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第82話 苦難を超えて ❶

飛鳥井の家族は烈と真矢と清四郎を気遣いながら、新しく住居に決めたマンションへと向かった 飛鳥井建設から徒歩5分 真矢達は何故に会社へ?? ひょっとして会社で寝泊まりしてるの?と想った が、会社を素通りして綺麗なマンションへと歩いて行く そしてそのマンションのエントランスにあるタッチパネルにIDを翳し、自動ドアを開けると中へと入った ドアは人が入ると自動的にロックされ、侵入者を許さなかった エレベーターに乗り6階まで向かう 6階の応接間兼キッチンに行くと夕飯が作られていた 榊原は「少し暑いかもですが、烈とレイの大好きなおでんです!」と言う 烈とレイは喜んだ 御影は場違いな場に来ているみたいで、居心地が悪かった 真矢は「あら?凄く立派なキッチンテーブルね! 洋画とかに出て来る貴族の食卓みたいじゃない!」と言う 烈は「本当に貴族の家から買い付けたテーブルらしいからね、獅童に除霊させて大変だったのよ」とボヤく 玲香は苦笑し「ほら、おでんは熱々で食べねばな!」と言う 皆食卓に着いて、久し振りの賑やかな雰囲気になる 神野は「俺等もいて大丈夫かよ?」と問い掛けた 瑛太は「烈と慎一から皆で還る事は聞いてます! 久し振りの宴会じゃないですか!お酒と乾物は飛鳥井の家から運び込んで来てますから!」と笑顔で言う 康太は「此処広いから宴会出来るなって烈と話していたんだよ!」と言うと、神野達はホッとして後は皆と仲良くおでんをつまみに飲み始めた 榊原は簡単なツマミを作り並べると、皆はお酒も進み、やっと何時もの宴会へと突入した 真矢は「その方は何方なの?」とずっと聞きたくて躊躇していた問いをした 烈は無視だった 榊原は烈を見て何も言う気がないのを察すると 「彼はヨニー©ウッズスタンの副社長をしている東堂御影と言う青年ですよ!」と紹介した 竜胆が「俺が預かった客人だ!」と言うと家族は笑顔で宜しくと言った 御影は上手に箸を持って食事をしていた 玲香が「主の箸の持ち方綺麗じゃな!」と言う 御影は英語で「烈が教えてくれました…………烈は何も知らなかった俺に………箸の持ち方から食事のマナーまで教えてくれました………」と泣きながら言った あぁ………食べ方が汚い!と烈は御影を徹底的に紳士に見える様にマナーから会話、食事の仕方まで教えてくれた まるで親のように根気強く教えてくれたのだ……… 御影は「烈ぅ〜!」と泣き出した 烈は宗右衛門の声で「この未熟者めが!」と怒った エグエグ泣く御影を見て、竜胆は安心していた 自分も…………泣けなくて………感情を何処かへ忘れて来たみたいに……チグハグだった まるで少し前の自分を見ている様で、凛は優しく御影を抱き締めてやった 玲香は御影の涙を拭ってやると優しく抱き締めて 「ほらほら、飲むが良い 涙も汗も飲めば身体の一部となる!」 宗右衛門が何時も言う言葉だった 御影は笑っていた 憑き物が落ちた様に………今は冷静にいられた その日から東堂御影は飛鳥井の家で暮らす様になった 凛と共にワンルームを貸して貰い共同生活を始める 真矢と清四郎も空いてる家族部屋で生活を始めた 布団は多目に購入してあった 洗濯機は洗濯室のを使っても良い テレビとかはまた考えれば生活出来ない訳じゃなかった 康太はこの日を視ていたのか? 「布団は飛鳥井の客室のを全部運んで来てくれ! んでもって家族部屋の方は部屋数分のカーテンと布団も新品で用意してくれ!」と言ったから余分に買ってあったのだ 慎一は、この日の為だったのか………と想った 神野達は翌朝還る時に「また、来て良いか?」と問い掛けた 家族は「何時でも来て良いですから!」と言った 倭の国での生活が始まった御影は、一日の大半を菩提寺で過ごしていた 凛は竜胆としての役目がある そして修行もある 只管 精神修行をさせ、その合間に話をする 凛は総てを話した 飛鳥井の家族の事も教えてやった 太陽、大空、烈は榊原真矢と榊 清四郎の子供で、流生は一生と戸浪亜沙美との子で、音弥は一条隼人と今は亡き女性との子だと、そして翔は康太の兄の瑛太の子だと教えた 御影は「複雑………なんだな……」と言った 「そうでもないぜ!あの兄弟は両親や家族を誇りに思っているからな! あの兄弟の絆は凄いぜ! 愛する弟の大切な存在ならば、俺等転生者の面倒も見るし、クーやプーの面倒も見る それをお仕着せとかじゃなく、自然体に愛して接して行くんだよ!」 「………凄いな……」 「お前………の中は悔みと後悔と憎しみしかねぇんだな………」 「え?…………」 「眼の前で助けられなかった………悔いは残るよな?そして何故そんな運命で生まれなきゃならなかったんだ………って想うよな?」 御影は頷いた 「だけど其処に囚われていたら、お前には生涯何一つ残らねぇぞ! お前は怖いから、人と接する事に臆病になり遠ざけている 竜馬はそんな垣根飛び越えて来る奴だからな、そしてアイツには烈がいる! アイツ等はどんどん侵略しやがるからな、その期待に応えようとしてるだろ? そんな期待になんて応えなくて良いんだぞ? だって友達なら対等にしてれば良いんだよ! お前、周りばかり見て、自分はちゃんと人として出来てるか?気にするだろ?」 とズバズバ本心を突っ突いていく 竜胆は苦笑して頷くと「それ、全部俺が感じてる事だから!」と言った 御影は、え?と驚いた瞳を向けた 「俺はずっと閉じ込められて世間と切り離されて生きるしかなかった それは俺の所為じゃねぇのにな………俺はちゃんと出来てるのか?不安になるんだよ! 俺は前世の記憶を持って生まれた転生者だ だけどそんな自信なんて吹き飛ばす時があるんだよ………… 記憶はあっても体がそれを拒絶しちまっていて、俺は箸さえ使えねぇ子供だったからな 宗右衛門が付きっきりで教えてくれたんだよ!」 竜胆が言うと御影も「俺も…烈が付きっきりでマナーや箸の使い方を押さえてくれたんだ!」