97 / 100

第97話 五里霧中 ❷

一生は神の道を開き崑崙山へ出た 崑崙山へ出ると龍になり閻魔の元へと向かった 執務室へ顔を出すと閻魔は閻魔庁の方だと謂れ、閻魔庁の方へと顔を出す 閻魔庁の周りは賑わっていた まるで観光スポットみたいに女神像の前の噴水を見て、カフェでデカメロンパフェを食べている子達でごった返していた 一生は閻魔庁の中へ入り受け付けで、閻魔とのアポを取る 許可されると、受け付けの女性に連れられ会議室まで案内された ドアをノックすると司禄がドアを開けた 司禄は一生を目にすると「閻魔か?」と問い掛けた 頷くと「入れ!」と言い中へと言い招き入れた 忙しそうに会議をしていた閻魔は「どうしました?赤龍?」と問い掛けた 「ゴミクズが鬼に連れられて来たと想うけど………死んじゃいねぇよな?」 「あぁ、鬼の下働きとして放り込んであります! 一応 聖神の依頼と申し付けてあるので、殺しはしないでしょう! ですが、甘くはありません! 本当ならば………改心が見られなかった時点で、狩りに行っても構わないと謂れ、彼らの命は握ってましたが………烈が駄目って言うので鬼達の下働きをさせてます! そして彼は………素戔嗚殿が面倒を見て下さるそうです!」 「一応、康太の視た果てが狂わねぇ様に烈が軌道修正掛けているからな、なるべく生かしておいてくれると助かる!」 「最近、赤いのは炎帝命なんじゃないんですね! 黒いのも最近は炎帝命じゃないので、どうした心境の変化なのか?と思っていた所です!」 「兄貴は………烈が龍族なんて取り潰せ!と言ったならば確実に潰されていた……と言っていた そればかりか………龍族の軌道修正を掛けてくれ正しい道へ逝ける様になった事に感謝してる程だからだろ? 俺は………烈を嫌って兄弟達と差を着ける様な態度を取っていた時があるんだよ! あの烈の眼が怖かった………ってのもあって態度が悪かったんだよ! それで俺は飛鳥井から弾かれる所まで来ていた 康太も悩んでいた やはり我が子は可愛いだろうし、飛鳥井の絶対的な存在でもある宗右衛門に取ってはならぬ行動をしていたんだよ! なのに烈は…………許してくれた そしてギクシャクした空気も全て烈が解消してくれ、そればかりか、牧場の運営も育てる牧場と調整牧場と事務と分けてくれ、仕事も楽になった 本当に俺も烈には頭が上がらねぇんだよ そして何より、烈は康太にソックリで………泣ける程に似てて……烈の為ならば何でもしてやりたいと思っちゃうんだよ!」 「何か金龍も銀龍も黒龍も同じ事言ってました 龍って似るんですかね?」 「だってさ、龍に喜んで乗りたがるのなんて、烈とレイ位じゃねぇかよ! 康太は喜んで乗るのは青龍限定だろ? やっぱ恐れる事なくカッコイイのよ!なんて言われるとな嬉しくなるんだよ!」 閻魔は一生の言い分に笑っていた そして「赤いのは愛馬ないんですよね?」と聞いて来た 「あぁ、名前も付けずにいたし、人の世に行ってたら何時の間にかいなかった………」 「アル君が黄龍とこの馬と交尾して子が出来ちゃったので、生まれたらその子をあげましょうか?」 「アル君って烈の馬じゃねぇか! あんな小さいの俺には無理だろ!」 「失礼な!あの馬は由緒正しい天馬の系譜 炎帝の馬の従兄弟の馬ですよ! アル君とタカシとアレクとレイモンドは兄弟馬です!」 「嘘、どう見ても兄弟に見えねぇぞ! アル君とタカシは解るけど……アレクとレイモンドは炎帝の馬そっくりやんか! しかし……アル君………牝馬とやっちまったのかよ! あんな馬畜無害な顔してワイルドな事してるんだな!」 「我等もまさかアル君が牝馬の魅力にクラクラで盛るとは思いもしませんでした……… 気付いたら挿れてて……抜く訳にも行かなくて…最後までやらせるしかなかったのです… 黄龍の馬はその後妊娠したので、産ませるしかないのです! アル君ソックリの子は烈が貰い受けるそうです! 魔界の馬は多頭出産ですからね、一度に6頭は産みます 今までは未熟児やどう見てもアル君みたいなのは処分して来ましたが、今は農耕馬とかに使っています!」 「アル君ケダモノだな!」 「烈が説教して泣いて謝ってました…… もう許しがなきゃ盛らないと約束してくれました! 多分 初なアル君を牝馬が誘惑したんでしょうけど………烈は野菜や果物を山程持って黄龍の所へ謝罪に行きましたからね! 金龍がそれを聞きつけて、烈と一緒に謝るから………黄龍は凄く困ってましたよ!」 閻魔が話すと一生は爆笑していた そして馬を貰い名を付けると約束して、安曇貴也の所へと案内され見に行く事になった 安曇貴也は鬼達に扱き使われ、ボロボロになり働いていた 素戔嗚尊がそれをじっと見ていた 閻魔は「素戔嗚殿!」と声を掛ける 素戔嗚尊は「あの者にあの仕事は無理じゃろ!」と言った 閻魔は「ですが、あそこが一番軽い作業ですから………あれ以外は……もっと過酷になります!」と困った顔をした 素戔嗚尊は「ならばあの場でも働ける様、鍛えてやろう!力が付けば、難なく熟せるじゃろう!」と言う 閻魔は「血反吐を吐いても耐え忍ばせるしかないのです!あの者は………幾度も親を傷付け謀り…… 今度は取り返しがつかない事をした 本来ならば、烈が出なくば死していた男です!」と説明した 「話は聞いている………本当に人と言うのは小賢しくあざとい………じゃが非力な者を一方的に扱き使うのは、儂は好かんのじゃよ閻魔! 多少のハンデがあるならば、そのハンデが苦じゃなくなる様に鍛えてしんぜよう! それが烈が描く果てへと逝く者の死命じゃろうからな!」 「…………ではお任せします! それより素戔嗚殿、烈考案の荷車は完成しましたか?」 「おー!閻魔よ!建御雷神に手伝って貰い、倅に強い蔦を出して行って貰ったからな! デカスイカ5個なら楽勝に乗る荷車を完成させた所じゃよ! 荷車に馬を取り付け走るのも可能じゃからな カフェへ出荷するのも楽になったわい!」 「それは良かったです! では私は会議の途中なので此れで!」 