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和樹×透 2-2
「そりゃ、折角の海だし? 楽しまないと損じゃね?」
「あのなぁ、遊びに来たんじゃ無いんだぞ」
「とか何とか言って、案外身体中にやらしい痕付けてんじゃ無いのか?」
部屋も同じたな訳だし。なんて、ニヤニヤしながら言われて思わず顔が熱くなった。
「ばっ馬鹿か。あるわけないだろう!」
「本当かよ」
「当然だ! それに……昨夜だってそう言う事はしてないからな!」
何もしていないわけでは無いが、一応そこは否定しておく。
「へぇ、珍しい……。お前ら二人共、こう言うシチュで燃えるタイプだと思ったのに……」
「アキラと一緒にすんな! いくら何でも和樹だってそこまで節操無しじゃないだろう」
透が呆れたように溜息をつくと、女子達と別れた和樹がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
「マッスーも来ない? めちゃくちゃ楽しいよ」
手招きする和樹に、透は軽く肩を竦めてゆっくりと首を横に振った。
「なんだよ。恋人のお誘い位行ってやればいいのに」
「だから、別に楽しむためにいるわけじゃ無いだろ。何かあった時の見張りだよ、見張り」
「見張り、ねぇ……。真面目なこった」
このままでは堂々巡りになると察したのかアキラはヒラヒラと手を振って何処かに消えて行ってしまった。
「俺、もしかしてお邪魔だった?」
入れ替わりでやってきた和樹が申し訳なさそうに聞いてきた。
「んなわけないだろ。アキラが気を遣うタマだと思うか?」
「……ふはっ、思わないや」
「だろ? 考えすぎなんだよ、ばーか」
自分の隣に腰をおろした和樹の額を軽く押すと、透はそのまま背を預けるようにして寄りかかった。
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