と言った 「んとにマメな奴だからな! だが宗右衛門として生きるには、時には仲の良いヤツでさえ斬らねばならねぇ時があるんだよ! 飛鳥井の儀式の中には親や兄弟や友達や仲間が出て来るヤツがあるんだよ! それを躊躇なく斬り、魂を見分けて昇華と浄化をしねぇとならねぇのがある 躊躇すれば命に直結する儀式なんだよ 宗右衛門はその儀式を真贋と共にブッチギリのタイムでクリアしている 宗右衛門と言う御仁は………冷徹な一面も持って、時として非情な事でも顔色一つ変えずに完遂しねぇとならねぇんだよ!」 聞いてるだけで気が滅入る話だ 「そして此処からが本題だ! お前が飛鳥井の家に来た日、烈は家族にお前を紹介しなかったろ!  あれは何でか解るか?」 御影にはサッパリ解らなくて 「俺が葵と犯るのを断ったから怒っていたから?」 「違げぇよ!俺が宗右衛門に託してくれ!と言ったからだよ! 宗右衛門は任せた以上は絶対に口を挟まない! それを徹底しているんだよ! その葵ってヤツも変革期なんだろ? ならばその内何かしらの鉄槌があるな! 宗右衛門と言う御仁は冷静に見極めて距離を取る 神野達はつい最近まで距離を取られていた それは護る為の距離だったり、見極める為の距離だったり………相手の出方を伺っている時だったりするんだよ!」 「良く解るね………」 「当り前やんか!何回俺は宗右衛門の傍に転生したと思っているんだよ! 何時の世も宗右衛門の傍に転生するのは楽じゃなかった………だが絶対の信頼をくれる存在だから、ちゃんと視えてない部分の努力も見ていてくれる そんなヤツなんだよ!」 「何か羨ましいな………」 「お前は即座に斬られなかった………と言う事は竜馬と同等な位置で大切に思っているんだよ!」 「俺は烈が怖かった……… だけど誰よりも自分の事を見ててくれる存在だと想った………… そしてその信頼を裏切りたくないと想った………」 「ならば、今後はその信頼をもっと勝ち取って逝けよ!」 「竜胆………」 「さぁ修行を始めんぜ! お前は心が弱すぎる! 心を支えるには強靭な身体も必要だからな!」 と熱く語る それを聞いていたレイが「それ、りんらけ!」と言う 椋も「そーよね、りんらけよ!」と一蹴 凛は「ちくちょー!」と怒り服を脱いだ 修行をし休憩中は話をし、そして竜胆としての仕事、転生者としての仕事をレイと椋とで熟す 時には宗右衛門の着物を着た烈と共に一族周りをする そして会社を見回り、その暇にZoomをしている烈を見る 御影の携帯には鳳城からの『烈と連絡が着かない………やはり俺は狙われていたらしくて…… これが問題視されたら……って所まで来ていた もぉ烈は逢ってはくれないかも知れない……』との悲痛なラインが入っていた 日中は凛と共に修行、そして寺の掃除、武道の練習、凛と共に生活してるから携帯を見る機会がないのだ 夜 携帯を開いて鳳城からのラインに、御影は言葉をなくしていた お前等二人は変革期だから………と言っていたから【今】動いたのだろう…… ならば【答え】を見付けねば………と御影は想っていた 御影は鳳城には返信をしなかった 烈は【R&R】の倭の国オーディションに向けて精力的に動いていた 後少ししたら【R&R】のメンバーが来日して来る それに合わせて部屋のリフォームが入った 食堂の横には家族向けと言うか寮の管理人らしき者の部屋になっていたのか? 4LDKの部屋はかなり広くて、かなり上質な造りになっていた その部屋の壁をぶち抜いて大部屋にする お布団も【R&R】のメンバーが来ても、客間のお布団が使ってないワンルームの部屋に入れてあるから困る事はないのだ 8人が寝ても大丈夫 個室が欲しければまだまだワンルールも空いている どの道、当分は引っ越せないのだ 快適空間を作らねば!と想っていた 施工の職人が来て作業する、昼は食堂で食べて良いと言うから、家にいる兄達や慎一や一生が世話を焼いてくれていた 施工の職人達は喜び、より頑張ってリフォームをしてくれた リフォームが終わる頃 【R&R】のメンバーが来日して来た 兵藤と竜馬は課題があるから来る事は出来なかったが、オーディションの3日前には来ると予定を着けたと言う だが来日して来るのは竜馬だけ、兵藤と堂嶋は還るのを許されなかった 元々、堂嶋はあと少しで終わるのだ 政治屋に託してイギリスの上院議員に着かせ、議員としての在り方を勉強させる気でいた 国が違えば制度も法も違う、だが市民の為の代表である事は変わらない それを学ばせ勉強させる為だった 烈は何度となくレイと共に魔界へ行っていた そして綺麗の研究室へ行き、イベント会場での対策に余念がなかった そんな頃 兄達が「横浜牧場の餌代、どうやら業者との癒着があるのよ、キックバックと言うヤツ?それで上乗せしてるからだと調査結果出たわ!」と報告をした 宗右衛門は「ならば、其奴を斬る、そして責任を取らせねばならぬな!」と簡単に言う 兄達は歯を食い縛り頷いた 「情は無用じゃぞ!例え家族に死にそうな奴がいたとしても、他人の金で助けられて命を繋げられても、罪を背負わねばならぬ身の上では………本当に家族は幸せか? 例えどんな事情があろうとも、我等は斬らねばならない時は情も掛けずに斬らねばならない! 情けを掛ける方が相手を逆に苦しめている時もある!斬る側は見極めてサッパリと禍根は断たねばならぬのじゃよ!」 と宗右衛門は教える それを飛鳥井の食堂でやるから、御影は嫌でも聞かされる事となるのだ 翔は「解りました!直に動きます!」と言った 「ならば子供だとナメられる故、遼太郎、英太郎、宗太郎を貸し出す故、神威へ上げて法に基づく処分をさせるのじゃ!」 流生は「はい!解りました!」と言う 音弥は「なら、書類は完璧にしないと、だね!」と覚悟を決め言う 「そうじゃ!キッパリ印籠を渡してやるのじゃ! それが経営者としての務めじゃからな!」 「「「「「はい!」」」」」 それを見ていた竜胆は「人なんて誰も斬りたくなんかねぇんだよ! それをやらねばならない時が来るから、あぁして宗右衛門は日々兄達を教育しているんだよ!」