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第91話 今世紀最大の喧嘩 足跡遺せたかな?

翌朝 朝食を取って直ぐ、烈はイベント会場へ出向いた 会場には………【R&R】のメンバー、Strong Hi、RODEOÑまで気になって見に来ていた その日の出演者も気になって、食事を取るとイベント会場へと集まって来ていた 無論、隼人も昨日の失敗を挽回をする為に、出演者に謝罪しつつ来ていた 神野達も気になり、こっそり隼人と共にやって来ていたのだった 皆 リーダーがどう動くか?気になって来ていたのだ 烈は何やら考えて無言のままスタッフ席に座っていた 竜馬もその横で無愛想にしていた 重々しい空気が緊張感を孕んでいた 烈は何やら思い付いた様に竜馬に 「グラウンド中央にグランドピアノ置くのよ!」と言った 竜馬は「え?それダジャレ??………」と問う 「ダジャレなんて言ってないのよ!」 そう言い烈は竜馬の脛を蹴り上げた 竜馬は脛をサスサスして「了解したよ!直ぐに配置出来るかな?」と走ってスタッフに問い掛けに行った 【R&R】のメンバーも竜馬の傍へ行き、何とかグランドピアノを貸し出して貰う手筈を着ける為に動き出した Strong Hi のジョージが「心当たりあるから!すぐに運び込ませるよ!」と言ってくれピアノを運び込ませる手筈を整える為に動いてくれた スタッフは急遽 グランドピアノの配置すべき場所の足場を作り始めた 烈は「りゅーま、やっちゃう?」と問い掛けた 竜馬は笑って「やるに決まってるよ!烈!」と言う メンバーはサッパリ解らなかった 竜馬………ピアノ弾けるの?? その場にいた全員……想ったのだった 烈も…………ピアノ弾けるの……? まぁ作曲してるからキーボードは弾いてるの見たけど……グランドピアノだよ……… 烈はデービッドとサムエルに 「ボクが大きな足跡着けないでどうするのよ?」と言う 竜馬は「男が廃るっすからね!」と嗤った 烈は「りゅーま、楽譜を用意して!」と指示を出す 「何弾くのさ?」 「魔笛!宸睿(チェンルイ)とジョシュアに魔笛歌わせるのよ!」 「了解っす!」 「2日潰れても残り2日あるし良いわよね?」 ダニエルは「良いよ………仕切り直してくれるんでしょ?」とリーダーの想いが嬉しくて……烈を抱き締めた サムエルも「リーダー、やはり僕らのリーダーは凄いよ………少し怖かったんだ……… 思い通りに描く世界が、突然誰かが動かないだけで、あれ程狂わされるものなのか?って……」と本音を吐露する 烈は「仕方ないわよ、イベントは生物だからね! 多少のトラブルはど~んと構えてれば良いのよ! そして動かない奴は斬り捨てれば良い! ボク達の描く世界に、そんな奴は要らないからね!」と物凄くキツい事を言う ダニエルは「宸睿(チェンルイ)とジョシュア以外は………どうするのさ……」と問い掛けた 「ダニー、昔の【R&R】は脚本なんかなかった リハーサルはプロジェクションマッピングのみで、自由に世界観を創り上げていたじゃない! ボク達は何者にも囚われない【R&R】なのよ? 今日は【R&R】流でプロの底意地魅せて貰うしかないじゃない!」 一歩も引かぬその言葉に、その場にいた者は覚悟を決めた 隼人は今夜のイベントで全てを出し切り…………挽回するしかない!と心を決めた 謝罪の言葉を百 口にするより、それを行動で見せてくれ! 昔 康太に謂われた言葉を思い出した あぁ……本当に烈は康太の子なのだ…… まるで康太と共にいるみたいで、安心感と背中を押してくれる優しい想いを感じずにいられなかった ピアノが設置されると竜馬が試し弾きをして音程を確かめる 「リーダー、調律必要かな? 機材取り寄せる?」 「そうね、そしたら調律して一度弾くわよ!」 「了解っす!なら夜は燕尾服着るっすか?」 「それ無理じゃない? ボクはレンタルの服とか嫌いなのよ?」 「トンプソンがオーダーで作ってくれてるかも?」 竜馬はそう言いデービッドを見た デービッドは「竜馬、僕が燕尾服作ってるの何故知ってるんや…………」とボヤく 「さぁデビ、皆お揃いで燕尾服着て、オーケストラやるしかないっす!」 「後で燕尾服は全員分用意させるわ! 楽器は僕はチェロをやるとするわ! トランペットやトロンボーンなんかは【R&R】じゃ無理やで? そんな肺活量してるヤツなんて【R&R】におる訳ないやんか!」 とボヤく 「【R&R】流って事で良いさ!」 スタッフに調律の道具を取りに行かせてる間に、どんどん話は決まって行く それが【R&R】だった 無限の創造と無限の現実 創造を現実にして行く姿はリーダーがいればこそ!だった 烈は「宸睿(チェンルイ)帰国したりしてないわよね?」と問い掛けた ダニエルが「あぁ彼はイベント最終日まで残り、全てを見てから帰国するって言ってたよ!」と答えた 「なら呼び出して!」 「解ったよ!呼び出しておく! どうせ近くにいるからすぐに来てくれるよ!」 と言いダニエルは連絡を取りに向かった ヘンリーは気を取り直して「僕 バイオリンやろ!」とオブライエン家に連絡してバイオリンを用意させた 調律の道具が運ばれると、烈自ら調律を始めた 竜馬に手伝って貰いピアノの外装 鍵盤を外して盤面上面 鍵盤の下ピアノ内部の掃除をし、弦 駒 響板の状態をチェック ペダル 鍵盤の高さ・深さを整え「調整」 ラの音をチューナーで440〜442Hzに合わせ…………等 細かく繊細な作業を続け調律して行く 微妙な音の狂いを調律して逝く様を、皆は物音一つ立てずに見守っていた 最後に汚れを拭き取り1時間半掛けて調律は終わった 道具を片付けると竜馬はウェットティッシュを烈に渡した ポケットからアルコール除菌も取り出し、シュッシュッと吹き掛ける その頃には宸睿(チェンルイ)も駆け付けて来ていた 烈は「仕事終わったのにごめんね宸睿(チェンルイ)!でも歌って欲しいのね!」と言う 宸睿(チェンルイ)は笑って「何時でも好きに使って下さい!