88 / 100

第88話 天網恢恢疎にして漏らさず ❷

素戔嗚尊とトキとで三社共同事務所へ出向いた康太と榊原は事務所の隅々まで調べ尽くした トキが「此処の電話回線ザルだな」とボヤく 康太は「この事務所の電話ってアナログ回線なのか?」と聞いた程だった 神野は「今の時代、アナログ回線じゃ電話は繋がらねぇだろうが!」とボヤいた 2024年1月にアナログ回線事態終了しているのだ 今の時代、何処の電話だってデジタル回線なのだ 榊原は「セキュリティは高いですよね?流石宗右衛門ですね、これだけのセキュリティだとセキュリティレベル5は着けられるのに、電話だけアナログ回線だったのですか?」とサラッと言う 小鳥遊は「嫌味は止めて下さい!アナログ回線なんか今の時代何処探してもありませんよ!」と怒りを顕にして言う トキは奇声を発した まるで超音波な音は………書類の棚の窓にヒビを入れ割れんばかりに響いた すると焦げ臭い匂いが部屋に充満した 康太は「え?こんなにセキュリティ高いのに………ジャミングもしてるのに…なんでこんなに焦げ臭いんだよ!」と叫んだ 素戔嗚尊が天羽々斬りを手にして時空を切り裂いた すると…………時空から……何だか解らない虫がボトボト焦げて堕ちて来た 康太はぎゃー!虫!虫じゃねぇか!と叫び 飛び上がり榊原に抱き着いた 「オレは虫が大嫌いなんだよ!」 と言いその部屋を紅蓮の焔で燃やしまくった 目の前の虫が…………真っ黒になり消し炭になった 榊原にへばり付き「早くゴミ袋に入れろよ!」と叫ぶ 小鳥遊と神野と須賀と柘植はせっせと箒と塵取りを持ち掃除を始めた 素戔嗚尊は「この虫は何じゃ?魔界では見かけぬな!人の世の虫なのか?」と尋ねた 榊原は妻をへばり付かせ「こんな虫見た事はありません………」と困った顔で呟いた 小鳥遊は写メを撮りGoogleで検索する Google検索ではヒットする虫はいなかった 「その虫は時空に生息する宇宙の寄生虫よ! 時空虫と言う虫なのよ!」と声がして振り向くと烈が立っていた 榊原は「仕事は?」と尋ねた 「仕上げたわ!ついてに免震装置の話もして説教して来たわ!このままじゃ1000年続く果てなんて夢のまた夢になるからね!」と辛辣な事を言う 榊原は言葉もなかった 康太は「あんで時空に生息する寄生虫って解るのよ?」と問い掛けた 「ボクは衛星飛ばす時何度もヘルメースに頼んで宇宙を視たのよ 宇宙には時空も空間も何もかも食い尽くす虫がいるのよ、それも何度も視たわ……… その虫が衛星を食ったりしないか?それも課題だった 衛星の寿命があるとしたら? それは時空虫と謂う虫に食われてしまうから! この虫は時空に生息し、何でも食べ尽くし………この地球(ほし)さえ食い尽くしてしまう力があるのよ だけど大気圏を通り時空虫が入るのは許されないからね、大気圏に突入した瞬間に発火して消し炭になるしかない そうしてこの地球(ほし)は守られて来たのよ! その時空虫が大気圏を通らずに来れるとしたら? それはもう………時空を超えて持ち込んだ馬鹿がいるからでしょ?」と吐き捨てた 康太は「その虫、人でも食うのか?」と問い掛けた 「宇宙のチリや時空を食べてる虫だからね、何でも食べるのよ……多分人でも食べちゃうんじゃないかしら?母しゃん存在知らないの?」 「オレが創造神の所へいた時は、んなのは存在していなかった! んな気持ち悪い生き物いたら即焼き殺す!」 「なら何時出来た虫なのかしら? じぃしゃん、他の部屋も時空切ってみてくれるかしら?」 「承知した!ほら其処の者よ儂を他の部屋へあないしろ!」 其処の者と言われた神野は素戔嗚尊を他の部屋へ案内した 全部の部屋を斬りまくると、全ての部屋で虫がボトボト堕ちて来た 烈は「雷足らなかったかしら?それともコイツ等雷効かないとか?」と言いポケットから雷石を取り出して虫の中心に投げた 地面に叩き割られ雷が発生する …………が、そいつ等は雷を食っていやがった 烈は「母しゃん、焼いちゃって〜!コイツ等死なにゃいのよ〜!」と頼んだ 康太は社員達をビルの外に追い出し、ビルごと焼き払った 「ビルの中の結界は完璧なのよ! 何者も入り込めない結界はしてあるからね! このビルの時空に虫仕込むには、そのビルの中へ案内されないと寄生出来ないのよ! このビルの中に………美濃部一徳が来て寄生させやがったのよ!」 と烈が言うと榊原は「ならば当分の間来客は通さない様にせねばなりませんね! 来客とは外のカフェで逢うとかせねばなりませんね!」と言う 神野は「烈の命の危機にしやかるモノを仕込まれるのならば、外での接客になるのも吝かじゃねぇよ!」と叫んだ 須賀も「私も………虫は妻を呼び何時も妻に殺して貰っている程苦手ですから………本当に勘弁して貰いたいので外で会うしかありませんね!」と言った 柘植も「…………見て下さい……この手………」チキン肌になった手を見せてふるふる震えていた トキは「烈よ、どうする?このビル?」