と言い閻魔は帰って行った 素戔嗚尊は鬼達の所へ行くと 「この男の仕事は午前中は此処で働き、午後からは儂の畑で働かせる事にした!」と告げた 「そうですか!非力過ぎて扱けば死にそうで……困っていたのです! 一番軽いのを持たせても、持てぬから………」 「ならば少し鍛えよう! 鍛え上げるまでは辛くて苦しいだろうが、力を着ければ難なく仕事が出来るであろう!」 「カトンボですぜ!素戔嗚殿………力なんか付きますかね?」 「それは本人の努力次第じゃよ!」 貴也は非力ながらも必死に働いていた 此処が何処なのか………解らない でも見るからに童話とかで見た鬼がいて…… 怖くて堪らなかった でもそんな怖い鬼の中に、角は有るけど、やたらとイケメンの鬼もいるから………何なんだ?此処は鬼ホストクラブか?と思う程だった 素戔嗚尊は貴也に近付くと 「お前は午前中は此処で労働、午後からは儂が鍛え上げてやろう! 弱い自分は捨て去るがよい! 夜は儂の家の近くに倉庫があるから、その一角で寝るがよい!」 と言った 貴也は「此処は………何処なんですか?」と問い掛けた 「主は何と聞いたのだ?」 「地獄へ落としてやるわよ……と。」 「なれば此処は魔界、死者が生前犯した罪の分償わせる場じゃ!通称地獄と呼ばれおる!」 「え………僕は本当に地獄に落とされたのですか………」 「そうじゃな、主は腐った人間じゃった 親を泣かせ、裏切り、謀り………一度は主等は閻魔大魔王に命を握られたのではないのか? そんな事さえ忘れて………好き勝手に生きれば地獄に堕ちて当たり前じゃ!」 貴也はその場に崩れ落ち泣いた……… 素戔嗚尊は「泣く暇などない!主はこの地で生まれ変わらねば………無限地獄に落とされる! 決定したならば……もう儂でも、どうこう出来る話ではなくなる だから主は死ぬ気で頑張るしかない! 烈が主を見て……そっぽを向いた瞬間、主は……もう人の世には戻れはせぬ! そうならぬ為に必死に頑張れ!」と説得した 一生は黙って見ていた やはり素戔嗚尊と言う御人の懐は広いなと感動していた 貴也は素戔嗚尊の横に立つ男に目を止め……… 「緑川一生……」と名を呼んだ 一生は「安曇貴也、地獄で逢おうとはな!」と言った 「お前も地獄に落とされたのか?」 「まさか、烈が見てきてくれと言ったから見に来ただけだよ! 地獄で命を落とせば、もう人の世には二度と戻れねぇからな! 鬼ちゃん達に扱かれて死んでないか?注意してね!と言われたから来たんだよ!」 「お前………何者なんだ?」 「俺か?人だよ! 人になる前は神やってたんだよ! 烈も聖神と言う、其処の素戔嗚殿の孫に当たるんだよ!」 「素戔嗚殿………ひょっとして素戔嗚尊?」 歴史の教科書に載ってる人物?? 素戔嗚尊は「そうじゃ、儂が烈の祖父になる素戔嗚尊じゃよ!」と言った 「烈………と言う子は神なのか?」 「だろ?じゃなきゃ前世の記憶なんてねぇだろうし、老人の声で話せるかよ! だが今は飛鳥井烈、飛鳥井家 宗右衛門をしている!人間だよ!」 「僕は………人の世に戻れますか?」 「それはお前次第だよ! 閻魔がその命狩ってやろうか!と騒いでいたが、烈が止めたんだ! 心底腐ってゴミクズになったお前だが…… 此処から這い上がれば正しい道が見えるだろう それを決めるのはお前だ 此処で朽ち果てて消えて無くなるか? 地獄から這い上がって来て、定められた道に戻るか?総てはお前が決めて行かねぇとならねぇ道だろうが!」 貴也は思い切り拳を握り締めた 一生は「人として人の世で逢いましょう!」と言い深々と頭を下げた そして姿勢を正すと「それでは素戔嗚殿、後は頼みます!」と言い、赤い龍に姿を変えると帰って行った 貴也は「龍……」と呟き唖然となった 素戔嗚尊は「さぁ仕事をするのじゃ!」と発破をかけた これからの日々は地獄の日々となる 本当の正真正銘の地獄での日々だった 烈は翌日 退院すると家へ帰りお風呂に入ってスーツに着替えて会社へと出向いた 会社に到着すると直ぐ様社長室へと出向く 最近少しだけ高い位置でノックする音を聞くと、我が子の成長を感じずにはいられない榊原だった 榊原自らドアを開けて社長室へ招き入れる 烈はソファーに座ると「母しゃん、父しゃん、ボクは明日イギリスに行くけど、帰国して来たらウッズスタンの社員を連れて帰るから、そしたら免震構造の製図に基づいてプラモデルを作るわ それを皆に見せて、震度幾つの揺れはどれだけの衝撃を受けるか? 免震構造を採用すると、どれだけ軽減されるのか?それを体験させて教え込もうと想うのよ! プラモデルは今、バラバラにして船に乗せて、そろそろ届くんじゃないかな? そしたら【R&R】の倭の国のスタッフに地震を起こす機械を綺麗の研究所で作らせてるから、出来上がったら体験させるわ その準備に最低でも一ヶ月は掛かるのよ 地震体験は出来るからね、社員達に体験させ一ヶ月後に違いを解らせようと思案中なのよ そしてそろそろ、東堂御影を副社長に戻さねばならない時が来たのよ! やらねばならない事は山積してるけど、一つずつ片付けるつもりよ!」と話す 康太は「了解した!」と言った 榊原は「我々で出来る事があれば言って下さい! 全面的サポートはします!」と言ってくれる 「その時になったら頼むわね! あ、それと、魔界へ行っても大丈夫よ! えんちゃんは今、神々達や龍族と法の是正、そしてどうやって浸透させるか? を、閻魔庁の方で連日話し合ってるそうなのよ! だから話し合いには暇を見つけて参加して欲しいのよ!」 「おっ!ならデカスイカを食べに行くとする! 後 畜産関係も充実してるんだって? 一度見に行こうと思っていたんだよ!」 「地獄界から乳牛を貰い受けたのよ! じぃさんと、とーさんが牛獣を懐柔して飼育出来る様にしたから、掛け合わせたのよ! そしたら乳牛獣が誕生してね、今繁殖してるのよ!」とニコニコして話す そして急に眉を顰めると 「……父しゃん………ボクの馬がね………黄龍の牝馬を孕ましてしまったのよ!」と泣きそうになり話す 榊原は「え!あんな幼い顔して盛ったのですか?」