俺は貴方の為に歌うのは好きだから!」と言い快く引き受けてくれた 烈と竜馬は目で合図すると、ピアノの前に椅子を2つ運び込ませた ピアノの前の椅子に座ると試し弾きをした 音を確かめると互いの目を見て頷いた 楽譜もなく「魔笛」を連弾し始めた 高音パートを竜馬、低音パートを烈が! 二人は狂ったようにピアノを弾き楽しげに踊るように弾いていた その腕前はプロもビックリな出来で、宸睿(チェンルイ)はそれに合わせて魔笛を歌い始めた ピアノの音に宸睿(チェンルイ)とジョシュアの声が歌を奏でる まるでオペラを見ている様な迫力と演奏だった 高音パートを宸睿(チェンルイ)が、低音パートをジョシュアが担当し二人は狂う事なく声を重ね歌を歌う  まるでリハーサルしてました! と思える程の出来で魔笛を奏でる烈と竜馬に合わせて歌う 隼人はそれに合わせて踊り出した クロード・ティラーは得意分野の蛍光塗料の棒を何本も腰に着けたサコッシュの中から取り出し色の饗宴を始める クロードは昨夜………不発で終わったから自分らしさを出さねば!とデービッド達に話をし、許可を取ろうと想い持って来ていた 真っ暗なグラウンドならばその蛍光塗料のアクリル棒はきっと色の饗宴を魅せてくれるだろう 思い思いに自分なりのパフォーマンスを考え、魅せる為に動き始める ダンサーのハリーも負けずと踊ってていた デービッドは泣きながら「凄すぎだよ!リーダー!」と言った 打ち合わせもしてなければ、その日初めてやる演目で自分を出そうと魅せる演者の姿に、これぞ【R&R】だと痛感する 1時間ちょっとの演奏は終わり、竜馬は「時間足らなくない?」と問い掛けた 「ならエリちゃんやっちゃう?」 「だね、その時の気分で行こうよ!烈!」と言い 【へリーゼのために】を弾き始めた 曲調がガラッと変わる 宸睿(チェンルイ)は、ラララ ラララ ラララ、ラ・ラ・ララン ラ・ラ・ラランとコーラスで歌う イーサンはクラリネット、サムエルはフルート デービッドはチェロ、ダニーはオーボエ、フレディはサックスを希望しマイ楽器を取りに行った 最近の【R&R】は自分も奏でる、をリーダーからの【指令】でマイ楽器を持ち練習していたのだった 毎日毎日練習していた成果を此処で見せろ!って事ね……とメンバーは想った マイ楽器を取りに行き参戦する その出来栄えに、神野達は息を飲み見守っていた 2時間ちょいのリハーサルを終え 烈は「こんな感じでどう?」と問い掛けた 皆にやらせておいて…………こんな感じでどう?と聞くのだ 皆はもうヘロヘロだった 竜馬は楽しげにまだピアノを弾いていた メンバーは【文句なし!】と言った 兵藤は「お前等ピアノ弾けるんだな……」と今更ながらにボヤく 竜馬は「俺は烈と出逢った時から精神修行の一環として連弾弾かされましたから! 遅れると鞭で手を叩かれ血が出た時もあったっす!」とニコニコで言う 烈は「りゅーまは直ぐにキレるから集中力アップの為にピアノ弾いていたんじゃにゃいの!」と怒る 兵藤は「ピアノって集中力に効くのか?」と素朴な疑問を問い掛けた 「りゅーまの場合はね、直ぐにキレるわカッカッとなるわ、そんな時は連弾やったのよ 一心不乱に鍵盤叩かせてると心の乱れがあるなら直ぐだからね、そんな時は鞭で手を叩いていたにょよ!」と笑い飛ばす この二人の絆は………烈が3歳の時から始まっていたのだと想う 此処まで従順にするには…………其れは長い年月を掛けないとなれない絆の上に成立するのだろう…… 「フレディ、サックスの音狂い過ぎよ!」 とメンバーにも厳しい言葉を投げ掛けるのだ フレディはやはり注意されたか………と想い 「ごめんリーダー、寝不足が祟ったみたいだ……… 今日は別の楽器で本番はワンフレーズのズレもなくやるから!」 「なら安心ね、ハッキリ言って昨日のイベントは金返せ!レベルの出来で観客を冒涜していたわ! それは我等が望む事じゃない! ならば昨日のツケはキッチリと回収せねばならないのよ!」 【解ってるよ!リーダー!】 皆は声を揃えて答えた 烈はStrong Hiを見て「今夜はボク等の演奏に花を添えてね!」と言う ジョージは「え!!!俺等………演奏取ったら何も出来ない……」と嘆いた 「そんな訳ないじゃない! メンバーを知ってるの?ジョージ? メンバーは楽器はなくともパフォーマンス出来る力を持ってるわよ! 決まり事は何一つない! 何者にも囚われない!それがボク等【R&R】だからね、好きにやりなよ! 場の雰囲気や景観を損なわないなら、好きにやれば良いわ!でも木偶の坊になるならば、直ぐに捌けてグラウンドの片隅で震えていれば良いのよ!」 ニャッと笑われ、唇の端を吊り上げて挑発する その挑発に乗れば………引き戻せない地獄へ一直線の道しかない……… 引くも地獄なら、逝くも地獄、地獄へ一直線の道しかなかった それを嗤い見届けるのが【R&R】のリーダーだった ジョージは「やるよ!」とメンバーを信じて………その挑発に乗った 「君等は狭い視野の中にい過ぎなのよ! 己を解き放つ術を知らない………だから詰まるのよ 大きな壁は自分達が作っているって気付かなきゃ………君等の行く先は………転落しかないわね 嫌なら這い上がって来るのよ!」 痛い所をズバッと鋭利なナイフで突き刺す様な痛みを与える 解っている 解っているのだ!そんな事は……… 大きな壁は………乗り越えられない程に………強靭で強固で崩せないのだ……… だが烈を見ていれば……そんな壁などハンマーで叩き壊して見せるだろう!と想う ハンマーが無理ならユンボー、ユンボーが無理なら鉛を着けてクレーンで叩き壊すだろう 超えられない壁なんてないのよ! そう言い超えて逝くだろう! Strong Hiのメンバーは己の心の炎に炎を燃やした 逝くしかない! バンドを結成した時…………我等はそんな想いで逝く事を決めたっけ………… 何で忘れていたんだろ? 烈はジョージの方を向いて 「初志貫徹よ!」と言った ジョージは兵藤を捕まえて「あの意味は?何ですか?」