と呟いた 烈は「プーたん、傷一つでも着けたら、倍で返すからね!」と脅した プーは「解ってまんがな!お仕事は完遂するさ! ましてや大切な兄さん達に傷一つ着ける気は皆無ですわ!」と言う この家の猫、喋んだよな でも喋れない猫もいる 何時も何時も烈の背中と頭にしがみついてる猫はにゃ〜としか謂わない ワンが烈にじゃれる 「ガブたんとルシたんと金たんは、環境に慣れたかしら?」 それを聞いてた一生がブッと吹き出し 「すげぇネーミングセンスだな……」とボヤく 金たんは我が父みたく居た堪れないのだが……… 烈は「だってモモちゃんの子だからね金太郎なのよ!」と笑った 「あ、美緒たんにモモちゃん見せてってラインしようかしら?」と笑って言う でも手が痛くてあんまりラインも出来ないでいた 痛みって後から来るのよね…………と烈は想う お風呂にも入っても洗えないから……… なんと父がお風呂に入れて洗ってくれるのだ! 烈は嬉しくって怪我も良いものね!と想っていた 烈が携帯を取り出すと大空が「美緒さん?」と聞く 「そうよ!モモちゃんに逢いたいのよね…」 「なら僕が打ってあげるね!」と言い美緒にラインをする 「烈が美緒さんと桃太郎に逢いたいそうです!」 と送ると直に既読が付き『直に参る!』とラインが来た 「飛鳥井の会社にまで来てくれたら案内します!」 『承知した!』と返してくれ烈に教えた 「ガルたん、モモたん来てくれるわよ!」と撫でるとガルは喜んで尻尾を振った プーが「ならば吾輩が行って導いて来るとするわ!」と言い消えた クーは兄達に「やり過ぎなら俺に言え、齧って止めてやるからな!」と言う 兄達は喜びクーに抱き着いた 実際、プーの熱血指導はかなり練度が高く、音弥と流生は力の使い方を叩き込まれていた 「未熟なままやと何時か感情が押さえきれん時、暴発させるで!そしたら周りの人は死ぬで! それが現実なんや!やから力のコントロールやらなあかんのやで!」と言い修行を着ける 熱い猫は何処か竜胆と似ていた 烈は「あきましゃ、おつまみ持参で来てくれると嬉しいわ!」と言うと大空がその通りに打ってラインしてくれた 『おっ!誘ってくれるのか!なら逝く!』 ラインが返って来るとクーが「ならば、俺が導いて来よう!」と言い消えた 烈は呪文を唱え始めた 兄達はえ???プーとクーお使いに出しちゃってるわよ!と想う 宗右衛門は「異次元に飛ばしてやるから阿吽の練習して来るがよい!」と言い 黒いジャガーの気配を感じると、凛と椋を異次元に飛ばし家を知らせる事なく迎え撃つ為に異次元に出向いてやる事にした そして自分も消えると聖鳥 朱鷺を呼び寄せ朱鷺の背に乗り、見届ける 凛と椋は阿吽の式神を出して、応戦する 最初は優勢だったが、やはり体力勝負だと押し負けそうになる すると烈は「トキたん!」と言う  トキは凛と椋の前に出ると羽根を、大きく羽ばたいた すると黒いジャガーは、その強風に飛ばされるしかなかった そして呪文を唱える すると飛ばされた先で黒いジャガーは塵になり………消えた 烈はトキに凛と椋を回収させ部屋へと戻った ソファーに座ると「体力つけないとね!」と言った 竜胆は「すまん!宗右衛門!俺はまだまだ修行が足らねぇ!」と謝罪した 東矢も「あんなに体力使うって………頭では理解していたけど………実践では使い物にならなかった!ごめん!宗右衛門!」と謝罪した 宗右衛門は「体力さえあれば主等は飛鳥井の双璧となれる存在じゃよ! 明日の飛鳥井を繋げるに相応しい存在じゃと、儂が認め配置した存在! 流石じゃな、あれ程までに成長しているとは思わなんだ!」と褒めた 二人は涙ぐみ「「宗右衛門!!」」と名を呼んだ 其処へ美緒が桃太郎を連れてやって来て、神野達もやって来た プーとクーは首輪にIDを着けているから、自由に玄関から来れるのだ その首輪はクリストファー・オブライエンから贈られた首輪だった 頭痛がする程の宝石が埋まった首輪だった 何でもロザリー夫人の宝石を幾つか提供して作られた首輪だったのだ まぁ烈にとったら……普通の首輪なのだが……… 玲香達も帰宅して、美緒の存在に喜んだ ガルは桃太郎との久々の再開にワンワン鳴きながら喜んだ 神野達のおつまみを、帰宅した榊原が受け取り準備する 康太は「お前、次元触ったろ?」と烈に問い掛けた 「黒いの近付いて来たからね、異次元に凛と椋を飛ばしたのよ!」と言う 烈の横にいるトキを視て「だからトキか……」と納得した 烈はトキを撫で「練度上げて鍛えた甲斐があったのよ!」と話す 「阿吽の呼気で闘える日も近いな!」 「飛鳥井宗右衛門を継ぐ者だもの! そして飛鳥井の双璧を名乗れる者になるにょよ」 烈は胸を張り言う そして父に「トキたん………もてなして欲しいにょよ!このまま還れは……可哀想なのよね」と頼んだ 「まぁ呑兵衛ですから、コップを持てば飲み仲間になれますよ!」と諦めの境地で言う その夜は神野達のおつまみの差し入れに皆喜び、楽しい宴会となった トキは神野達と仲良く飲んでいた 烈は「トキたん視えるって………飛鳥井へ来る奴等も凄いのよね………」と感心した 康太は笑い「だな、聖鳥 朱鷺なんだけどな、そこいらの呑兵衛と変わりねぇよな! やっぱ叔父貴の所為だよな………」と言う 榊原は「でも楽しいから良いじゃないですか!」と言った 清隆と瑛太もトキにお酒を注ぐ 美緒は久し振りの宴会に涙が出て………玲香はそっと美緒を抱き締めた 玲香は「我等は離れていても友じゃよ美緒! この先………飛鳥井の家はあの地を離れるが、逢えぬ程に遠くは逝かぬから大丈夫じゃよ!」と言う 美緒は「やはり………彼処には住めぬのか……」と呟いた 「今までも………出て行って欲しいと言う話はあった………今回は出て行って欲しいと言うより、私生活が脅かされ住めなくなった………と言うのが本音じゃな!」 「家族が住まなくなって玄関こじ開けて入ろうとした者がいて警備会社が動き、警察が応援呼んで捕物が………結構あるから…………我は………玲香や、飛鳥井の家族の心配をしておったのじゃよ!」 