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第95話 魔界大集会

閻魔は閻魔庁の前の偽物の女神像を撤去させた 撤去させた女神像は廃棄して、大歳神が土と混ぜ合わせ分解レベルまで壊す予定だったが 建御雷神が「壊したくはないな………妻の姿を形どった像を………壊すのは辛すぎる……壊す位ならば、儂に貰えぬか?」と申し入れした 烈は「良いわ、この女神像は、たけちゃんにあけるわ!」と言って建御雷神にプレゼントした 九曜神は「ならば我はこんな雑な女神像は許せぬから、直してやろう!」と言ってくれた そして、九曜神が手直しされた女神像は綺麗に輝き、魂を入れられ再生された後、建御雷神の温泉の入口に飾られる事になった 九曜神は新しい結晶の塊を渡されて、女神像の作成を始めていた かなり濃度の高い創世記の雫でレイ自ら作りに行った結晶だったから、九曜神は作るのに梃子摺ったと言う 「兎に角固くて……烈がタングステンでノミとヤスリを作ってくれねば創れはしなかった!」とボヤいた その苦労した女神像を、魂が穢れていない黒龍、地龍、雅龍、金龍、そして赤龍とで烈考案の器具を使い設置する 設置台に乗せる時、烈は更に強固なコンクリートを用意して設置させた もう二度と動かない様に設置した後、烈は閻魔からからなり絞り上げた雷電結界を張った 東西南北 四神の力も分け与えさせ釘に力を込めさせ閻魔庁を護る結界も張る 総てが整うとレイは女神像から創世記の泉の水を噴霧させ飛ばした 女神像から絶え間なく水が溢れ、霧状に噴霧される 閻魔庁へ入る前に女神像から受ける創世記の泉の水で闇に染まった者を選別させる 女神像は蒼く輝いて神秘的な雰囲気で、閻魔庁のシンボルとなっていた 魔界大集会は女神像が設置された夜開かれる事になった 其れまでに烈は畑に野菜や果物を植える そしてクロスと話していた新作も、新作スペースに植えた クロスは「今度のはどんな出来ですかね?」と喜んでいた 市場はまだまだ野菜は流通していなかった 工場は再稼働したが………誰も通っては来ていなかった あの暴動騒ぎに出て聖神に石を投げ、木刀出殴り掛かった記憶があるからだ………… そんな自分達が今更…………働ける筈なんてない……… 魔界の住人の心にも大きな爪痕を遺していた 記憶はある だけど、それは自分の意志ではなかった 意思ではなかったと言っても暴動に加担したのは自分達なのだ 魔界の為に身を挺して動いていた聖神を見て来たのに……… 利益は一切受け取らず、次から次へと魔界の為にアイデアを生み出してくれている 今 こんなに豊かに生活出来るのは聖神のお陰なのに………… 石を投げ暴力を奮って詰り罵声を浴びせた 理不尽で理屈が通ってない難癖だ……… それが解っているから魔族の住民達は動く事さえ出来ずにいた そんな時 魔界大集会が開かれる事が決まった 魔界大法廷ではなく、大集会だと謂うから住民達は驚いていた 閻魔が放送鳥を使い住民達に【必ずや出席しなさい!でなくば………魔界追放しちゃいますからね!」と少し脅しつつ話す 放送し告知が終わると閻魔は畑に出向き烈に会いに向かった 「烈!放送は告げました!」 閻魔が謂うと烈は「なら今夜ね!それよりえんちゃん、ボクが魔界にいる間にカフェのメニュー考えるわよ! 食堂を脅かさないメニューにしないと、何方かが消えちゃうからね 食堂は料理を楽しみ、カフェは飲み物を楽しむ その境界線は必要かもね!」と謂う 「そうですね、カフェが料理を出すと噂しただけで、食堂の売り上げ落ちましたからね!」 「デカチゴとデカメロンとデカボはもう市場には流さないわ!」 「え?どうしてですか?」 「だってスィーツに使うから流通させたら足らなくなるわよ!」 「スィーツですか?」 「地獄界から雷魚貰ったでしょ? あの養殖も成功しそうだし、魔界からデカチゴの苗渡したから向こうも株を増やしたりして成功してるからね その時 乳牛何頭か貰ったじゃない! あの乳牛も増えてるのよね 魔界の牛獣と繁殖させ数を増やしてるから、乳製品が採れる様になったのよ! それでスィーツ出来るのよ! 何人か黒ちゃんの学校の調理科の子を使い試作品作るわ!」 「烈…………」 「じぃさんが雷魚で煮付け作るからさ、おばちゃん達にも教えて貰わなきゃ! 食堂ならではのメニューで魔界の食を支え続けて貰わないとならないのよ! そしてカフェはそんな魔族の憩いの場になれば良いと想いお洒落なカフェを作ったのよ! お手頃な食堂、お洒落なカフェは少し高値でバランスを取るのよ!」 「カフェは少し高値なら、本当にたまに楽しむ憩いの場になりますね!」 「それが狙いなのよ! 母しゃんが作ったデパートも何時の間にか飽きられて見向きもされなくなったから、取り壊したでしょ?慣れちゃうとね、皆当たり前に思っちゃうのよ!当たり前の事なんて何一つないのにね」 「ですね……」 「えんちゃん、今日は夕飯早く食べるわよ!」 「解ってます!」 「ボクとレイたんとクロスは農作業の服で出るから!無論、じぃさんも農作業の服のまま出るわ! 我等は特別な存在なんかじゃない! そうでしょ?」 