と尋ねた 兵藤は「初志貫徹って言うのは、最初に心に誓いを決めた事だ! お前等もメンバーと共に逝くと決めた時、互いの想いを誓いにして立てた時があるだろ? 初志貫徹って言うのは、そんな最初に誓った事を最期まで貫き通す事を言うんだよ!」と説明した Strong Hiのメンバーは何と重い言葉なんだろ………と想った そして互いの目を見て…………思い出す 【今 此処にいるメンバーで掴み取ろうぜ!】 そんな誓いを立てた日を…何で忘れていた? リハーサルは終わると、昼を取り、夜の開演まで準備を怠るな!と解散となった 烈は控室で昼食を食べていた 竜馬がせっせとヘルシーな昼食を用意する 隼人は烈に近付き謝罪しようとした が、烈は謝罪の言葉など聞く気は皆無だった 隼人が近付こうとすると、竜馬が冷酷な笑みを浮かべ 「イベントの事だけ考えて過ごして下さい!」と謂れ近付く事さえ不可能だった 烈は笑って親指を立てて、隼人にエールを送った それだけで隼人ならば解る!そう想ったから……… 一生が昼過ぎにアメリカのイベント会場にやって来ると、ニックがパスを持って迎えに行った 一生は控室に入ると心配そうな顔で「烈、大丈夫か?」と問い掛けた 「カズ、大丈夫よ! それよりにーにやレイたん達はどうなの?」 「翔達は搔くな!と謂えば耐えてるけど、ちっこいのは無意識にポリポリやっちまうからな、掻かせないのが結構大変なんだよ! でも飲み薬と塗り薬でピークは超えたから、後は完璧に消えて医師から許可が下りたら登校が出来るまでにはなっている!」 ちっこいのは跡が残るから掻いたら駄目と言っても、痒ければ掻いちゃうから大変だ 一生は「それよりも隼人………俺が殴り飛ばそうか?昔からアイツを殴り飛ばすのは俺の役目だしな!」と言ってくれた 烈は笑い「隼人は子供なのよ………だから今、痛い目見せてるから大丈夫よ! それより母しゃんと父しゃん大丈夫だった?」と問い掛けた 烈が心配した通り、飛行機の右翼が突然爆破して、運転の制御を失った 一生は「あぁ天照大御神から早く逝くのじゃ!とお呼びが掛かったから親父と兄貴と弟とで飛行機の機体を背中に乗せて無事に着陸させたんだよ! でも親父が………右翼から飛び散る火の粉に………少し火傷したから久遠に診せて安静にしている所だ!」と説明した 「ボク、アメリカのイベント終えたら……金ちゃんに会いに行くのよね………大丈夫かしら? ガブたん派遣した方が良い? あの癒やしの力がボクに有れば良いんだけど、ボクの半分は冥府の闇に染まってるから癒しの光は使えないのよね……」 「良いさ、そんなの使えなくても! お前はお前だから、心配しなくても大丈夫だ! それに親父は大丈夫だ、久遠が診てくれてるんだ、大丈夫な筈ねぇだろ?」 「カズ……」 「今夜は美味しいの作ってやるからな! ケントと共にイベント始まる前に買い出しに行き、夜は宿泊施設へ戻って料理作ってやるからな!」 と言い烈の頭を撫でた 烈は笑っていた 一生もスタッフに饗され昼を食べ 「俺、イベントの期間中は此処にいるから、飯作ってやるからな!」と言ってくれた そんな力強い戦力を得たならば、やるっきゃない!そんな想いだった メンバーも一生が作る料理が好きで喜んでいた 烈はソファーに座る竜馬の膝の上に寝っ転がり 「りゅーま 真央たんと横浜に還ったらかき氷食べに行く?」 「良いっすね!またやるっすか? 食べてはキーンと来て悶えて食べて……不毛なかき氷またやるっすか?」 「たらい桶は流石と………もう嫌だわ」 「あれは俺も嫌だな……ならかき氷は止めとこうよ、烈!」 「そうね、なら飛鳥井秘伝のかき氷食べさせるしかないわね!」 「それなんですか?」 「ねぇカズ、あるわよね?飛鳥井秘伝のかき氷?」 話をフラれて一生は飛鳥井秘伝のかき氷を思い浮かべる 「あぁ、あるな!でもアレは大人でも結構キツいぜ!」 「良いのよ!真央たんはグルメな饗しされ過ぎて逆に馬鹿舌になってるんだから!」 烈が言うと阿賀屋は「酷えな烈!まぁフレンチや高級料亭のコースは食い飽きてるだけだ!」と訂正した 「井筒屋の沢庵あればボクはフレンチより嬉しいんだけどな!」 「あぁ、俺も井筒屋の沢庵ならお茶漬けで良いさ!」 「解ってるじゃない真央たん! あ~何か父しゃんの作るご飯食べたくなっちゃった………」 一生はお前……今昼食ったんじゃないのかよ?と想った 阿賀屋も「なら俺も一緒に付いてって伊織のご飯食べまくってやる!」と言う 【R&R】のメンバーもそれ賛成!も盛り上がる 緊張感のない空間だった が、午後5時を回ると烈は燕尾服に着替えた 皆は本番モードになりピーンと張り詰めた緊張感に包まれる 竜馬は「なぁ烈、俺 ラストはWAになっておどろう を弾きたい! 柵も想いも総て取っ払い、皆 WAになっておどろうって想いで弾いても良い?」と問い掛ける 「良いわよ、それだとエリちゃんは長すぎだから知ってる曲をチョイスしないと駄目ね」 「ならさ全部弾かずキリの良い所で切り上げ、WAになっておどろう、それで皆で輪になりエンディングでどうかな?」 「良いわね、それ、皆弾ける?」 ヘンリーは「あぁ、それなら烈と一緒に合わせて弾いたから出来るよ!」と安堵の息を吐いて了承した イーサンもサムエルも何とか弾ける楽曲で安心した デービッドは「WAになっておどろう は僕らも踊りたいですわ!」とゴネる 烈は「ボク達弾くからさ、なら踊っちゃいなよ!」と言う ワクワクが止まらなくて、皆笑顔になり出番が待ち遠しかった 烈は「皆 リラックスよ!」と言い笑う 竜馬も「そうっすね、今日は緊張する必要はないっす!皆で盛り上がり楽しめれば、今日は最高の出来で仕切り直しが出来るっす!」と言う 烈は「エリちゃん途中で止めた後、ボクは観客に謝罪を入れるわ! それが筋の通し方ってもんだからね、良いかしら?」