と問い掛けた 烈は「まさか時空虫を寄生させられたなんて想像外にゃのよ………そりゃこの事務所の情報網ガバガバなのよ………名簿送信した時仕込むのは簡単だったのよ!」と今更ながらに想う トキは「お前、そのうち時空虫の対策とか乗り出したりしねぇのか?」と問い掛けた 烈は苦虫噛み潰した様な顔をして 「この虫は……生態すら解らないのよ……… また虫の研究にゃんて………ボクは無理にゃのよ!」 呂律まで危うくなる烈を見れば、どんだけ虫嫌いなんだよ……と想う 康太も「虫なんてこの世から絶滅すれば良いんだよな!」と言う 烈はうんうん!と頷いていた 榊原は「飛鳥井にはいませんかね?」と呟く 烈は素戔嗚尊に飛び付いて「じぃしゃん!」と泣き付いた 素戔嗚尊は孫を抱き締め「儂が全部見てやるから大丈夫じゃよ!」と安心させる 烈は「新しい家はいないと想うのよ………でも……あきましゃに着いてたら一瞬で増えてるにょよ!」と可能性を口にする 榊原は妻を貼り付けたまま「我が家と会社も見ますよ!」と言った 神野は「この会社はもう大丈夫なのかよ?」と不安気に問い掛けた 康太は「この会社ごと燃やしたからな、いねぇと想うぞ!」と言う 素戔嗚尊は時空を斬り裂いた すると其処には何もいなかった 「虫だとトリ増やそうかしら?」 烈が呟くとトキは「儂はこんな虫食わねぇぞ!」と言いクワァーと吠えた 時空虫食べるトリ…………何処かにいにゃいかしら? 烈はそう想い天を仰いた "そのうち………試行錯誤して作り出す故……待っておるがよい………” と謂う言葉が降り注いだ 烈は「それなら時空虫の心配は要らないわね! モスノーみたいに置けば殺虫出来るの創らなきゃって想っていたのよね………」と呟いた "時空虫が悪い訳では無いのじゃよ! アヤツにも役目があるから存在しておるのじゃよ!それを役割以外に使用しょうと悪事を働くからいけないのじゃ! この蒼い地球(ほし)で生息するのは不可能にせねばな、例えそれが時空だとしても……役割を持たぬモノを介入させてはならぬ理があるのじゃよ!” 「天網恢恢疎にして漏らさず……って事なのね……」 天の神が地に張り巡らした網は、ゆったりして粗いようであるが、決して漏らすことはなく、それに搦め捕られる。 すなわち、悪事を行えば、一時的には逃げおおせるなどうまくいったように見えるが、結局は、捕らえられる乃至その報いを受けるということ。 それが天網恢恢疎にして漏らさず  と言う 康太は嗤い「なら悪事を働く奴は捕まえねぇとな!」と言った 烈も嗤い「そうね、じぃしゃん悪事はみすごしちゃいけないのよ!虫、駆除しちゃって!」と言う 素戔嗚尊も嗤い「ならば掃除をせねばな!」と言い3人は許さない闘気のオーラを燃え滾らせて立っていた 榊原は本当に似た者同士じゃないか!と想いつつ 「飛鳥井建設から行きますよ!」と言い神野に 「君達はどうしますか?」と問い掛けた 神野は「気になるから着いて行っちゃ駄目か?」と問い掛けた 「構いませんが会社には車は停められませんよ?」 榊原が言うと烈が「なら3人は後部座席に乗せて逝くわ!」と言った 榊原は「なら僕は素戔嗚殿とトキを………ってトキ車に乗りますかね…………」とボヤく 榊原が言うとトキは体を小さくしてハシビロコウサイズになった 康太は「おめぇも自由自在のサイズになれるのかよ?」と言う トキは「体なんてタダの器だからな!」と言った 榊原は「では行きますよ!」と言うとサクサク素戔嗚尊とトキを連れて出て行った 烈はケントを呼び出し神野と須賀と柘植を乗せて飛鳥井建設へと向かった 飛鳥井建設 地下駐車場に降りるとトキは烈の車が入って来て車を停めるのを確かめて、天を仰ぎクェェェェェェェ!と超音波みたいな鳴き声で叫んだ 耳を劈く超音波の鳴き声に横にいる康太と榊原は耳を塞いだ 烈は車から降りると「トキたん どう?」と問い掛けた トキは「流石炎帝と青龍と聖神の護る会社だな!焦げくさい匂いしねぇよ!何も介入しちゃいねぇよ!」と言う 神野と須賀と柘植は超音波に目を回して倒れていた 柘植の体からポトッと時空虫が堕ちて……… トキは「やっぱし着いてやがったか!」とボヤいた 康太は時空虫を焼き殺し 「んとにな、あわよくば狙いやがって!」とボヤく 柘植は「虫いるの解っていたんですか?」と問い掛けた 烈は「知らないわよ、でもあわよくば狙うなら………一匹位逃げて誰かの服に寄生してるかなって?想ったのよ!」と言った 康太も「だな、どの生命体より知能高そうだもんな! 逃げ延びる為に体も変化させられそうだし……服の繊維に同化するのなんて得意そうだもんな!」とボヤく 神野と須賀と柘植は車から降りると服をパタパタ払った 「もういないわよ、ケントも車の中そんなに見なくても虫はいないわよ!」と言う ケントは嫌な顔をして「この世の何よりも俺は虫が嫌いなんです!」と言った そしてトキを抱き締めると「君は命の恩人です!社員食堂に逝くなら奢ります!」と言うからトキは大喜びした 一階まで階段で上がりエスカレーターで三階まで上がると社員は机に突っ伏して倒れている者もいた 栗田が「何か凄い音がして社員が倒れてんだよ!」