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アキラ×拓海 0-2
「――って、事があったんだよ。透と和樹のヤツ。ウケるだろ?」
修学旅行からアキラが戻ってきたその夜。お土産にと言ってアキラが買って来たハブ酒を飲みながら、二人はリビングで寛いでいた。
アキラが戻って来てくれて嬉しいはずなのに、素直に喜べない自分は我ながら面倒臭い性格をしているなと自覚している。
結局何の連絡もないまま最終日までモヤモヤしていた自分の気持ちなんてアキラにはきっとわからないだろう。
「なんだよ、元気ないな。どうかした?」
「別に。何もないし……」
「嘘だな。そんな口尖らせて。何もないって言う方が無理があるって」
そう言って頬を撫でられて顎に指が掛かり上を向かされる。そのまま軽くキスをされれば、もう降参するしかなかった。
「……だって、アキラが帰って来るの遅いから……」
「俺が?」
「そうだよ。4日間もほったらかしにしといてさ。……連絡来るの……待ってたのに……」
最後の方は尻窄みになって消えていく言葉だったが、それでもちゃんと伝わったようでアキラが困ったように眉を寄せ頬を掻いた。
「あー……ごめんな? 連日夜中まで先輩たちの愚痴聞かなきゃいけなくってさ。なかなか抜け出せなくて」
言い訳するようにそう言われても、納得できるわけがなかった。聞きたかったのはそんな言葉じゃない。
別にアキラが悪いわけではないのは解っているけど、何となく拗ねた気分になってしまう。
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