と問い掛ける 皆は頷き、それで良いと賛成した そして始まる本番 宸睿(チェンルイ)はタキシードを着て、ジョシュア・ミラーは黒いロングドレスを着ていた 本人たっての希望で鳳城由香里が用意させた衣装だった 球技場中央にはグランドピアノが置かれ、観客席に向いてスタンドマイクが2本立てられていて、昨夜までとは全く違う雰囲気を観客は感じていた 開演時間になり燕尾服を着た烈と竜馬が姿を現す 宸睿(チェンルイ)とジョシュアがスタンドマイクの前に立つ 烈と竜馬は観客席に向かい深々と頭を下げ一礼すると椅子に座った 烈はバババァァァァァンとピアノの鍵盤を思い切り叩いた そして始まる魔笛の連弾 宸睿(チェンルイ)の声とジョシュアの声が重なり世界観を創って行く 隼人は魔笛の音楽に合わせて踊っていた 昨夜とは打って変わって、見ている側が心打たれる踊りに…………観客の瞳は釘告げになった クロード・ティラーが蛍光のアクリル棒を持ち色を添える ダンサーのハリーは魔笛と言う事で只管踊って魅せていた プロの仕事が今 成されていた Strong Hiはバク転を披露し、楽器以外の分野でパフォーマンスを決める その場にいて遜色のない動きをせねばならない 脚本もなければ、物語の着地点すら解らない それでも皆 必死に己の持てる全てを見せてパフォーマンスをしていた あぁ………これが【R&R】なんだ いざと謂う時に無限の底力と発想力と団結力がそれを支える 楽器以外で己を魅せるパフォーマンスはしたことが無い でも…………やらねば壁なんか乗り越えられない 叩き壊せなんか出来ない だからチャレンジするのだ 烈と竜馬のピアノの連弾は鬼気迫る迫力で、油断したら即死レベルの緊張感を孕んでいた 観客は息するのを忘れる位………必死に観ていた 魔笛はトータルで3時間を超える曲だった 第一幕 80分もある曲を烈が竜馬の集中力を付かせる為にアレンジして60分で終わる様に教え込んだのだった 昔の竜馬は良くキレるわ、直ぐに癇癪起こすわ……で己を持て余し過ぎていた時があった そんな時はメンバーにも当たるから、夜通し竜馬の防音のマンションでピアノを弾いて過ごした時もあった 体力馬鹿は疲れないからピアノと言う感情を揺り起こす作業は大変活用させて貰った その結果が今日の集大成だった 烈は北叟笑んでいた こんな風に役立つ日も来るのね………と。 メンバーもマイ楽器を奏で、ご機嫌で演奏していた 今度は誰もワンフレーズの音ズレもなく奏でていた 息も付かせぬ60分の魔笛のピアノの演奏が終わると、ゆったりとしたエリーゼのために が弾かれ観客はやっと息を吐き出した ラ・ラ・ラ ラ・ラ・ラランとジョシュアと宸睿(チェンルイ)の声が優しく頬を撫でていく様に優しく響く そして途中で演奏を終えると、烈は竜馬に「マイク頂戴!」と言った 竜馬はマイクを取りに行き烈に渡した 「【R&R】のイベントに来て下さった皆様 昨夜は演者の動きが少し悪くて申し訳御座いませんでした! 少し………油が切れていたみたいなので挿し直しました! 今夜のパフォーマンスは昨夜のお詫びにもなりまはしませんが、我等【R&R】は心から皆様に謝罪の想いを伝えようと、違った模様しを用意しました 昨夜見に来た人は……本当に申し訳御座いませんでした! 返金など出来ぬ故 このイベントを特番で流しても良いとユニバーシルスタジオ代表 ジョシア・ギルバート氏が協力して下さりユニバーシルチャンネルで無料開放して流して良いいと言って下さり実現致しました! 放送は明日から1週間、無料開放されます! どうぞこの機会にご覧戴ければ幸いです!」 と告げマイクを竜馬に渡した 竜馬はマイクを戻して行くとピアノの前に座った メンバーはその間に楽器を置きに向かっていた そして楽しげな曲が流れる 宸睿(チェンルイ)とジョシュアはYouTubeでWAになっておどろう を検索して調べて歌えるようにしていた 覚え立ててで、ぶっつけ本番 物凄くハードルは高い だけどやらねばならない 烈は前もってプロジェクションマッピングに 【歌が解るなら皆も歌って下さい!】 と書いて出した ピアノが爽快な歌を弾いて行く 楽しげな音楽に皆が輪になって踊り始めた 会場の皆も歌が解る者は口ずさみ 解らなくても解る部分口遊んでいた 楽しい雰囲気のままイベントは終わりを告げた ピアノの演奏が終わると、烈と竜馬は深々と頭を下げた 輪になってた者たちも観客席を向き深々と頭を下げ謝罪した そして烈が歩き出すと、その後を竜馬が続きメンバーが続いた それを観ていた一生は………その姿に学生時代の、自分達の姿を重ねた 逆トライアングルと言われた陣形…………そして肩で風を切り歩き出す康太の後ろを続いて歩いた自分を想った 康太…………こんなにもお前に似てるんだな烈…… 一生が感慨深く想っている頃 プロジェクションマッピングは 【 Did we leave a big footprint? 】 と映し出されていた このイベントは今世紀最大の喧嘩を売り、大きな足跡を遺す為のイベントなのだ イベントのコンセプトを熟知しているファンは大きな歓声をあげた 今世紀最大の喧嘩を売るイベント  残り5日 デービッドとサムエルはリーダーから触発され、かなり飛ばして足跡遺して2日を乗り切った 隼人を酷使させクロードとハリーも酷使して、ジョシュアは張り切って歌いまくった 其れ等を即興でやっちゃうから………演者は判断力を必要とされ、瞬時に動ける俊敏さも必要とされた デービッドは「我等【R&R】は囚われちゃ駄目だってリーダーを見てて思ったよ!」と言う サムエルも「だね、何者にも囚われない【R&R】だもんね、脚本も台本も構成も何も必要としない!と言う事で皆頑張ってね!」と非情にも告げられ幕が上がったのだった それが功を奏して、演者は頑張ってくれ出来栄えは凄かった Strong Hiへの無茶振りを見ていたRODEOÑは、ならば自分達も壁越えねぇとな!とかなり飛ばして演奏しまくり、それがマッチしてデービッドとサムエルは喜びまくっていた そしてファイナルを迎えた 遺すは対バンドのみとなった 対バンの順番はジャンケンで決めた 三本勝負で2本取ったら勝ちと言うルールだった 2本勝ち取ったのはStrong Hiだった ジョージは「……何で勝つかな俺………」とショックだった 烈は「対バンと言う名目だけど、好きに演奏すれば良いのよ! 