「ですね、ならば私も烈の畑を何時もみたいに手伝い、そのままの服で出ます!」 「あら、えんちゃん、それは良いわね! 閻魔大魔王として君臨するのも必要だけど、皆と同じ方向を向いていると知らせるのも閻魔の務めだものね!」 「烈、このスペースに植えられてるの新作ですか?」 「そーなのよ!ボクがアメリカに行く前にクロスと掛け合わせてたのよ、今度来た時に植えようね!って話していたのなのよ!」 「それは楽しみです、凄く甘い花が咲くのですね!」 「そうなのよ、その落ちた花は加工してお部屋の香水として出荷したいのよ!」 「それは喜ばれます!」 夕方まで畑で作業して、早めに夕飯を食べて世界樹の広間へと向かう 其処には一生が既に来ていた 「カズ!」と烈が近寄ると、一生は「烈、お疲れ!」と声を掛けてくれた 「カズはご飯食べたの?」 「俺等は此処でずっと舞台作っていたから未だだな!」 「なら大集会終わったら、じぃさんに作って貰わなきゃね!」 烈が言うと素戔嗚尊は「ならば今夜はやっと出荷出来そうな雷魚の煮付けとするか! 烈、あの雷魚は使い道があって貰い受けたのか? やはりあの触覚みたいなので雷でも使うのか?」と問い掛けた 地獄界の雷魚はアンコウとナマズを足して二で割った様な姿をしていた そしてマンボウよりデカく身が詰まっている魚だった 敵となる魚には触覚から弱い雷を放ち、生存競争を生き抜いた魚だと言う 烈は笑って「違うわよ!じぃさん魚食べたがっていたでしょ? でも魔界にはピラニアみたいな凶暴で身のない魚しかいないじゃない! だなら身のある魚を貰いたかったのよ!」と言う 素戔嗚尊は孫の想いが嬉しくて、烈を抱き締めた 「じぃさん、養殖成功したから、今後は安定した魚の供給が見込めるから、食堂のおばちゃんに煮付けのレシピを伝授してね! 此れで食堂も肉と魚のメニューが揃うからね 牛獣のゾーンと鳥獣のゾーン、ブタ獣の牧場を作って更に酪農を繁栄させないとね!」 「そうじゃな、魔族も数を増やしておるからな……」 「さぁ夜の大集会の後のちゃんこ鍋を作らなきゃね!鬼ちゃん達に作らせた大鍋運ばせた?」 「あぁ黒龍と赤龍兄弟と鬼達で運び込ませた所だ!」 「なら料理ね!とーさん!出番よ!」と言う 大歳神は既にスタンバイしてクマ獣を捌いて細切れにしてアク抜きしていた レイが鍋に水を注ぐと大歳神が調味料を放り込む クロウ兄弟が野菜を放り込み煮込む すると美味しい匂いが漂った 烈はマイクの前に立つと放送鳥が四方に散った 「今夜の魔界大集会には全員参加で出席を取ります!出ない理由が死にそう、以外は受け付けないから! そしてその時、どんぶりを持って来るのよ! どんぶりと箸かスプーンを必ずや本人持参で来るように!」 と放送した その放送は放送鳥が各地に飛んで広げ、魔界全土に告知される事になった 烈はどんぶりにちゃんこ鍋を注ぐと、アル君に乗り今も尚、誰も踏み込めぬ禁足地へと出向いた 慰霊塔の前にちゃんこ鍋を入れたどんぶりを置く 烈は魔界に来ると禁足地に足を運び、霊と対話していた 広大な土地の禁足地は今、素戔嗚尊の努力により、かなり狭められて来たが、やはり今も尚………踏み込めぬ地域は在るのだった 「ねぇ、今夜は魔界の大集会があるのよ 本当に愚かな奴等はなくならないわね……… でも約束するわ、絶対に魔界は曲がらない! 天界も間違った道へは逝かせない! でなくば、貴方達が血を流し闘った意味が無くなるじゃない……… 少しでも心穏やかになれたならば、転生の道を辿って下さい! その手助けならばするから…………」 烈の言葉が血を流し諍い合う者達の心に響く 烈は慰霊塔の前に綺麗な花を置くと 「この花は天界に咲く花よ 天界は今、花が咲き乱れる美しい世界になったわ 貴方達も天界をその目で見られる日が来る事を祈ってるわ!」 と言いその場を離れた まだまだ広大な土地は禁足地として封鎖されていた……… 今も尚、死した戦士は誇りに懸けて闘うのだ…… 烈が世界樹の広間に戻ると、魔族達が集まって来ていた 皆名簿で出席を取り、その場に立ち始まるのを待つ 閻魔は「烈、歩けない年寄り以外は全員参加しています!」と告げた 「なら少し早いけどやりましょうか?」 「ですね、では壇上にお願いします!」 烈はレイに手を伸ばすと、レイは烈の手を取った そしてクーとトキと共に壇上に上がる だが……何も話さなかった 黒龍は「やっぱあの子は炎帝の子だよ!」とボヤいた 閻魔はどう動いて良いか?思案していた 烈は何も言わず住民を見ていた 住民の一人が「我等は許されない事をしました!」と切り出した すると住民達は「許して下さい……とは言えません 口汚く貴方を罵り暴力をふるったのは我等なんですから!」と泣きながら訴えた 烈は未だに顔には絆創膏が貼ってあったし、頭の傷はもっと深くて治ってなかった 未だに満身創痍な烈を見れば……… 許して貰えるなんて思ってはいなかった 魔族は示し合わせたみたいに土下座した 烈は「土下座は謝罪に値しないわ!ボクは貴方達を牛耳りたい訳じゃないからね!」と言った 「ならば……どうやったら貴方に謝罪出来るのですか?」 皆立ち上がり、乞う様に口にする 「ボクは直ぐには許さない そうでしょ? なら貴方達は暴力振るわれて怪我までしたのに、『ゴメン!』