と訴えた 康太は「お前は大丈夫なのかよ?」と尋ねると栗田は「俺?あー、平気みたいだ……」とバツの悪い顔をして言った トキは「少し経てば意識も戻り正常に動ける様になる!」と謂うと栗田は「で、この鳥様は?」と問い掛けた 烈は驚き「誰にでも見える様にしたの?トキたん?」と問い掛けた トキは「儂にそんな力はない!」とボヤいた 康太が「うちの会社の社員は………鍛え上げられてるからな………視えるのかもな」と呑気に言う 素戔嗚尊は気配を消してそこに立っていた が、栗田には見えてたが……それに触れるのは止めた 明らかに………今風の服を着ていないし……その風体は貫禄も威厳もありすぎなのだ………畏れ多い気分満載だった 素戔嗚尊は「流石炎帝が育てし社員じゃな………儂が見えとるではないか……」と謂う 烈は「栗田またね、ボクは忙しいのよ!」と言いエスカレーターに乗り込んだ 飛鳥井建設の社員達は烈の横に………トリサイズじゃない生き物を目にして………見ないフリして 「烈さん、アメリカのイベント頑張下さいね!」と言いウィダインゼリーを手渡す ついでに食券も渡し話をする 当然 素戔嗚尊も見えているみたいだが…………誰も触れる事はしなかった 社員食堂に行きケントはトキに唐揚げモリモリ定食を奢り、自分は和風定食を頼んた 烈はヘルシー定食を頼み、そして素戔嗚尊にはサバ煮込み定食を頼んだ 「神野達は?何食べる?」 と食券を手にして問い掛けた 神野はトキと同じ唐揚げモリモリ定食で、須賀は普通盛りの唐揚げ定食、柘植は親子丼定食を頼んだ 康太は「オレも唐揚げモリモリ定食!伊織は?」と問い掛ける 榊原は「和風定食で!」と謂うと烈は食券を手渡した 昼には少し遅い時間だが……社員食堂には………仕事の関係で遅めに来た社員もいた 社員達の目には………器用にホークを使い唐揚げモリモリ定食を食べているトリに目をやる 器用なホーク捌きに目が釘付けになる トキは「ん、美味しいな、コレ!お酒があるならもっと美味いのに!」と言う 烈は「此処は会社よ、お酒は置いてはないのよ」とボヤいた トキは「残念だ!」と言いつつホークで刺して嘴で上品に食べていた 社員達は「そう謂えば………烈君の猫も上品に食べていたよな?」と口にする 誰にも謂えないが………美味そうに食べる白い猫の食事風景は社員達の間では有名だった 烈の周りにいるんだから当然なんだと社員は想う 素戔嗚尊も「この魚美味しいではないか!儂も魔界魚をこんな風に食べたいではないか!」と魔界魚を思い浮かべ言う 魔界魚は人の世のピラニアみたいな、あんまり体に身のない魚だった 凶暴だし、噛みついたりする魚だから、魔界魚のいる川には誰も近寄らなかった 烈は「じぃしゃん、アレは身はなさそうよ! 地獄界から雷魚貰ったじゃない、アレを今養殖虫だから少し待つのよ!」と言う 「やはり味噌煮じゃな、魚は!」と味わい食べる 康太は「よくもまぁ…あの魔界魚で煮付けしようって気が起きるよな?」とあの凶暴で身のない魚を想う 「オレ……あの魚にケツ齧られた事あるんだよな……」 と思い出しボヤく 榊原は蒼い焔を燃やし「ならばあの魚は殲滅して来ます!」と言う 康太はヤバっと想い止める 「伊織、昔の話だ!」 というが聞いちゃいない 目まで座ってて少し怖い 烈は「カズ 助けて!社員食堂にいるのよ! このままだと父しゃんが魔界魚殲滅に向かっちゃう!止めて!カズ!」とヘルプのラインを送信する 近くにいた一生は直ぐ様駆け付け、魔界魚の殲滅に向かおうとしている榊原を見て「止めとけ!伊織!それは止めてくれ!」と止めた 取り敢えず榊原を止めてくれた一生に、烈は詳しく話をした 一生は「本当に辞めとけ!烈が困ってんだろ!」と言う でも…康太のお尻を齧ったんですよ!と引かない榊原に「生態系変えるつもりかよ?」と怒る 榊原は「解りました………今日は君に免じて引きます!」と引いた だか今度齧ったら………その時は…………と榊原は心に決めていた!絶対に次は即現行犯で抹殺してやる! そんな榊原の思いを知ってか知らずか……烈はうるうるの瞳で「カズありがとう!」と礼を言った 一生は「んとに頑固者で困る!」とボヤく 烈はそっと食券を渡して「食べるのよ!」と言う 一生はスペシャル定食の食券を貰い注文をしに行った スペシャル定食を貰い席に付き食べ始める 康太はそんな様子を嬉しそうに見ていた 一時は………一生を弾くか、宗右衛門を弾くか?の選択を迫られていた 何方も大切な存在だったから選べる筈なんか出来なかった……… それが烈のピンチに駆け付けて来てくれる程までに一生は信用を勝ち取っていたのだ 一生と烈が楽しげに話す 時々 トキと素戔嗚尊とも話す 「カズ 今夜はおもてなしお願いなのね 美味しいの食べたらじぃしゃん達は還るからね!」 「了解!」 烈は封筒を差し出して「此れで用意してね!」と謂う 一生は「なら聡一郎と隼人にも支払わせてより豪勢にしてやんよ!」と約束してくれる 烈は「ありがとうカズ!にーに達も喜ぶわ!」と言う 定食を食べると一生は「なら慎一捕まえて買い物に出るわ!」