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第87話 天網恢恢疎にして漏らさず ❶
クーは烈を咥えて魔界の素戔嗚尊の所へ急いだ
素戔嗚尊の横にはトキがいる
トキに烈を合わせねばと!と急いで時空を駆け抜けていた
急いで走っていると、優雅にスーッとクーの前に大天使ガブリエルが姿を現した
「烈は……天空神様が診ると申されてます!」
と告げる
クーは敵意剥き出しで「天空神で烈が治るのかよ?」と問う
ガブリエルは「聖神を魔界へ逝かせる訳にはいかないのですよ!まだまだ頑張って貰わねばならないのです!
炎帝は我が子を亡くせば………世界だって滅ぼし兼ねないじゃないですか!
それはさせらるないのです!」と怒気を顕にして言う
クーは「ならば俺を導け!」と言うと、光の道が目の前に現れ、クーと烈は其の光に吸い込まれる様に…………天界へと向かう
ガブリエルは「何気ない日常にこんなトラップが仕込まれているとは………」と烈の過ごす日常を危惧した
クーはガブリエルに導かれ、天空神の所へと向かった
其の頃 神野は東京の国内線の空港に降り立ち、迎えに来てくれたスタッフに車を渡して貰い乗り込んだ
そして横浜に向かう
東京に着いた時点で相賀はかなり衰弱してたから、小鳥遊はスタッフに「相賀を直に久遠先生に見せて下さい!隼人もそのまま連れて行って下さい!我々も後を追い病院へ行きますから!」と言い相賀と隼人をスタッフに託し、神野の車に乗り込んだ
横浜へと向かう車の中、誰一人話はしなかった
どうか……無事ていて…………そんな想いで神野は車を走らせた
横浜に着いて直に、小鳥遊は飛鳥井志津子に連絡を取った
ワンコールで出た志津子は電話に出るなり
『何かありましたか?』と尋ねた
「烈のワンとにゃんを返したいんだけど……」と伝えた
『一ノ瀬動物病院へ連れて行って預けておいて下さい!そしたら後で迎えに行きます!』と言う
「解りました!お願いします!」と頼み電話を切った
神野は慎一に連絡を入れた
ワンコールで電話に出た慎一は
『何かありましたか?』と尋ねた
「烈が倒れた………」
『え?何故そうなったのか?
その状況を聞かねばなりません!
今 何処ですか?』
「飛鳥井記念病院の近くだ
これから烈のワンとにゃんを一ノ瀬動物病院に連れて行く所だ!」
『その前に話を聞かせて下さい!
病院の駐車場で待ってて下さい!』
「解った………どの道あと少しで病院だ!」
『ならば今からそちらへ行きます!』
と言い電話が切れた
慎一は飛鳥井記念病院横のマンションから出て来て神野を探した
神野の車を見つけると、立体駐車場のドアをIDを使い開けて、神野の車を中へ入れた
そして直ぐ様 ロックをして後部座席をノックする
すると神野はドアを開けた
慎一は後部座席に乗り込むと「何が在ったか?話して下さい!」と言った
神野と須賀と柘植は総てを話した
そして自分達も何が起こったのか?解らない事を伝えた
慎一は「クーが咥えて行ったんですね……ならば何とかしてくれると想います
クーが何とか出来ないのであれば…………康太が何とかするでしょう!
烈は康太と伊織の子なんですから!」と自分に言い聞かせる様に言う
須賀は「私達は………どうしたら良いのですか?」と問い掛けた
「志津子さんの言う通りにガル達を一ノ瀬病院へ預けて来て下さい!
ワンの散歩も細心の注意を図らねばならない状況なのに変わりはありません!」
小鳥遊は「………我等は……飛鳥井で烈が戻るまでいてはいけませんか?」と尋ねた
「…………待つのは構いませんが、何時戻って来るのかは、解りませんよ?
それでも待つと謂われるのですか?」
「はい!我等の所為で烈を危険な目に遭わせてしまった………ならば元気な姿を見るまでは還れません!」
一歩も引かぬ姿勢に慎一は諦めた
慎一は「なら………俺と一緒に来て下さい!
志津子さんには連絡を入れとくので、このまま来て下さい!」と言い
車から降りるとガルとガブとルシを車から下ろした
慎一はガルに「マンションの入口近くに隠れていなさい!」と言いお尻をポンッと叩いた
するとガルは我が子と共に走って行き、病院とマンションの隙間に身を隠した
慎一は猫のゲージを手に付すると
「行きますよ!」と謂い、神野達と共にマンションに向かって歩いて向かった
慎一はタッチパネルを操作して自動扉を開けると、ガル親子は物凄い早足でマンションの中へと入った
そしてそのままマンションの奥へと向かう
慎一は誰かに着けられていないか?管理人室に入りモニターで周りを確認した
此処は警察署も近くにあり、不審者は即座に通報される
学園の傍と謂う事もありパトロールにも力を入れていた
闇サイトの方は留置所に入れられた犯人が【こんな割の悪いバイトはない!罪だけ背負わされて依頼人は消されて永遠にお金は支払われはしない!】と暴露して………気軽に儲かるバイトではないと、やっと認識されたのか?