君達は好きが高じてメンバーを集い音を奏で歌を紡ぎプロになった ならば見に来てくれた人全員に、ファンの子に想いを伝えるべきだから、そのステージを与えてあげると謂うだけの事よ! まぁNY市長のレセプション会場で初めて逢った日は、まぢで叩き潰してやる気でいたんだけどね!」と笑って言う ジョージやメンバーはたらーんとなった ジョージは「ならば烈、ラスト………【誓い】を一緒に歌ってくれないか?」と願い出た 今回のイベントの為に【誓い】と言う曲を用意した 潰れたイベントの日に披露する筈の烈と一緒に作った曲だった 「良いわよ、なら竜馬、歌うわよ!」 竜馬は「了解っす!」と言う RODEOÑは「なら俺は隼人と一生を使う!」と申し出した 烈は「隼人は良いけど、カズは嫌よ!」と言った 「え?何で?」 アーネストは聞いた 「だってカズ有名になったらボク等のカズじゃなくなりそうだもん………」 何と可愛い事を言うのだ 一生は「なら俺は【R&R】のメンバー直伝の変装して出れば良いだろ? 元々俺は人気なんかねぇだろうに………」とボヤく 「カズは知らないかもだけど、カズは結構人気者のよ?」 「俺はお前等から人気有ればそれで良い! お前等に嫌われたら………本当に辛いからな……」 「カズ!!」 「烈!」 仲良く抱き合う烈と一生を見て、竜馬はバリッと烈を引き離した そして「皆 明日の為に一生の変装を頼む!」と謂うと【R&R】のメンバーは「じゃ!行くよ!カズ!」と言い一生の手を掴むと、うへへへへ!と笑って一生を引っ張って行った 一生は「おい!危険人物いるぞ!」と叫んだが…… 誰も聞こえないフリした 由香里は大爆笑した 神野達は笑ったら後で仕返しされないかな?と思いつつ笑っていた 保養施設に一生の悲鳴が響く だけど増えた奴等は聞こえないフリして飲んでいた 何故だが解らないが………保養施設にはRODEOÑが来ていた そしてStrong Hiも宸睿(チェンルイ)もジョシュアも来ていて、皆で飲んでいた 柘植は「宸睿(チェンルイ)は倭の国で活躍しないのかい?」と問い掛けた 宸睿は「倭の国のオーデション悉く落ちてますから………【R&R】のオーデション受かったのは奇跡だと想ってます!」と謂う 烈は「なら三社共同で契約したら?」と謂う 神野は「絶対に取り合いになるから三社で契約するしかねぇわな!」と笑う 須賀も「ですよね、三社で異論はないです!」と言う 竜馬は「ならさ、各々の事務所の別枠として三社で使うタレント増やして管理して行くとかしないんすか?」と尋ねた 神野と須賀と柘植は顔を見合わせ「「「それは良いアイデアだ!」」」と言って盛り上がった Strong HiとRODEOÑは案外仲良くなりブレンドリーになり、まるで何年も友達だと思える程に仲良く話をしていた 想えば…………RODEOÑもStrong Hiもバンドやってるヤツと話した事なんかなかった………… 何時までも……仲良く話が弾み夜は更けた 烈は何時も通り10時には寝室に行き、レイや兄達とZoomで話す 時々両親や祖父母とも話す そして眠る 明日の為に眠り………明日を想い夢見る 対バン一日目 この日はStrong Hiが演奏する 烈はイベントが始まる前にジョージに 「前半5曲は全力で歌い上げるのよ 5曲過ぎたらボク達が出るから!」と告げた ならば前半5曲、全力で走り切る!と決めてかなり飛ばして演奏し歌い続けた 5曲終わる頃 烈は竜馬と………何故か早瀬頼朝を連れて球技場中央に姿を現した 烈は「Strong Hi 渾身の一撃 【 Ally 】を!」と曲を指名した 竜馬は早く演奏しろよ!と顎で指示する Strong Hiは Allyを演奏し始めた すると烈は「よりちゃん!」と言った 早瀬はマイクを奪うとAllyを歌い始めた それはStrong Hiのジョージの歌い方に似せて歌い出す 烈と竜馬がコーラスを入れ歌い上げる 最初 烈は早瀬が誰もいないステージの裏で、一人でStrong Hiの歌を歌っているのを聞いて、上手いな!と想ったのが切っ掛けだった 「よりちゃん歌上手いのね!」と謂うと早瀬は驚いた顔をして 「俺の歌なんて………誰かのマネしか出来ない壊れたカセットテープ並みの歌ですから………」 と言った 早瀬頼朝と謂う男は自己肯定感が低いと思った 自分は誰かに踏みつけられても仕方ない雑草だと言った 烈は「雑草の生命力ナメたら駄目よ!雑草なら雑草なりのプライド持ちなさいよ!」と怒った程だった 自己肯定感が低い早瀬の意識を変えてやる だが意識ってのはそう簡単には変わらない だから気長に自信を持たせて実績を積ませる 「あの日 チャレンジした自分まで否定したら、今いる自分の全てを否定したも同じよ! だからよりちゃんは血反吐を吐いたとしても歩き続けないと駄目なのよ!」と謂われた 早瀬は誰に認められなくとも……飛鳥井烈が認めてくれれば………それで良い!と思った その日から何をするのも楽しくて、何事もチャレンジした ジョージは早瀬の歌を聴いて「俺 負けちゃうって!」と叫んだ 「君さ完コピ過ぎて……俺より上手く歌っちゃ〜いかんでしょうが!」とボヤく 早瀬はプロとしての魂に火が付き人差し指を曲げて挑発し、一緒に歌え!と合図する 早瀬は音程を下げてコーラスに徹すると………鳥肌が立つ位の歌に変貌を遂げる そして約束通り【誓い】を歌った 残りの曲をそんな感じで歌い切ると烈は「よりちゃん!」と合図した 「それでは対バン1日目、Strong Hiの演奏は終わりです! 明日はRODEOÑです!頑張って下さい! ご来場のお客様は気を付けてお帰り下さい!」 と司会に徹して深々と頭を下げ挨拶をする 烈は「よりちゃん お疲れ様!」と声を掛けた 「烈………俺は歌えたかな?」 「もぉ完璧だったわよ ボクとりゅーま要らなかった程にね!」と笑って言う 竜馬は「本当にね、頼朝に見せ場を取られたな! 