良い子だ!」 頭を撫でられレイは嬉しそうにしていた だけどやたらとブーブーと烈のサコッシュが撫でていて 「かじゅ とまらにゃいのよ」と訴えた 一生は烈のサコッシュを開けて、携帯を取り出すと電話に出た 『おい、烈!採点終わったぞ! 康太も連絡つかねぇし、【R&R】のメンバーを飛鳥井へ行かせて良いのか?』 と兵藤が文句を良いながら謂う 「貴史、烈は入院している だけど【R&R】のメンバーや竜馬には気付かせるな!それは烈の本意じゃねぇからな!」 『了解した!なら【R&R】のメンバーと竜馬は飛鳥井へ還すぞ!良いな!』 「あぁ頼む……」 『後で何があったのか?時話を聞かせろ!』 「それは解ってる、すまねぇな貴史!」 兵藤は『ならな!あ、伊織におもてなしをしろ!と伝えておいてくれ!』と言い電話を切った 一生は「おもてなしをしろ!だとよ!」と謂うと榊原は「後は頼めますか?」と問い掛けた 「大丈夫だ!行って来てくれ!」と謂う 康太と榊原は慌ただしく病室を出て行った 一生はレイを烈の横に寝かせると「お迎えがくるまで寝てろ!」と言い頭を撫でた レイは頷き烈に抱き着いた 一生はソファーに座るとトキに目を向けた 「烈に何かあると察知して来たのか?」と尋ねた トキは「俺は昨夜から胸騒ぎが収まらなくて烈を離れた場所で見守っていたんだよ! そしたら轢かれそうになってて、クーが我が身を投げ出して烈を護った 俺は腹が立って烈を轢いた奴の車を嘴で咥えて放り投げた………ったく悔しいな……… 烈は擦り傷ですんだけど、クーの体の骨はボキボキだった……人間ならば即死だ 其れ程のスピードで迷うことなく突っ込んで来やがったんだよ!」と腹立たしげに答えた 眼の前でそんな事が起きれば、烈は泣いて泣いて正気じゃいられないだろう…… 烈は康太と同じで、誰かが傷つく位なら、自分が傷付いた方がマシだと思う奴だから……… 「クー治って烈の元に還って来るんだろうな……」 「俺はヘルメースの魂の傍で生きると誓って傍にいるが、クーは創造神からの死命を受けて烈の傍にいるんだろ? だったら還って来るさ、まだ何一つ倒してねぇからな!」 「今の烈は………高校生の頃の康太の再来だな…… 常に命を狙われて、傷付き……それでも明日を紡いで今日を生きている………ったく似た者親子だな」 「似てるのは当たり前じゃね? 魔界の神祖と謂われる直系の天照大御神や素戔嗚尊は、魔界を創ると決めた時、皇帝閻魔が血肉を分け与え創造した神々の子孫なのだから! 伊邪那岐や伊邪那美はその神祖!倭の国が出来る礎となる神だ 元は一つの神だからな、似るのは当り前だろ? 況してや烈は素戔嗚尊の孫だからな 神祖の直系ならばその血肉は今も脈々と繋がれ、今を繋いでいるのだからな!」 「トキ……お前詳しいんだな」 「俺は天地創造後に創造神により生み出されたオリンポス十二神が一柱 ヘルメースの聖鳥だからな、ずっと傍で見て来たから………な」 「トキ、今夜は宴会だ!後で聡一郎に迎えに来て貰うから飲んで来いよ!」 「それは出来ない! クーが戻るまでは此処は離れられない! 入院してるのが解ると簡単に殺され兼ねないからな………目障りなのが一緒にいるチャンスでもある この千載一遇を狙わずにしてどうする? って感じで来られる可能性が高いから離れられない!」 呑兵衛の聖鳥だが、烈が危険に晒される今 離れる事は出来ないと謂う 一生は何も言えなかった 暫くして病室のドアがノックされ、一生はドアを開けに行った ドアを開けると聡一郎が入って来て 「レイ、夕飯食べに還りますよ!」と言いレイを起こして連れて行ってしまった トキは「烈は俺が見てる、お前は家に還れ! そして烈の入院など感じさせず過ごせ!」と言った 一生は「トキ……んな事は出来ねぇって!」と謂うがトキは「このド忙しい年末に入院してる暇なんてない!と烈は何時も言っている! 年末と謂うのは特別なんだろ? ならば烈の不在を感じさせない協力をしてやってくれ!」と頼んだ 一生は「解った、ならば俺はアイスを買って還る事にするわ!夜中にまた来る事にするわ!」と言い還って行った

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