と驚いていた 「そーなのよ、でね、ボクね野菜と果物をリヤカーに乗せて謝りに行ったのよ 金ちゃんも同行してくれて、謝罪したのよ! 父しゃんも黄龍見掛けたら謝っていてくれる? アル君に似た子はボクが引き取るわ! タカシに似た子もじぃさん引き取っても良いって言ってくれてるのよ!」 と泣きそうになり訴えた 康太は爆笑した 「どうせ、黄龍んちの牝馬が色仕掛けしたんだろ?まだ幼いアルじゃクラクラになって盛るしかねぇもんな! んなに気にしなくても黄龍は気にしねぇだろ? 許してくれるさ! 逆に龍族の相談役に謝らせて恐縮しちまうだろう!」 「そーかな?アル君はちゃんと反省させ怒ったのよ!」 「でも何でアルが黄龍んちに行ったのよ?」 「畑にいたらしいのよ、じぃさんが何時も馬達とトキたん達を畑に連れて行ってるらしいのよ 留守番は可哀想と連れて行ってくれてるのね でも気付いたらいなくて、黄龍がアル君が盛ってる!って呼びに来て発覚したんだって………」 「それって………アルにイタズラしようとしたんじゃねぇか?」 「かも知れない、暴動が起きる少し前だったから………」 「オレも謝ってやるから安心しろ! タカシに似たの生まれたらオレが貰ってやるさ!」 「母しゃん!」 烈は母に抱き着いた 榊原は「父もいますよ!」と言うと父にも抱き着いた そして一頻り抱き着き落ち着くと 榊原は「準備に一ヶ月ですか、その前にヨニー©ウッズスタンの免震構造使ったマンションの依頼の話が来てます!」と言う 「その話だけど、ヨニー©ウッズスタンが大々的に免震構造を打ち出すのは来月からなのよ! 今 【R&R】のビルの地下掘ってるじゃない その地下に免震構造入れるのよ! その工事の様子をYouTubeで解説付きで流す予定なのよ! だから今 ウッズスタンの免震構造を入れたマンション建設の話は……ちょっと…きな臭いのよ!」 榊原は驚き「え?正式に発表されましたよ?」とその記事を開いて見せた 烈は「この発表の場にいる者はヨニーの社員でもないのよ!だからヨニー©イギリスではガセネタだと正式に発表してるのよ! 倭の国に流れるのは今夜位からかしら?」と話す しかも烈はその記事の写真を拡大して 「ウッズスタンの免震構造はこんな形じゃないのよね! 此れでどうやって免震させるのかしら? ウッズスタンの免震構造はイギリス、アメリカ、倭の国、スペイン、タイ、ヨーロッパ諸国で特許取ってるのよ! 正式に特許の許可取ってるから真似したら、それはもう犯罪なのよ!」 と説明した 榊原は「ならば…少し様子をみてみましょう! 暦也に依頼主に不審な点はないか?探って貰いましょう!」と言った 康太は「で、烈は何の用があって来たのよ?」と問い掛けた 烈はプリントアウトした紙の束をテーブルに置いた 康太と榊原は紙の束を一枚ずつ捲り………言葉をなくした 「あんだよ?此れは?」 康太が巫山戯た解答用紙に驚愕してると 「此れが飛鳥井の社員の意識なのよ! 真面目に免震構造についてボクが出した宿題に向き合ってる子もいるけど【免震構造?そんなのは専門家じゃなきゃ解るわけない!】と書く馬鹿もいるのよ! 【どれでも建てちゃえば解らない!】とか【こんな無駄な時間に資格の一つでも勉強が出来るのに!】とか本当に様々に書きやがる奴がいるのよ 当然、処分よね? まぁこの社員の経歴調べさせているけど、きな臭い感じはするのよ! ボクがイギリスから帰る頃には調査報告上がってるのよ!」と話す 榊原も「本当に懲りませんね、我が社の社員達は…………これでは真面目に取り組んでる子が馬鹿見ますね!」とボヤいた 「多分 不安要素詰め込み、中から瓦解するの待ってるのかもね………」 「何か遣り口がワンパターン化してますね! 魔界でやったのを飛鳥井で再びですか?」 「まるで………常に化かされ……騙され踊らされ霧に巻かれ……真相は解らない……五里霧中の気分よ 魔界にいた時からね、見えない何かに踊らされてるわ……と痛感するのよね」 「五里霧中………まさに僕もその気分です…… 康太が言ってました、社内を歩けば何時も通りなのに何やら不穏な空気を感じて探ろうとすると……煙に巻かれ掴めない…… 何が起きてるのですか?」 榊原はモヤモヤした気分を吐露した 「イギリスでも国会が……二転三転の暗転してるからロードまで駆り出されて対処にあたってるそうよ……ロードのボヤきのラインが凄いのよ!」 と言い携帯を開きラインを開いてロードとのやり取りを見せた そしてアメリカにいるジョージからのラインを見せた 『おい!烈!大統領が撃たれた………まるでリンカーンやケネディの再来だ………しかも……元大統領が狙われたと思ったら、蓋を開けたら現大統領だって!何が起きてるんだ?とアメリカはちょっとしたパニックになってる!』 と取り乱したラインを見せた 康太はそのラインを見て「此れはどんな現象なんだよ!」と叫んだ 榊原は「元大統領を狙い、狙撃の瞬間入れ替えした?………と考えても良い程に鮮やかな手口ですね これじゃ当分は騒ぎになって当たり前ですね…」と世界を狂わす何かを感じて口にした 「もう形振り構わずになって来ているから…… ボクもイギリスに行くのに、考えなきゃいけなくなったわ……」 康太は世界の混乱を目にして………やがて降りかかる災厄を身近に感じていた 「だな……そろそろ本気で来る気なんだな!」 と言った 「本気で潰し合いする気なのよ! まぁボク負ける気しないけど!」 康太も笑って「オレも負ける気しねぇよ!」と言い放つ 強気な二人は…………悪代官の様に………嗤っていた 烈は姿勢を正すと 「それでは社長、真贋、この社員達はどうされます?」と問い掛けた 榊原は「調査報告の結果を待ち懲戒解雇とさせて戴きます!」と深々と頭を下げ答えた 「ならばボクは宗右衛門の部屋に戻ってます!」 と言い社長室を出て行った 榊原は康太の顔を見て 「何ですか?