知名度上げたんじゃないっすか?」と言う 早瀬は嬉しそうに笑っていた 控室に戻ると隼人とRODEOÑがいた 隼人は「ズルいのだ!こんなに歌が上手いなんて知らなかったのだ!」とボヤいた RODEOÑは早瀬をソファーに座らせて、どうしたら其処まで似るの?と問い掛けた 烈は「よりちゃんはね、子供の頃から完コピが得意だったのよ! 歌もボーカルのクセとかまでコピるのが出来るのは、ボクが知ってる所、よりちゃんだけなのよね!」と言う 兵藤は「こんな凄いのに…何で倭の国じゃ無名だったのよ?」と問い掛けた それに早瀬は答えなかった 烈は「よりちゃんはね自己肯定感がめちゃくそ低いのよ、それはね押さえ付けられ詰られ貶され自分には価値がないと教え込まされて来たからなのよ!」と謂う 早瀬は驚愕の瞳を烈に向けた 烈は早瀬をロックオンして呪文を唱え始めた 「親の呪縛の解放 兄弟の呪縛の解放 友人知人 早瀬を苦しめた者たちからの呪縛 傷付けられた心の解放 傷付けた言葉のナイフは吐いた本人に還れ! 今 此処に総ての解放を!」 と早瀬の額に印字を斬った 早瀬は壊れた人形みたいに 「……ぁ……ぁ……ぁ………あぁぁぁぁぁ!!!」と叫んだ 「雁字搦めの心では何も掴めはしない 雁字搦め視界では何も見れはしない お前は自分で自分を茨の鉄線で絡め取りギューギュー締め上げてるのに気づかねばならぬ!」 宗右衛門の声だった 呪文を唱えると早瀬は苦しみ藻掻き苦しんだ 烈は草薙剣を取り出すと 「その総ての柵を今 此処で断つ!」と言い早瀬を真っ二つにして斬った パリーンと何かが割れる音が部屋に響き渡った メンバーは唖然として…………え?リーダー殺人犯しちゃった??と思った 烈は草薙剣を仕舞うと「りゅーまジュース!」と言った 竜馬はジュースをコップに淹れミネラルウォーターで薄めると烈に渡した 唖然とした早瀬は息をするのも忘れていた 烈は「兵藤きゅん 息してないのよ!」とボヤいた 兵藤は早瀬の背を叩いて「ほら息しろ!」と言った 早瀬は「俺……死んでなかった?」と呟いた 烈は早瀬の瞳を射抜き「死んだわよ!」と言った 早瀬は震える手を握り締めた 「弱虫で自己肯定感が低い………過去の柵に雁字搦めになっていた早瀬頼朝は死んだわよ!」と言った 斬りつけられた感じはした 痛みこそないが、恐怖はあった 烈は「兵藤きゅんなら視えなかった?己を殺している………早瀬の姿が…………」と言った 兵藤は「あぁ……チャンスがあれば喜んで自殺しようとする奴なら腐る程視て来たさ! 早瀬はその奴等と同じ顔をしていた……… 俺も………気になってたんだけど、それにはかなり深い所まで踏み込まなきゃならねぇからな……… 動けなかったってのが現状だ!」と言った 早瀬は何かに解き放たれた想いに泣いていた 烈は「もうよりちゃんを縛り付けるモノは何も無い!でもきっと倭の国へ帰れば、よりちゃん有名になってるからさ掌返して近付く奴等なら出て来るわよ! 厚顔無恥な奴等は何処にでもいるからね!」と謂う Strong Hiのボーカルのジョージは 「あのパリーンと割れる音は……早瀬の柵を断ち斬る音だって言うの?」と問い掛けた 阿賀屋は「飛鳥井宗右衛門は呪術師としても名のある術者だ! その宗右衛門に柵を断って貰うならば最低でも一千万は払わねぇと、動いて貰えはしない それを無料で遣って貰ったんだ これからは何者にも囚われずに生きて行け!」と謂う言葉を贈った RODEOÑもStrong Hiも底知れぬ烈の力に唖然となった だがデービッドが「リーダーは憑けて来たら祓ってくれるもんな! リーダーがあかんかったら友達に頼んでくれるから、僕達は安心して活動が出来るってもんやからな!」と言う デービッドが言うと烈は笑って 「あぁ交通事故の霊憑いてた時の話ね! あれは目玉飛び出てね…………」と話し出すからイーサンが「止めてリーダー、トイレ行けなくなるぅ〜」と泣き言を言う 早瀬は憑き物が落ちた様に気が楽になり、笑っていた この日を栄えに、早瀬頼朝がスポットライトを浴びる事になる 対バン 2日目 この日はRODEOÑの番だった 隼人と一生を助っ人にして安定の歌唱力と演奏で観客を楽しませていた だがアーネストは「早瀬頼朝!俺のコピーもしやがれ!」と叫んだ 早瀬はステージ中央へと駆け付けると「何の曲?」と問い掛けた アーネストは「君が選んでくれて構わない!」と言った 早瀬は「a drop of tear」と言うと演奏が流れ歌い出した 何処を取ってもアーネストの声だった Strong Hiのジョージとアーネストの声は似てなんかいない 声質が似ているならば真似は出来るだろうが………… 早瀬の歌は完コピだった アーネストが歌い始めると、早瀬はアーネストの声に被せる様に低音パートで歌う 声のハーモニーに見ている側は鳥肌が立つ程に…………心揺さぶられていた そして見ているだけでは負けると想う隼人と一生が歌う 4人のハーモニーが誰にも創れぬ世界を創り上げる こんな感覚は初めてだった 演奏が全て終わると烈はマイクの前に立ち 「対バンを打ち出したけど、此処でどうやら消化しちゃったみたいなので、後一日残ってるからね 明日 ラストを飾る日は皆で打ち上げしましょう!と言う事でこのイベントに出てたヤツ 出たいなら明日来るのよね! 泣いても笑っても明日でこのイベントは最後だから、皆で楽しみましょう!」と告げた 観客は思わぬサプライズに歓声が上がった イベントは遺す所 1日となった その夜は疲労と前日に術を使って体力もまだ回復してなくて、食事を食べてる最中に眠りに落ちてしまい………… 一生が烈を寝かせに行った 烈を寝かせると一生はベッドの枕元に腰を下ろし、烈の髪を撫でた 「んとに…………無茶しやがるな……」 そんな所は康太にソックリで涙が出て来る 兵藤が「一生、飲もうぜって皆が!」