と言うと神野が「俺等も乗せてけ!宴会なら幾らかは出すつもりだ!」と言った 一生は神野達を連れて買い出しに行った 素戔嗚尊は「赤いのは侠気があるのじゃな!」と呟いた 烈は笑って「あの漢はね常に中心にいて人を焚きつける存在なのよ! だからじぃしゃんと揃えば、それはもぉ効果2倍なのよ!使い方を間違わなきゃ、あの男は最強よ!」と言う 素戔嗚尊は「それは楽しみだわい!ならば赤いのの家も引っ越しさせて我が家の近くに建てようかのぉ!今 金運の上がる一族は大移動のお引越しラッシュじゃからな………4色の家をどうするか?決めねばならぬじゃよ! 近いうちに4色揃って来るがよい!」と言う 「ならアメリカから帰ったら閻魔庁の竣工祝も兼ねて、皆で行こうかしら?」 「それがよいじゃろ! さて飛鳥井の家を見るとするかのぉ〜!」 食事を終えてお茶飲みつついる素戔嗚尊は立ち上がった 食器を返却口に返して、皆を待つ 烈も康太も榊原も返却口へ食事を返す トキの分は康太が持って返してやった 康太は「オレ等は父ちゃんと瑛兄と免震の話をするから飛鳥井の家は烈、お前が頼む! どの道 叔父貴は宴会した後に帰るんだろ?」と嗤っていう 烈は「そうね、ボクね相当脅したから………後は頼むわよ!」と言う 「お前視てそう想ったかんな、フォローしとくわ!」と笑って言う 康太と榊原は面談室からエレベーターで上に上がり、烈はエレベーターが来るのを待って地下駐車場へと向かってケントの車で飛鳥井の家まで帰った ケントは烈を飛鳥井記念病院の前で下ろすと、烈と素戔嗚尊は車から降りた トキはハシビロコウサイズになり烈の腕の中にいた マンションへ入り管理室に行き、着けられてないか?確認した後 烈は素戔嗚尊を連れて飛鳥井の家へと入って行った トキは「この空間に時空虫が割り込むのは不可能だからな、大丈夫だ!」と言った 暫く経つと兄達が学校から帰って来る あれから康太はマンションの部屋を一部屋だけ残し総て処分した 処分したお金は宗右衛門へと渡した 宗右衛門はそのお金を受け取り、新居の費用の足しにすると言った 一部屋残した部屋は康太が持ってる中で一番大きな部屋だった その部屋を翔達の勉強部屋とした 其処へ家庭教師を呼んで勉強するのだ 烈もその部屋で兄達に教える日もあった 式神や呪詛は宗右衛門が自ら教える 使える様になるまで気長にそれは教えられた 栗栖の勉強も今は其処でやっていた 康太は部屋を処分する時、有栖院家の翁に 「栗栖の部屋を飛鳥井の近くで用意してくれぬか?」と頼まれたのだった どうやっても栗栖は負ける そのうち家にいるだけでも辛いだろうと………翁は外での部屋も用意させたのだった 康太は飛鳥井記念病院の横のマンションのファミリー向けの部屋を格安で翁に売り付けた 翁はそれを買い栗栖に生活に困らぬだけの株と家と財産を与えた 栗栖はそれを受け取り有栖院の家を出た………と謂う理由だった 名も神威が兄弟で同じ名を名乗っとけ!と言い神威の戸籍に入れて貰い飛鳥井栗栖を名乗っていた そんな理由で今は全面的に子供やちっこいののサポートに当たっていたのだった 素戔嗚尊は病院とマンションを視て 「此方も割り込めぬ程対策は万全! そのうちこの地の近くに家を建てるのであろう? ならばその時は儂も結界を張ってやろう!」と言ってくれた 応接間に通して熱々のお茶を飲み和菓子を用意して貰う 飛鳥井の家には聡一郎がいたから、素戔嗚尊を饗してくれたのだ 素戔嗚尊は聡一郎に「そうじゃ、主は帰還したら何処で住む気じゃ?今魔界は龍族の引っ越しラッシュじゃからの、龍族のいた地を区割りして家を建てるつもりなのじゃよ! 赤いのは何処で住むのか?主等は何処で住むのか?決めねばならぬのじゃよ! 丁度よいから司命も家を決めるがよい!」と言う 聡一郎は「朱雀も素戔嗚殿の近くに家を建てたと聞くし、僕もその近くに家を建てたいかな! 司録のヤツ、烈に2階建ての家を建てて貰ってるとか聞くし、僕の家も2階建ての家を所望します!」とちゃっかり言った 「家を建てる費用は本人持ちじゃぞ?」 「なら閻魔に交渉に行きます! 人の世にいても仕事するんで、給料出して貰います!そしてローンで立派なの建てます!」 聡一郎が言うと素戔嗚尊は笑って 「それがよいじゃろ! 主は恋人を連れて魔界に来るのならば、平屋は止めておかねば、な!」 と言った 「それ、誰に聞きました?」 「司録が言いふらしておるぞ?」 聡一郎は「アイツめ!」と怒りを顕にして吐き捨てた 「まぁよいではないか! 主が幸せならば、それだけで炎帝も喜ぶであろうて!」 聡一郎は嬉しそうに笑った 烈は虎之助と小虎を貼り付けて寝ていた 其処へお買い物を終えた一生達が帰って来た 康太と榊原も少し早めに帰って来て着替えに向かう 榊原は着替えたら料理を作りに向かった 烈はパチッと目を開けると「おーちゃんのお迎えに逝くわよ!あきましゃ、直くん、きょーちゃん!」と言った 烈は神野達と飛鳥井記念病院へと向かった 病院へ入ると久遠が烈を見付け近寄って来た 「おめぇ喉の怪我の消毒に来いよ!」