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橘×雪哉 3
「たく、お前マジ可愛すぎるんだよ。いつか他のヤツに取られちまいそうで嫌だ」
「……大丈夫。僕は先輩しか見てないから。それに、僕の愛が重いのくらいわかってる、でしょ?」
「……先輩、って呼ぶなつったろうが……。たく、物覚えの悪い恋人にはお仕置きが必要だな?」
ニヤリと笑みを浮かべたその顔に、思わず背筋にゾクッとしたものが走った。
「ちょっ! 待って下さいよぉ~」
慌てて制止しようとするも、時すでに遅し。そのままひょいと抱き上げられて寝室へと連行される。
「って、結局ヤる気じゃないですか……」
これの何処がお仕置きなんだとぼやけば、橘がにやりと意味ありげに笑って見せる。
「ばーか。やんねぇよ」
「えっ、しないの!?」
「期待してたのお前の方じゃん」
図星だったのか、顔を真っ赤にして視線をオロオロと彷徨わせる姿が可笑しくて、橘は堪えきれずにクツクツと笑い出した。
「ち、ちがっ……だって、お仕置きだって言うから……僕はてっきり……」
「てっきり、なんだよ?」
「ぅうっ」
耳元で低く囁かれて、思わず身体がビクリと跳ね上がる。そのままベッドの上に優しく降ろされて、上から覆いかぶさってくる橘をじっと見上げる。
「言えよ。お前、何想像してたんだ?」
「……意地悪っ」
わかっていて言わせようとする目の前の恋人が憎い。
「……ただヤんのも能がないだろ? だからさ、ちょっと試してみたいことがあるんだよ」
「試してみたい事?」
一体何を試すというのだろう? もし、橘が本格的なSMに目覚めてたりしたらどうしようか……。意味深な笑みを浮かべる目の前の切れ長の瞳に、雪哉はゴクリと唾を飲み込んだ――。
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