この世界を混沌の時代に突き落とすかの様な出来事は………」と口にした 康太は「近い内に閣下から召集が掛かるやもな……」と呟いた こんなに世界で同時に事件が巻き起こっているならば………何処かの国で会議を開く事だろう……… そんな時、康太の携帯が震え、見ると兵藤からのラインだった 『今 イギリス国内は混迷状態で、俺は国王たっての希望で、バッキンガム宮殿の中で護られ過ごしている……… だから烈が来ても俺は逢えねぇと想う……… 俺もまさか政界の混乱が国民を巻き込み、暴動が起きている………とまで聞く 竜馬も今 オブライエン家に避難している頃だ だから会えるか……解らねぇし、行けるかも解らねぇ状態だ! そう烈に伝えてくれ!』 康太は榊原に「烈を戻してくれ!」と頼んだ 榊原は宗右衛門の部屋をノックして入った 烈は誰かと話している最中だった 烈は榊原を見ると「あ、待ってね兵藤きゅん!」と言い榊原に電話を変わった 榊原は携帯を受け取ると「もしもし……」と話し掛けた 『あー!伊織か?捕獲には成功したけど、あの馬鹿なお子様ナイフ持ってて竜馬が刺されたんだよ!それで竜馬は今入院してるって事を連絡したんだよ!』と伝えた 「え?竜馬入院しているのですか?」 『あぁ、あの馬鹿息子ナイフをポッケに隠し持っていやがって、それを出したんだよ! で、今 その馬鹿なお子様はヤードに捕まってる!エミリア王女が怒りまくってヤードの威信にかけての姿勢だから、死ぬ目に遭う程情聴取されてるだろ?』 「貴史、康太にラインしましたか?」 『んな暇なんかあるかよ! 明日 烈が来るまでに雑務を片付けておかねぇとならねぇから、目が回る程に忙しいんだよ!』 榊原は兵藤が康太にラインして来た事を説明した 『怖いって!俺はそんな巫山戯たラインなんてしねぇよ!しかも宮殿で匿って貰ってるって! んな話はとっくの昔に蹴ってるんだよ! あ~、ヘンリーに頼んでこの携帯廃棄するわ! 少し待っててくれ!新しいのに変えたら連絡する!』と言いラインは終わった 榊原は溜息を着くと「父はお前をイギリスに行かせるのは不安です……… あ、この事を康太に伝えに行きますね!」と言い、宗右衛門の部屋を後にした 烈はPCを開くと竜馬に「どうなってるのよ?」とメールを送信した すると即座に竜馬からメールが送られて来た 話は兵藤と同じ馬鹿な子が明らかにイキってナイフを取り出し竜馬を刺した経緯だった 『ヤードはエミリア王女が怒髪天を衝いて怒ってるからヤードの威信に賭けてキッチリ取り締まると言ってるんだよ! だからかなりキツイ事情聴取される事間違いないよ!』 「りゅーま、ひょっとしてワザと刺された?」と問い掛けた 『違うよ、まぁナイフと言っても刃渡り5センチ位のちゃっちいナイフで刺されても致命傷はないた想ったけどさ、ワザとじゃないから!』 烈は明らかにワザとだと想った 「ボク……明日イギリスに行くのに………」 『待ってるよぉ〜烈!!』 ウキウキの竜馬がハートマークをつけんばかり勢いで喜ぶ 「なら明日ね! 搭乗する前にラインするわ!」 『ヘンリーにお迎えに行ってもらうよ!』 とラインを終える PCを閉じ顔を上げると父が立っていた 「烈、何故康太の携帯に偽の貴史のラインを受信出来たか?心当たりはありますか?」と問い掛けた 烈は「ボクの方の携帯は衛星通信に切り替えてあるから、変なラインなんて届かないのよ! この会社も衛星通信に切り替えてあるのに……… 母しゃんの携帯に兵藤きゅん語る馬鹿からの連絡がある事が変なのよ……」と現状を口にする 「ならば……何者かがネット回線に何かした? と言う事なんですか?」 「それしか考えられないのよ……」 「ならば……どう出られますか?」 「社員を残業なしで帰らせて下さい! 社員がいなくなった後に、施工の社員を呼んで回線に手を加えられてないか、調べるわ!」 「ではその手筈お願い出来ますか? 僕は確認が取れた後に社内放送を掛けて来る事にします!」 「解ったわ!ボクは凛太郎に電話するわね!」と告げ、施工へと電話を入れた そして一頻り話をして電話を終えると 「就業後に凛太郎がスタッフ連れて来てくれるわ!」と父に告げた 榊原は「ならば父は社内放送を掛けて残業なしで必ず帰宅する様に伝えます!」と言い宗右衛門の部屋を出て行った そして放送室へ向かうと榊原は 「社員の皆さん、設備関係の不具合が出ました! なので今日は大掛かりな工事が入る事になりましたので、残業なしで帰宅して下さい! 警備員が見回りに回りますので社内に残っている者は直ちに社外へ出される事となります! なので皆さん就業時間が終わりましたら、直ちに帰宅なさって下さい!」と社内放送を掛けた 烈は遼太郎、宗太郎、瑛太郎、西村を呼び出し、警備員と共に徹底的にトイレや更衣室までチェックする様に頼んだ 社員が残業なしで帰宅すると、警備員に残っている社員はいないか?確認させた後に、施工の凛太郎が施工の社員と特殊電工㈱を連れてやって来て5階にある配電盤へと向かった 特殊電工㈱の社員が誰にも知らせてない配電盤を開き、その横にある基盤を調べ始めた 防火扉後ろに配電盤が隠されているなんて………と、康太と榊原は驚いていた 特殊電工㈱の社員が「おーい!烈、この配電盤って誰でも開けられるのかよ?」と問い掛けた 烈は話をしているスタッフが誰なのか? 解らないだろうと、両親にまずは誰か来ているのか?を紹介しなきゃ!と想い 「父しゃん、母しゃん、彼は飛鳥井拓真、特殊電工㈱の社長さんで、この会社の電子機器を担当して貰ってるのよ!」と紹介した 榊原はご挨拶を受けて自分は飛鳥井建設社長だと挨拶した 康太も自分は真贋だと挨拶した 榊原は少し前に殺し屋に命を狙われている時に、窓ガラスを防弾に変えるついでに、ネット回線も変えると聞いていた その配電盤は特殊な器具がなければ開かない………と話を聞いていたから 「その配電盤は特殊器具がないと開けられないんじゃないんですか?」と問い掛けた 特殊電工㈱社長 飛鳥井拓真は 「そーなんだよ! そもそも防火扉の裏に配電盤があるなんて、誰にも解らねぇのに、開けて細工されている! って事はそこそこ知識有る奴が、壊す目的でめちゃくそに細工しやがったんだよ!」とボヤいた 烈は「この会社の防犯カメラは総てARЯK警備保障に送られているのよ! 