美緒が言うと玲香は驚いた瞳で康太を見た 康太は「母ちゃんには言ってなかったが……日常茶飯事だと警備に当たる警官がボヤいていたかんな 志津子達にあの家を譲るにしても、も少し落ち着かねぇと譲れねぇんだよ!」と言う 玲香はそんな騒ぎが日常茶飯事となれば、志津子達が住むのは危険だ………と想う だからまだ貸し出せずにいたのだ まぁどっち道、新居が建てば荷物を運び込まないといけないのだ 烈は「近い内に飛鳥井の家具家電、家の中の総ての荷物を倉庫へ移動させるわ! それからリフォームしてしづちゃんに貸し出す それには引っ越ししないと……話にならないのよね」と言う 康太は「それはオレも感じていた、そして未だに物騒な家に志津子達を住ませられねぇと想っていた!」と本音を吐露する 「総て業者が片付けさせて、源右衛門の仏壇は一旦菩提寺に預ける事にするのよ!」 「それが良い、じぃちゃんの仏壇……位牌は持って来たけど、やっぱしだかんな、菩提寺へ預けるなら位牌も仏壇に戻す方が良いかんな!」 「飛鳥井の表札は引っ越しと同時に外すわ!」 「表札………外すのは良いけど、誰かの名前入れといた方が良くないか?」 「其処なのね、母しゃん管理してくれる人いないかしら?当分はその人の名前入れときたいのよ」 「誰か探しておくとするわ!」 「それとね………願いが叶う猫を作った呪術師は美濃部一徳と言う呪術師らしいのよ! 暦也が調べて報告書寄越したわ……… そして美濃部一徳はね………今 唐沢が追ってる怪しい動画の呪術師らしいから、近い内に唐沢から接触あるかもね………」 康太は驚愕の瞳を烈に向けた 「美濃部一徳!!!今 此処でその名前を聞こうとはな………そんな昔から………やっぱし繋がっていやがったんだよな?」 康太が言うと烈は不思議そうな顔をした 榊原は過去に康太が呪われた話しをした、そしてその呪った相手が美濃部一徳と言う呪術師だった、と話した 康太は「弥勒の父親の海坊主の親戚らしかったけど、あの家は滅んだって言うからな、真相は闇の中だったんだよ それが今………その名前を聞こうとはな………何だ?挑戦状か?夜叉王はいなくなったのに? 何故その名前が今出るのよ?」と不思議がった 烈はソファーに置いたトートバッグの中から、書類を取り出すと両親に渡した 康太と榊原はそれを見て【願いが叶うぬいぐるみの呪術師 美濃部一徳 報告書】 確かに滋賀にいた時は姿を見た者もいたが、爆発後誰も目にする事はなくなり、爆発の被害者として処理された だが今ネット上に数々の動画を上げている 其れ等総て呪術に関わる遣り方を説明する動画だ  その呪術と言うのは若い子をターゲットにした『恋占い』から始まり『恋の成就の遣り方』『ライバルを蹴落とす遣り方』等100本近くの動画が上がっていた だが……その動画を見た子が相次いで病院送りになり、呪いだったのか?と騒がれている その動画の関連性は内閣調査室にまであがり、調べる事になっている で、現在 美濃部一徳の所在は解らない 康太はその報告書を見て「あんだよ?これは??」は叫んだ 康太が被害に遭った時よりすっと手が込み入っていて陰湿で悪質だ 康太は「お前はこれをどう視ている?」と問い掛けた 「……動画を見た者の生気を吸って動画は育ってるのよ………そして成就する為に放った言霊が本人を捉えて離さないから媒体にっている………とボクは想っている! レイたんが神聖剥奪に動いたから、アイツは贄を求めて人を狩り始めたのよ!」 「…………神聖剥奪しねぇと力がある分脅威だった だが今、人を贄にして力を求めようとしている辺り………倭の国だけじゃねぇよな?」 「多分ね………世界各国被害はジワジワ出る頃ね まぁ削除しても乗せるイタチごっこだからね ボロボロ死ななきゃ動かないわよ! そしてボロボロ死ぬから、そろそろ動くんじゃない?唐沢が…………」 「………っ………!!!んとに人を弄ぶよな!」 「まぁ人なんて駒位にしか思ってないからね チェスの盤上の駒みたいな感覚にゃのよ! 要は使い捨ての駒、用が済んだらポイしちゃえる餌程度なのよ!」 と烈は吐き捨てた 珍しいモノ言いに御影は驚いた顔をした どんな時も吐き捨てる様なモノ言いはしないのに………と想った その夜、美緒は泊まって行った 玲香と共に空いてるワンルールに布団を敷き寝る事にした 烈は「後少しで客間バリの広さの部屋が出来るからね待っててね!」と謂う それまでは窮屈な想いをするけど………と烈は言うが、玲香と美緒は久し振りに布団を並べて寝て、眠気が来るまで語った 色んな事を語った また海老様見に行こうね、とか、旅行に逝こうね そして我が子の事、美緒は「イギリスの皇室の王女を嫁にするらしいのじゃが………我は仲良く出来るか………心配なのじゃ………」と弱音を吐く 玲香は「宗右衛門が決めた事なれば果ては揺らがない明日になる 嫁の修行は宗右衛門自ら着けてくれるであろうから、心配するでない!」と慰める 「しかし………王女とは………」と玲香もボヤく 美緒は「そこそこで良かったのじゃよ! それこそ、すみれでさえ身分が……と想っておったのに………王女であるからな………」とボヤく そして顔を見合わせて笑った   そして眠りに着くのが惜しい時間は睡魔に負けて……意識がなくなり眠りに落ちた そして夜明け前に嘴を赤く染めた聖鳥 朱鷺は素戔嗚尊の待つ魔界へと飛び立って行った 飛鳥井の家の中の荷物は綺麗に運び出され、倉庫へ一時的に預けられた 源右衛門の仏壇は菩提寺に預けられた 飛鳥井の家の中は空っぽになり、康太と榊原はそれを見届けで、施工の社員に表札を取らせた その表札は源右衛門がこの地に家を立てた時に作らせた表札だった 役目を終え、その表札は菩提寺でお焚き上げされる事が決まった 新しい家には家風に合った表札を出すと烈が言うからだ! 