と呼びに来ると、一生は立ち上がり電気を消した その夜はかなり盛り上がり日付変わる頃にはジュースに切り替え、明日の為に過ごした イベント最終日 控室には真矢と清四郎の姿も清家、シェリー・レイの姿もあった 宸睿(チェンルイ)もジョシュアも中村翔太、アレクセイ・アンダーソン、エリオット・高崎、ジョシュア・ミラー、クロード・ティラー、ハリー等 イベントに参加してくれた全員が顔を揃えていた RODEOÑとStrong Hiと一条隼人もいた プロの矜持を持った演者が勢揃いした 烈は「泣いても笑っても今日が最終日! ボク達の今世紀最大の喧嘩に参加してくれてありがとう! 皆は凄いプロ意識で仕事してくれたから、我等【R&R】は大きな足跡を遺すは事が出来た筈! その集大成が今日、この時始まるのよ! 皆 頑張って力一杯頑張って下さい!」と言葉を掛けた 皆 闘志を燃やし立っていた 花火一発ぶち上げて開演の時間が始まりを告げた 皆 一斉に球技場の中央を目指す そして一列に並ぶと、観客席に深々と一礼した そしてRODEOÑとStrong Hiとの演奏が始まる 交互に歌い早瀬と隼人も加わり歌う ジョシュアと宸睿(チェンルイ)も参加して歌い その迫力は観客の度肝を抜いていた…… もう………多分………こんなステージを拝める日は来ないだろう……… 観客の皆は思った この日 この時 このステージを見られる自分達はラッキーなのだと想う 出演者が入り乱れ歌い、好き好きにパフォーマンスをしながら歌の饗宴となった その練度の高さは………台本や脚本がないなんて信じられない程に………統制が取れていて観客を釘付けにしていた 真矢達 女性連中は前日に何を着るか?で話し合った 由香里が「俺も出るから皆 ドレス着ようぜ!色とりどりなドレス用意出来るから好きな色の着ろよ! あー!でも真矢は真紅のドレスなんてどうよ? 俺はずっと真矢にフラメンコ用のドレス着て欲しかったんだよ!」と謂う 清家は男性陣に入ろうとしたが…… 「清家は日本人形の格好もさせたかったんだよ!」 と好き勝手を謂われた 真矢は「フラメンコのドレス?着た事ないわね! 一度着てみるのも良いわね!」とワクワクしながら言う 清家は「僕さ男だよ?解ってる由香里?」と嘆く 「ええぃ!知ってるわ!そんな事! シェリーは白色のフリフリ着せてぇな!」 好き勝手言う由香里にシェリーは 「え?似合わないって!」と抵抗する 「お前さ自分の事知らなさ過ぎ! おめぇは可愛いんだよ! うし!皆 俺に任せておけ!」 と謂われ由香里チョイスのドレスを着ていた 烈は由香里の話を聞き 「りゅーま、マタドールの衣装って借りられるかしら?」と謂う 竜馬は「ユニバーシルスタジオのジョシュアに聞いてみるよ!」と言い話をつけに行った ジョシュアは衣装は好きな貸し出すよ!と言ってくれマタドールの衣装を貸し出してくれた 隼人は「ユニバーシルならオレ様は海賊の映画のヤツ着たいのだ!」謂う ならば我等も好きなの着たい! と男性陣は好き勝手衣装をチョイスして着ていた マタドールとフラメンコの衣装の真矢と清四郎は結構目立った 海賊の衣装を着た隼人も日本人形並みの出で立ちの清家も目立っていた 烈はそれを見て「変よ………みんな…………」とボヤいた 竜馬は「それが我等【R&R】だから仕方ないよ!」と慰めた プロジェクションマッピングにはStrong Hiの活動開始からのヒストリーが流された その次はRODEOÑのヒストリーが、参加者一人一人のヒストリーが用意され流される 中村翔太のヒストリーはまるで映画を見てるように過酷で………イジメられ虐げられ目だなく生きて来た過程を知る事になる 好きでホームレスの様な格好をしている訳では無い…………街の喧騒に飲まれ片隅に生きていたい想いがそうさせているのだと………垣間見られた 清家も華やかな歌舞伎の世界をヒストリーに上げる だが挫折や名声………重圧…………稽古場で遅くまで足袋が血に染まるまで踊る清家の姿が映し出された 清家はそんなの何時撮ったの……と唖然となる 烈は参加者を決めた時点で暦也に調査させて私生活の映像を手に入れていた それをヒストリーとして流す事に決めたのだ ハリーの生い立ちもかなり過酷で、子供の時から働き詰めで兄弟を大学まで入れて今に至るまでのヒストリーが流される 苦労人ハリーは場末のバーでマジックを披露して食いつないでいた 生活は苦しいが今 自分の為に生きている時を精一杯謳歌していた 真矢と清四郎は事故で再起不能と言われた時を流していた 切望の中、二人は手を取り耐え忍び日々を生きる そんな過酷な夫婦の愛を映し出していた この映像は母から借りた映像だった シェリー・レイのヒストリーもかなり過酷な日々だった アクションスターを目指してハリウッドに来たが、シェリー程度の俳優なら腐る程いた現実に打ちのめされた だけど何時か……華々しい舞台に立てる日を夢見て、日々バイトとたまに入るスタントの仕事をする姿が映し出された 食えない日々に………挫折しそうになり……… 朝日を見て………まだ頑張ろう………と自分を奮い立たせて頑張る姿に観客は泣いていた そして早瀬頼朝………彼の人生は………挫折のみ お笑い芸人を目指していると知ると、クラスの人間からは侮蔑の言葉と揶揄と罵声が飛ぶ お前なんか誰ひとり笑わせられない! 親でさえ………お前に才能なんてない!無駄な夢だと中学卒業と同時に家を追い出す バイトして食い繋ぎ生活に疲れ………現実に打ちのめされ踏み躙られる 心が折れそうになり………実際折れた もう辞めよう………何度も想い河川敷で泣いて朝を迎えた 早瀬はそんな自分のヒストリーを呆然と眺めていた 何故……知ってる? 何処で手に入れた?破られた教科書と……靴跡の着いた体操服……… 画鋲の入った上靴……地獄の日々を何処で手に入れた? そしてヒストリーは今の自分を映し出す 早瀬は思いっ切り自分の顔を見て笑った そして歌った 演じた 自分には………信じてみたい人がいるから……… この世に唯一人でいい 貴方が見てくれいるならば……… 歩いていける そんな想いで報いる為に仮面を着けて演じる どうだい?今日の出来は最高かい? 