直ぐに調べなきゃ! 一つを移動させたとしても、この区画が映るように少なくとも10の防犯カメラは移動させなきゃならないわね!」と嗤っていた 烈は直ぐ様、暦也に電話して「配電盤の区画の防犯カメラを調べて! そしてそれを操作してるヤツの映像もお願いね!」と連絡を入れた 榊原は「この会社の警備はARЯK警備保障が鉄壁の警備をしてくれ、社内に入るにもIDがなくば入る事さえ出来ないのに……?」とまさか……と言う想いで口にした 烈は「多分 洗脳された社員か………入れ替わった社員がめちゃくちゃに出来るならば、って事で入り込み………めちゃくちゃにした可能性は大ね!」と言う 榊原は「あー!もぉ!会社までこんな事をされて黙ってられますか!」とキレた 父がキレるのは珍しかった 烈は「父しゃん?」と声を掛けた 「私の愛する子を傷付けただけでも怒髪天突く想いなのに、会社まで手を出されるならば……もう黙ってられません!」 ピキッピキッと榊原の回りが凍て付く 空気が凍り………施工の社員や特殊電工㈱の社長も凍て付く………… 康太が怒りまくってる榊原の肩に手を掛けて「伊織!」と名を呼んだ すると凍て付いた空間が和らいだ 「康太………」 康太は烈に「配電盤 壊したのは我が社の社員だと言うならば………どうそれを告げるか考えねぇとな………自爆でもされたら被害は相当だからな……」と想像するだけでも身振しそうな現状を口にした 飛鳥井拓真は無理矢理 抉じ開けた部位を指して 「此処を見てくれよ、中を見るだけならば、こんな風に抉じ開ける必要なんてねぇんだよ! 壊す気満々で器具も遣わずに抉じ開けてある!」と答えた 榊原は「この配電盤を7階に移動するのは可能ですか?」と問い掛けた 「おー!可能だぜ!ならば、此方はダミーにして烈が細工でもして犯人を捕獲する手段に使うだろうから、綺麗に直してやるさ!」 康太は「防火扉の裏にある配電盤の存在を…………オレ等でも知らなかったのに、何故に知ったのよ?」と不思議そうに呟いた 「多分、防犯カメラ遡ると仕事してるフリして、配電盤探してる社員の姿が在ったと想うぜ! まぁ普通の社員ならば存在すら知らねぇだろ? でも仕事でダメージを負わせわれないならば、混乱狙うしかねぇんじゃね?」 「「………っ!!!」」 康太と榊原は言葉もなかった 榊原は気を取り直して 「何故 5階の防火扉の裏に設置したのですか? 何か意味でもあるのですか?」と問い掛けた 烈は「この階は役員面談室があり、役員の部屋へ上がれるチャンスを狙っているとしたら? 今は普通の社員じゃ6階、7階へは行く事は不可能だからね、何処かに役員面談室の鍵や、扉を開けられる場所はないのか? 探していたんじゃない? でもまさか……防火扉の裏の配電盤を操作されるなんて想いもしなかったわよ! まぁ操作したとしても、役員面談室のドアは開かないし、壊されたとしても回線が衛星通信じゃなくなる程度なんだけどね」とボヤいた 拓真も「だな、良くもまぁ何処にあるか探り当てたって俺も想うな!」とボヤく そして「工事の期間と概要は宗右衛門の部屋で話します!それでは行くとしますか!」と言いさっさの面談室へと入り、烈が首から下げてるIDをピッと操作してエレベーターを呼び6階へ上がる そして宗右衛門の部屋に入ると、大きなジャミングの機械を出してスイッチを入れた 拓真は「配電盤は5階と7階、両方に設置していたのです! 社内にスパイや良からぬ輩が入り込むのを警戒して、幾つもトラップを警戒して張り巡らせてあるんですよ! そして5階の配電盤の中にもカメラは仕込んであり、壊して開けたら作動する仕組みとなっている だから今頃暦也は大笑いして、こんな楽勝な仕事寄越すな!と言ってるんじゃないかな? って言う位、馬鹿な奴の仕業って事です!」と告げた 榊原は「烈は何かをするのを見越して………トラップ張り巡らせたって事ですか?」と問い掛けた 「ボクね用心に用心を重ねないと………不安だからね トラップ張り巡らせないと、って思ってね……」 烈が言うと拓真は「まぁ年寄りってのは無駄に警戒心が高く、心配性なもんだから仕方がないんだよ!」と笑い飛ばした 榊原は「ならば5階の配電盤は直すのですか?」と問い掛けた 「そうね、配電盤は直すけど、回線は繋がない! そして扉を開けたら………迷いの森にでも迷い込んで貰おうかしら? 己の駒が当然消えたらどうするかしら?」 烈が言うと康太が「駒はあくまでも使い捨てだから、何とも思わねぇだろさ! チェスの駒の様にそこにいさせて使うだけだから、その駒がどうなろうと、どうでも良いんたよ!んとに胸糞悪い話だよな!」とボヤいた 「そーなのよね………ならば配電盤弄った瞬間、警備会社に連絡が入り状況を見て警察を呼ぶようにするわ!」 榊原は「それが賢明でしょう!社員の処分は烈がイギリスから帰国して決めましょう! まぁ器物破損程度のモノでしょうから……どんな処分になるかは解りませんが………」と現状を口にした 烈は「ソイツら多分………【R&R】の現場に行ってる奴を抱き抱え免震構造なるモノを他社へリークしようと潜伏していたのかもね それを証拠に………ガセネタの免震構造に飛び付いて発表したんだからね 多分………その免震構造でビル建てて免震構造が機能しなかったらヨニー©イギリスの責任追及でもしたかったのかしら?」と胸糞な事してる奴等を思い浮かべて言う 拓真は「カタチだけ見て真似ても中の仕組みが解らなきゃ作れねぇだろうし、紛い物は所詮偽だから、真似は土台無理だろうに……愚かだな」とボヤいた 「そーよね、取り敢えず拓真作業して戻してくれるかしら? 後 配線の切り替えお願いね!」 「了解!今 施工の社員が扉を直してるだろうから、俺は7階に配線の切り替えをして、5階にいる社員に其処の配線の停止を申し付けるわ!」 と言い拓真は仕事に戻って行った 作業は2時間位掛けて行なわれ、総てを終え撤収する頃には、7時を回っていた 榊原と康太と烈は戸締まりを確認して、飛鳥井の家へと帰って行った 車の中で康太は烈に飛行機のチケットを渡した それを受け取り烈は 「イギリスに行っても目的の子、りゅーま刺しちゃったから………ヤードにいるのよ……… 何処までも馬鹿な子ね!」