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和樹×透 きっかけ

(やってみろって言ったってなぁ……) 居酒屋での橘との会話を思い出しながら、タクシーの中で何気なく彼から貰ったURLを開いてみる。 『極上セックス特集』と書かれたページを開くと、そこには色んな体位の写真や動画が表示されていた。 「っ、なに考えてんだあの人……」 マナーモードにしておいてよかった。もしもイケナイ音声が車内に流れでもしたら大恥をかくところだった。 まさかこんなサイトの閲覧履歴を恋人に見られるなんて事は無いと思うが、それでもやはり恥ずかしくて頬が熱くなる。 タクシーの運転手さんに怪しまれないか心配でソワソワしつつスクロールしていくと橘が言っていたと思われる項目が見つかりざっと目を通す。 「……なるほど」 やろうと思えば出来ないことは無さそうだ。 問題はどうやって誘うかなんだけれど……。 真正面から言ったって嫌だって断られそうだし、どうしようか。 そうこう考えているうちに彼のいるマンションの前まで到着してしまい、慌てて料金を払って車を降りる。 ふと、透の部屋の辺りを見上げると、明かりが灯っている。良かった。まだ起きているみたいだ。 まぁ、まだ夜の10時だし、寝るには早すぎるか。なんて、独り言のように呟きながら貰った合鍵で中へと入りエントランスを潜り抜けてエレベーターに乗り込む。 部屋の前に着いて深呼吸を一つしてドアを開けると、中から透がパタパタと出迎えに走って来た。

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