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和樹×透 2-3
「なに、甘えてんの?」
「違うっ、背もたれが欲しくなっただけだ」
「ひっで、何それ」
と言いながらも避ける気配はなく、そのまま透の体重を受け入れてくれる。
真っ白なビーチと青い空、エメラルドグリーンに輝く海。キラキラと輝く水面に、時折吹き抜けて行く潮風が心地良い。
波打ち際で遊ぶ生徒たちの声を聞きながら、透はぼんやりと水平線の彼方を眺めた。
「マッスーも生徒達と交流すればいいのに」
「いいんだよ、俺は。お前は随分楽しそうにしてたな。女の子に囲まれて鼻の下伸ばしてさ……」
背中に和樹の温もりを感じながら、つい言ってしまってハッとして口を噤む。
こんな言い方をしたらまるでヤキモチを焼いているみたいではないか。
「もしかしなくても妬いてる?」
「ち、違っ……そんなんじゃ……っ」
図星を突かれて狼惑していると、和樹が膝を抱えて頭を擦り付けた。
一体どうしたのかと戸惑っていると、突然バッと立ち上がり透の手を掴んで強引に立ち上がらせた。
「なっ……!? ちょっ、お、おいっ!」
「いいから、来て」
怒ったような、切羽詰まった表情で腕を引っ張られ、半ば強引に連れていかれる。
「お、おい……っ、ちょっと待てって!」
一体どこに連れて行くつもりなのか。
不安になって問いかけても、和樹は黙って前を歩くばかりで答えようとしない。
人気の無い岩場まで来ると、ようやく足を止めて透の方に向き直り、きつく抱きしめられる。
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