とボヤいた 康太も呆れて「んとにな、オレが見てた時の果ては、まだそんなんじゃなかったのにな………」と呟いた 「分岐点なのに………少し道がそれちゃったのね 困ったわね………ヤードじゃ………どうしようもないわね!」 「駄目なら捨てちまって良い! 別に貴教が政治家にならなくても貴史と竜馬がいるかんな! 貴教と敦之はどうでも良いと思えて来たんだよ 多分……貴之でさえ堂嶋を中心とした中へ入れねぇだろ?それ程に………あの二人は劣って腐って使い物にならねぇなって想えるんだよな………」 「貴之は喰らいついて努力の人になるから、堂嶋の横に立てなくても、迎え撃つ力を着けてくれるわよ! やはり異議を申し立てる側の人間も必要よ! でなくば歪な国会にしかならないからね!」 「そうか………貴之のポジションは決まったのか?」 「そうね………このまま軌道を逸れなければ……ね」 「ならそれて良い! 別に生かそうと思わなくても良い! オレの果てに立たせようとしなくても良い!」 「そうね、其処で終わるならば………それだけの人生だもんね……… でもね……地獄から生還した貴也は養子に出し【安曇】の名から切ってやれば政治家になれるチャンスがあるのよ!」 「え?貴也………アイツは賢いが……人を見下す それ故に政治家に向いてないと貴教の教育係に据えたんだけど………政治家になれるのか?」 「己の生きて来た過程も能力も何もかも通じない世界で、どれだけ踏ん張れるか………だけどね 何もかも捨て去り、己を見直し、人の痛みが解る所まで堕ちて………矜持を捨てねば、チャンスはあるのよ!」 「そうか………ならば総てお前に任せる! 手が要る時は言ってくれ! お前に任せた以上はオレは口は一切出すつもりはねぇかんな!」 「人って愚かで、脆くて……馬鹿で、浅はかで、どう仕様もないけどね……… それでも立ち上がり生きて行く様は美しいのよ ボクはそんな奴等を見たいから………チャンスを与えようと想うのかもね……」 「……………宗右衛門はずっとそうだったよな…… その懐の広さは………流石叔父貴譲りだって感心するんだよな!」 烈は嬉しそうに笑った そして飛鳥井の家に帰り夕飯を食べた 烈は朝早くケントを呼び出し空港へ向かった 空港に行くと一生が既に来ていて、烈を見掛けると「どうせ来るから待ってたぜ!」と言った 「カズ、どうしたの?」 「お前がイギリスへ行くと聞いたからな、オレも同行するつもりなんだよ! オレは朝早く牧場に顔を出して藍崎に託してから来てるんだよ! だから飛鳥井へ帰る暇なくて………待ってたんだよ!」と教えてくれた 搭乗手続きをして、時間が来たら飛行機に乗った イギリスの空港に到着すると、オブライエン家からのお迎えの車が来ていた 「烈様、何方へ向かえば宜しいでしょうか?」 「マンションに皆いると思うんだけど?」 「はい!ではマンションへお送り致します!」 執事はマンションへと烈を送り届けた マンションの部屋へ行くとメンバーが待っていた 竜馬は烈の姿を見ると、飛び付いて抱き締めた 「烈!無事で良かった!」 烈を、抱き締めて安堵する竜馬に烈は 「りゅーまは無事じゃなさそうね!」と言った ヘンリーは「竜馬、取り敢えず座ろうよ!リーダーに話をしない事が沢山あるでしょ?」と言った 烈は一生とケントと共にソファーに座った そしてポケットからハンカチになってるクーを取り出すと、クーは体を大きくした デービッドは「リーダーはウッズスタンをどうする気ですの?」と問い掛けた 烈は「鳳城葵は副社長の座からは降ろすわ! 此れは決定だから、皆に知らせるわ!」と言った イーサンは「決定事項か、一応理由聞かせて貰えるかな?」と問い掛けた 「葵は今妊娠してるわ! 多分出逢って少し経った頃関係を持ち妊娠したのよ!で、相手は安曇貴之! 彼は政治家として出なけれはならない存在 そして葵は政治家の妻として夫を支えてはならない存在になったのよ! 政治家の妻って結構大変よ? だから副社長してる暇はなくなるわ!」 メンバーは成る程!と納得した サムエルは「ならば御影を副社長に据えて、技術職のポスト誰か据えないと駄目になるね!」と言った 「それもね、倭の国へ帰ってから運気を詠み方針を決めて行くとするわ!」 烈が言うとデビットが「ならば竜馬を刺したクソ生意気な子供は、誰なのさ! そして彼をどうする気なの?」と問い掛けた 「彼はね、貴之の父親違いの弟なのよ! 彼の兄は倭の国で捕獲して地獄に堕として来たのよ、生半可な想いでは地獄は抜け出せない! 今後は様子見している所よ! 地獄で耐えて地上へ上がれる程に努力したならばら、彼は養子に出して全く違う名で国会に躍り出る事になる だから貴教と敦之はもう、政治家にならなくてもどーでも良いのよ 悪い噂しか聞かないし………要らないかな? でも三木は敦之に足引っ張られるから、その前に………処分しないと駄目になるからね イギリスから還ったら………動くしかないと想っているのよ!」 と結構熾烈な事を言った 竜馬は顔色一つ変えず、弟の話を聞いていた フレディが「敦之って………ひょっとして竜馬の弟じゃなかった?」と問い掛けた 竜馬は「そうみたいだね、でも俺は10代から龍ケ崎斎王に預けられていたし、あまり兄弟とは過ごしていないんだよ! 敦之とは話した事さえない……変だよな兄弟なのに……」と少し悲しそうに言う 烈は「三木敦夫の素質持って生まれて、宝の持ち腐れしてるのよね……… 幼くして三木の跡を継ぐ事が決まって勘違いしてるのよ! 竜馬は三木を継がない………きっと家を追放された兄、位にしか思ってなくてナメているのよ!」とボヤいた 竜馬は「かもね………でも俺は………ハッキリ言ってあまり関わり持ちなくないって想って、自分の弟だけど無視してる事が多いからな………」と、どんな態度を取って良いか解らない……と吐露した 烈は「まぁそっちも、りゅーまがイギリスにいる間に何とかするから良いのよ! 