とボヤいた 「せんせー、ボクね死にかけていたから……治してくれちゃったのよ」とバツが悪そうな顔で言った 久遠は烈の喉を確かめる様に覗き込んだ すると喉の傷はなかった 傷跡すらなかった 久遠は「死にかけていたって?」と問い掛けた 「ボクの意識が奪われて………戻らなきゃ死んでたのよ」 「おめぇは常に狙われてるな………アメリカに立つ前に検査するからな! 近い内に検査に来い!」 「解ってるわ!せんせー!」 久遠は烈の頭を撫で 「病院に何しに来たんだよ?」と問い掛けた 「相賀、どうなの?」 「相賀か、一時は憔悴酷かったけど今は退院目前だぞ!」 「一時外泊しても大丈夫かしら?」 「おー!連れ出してやれ! 気の持ちようが大きいからな、励ましてやれ! ひょっとして……相賀が憔悴したのって?お前が関係在るのかよ?」 「そーね、相賀の目の前でボクの意識が何処かへ行っちゃったからね……」 久遠は言葉もなかった が、気を取り直して「宴会するなら親父も誘ってやってくれ!最近はすっかり呼ばれねぇって神威にボヤいていたからな!」と言う 烈は「ならしづちゃん誘ったらゴロゴロ釣れるわね!せんせーも顔見せてくれると嬉しいのよ!」と言う 久遠は「おー!親父と共に顔を見せるよ!」と約束してくれた 烈は神野達と共に相賀の病室に見舞いに向かった ………が、相賀は……大部屋に入っていた 烈は「ボクは大部屋には顔は出せないのよ………もし自爆でもされたら、それこそ巻き込んじゃうからね……」と言う 須賀は「ならば私達が相賀を連れて逝くので、烈は先に家に行ってて下さい!」と申し出てくれた 烈は先に家へと帰って行った 家に還ると兄達が帰宅していた 翔が「お帰り烈、今夜は宴会だって?」と問い掛けた 「そーよ、にーに!お手伝いしないとね!」と言う 応接間からレイが顔を出し「れちゅ ただいみゃ!」と言う 流生は「お帰りでしょ?レイ?」と言う 烈は「さっきまで家にいたのよボク、入れ替わりで帰って来たからね、ただいまなのよ!」と説明 兄達は………やっぱ凄いわこの子……と痛感する 玄関のインターフォンが鳴り翔はカメラを作動した 神野達が相賀を連れて来たのだった 「今 開けます!」と言いロックを解除すると、音弥がドアを開けた 神野達を客間に招き入れると、烈は携帯をポチポチやっていた 大空は「烈、何処へラインしてるの?」と問い掛けた 「ばーしゃんとじぃーしゃん、ばぁたんとじぃたん、そしてしづちゃんにライン中なのよ でもね…今日大嫌いな虫見たから……手がまだ震えてて間違いばかりなのよ」と謂う 大空も虫は大嫌いだった………想像してブルッと身震いした後に、烈の携帯を手にすると変わりにラインをしてやった その時 ラインの通知があり、大空は「ラインが入っちゃったわ」と言った 「先に送信しちゃって!ライン誰からかしら?」と不思議がる 大空は画面を見て「若旦那からよ!」と言う 「若旦那?え………何か約束してたかしら?」と呟く 大空は両家の祖父母と志津子にラインを送ると、戸浪からのラインを開いて見せた 『烈君 最近逢えてないね この前田代に飛鳥井の家を訪ねさせたら、其処はもう他の人の名前になっていたんだよ 引っ越したのかい? 協力出来る事があったら………私は何でも協力するからね!』 烈はそのラインを見て 「あ~死にかけていたから………若旦那の事すっかり忘れてたわ……」と呟いた 大空は「え?死にかけていたの?それ僕達知らな〜ずよ?」と悲しげに言う 「まぁ謂えない時もあるのよ!」 「それでも………知りたいと想うのは我儘なの?」 「謂えない事は謂わない 知らなくても良い事もあるからね!」 「烈………」 大空が呟くと一生が「さぁお手伝いしねぇと翔に怒られるぞ!」と言い兄達に発破を掛けた 烈は「電話して来るわ!」と言い部屋へと向かった 烈を見送り大空は一生に「………難しいわね……」と呟いた 「まぁアイツは康太と同じで最低限の事しか謂わねぇからな………周りにいる奴とかは結構大変な思いをするけどな……それも総てはお前達の為なんだよ!解ってやれよ!」 と言い大空の背をポンッと叩いた 烈は部屋に戻り戸浪に電話を入れた ワンコールで出た戸浪に「若旦那 お久しぶりです!」と挨拶した 戸浪は『引っ越したの?飛鳥井の家がなくて驚いたよ………』と言った 「少し理由があり引っ越しました、春先のニュースは知ってますよね?ボクの散歩姿を週刊誌がすっぱ抜いた以降、飛鳥井の家の周りはファンやファンを装った者で溢れかえり………帰れなくなりました……… 闇バイトで仕事を請けた者から執拗に狙わたりもしたので………もうあの地には住めなくなりました!」と説明 戸浪は言葉もなかった 「あれ以来定期的に家を変え住処を変え暮らしているので……中々呼べませんでした!」と言う ならば今は其処までは深く話は出来ないだろう…… 家を教えないのは、此方に悪意が向かない為……… そうじゃなきゃもっと早く家を教えてくれただろう………… 戸浪は気を取り直して『アメリカ公演、私達家族も応援に逝くからね!』