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橘×雪哉 5日目 昼

「――はぁ……」 翌日、今日は練習がオフの代わりに午前中だけデスクワークをすることになっていた。 普段練習している時はまだいくらか気が紛れるが、座ってやる仕事はどうしても駄目だ。5日間散々焦らされた身体は疼いて仕方が無いし、橘の視線を常に感じているようで居心地が悪くて落ち着かない。 今もこうしてキーボードを打っていると、昨日の事が頭に浮かんできて、下半身が熱を帯びてしまう。それを誤魔化そうと幾度目かの溜息を吐いて、パソコンの電源を落とした。 頭の中は今日、帰ってからの事でいっぱいで何も手に付かない。 「あー……ダメだ……」 早く家に帰りたい。そして一刻も早く橘と――……。 「どうかしたか?」 「っ……!」 突然背後から声をかけられ、驚いて振り返ればそこには書類を抱えた同僚の鈴木が立っていた。 「あ、ああ……すみません。考え事してました……」 「大丈夫か? 萩原がボーとしてるなんて珍しいな。何か悩みでもあるのか?」 「いえ、別に……」 まさか、立て続けに寸止めされて欲求不満なんです。なんてことは口が裂けても言えない。 こういう時、顔に出にくい性格でよかったとつくづく思う。どれだけ脳内で乱れていても表情には出ないのだから。 雪哉が曖昧に微笑みながら答えると、鈴木は心配そうな顔をして近づいてきた。距離が近いような気がするのは気のせいだろうか? 「そうか? もし相談したい事があったらいつでも乗ってやれるぞ」 「ありがとうございます。その時は是非お願いします」 「……っ、おう」 ニッコリ笑って答えると、彼の喉がごくりと上下するのが見えた。何処となく居心地が悪い。 もしかして、首筋に付けられたキスマークに気が付いた? だとしたらかなりまずい。 今朝鏡を見た時に自分で付けた覚えのない鬱血痕に驚いたのだ。シャツで隠れているから大丈夫だと思っていたのだが隠しきれていなかった? 急に不安が押し寄せて来て、得意のポーカーフェイスが引きつりそうになる。 「あー……じゃあ俺はこれで……」 「はい、お疲れ様です」 だが、鈴木はそれ以上何も言わず、気まずそうに視線を泳がせるとそそくさと自分のデスクへと戻って行った。

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