落ち着きつつあった
それでも用心して烈は各地で生配信を続けているのだった
誰も後を着けていない事を確認して、マンションの奥を通り裏に出て飛鳥井の家に向かう
飛鳥井の家は静まり返っていた
慎一は「康太達は会社で子供やちっこいのは学校や幼稚舎に行ってるので今は誰もいません!」と言う
神野達は応接間へと招かれ、ソファーに座った
慎一は珈琲を淹れにキッチンへと向かった
珈琲と茶菓子を添えて用意すると、応接間へ運び
神野達の前に置いた
慎一は夕食の準備をしにキッチンへ向かう
神野 須賀 柘植は時が止まったかの様な長い時間を…………何も言わず過ごしていた
慎一は志津子にラインで「ガル達は俺か引き取りましたので、一ノ瀬動物病院へ逝く必要はありません!」と送信しておいた
志津子は『解りました!』と返事が返ってきた
志津子は今 副社長業に精を出していた
多忙な中でも飛鳥井のサポートを怠らないでいてくれた
そして慎一は康太に「烈が倒れたそうです!」とラインした
直ぐ様 榊原から電話が入り、慎一は神野達から聞いた事を伝えた
『家族には烈は沖縄にいると伝えてあるので、神野達も家族には気取られない様に、と頼みます!』
「解りました、神野達にはそう伝えます!」
慎一は電話を切ると、ふと想った
榊原はやけに冷静過ぎる受け答えに……知っていたのか?と思った
が、今は自分のやらねばならない事を……と夕飯を作り始めた
慎一から電話を受けた榊原は、烈が倒れた事は知っていた
社長室に突然レイが姿を現し
「れちゅ たおれたにょ!にゃんとかちて!」と訴えて来たからだ
康太は「え?烈どうしたんだよ?」とレイに問い掛けた
レイはニブルヘイムの声で「烈の視覚がフェードアウトしたんです!今は真っ暗で何もわかりません!烈の所へ飛ぼうにも何処へ行ったのかさえ解りません!なので何とかして下さい!」と訴えて来たのだ
康太は「視覚がフェードアウトする前は何やっていたんだよ?」と尋ねた
「何か………タレントの顔つきのプロフィールを視てました!」
お前は……烈のストーカーかよ………と康太は想った
康太は榊原を見て「アイツは今 沖縄だよな?
隼人の写真集撮ってるとかで沖縄にいるんだよな?」と問い掛けた
榊原は「そうラインが来てますね!」と話している時 康太のラインに烈が倒れたと連絡が来た
取り敢えず榊原が康太の携帯を渡して貰い電話をしたのだった
電話を終えた榊原はレイに
「クーが連れて行ったのならば何とかしてくれます!何とかならないのならば、僕達が迎えに行きます!
なのでレイ、君は兄達には気取られずに家に帰りなさい!
烈が必死に家族を護り家族とは別々に暮らしているとアピールしてくれている今、我等家族は烈に報いなくてはなりません!
解ってますね?レイ!」
と言い聞かせた
レイは泣きながら頷いた
康太は「烈を迎えに行くのはオレ等親の役目だ!お前も気になるだろうが、今はお前は家に帰り兄達と共にいろ!
なぁ伊織、オレ等はめちゃくそ頑張っちまうもんな!
一旦家に帰り家族と楽しく過ごした後に迎えに行くとするか!」と笑う
榊原は「そうですね、頑張ってる我が子を迎えに逝かずにしてどうします!」と言う
レイは泣きながら「おねぎゃいちまちゅ!」と言った
康太は慎一に連絡して、幼稚舎に迎えに行く栗栖にレイはいない事を伝えてくれと言った
それで慎一は榊原がやけに冷静に対応していたのか?と理解した
榊原は玲香を呼び出し、レイを連れ帰ってくれる様に頼んだ
玲香は「レイ、ばぁばと還ろうぞ!」と言い手を引いて連れ帰ってくれる事になった
社内を玲香がレイを連れて歩くと、社員達は声を掛けて来る
玲香はレイと手を繋ぎ仲良く歩いているから、社員も癒される光景に近寄り話し掛けたくなるのだった
少し涙目のレイを見て「どうしたんですか?レイ君?」と言いカニパンを差し出す
烈が出社したら渡そうと持っていたカニパンだった
レイはカニパンを受け取りニコッと笑って
「れちゅ にょ かにぱんら!」と言う
玲香に封を開けてもらいモヨモヨとカニパンを食べる
玲香は「すまぬな」と社員に声を掛ける
社員は「烈君が出社したら渡そうと想っていたんですよ!」と言う
「烈は最近は忙しそうで家にはおらぬからな……
この前は公園で寝てたとニュースで流れて………我は卒倒して倒れのじゃよ!」と内心を吐露する
社員達は玲香の想いに胸を痛めていた
だが何も言えなくて…………
「また差し入れします!」と言うのだった
玲香はレイを連れて会社を後にした
地下駐車場まで行き、ちっこい軽自動車に乗り込み、レイと共に飛鳥井の家に還る
病院の立体駐車場の一階に車を入れ、マンションへと向かう
そしてマンションに入ると、管理人室に行きカメラを作動する
不審者がいたら即座に通報ボタンを押す
それが最近の飛鳥井の家族の日常になりつつ在った
大丈夫な事を確認して裏に回り家へと向かう
家に還ると兄達とちっこいのが帰宅していた
流生は「レイ、何処に行ってたの?」と心配してい問い掛ける
玲香は「レイは康太の所にいたのじゃよ!淋しくて会いに行ってしまったのじゃよ!」と言う
兄達はレイを抱き締めた
翔は「僕達だけだと淋しい?」と問い掛けた
レイは「こーたん……れちゅと おにゃじ においちゅるきゃら……」会いたくなった…と伝えた
流生は「だね、母さんと烈は同じお日様の匂いするんだよね!烈は洗濯物にも拘って干してるからね!」と言いレイを抱き締めた
太陽も「母さんに何か抱き着きたくなっちゃった!」と謂う
すると音弥が「なら母さん帰って来たら皆で抱き着くのよ!」と言うと皆頷いた
其の日は帰宅した康太に兄弟もちっこいのも抱き着いたから、康太は驚いて、それでも優しく全員抱き締めた
榊原が「君達は父は要らないのですね……」と拗ねるから父にも抱き着き大好きだと伝えた
烈の分まで伝えた
そんな家族の想いを胸に抱き、その夜康太は「さて、迎えに逝こうぜ!伊織!」と言った
榊原は「そうですね!」と立ち上がった
家族は何時もと変わらぬ顔をしていたが………些細な異変には気付いているだろう
まぁ神野達がキョドり過ぎてて悟られちゃったのもあるが…………
大切な我が子を迎えに行かずにしてどうする!
そんな想いだった
康太は「大体、烈の居場所は解るかんな!正装して出向いてやんよ!」と謂う
榊原は「僕はスーツで構いませんよね?」と問い掛けた
「おー!お前はオレの大好きなスーツ姿で構わねぇぞ!」
悪戯っ子みたいに笑う妻を抱き寄せて、榊原は口吻た
「愛してますよ奥さん!」
「オレも愛してんぜ伊織!