と言った 「【R&R】のビルの詳細が聞きたいのかと思ったのかと想ったのよ……違うの?」 『違うよ、まぁ詳細は知りたいけどね……… あれだけのビルのワンフロア借りるだけでも月の家賃だけでも百万以上掛かるのは当然だからね でも今は違うよ、私達は心から【R&R】を、そして烈君を応援しているよ、って伝えたいんだよ 君には返し切れない恩を受けた………返そうと想ってもちょっとやそっとじゃ返し切れない だから君が困っていたら助けたいし、全力で応援もしたいんだ!』 「恩なんて感じなくても良いのよ? ボクの野望も入っていたんだから!」 『またお茶する時間があったら誘っておくれ! 沙羅ばかりとお茶してるなんてズルいじゃないか!』 「解ったわ、アメリカから帰って来たらお茶しましょう!」 『楽しみにしているよ!』 そう言い戸浪とは電話を切った そして電話中にラインが何度も入ったから、ラインを開くと『至急連絡くれ!!』との阿賀屋蒼佑からのラインを目にした 烈は大急ぎで阿賀屋へ電話を入れた 「真央たん、パフェの催促?デカ盛りパフェも良いけど、社食の唐揚げモリモリ定食もボリュームあるのよ!今度奢るわね!」 『そんな話しじゃない!烈………箕輪カズノリに気をつけろ!』 「………何かあった?」 『アイツは…き………誰だ!お前は!………うっ……』 プープープーと叫び声で電話は切れた 烈は母に「真央たん狙われたから行くわね!」とラインして姿を消した レイも「れちゅ!」と言い後を追う様にして姿を消した トキは烈の異変に気づき素戔嗚尊と共に姿を消した クーとプーも烈を跡を追った 康太は携帯を見ると烈からのラインを詠み、兄達に 「お前等、烈は少し出掛けてるが、客人には絶対不安な顔を見せるな!良いな!」と釘を差した そして少し残念そうに「叔父貴が飛ばなきゃオレも行ったのによぉ〜」とボヤいた 榊原は「さぁ君も悟られるんじゃありませんよ!」と言い続々とやって来る客人を招き入れ饗した 烈は阿賀屋蒼佑の元へと直ぐ様飛んだ 阿賀屋の屋敷にはバタバタと使用人が倒れていた 廊下を一歩、また一歩と歩けば人がバタバタ倒れている 異様な光景だった 烈はズンズンと阿賀屋蒼佑の部屋へと歩いて行った その足取りは淀みなく、何度もこの屋敷に来ている様だった 長い廊下を只管歩き、辿り着いた一番良い部屋の前に立つと、襖をスパーンと開いた 阿賀屋蒼佑は男に押さえ付けられていた 男はニャッと嗤うと 「此れは此れは聖神ではないですか!」と言った 敢えて聖神と言う男に烈は眉毛を寄せて嫌悪を顕にして 「来てるのはボクだけじゃない、一人で来ると思った?残念だったね」と言った 突然天空から何かが堕ちて来る音が響き渡る 天井を突き抜けロンギヌスの槍が降り注ぎ、男の足を貫いた 「真央たんを人質に取ってまで、ボクを誘き出したかった?」 「クソ!」と悔しそうに吐き捨てるとロンギヌスの槍を抜き捨てた 槍は地面に堕ちる前に消えてなくなった 阿賀屋を人質に取ったまま、烈から距離を取ろうとする が、レイが槍を降らせたから、少しの緊張感に綻びが生じた その隙を突いて素戔嗚尊は阿賀屋を人質にしている男を殴り倒し、阿賀屋を抱き起こして助け出した 大天使ガブリエルが男の周りを取り囲む 閻魔や羅刹天が烈がピンチだと叫ぶと駆け付けて来てくれた 烈はこの部屋に突入する前に 閻魔に「えんちゃん、助けて!」と首に下げた勾玉に念じて飛ばしたのだった その知らせを聞きつけ、駆け付けてくれたのだった ガブリエルと羅刹天が何故いるのかは解らないが、力強い援軍だった トキは鳴いて男の動きを止めと、クーとプーとトキが男を取り押さえた すると追い詰められた男は 「漆黒の刃の雨よ降れ!この者達を切り刻め!」と叫ぶと舌を噛み切り、自害して死んだ ボロボロと男の体は崩れて……消えてなくなる 呆気にとられていると………男の呪詛が発動した 漆黒の羽根の雨が物凄いスピードで降り注ぎ………鋭利な羽根先が烈達を狙い降って来る 容赦なく漆黒の羽根が突き刺さり、刺さらなくとも素通りして堕ちる羽根が烈達を斬りつけたり…と暫くの間漆黒の羽根の雨は降り注いた 烈は咄嗟にレイを庇って抱き締めた 烈の頭や体中に漆黒の羽根が刺さり………顔や、あっちこっち斬れて血を流していた 烈は「皆、大丈夫?」と問い掛けた 閻魔は「大丈夫と言うには傷付き過ぎてます…」と羽根を抜き取り呟いた 羅刹天も「何なんだよコイツは!」とボヤき漆黒の羽根を抜き取っていた ガブリエルは羽根を抜く事なく「コイツが美濃部一徳、テスカトリポカの一部を分けて作られた存在か?」と訪ねた 「みたいね、まさか直接攻撃して来るとは思わなかったのよ………」 と烈は痛みに耐えて言う 阿賀屋は素戔嗚尊が庇って無傷だが……素戔嗚尊は傷つきまくっていた 「真央たん 大丈夫?」 烈は阿賀屋に声を掛けた 阿賀屋は首を押さえつけられていたから、意識が朦朧としていた 素戔嗚尊に助けられても、意識は朦朧てしていた が、少しずつ意識が戻るが、目の前は悲惨な惨状となり…………言葉もなくしていた が、気力を振り絞り阿賀屋は状況を確かめるように周りを見た渡した 血塗られた人間がいて………慌てて阿賀屋は「救急車!!」