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透×和樹 きっかけ2

「お帰り。意外と早かったな」 何処か嬉しそうな顔で出迎えられて、走ってくるほど帰りを心待ちにしていたのかと思うと、胸の奥がきゅんと甘く疼いた。 自分より約一回りも年上なのに、こういう所が可愛いんだよなぁ。そう実感して思わず抱きしめると、彼は不思議そうに首を傾げた。 風呂上がりだったのか、シャンプーの良い香りが鼻腔をくすぐって心地よい。 「どうした? なんかあったのか?」 「マッスーが可愛すぎて、つい……」 「はぁ? なんだよそれ」 クスリと笑って肩口に額を押し付けると、透はくしゃりと髪を撫でてくれる。 「はー、マッスーの匂い、落ち着く……」 「俺はペットか何かか?」 呆れたように笑いながらも、優しく抱きしめ返してくれた。その事に安心して、更にぎゅっと抱きつく。 「なんか、今日のお前変だぞ?」 「そう? いつも通りだけど」 「いや、絶対おかしいって。なに企んでる?」 「んー……別に何も?」 悪戯っぽく笑いながら答えると、透は不満げに眉根を寄せた。 「嘘つけ。絶対何か企んでるだろ」 「んー……まぁ、少しは……」 誤魔化す様に笑うと、透は諦めたようなため息をついてから、不意に顎を掴んできた。そのままクイと持ち上げられ至近距離で見つめられ、ドキリとする。 「なんだよ、教えろよ」 「やだよ。だって、教えたらきっと怒るもん」 「怒るような事なのか? まさかお前……」 途端に表情を曇らせた透を見て、内心しまったと思った。何か変な誤解をさせてしまったかもしれない。

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