さぁ末っ子を迎えに逝こうぜ!」
と言う
榊原は康太とオマケを取りに行き、一緒に病院の横のマンションの屋上を目指した
蒼い龍になると妻とオマケを背に乗せ、天高く昇って行った
其の頃 烈は天空神の所にいた
天空神は烈の体を浮き上がらせ3神の目の前まで浮かせて引き寄せた
そして烈の体を隅々まで詳しく調べる
喉の怪我はまだ完治していなかったから、癒しの光で癒してやり傷付けられた骨と傷跡まで消してやった
かなり長い時間、烈の体を調べ、身体的な異変は見受けられないと確認すると、次は精神まで潜り深淵を覗いた
深淵の中へと入り………ウラノス アトラス ゼウスは唖然とした
烈の精神は冥府の闇の中と言っても良い位の漆黒の闇が無限に広がっていた
漆黒の闇の中………烈の精神を球体の中へ入れ護るのは………ヘルメースだった
ヘルメースはチラッと3神を目にすると
「何をしに来たのです?」と尋ねた
ゼウスは『烈の意識を体に戻して起こさねばならぬのじゃよ!この者にはまだまだやらねばならぬ死命があるのだからな!』と伝えた
「烈の精神は一瞬にして連れ去られようとした
どんな手法で………そうなのったのかは解らぬが……
慌てて捕まえて球体に入れた………僕が出来る精一杯で護ったが…………意識が何処かへ行ってしまった…………」と訴えた
『烈の意識を持ち去ろうとした愚か者は捕まえた
さぁこの意識を体に戻したら我等が烈の体をヴェールで包み込もう、さすれば二度と深淵や意識、精神に悪さはされはしない!
今回烈の精神を持ち去ろうとした者は………天界へ還らなかった天使の傀儡だったモノじゃよ!
今後は天使にも手出しはさせぬよ!絶対に!
だからエンジェルリングを烈に授ける事にした
下級天使や傀儡など近寄れも出来ぬ様にせねば………皇帝炎帝がテスカトリポカよりも先にこの蒼い地球(ほし)を滅ぼしかねないからな!』
と敢えてウラノスは言った
目の前には皇帝炎帝が立っていたからだ
真っ赤な髪を靡かせ、紅蓮の服を着て嗤う姿は………遥か昔……創造神の遣いとして逢った時以来だった
皇帝炎帝は「解ってるやんか!」と言った
アトラスは『我が子を心配してお見えか?』と問い掛けた
「当たり前やんか!オレの大事な我が子だかんな!
それに飛鳥井の家には宗右衛門を欠かせば……果へとは逝けねぇかんな!
絶対に連れ帰らねぇとならねぇんだよ!
それと、烈がいなくなった瞬間、オレよりも先にこの地球(ほし)を滅ぼすのはコイツだ!オレじゃねぇ!」
と言いちっちこいのを天空神の前に出した
康太と榊原はやはり烈の傍にはレイがいなければ始まらない、とオマケとして連れて来ていたのだった
連れて来ねば飛びかねないし、烈を探して無茶される位ならば連れて行くしかないと榊原と話し合い連れて来たのだった
ウラノスは「ニブルヘイム………」と呟いた
レイは「れちゅ いにゃいにゃら こんなほち けちてやりゅ!」と言う
ゼウスは爆笑して「それは中々手強いではないか!だが我等はこの蒼い地球(ほし)を護る為にだけに存在しているのだから、易易とは消させはせぬよ!」と言う
榊原は何も謂わずに立っていた
この破天荒な存在の傍にいられる唯一無二の存在
良くもまぁ……こんなヤンチャな子の面倒を見てられると想った
天空神 3神はせっせと烈の意識を体に戻し、戻した後にプロテクターを掛けていた
そしてエンジェルリングを授けた
ゼウスはレイの傍まで降りて行き、抱き上げると
「ならば主にもエンジェルリングを授けようぞ!」と言いエンジェルリングを授ける為に、レイの旋毛に口吻を落とした
レイの頭上にエンジェルリングがキラキラと光っていた
それを見たガブリエルは「何かどの天使よりも天使らしいじゃないですか…!」と天使負けちゃってるよぉ〜と思っていた
レイは「れちゅと おちょろ!」と喜んでいた
「オレも此処へ来た以上は仕事しねぇとな!」
皇帝炎帝はそう言うと呪文を唱え始めた
「人の世に残りやがった天使は跡形もなく消し去ってやんよ!
ついでに世界各国に遺ってる天使の傀儡は要らねぇよな?
総て綺麗に消し去ってやんよ!
我が子に手を出したんだから、其れ位してもお前等天空神も目を瞑ってくれるんだろ?」
ゼウスは「あぁ目は瞑ろう………本当ならば……もっと早く我等がやらねばならぬ事であった………
だがもう………アレは天使でもなければ………傀儡でもない………死命を与えられた殺人人形と化しておった………愚かよな………本当に弄んでおる………
許しはせぬよ、我等も………オリンポス十二神を集結して迎え撃つ日は近いと想い……更なる精進をせねばな!」と言った
皇帝炎帝は嗤い呪文を唱えた
そして紅蓮の火の玉を手に出すと、「一匹残らず殲滅だ!」と言い火の玉を蒼い地球(ほし)に向けて放った
大きな火の玉は大気圏で爆破して粉々に世界へ飛び散る
飛び散った火の玉は確実に傀儡を貫いて……殲滅するだろう
天空神は烈の意識を体に戻した
プロテクターを施しされた烈は、エンジェルリングを烈の頭上に光らせていた
ゼウスは「烈を目醒めなさせない我が子よ!