飛鳥井の家が引っ越す様子を見て、新居を知ろうと後を着けて来た者もいた だが全ての荷物は蔵持の倉庫の一部で保管される事が決まると………蔵持の倉庫辺りを彷徨く輩が出て来ていた だが使われる事が滅多とない倉庫をわざわざ使ったのは、捕物が楽に出来る仕様になっている事を………まだバイトで雇われた者達は知らない あれから今枝浩二を使い、唐沢と康太と烈は話し合い、闇バイトで安易に仕事する存在にクローズアップさせた記事を書かせた 安易にバイトして留置所に入れられ現実を知り、失意のどん底に落とされ自殺者が出ている………と記事にさせる為だった 警鐘がそれで鳴らせられると良いのだが……… 今枝が放った記事はニュースになる程で関心の高さが物語っていた 今枝は記事にする変わり、烈の独占インタビューを要求して来た その頃はまだ帰国して日も浅かったから、手はまだ、吊って固定していたから………痛々しさが残っていた 途切れた動画の映像は一体何が起きたのか? 皆が知りたかった事を聞いた 烈は嗤い「ボクは世界的に命を狙われているらしくてね、隙があればあぁやって狙って来る! ボクにボーガンの矢が刺さり、刺さった瞬間衝破が放たれたからカメラのレンズは総て弾き飛ばされのよ!」と言う 今枝は言葉もなかった だが宗右衛門を出して続ける 「儂が主のインタビューを受けようと思ったのは、今話題となっている闇バイト 気軽に金に明かして仕事を請負い、飛鳥井の周りを彷徨き、あわよくば!と狙い付け狙っている輩は皆 闇バイトで雇われた者達ばかりだと申そう! ファンかと思わせておいて、その実………事故に見せかけて消したい輩が放った刺客でもあるのじゃよ!気軽にお手軽に何の罪悪感もなく………金につられ請け負う、それが闇バイトの悪質さじゃよ!サイバー犯罪課が、必死に摘発して消そうとしても蛆みたいに、湧き出てなくならない それで我らは飛鳥井の家にすら住めなくて、ホテル暮らしを余儀なくされておるのじゃよ! 転々と移り住み警戒して生活せねばならぬ また日々の嫌がらせに我等はもう飛鳥井の家には戻れるぬと判断し…………あの家を手放した 我等がホテル暮らしをしている間に何度も何度も押し入ろうとする輩との攻防戦があった 警護に当たる警察官が辟易する程にな……… だからもうあの家には何も荷物など残ってはおらぬし、我等はあの地には戻りはせぬと広めねばと、インタビューを受けたのじゃよ! 儂の言葉を一問一句違えずに載せてくれる事を願う!」 と宣戦布告の様に言う 今枝は気を取り直して「ご家族全員で移動しているのですか?」と問い掛けた 鋭い所を突っ突いて来るな、と苦笑しつつ 「一つ所に溜まっておったら目立つし直ぐに騒がれるではないか! ホテルへ転々としているのは儂と真贋位じゃよ 兄達は何処か解らぬ場所にいる 学園にすら通えず………入学式も断念せざるを得ない状況じゃならな! 家族はバラバラになり、散り散りになり生活せねばならぬ事を余儀なくされた!」 と言うと康太が「だな一つ所に一緒にいれば狙われる率がその分高くなるんだからな! 一緒になどいられる訳ねぇやんか!」と口を挟んだ 今枝は「其処まで状況は悪化しているのですか?」と問う 「飛鳥井の家を離れてバラバラになり過ごしている間でも、玄関の鍵をこじ開け侵入を試みる輩が後を絶たない もしかして家にいるんじゃないか? 家の窓を割った者もいる 防犯カメラを設置してあっても………捕まえれば自殺して………賠償金すら請求出来ない だから引っ越して【家】を持たない事にする! それしかねぇからな! 子供達は定期的に預かり先を変えて住まねぇとならねぇ…………それだけが不便で堪らねぇ 親がいるのに親戚縁者をたらい回しで住まねぇとならねぇ! この状況が異常だと【R&R】のメンバーが訴えても、烈が訴えても、ニュースに上げてもなくならねぇ…………我等も日々住処を変えて落ち着かない日々を送らねばならねぇ…………いい加減疲れたよ!」 と悲痛な叫びだった 想わず記録の動画を公開してしまいたい程に………… 今枝は「この今の事情こそが異常だと想うので、この記録用の映像をTVで流して良いですか?」と問うた 康太は「あぁ流せよ、もういい加減決着着けてぇからな! 唐沢から公表しても良いと許可を取った事だし センセーショナルな事を告げてやる! 留置所に留置されていた犯人は自殺じゃねぇ! 殺されたんだよ! だが密室で侵入不可能な領域で首を折られて死ぬなんて………どうあっても検証が出来なくて【自殺】と報道したが、殺されたんだよ 闇バイトで人を募り、贄を対価に命を奪った そして今若い子の間で人気の呪い動画 それを見た子は死ぬ………なんて騒がれ始めた あれは嘘や偽りじゃねぇ! 見た者の命を吸い尽くす動画だ、見ない方が懸命だと言っておこう! まぁ信じるか信じないかの判断は、その人に任せるしかないけど、気軽に見て命を落とす結果しかないと警告する! そしてこの警告が大きく取り上げられ、警鐘を鳴らして浸透すれば良い! 飛鳥井家 真贋 飛鳥井康太からは以上だ!」と総てヴェールに包んだ部分を総て出して終えた 宗右衛門は「儂からももう何も言う事はない! 今後も我等の周りを彷徨けば、即逮捕させ事情聴取となる、そして留置中に入れられれば殺される覚悟があるならば、闇バイトを続ければ良い 命と引換えにする程価値があるバイトか? 考えれば解るであろうが、目先の金に目が眩み愚かじゃのぉ! 誰一人高額バイトの金を受けってはおらぬのに………受け取る前に消されて終わりのバイトだと知っても、真偽が解らぬ故受ける輩は跡を絶たぬであろう! じゃが今後は留置所では死なぬ! ちゃんと刑期に掛けられ償わねばならぬ! どの道………犯罪者の汚名を着せられるのじゃ! 己の将来を良く考える事じゃな! 飛鳥井宗右衛門 飛鳥井烈からは以上じゃ!」 と終えた 今枝はその映像を特番で流した 反響を呼び、再び【闇バイト】がクローズアップされた そして過去の闇バイトを忘れぬ様に並べて報道する 真新しいのが皆の記憶にも新しい桜林の襲撃事件だろう そして唐沢は今回の公表に対して報道各社に資料を配った 【漆黒のジャガーの存在について】 テスカトリポカの名は絶対に出さず、何らかの悪意を持って創られた存在と公表した そして政府から【ダイヤの提供の呼びかけ】があったのは時を同じくした頃だった どんなクズダイヤでも大丈夫です! 