と謂われて許せるのかしら?」 そんな事言われれば………何も言えない 許せる訳ないのだ 自分ならば絶対に許さない! それで人には許してもらおうなんて烏滸がましい… 皆項垂れて…………何も言えなくなった 「直ぐには許さないけど、今後の皆の働きで決めるわ! 今、此処で襲撃されたら間違いなく全滅よ? グダグダ言う暇があるなるならば、働きなさい! そして鍛え上げなさい! 闘えねば魔界にいても一番先に即死よ! 己の命を護れないヤツが、何を言っても信用なんて出来ないわ! 許されたいならば行動で見せてよ!」 魔族は信じられない顔をして………固まっていた 「返事は?」 と烈に言われると【はい!】と返した 「今回貴方達は意識はあれども、体を乗っ取られたみたいな感じでしょ? あれは集団心理を上手く使い、謂わば洗脳みたいに貴方達を誘導したのよ 心に些細な綻びや不満が有れば、簡単に貴方達は誘導され暴徒と化すのよ! それはね、総ては貴方達の未熟な心がいけないのね!修行が足らないわ! ねぇ、金ちゃん、黒ちゃん、貴方達さ、何を鍛え上げていたのかしら? こんなだらし無い輩を作っていたのかしら? 龍族相談役、龍族長である貴方達はこの魔界の武術の底上げを頼んだんだけど、出来てなかったのね!こんなに簡単に操られたりして……情けない!」 烈の言葉に金龍と黒龍はクシュンとなった 一生は「すまない!今後は俺も兄貴に協力しこんな不甲斐ない事はさせねぇから、許してやってくれねぇか!」と申し入れした 黒龍は「あ、ちょっ……お前!バカ……」と慌てたが 烈はニコッと可愛く笑うと 「あら、そう、赤いのが頑張ってくれてるのね! 皆 聞いたかしら?赤いのが魔界の為に尽力してくれるそうよ!」と言う 一生はタラーンとなった 「閻魔大魔王様、今後の魔界の発展に尽力して貰えるそうよ! ならば益々龍族には頑張って貰わなきゃね! 神属もそうでない者達も一丸となり頑張ってくれるから、底上げお願いね!」 烈が言うと閻魔はご機嫌で 「赤龍が今回の件は背負ってくれ聖神は溜飲を下げられた 許しはせぬが、今後の皆を見て決めると申されているのだから、皆は今後はより一層精進して励んで下さい!」と締めた 魔族は「我々は………また働きに出て良いのですか?」と問い掛けた 閻魔は「赤龍!」と言うと一生はヤケクソで 「お前等、より一層頑張らねぇと俺がケツを蹴り上げに行くからな! 底上げしろ!と命じられたんだ! チクショー!俺の為に頑張らなかったら許さねぇんだからな!」と叫んだ 建御雷神と素戔嗚尊と金龍は丸く収まって安堵していた 烈は「じぃさん!」と言うと素戔嗚尊は 「聖神が皆の為に炊き出しをしてくれた 明日から徐々に市場には野菜や果物が出荷されるであろう! 皆も働きに出て生産量を上げなさい! さぁ持参したどんぶりに注ぐ故、並びなさい!」 と告げた 住民達はその為のどんぶりと箸かホークだったのか!と喜び並んだ 地龍と雅龍は自由に歩けないお年寄りの世帯に、ちゃんこ鍋を配って歩いた 魔界の元人間だった存在の命は永遠ではない 年老いて命尽きたら消滅する 其れまでは人の世の老人みたいに年老いて行くのだ そんな老人のお宅に差し入れを配る そして皆で炊き出しを食べる 市場がストップしていただけあって住民達はロクなモノ食べていなくて、皆喜んで食べていた 鍋がカラになるのはあっという間だった 皆 腹を満たし、明日から頑張ると口々に告げて帰宅して行った 閻魔は「あれで良かったのですか?」と問い掛けた 「アレしか手打ちの仕方も解らない住民に何を求めるのよ?」 と烈は言った 確かにそうだけど……… 「でもボクは許してないからね 許しを請う為に日々頑張って貰わなきゃね!」 烈が言うと一生は「俺を使いやって!」とボヤいた 「だって赤いのは魔界の役に立ちたかったんでしょ?龍族の長の為に骨身を削るには、あの演出が一番無難だったのよ! 赤いのは魔界でもムードメーカーだもんね! その調子で魔族の底上げ頼むわね! って事でカズも神の道、契約しておいでよ! それでちょくちょく魔界へ顔を出すのよ! 総てを黒ちゃんに背負わしたら許さないわよ! 龍族の長の顔なんて滅多と拝めなくても良いのよ その分カズが頑張って支えて上げて! それが赤いのが魔界へ還って次代に誇れる姿となるから!」 次代の赤龍に誇りたいなら、今頑張れ!と言われたも同然だった 烈は笑って「えんちゃん、雷魚の煮付け、じぃさん作ってくれるって!」と言い走って行く 閻魔は「それは初めて口にしますね!楽しみです!」とレイを抱き上げて烈と仲良く去って行く 唖然としていたら烈は何処にもいなくなった 「んとに……此処まで炎帝ソックリかよ!」とボヤいた 黒龍は「止めたのに、お前が烈の思惑通りになっただけだろ?」と呆れて言う 一生は「まさか担ぎ出され矢面に立たされるなんて、あの時点では考えもしてなかった!」とボヤいた 「まぁ烈だから仕方ない、諦めよ!」 「んとにな、あんなに似なくても良いのによぉ!」 「だな、俺は炎帝といるみたいでハラハラ・ドキドキ止まらないのな……… しかもちゃんと見定めて担ぎ出す手腕は炎帝以上だからな……… 弟の冷徹さと炎帝の行動力足して二で割ったお子様は最強だな……」 黒龍がボヤくとトキが黒龍を嘴で突っ突いた 「早く素戔嗚の所へ行き手伝わねぇと夕飯食えねぇぞ!」 