烈はマイクを持つと 「踏み躙られ、傷つけられても、雑草は更に強くなり頑張って生きている アスファルトを割って生きようとする雑草が軟弱な訳では無いじゃない!」と謂う 早瀬はその場に蹲り………泣いた もう立っていられない そんな早瀬を皆が立ち上がらせ抱き締めた そして離れた 「我等【R&R】は今世紀最大の喧嘩を売りました!最初はStrong Hiに喧嘩を売られ買ったのが始まりでした そして聞こえる世間の声! 【R&R】は猿芸集団じゃない!と喧嘩を売る事に決めた! どうですか?我等【R&R】は大きな足跡は残せましたか?」 客席の皆は【遺せたよ!】と叫んだ 烈はニコッと笑った 年よりも幼いその顔に…………観客は言葉をなくした リーダーは子供なのだ 解っていたが………… 誰よりも大人な対応をするリーダーを子供だと解っていても…………何処かでそれを理解していなかった 隼人は烈を抱き締めた お兄ちゃんの顔の隼人に烈は抱き着いた 竜馬がバリッと烈を引き剥がし 「リーダー、最後の声がまだだ!」と謂う 「ありがとう! 我等【R&R】はこの先も、もっと高みを目指して日々精進して行く所存です! 今後も宜しくお願い致します!」 と謂うと竜馬は「それじゃ歌舞伎の口上になっちゃうよ!」とボヤいた 「あら、そう?」 「そうだよ!リーダー!」 「なら皆でありがとう言おう!」 「だな!」 竜馬が言うと【R&R】のメンバーが集まり 【ありがとう!最高でした!】と言葉にした 烈は「よりちゃん!」と謂うと早瀬がマイクを持ち 「これを持ちまして【R&R】の今世紀最大の喧嘩を売るイベントは終幕とさせて戴きます! お越しになられた皆様には本当に感謝の気持ちで一杯です!ありがとう御座いました! お気を付けてお帰りください!」 と述べた イベントが終わると皆はホテルへと移動した 打ち上げの場を用意してあるのだ 皆 バスに乗り打ち上げ会場のホテルへと移動する ホテルの打ち上げ会場へ移動すると立食形式の場が用意させれていた 皆適当にテーブルに着きグラスにワインを注いで貰うと乾杯をした 皆 豪華な料理が用意されていて、楽しげに料理を食べながら話す が、烈の前にはヘルシーな大盛りサラダと豆腐とワカメが並べられて特別メニューとなっていた 烈は椅子を用意して貰い、それを食べる 宸睿(チェンルイ)は「……何故………そんな料理を………」と悲しげに聞いた 罰ゲームバリの料理だった 竜馬が「リーダーは若かりし頃 暴飲暴食し過ぎて食事制限されているんだよ!」と謂う 真矢は「もっと元気で生んで上げれば良かったわね………」と悲しげに謂う 「ばぁたん………ボクは少しだけ人より皮膚が弱くて虚弱だけど、それもボクだと納得してるから大丈夫よ!」 「だって烈、私が高齢出産で栄養が行き届かなかったのが原因だもの………」 その場にいた皆は固まった 何?その会話………… 清家は「あぁ………そっか……烈も真矢さんが産んだお子さんの一人なのか?」と呟いた 真矢が康太の為に産んだ子は太陽と大空だけだと思っていた シェリーは「え?………祖母なのに………実母だと謂うの?」と思わず呟いた 烈は「ばぁたん、そんな事気にしなくて大丈夫よ!それより美味しいの沢山あるのよ! 今日は明日の体重気にせずに食べるのよ!」と謂う 清四郎は「烈、顔の傷は治ったんだね、良かった……」と謂う 「そうなのよ!じぃたん聞いてよ! 始球式………ボクね顔………絆創膏だらけだったにょよ!」 「私も………それは見たよ………だから心配だったんだよ」 「もぉね絆創膏だらけの顔で全米に顔を売ったなんて屈辱よ!」 清四郎は烈の頭を撫でた 隼人は烈の山盛りのサラダを食べてやる そして豆腐を摘み「アメリカに豆腐があるのが不思議なのだ!」と謂う 一生が「それは俺が大豆を買って来て作ったからあるんだよ!」とボヤいた 「一生が作ったのか?豆腐??」 器用な男だと想っていたが…………大豆から豆腐作っちゃうのね………と思った 阿賀屋の為に焼き肉も作っといたのだった 阿賀屋は美味い!美味い!と食べていた ホテルの料理より一生の料理を美味いと謂う阿賀屋だった………… 烈は「シェリー、後でボクの部屋においでね!」と謂う シェリーは警戒して「私に話があるのですか?」と問い掛けた 「大丈夫よ、ボクの部屋は竜馬がいるし真央たんいるしカズもいるから二人きりじゃないのよ! しかもボク、演者に手を出す趣味はないのよ! 今世は大恋愛する予定だからね、愛する人と犯る以外は素人には手を出さない主義なのよ!」 子供なのに………何と言う良い草………… 烈は忙しそうに皆と話をしていた 皆 また【R&R】がイベントするならば呼んで下さい!と言葉にした ノーギャラでも、呼んで貰えるならば出たいと謂う 烈は「アーネスト、イギリスまでStrong Hi連れて行って凱旋コンサートしたら? そしてアメリカでも饗宴でコンサート開く 縁は結ばれたからね、2つのグループは切磋琢磨して駆けて行くと良いのよ!」と謂う アーネストもジョージも「「それは良い!!」」と燃えて事務所に話すと謂う 中村翔太は無名だから事務所を持たないと謂う 烈は神野達 三社共同事務所はエージェント会社として立ち上げて、そんな人達と契約したら?と謂う ならば、とアレクセイ・アンダーソン、ジョシュア・ミラー、ハリー、クロード・テラー、シェリー・レイ、エリオット・高崎もエージェント契約したいと申し出た イギリスやアメリカ、倭の国の芸能事務所との提携の話も決まった どんどんタレントを抱え忙しくなり、嬉しい悲鳴を上げていた 話は尽きなくて、打ち上げを終えてもホテルの部屋へ移動して話はつきなかった 今世紀最大の喧嘩を売るイベントは幕を下ろした   大きな足跡を遺せたかは………      先へ進まないと解らない        だから我等は歩き出す           【R&R】メンバー 一同

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