防犯対策の為、そのダイヤを粉末にするには莫大なダイヤが必要となるのでご協力をお願い致します! そんな呼び掛けが連日 ニュースの合間に放送される様になった それでも足らないだろうからガブリエルを崑崙山に呼び出して貰った 「ダイヤの原石、雷石みたいに取っても翌日増えてる様な石、雷石の隣に落として欲しいと伝えて下さい! 後 タングステンみたいな強度がめちゃくそある石を!」と頼み込んだ ガブリエルは「御自分で頼まれないのですか?」と問い掛けた 「創造神に一番近いのは天空神である限り、今後は天空神が審議して創造神に上げてくれるのが一番相応しいのよ!」 天界を無視して直接訴えるのは、天空神がいる今違うだろ?と烈は訴えた ガブリエルは烈の真意を受け取り 「直ちに天空神に申し伝えます! その石は何に使われるのですか?」と問い掛けた 「黒曜石はダイヤには負けるのよ ダイヤは燃えたら灰になるのよ この世には最強で完璧なモノは存在などしない 存在するモノは総て相克と謂うモノが存在する ならば取り敢えず黒いの対策に動こうかしら?と想い手を打つのよ! 黒いのは黒曜石で出来てるし、最強の爪持ってるから、ボクも最強の対策しないとなのよ ボク、イギリスでは対策を取れなかったからボーガンの矢で貫かれたのよ!」 とボヤきを交えて言う ガブリエルは「直ちにお伝えします!」と受け止めた その翌日 雷石の隣に、雷石よりも倍の大きさの濁った様な石が落とされた そしてその石の隣には何か銀色の燻った様な石が…… 落とされていたと、閻魔が菩提寺の保養施設まで来てくれ話をしてくれた 閻魔は「あの白い汚い石は何なんですか? それと銀色が燻った様な石は何なんですか?」と問い掛けた 「あれはねダイヤの原石なのよ! それとタングステンと言う原石なのよ!えんちゃん」 と烈は教えた 閻魔は唖然として「ダイヤ?嘘……結構汚いですよ?タングステン??聞いた事がないです」と言う 「原石だからね、手を加えないとそんなモノよ! あの石はね研磨してやっと日の目を浴びるのよ まるで人間と一緒ね、研磨して光る存在もいるからね」 「あの石はどうされるのですか?」 「黒いの対策よ! やられてばかりだと思わないでよ! こっちだったら反撃に出られる知恵と才知の結晶があるのよ!」 烈はフンフンと興奮して言う 華絵がドンっと烈の前に熱々の茶を置く 「ほらほら、お前の好きな熱々だぞ!」と言い世話を焼く 烈はそれを受け取り飲み始める 「ほらよ!其処の貴方もどうぞ!」 と閻魔の前に珈琲を置く 菩提寺の保養施設にいるならばあくまでも飛鳥井の一族でない者は客人扱いをする その徹底ぶりに閻魔は苦笑した 烈は「この先彼女はえんちゃんの前を走り、その身を魔界に捧げ突っ走るわよ! あまちゃんと同等には人気出るし、魔界へ還す前に布石打っとかないとね!」と、言う 「烈………私はすっかり尻に敷かれてますけど………」 更なるパワーアップしちゃったら影薄くなっちゃうってば! 烈は笑って「だからさ、えんちゃんはもっと頑張るのよ!閻魔庁もそろそろ完成だからね そしたら細工をしないとなのよね」と言う 閻魔は胸を張り「頑張りますとも!」と言った もう昔の閻魔じゃない 自身に満ち溢れ、堂々とした姿は皇帝閻魔に引けを取らない、とまで謂わせているのだ 烈は両親に「倭の国のオーディションの前に魔界へ一週間行って来る予定なのよ!」と告げた 康太は烈を視て「細工に逝くのかよ?創造神がボヤいていたぜ、ダイヤの原石とタングステンの石 宇宙の惑星の一つで大量に取れるの知っていたんだな!」と言う 「知らないわよ!無理難題吹き掛けて駄目なら諦めるしかない! そう想って天空神にまずは上げて話を通させたのよ!天空神ならば創れないかしら?って想った思惑もあるのよ!」としれっと言う 康太は知ってて言ってるんやないんか〜い!と想った 銀河系宇宙にはダイヤの原石に似た石の惑星やタングステンで出来た山を持つ惑星もあるのだ 康太は創造神の処で暮らしていた時に、そんな腐る程の惑星の管理をさせられていたのだ もう忘れかけた大昔の話だった そして思い出し「あ、そうだった!」と身を乗り出して話し始める 「例の件、ほぼほぼ決まりだと創造神から謂われたわ、で、聖神推薦で良いんだよな?」 と確かめる様に言う 「それで良いわ、どうせ人手不足だから増やさないと駄目だったでしょ? 少し前に少しだけ話はしたし勘の良い彼ならピンっと来るわよ!」と嗤う 康太も「だな!」と嗤う 榊原は似たもの親子が!と想い…………きっと大変になるであろう存在を想う 受け入れなさい! 総て受け入れるのですよ……… そう心の中で祈っておいた どうせ覆らない明日なのだ………少しだけ祈るしか出来はしないのだ 正式に謂われるのは倭の国に帰還する頃だろうから……… 総てを軌道に乗せて逝く地道な作業の真っ只中だった その間に現状を世間に告知せねばと考える あの家には誰も住んでないと公表し世間にアピールするつもりだった 警察も警視総監の了承を得て、飛鳥井の家の周りをパトロールして来た間の出動実績を公表した 一日に何度も何度も飛鳥井の家に入り込もうとする輩対策を警備会社と共に取り締まる 警視総監も「ハッキリ言って異常ですよ! 付け狙うにしてもこうも何度も何度も狙われたら、日常すら送られなくて当たり前です! 飛鳥井の家族やお子さん達は一般人です! 一般人に対してこうも執拗に付け狙うのは、前代未聞の事態です! 今後は闇バイトの完全摘発に全力を注ぎたいと思います!」と言ってのけた 飛鳥井の家族が、消えると桜林学園の周りを彷徨く輩が出て来ていた 桜林学園 学園長は異例の声明を発表した 「飛鳥井のお子さんは誰一人、今現在通学はされておりません! 義務教育の最中、命が狙われて通学出来ない異常事態を考えて下さい! 飛鳥井のお子さんにどんな非があると言うのですか?