今は………あの悪餓鬼か………獅童に預けて叩き直して貰おうかしら? それとも兄と同じ場へ放り込もうかしら?」と紙を出してあみだくじを作り始めた メンバーはそれが何なのか?解らなくて黙って見ていた 大当たりと下に一本当たりを作り完成すると 烈はあみだくじの一本に丸を書いてレと印を着けた 「皆も選んで良いわよ!」 と言うと皆 どれか?選んで決めた場所に頭文字を書いた 「皆 好きな所に一本ずつ線を入れるのよ!」 と言い烈が一本入れると、皆好きな所に一本入れた 「なら始めるわよ、線をなぞって行くのよ!」 そう言い、線をなぞり始め あみだくし あみだくし 引いて楽しいあみだくし♪と歌い出した 烈はハズレだった メンバーも歌いながら選んだあみだくしの線をなぞり下へ下がる 大当たり!を引いたのはデービッドだった 烈は「では、デービッドさん、駄目な子の矯正はどうしたら良いかしら?」と問い掛けた デービッドはニカッと笑って「兄弟揃って身も心も鍛え上げて貰えばええやろ!」と言った 烈は「それは良いわね、そしたら父しゃんみたいにムキムキになるわね!」と言った ダニエルは「え!伊織は筋肉ないよね?」と言う 「何言ってるのよダニー! 愛する母しゃんと犯る為に、父しゃんはその体を維持しているのよ! その上セックスは肉体労働並の体力使うのよ! 色んな体位で頑張るから、父しゃんの体は鍛えあげられてるのよ?」 と、筋トレをやってる事は省いて伝えた 「それは凄いでーす!」とデービッドは目を輝かせ言った 竜馬は「確かに伊織はムキムキって程じゃないけど、均整の取れた体してるよね!」と言う 何度も温泉に一緒に入っているから、その時みたりしたのだ 一生は「おいおい、話しが逸れてるぞ!」と言う 皆 笑って今後の話し合いをした ある程度話の道筋が着くと「着替えて来るね!」と言った 竜馬が烈と共に寝室へと向かい着替えに行った 二人がいなくなるとヘンリーは「烈、どうしたの?怪我だらけじゃない!」と、一生に問い掛けた まだ魔界で負った怪我は完治していないくて、顔は絆創膏が貼ってあったりした 一生は「魔界で暴動が起きて、烈は先導された輩達に暴行加えられたんだよ! 大分治ったけど………まだ完治してねぇからな……」と説明した リーダーが大変な思いをしている事を知り、メンバーは気合を入れた 烈と竜馬が正装して出て来ると、一生は「なら俺は夕飯作って待ってるとするわ!」と言った メンバーは「なら俺達は一生と買い物に出るとするわ!」と言う 烈は「詳細は夜、もっと深めて決めねばならない事は決めましょうね!」と言った ヘンリーは「了解!人選もそれに合わせてやっておくとするよ! イギリスでも暦也さんの息の掛かった人間達集めて【R&R】企業向け調査会社を開業出来たからね、彼等に素行調査を依頼して、それにクリアした人間を使える様に頼んでおいたから!」と状況を伝えた 烈は頷き竜馬と共に部屋を出て行った 一生は「貴史は暇もない程に扱き使われているのか?」と問い掛けた ダニエルは「本当なら竜馬もミッチリとスケジュールは立てられていたんだよ! なのに………あのクソガキが!!」と怒りを露わにした 一生は「どんな状況で刺されたのよ?」と問い掛けた ヘンリーは「烈から捕獲して欲しい子がいると依頼されたから貴史と竜馬とで捕獲に向かったんだよ!なのに………その子は竜馬の話も聞かず、一緒に来て貰おうか?と言ったて肩に手を置いた瞬間………ナイフを取り出して暴れ始めて………竜馬が刺されちゃったんだよ………それを大学の構内でやってたから……… 噂話は大学中を駆け巡り、やがてオブライエン家の耳に入り、父さんやエミリア王女の耳にも入り……… 即逮捕され連れて行かれたんだよ 父さんやエミリア王女はカンカンに怒っているんだよ!」と説明した 一生は、此処まで康太の果てが狂ってしまっているのだと………痛感させられた 一生が白馬へ行くキッカケとなったのは安曇三兄弟がキッカケだった あの頃の三兄弟は未来に向かって一直線に歩みだし、羨ましい位に光り輝いていた なのに………この数年で……一体何が起きてるんだ? 一生は服を握り締め………果てしない胸騒ぎを覚えていた……… それでも気を取り直し、「買い物へ行くとするわ!」と言うと、【R&R】のメンバーも立ち上がった するとクーも立ち上がった 一生は「え?クー?烈と共に行ったんじゃねぇのか?」と問い掛けた クーは「烈と竜馬はイギリスの地にいる限り、女王の息の掛かった魔術師や諜報機関に護って貰えるからな、その隙を狙って一生に何かされたら堪らないと烈が俺を置いて行ったんだよ!」と答えた 烈の優しさが伝わって来る……… 一生はならば美味しくてヘルシーなの作らねばと、気合を入れて出掛けて行った 竜馬は烈とケントを地下駐車場まで連れて行った 竜馬は一台の高級車の前に止まると、鍵をケントに渡した ケントは鍵を受け取りドアのロックを外すと、烈と竜馬は後部座席に乗り込んだ 竜馬は「朝イチでオリヴァーに頼み、烈がヤードへ行く事は伝えて有るから、そのまま行って下さい!」と頼んだ ケントはナビにヤードを打ち込むと車を走らせた 竜馬は「葵……妊娠したって聞いて由香里泣いて喜んでいた………そして出産するならば倭の国へ行き支えたいと言っていた」と伝えた 「貴之は葵を娶った事で奇しくも政治生命繋がっちゃったのよね………… でもね彼は此れから子を持ち親となり、堂嶋やりゅーま達とは反対の位置に立つ政治家となるのよ 皆揃って同じ意見じゃイケナイと思っていたからね、良い兆しだと思っているのね!」 「貴也は………本当に魔界に落とされたのか?」 「そうよ、今は地獄で只管辛くて苦しい日々を過ごしているわよ 貴教は………地獄の仕事をさせるには……小さいかしら?」 「…………烈より大きいぜ!アイツ! 下手したら翔より大きいんじゃないかな?」 「グッ………!!腹立つ!! 年の頃なら来年高校受験かしら?」 「どうだろ?でもハーバード出てるんだろ?