忠告すると黒龍は「大変だ!」と言い愛馬を呼び寄せ駆け付けた 素戔嗚尊の屋敷の縁側では、直径1メートルは在るであろう緑と濃い緑のストライプの入った見覚えがある果物が何個も置かれていた その縁側に座り烈が天照大御神といた レイとクーもいて仲良く話していた 「あまちゃん、デカスイカって言うのよ! 此れが新作なのよ、新作は二種類あってね はい、あまちゃん、部屋に置くと良い匂いがするわよ!」と花弁を模った置物を手渡した 天照大御神はそれを受け取り 「此れは甘い良い匂いがするわいな!」と喜んだ 「まだ試作品だから、使った感想をクロスにお願いね!」と言う 天照大御神は「承知した!烈の手助けになるならば、細かい事まで気を付けて報告するわいな!」と約束してくれた 仲の良い二人を見ていると烈は黒龍に気付いた 「あ、黒ちゃん、このデカスイカを二人で切って欲しいのよ!」と頼んだ 二人がかりで切るスイカって……… と思っていると素戔嗚尊が1メートルは余裕である長い包丁を持って来た 「黒いの此れで切るとよいぞ!」と言う 黒龍は「此れは何だよ?」と思わず聞くと 「烈がタングステンとか言うので作らせた包丁じゃよ!」と答えた 一生は「え?タングステンで包丁作ったのか?」とボヤいた 烈は「魔界の鬼ちゃん達はかなり増えたからね! 若い力のある次世代の鬼ちゃん達を、Hellへ修行に行かせドワーフに鍛冶の技術を叩き込んで貰ったのよ! 鍛冶専門の技術を学び、帰国した鬼ちゃん達は次世代にその技術を教えて行く! 魔界が発展するならば、鍛冶の技術がなければ武器さえヤワなモノしか作れないからね 桜の里の子達も増えて魔界に来て仕事をする様になったし、鬼ちゃん達の子も増えて死者の仕事していたけど、其処は人手が余ってて要らないからね、考えないとならなかったのよ 鬼が増えて、職にあぶれてる状況は勿体ないからね!ちゃんと職につかせ腕を磨かせた タングステンもダイヤも豊富にあるから武器を作る職人がいれば、立ち向かえない事もないのよ だからこその魔界大集会だったのよ! 意識を変えないと、この先何かあれば真っ先に死ぬ事になるからね シェルターに入れるのはお年寄りと子供のみ! ならば後は闘うしかないのよ!」と現実を口にする 一生は「そんな日が来ると言うのか?」と問い掛けた 「そんなに遠くない時に魔界はまた多くの血を流す事になるわ だからこそ、もう一方的に蹂躙されない為にも、闘える者が必要なのよ! 己の命は己で護らねば誰も護ってくれないのよ! ならば赤いのに聞くけど、自分が闘っている最中に殺されかけてる子を見付けたら………どうする? その子を助ける?辺りを見渡したら、どんどんバタバタ倒れて息絶えて逝くのよ? 自分も死にそうなのに助けられるの?」 エゲツ無いキツい事を突き付けられ………一生は返す言葉がなかった 「七賢人八賢者が何故桃源郷へ移ったか? 考えた事あるかしら? …………時はそんなに猶予がないと言う事よ!」 現実を突き付けられ、それ程に切迫した状況なのだと知る………… 「それでも………俺は手の届く範囲の者は助けたい………」 赤龍の本音だった 「だからこそよ!赤いの! 我が子に弱って疲弊した世界を継がせたくないでしょ? ならば此処で踏ん張りなさい! その意識が明日へと赤いのを導いてくれるから!」 「烈ぅ………俺は………お前もレイも護りたい……… 俺の目の前で傷付いて欲しくなんかねぇんだよ」 「ならば守ってよ!カズ! 貴方は底知れぬ俊敏さを秘めて、皆を動かす行動力と説得力があるのよ! 今後、黒ちゃんより目立ち龍族を引っ張る役目を持つのよ! 長はそんな人材を使い一族の上にいれば良い! それが長と言う存在なのよ! いざと言う時に長として出向き正す、それ以外は皆と共に汗を流し切磋琢磨して逝くのよ!」 黒龍は烈を抱き締めた 烈は「さぁ宴会の準備よ!黒ちゃん! 今日はね妖精達も宴会に来てくれるのよ! 一時期魔界から妖精が消えたけど、また妖精は戻って来てくれた 妖精団地に住民が戻って来たとクロスは喜んでいたのよ!」と言う 黒龍は慣れたモノで 「おっ!ならば縁側にお酒を料理を置いとかねぇとな!」と言ってくれた 烈は縁側でチクチク洋裁を始めていた 黒龍と一生はビニールみたいな敷物を縁側に敷くと、デカスイカを置いて二人で大きな包丁を使い、切り分け始めた 流石タングステンで作られた包丁だった 大雑把に四等分にすると、普通サイズの包丁を持って来て切り分けると、お布団サイズのお皿を出すと 「何!このお皿!」と驚いていた 大歳神が「その皿は親父殿が山の手入れをして、朽ちそうな木を切り皿にしたんだよ! 普段は立て掛けてあるけど大きなの乗せる時は出して使ってるんだよ!」と言った 大きなお布団サイズの木の皿にデカスイカを切り分けて並べた 一生と黒龍は余った端っこを食べて味見した 二人は「「美味しい!」」と言った 烈は「もう半分にして切り分けてね!」