さぁ烈よ目を醒ますのだ!小さき子が待っているぞ!」と言うと烈は目を醒ました
ウラノスは烈をレイの目の前に立たせてやった
レイは泣きながら烈に抱き着いた
烈は「レイたんごめんね、心配させたね……」と言い両親の方を見て
「母しゃん……ごめんなさい」と謝った
母に…………皇帝炎帝の姿をさせてしまったのだ………
母が……其の姿を誰よりも忌み嫌い……己の存在を嫌悪していたのを烈は知っていた
そして誰よりも皇帝閻魔の子として誇らしげに生きてる姿も知っていた
康太は「お前が無事ならばそれで良い!」と言った
烈は父にも「父しゃん ごめんなさい………」と言った
榊原は「君がいなければ明日の飛鳥井は終焉を迎えます!まだ未熟な君の兄達を育てるのは君の役目ですので、早く元気になりなさい!」と言う
口では厳しい事を言いつつも、誰よりも我が子を愛して、我が子の為に生きているのを我が子は知っていた
「父しゃん……」
「何ですか?」
「お腹減ったにょよ」
やはり烈の訴えはそれですか………と苦笑して
「飛鳥井の家には神野達がいますからね
デリバリーを奢らせましょう!」と言う
烈はニコッと笑って「そうね!」と言った
天空神は「烈が天界に来て人の世の時間で3日は過ぎておる!そして主達が来て丸一日過ぎておる
暫しサービスして夕飯を食べられる時間には戻してやろう!」
烈は「父しゃん、なら神野達に奢らさせなきゃ!」と喜ぶ
榊原は神野達が奢らされるの決定で苦笑して「ですね、烈がこんな大変な目にあったんですから、驕らせてもバチは当たりません!」と言う
烈の意識がハッキリするとエンジェルリングは烈の体の中へスーッと消えて行った
クーが「烈、この紙!」と言い紙を烈へと渡した
天空神が其の紙を烈よりも早く受け取り、悪意の塊を無効化した
そして烈に其の紙を渡すと烈は受け取った
ガブリエルは其の紙を烈が受取ると、覗き込みを「何か……凄く嫌な気分になります………」と言い吐きそうになっていた
康太と榊原も覗き込み、
康太は「なんだ?この悪意の塊の存在は!」と叫んだ
榊原は「天空神が無効化して此れですか?……ならば烈が見た時はもっと凄かったと言う訳なのですか……此れは誰の事務所の子なんですか?」と問い掛けた
「柘植の所のタレント名簿の中にいた子よ!
これを見た瞬間 ボクの意識はにゃくなったのよ
柘植の事務所のタレントはほぼ把握してる
なのに……混じって名前があったのよ!
でもそんな子は見た事にゃいから事務員が混ぜたのか?
FAXで送信している間に混ざったのか?
解らないけど………そんな子は見た事はないのよ
もし仮にいたとしたら?
それはそれで怖いのよ……」
康太は「柘植の事務所………今は阿賀屋が介入して教育してくれたんだろ?
ならばプロの仕事するヤツばかりだろ?
んなの混ぜ込むヤツいるのか、探らねぇとならねぇな………」と思案して言う
烈は「そろそろラスボスの登場かしら?ねぇ天空神も………そう想うわよね?」と問い掛けた
ゼウスは「各国の事案が明らかに毛色を変えて来ているのは確かだな!
そろそろラスボスの登場かな?とオーディンも申しておった………それは否定はせぬ!」と言う
康太は「その時が来たら、来た時だ!
それより、俺の赤い髪を戻してくれ!」と言う
天空神 アトラスが呪文を唱えると皇帝炎帝の赤い髪が蔦の逆再生みたいに短くなって行き、黒くなった
康太は笑って「助かったよ、お前等に逢うから気合い入れて来たけど、送って貰うならば赤い髪は……ドン引きされるやんか!
また髪が戻るまで引きこもるのも嫌だかんな
戻して貰えて助かったわ!
其の呪文………何処で覚えたんだよ?」と問い掛ける
アトラスは「最近 皇帝閻魔に逢う機会があったのじゃよ!
その時に主の父上は万が一、赤い方で来たならば……と戻す呪文を伝授なされたのじゃよ!」と笑って伝えた
親父殿は抜かりがない……想ったのは言うまでもない
康太は「んじゃ帰るぞ!」と言うと烈とレイとクーを引き寄せた
榊原は妻の肩を抱くと天空神 ゼウスは康太達を人の世に戻した
眩い光りに包まれ、目を瞑る
レイもギュッと目を瞑っていた
光がなくなると飛鳥井記念病院の横のマンションの屋上に降ろされた
康太達は屋上から出てエレベーターに乗り込んだ
そしてそのままマンションのエントランスを通過して裏の自宅へと向かう
玄関のドアを開けると翔達が出迎えてくれた
烈の姿を見ると兄達は烈に飛び付いて泣いた
榊原が「疲れてるので後にしなさい!」と言い応接間へと連れて行く
康太と榊原は烈とレイを置いて自室へ着替えに向かった
神野は烈の姿を見ると泣いていた
小鳥遊と須賀、柘植も………泣いていた
烈は「お風呂入って来るからデリバリー奢ってね!明日にでも改めて話をしましょう………」と言いレイと共に自分の部屋へと向かった
流生と大空が一緒に行き「お風呂に入れてあげるよ!」と言う
太陽と音弥と翔は「ならば僕達は着替えを準備してるね!」と言い一緒にエレベターに乗り4階へ向かう
今度のお風呂は皆で入っても大丈夫な大きさのお風呂だった
烈は「にーにも入ったら?」と言うと音弥は「ならちっこいのもクーもプーも連れて来るよ!
一緒に洗っちゃえば手っ取り早いのよ!」と言いクーとプーと凛と椋を連れて行く
皆でお風呂に入り、兄達は代わり番こにせっせと洗う
ついでに自分達も洗って貰い楽しくお風呂を楽しんだ
そして体を拭くと髪を乾かし洗濯物はドラム式洗濯機の中へ入れた
そして部屋着に着替えて客間へと向かう
客間に行くと康太達も戻って来ていた
クーが「お腹減ったぜ!」とボヤくと
プーは「神野は今日は楽しく飲めそうやし、お酒の用意せなあかんな!」とウキウキだった
神野と小鳥遊と須賀と柘植に「奢ってね!」と謂われて喜んで奢る事にした
客間に皆集まり奢りの豪華な料理を美味しく食べつつ、皆楽しく宴会へ突入する
其の中に相賀の姿かなく烈は心配して
「あれ?おーちゃんは?」と問い掛けた
小鳥遊が「憔悴が酷くて入院しているんだよ………」と話した
烈は「入院なんかしてるとボケるわよ!