アイツ! なのに何故オックスフォード大学に来たのよ?」 「それは飛鳥井の6男がオックスフォード大学に入った噂聞いたから、ボクを馬鹿にするつもりで来たんじゃない? まぁかなりの天狗になっていたから、ボクなんて下の下の下だってマウント取りたかったのかしら?」 「腹立つ!俺の烈にマウント取るなんて100年早い!」 と竜馬は怒っていた ヤードに到着し、駐車場に車を停めるとケントは烈を護る様に歩いて署内へ入って行った 署内では再びナイトの称号着けた二人が来たから、上へ下への大騒ぎだった 所長がやって来て烈達を面会室へと連れて行った 暫くして安曇貴教が刑事に連れられてやって来た 貴教は竜馬を見るとフンッと鼻を鳴らしそっぽを向いた 烈はヤードの最高責任者に「この者を倭の国へ連れて来て、【唐沢】と言う内閣調査室の男に引き渡してくれないかしら?」と頼んだ 最高責任者は「最速の便で倭の国へお届け致します!」と約束してくれた 貴教は自分を無視してさっさと決められていく話に焦り 「お前は誰なんだよ!」と怒鳴った 高貴なスーツに身を包み、堂々とソファーに座り足を組み………嗤う 素人目で解るナイトの称号まで着けた子供に知り合いはいない……… 烈は眉を顰めると「本当に躾のなってないクソガキね!そんなお前に名乗る名なんてないわよ!」と吐き捨てた 烈はノートパソコンを取り出すと一心不乱に計算を始めた 星の周期とホロスコープを駆使して、独自の運勢を占う 何時もは紙だが御影が占うならば、とプログラムを作り上げてくれデーターを打ち込んでくれ、作り上げてくれたから、今はそれを活用していた 御影がプログラムを立ち上げ、それに綺麗の研究所のスタッフ達が手を加え完成度を上げてくれたホロスコープだった 烈はノートパソコンの画面を見たまま 「ねぇ安曇貴教、貴方さそのままだとクズしにしかならないわよ! 飛鳥井家真贋は総てをボクに託したわ! 託した以上は口は一切挟まない! 貴方に選択肢をあげるわ! 二択よ、このままクズになり父の足を引っ張り、父は子供の醜態がスキャンダルになり、総理を追われる道か? 地獄に堕ちてやり直すか?二択だけど、どっちを選ぶ?」 「…………」 「選ばないならば、自動的に地獄に堕ちるしかないわ!−0からのスタートを切りなさい! 貴方は倭の国で唐沢に引き渡されたら、ボクの所へ連れて来られるしかないのよ! その時に答えを聞かせてね!」 貴教は言葉もなく………自分がどうなってしまうのか? 不安でどうしようもなかった……… 何でこうなっちゃったの? 父様の跡を継ぐ為に頑張っていたのに…… 何処で道を踏み外した? 言葉もなく静まり返った面会室だったが……… ドタバタと足音が聞こえて来ると、バタンッとドアが開いた 「烈!!竜馬!!」と言いエミリア王女が走ってやって来て烈を抱き締めた 烈はエミリア王女に抱き締められ 「レディ………」と呟いた 貴教は烈………と名前を聞き、この目の前にいる慇懃無礼な子供が飛鳥井烈だと気付いた エミリア王女は貴教を罵り「そこの子は死刑になさい!」と宣った 烈を抱き締めたまま「竜馬、心配してました!」と言う 竜馬は「王女、貴方………本当に心配してます?」と聞いた 「心配してるわよ!でも成人男性を抱き締めるなんて…………はしたないので………」 と頬を赤らめ言う そして「烈、素敵よ!そのナイトの称号似合ってるわ!夜会にその格好でいらしたならば、ダンスを申し込んでしまいますわ!」とお誘いをする 「ボクの背がもう少し高くなったら……ボクの方から…申し込みたいと想います……」 背か?高くなるのか?ボク………… 前世は結構背が高く、慇懃無礼な貫禄があった 今世は………ちっちゃいオジサンにしかなれない気がしていた……… 「烈、明日食べ歩きして下さらない? そしたら夕刻は政府専用機でお送り致しますわ!」 「メンバーも喜ぶと想います!」 「きゃー!メンバーも同席して下さるのね! 嬉しいわ!アメリカではお会いする事も出来ませんでしたから………少しだけお時間作って下さい!」 「光栄です!ならば楽しい時間を送りましょう!」 スマートな会話、スマートな笑顔 何もかも…………別世界の話を聞いているようだった エミリア王女はキッと貴教を睨み付け、面会室を後にした 烈も立ち上がると所長に「ならば即時に内閣調査室の唐沢に連絡して安曇貴教の引き渡しをお願いするわ!」と依頼した 所長は「はい!即座に手続きをいたしまして、唐沢さんに連絡を取り倭の国へ送還させます!」と約束してくれた その言葉を受け烈と竜馬はヤードを後にした マンションに帰る前に、ヨニー©イギリスの本社を見て帰る事にする ヨニー©イギリスのゲートは更に強固な素材になり、カメラが幾つも追加され 烈は車から降りて本社ビルを眺めていた 竜馬は「かなり頑丈な素材を使い厳重な警備システムを導入したんだよ! ランチャー持ってやって来たならば、即座に電流流して犯人を捕縛して、特殊部隊の隊員が駆け付ける様にしたんだよ!」と説明した 竜馬が説明していると、オリヴァーが走ってやって来た 「リーダー、防犯カメラにリーダーが映ってるって警備の方から連絡が来たんだよ!」と言い烈を抱き締めた 烈は「もう社内も工事は終わったの?」と問い掛けた 「そうだよ!オブライエン家の下請けの建設会社が修理してくれたんだよ!」 「修理代は犯人に請求した?」 「したけど………資産がないから刑務所から出て来たら支払うしかないんだよ……… 親兄弟も縁を切ったから………多分刑務所から出て来ても身内は総て逃げたからいなくなってる…… 元々問題児で親は持て余していたらしいから当然なんだけどね……」 「保険料で何とか賄えない?」 「保険料では足りないんだよ、ランチャー想定してないから、交渉が難航してまだ決着着いてないんだよ! でも会社でプールしていた収益金でギリ賄えるから、罪だけ償わせたら………逆恨みされない為に関わりたくないんだよね………」 とオリヴァーはボヤいた 烈は深刻な顔をして何やら考えていた

ともだちにシェアしよう!