と言う それだけ人が集まると言う事なのだろう 客間には弥勒もいた もう既に酔っ払って建御雷神や釈迦と仲良く飲んでいた デカスイカを切り終えると、小さなお皿に小分けに並べてテーブルに置いた 縁側にも置いてやると妖精がデカスイカを食べに来ていた 甘い果汁を啜り、喜んで飛んでいた 烈は只管、宇迦之御魂神と共にチクチクと洋裁をする 黒龍は「何を縫ってるんだよ?」と尋ねた 烈は「夏の内にあまちゃんや、じぃさんやとーさん、えんちゃんや黒ちゃん金ちゃん達のマフラーを作ってるのよ!うーちゃんが手伝ってくれるから、うーちゃんは特別フサフサのマフラーにするのよ!」と言い縫う レイはデカスイカを食べてお口を真っ赤にしていた 烈は「黒ちゃん、コップにデカスイカ絞ってみてくれない?」と言う 黒龍は器を取りに行きデカスイカを絞って、コップに移した 「それ飲ますに置いておいてね! 少し経って味がどれだけ劣化するか? 教えてね!」 黒龍は絞った果汁を入れたコップをテーブルの上に置いた そして1時間位経つと、黒龍に「黒ちゃん飲んでみて!」と言った 黒龍はデカスイカジュースを飲んだ 「うん!美味いぞ!」と言うと一生や大歳神、建御雷神、閻魔までもが飲んで味見をしてみた 閻魔は「時間が経った方が甘みが増しますね?」と言う 烈は「明日、何種類かのジュース作ってみるわね!美味しければカフェのレシピに入れても良いかも!ボク、カフェのメニューだけ考案して帰りたいのよね!」と言う 黒龍は「学校の奴ら、めちゃくそ喜んでいたからな、頑張ってお前の希望に近付けてくれる筈だ あ、それとお前が希望した畜産科、あれは学校でじゃなく、専門課程が多いから希望者を募り教えた方が良いと想うんだよ! 地龍が責任者となり、今、鬼達やおばちゃん達を試験的に導入して働かせているから!」と経過報告をする 「畜産業はやはり学校の教育課程では難しいのね まぁボクは畜産動物の繁栄と世話さえしてくれたら問題ないわ! でもねブタ獣とか牛獣とかは食べる用のお肉にもなっちゃうからね、世話して食べるのに抵抗ある子も出て来るのよ……」 「畜産業と言う事で家畜の生産量も理解したヤツを雇用するしかない 牛乳を絞るにしても、まだまだ下手だからな、練習中だ!」 「少しすつよ黒ちゃん!」 「だな、まだまだ険しい道程だわ!」 「そーね」 宇迦之御魂神が「捌き方、私でよければ教えましょうか? 捌いて、即座に血抜きしないと臭みが抜けないので、そう言う知識ないと商品にならないかも知れませんね!」とアドバイスする 黒龍は「良いのか?宇迦之御魂神!」と聞く 「その名長いので、うーちゃんで良いです! その代わり黒ちゃんと呼びますね!」 まさかこんなに宇迦之御魂神がフレンドリーな奴だとは思ってもいなかった! 黒龍はご機嫌で「宜しくうーちゃん!俺は黒ちゃんで良いぞ!」とフレンドリーにご挨拶した 黒龍は宇迦之御魂神に獣の捌き方のコツを教えて貰っていた 黒龍には知らない事ばかりで、驚きの連続だった 黒龍は「俺等は市場で売ってるのしか買わないし、市場が出来る前は自給自足だったからな 飛来クラゲとか良く食ってたな もっぱら焼いてばかりで食べてた気がする もうあの頃の食生活に戻れと言われても、戻りたくないな!」と昔を振り返り言う 宇迦之御魂神は「私は………父者が飛来クラゲの毒も抜かずによく食べていたので………何度ぶっ倒れて死にそうになり………寝込んた事でしょう…… それが今じゃ魔界一料理上手だなんて………納得し難いです!」とボヤく 黒龍はその噂は聞いていたから爆笑した 素戔嗚尊は雷魚の煮付けを皆に披露していた 建御雷神は「何じゃ!この身のプリプリの魚は!!」と感激しまくりだった 天照大御神も「だわな、本当に美味しいではないか!」と舌鼓を打つ レイは真っ赤なお口で「れちゅ!」と来るから、黒龍がタオルを濡らして来て、お口を拭いてやった 烈は「あ、黒ちゃん、近い内に地獄界に視察に行きましょうね! 龍族の長としてのご挨拶しないとね!その時、黒ちゃんの止まった運命が動き出すから、心して逝くのよ!」と言った 黒龍は顔を引き締め 「その話は閻魔の方からも聞いた 俺の運命?………それは何なんだよ?」と問う 「長になった時、黒ちゃんの運命が変わりつつあるのよ! もう母しゃんが視ていた果てじゃなくなった! と言う事よ! だからさ黒ちゃんは自分を信じて誠実に振る舞うのよ! そしたら運命は自ずと黒ちゃんの味方をしてくれるから!」 「烈…………」 「羅刹天と、元始天尊たっての希望で地獄界へのご招待だからね 龍族 若き長の教育係のボクの導く果てに立ってね!黒ちゃん」 「あぁ、烈の導きし果てに立てる様に努力するよ!」 と約束した 烈は笑っていた 一生はただの視察だけじゃない事を感じていた それは閻魔や建御雷神、素戔嗚尊も承知の事なのだろうから、何か言う事を止めた 龍族の運命が変わり始めていた 聖神が導く正しい公平な世界へと変わりつつ在った 一生も赤龍として龍族の区画を貰い受けたから、帰還した時に住む家を建て始めた 家の資金は魔界で仕事をする事にして給料を出して貰い、魔界銭と魔界札で支払う事にして労力の対価をローンで建てる事にした 毎月、魔界に来て仕事をすると約束して建てたのだった どの道、魔界で仕事しなきゃならないのだ 大歳神は「赤いの、帰りは儂と共に帰るがよい! そしたら黄泉の道の許可を取り付けてやろう!」