皆 学ぶ権利は平等にある筈です 皆様の良識ある行動を心からお願い致します 後、学園の周りを彷徨くならば、即座に警察に通報致します! 学園の敷地に全域を見渡せる防犯カメラを導入したので、今後は同じ人間を何度か見かけた時点で通報致します!    桜林学園 学園長 神楽四季  」 飛鳥井の子供を取り囲む環境を憂いている学校や警察からの声明発表だった マスコミは桜林の近くや会社の近くを取材し、彷徨く人間にモザイクを掛けて流した こんなに騒がれているのに、まだ闇バイトで請け負った者でしょうか?と取材に来ている者がカメラを向けると、そそくさと逃げて逝く そんな光景が映像で映し出されていた 飛鳥井の受付けは、そんな騒動の中、リフォームされた 会社の入口のドアを防弾ガラスにして、受付嬢の立つカウンターも防弾ガラスで仕切った 警戒に警戒を重ね会社役員の窓も全部防弾ガラスにする計画を立てていた そんな頃 オーディーンから狙撃手の異名を持つ弓の達人てもあるラグナロクの戦士を貸し出して貰った 会社に銃弾撃ち込んだ瞬間 ラグナロクの戦士がキッチリとその狙撃手を射抜く! 報復には報復で持って返す! ラグナロクの戦士は常に飛鳥井の会社の天空で待機して、その日を待つ 其処までしてやっとこさイーブンだと烈は想っていた そしてイベントの日はラグナロクの戦士を一個団体で借りて時空を切り裂こうならは、時空から飛び出す前に戦闘開始して良い!とオーディーンは告げた 異空間からの突然の奇襲は向こうの専売特記だが、負けてやる気は皆無だった こうして着々とオーディションの準備に取り掛かる そんな頃 相賀を通じてstrong Hiのグループからコンタクトを取る連絡が入った 烈は「テレビ画面の前でならば会談というカタチで話をして良いわ!」と言った そんな条件を出されstrong Hiのメンバーが来日して来たのは言うまてもなかった こうして神野達、三社共同事務所が仲介に入りCBC系列のテレビ局内のスタジオで会談となった strong Hiのバンドが来日して来て、対談というカタチを取り話し合う様を放送で流す strong Hiのボーカルは用意された部屋に入るとソファーに座った 烈はトンプソンのスーツに身を包み、堂々と待ち構えてい ボーカルは烈の姿を見ると深々と頭を下げた 「NY市長開催のレセプションパーティーでは失礼な態度を取り、侮辱する様な事を言いました! あの頃の我等は………【R&R】の上を逝く存在だと天狗になり見下していました! だけど、【R&R】の今世紀最大の喧嘩を売るYouTubeはアメリカでも騒がれて、連日話題になりました そして因縁の決着か?と謂われるにつれ、対比される番組が流され、挙げ句どっちが勝つか? とまで投票する番組も出て来る始末で……… 全てにおいて我等はRODEOÑに負けと出てました 人気投票も総て負けて……… 我等はRODEOÑにすら勝てない気がして………辞退させて貰いました!」 と誠心誠意謝罪した 烈は鋭い視線をボーカルに向けると宗右衛門の声で 「一度吐いた言葉は引っ込められはせぬ! 主は我等【R&R】を愚弄した 猿芸やワンパターンな事しか出来ないとか抜かしたな!  最初に喧嘩を吹き掛けて来たのは主からじゃ! 我等はその喧嘩をキッチリ買ってやると申しているのじゃよ! 喧嘩を売るならば、人を見て売るべきじゃったな!我等は引かぬよ!絶対に! だから主等は駆り出されて出るしかないのじゃ! 精一杯、悔いのない闘いをしようではないか! アメリカのイベントで逢おうではないか!」 と有無を言わせぬ言葉を贈る 辞退などさせるか! その迫力に……ボーカルは覚悟を決め 「ならば精一杯頑張ります! その前に貴方に無礼な事を言った事に対して謝罪を致します!」 そう言い深々と頭を下げ謝罪の意を示した 「主の謝罪は受け取った! さぁ総ては整った! 次はイベント会場で逢おうではないか!」 「はい!精一杯頑張ります!」 何とも気持ちの良い対談だった 一方的に詰らる責められるかと思ったのに……… 烈はカメラの画面越しに 「【R&R】の皆、舞台は整ったわよ!」と言う ニコッと笑って話せば、威厳のある風格は嘘だったみたいに………普通の少年だった 対談は終わった 対談が終わるとスタジオまで神野、須賀、柘植が来て出迎えてくれた 神野は「烈ぅ〜お疲れ!めちゃくそ男前だったぜ!」と言う 須賀も「イベント楽しみです!あ、我空の映画の話、正式に決まりました!」と報告する! 柘植は「烈、お茶して帰りましょうか?」と嬉しそうに言う 「そうね、お茶して帰ろうね!」と喜び共に動き出す 控室に戻る烈はボーカルに手を振り、別れを告げた strong Hiのボーカルは烈を見送り、辞退出来なかったから、イベントまでに仕上げなきゃ!と思いメンバーにラインをした イベントへと突っ切って逝くしかなかった 控室に戻った烈は私服に着替えて、荷物はケントが持ち、神野達と共にカフェへ行く為に合流した 神野達とテレビ局の通路を歩くと、収録待ちの人なのか?結構ワンサカ人集りが出来ていた 「何か今日、人が多いのね?」 烈が言うと神野は「何かあるのかな?」と不思議がった 須賀は「テレビ局は何時も人が多いけど、今日は何かあるんてすかね?何時もより多いね!」と言う ケントは警戒しながら歩いて逝く 大人数の集団が烈の横を通り抜けようとする………次の瞬間 烈目掛けてナイフが振り下ろされた それをケントが阻止してナイフで切り裂かれ突き飛ばされました 物凄い力で突き飛ばされ、ケントはそれでも必死に烈を守ろうとした ナイフの切っ先は烈へ向けられた 身長が低い事もあり、頬を掠め肩と首の辺りに突き刺さった 心臓を狙ったのだろうが、身長差により手元が狂ったのだろう……… 犯人は再びナイフを抜いて心臓を狙い刺そうとした 「え??嘘……」 烈はこんな処で狙われちゃうの??と想っていた 時空からの奇襲の警戒はしてあった だが直接攻撃を今、此処でやられるのは想定外だった 神野は唖然として、須賀と柘植もなにか起こったのか?