おーちゃんは忙しく働いてこそ元気で長生き出来るのに……
ほんの些細な事でも……弱り始めたら取り返しがつかなくなる程に老化は進むのよ!」と厳しい事を口にして更に続けた
「ボク……頭の怪我で入院してる時、怪我で入院して来た老人を見たのよ
入院した頃は元気だったのにオペ後は麻酔の所為なのか?………死んた知人が生きてる様に話し始めて……家族を困らせているのを何度も見たのよ
だから……きょーちゃん明日には退院させて働かせるのよ!弱ってる?そんなのは気合で何とかなるのよ!」と捲し立てて話す
音弥は「気合で乗り切れるのは………烈と凛位よ………人はそんなに強くはないのよ……」と弟に話す
何でもかんでも気合だ!で押し切る姿は家族ならば…………理解は得られるが他人だとそうは行かないものだ
大空は「気合は必要だけど、人の心まで気合では治らないのよ!
烈は相賀を心配させて衰弱させたんだから責任取らなきゃならないんだよ!」と厳しい事を口にする
こう言う言い方をする時はまさに父に生き写しで………説教が始まると物言いまで父にソックリとなるのだった
烈は「かなにー」と名を呼んだ
「良い?烈、人への思い遣りは欠かしちゃ駄目なのよ!気合も必要だけど、気合で乗り切れない人もいるのよ!
そんな時はちゃんと寄り添ってやらないと駄目なのよ!」
正論を口にする大空は容赦がない
それを流生が止めた
「大空、宗右衛門に口答えは許されないよ!」
と敢えて宗右衛門と言う
大空は其の言葉に黙った
烈は「流にー、良いのよ、かなにーの言う事は正論よ!まぁねボクもね気合で押し切るのは無理あるかな?って想う時もあるのよ!
でもね、押し切り通してやらなきゃいけない時もあるからね………
人間、心が弱ったら立つのも無理になる時もあるのよ………そしたら人はどんどん心が弱って行ってしまうのよ!
ボクも凛も…………駄目になる人を沢山見て来たからね……心が弱る前に押し切り通して、気合で乗り切ろうと想っちゃうのよ…」と話す
大空は「烈………」と名を呼び弟を抱き締めた
竜胆は「お前等は心は強いだろうさ、だが強くねぇ人間は腐る程見て来たんだよ!
だから俺も宗右衛門も後で悔やむ位なら、精一杯気合で乗り切らせようとするんだよ!
所詮、人は心の比重が半分を占めているんだ!
お前等は此れからそんな些細な機微さえも俺と宗右衛門に叩き込まれ良い【漢】になれる様に磨いてやるさ!」と笑う
宗右衛門もガハハハハハハッと笑い飛ばす
竜胆と宗右衛門の生きて来た絆が強さを表すのかも知れない
椋とレイは少し呆れ顔で
「ねぇれいたん あちゅいね!」と謂う
「そーね、りょーたん あちゅいにょね」
「きおん あがりゅよね?」
「なちゅには……みたくにゃいわね!」
「そーよね なちゅにみたら ねっちゅーちょーよね?」
「そーにゃのよ!ねっちゅーちょーよ!」
じじいの寄り合い並の会話に………兄達も言葉をなくす
烈と凛はたらーんとなった
家族は爆笑していた
柘植は烈に深々と頭を下げた
烈は「今夜は団欒の時間を送りたいのよ!」と言う
柘植は何か言う事を辞めた
その夜は楽しい時間を過ごし、久し振りの家族団欒の時間も送った
楽しい笑い声が飛鳥井の家に響き渡る
そんな時間を烈も康太も噛み締めて………夜は更けた
翌朝 烈は柘植と須賀と神野を源右衛門の部屋へと呼んだ
クーは烈が意識を失った切っ掛けとなったタレントのプロフィールの紙を3人の前に見せた
クーは「この人間、柘植の事務所のタレントで本当に存在するヤツなのか?」と問い掛けた
3人は其の紙を覗き込んだ
烈は「今 プーは母しゃんの指示で、柘植の事務所を探りに行ってるわ!
暦也にも事務所の人間を探りに行かせてるわ!
そして綺麗の研究所の人間に特殊カメラを設置させに行かせてるわ!」と話した
柘植は「…………この子はうちの事務所のタレントではありません………こんな子は烈も承知の通りいません…………なのに何故?こんなのが送られて来たのか…………私には全く解りません」と話した
神野は「俺等はお前を絶対に裏切らねぇ!この命に賭けても誓える!」と言う
須賀も「私も烈を裏切る日は例え死したとしても有り得ません!この命取られようとも貴方を絶対に裏切ったりしません!」と言った
柘植も「私も!私も………絶対に裏切りません!
烈が導いてくれた三社共同事務所を我が子に託すと決めたのです!裏切る日なんて来ません!」と涙ながらに訴えた
クーは「そんな事は百も承知してるんだよ!
ならば…………何故今回烈は死にかけたのか?
それを探らねぇと………強いてはお前等に危険が及ぶ事になる!だから烈が調べているんだろうが!」と言った
烈も「距離を取り護れるならば永遠に距離を取り無関係になるのも容易いのよ!
でもそうじゃないから………調べる必要があるのよね………ボクも油断していたのよ
だからあんなにもアッサリ意識を奪われ永遠に覚醒めないかも知れない目に遭わされた………
今回ボクを助けてくれた存在が在ったから、ボクは意識を取り戻させた
でもね……運が悪かったら………永遠にボクの意識は誰かの手により葬り去られていたのよ………
疑ってはいないけど、獅子身中の虫がいるならば話は別なのよ………阿賀屋の人間も調べないとね…………」と話す
神野達は言葉もなかった………
クーが「もう手は打ってあるんだろ?」と問い掛けた
「母しゃんが動いてくれてるからね………
ボクは母しゃんは出したくはにゃかったのよ……
母しゃんの為に生きて来たのに………」
と烈は悔しそうに唇を噛み締めた
其処へ康太がやって来て「んな顔するな!烈!」と言い烈を抱き締めた
烈は「かぁしゃん……」と呟いた
康太は「調べさせていたが、プーは怪我をしてガブリエルが回収して連れて行った
プーには過去へと飛んてホテルの部屋から三社共同事務所まての回線辿って……行かせたが………
やはり罠張ってあったみてぇで、プーは怪我した…
向こうは調べるのは解っててトラップ張ってやがったんだよ!