と言ってくれた 烈はニコニコしていた 神の道の許可を貰い受けた者しか解らぬ………恐怖を一生は知らなかった 閻魔は「その時私も一度人の世に行って炎帝に噺家あるので、同行させて下さい!」と申し出る 大歳神は「あぁ構わぬ、閻魔!ならば共に行くとするか!」と喜んていた その夜の宴会は盛り上がり……酔っ払いをゴロゴロ作り………夜が明けた 翌朝から烈は精力的に動いた 魔界学校の調理科の子達を使い、幾つかの試作品を作る 大きな鉄のボールにゼンマイ式の泡だて器を烈が考案し、慣れる為に調理科の子達には使わせていた 魔界牧場には大ニワトリも繁殖に成功させ、安定した卵も手に入る様になった もっぱらスィーツに使われるしかないが、もっと繁殖したら一般の流通も可能となる 大ニワトリの卵はダチョウの卵より大きくて、金槌で割って殻を取り除き、卵黄と卵白と分けてメレンゲを作る チョットしたクッキー程度ならば、小麦粉に近い粉も手に入るから出来ない事もなかった 乳牛の生乳とブランデーと砂糖で生クリームを作り、アイスも作る それをデカメロンを絞ったジュースの上や、デカチゴのジュースの上に乗せて果物を乗せ彩る 試食には閻魔、黒龍、建御雷神、天照大御神、宇迦之御魂神、一生が加わり評価を述べる 弥勒はただ単に食べに来ただけだった 綺麗なプレートの上に小さなクッキーとジュースを乗せて味見をして貰う 閻魔は「此れを幾らで販売するのですか?」と問い掛けた 烈は「閻魔庁や一般の庁舎等の新卒の初任給が16魔界札だから500魔界銭で売りたいわね!」と言う 建御雷神は「食堂の料理は高いのでも500魔界銭だから、飲み物だけでだと少し割高だな!」と呟く 閻魔は烈との話し合いを皆に伝えた 食堂を圧迫させない為に線引きを考えてカフェの料金は高め、食堂は安めとする話をした 「あぁ、そう言う事か! でもこのクォリティーで500魔界銭は妥当と言う訳か!」 と納得 烈は「珈琲に似た豆が育ったから、大量生産目指しているのよ! それが可能になったら魔界珈琲が300魔界銭で飲めるようにするわ! そしたら仕事終わりとか、気軽に飲めるからね」と今後の展開も口にする 調理科の子が皆に珈琲を配る 皆 それを飲み【此れは美味しいし、落ち着く!】と絶賛した 魔界学校、調理科の卒業生がカフェの従業員となり働く事になっていた 黒龍は生徒達を送り出し、就職先がある事がとても嬉しかった 卒業生たっての希望で食堂でも働く事が決まっていた 今 魔界学校は卒業したら仕事が約束されている!と希望者が殺到して、もう親のない子とかの避難施設ではなくなって来ていた Hellで鍛冶の技術を学んだ子達が、学校の講師になりその技術を伝授していた 変わりつつ在る魔界に、適応する様に、魔族達も努力を重ね、生きる術を学ぼうとしていた 烈考案のレシピはどれも絶賛で、全てをメニューにして閻魔庁の前のカフェが始動した 黒龍は魔界に酪農畜産学校を開いた 酪農と畜産の専門課程を学び牧場の飼育をし、そして交尾をさせ数を増やして管理させて行く その講師に宇迦之御魂神がなる事になった 雷魚の養殖は地龍が管理者となり管理していた 毎日が忙しい龍族だった それに神属も力を合わせて、今は管理していた 神属も魔界の為にならねば切られる そんな状況に種族も何もかも忘れて力を合わせようとしていた まぁ少数派の神属はそんな低俗な事に与して…… と良く思っていない輩もいる そんな者は魔界銭も魔界札も手に入らない様にした 仕事した対価として払う給料を貰い、魔界の住人は生活をしているのだ 神だからと、龍だからと、君臨して何もせずに食べられはしないのだ そうなると畑を荒らそうとしたり、市場でモノを強奪したりする輩は必ずや出た そんな時の為に自警団を作り、何かあれば必ずや自警団が法務庁にソイツ等を突き出す様にした 自警団を結成した目的は秩序と規律を護る為 その為に金龍と黒龍が腕の立つ猛者で結成した自警団が役に立った 徹底的な戦略に反発していた者も白旗を上げるしかなかった そうして一応表面上は、平穏な魔界は取り繕われていた 活気に満ちた市場はまた取り戻されて来た 働きに出られる様になった主婦達は喜んで働き、生産力を上げた 烈はそんな戻って来た日常に 「もっと倍速で底上げしないと駄目な時期が来てるのよ……… 日常が戻った?それで終わりでは困るのよ その日常を維持する為には、努力の積み重ねしかないのよ えんちゃん……とうの昔に変革期には突入してるのよ………」と言う 「解ってます! 金龍と黒龍には更なる底上げをして貰わねばなりませんね! 大歳神は帰還した時に、その話は炎帝にもして来ました 今後は法の是正が主軸となるので、烈がGOサインを出すならば魔界へ来てその話がしたいと伝えておきました!」 「カズは神の道の契約は出来たの?」 「はい!大歳神が赤龍を引き摺り神の道の契約をさせました! まぁ神の道を知らぬ赤龍は髑髏の道に腰を抜かしそうになってましたがね……… 此れからは、こまめに彼は来て、皆を活気付かせてくれるでしょう!楽しみです!」 