と携帯を探した が、烈は「ボクは主治医以外には診せないのよ!」と言い 「レイたん怪我してない?」と問い掛けた 「れい らいじょうびらけど れちゅが………」と泣いた 烈は強くレイを抱き締めて、阿賀屋に 「真央たんは怪我してない?」と問い掛けた 「俺はその御人に助けられて大丈夫だ!」 阿賀屋はやっとの想いで応えた 阿賀屋は咄嗟に素戔嗚尊に庇って貰えたから、怪我はしていなかった だが何が起こったか解らなくて震えは止まらなかった 殺されると思った 烈と電話中に急に襲われ組み敷かれ押し付けられた 首を肘で押さえつけられ……あと少し力を入れればへし折られる恐怖に……気が遠くなりそうだった 烈は携帯を取り出すと母に電話した ワンコールで母は電話に出た 「母しゃん、阿賀屋の屋敷の人間がバタバタ倒れてるわ しかも犯人は………自害して……最後の悪あがき遺して漆黒の刃の雨よ降れ!って呪詛飛ばし消えたのよ…… ボクもじぃちゃんもえんちゃんもらーくんカブたんも傷付いているんだけど、どうしたらいい?」 康太は犯人自害で消えたなら………警察が入れば犯人は間違いなく烈達になるしかないと判断し 『唐沢に連絡するから、お前等は還れ! 怪我してるんだろ?』 「うん、漆黒の羽根が突き刺さってるわ」 『久遠が丁度来たから診て貰え!』 「解ったわ、直に還るわ!」と言い電話を切った 康太は即座に唐沢に電話して事情を話して阿賀屋の屋敷に向かう様に頼んだ 犯人は自害して消滅したから!と謂れたら自分達が出向くしかなかった 唐沢は『直に動く、関係者には後から事情を聴くけど、きっと……人外な力の話になるだろうから、調書を考えるの大変なんだぜ………』とボヤく 「悪い、今度奢る!そして今夜は宴会してるから、明日事情調書取るなら宴会に参加してけば?」 『それは良い!では阿賀屋氏の屋敷の実況見分してから、向かうとするわ、因みに今は何処にお住まいで?』 「飛鳥井記念病院まで来たら誰かに連れて越させるから、其処まで来い!」 『了解した、なら仕事してくるわ!』 そう言い唐沢は電話を切った それと同時に血だらけの烈が姿を現した その後ろに血だらけの素戔嗚尊、閻魔、羅刹天、とガブリエルがいた クーとプーも漆黒の羽根が刺さっていて、あっちこっち切れていた ガブリエルは「この羽根、細工してあります! エンジェルリング授けられた烈が悪意を受ける事はない………無論私も! なのにこの羽根は……関係なく突き刺さり傷を負わせたのですから! 私はそれを話さねばなりませんので、漆黒の羽根を突き刺したまま天空神に逢い話をして来ます!」と言い姿を消した 烈は源右衛門の部屋へと向かった 源右衛門の部屋に久遠を向かわせると、久遠はブチッとキレまくって病院に電話を入れ鈴木泰地を呼び出し「病院にある怪我関係のモノ今直ぐ全部持って来い!」と指示を出した 康太が泰地を迎えに出て連れて来る為に家を出た 泰地は久遠の指示に従い、往診カバンの中にありとあらゆる治療の材料を詰め込み、病院を出た 走って来る泰地を捕まえると、飛鳥井の家へと向かう 久遠は泰地が消毒液とか包帯、絆創膏等、治療グッズを持って来ると治療を始めた 康太は無茶する我が子に少しだけお灸を据える為に、烈の頭に突き刺さった漆黒の羽根を抜いた 「痛いにゃー!かぁしゃん!!」 烈が悲鳴をあげ訴える 康太は漆黒の羽根を手にして 「此れは悪意の羽根じゃねぇって事か?」と呟いた 烈は「ボクがエンジェルリング授けられた事を知っていて真央たんを人質に取り、トドメを刺したかったのよ!」と謂う 「それが思ったより大人数で来たから………相手は想定外と謂う目に遭ったと言う事か?」と呟いた 「ボクはえんちゃんに助けを求めたのよ そしたら何故か、ガブたんとらーくんもいたのよ」と言う 閻魔は「私は羅刹天殿とガブリエルと崑崙山で今後の対策を話し合っていたので、烈からの要請があったので八仙に飛ばして貰ったのです!」と話す 羅刹天は「烈の危機ならば何をしてでも駆け付けると決めているからな! 私が今 家族とこうして前よりも幸せにいられるのは烈のお陰だから!」と熱く語る 鈴木泰地は久遠が消毒した後 絆創膏を貼ったり、包帯を巻いたり治療に没頭していた 羽根を引っこ抜いては消毒! 縫う程じゃないが酷い傷は、その場で傷用テープで修復 一番酷いのは素戔嗚尊だった 阿賀屋を庇ったと言う事もあり、背中にはかなりの羽根が刺さっていた 烈もかなりの羽根を刺していた 康太が一本ずつプチッと抜く 「痛いにょよ!かぁしゃん!!」 と烈の声が響く ついでにクーとプーの羽根も抜いてやる クーは「止めてくれ死ぬ!」と叫び プーは「吾輩は良い子やのに!」と嘆いた 烈は「良い子関係ないわよ!ならボクは良い子なのに何故差刺さるのよ!」と喧嘩 「お前は悪どいからやないか!」 「何言うの!ボクは天使の様に清らかよ!」 「いいーや!