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和樹✖️透 1-3

「――あー、疲れた」 最終的な点呼を終え、宛がわれた部屋に戻ると透はぱったりとベッドに倒れ込んだ。 「ようやく二人っきりだね」 和樹が後を追うようにやって来て、隣に腰を掛ける気配がする。 そのままそっと髪を撫でられて、思わず擽ったように目を細めた。和樹の掌の温もりが心地良くてそのまま好きにさせていると、うつ伏せのままの透の上に 覆いかぶさって来た。背中に感じる体温が温かい。 「……たく、重いって」 「いいじゃん。俺たち恋人同士なんだしさぁ」 和樹は甘えるように首筋に鼻先を埋めてくる。くすぐったくて身を捩ると、クスリと小さく笑われてちゅっと音を立てて耳元にキスをされた。 「ん……っ、お、おいっ何考えてんだ!? 言っとくけど、旅行中は駄目だからな!」 するりと伸びてきた、服の中に忍び込んでくるのを、慌てて掴んで引き抜いた。 「大丈夫。手は出さないよ。でも、キス位いいでしょ?」 可愛くおねだりされて、ぐっと言葉に詰まった。 「……っ、まぁ……それくらいなら……」 キスは嫌いじゃないし、二人きりの時くらいは良いんじゃないかと思って身体を反転させ向き合うような体勢になると、和樹が魅力的な笑みで透の心を奪ってからゆっくりと顔を近づけて来た。 「ん……っ」 最初は触れるだけの軽いキス。啄ばむ様に何度か繰り返されるそれが酷く焦れったくて、透の方からも求めるようにして唇を重ねた。 「ふは、だめだよ。マッスー……そんなエッチなチューしちゃ。我慢できなくなるだろ?」 「……ッ、べ、別に俺はそんなつもりじゃ……」 苦笑しつつそんな事を指摘されて、透はカァッと熱が上がっていくのを感じた。 「はいはい。そういう事にしておいてあげる」 何時もがっついて来るのは和樹の方なのに、今日はやけに余裕があるようだ。自分だけが期待してしまった事が恥ずかしい。 透は拗ねてプイッと横を向くと、誤魔化すかのように枕で顔を覆って抱きしめた。 「ねぇ、マッスー。こっち向いて?」 「やだ。ぜってぇやだ!」 「顔、見えないじゃん」 「見なくていいって!」 自分は今、きっと酷い顔をしている。見られたくないのに、和樹は強引に腕を引き剥がして覗き込んできた。 「うわぁ、真っ赤」 「っ、うるさい! 見るなって言っただろ」 和樹の視線から逃れるように再び反対側を向こうとしたが、素早く顎を捕まれ正面を向けさせられた。 「可愛い。マッスー、すっげぇ好き」 「……っ」 真っ直ぐに見つめられてそんな言葉を囁かれて、嬉しくないわけがない。 透はぎゅうっと抱き着くと、和樹の胸に顔を埋めた。 「……俺も、す、好きだから……っ」 「うん。知ってる」 和樹は満足そうに微笑むと、優しく透の後頭部に手を添えた。

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