「赤龍と言う男はね皆の中心にいて、皆を湧き上がらせる力を持つのよ! それを今までは炎帝の為にしか生かされなかった 今後は龍族の為に、果ては魔界の礎になる為に頑張って貰わないとね!」 「承知しました! 処で…………働かぬ存在はどうしましょうか?」 「黙ってても大丈夫よ、そのうち朽ち果てて消えてなくなるから!」 「え?それは…………」 「えんちゃん、此処が分岐点で分かれ道となるのよ!魔界は創世記の霧を浴びて【約束】を無理やり結ばれてしまったのよ! 炎帝が言わなかった? あの霧に当たれば違えた者は砂になり消えてなくなると………その約束は今も生きてるのよ! 魔界の為に働けない者は消えて無くなれば良い! だけど独裁国家を目指している訳じゃないからね 本人の意思に【お願い】するしかないのよ だからの【約束】なのよ!」 閻魔はそれを理解して「解りました!分岐点なれば、間違った道に行く者に情けも情も掛けません それが次代へ繋ぐ魔界の為なのですから!」と言った 「次は法務庁ね!法務庁は少し先に建設予定となるわ、其れまでに法の制定を項目別に改める必要があるのよ! 司禄に原案は渡してあるから、今後は閻魔庁の大会議室でその議論をお願いね! お金の価値と流通も法に基づいて決めないとね そのうち銭の価値が狂い出す可能性もあるからね そこは慎重に行かないとならないのよ! それと魔界銭と魔界札ジャ呼びにくいから通貨の名も定めないとね!」 「法の是正ですか………ハッキリ言って魔界に法なんて有って無い様なモノですからね! 青龍が法皇になると決まってても、あー、そーなのね、と関心は薄いですからね やっと秩序が芽生えて来たばかりの世界にどうやって浸透させるか……ですね」 「そうよ!でなくば青龍が魔界に戻ったとしてもお飾りの法皇にしかならないわ! それなら木偶の坊でも案山子でも立たとせとけば良い訳じゃない! 法皇 此処に在り!となるには法の是正は必要不可欠なのよ! そして取り締まる機関も必要不可欠なのよ! 神だとて違反をすれば、取り締まられる でなくば何と不公平な世界なのよ! 神しか得しない世界なんて滅べば良いのよ! まぁボクの根っこがね、復讐に満ち溢れていたから、余計そう思うのよね…………」 閻魔は笑って烈を抱き締め 「聖神、私と心中してくれませんか?」と言った 烈は笑って「喜んで!」と言う それを見ていた黒龍が「おいおい!そこは断れよ!烈ぅ〜」とボヤいた 「なら黒ちゃんもボクと共に死んてくれる?」 「解ったよ!喜んで!」と言った 閻魔は烈を離すと 「地獄界へは何時行かれます?」と問い掛けた 「ボクね、人の世に帰っても問題山積なのよ! それをあらかた片付け見通しが着いたら……だから人の世の8月以降かしら?」 「承知しました おおよその予定は話しておきます! 正式な予定が立ったらまた八咫鏡で話し掛けて下さい!」と言う 黒龍は「お前等の連絡方法って、その首に下げてる八咫鏡の欠片の勾玉で取ってるのか?」と今更ながらに問い掛けた 閻魔は「念じて相手を想い浮かべ言葉を送ると、相手に伝わるんですよ! まぁ八咫鏡を持った相手ではないと伝わらないので不便ではあるのですがね 龍族みたいな以心伝心はありませんからね」とボヤいた 烈は「それまでにボクの公務服出来上がるのかしら?」と問い掛けた 「ええ、それまでには仕上げます! 地獄界へ行くのですからね、黒龍の公務服も作らせました!」 「それは良いわ!楽しみね!えんちゃん!」 「はい!」 黒龍はそんな会話を黙って聞いていた 何かあると想うんだけど…………解らないから何も言えなかった 烈が魔界にいられる日も後数日となった 烈は精力的に動き回り、カフェの売上チェックをしたり新作をクロスや妖精達と話し合っていた そして時折、崑崙山へと出向き羅刹天と神髄師と打ち合わせをする 羅刹天は前回の暴動を目の当たりにして、かなりショックを受けていた それでなくても自爆のショックが抜けないのに……… 神髄師は「中から煽る存在がいると、あんなにも呆気なく踊らされ暴力をふるうのですね……… そして暴徒と化した存在は話さえ通じないんだと目の当たりにして………我等も考えねばと思いました!そして何より…………クー殿の目を借りたら、意外な程に黒い靄の存在が多くて………驚きました 我々はどうしたら良いですかね?」と問い掛けた 烈は「狙うとしたら………ボクが地獄界に行く日に合わせて暴動でも起きたりしてね……… ボクが怪我したり、あわよくば死んだら、こんな小さいまま本体を持たないボクは魔界へ行ったとしても、小さいままなら威厳も何も無い神にしかならないないからね………潰し甲斐あるのかもね その為に日々黒い靄は増えて行くかもね!」と言う 羅刹天は「烈、来るの中止にしないのか?」と問う 「何時行っても同じよ! 今回中止にしても、機会とタイミングさえ合えば、暴動は起きるわよ! その暴動で一石二鳥狙えたら、万々歳な訳で………… 向こうは何時でも手薬煉引いて待ってる状態だからね、逝かねば収集付かなくなるわよ! 行っても地獄なら行かなくても地獄、煽るタイミングなんてとうの昔に出来てるわよ!」 其処まで用意周到なれば………手の打ち様などないのだ! 