お前は常に悪どい事しか考えとらん!」 プーが言うとレイが飛び蹴りした 「れちゅ いじめりゅにゃら………けちゅよ!」 プーはレイの残酷非道さに震え上がった 烈は「レイたん、そんな事言っちゃ駄目よ!」と注意する レイは「れちゅ………」とくしゅんとなる 鈴木泰地はせっせと、手当された後に包帯を巻いたり手当をしていた 白い猫も二匹手当を受けていた 「お前等治療しずらいから大きくなれよ」と言われ何時もの二足歩行サイズになり手当をされた 烈の頬に大きなバンドエイドを貼り、深い傷はガーゼでテープで止めた、肩から腕は羽根が斬り裂いて裂傷があるかは包帯を巻き、背中は針山の様に羽根をぶっ刺していたから抜き取り絆創膏やガーゼでテープで止めた 閻魔も包帯だらけになり、羅刹天も包帯だらけになった 久遠は「お前等2、3日は様子見たいから還るなよ!」と釘を刺す 羅刹天はその迫力に頷いた この男………容赦ないし………痛いって言うのに手を止めもしない 鬼だ……下手したら鬼より怖い………… 久遠は「おめぇは怪我ばっかするな!毎日消毒に通え!良いな!」と言う 烈は「はい!せんせー!」と返事した 素戔嗚尊は「さてと飲むとするか!」と言う 久遠は「今日は少しは控えろよ!」と釘を刺す 素戔嗚尊は「ぅ……解っておる!」と答えた 烈は「トキたん………無傷なの?」と問い掛けた 素戔嗚尊は「………オーラで跳ね返しておったわ!あやつの周りには近寄れない何かがあるのか?」と言う 烈は「ご主人護ってくれれば、ボク無傷だったにょに……」とボヤいた レイは「はね むちる?」と問い掛けた 烈はたらーんとなり「それしなくて良いからね!」と言い客間に向かった 家族や神野達は傷だらけで包帯や絆創膏をしている烈の姿に……この数時間で何があったの?と唖然となった が、何も聞く事はなく 「宴会する人増えたにょね!」とニコッと謂れ 閻魔と羅刹天と素戔嗚尊は宴会に参加した クーとプーも包帯だらけの姿で飲み仲間の中へ入る 康太は「何か包帯だらけなのに飲兵衛は辞められねぇって怖いわ!」とボヤく 既に出来上がってる神威が、烈の怪我を見て 「何故俺を呼ばない!」と残念がりボヤく 素戔嗚尊は「倅よ……その時主はまだおらんかったではないか………」と宥める 「畜生!漆黒の羽根なんて儂の根っこで跳ね飛ばしてやったのに!」と残念がる 素戔嗚尊はもう何か言う事を諦めた 包帯だらけの烈の白い猫は美味しそうに酒をグビッと飲み干して酔っていた その夜、かなり遅く唐沢もやって来て飲み仲間に加わっていた 翌朝 烈達は源右衛門の部屋で唐沢に事情を聴かれていた 阿賀屋蒼佑は「俺は箕輪カズノリと言う声優が烈のことを聞き回っていると聞き、烈に注意させようと電話していたら突然襲われた! 後は組み敷かれ肘で首を押さえつけられ………後少し………力を入れたら確実に死ぬな………と恐怖との闘いだった そんな時、烈が助けに来てくれたんだ!」と話した 烈は「真央たんからラインあったから電話したのよ!」とラインを唐沢に見せて話す 「それで電話の途中で真央たんの悲鳴聞いたから、ボクは真央たんの所へ飛んだのよ!」と言う 唐沢は「飛ぶ………ってそんなに簡単に飛べるものなのですか?」と問い掛けた 「ボクはね、母しゃんみたいな力がある訳じゃないからね、知らない人の危機に飛ぶとか無理なのよ!でも真央たんとはかなり前に兄弟の絆の盃を交わしたから、血と血を互いに飲んでるからね 真央たんの所へならば飛べるのよ!」と言う 唐沢にはサッパリな世界だった 一人ずつ事情聴取する か、素戔嗚尊と閻魔と羅刹天は烈の関係者……と言う事で濁して調書を書くしかなかった 一通り調書を取ると、唐沢は部下に向かいに越させ帰って行った 烈は3日間 消毒に通い治療した その間に会社に出向き社員達にも「免震 耐震 制震の違いの講義を講堂でキッチリ教え、教育を始めた そしてこれからのビルを建てるならば、どれがビルに相応しいか、宿題とした 「ボクがアメリカから帰って来たら答えを聞くわ!だから宿題にするから、考えるのよ! 未来に遺るビルを我が社は建てねばならないのよ!会社のコンセプト【未来に遺るビルを建てる会社 飛鳥井建設 】とボクが帰国したらCMを作る事も決まっているからね 勉強していかない社員は篩いにかけられ落とされるしかないからね!」 と釘を差し宿題を出した そして久遠が「仕方ねぇな、アメリカで知り合いの医師いるから紹介状書いとくから、向こうで消毒に行くならアメリカへ行っても良いぞ!」と許可を取り、やっとアメリカへ行ける様になった メンバーがアメリカに到着しているのに、烈は予定日を合わせる事が出来ず、4日遅れて、アメリカへと旅立って行った 5月の中旬にアメリカに行く予定が……色々重なりかなり遅れた出発となった これ以上の予定の遅延は許されないから仕方がなかった 【R&R】のメンバーや竜馬、兵藤もアメリカへと集結しているとラインが送られて来た 烈は少し遅いから竜馬が心配して迎えに行くよ!と言い出す程だった

ともだちにシェアしよう!