プーは回収され今は治療中と言う目に遭っている!
めちゃくそ強い横槍やられたんだよ!
烈がタレントの名簿を見るのを解ってて割り込ませ………見せて意識を奪ったんだよ!
んなのは人外の手によるモノだかんな、お前等が責任を感じる必要なんてねぇんだよ!」と言った
其処へ時空を切り裂きプーが姿を現した
「ったく………吾輩は……危うくスクラップになる所やったやないかぁ〜!
吾輩はミンチは御免やで!
況してや………意識を奪われてしもたら木偶人形になり果て、廃棄処分になるしかないやんか!」とボヤいた
そして命からがら仕事をした証拠である、念写した紙を皆の前に差し出した
其処には見知らぬ男の姿があった
康太は「この男は?」と尋ねた
「美濃部一徳ちゅーヤツや!
炎帝がかなり昔に苦しめられた男もこの男なんやで!
あの時は夜叉王の体に寄生して操り動いていたらしいが、今はかなり名も力も能力の在るヤツの体に寄生して動いているみたいやな!」
康太は念写した紙を手にして
「コイツは夜叉王の体に寄生していたヤツなのか?って事は……中身は………アイツか?
それとも……黒いのか?」
と問い掛けた
「多分、中身はテスカトリポカの分身の一つやろうな!
創造神の見解では、人の世での信仰も廃れ………力は衰える一方やったヤツは、己の力が弱る日が来る事が許せなんだらしくて………
神の力を持つ存在を体内に吸収して己の力に変えた
もう信仰の力に頼らずとも力を揮える様になると、更に神々の【力】を手に入れ神々でさえも恐れる荒神となり君臨して来た!
だが、それは今までの話しや!
原始の焔がこの地球(ほし)の原始の力を呼び醒ました今、それは無理なや!
創造神は原始の焔でこの地球(ほし)を燃やした瞬間を狙い、創造神は神々を創り変えたんや……
創り変えられた神々は、アイツの手には堕ちない様にされたんや!
神々を吸収するのは、まず不可能になった
神としての役務を終えた瞬間、神の力は霧散して消え、総ての終焉を迎える
継承され繋げられた神々の力の【継承】を剥奪した
やから今、アイツは贄を求め手を変え品を変えて躍起になってるんや!
美濃部一徳はそりゃ美味しい商売なんやろな!
若い子は無謀やからな、相手を蹴落としても好きな人を手に入れられるならば、やってしまうからな!ボロ儲けの商売やで!」
とプーは話す
康太は夜叉王だった時のアイツを思い出す
「あ、アイツ……確かネット回線を伝いオレ等の前に姿を現したやんか!」と今回、烈の精神を奪われた可能性はずっと前に自分達も味合わされた事だと訴えた
烈は「ボクは沖縄ではコテージにネット回線あったから、それを使っちゃったのね
何時もは衛星打ち上げて在るから、全ての回線はそれを使うのよ…………
特殊な回線でね、乗っ取りとかまず無理なのね」と説明する
康太は「その衛星って【R&R】でか?」と問い掛けた
「違うわよ、ヨニー©イギリスが打ち上げてる衛星なのよ!
飛鳥井の家の中で使用しているWi-Fiは衛星回線なのよね……まぁ黒いのが頑張って衛星壊したら使用不可になるかもだけど、ヨニーの最先端技術を注ぎ込んで在るからね、近付くのは不可能かもね!
飛鳥井の会社もその衛星回線を使う様にリニューアルの時に工事もさせたからね
会社や自宅で回線の乗っ取りはまず不可能なのよ」
と話す
康太は衛星回線じゃなきゃ、夜叉王みたくもっと早く回線使って来てたと謂う訳か…………と理解する
烈はプーに「どんな風に怪我したにょ?」と問い掛けた
プーは「過去を辿り回線を辿って行ったらトラップが仕込んであったんやよ………
吾輩は咄嗟に逃げに転じたから、ズタズタに切り裂かれただけで逃れられた
そして逃げる瞬間、美濃部一徳の顔だけ捉えたが……ミンチになりそうな勢いやったから撤退するしかなかったんですわ!」と言う
そのトラップは侵入した途端に全然切り刻まれるレーザー光線みたいなのが巡らせて在ったと言う
それを聞き烈は考え込んだ
康太は「やり返す気か?」と問い掛けた
「やり返したいけど………我が家にミンチが堕ちて来るのは嫌なのよね……」とボヤく
康太も「それはオレも嫌だし、ミンチ降らせたら伊織が怒りまくるぜ!」とボヤく
「そーよね!そーよね!止めるわ!
父しゃんのお尻ペンペンは痛いにょよ!」
と泣き言になる
康太は爆笑した
烈は「多分……標的は………レイたんに変わるわ……
母しゃん、ボクはそろそろアメリカへ行かないと駄目なのよ!だからレイたんを頼むわね!」と頭を下げた
康太は烈の頭を上げさせ
「その真意は?」と尋ねた
「トキたんが黒いの粉々にしたからね………
ボクの所へ来るのは警戒しているのよ
だから愚かな人間を焚き付けて、あわよくばを狙ったのよ!
でも留置所で死ななくなり、犯人が発言して警告した今、お金が入らない仕事として、飛鳥井をターゲットにした闇サイトのバイトは事実上壊滅状態となったからね
次に目を付けるのは………レイたんよ!
アイツは…………創世記の神々の力を知らない………
ニブルヘイムなる神はもっと知らない……
況してや今は子供だし………容易いと思われているのは確かね!」
「ならアメリカに連れて行ったらどうよ?」
「アメリカに連れて行くのは容易いけど、向こうに行けばボクは忙しくなるから、ずっと一緒は無理なのよ
そんな隙を突かれたら地の利のハンデ抱えては、無理な状態になるのよ
それならまだ目が行き届くこの家にいて、にーに達に構われていて欲しいのよ!」
愛を知らない哀しい神を精一杯の愛で護ろうとする烈の想いを知る
「この家は完璧なんだろ?」
「まぁね時空はあの爪では切り裂けないわ!
母しゃんなら気づいてるでしょ?
天空神からの護りの光が注がれるこの家は、下手なモノを寄せ付けないって!