羅刹天は「この前……烈は命を懸けて我等を守ってくれた………今度は我等が命を懸けて烈を守ろう!」と約束してくれた 神髄師は「では問題なく予定通りに……と言う事ですな!」と問い掛けた 「そう、地獄界の変革期が来てるからね………… 此処で踏ん張らないと明日へは繋がらないから!」 羅刹天は「明日へ繋げる為に踏ん張るに決まってる!」と決意を新たに口にする 神髄師は頷いていた 崑崙山で羅刹天と神髄師と今後の話をして魔界へ戻る そしてある程度、起動に乗せる頃には人の世の2週間が終わろうとしていた 烈は素戔嗚尊に「ボク、明日の朝には帰るわね!」と告げた 素戔嗚尊は「承知した、良くもまぁ此処まで踏ん張り巻き戻しをしてくれた………」と烈の頭を撫でた 「じぃさん、ボクの留守の間またお願いね!」 「謂われなくても、主の護る魔界を護ると決めている!」 「じぃさん、またそんなにしない時に来るわ!」 「あぁ、待っておる!」 その夜は素戔嗚尊と烈とレイは並んで布団を敷き眠りに着いた 朝が来ると、烈は皆に別れを告げて魔界を後にした 神の道を通りつつ烈は溜息を着く クーが「どうしたのよ?」と問い掛けると烈は 「人の世に還っても問題は山積よ! 母しゃんが視た果てが悉く狂って来てるからね」 とボヤく クーは「何から手を付けるのよ?」と問い掛ける 「どっちもやらないとなのよ イギリスにいる愚かな馬鹿な子もね、本当に嫌になるわ!」 「愚かで生意気そうな顔した世間知らず…… んとに助ける気かよ?」 「タダでは助けないわよ! 死ぬ目に遇わせちゃおうかしら? 腐った根性を直さないと何時かメッキも剥げて、愚か者が丸わかりになるし、そんな馬鹿の立てる政策じゃ底が知れてるじゃない!」 「…………何時になく辛辣じゃね?お前………」 「そう?世間知らずで女に騙された兄と、ボクが半年で卒業したから、わざわざオックスフォード大学に移って、ボクより速く卒業しようとして留年した馬鹿だからね、辛辣にもなるわよ!」 あぁ成る程……とクーは納得した 人の世に着くと、烈は飛鳥井記念病院の横のマンションの屋上へと出た エレベーターに乗り一階まで降りると、烈はケントを呼び出した 烈は還って来た事をラインで母に知らせた 「ボクとレイたんとクーたん、帰還したわ、その足で国会に行き安曇に逢うわ! 安曇の兄弟はボクの思い通りにしても良いのかしら?」 そう送信すると康太から直ぐ『お帰り、烈!あぁ好きにして良い!お前に任せた以上はオレは一切の口は出さない!』と送られて来た 烈は即座に安曇にラインした 「此れから会えるかしら?」と送った 返事が返るまでに暦也に「安曇貴也を、捕獲して【R&R】の大黒ふ頭の倉庫に連れて来て!」と送る 烈は唇の端を吊り上げて嗤っていた 母にラインで「明後日から2日イギリスに行き馬鹿を捕獲して死ぬ目に遭わせてやるわ!」と言う 『ならばチケットを取っておこう! 今夜は還って来いよ、兄達が寂しがってるからな!』 「了解なのよ!」 烈は携帯をサコッシュにしまった 安曇からラインがあり『料亭を取りましょうか?』と返事が来た 「料亭とかじゃなく、でも密談をしたいなら………ヒルトンホテルでも取って! その時は必ずや安曇登紀子も同席させて!」と送信 烈は「花菱でスーツ買って着替えて行くわ!」と言うとケントは花菱デパートへと向かった そして駐車場に車を停めると、デパートの中へと入って行った 「ねぇケント、ボクが着れそうなスーツあるかしら?」と問い掛ける 「何売り場何でしょうかね?」とケントは思案する クーは「家で着替えてから出れば良かったろうが!」とボヤく レイはクーの尻尾を握り締め威嚇をする そんな話をしていると背後から「烈君?」と声が掛かった 振り返ると道明寺達也が立っていた あれから花菱は烈考案の意識改革の勉強を社員にさせ、デパートのレイアウトを変えたりして協力的に動いてやった 対価のキラキラ洋菓子を一年差し入れて貰い、それ以上の教育成果を齎したのだった 烈の姿を見ると社員達は即座に社長の耳に入れた だから道明寺が駆け付けて来た理由だった 烈は「ボクサイズのスーツ有るかしら?」と問い掛けた 道明寺は「烈君は何時もトンプソンのスーツでしたよね?今日はどうしたのですか?」と尋ねた 「今日は【R&R】じゃないからね、何か着るの欲しくて来たのよ! ボクとレイたんの服、見繕ってくれないかしら?」と頼んだ 「スーツしか駄目なのですか?」 「スーツじゃなくても良いけど、ホテルへ行くからね、それなりのをお願いなのね!」 道明寺は「承知しました、崩し過ぎず、堅苦しくないのを御用意致します!」と言った そして用意してくれた服は、何処へ出ても恥ずかしくないブランドの服だった 烈とレイはそれを着替え、着ていたモノを紙袋に入れて貰いケントが烈のカードで支払した 烈もレイもすっかり気に入り「「ありがとう!」」と礼を言った 道明寺は「烈君とレイ君に気に入って貰えて嬉しいよ!」と言ってくれた 花菱デパートを後にして、ヒルトンホテルへと向かう 途中で安曇から部屋番が送られて来た 登紀子も必ずや同席させます!と書かれていた

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