解らなかった ケントは烈に此れ以上の危害が加えられない様に、血塗れになりつつも烈の前に出て護る クーが一瞬遅れ出たが、出た瞬間物凄い力で突き飛ばされた それでも烈の傍に行き、烈を護り相手を倒そうとした時 其処へstrong Hiのボーカルがやって来て、烈を刺したヤツに飛び蹴りをかまして、ナイフを叩き落し腕を捻じ曲げ捕獲した  ボーカルは「何でこんな事になってるんだよ!」と叫んだ 騒ぎに気付きテレビ局の職員や警備員が駆け付け、犯人を捕獲して、烈の首から流れ出る血を押さえた 直ぐ様 警察を呼び、救急車を呼ぼうとするが 烈は「ボクは主治医いるから、他では手当しない!」と言い張った 神野が「ならば俺が久遠の所まで連れて逝く!」と言った 其れは流石に警察に止められ、警部と役職の着く者達がやって来ると、神野達は烈に付き添う事さえ許されず引き離された 警察の官僚の者は極秘裏に久遠医師の所へ電話を入れ、飛鳥井記念病院まで烈を搬送する事で話が纏まった 警察庁の方が手を回し、烈は都内の病院に搬送されたと思わせる為に、救急車を一台手配して報道陣の目をそちらに向けてくれた 烈は警察庁の方が回してくれた護送車で、応急処置をされ運ばれて逝く 烈はその場を離れる瞬間、strong Hiのボーカルに「ありがとう」と礼を言った strong Hiのボーカルは、こんな非常事態なのに………礼なんて良いのに………と想った 護送車は物凄いスピードで飛鳥井記念病院を目指した 久遠は何時運ばれても良い様に外で待機していた その間に飛鳥井の家族に連絡を入れる様に伝えた 事務員は直ちに飛鳥井の会社に連絡を入れる事にした 『あの……此方 飛鳥井記念病院です! 飛鳥井烈君のご家族の方にお繋ぎ下さい!』 事務の者がそう言うと電話対応した西村は即座に榊原に内線を繋げる 「社長、飛鳥井記念病院からお電話です!」 「え?飛鳥井記念病院??どう言う事ですか?」 榊原はサッパリ解らず電話に出た 「もしもしお電話変わりました!」 『飛鳥井烈君のご家族の方ですか?』 「はい!そうです!」 『飛鳥井烈君がナイフに刺され緊急搬送されて来るとかで、ご連絡をさせて戴きました!』 榊原は今日は東京でTVの撮影があると言っていた それなのに………何かがあって緊急搬送されて来ると言うのか? 「あの烈の具合は……」 『解りません!緊急搬送されるとの連絡が入ったので、院長がご家族に連絡を!と謂われたのでご連絡致しました!』 「解りました!直に病院へ向かいます!」 榊原は電話を切ると康太に烈が刺された事を告げた 康太は話を聞いて「TV局で刺され………って京極かよ!」と吐き捨てた 榊原は瑛太に「烈が刺されたそうですので、病院へ行きます!」と告げた 瑛太は「後で私達も行くので行ってあげて下さい!」と言い送り出してやる TVでは緊急生放送が流され、防犯カメラの映像を流していた 犯人はすれ違い様に烈に刃向けて突き立て様としたのだ それを護衛をするケントは必死で烈を護るが……… ケントはナイフで切り裂かれ負傷し、少し怯んだ所を突き飛ばされた 確実にナイフの切っ先は烈を狙って振り下ろされた strong Hiのボーカルが悲鳴に気付き、駆け付け犯人を投げ飛ばし、確保する映像が流された ケントが血を流しつつも身を挺して烈を護る様が映し出され、神野、須賀、柘植が慌てて烈に駆け寄り泣き叫んでいた 救急隊員に処置を受け運び出されるまでを、ノンストップで流し、どうしてこんなに執拗に狙われるのか?とコメンテーターは涙ぐみながら訴えた 烈と同い年の子がいる親であるコメンテーターは言葉もなく泣いていた 警察は白昼堂々、観衆の前で引き起こされた殺人未遂事件を………野放しになってる現状は看過出来ない事態へ突入しています!と声明を発表し、警察の威信にかけて本庁の警部や刑事、警官を派遣して捜査する事が決まった 烈は警察の図らいて都内の病院へ搬送された事なっていた 咄嗟の警察の判断には助けられた 個室にちゃんと飛鳥井烈と名前を乗せて、都内に入院している事を知らせる 病院の前には報道各社が待機して、それぞれが中継していた ボーガンの矢が刺さってまだ完治してないのに…… 烈はまた同じ場の近くの喉から肩に掛けて怪我をした 喉の傷は深く縫わねばならない程の怪我となった 康太と榊原は病院へ駆け付けると、病院は臨時休院になっていた 事務のPCの不具合による臨時休院となっていた …………が、烈のオペに当たる為に義泰が病院を休院にさせたのだった 飛鳥井記念病院に飛鳥井烈がいる事を知られてはならない 烈の置かれた立場を考えれば、強引過ぎるがやむを得なかった 夕刻と言う事で診察も終わりがけと言う事もあり、残った患者は総合病院へと紹介し、休院にさせたのだった 完全な警戒態勢を取り、病院側も烈を受け入れる 烈は声帯は損傷はしてなかったが、喉の傷と言う事もあり大量出血がしていて輸血した 喉から鎖骨を切り裂き………当分は喋る事すらままならない状態となった 康太と榊原が病院へ顔を出したのは、初日の一日限りだった 後はバレるからと家族や付き添いを断り、孤独な入院生活となった 家族達や兄達、レイまでもが見舞い禁止とされた 康太は「お前が飛べば烈の居場所を知らせることとなるから絶対に飛ぶな!」と釘を差された 家族や兄達は見舞いすら出来ない現状に…涙していた 真矢と清四郎も見舞いに行けない現状に…何か烈の役に立ちたい!と想って過ごしていた 家族なのに……………傍に行けない こんな現状はおかしいよ! 兄達は嘆き哀しんでいたが、烈が示す果てが狂わない様に横場牧場の癒着をキッチリとカタを着けよう!と動き出していた 烈、僕達の大切な弟………… 烈の描く果てを絶対に狂わせたりしないから! 兄達は弟に逢えない分、弟の為に動こうと心に決め動いていた 清隆や瑛太、玲香と京香も同じ思いだった 烈の描く果てを絶対に狂わせたりしない! そんな想いで日々を過ごしていた

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