それにクーたんは置いて逝くわ!
クーたんにレイたん護って貰わないとね!」
「なら大丈夫だろ?
オレは………レイが狙われる事は……全くと言って良い程に心配なんかしてねぇよ!
だが………レイがブチ切れて力を全開放する方が怖いんだよ!
下手したらこの地球(ほし)ぶち壊しちまうかんな……
まぁアイツなら一度壊して創り直したほうが手っ取り早いとか想ってそうだしな!」
「レイたんは大丈夫よ!母しゃん
ボクが愛するこの地球(ほし)を壊したりしないから…………」
「ちゃんと言い聞かせて逝くんだぞ!」
「解ってるにょよ!母しゃん!」
母と約束し、何とかレイには言い聞かせようと心に決めた
ならば………次はこれよね………と、烈はそう言い美濃部一徳の顔を見る
何処かで見た気がするんたが………
烈は美濃部一徳の顔写真をスキャンして、PCに取り込み色んな顔にモンタージュするみたいに手を加えて行く
目は少し垂れ目
顔は目鼻立ちが確りして………褐色の顔に………若い子に人気がありそうな顔で………
ん??何処かで見た事がある?
烈がPCの画面に釘付けになっていると、康太も画面を覗き込んだ
康太は「ソイツって最近めちゃくそ人気の声優してるってヤツじゃね?名前を箕輪カズノリだか、何とか言うヤツ?
食堂のテレビに出てて女子社員が騒いでたな」と言う
「声優?声優ってそんなに人気あるの?」
「何か人気キャラの声を幾つも出してるとか?
オレはあんで人気があるのかは?解らなかったけどな、何たってオレの伊織が一番格好良いかんな!」
榊原は「康太…」と感激していた
そんなラブラブや両親は置いておいて、烈は箕輪カズノリと言う名を検索した
すると………烈がモンタージュとして変えた顔にそっくりな男性が画面一杯に姿を現した
烈も康太も「「あ!!」」と声を上げた
顔が美濃部一徳と同じだったからだ!
そして呼び名を目にして康太は
「美濃部、箕部 、一徳 カズノリ、美濃部一徳やんか!」と叫んた
柘植もそのPCを覗き込んだ
神野も須賀も覗き込み
神野は「この声優、烈と対談したいとか申し出たヤツだよな?」と呟いた
須賀も「三社共同事務所に本人自らマネージャーと共に来て打診して来た人ですよね?」と言う
康太は「烈の動向は事務所に何か仕掛けて探ったのかもな………」と呟いた
烈は「じぃしゃん呼び出すから、そしたら神野達はじぃしゃんとトキたんと共に会社へと逝くのよ!」と言った
康太は「ならばオレがキッチリ同行してカタ着けてやんよ!」と言う
烈は「父しゃん抜きでは止めてね!ボクが父しゃんと入れ替わるから、母しゃんは父しゃんと共に行動して!」と言う
「おー!了解した!」
烈は首に下げた八咫鏡の欠片に
「あまちゃん、じぃしゃんとトキたんを人の世のボクの所へ来る様に伝えて!」と念じて伝えた
すると天照大御神の声が「総ては烈の想いのままにしてやろうぞ!」と言う声が響き渡り
次の瞬間 源右衛門の部屋に素戔嗚尊とトキが送られて来た
素戔嗚尊は「え??此処は何処じゃ?」と烈が作ってくれたコップを手にしてキョロキョロしていた
お酒を飲んでいたのか?
トキの嘴も少し赤く……酒臭かった
烈は「じぃしゃん、トキたん、お仕事よ!」と言う
素戔嗚尊は気を取り直して
「儂を此処へ呼んだ理由を聞かせて貰おうとするかのぉ〜!」と言った
烈は沖縄で意識が奪われた事から話し始めた
そして呼び出した理由を話す
話を終えると烈は立ち上がった
ケントを駐車場に待機させると、源右衛門の部屋を後にした
烈はケントと共に飛鳥井建設へと向かった
地下駐車場に車を入れると、ケントと共に社長室を目指した
社長室のドアをノックすると、榊原がドアを開けた
烈を目を向けると「何かありましたか?」と尋ねた
烈は「今 飛鳥井の家にじぃしゃんとトキたんがいるのよ!父しゃんは母しゃんが無茶しない様に同行して欲しいのよ!」と伝える
榊原は笑って「なら君が社長の仕事を上げてくれると?」と問い掛けた
「ピッチ上げて進めとくのよ!」と約束する
榊原はスキップせん勢いで社長室を後にした
烈は社長室に入ると、榊原がしていた仕事を片付け始めた
そしてある程度片付けると遼太郎、英太郎、宗太郎を呼び出した
烈は「会議室を確保した後、相談役と会長を呼び出して!」と頼んだ
どうせ会社にいるのならば、仕事を一気に片付けとこう!と想い精力的に烈は動いた
会議室を確保した後、遼太郎は会長と相談役を内線を使ってその場に呼び出した
社長室からの内線だったから会長と相談役はスッカリ榊原からの呼び出しだと思った
………が、会議室へ呼ばれて逝くと、烈が座ってて驚いていた
烈は会長と相談役が椅子に座ると「宗太郎、この前作っといた紙を渡すのよ!」と言った
宗太郎はせっせとバックから取り出すと、二人の前に並べた
会長と相談役はその紙を見て
会長は「免震構造のビルの建設予定について………ですか?この書類は少し前に目にしました!」と言った
相談役は「何故今 免震構造のビルなのですか?」と尋ねた
烈は足を組み唇の端を吊り上げ嗤う
そんな姿は………康太を見ている様だった
「新年に大きな大規模震災があったじゃない!
耐震でも制震でもなく免震に拘りビルを建ててこそ、未来に遺るビルを建てる飛鳥井の役目だからよ!」と言い放った
会長は「社長は?何処にいますか?」と尋ねた
「社長は今 ボクの用事でお出掛けしてるのよ!
だからその合間にお仕事してるのよ!
