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橘×雪哉 昼4

橘の瞳は情欲に濡れていて、目が合った瞬間に心臓が大きく脈打った。 そのままゆっくりと唇が重なり、熱い吐息が混ざり合って溶け合っていく。 こんなのはマズい。誰かに見られたら大騒ぎになってしまう。頭では分かっているのに、橘の唇をどうしても拒むことが出来なくて、雪哉は自ら橘の首に両腕を回し引き寄せるようにして深く口づけを交わした。 「こうして物陰に隠れてすんの久しぶりだな……。何かすげぇ興奮する」 「……変態」 「会社でガン勃ちさせてるお前に言われたくねぇよ」 「ッ、それは貴方のせいですよ……」 雪哉がキッと鋭い眼差しを向けると橘は愉快そうに口元を歪ませ、再び触れるだけのキスを唇に落とした。 「あーくそ、今すぐ抱きたいのに……」 「……ばか、じゃないですか?」 腰を抱きながら押し付けられ、スーツ越しに互いの熱を擦り合わせるように動かされて身体がビクビクと痙攣するように小刻みに揺れる。 そんな風に煽られたら、余計に身体が疼いて仕方がない。雪哉は橘の肩口に額を押し付けながら小さく喘いだ。 もう我慢の限界だ。早く家に帰って思う存分に愛し合いたい。 雪哉は潤んだ瞳で見上げると、橘のネクタイを掴んでグイッと引っ張り顔を近づけた。 そして掠れた声で名前を呼ぶと、熱っぽく視線を合わせながら強請るような口調で言った。 「此処じゃ嫌だ。……早く家に帰って……滅茶苦茶にして下さい……」 「お前、自分がすげぇ殺し文句言ってんのわかってんのか?」 耐えかねたようにガシガシと乱暴に頭を掻いて、橘は怒ったように眉を寄せ、強引に噛みつくようなキスをしてから名残惜しそうに身体を離した。 「……今夜は絶対寝かしてやんねぇ」 「……僕は最初からそのつもりですけど……」 「クソ、マジで可愛すぎんだろ……」 橘は雪哉の手を取ると、指先に口付けてから歩き出した。 繋がれた手にじんわりと汗が滲み、ドクンドクンと煩いくらいに高鳴る胸を押さえつけ、雪哉は俯いたまま橘の後を追った。

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