ヨニー©ウッズスタン社が強震テストした上で、イギリスの国で特許を取った免震構造の規模鉄骨を使いたいのね!」
とサラッと言う
そして肘掛けに両手を乗せて体の前で手を組み
「まぁ駄目なら宗右衛門の事業で宮瀬にでも建てさせるつもりなのよね!」と追い打ちをかける
会長は「駄目とは言いません!でも我等は少し………免震構造には勉強不足故……少し講義してくれませんか?」と話を持って行く
相談役も「飛鳥井の会社も耐震 免震 制震の違いについて学ばねばならない時が来たのですね!」と話す
烈は宗右衛門を出し
「遅い位じゃな!新年早々大規模震災あったのに、我が社は何一つ動いてはおらぬ!
今 【R&R】のビルの建設に携わってる奴ですら、地下の免震工事の最中だと言うのに議題にもあげもしない!誠………情けないし不甲斐ない奴らばかりじゃな!
我等は建物を建てれば終わりと言う訳ではない!
建った後の住民の生活の安全も考えながら、建てねばならぬじゃよ!
それが会長も相談役もサッパリ抜け落ちておるのじゃよ!
まぁ社長だとて何処まで理解しているのかは?定かではないが………な!」と言われ言葉もなかった
相談役は「ならば免震 耐震 制震についての講義をして貰えませんか?」と持ち掛けた
「ボクはもう直に倭の国を後にするからね、それは無理ってモノなのよ!
まぁ今言ったのは、建築会社だと言うのに平和ボケして何の手も打とうとしない役員連中に対しての警鐘よ!
ボクはこの先一ヶ月位は………時間は取れない
動き出したモノまで止めては遣れないの位理解出来るかしら?」
相談役は「はい、理解しております!平和ボケ………謂われればそうかも知れません
ですが、我等は………建築家のプライドの元仕事はしています!」と食い下がった
会長も「この前から会長とは耐震構造のビルを建てねば、と話は何時もしてました!
そして我等はあまりにも無知だと痛感させられ、勉強せねばと話していた所です!」と話した
「ボクはね、製図を引くにしても思慮があまりにも足らないと想うのよ
其処で生きてる人が視野に入ってなさ過ぎだから、現場へ行かせているのよ
そして次に何を手掛けねばならないか?
それは地震対策を売りに出来るか?否か?なのよ対策を取り、特許を取った会社はそれを強みとして一歩前に出られるわ!
でも……手を拱いているだけの会社は、それまでよ
それなりの建物ならば何処の会社でも建てられるからね!」
とキツい一撃をかます
そして思い出した様に
「あ~、【R&R】のビルの免震構造はヨニー©ウッズスタン社の特許を取った正式な構造なのじゃが、それをソックリパクろうとした建築会社がいたのじゃよ!
そして我が社こそ、特許を保有する会社だと宣う馬鹿がいたのを知っているか?
ヨニー©ウッズスタン社はその会社を相手取り訴訟を始めた
まぁ勝敗は決まっているがな!
あの特許は倭の国でも認可され注目を浴びている製法で出来ておるからな!」と言い放った
会長は「あの免震構造の特許は宮瀬建設ではなく、ヨニー©ウッズスタン社のモノだと?」と尋ねた
「そうよ、まぁ売られた喧嘩は百倍返しで返す予定なのよ!
ナメられたら男が廃るわ!」
それなら相手は大負けするんだろうな…………と相談役と会長は想った
「で、どうするの?
このままじゃ、1000年所か100年も危ういわよ!」
会長は深々と頭を下げ
「勉強する時間をください!」と申し入れた
「ならば学ぶ費用は自分で工面してね!」
「解っております!」
烈は英太郎に「カフェに行き東堂御影を呼んで来て!」と頼んだ
英太郎は深々とお辞儀をすると会議室を出て行った
暫くして東堂御影が連れて来られた
烈は「みかちゃん 呼び出してごめんね!」と謝った
御影は「どうした?烈!!」と烈を抱き締めてデレデレだった
烈は「ヨニー©ウッズスタン社の免震構造のレクチャー出来るかしら?」と問う
御影は「誰にモノを言ってるのさ!俺はヨニー©ウッズスタン社の副社長 東堂御影だぜ!」と言う
「レクチャーする時の給料はこの2人が払うわ!
だから、みかちゃんはこの2人にレクチャーお願いね!」と頼む
御影は「カフェが終わってからで構いませんか?
カフェが終わり飛鳥井に帰り夕飯を食べた後、源右衛門の部屋で2時間レクチャーする!
それで手を打って貰えませんか?」と言う
会長は「それで良いよ!悪いね手を煩わせてしまって………」と謝罪した
御影は今 源右衛門の部屋で生活をしていた
源右衛門の部屋は応接間と仏壇の間、寝室と和室の部屋があるのだ
御影はその寝室で過ごしていた
烈は「あのさ………みかちゃん……今ねボクね困ってるのよ……」と話をする
「どうしたんだ?烈!」とメロメロの御影は聞く
「あのさ……最悪、ウッズスタン社………倭の国へ来るしかなかったら、みかちゃんどうする?」
御影は「え?ヨニー©イギリスはダメージあって今 会社は休業中で再建築中なんだろ?
ならば何故ウッズスタンが?爆撃でもされたのか?」と心配して聞く
「いやね、予想外の事態になるのよ………」
と御影の耳元にヒソヒソ ゴニョゴニョ カクカク 云々
御影は「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!嘘…………」と叫んだ
「世の中は………本当に摩訶不思議な事態が起きるのよ…………」
御影は「俺は竜胆に弟子入した身だからな、このまま倭の国にいたい………思いもあるんだよ」と本音を吐露する
「みかちゃんはもう家族の一員よ、ねぇ、じぃたん!えーちゃん!」
烈が言うと清隆は「当たり前じゃないですか!」と言った
瑛太も「御影は本当にお手伝いもしてくれると妻が何時も言ってます!もぉ家族じゃないですか!」と言う
御影は「ならば腕によりをかけて、免震構造を叩き込みます!
その上 耐震 免震 制震の違いも叩き込みます
この会社の社員にもヨニー©ウッズスタン社の副社長をしている俺が叩き込んでやりますとも!」と力強い発言をする
相談役と会長は笑顔で頼もしい家族を手に入れられた!と想っていた
話が終わると烈は会議室を後にして会社も後にした
ゴッソリ片付けられた仕事が会長に上げられたのは言うまでもない
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